「融和」と「協働」、「飛躍」

平成29
平成29年
29年度施政方針
「融和」と「協働」、「飛躍」
西尾市長 榊 原 康 正
平成29年市議会3月定例会の開会にあたり、平成29年度の市政運営に対する私の
所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力をお願い申し上げ
たいと存じます。
昨年を振り返ってみますと、国内経済では、国の地方創生・経済再生への施策が実行
される中、所得・雇用環境は改善傾向にあり、個人消費や設備投資では伸び悩みも見ら
れましたが、景気は緩やかな回復基調が続きました。しかし、海外では、イギリスのE
U離脱問題や中国などの新興国の景気減速、アメリカ大統領選挙におけるトランプ氏の
勝利など、日本経済に与える影響も懸念され先行きの不透明感は増しているところです。
明るい話題では、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックで躍動した日本人
選手のメダルラッシュ。強靭な肉体と精神力が生み出す夢と感動に日本中が沸きました。
西尾市からは女子バレーボールの鍋谷選手、パラリンピック柔道で銀メダルに輝いた西
尾市出身の廣瀬選手の活躍に喜びもひとしおでした。また、8月には皇太子殿下が岩瀬
文庫を行啓されました。殿下が熱望された岩瀬文庫訪問には、多くの市民の出迎えもあ
り、「長年の念願がかないました。」とのお言葉がとても印象的でした。
一方、熊本地震や鳥取県中部地震、東北・北海道に大きな被害をもたらした台風10
号など、全国各地で想定外の自然災害が頻発した年でもありました。1日も早い復旧・
復興を願うとともに、災害に対する備えの大切さを再認識したところです。
そのような中、合併から6年、私が市政を担ってから約7年8か月が経過いたします。
平成28年度は、官民連携手法である西尾市独自のPFI事業として進める公共施設再
配置第1次プロジェクトの特定事業契約を6月に締結し、施設の設計など新年度から順
次始まる本格的な施設整備に向けた準備を進めることができました。また、観光事業で
は、4月から一般社団法人西尾市観光協会が運営を開始しました。マニフェストに掲げ
たこの事業では、民間活力を生かした戦略的な観光振興に大いに期待しております。
地方創生への取り組みでは、本市の魅力を満載した情報誌などで広く情報発信するシ
ティプロモーション活動や婚活イベントの開催など、移住・定住促進のための新たな事
業を展開できたほか、消防体制の充実を図るため旧西尾市へ「機能別消防団」を設置す
るなど、市政運営を順調に進められたことに感謝申し上げたいと存じます。新年度の市
政運営につきましても、誰もが心豊かに暮らせるまちづくりの実現を目指して全力投球
してまいりますので、これまで以上のご理解とご協力をお願い申し上げます。
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次に予算編成について申し上げます。平成29年度から普通交付税合併算定替の縮減
開始に加え、社会保障関連経費及び公共施設などの老朽化対策に係る経費の増加が見込
まれることから、財政運営はさらに厳しい状況が続くものと考えております。引き続き
企業誘致の推進などにより自主財源の確保を図るほか、西尾市行財政改革推進計画第5
次実行計画を新年度から順次スタートさせ財政健全化に努めてまいります。
このような財政状況の中、市民の生命と財産を守るための「防災・減災対策」を最重
点施策と位置付け、本年度に引き続き優先的に予算配分してまいります。また、公共施
設再配置第1次プロジェクトや長寿命化のための学校施設などの改修、特別支援学校の
誘致など、公共施設整備や福祉施策の充実に向けた取り組みを推進してまいります。
平成29年度の市税収入は、円高の影響などにより法人市民税が減収見込みとなるも
のの、企業進出や設備投資などによる固定資産税などの増により286億円を、また、
一般会計の予算規模は、532億円を見込んでおり、特別会計及び企業会計を合わせた
総予算では、1,064億円の見込みとなりました。
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それでは、第7次西尾市総合計画の将来都市像「自然と文化と人々がとけあい 心豊
かに暮らせるまち 西尾」の6つの柱に基づき、主要事業についてご説明申し上げます。
