監 査 種 別 出資団体監査 監 査 対 象 公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロ ー (事務所所在地:中区栄二丁目10番19号) 上記団体の事業に関係する所管局の事務を含む。 監 査 期 間 平成28年 8月 3日から 平成29年 2月20日まで 監 査 結 果 (公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロー分) 第1 監査結果の概要 観光文化交流局所管の出資団体である公益財団法人名古屋観光コンベンション ビューロー(以下「ビューロー」という。)について、地方自治法第 199条第 7 項の規定に基づき、出納その他の事務の監査を実施した。 ビューローの基本財産は10億 5,500万円であり、そのうち本市の出えん額は 5 億円である。 平成27年度において、本市はビューローに対して、観光客の誘致宣伝活動等に 対する補助金として 2億 9,018万円を交付している。 今回の監査は、ビューローの事業運営は出資目的に沿って適正に執行されてい るか、会計経理は適正に行われているか、財務諸表は基礎となる諸帳簿に基づい て適正に作成されているかなどについて、主として平成27年度(平成27年 4月 1 日∼平成28年 3月31日)の事務について調査した。 監査の結果、以下のとおり一部に不適切な事例が見受けられた。今後の事業執 行にあたっては、これらの点に留意されたい。 (注) 文中では万円未満の端数を切り捨て、表中では千円未満の端数を切り捨て、 比率は実数により計算し計数ごとに小数点以下第 2位を四捨五入した。した がって、内訳の計と合計が一致しない場合がある。 第2 事業の概要 ビューローは、名古屋市及び周辺地域の産業技術、文化、歴史等の資源を活用 して、コンベンションの誘致及び観光の振興を図ることにより、名古屋市の産業 経済の活性化及び文化の向上並びに国際相互理解の増進に寄与することを目的と して、平成 2年10月、その前身である社団法人名古屋市観光推進協会(昭和60年 7月設立)を組織変更し、「財団法人名古屋観光コンベンションビューロー」と して設立された。平成23年 6月には、公益法人制度に基づく公益財団法人に移行 し、今日に至っている。 主な事業内容は、①コンベンション誘致に関する情報収集及び分析、コンベン ションの開催支援、②観光に関する資源の造成、広報及び情報の提供、観光関係 団体等との連携、③名古屋の魅力を広く発信する各種イベントの開催及び支援、 ④観光案内所における観光情報の提供事業等である。 これらの事業を運営するため、理事会、参与、顧問、評議員会、監事及び事務 局が置かれており、職員数は46人(専務理事が兼務する事務局長を除く。嘱託員 9人を含む。)となっている。機構及び職員配置状況は、次図のとおりである。 機構図 (平成28年 3月31日現在) 理事会 事務局 参 与 ( 6 人) 理事長 顧 問 (10 人) ( 1人) 評議員会 専務理事 ( 1人) 事務局長 総務部長 (専務理事兼務) ( 1人) 総務グループ ( 3人) 経理・企画グループ ( 3人) 事業戦略グループ ( 6人) 観光部長 評議員 (20 人) 理 事 (12人) 国内観光グループ ( 6人) ( 1人) 国際グループ ( 6人) おもてなしグループ ( 11人) 監 事 ( 3 人) コンベンショングループ ( 6人) コンベンション部長 ( 1人) MICE専門員 ( 1人) 名古屋国際会議場 ( 1人) 1 事 業 状 況 (1) コンベンション事業 「ロボカップ2017世界大会」はじめコンベンションの誘致を行うとともに、 国際会議開催助成等による開催支援を行った。 コンベンション誘致件数等の推移は、第 1表のとおりである。 第 1表 コンベンション誘致件数等の推移 区 分 誘致件数 国際会議開催助成金 件数 金額 コンベンション開催準 件数 備貸付金 金額 平成25年度 平成26年度 平成27年度 26件 23件 32件 7件 4件 5件 9,500千円 1件 1,200千円 6,500千円 1件 3,000千円 6,076千円 1件 3,000千円 (2) 観光事業 ア 観光資源の広報宣伝 英語や中国語等のホームページをスマートフォンで利用しやすいよう最適 化を行ったほか、県市連携により設置された「なごやめし普及促進協議会」 の事務局として事業を行った。 