ヘドロの元はこれ?- (PDF形式, 770.37KB)

中川運河の沈降物 ~ヘドロの元はこれ?~
環境科学室
榊原 靖 ・ 岡村祐里子
中川運河における水質汚濁の問題点
調査の目的
水の滞留時間が長
水の滞留
栄養塩
く,栄養塩が豊富に
ある。このため植物
プランクトンの大量
植物プランクトンの大量増殖
増殖が起きやすく,
透明度低下
透明度低下や着色な
酸素消費 枯死・分解
呼吸
ど景観の悪化をもた
らす。さらに増殖し
悪臭
たプランクトンの枯
貧酸素化
死・分解や呼吸に
死魚
よって酸素が消費さ
れ悪臭や死魚の原因
となる。
また,夏季には上層で水温が高くなり,降雨量が多いため
に塩分濃度が低くなりがちになる。これにより上下層の密度
差ができて水が混合しにくくなり,下層の貧酸素化が進む。
沈降物の捕集および分析手順
沈降物の量的・質的把握
植物プランクトンの増殖
死骸の沈降・分解
底質(ヘドロ)の貧酸素化
有機物に富んだ沈降物は,川底に堆積し分解の過程で酸
素を消費する。その結果貧酸素化した底質から栄養塩が溶
出する。溶出した栄養塩を用いて植物プランクトンが増殖
する・・という悪循環に陥っていると考えられる。
この沈降して堆積物に加わる部分の量的・質的把握を目
的とした。
結果1 沈降量
沈降量の季節変動(2014年度)
多項目水質計を沈めるための
アンカーに捕集ビンを取り付け
て沈降物を採取した。
浮き輪
↑
多項目水質計
↓
栄養塩の溶出
沈降量(容積)
沈降量(乾燥重量)
アンカー
捕集ビン
設置場所
東海橋北約400m東岸
採取した沈降物
は右のように分別
して各項目の分析
に供した。
篩い分け
<2mm
>2mm
乾燥重量
沈降量
強熱減量
乾燥重量
沈
殿
部
分
を
遠
心
分
離
上
澄
み
(
間
隙
水
)
窒
素
・
リ
ン
沈
降
分
窒
素
・
リ
ン
容積と重量はよく一致している。5月から7月上旬の
初夏の頃と9~10月の秋に多量の沈降量が観測された。
冬は少量だった。
強熱減量
結果2 栄養塩
まとめ
沈降物中に含まれる栄養塩
窒素
リン
平均値
(実測値の最小~最大)
沈降物中のリン
沈降物
は安定して2~3
mg/gの間に収まっ
74.3 mg/L
13.4 mg/L
ているのに対し,
間隙水
(8.8~159)
(0.25~31.6)
沈降物中の窒素,
参考:中川運河の水質年平均値
間隙水中の窒素,
窒素 0.78 mg/L
リン 0.12 mg/L
リンは大きくばら
(2014年度公共用水域常時監視結果より)
ついた。
沈降物と底質の比較
河川水中の濃度
50
25
3
と比べると間隙水
中にはおよそ10
0倍の窒素,リン
が含まれていて栄
0.5
養塩の大きな負荷
源となっているこ
とが示唆された。
強熱減量
窒素
リン
14.6 mg/g乾
(2.5~34.6)
(mg/g乾)
(%)
40
20
30
15
2.52 mg/g乾
(2.0~3.1)
・沈降物が水質に及ぼす影響の程度を知ろうと量
的・質的把握を試みた
・浮遊物質量やヘドロの現存量から推定されるよ
りも遙かに多量の沈降物が観測され,有機物,
窒素,リンが高濃度で含まれていた
・プランクトン由来では説明しきれない量だった
(岸壁付着生物など由来?)
大きな沈降物(岸壁付着生物など)
(mg/g乾)
2.5
2
1.5
20
10
10
5
0
0
1
0
2014/3/14-28
2015/11/24-12/8