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第1の施策は、「活力と魅力あふれる産業づくり」についての取り組みであります。
「おもてなしの心で迎え入れる 多彩な魅力と活力がつながる観光のまち西尾」を基
本理念とする西尾市観光基本計画を平成26年3月に策定して以来、豊富な観光資源を
有効活用するため、積極的に観光施策を展開してまいりました。平成29年度は、西尾
駅から歴史公園へ観光客の方が迷わず行けるように、携帯電話などの端末機で情報が得
られる「多言語対応QRコードを活用し、外国人にも対応した観光案内板の設置」を実
施してまいります。
また、昨年8月に実施した市政世論調査では、一般社団法人西尾市観光協会に期待す
ることとして、「メディア等を活用した情報発信」47.3%、「観光ツアープログラム
の開発・販売」40.9%が上位を占めており、誘客活動に対する市民の期待の高さが
伺えます。西尾市観光協会事業として、平成29年度は、1,500人限定の宿泊・食
事プランで宿泊客の増大を図るほか、潮干狩り・抹茶体験などの地域資源を活用した魅
力創造事業や佐久島など三河湾3島を巡るツアーを実施するGOGO三河湾事業など、
官民連携により集客力のある観光戦略を構築していきたいと考えております。
全国の皆様から本市のまちづくりにご協力いただき2年目となる「ふるさと応援寄附
金制度」では、返礼品を昨年9月に地元特産品や宿泊券など54品目に増やした結果、
12月までに前年度の倍以上となる約8,000万円の申し込みをいただきました。4
月からはさらなる品目の充実を図り、本市が誇る特産品をPRしてまいります。
農水産業につきましては、平成30年産から米政策が見直されますが、引き続き水田
農業における所得の向上と、キュウリなど施設野菜の収穫増加と品質向上のため、環境
制御機能を有する新しい園芸施設の導入を支援してまいります。また、海外進出が期待
される地域ブランド「西尾の抹茶」の安全性と品質の向上や、同じく地域ブランドであ
る「一色産うなぎ」の安定生産のため、一色うなぎ漁協が行う養鰻水道管の敷設替、カ
イヤドリウミグモにより深刻な被害を受けているアサリ資源の回復についても支援して
まいります。
農業副都心構想は、本市の農業・水産業・畜産業のさらなる活性化を図るために掲げ
た2期目のマニフェスト事業であり、JA西三河との間で協議を進めておりますが、事
業主体はまだ決まっておりません。今後も粘り強く協議調整に努めてまいります。
本市の最重点課題として取り組む企業誘致につきましては、これまで「誘致」と「留
置」の戦略的な取り組みを車の両輪のようにバランスを保ちながら「ものづくりのまち
西尾」の体現に向けて、推し進めてまいりました。職員による企業訪問や市内企業との
東京での大規模展示会への共同出展、また、昨年11月に150名を超える市内外の企
業関係者にご参加いただき、大盛況でありました産業立地セミナーなどにおいて、企業
用地や企業立地優遇制度などを積極的にPRした結果、合併以降、多くの企業に市内で
投資をしていただき、県内トップクラスの実績を誇るまでになりました。
平成29年度も、引き続き、戦略的な取り組みにより「オール西尾」で「本市への投
資」を促進するとともに、市内企業の「競争力」や「稼ぐ力」のきっかけを提供するた
め、東京の大規模展示会へ共同出展するほか、市内のものづくり企業のセールスポイン
トを紹介する冊子を作成するなど、
「ものづくりのまち西尾」の知名度向上に努めてまい
ります。
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第2の施策は、
「利便性と快適性を高める基盤づくり」についての取り組みであります。
まずは幹線道路でございますが、国道23号名豊道路につきましては、昨年2月に西
尾東インターチェンジまで4車線での全面通行が可能となりました。経済や文化の広域
的な交流を図るための交通ネットワークの形成には、主要幹線道路の早期整備が不可欠
であります。引き続き岡崎バイパス全線の4車線化を強く要望してまいります。
県事業につきましては、衣浦岡崎線の4車線化や、西尾幡豆線の鵜ケ池町地内から吉
良町地内までの早期整備を強く要望してまいります。また、本市の南北の幹線道路であ
る安城一色線は現在、上町と下町地内で用地取得を進めていただいており、国道247
号との交差点改良を含めた一色町地内の整備にも着手していただいております。
市の事業では、岡崎一色線の、憩の農園より南約1.5キロメートル区間と新在家上
矢田1号線の整備を進めてまいります。また、西幡豆町地内の中部幹線をはじめ、田貫