イ 観光客の誘致 (ア) 国内観光 中部国際空港(セントレア)等と連携し、札幌、熊本、福岡等において、 名古屋城本丸御殿第二期公開に向けた観光プロモーション等を行った。 (イ) 国際観光 「日本の観光・物産博in台湾」等への出展や、シドニーへのセールスコ ール等を行った。 ウ フィルムコミッション事業の推進 映画「MOZU」やテレビドラマ「レッドクロス」等への撮影支援や、在名民 放テレビ局との連携による映像コンテンツを活用した当地魅力の発信に向け た取り組み等を行った。 (3) イベント事業 「なごやめし博覧会」、「旅まつり名古屋」等のイベントを開催するととも に、「にっぽんど真ん中祭り」等のイベントの開催支援等を行った。 (4) 観光案内所の管理・運営 名古屋駅観光案内所始め 3カ所の観光案内所の管理運営を本市から受託し、 観光客に対して観光情報の提供等を行った。各観光案内所における案内人数の 推移は、第 2表のとおりである。 第 2表 各観光案内所における案内人数の推移 区 分 名古屋駅観光案内所 金山観光案内所 オアシス21iセンター 計 平成25年度 平成26年度 平成27年度 454,930人 458,514人 465,138人 (57,753人) (81,750人) (99,604人) 166,936人 171,365人 175,860人 ( 4,303人) ( 5,833人) ( 6,798人) 216,341人 219,908人 218,908人 ( 7,310人) (10,036人) (11,931人) 838,207人 849,787人 859,906人 (69,366人) (97,619人) (118,333人) (注)下段( )は、内数で外国人案内人数 (5) 観光案内所観光宣伝物品販売事業(収益事業等) 観光案内所を訪れる観光客及び市民の利便のため、名古屋グッズ、観光絵は がき、一日乗車券等の物品を販売した。 (6) 会員サービス事業(収益事業等) 賛助会員のつどいやビジネスセミナーを開催するとともに、「賛助会員増強 キャンペーン」を実施し、組織全体で会員の増強に努めた。 2 決 算 状 況 平成27年度及び平成26年度の比較正味財産増減計算書及び比較貸借対照表は、 第 3表及び第 4表のとおりである。 第 3表 比較正味財産増減計算書 科 目 平成27年度 平成27年 4月 1日∼平成28年 3月31日 平成26年度 平成26年 4月 1日∼平成27年 3月31日 比較 前年度 平成27年度 平成26年度 増△減 対比 千円 千円 千円 % I一般正味財産増減の部 1 経常増減の部 (1) 経常収益 ① 基本財産運用益 ② 受取会費 ③ 事業収益 ④ 負担金収益 ⑤ 受託事業収益 ⑥ 受取補助金 ⑦ 雑収益 15,106 21,420 48,518 572 95,112 290,183 1,713 13,357 19,925 43,850 556 98,800 277,702 2,970 1,749 1,495 4,667 15 △ 3,688 12,480 △ 1,257 113.1 107.5 110.6 102.8 96.3 104.5 57.7 経常収益計 472,625 457,163 15,462 103.4 455,077 13,192 442,269 12,588 12,808 603 102.9 104.8 468,269 454,857 13,411 102.9 評価損益等調整前当期経常増減額 4,356 2,305 2,050 188.9 特定資産評価損益 1,870 409 1,461 457.2 当期経常増減額 6,226 2,714 3,511 229.4 ― ― ― ― 経常外費用計 ― ― ― ― 当期経常外増減額 ― ― ― ― 6,226 2,714 3,511 229.4 一般正味財産期首残高 369,434 366,720 2,714 100.7 一般正味財産期末残高 375,660 369,434 6,226 101.7 290,183 15,106 △ 305,289 277,702 