徳永線や平坂93号線につきましても引き続き整備を進めてまいります。そのほか、一
色町地内の池田野田1号線や吉良町地内の吉田224号線などの道路改良工事、熊味今
川1号線における電線類地中化などの整備を進めてまいります。
上水道のインフラ整備では、災害時に優先的に復旧すべき管路の耐震化を図るため、
引き続き重要管路の更新や老朽管の更新、漏水調査を予定しております。
公共下水道事業では、主に平坂地区及び一色地区の約70ヘクタールで管路整備を進
めてまいります。また、地震対策として防災関連施設に接続する管路や緊急輸送道路下
に敷設した管路などのマンホール浮上防止対策を継続して実施するとともに、平成29
年度から管路の耐震改修を進め、流下機能の確保を図ってまいります。
名鉄西尾・蒲郡線につきましては、平成32年度までの運行の存続が決まっておりま
すが、今後輸送人員を増やしていくためには、観光事業との連携が非常に重要であると
考えております。平成29年度は名鉄西尾・蒲郡線活性化協議会に設置された誘客推進
部会の活動を支援し、地元事業者にグルメや特産品の開発と普及を呼びかけるなど、新
たな観光資源を掘り起こし、本市の魅力を広く情報発信してまいります。
また、昨年6月に改訂しました西尾市地域公共交通計画では、鉄道を核とした利便性
の高い公共交通ネットワークの形成を目指しており、地区公共交通協議会の取り組みを
支援し、市民の大切な移動手段となる新たな地域の公共交通の運行やデマンド型乗合タ
クシーのサービス見直しを図ってまいります。
西尾駅西広場をはじめ西尾駅周辺の整備につきましては、市民が誇るまちの顔として
商業・情報・交流機能の集積を図るとともに、本市の玄関口としてふさわしい緑と文化
の調和した景観を形成するための土地利用を図ってまいります。
駅西広場の活用につきましては、昨年11月に宿泊施設及びコンベンションホールを
誘致奨励施設として再募集したところ、事業者グループ1者から提案書類が提出されま
した。現在は先に実施しました一次審査及び審査委員会による二次審査の審査結果を踏
まえ、優先交渉権者に決定するかどうか慎重に検討しているところです。優先交渉権者
に決定した場合には協議が整い次第、事業実施に関する基本協定を締結してまいります。
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第3の施策は、
「地域を支える文化と人を育む環境づくり」についての取り組みであり
ます。
一昨年発足した第3次安倍改造内閣では、アベノミクス新3本の矢として、経済成長
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戦略とともに、夢をつむぐ子育て支援や社会保障基盤の強化を掲げました。昨年6月に
は誰もが活躍できる社会の実現を目指し、働き方改革や子育て環境の整備などを重点項
目として、希望出生率1.8や介護離職ゼロなどを目標とした「ニッポン一億総活躍プ
ラン」を閣議決定し、国では様々な取り組みを推し進めております。
本市では、平成27年度から31年度までの5年間を計画期間とする「西尾市子ども・
子育て支援計画」に基づき、総合的かつ計画的に子育て支援に関する施策を推進してま
いります。具体的には、保育ニーズにきめ細かく対応するため、子育て世帯の経済的負
担を軽減する保育園・幼稚園の給食費無料化事業を継続実施するとともに、平成29年
度は放課後児童クラブの受入学年を小学校6年生まで拡大してまいります。また、施設
整備では、八ツ面保育園や一色保育園など5園のトイレ洋式化工事を実施するほか、吉
田保育園の外部改修工事や見影保育園の屋上防水改修工事を実施してまいります。さら
に、老朽化が著しい西野町保育園の移転改築に向けた測量業務を予定しております。
緑化政策の目玉として市長就任以来取り組んでおります芝生化事業では、
「あいち森と
緑づくり都市緑化推進事業交付金」を活用し地元のご協力をいただきながら、これまで
保育園・幼稚園で26園、小学校で10校実施しました。平成29年度は、花ノ木保育
園や東幡豆保育園など7園と西尾中学校で実施してまいります。
次に学校教育について申し上げます。教育を取り巻く環境が大きく変化する中、教育
現場では改革が求められておりますが、児童生徒が義務教育の9年間で積み重ねる様々
な経験は、必ず人生の大きな糧となります。本市では、平成27年3月に策定した「西
尾市教育振興基本計画」に基づき、学校教育をはじめ、生涯学習、歴史文化、スポーツ、
青少年健全育成の各分野において、特色のある教育活動を通して、魅力ある学校づくり
を推進してまいります。学校教育では、きめ細やかな指導を推進するため、市独自の小
学校3年生までの少人数学級を継続するとともに、特別な支援や日本語教育が必要な児
童生徒の増加に対応するため、特別支援教育補助者の増員に努めるほか、外国人就学、
日本語教育の課題に対応する事業を継続実施してまいります。
小中学校の施設整備では、校舎など建物の長寿命化を図るため、鶴城小学校の校舎屋
上防水改修工事や福地北部小学校の外壁改修工事を実施してまいります。また、より良
い教育環境を整備するため、トイレ改修工事や給食運搬用エレベーターの改修工事、小
学校の図書室空調設備設置なども計画的に進めてまいります。さらに、老朽化の著しい
一色学校給食センターにつきましては、新たな学校給食センターの整備に向けて、平成
29年度中に建設用地の取得を予定し、建設の準備を進めてまいります。
憩の農園周辺を最有力候補地として進める県立特別支援学校の誘致につきましては、
平成29年度中に建設用地の取得を予定しており、用地取得後は県教育委員会に対し、
速やかに特別支援学校の建設に着手していただけるよう働きかけてまいります。
平成26年度から委員会を設置し、作業を進めている西尾市史編さん事業では、平成
30年度の資料編「考古編」を皮切りに計画的に刊行する準備を進めております。平成
29年度は、編さん事務が着実に遂行できるよう職員体制の強化を図ってまいります。
子どもの読書活動につきましては、本年10月からスタートします「西尾市子ども読
書活動推進計画(第3次)」に基づき、読書活動の推進を図ってまいります。
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第4の施策は、
「安心できる暮らしを支える健康・福祉のまちづくり」についての取り
組みであります。
西尾市民病院では、経営健全化を進めるとともに、地域の中核病院として、安心・安
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全で満足度の高い医療を安定的かつ永続的に提供するため、平成27年3月に策定した
「西尾市民病院中期計画」の着実な実現に努めております。この中期計画をさらに具体
化するため、本年3月までに「西尾市民病院改革プラン」を策定いたします。このプラ
ンでは、県の地域医療構想を踏まえた病院の役割の見直しや経営改革など、西尾市民病
院が抱える様々な課題に応じた取り組みを掲げてまいります。平成29年度は、このプ
ランの着実な実行とともに、安定した医療体制の確立に向けた医師確保奨学金貸与制度
や市民公開講座などを引き続き実施してまいります。
私は常々、健康第一と申しておりますが、健康なくして充実した日々の生活を送るこ
とはできません。最近よく話題にあがる「健康寿命」は、心身ともに健康で自立して活
動し生活できる期間とされております。平成28年版厚生労働白書では、2013年時
点で男性71.19年、女性74.21年となっており、平均寿命とともに世界のトッ
プクラスにあります。本人や家族の生活の充実、医療費など社会保障費の抑制のために
も平均寿命の延び以上に健康寿命を延ばすことが重要視されております。
新年度の新たな健康づくり施策では、市民の健康寿命の延伸、介護予防を推進する拠
点として「西尾市民げんきプラザ」を開設いたします。この施設では、65歳以上の高
齢者及び40歳以上のメタボリックシンドロームの方などを対象に、問診や体力測定な
どの健康度測定を実施し、一人ひとりにあった運動プログラムを処方し、トレーニング
機器を利用した効果的な運動を支援・指導してまいります。
また、疾病予防や健診事業として、高齢者肺炎球菌、高齢者インフルエンザなどの予
防接種に対する助成や妊産婦・乳児健診、妊婦歯科健診に対する助成につきましても引
き続き実施してまいります。
国民健康保険事業では、特定健康診査結果とレセプトのデータを活用し、糖尿病と高
血圧の方に対する早期治療と重症化予防を目的に「ヘルスアップ事業」を引き続き実施
してまいります。
一般の歯科診療所では治療が難しいとされる障害を持つ方などに対し、適切な歯科診
療が受けられる施設の整備は、地域包括ケアシステムの確立とともに、2期目のマニフ
ェストに掲げた事業であります。西尾市歯科医師会などにもご協力をいただきながら、
障害者歯科診療所の整備に向けて準備を進めてまいります。