13,357 △ 291,059 ― ― 12,480 1,749 △ 14,229 ― 104.5 113.1 104.9 ― 指定正味財産期首残高 1,055,000 1,055,000 ― 100 指定正味財産期末残高 1,055,000 1,055,000 ― 100 1,430,660 1,424,434 6,226 (2) 経常費用 ① 事業費 ② 管理費 経常費用計 2 経常外増減の部 (1) 経常外収益 経常外収益計 (2) 経常外費用 当期一般正味財産増減額 Ⅱ指定正味財産増減の部 ① 受取補助金 ② 基本財産受取利息 ③ 一般正味財産への振替額 当期指定正味財産増減額 Ⅲ正味財産期末残高 100.4 第 4表 比較貸借対照表 平成27年度 平成28年 3月31日現在 平成26年度 平成27年 3月31日現在 科 目 Ⅰ資産の部 1 流動資産 現金 預金 有価証券 未収金 前払金 貯蔵品 立替金 貸付金 貸倒引当金 流動資産合計 2 固定資産 (1) 基本財産 定期預金 投資有価証券 基本財産合計 (2) 特定資産 コンベンション振興事業積立金 特定資産合計 (3) その他固定資産 建物附属設備 備品 ソフトウェア 敷金 その他の固定資産合計 固定資産合計 資産合計 Ⅱ負債の部 1 流動負債 未払金 預り金 仮受金 前受金 流動負債合計 2 固定負債 固定負債合計 負債合計 Ⅲ正味財産の部 1 指定正味財産 (うち基本財産への充当額) (うち特定資産への充当額) 2 一般正味財産 (うち基本財産への充当額) (うち特定資産への充当額) 正味財産合計 負債及び正味財産合計 千円 千円 比較 増△減 千円 147 58,668 255,701 17,333 412 12,265 9 3,000 △ 140 347,398 202 41,232 255,490 18,031 455 10,398 ― 3,000 △ 40 328,770 △ 54 17,436 210 △ 698 △ 42 1,867 9 ― △ 100 18,628 72.8 142.3 100.1 96.1 90.7 118.0 ― 100 350 105.7 50,050 1,004,949 1,055,000 69 1,054,930 1,055,000 49,981 △ 49,981 ― 72,495.0 95.3 100 71,239 71,239 69,364 69,364 1,875 1,875 102.7 102.7 0 370 174 3,674 4,219 1,130,458 1,477,857 6 585 234 3,674 4,501 1,128,865 1,457,635 △ 6 △ 215 △ 59 △ 282 1,593 20,221 0.1 63.2 74.5 100 93.7 100.1 101.4 45,065 1,588 151 391 47,196 32,349 554 ― 296 33,200 12,715 1,034 151 94 13,995 139.3 286.5 ― 131.9 142.2 ― 47,196 ― 33,200 ― 13,995 ― 142.2 1,055,000 (1,055,000) (−) 375,660 (−) (71,239) 1,430,660 1,477,857 1,055,000 (1,055,000) (−) 369,434 (−) (69,364) 1,424,434 1,457,635 ― (−) (−) 6,226 (−) (1,875) 6,226 20,221 100 (100) (−) 101.7 (−) (102.7) 100.4 101.4 平成27年度 平成26年度 ― 前年度 対比 % 第3 指 摘 事 項 1 貯蔵品の有効利用について ビューローにおいて貯蔵品として計上されているテレホンカード(平成27年度 末残高 1,361,500円)が長期間使用されず保管されていた。 ビューローにあっては、有効に利用することを検討されたい。 2 賞与引当金の計上について 財団法人の会計については、発生が当期以前の事象に起因し、将来の特定の費 用又は損失であり、発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることがで きる場合には、引当金を計上しなければならない。 ビューローの会計処理について確認したところ、賞与引当金が計上されていな かった。 ビューローにあっては、期末手当及び勤勉手当に係る社会保険料事業主負担分 の計上を含め、金額を合理的に見積もり賞与引当金を計上されたい。 3 募金に係る現金の管理について オアシス21 iセンターにおいて、名古屋城本丸御殿復元工事に対する募金が実 施されている。 当該募金に係る現金の管理状況を確認したところ、両替に利用されるなど一部 に不適切な事例が見受けられた。 ビューローにあっては、本市と協議のうえ、当該募金に係る現金の管理方法の 改善を図られたい。 (意 見) 平成26年 3月に策定された経営戦略計画(改定版)(計画期間:平成23年度か ら平成28年度)において、目的とターゲットを明確にし、有効な事業に資金と人 材を投入する「選択と集中」の経営に努めることが戦略目標の一つとされている。 この目標に対する成果指標として、国際会議開催件数、外国人市内宿泊者数等に 加え、観光案内所の来訪者数が掲げられている。 観光案内所の来訪者数の実績についてみてみると、第 5表のとおり、平成24年 度以降の推移については増加しているものの、平成23年度から平成27年度までい ずれも目標を下回っている。この理由としては、最近の外国人旅行者の増加に伴 い、邦人旅行者に比べ 1人当たりの対応時間が長くなる傾向にある外国人来訪者 数が増加していることが影響していると思料されるとのことであった。こうした 状況を受けて、ビューローにおいては、観光案内所の役割についての議論が既に されており、その内容は、旅行客の中で困っている人等への支援を行うことが本 来の役割であることから、外国人来訪者への対応を明確に打ち出すとともに、成 果指標について、単に来訪者数の増加を図るということではなく、対応時間が長 くなる傾向にある外国人来訪者が増加していることを考慮にいれ設定すべきでは ないかというものであった。 ビューローにあっては、このような議論を踏まえ、今後の計画策定にあたり、 外国人来訪者向けサービスの提供に関する指標の設定や外国人来訪者数を別途成 果指標として設定するなど、より望ましい成果指標が設定されるよう検討された い。 ところで、平成28年度には名古屋の魅力向上や観光等の国内外の交流を促進す るため観光文化交流局が設置された一方で、平成28年 7月に公表された都市ブラ ンド・イメージ調査では、名古屋は東京23区、京都市、大阪市等 7都市と比べて 訪問したいという意向が最も低いという結果となっている。ビューローにあって は、新局が設置されたことを踏まえた団体の位置付けや団体の役割について整理 し明確にするとともに、新局と連携を図りながら名古屋の観光を推進するための 積極的な事業展開に努められたい。 第 5表 観光案内所への来訪者数 区 分 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 千人 千人 千人 千人 千人 850 870 890 890 950 実 績 812 767 838 849 859 (うち外国人) (41) (53) (69) (97) (118) 目 標 (観光文化交流局関係分) 第1 監査結果の概要 ビューローに対する監査に併せて、地方自治法第 199条第 5項の規定に基づき、 観光文化交流局所管の財務に関する事務のうち、ビューローに対する事務の執行 について監査を実施した。 監査の結果、以下のとおり一部に不適切な事例が見受けられた。今後の事務執 行にあたっては、これらの点に留意するとともに、必要な措置を講じられたい。 また、措置を講じた場合は、その旨を通知されたい。 第2 指 摘 事 項 募金に係る現金の管理について オアシス21 iセンターにおいて、名古屋城本丸御殿復元工事に対する募金が実 施されている。 当該募金に係る現金の管理状況を確認したところ、当該募金の回収は年に一度 程度行われるのみであった。 観光文化交流局にあっては、回収の方法や頻度について具体的に定めるよう検 討されたい。 (名古屋城総合事務所)
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