次に介護保険事業では、医療関係者と介護関係者が連携して、在宅要介護者と家族を
支援するための研修や市民向けの啓発などを行う在宅医療・介護連携事業を一層充実し
てまいります。また、第6期介護保険事業計画に基づき、民間事業者による小規模特別
養護老人ホームの整備に対して補助するとともに、介護保険法の改正に伴い緩和した基
準による要支援者などに対するホームヘルパー派遣やデイサービスを実施する介護予
防・日常生活支援総合事業を実施してまいります。
医療・保健・福祉の連携のもとに総合的なサービスを提供できる体制づくりを構築す
るとともに、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができる福祉施策の一層の充
実を図ってまいります。
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第5の施策は、「安全とうるおいのある環境づくり」についての取り組みであります。
市民待望の大型公園として平成24年度から矢作古川左岸に整備を進める「親子で楽
しめる公園」
(愛称:岡ノ山遊ぼっ茶広場)が本年3月末までに完成し、4月にオープン
いたします。バーベキュー場18サイト、芝生広場3か所、遊具広場などを備えるこの
公園が笑顔と元気、緑あふれる市民の憩いの場となることを期待しております。
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平成29年度は隣接する八ツ面山公園の駐車場整備に加え、八ツ面山公園と岡ノ山遊
ぼっ茶広場を結ぶ園路整備のための用地取得を予定しております。
次に最重点施策に掲げる防災・減災対策について申し上げます。
昨年4月に発生した熊本地震では、震度7を含む連続した大きな揺れに多くの家屋が
倒壊し、関連死を含む死者数が180名を超える大惨事となりました。市政世論調査で
は、南海トラフ地震に関心があるかの問いに対し、約90%の方が関心があると回答さ
れています。この地方に甚大な被害をもたらした三河地震、未曾有の被害に見舞われた
東日本大震災などを教訓に、地震に備える重要性をひしひしと感じているところです。
本市の海岸線の多くは巨大地震による津波により広範囲で浸水が想定されており、市
が管理する寺津漁港海岸では、平成26年度から国の補助を受けて堤防の耐震化を進め
ております。平成29年度は延長240メートルの区間を施工する予定であります。ま
た、県では現在、
「第3次あいち地震対策アクションプラン」に基づき、海抜ゼロメート
ル地帯など地盤が低く住宅が密集して大きな被害が想定される河川海岸堤防から優先的
に耐震化を進めていただいており、整備が残る平坂地区や西幡豆漁港海岸、一色地区な
ども順次耐震化事業を進めると聞いております。引き続き国や県に対し強く働きかけ、
河川海岸堤防の耐震化が早期に完了するよう最大限努力してまいります。
施設整備では、災害時における非常連絡網の強化を図るため、平成29年度から31
年度にかけて旧三町地区に整備されているアナログ方式の防災行政無線の更新を予定し
ており、平成29年度は一色地区から順次整備を進めてまいります。
消防関係では、消防体制の充実と地域活動の活性化を図るため、昨年10月に機能別
消防団を旧西尾市に設置しました。この機能別消防団と旧三町の消防団で、大規模な災
害時には全市的な活動が行えるよう組織の充実強化に努めてまいります。また、計画的
に進める耐震性貯水槽の整備につきましては、平成29年度は吉良町友国地内と吉田地
内の2か所に設置してまいります。
防災対策では、まず自らがその生命や財産を守る(自助)、近所や地域で助け合う(共
助)が非常に大切となります。市民や地域とのネットワーク強化を図り、ソフト面から
も災害に強いまちづくりに全力で取り組んでまいります。
昨年、市内で侵入盗や特殊詐欺による被害が多発し、全国では高齢者による交通事故
が社会問題になるなど、防犯・交通安全に対する関心が高まっています。防犯灯・防犯
カメラ設置に対する補助や防犯パトロール、被害防止の啓発、交通安全教室の開催など、
各種事業を効果的に実施し、安心安全のまちづくりに取り組んでまいります。
環境対策では、地球温暖化対策の一環として、住宅用太陽光発電装置に加え、新たに
エネルギー管理システム、家庭用燃料電池システムなどに対する補助を実施するととも
に、引き続き、電気自動車・燃料電池自動車などの低公害車の購入者に対する補助も実
施してまいります。
一色地区の産業廃棄物最終処分場の跡地問題につきましては、今後も県との協議を重
ね、豊かな自然環境を守るため、問題解決に向けて取り組んでまいります。
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第6の施策は、
「市民と行政が共に考え、行動するまちづくり」についての取り組みで
あります。
市政世論調査では、西尾市が住みよいまちだと思うかの問いに対し、約70%の方が
「住みよい」、または「どちらかといえば住みよい」と回答されております。地方創生の
取り組みでは、昨年3月に策定した西尾市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、
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「『子ども』の数を増やす」、
「『雇用』の場を増やす」、
「『定住者』を増やす」の3つの視
点から施策を展開しております。平成29年度は、本市の持つ魅力をまとめた冊子やウ
ェブ情報を活用して市内外に情報発信するシティプロモーション活動や、若い世代など
の出会いの場を提供する結婚支援を継続してまいります。また、子育てや介護を家族で
支え合える三世代同居に対応した住宅の整備に対して、整備費の一部を補助する制度を
創設してまいります。
「市政の中心は市民」という私の政治理念のもと、市民の皆様とコミュニケーション
を図り対話する機会として、
「市民協働ガイド」を積極的に展開してまいりました。今後
もタイムリーな市政情報の発信に努めるとともに、市内の隅々、様々な現場からの生の
声を吸い上げ市政運営に反映できるよう、「オール西尾」で取り組んでまいります。
行財政改革では、本年3月までに策定する西尾市行財政改革推進計画第5次実行計画
に、平成29年度においても新たな計画を追加し、順次進めてまいります。総合窓口の
設置や行政財産の有効活用などの計画を実行することにより、行政サービスの向上や効
率的な事務改善を図り、持続可能な自治体運営を行ってまいります。
官民連携手法である西尾市独自のPFI事業として進める公共施設再配置第1次プロ
ジェクトにつきましては、計画した事業スケジュールに基づき、専門家による技術的な
支援を受けながら、適切な行政モニタリングを実施し、着実に推進してまいります。
具体的に平成29年度は、きら市民交流センター支所棟の建設に着手し、平成30年
度のオープンを目指すほか、アリーナ棟の設計に着手してまいります。また、一色町公
民館を改修し一色支所機能を移転するほか、一色支所跡地に建設を予定している多機能
型市営住宅などの設計にも着手してまいります。そのほか、平成31年度から35年度
までの5年間に着手すべき再配置プロジェクトを定める第2次公共施設再配置実施計画
の策定に向けて本格的に取り組んでまいります。
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最後に私の決意を申し上げます。
合併以降、市民や議員の皆様、職員の「融和」、官と民が手を携えまちづくりに取り組
む「協働」、そしてさらなる「飛躍」を誓い、これまで市政運営のスローガンを掲げてま
いりました。合併から丸6年を迎えるにあたり、市全体の一体感も醸成されつつあると
感じております。本年の市政運営のスローガンには、初心を忘れず、
「オール西尾」の精
神でまちづくりにまい進するため、引き続き「融和」と「協働」、「飛躍」を掲げます。
昨年、東京工業大学の大隅良典教授が細胞自食作用の研究でノーベル生理学・医学賞
を受賞されました。これで日本人では3年連続となるノーベル賞受賞となり、日本の科
学技術の底力を証明してくれました。研究者に共通するものは、
「地道な努力と果敢な挑
戦」ではないでしょうか。その過程では幾つもの高い壁を乗り越えたことでしょう。
西尾市のまちづくりも地道に、愚直に、そして果敢に進めていかなければなりません。
少子高齢化など刻々と変化する社会情勢や多様化する市民ニーズに的確に対応し、常に
目標を立て夢や希望のある未来を展望するとともに、17万市民が安心して住み続けら
れる、進化し続ける「ふるさと西尾」の実現に向けて全身全霊で市政運営に取り組んで
まいります。議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力をお願い申し上げまして、施
政方針とさせていただきます。
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