高千穂町公共施設等総合管理計画 (素案) 平成 29 年 2 月 高千穂町

高千穂町公共施設等総合管理計画
(素案)
平成 29 年 2 月
高千穂町
目 次
§1.公共施設等総合管理計画作成の背景 .................................................................................... 1
1. 背景 ........................................................................................................................................1
2. 計画の位置づけ .......................................................................................................................2
3. 計画期間 .................................................................................................................................2
§2.高千穂町の概況 ................................................................................................................. 3
1. 高千穂町の概要.......................................................................................................................3
2. 高千穂町の人口.......................................................................................................................5
3. 高千穂町の財政.....................................................................................................................12
§3.公共施設の状況 ............................................................................................................... 20
1. 公共施設の分類.....................................................................................................................20
2. 対象施設の配置状況等の整理 ................................................................................................21
3. 公共施設の将来更新費用の推計 ............................................................................................29
4. 土木インフラの現状と将来更新費用の推計 ..............................................................................30
§4.公共施設等の管理に関する基本的な方針 ............................................................................ 32
1. 公共施設の課題.....................................................................................................................32
2. 基本方針のまとめ ..................................................................................................................33
3. 縮減目標 ............................................................................................................................... 34
4. 公共施設等の維持管理方針 ...................................................................................................35
5. 施設の類型別の課題と方針 ....................................................................................................42
6. インフラ系施設に関する類型ごとの基本方針 ............................................................................63
§5.個別計画策定に向けて ...................................................................................................... 64
1. 施設類型ごとの管理に関する基本的な方針について ................................................................64
2. 保有施設の再分類 .................................................................................................................64
3. 保有施設の簡易評価..............................................................................................................67
4. 簡易評価から見た配置状況 ....................................................................................................70
5. 公共施設のファシリティマネジメント計画の流れ ........................................................................72
§6.保全の方針及び長寿命化の推進 ........................................................................................ 75
1. 推進体制 ............................................................................................................................... 75
1.背景
わが国においては、高度経済成長期から急激な人口増加と社会変化により、公共施設の整備が
進められてきた。それら公共施設の建築年数が 30 年以上経過し、建物の老朽化等が進み、大規
模改修や修繕、建替えが必要となっている。一方で、近年のわが国の経済状況は低迷しており、財
政は危機的状況となっている上に、少子高齢化に伴う社会保障関係経費の増加、生産年齢人口の
減少に伴う税収の減少等、将来の財政状況は極めて厳しい状況にある。
一方、地方公共団体においては、少子・高齢社会の進展、高度情報化時代の到来など社会経済
情勢が急速に変化をしていく中で、高度化・多様化する住民ニーズに対応し、住民が満足する行政
サービスを提供していくことが求められており、そのために財政基盤の充実が大きな課題となってい
る。
高千穂町(以下「本町」という。)では、公共施設等のうち建物施設については、高度経済成長期
の人口増加と社会変化に伴い、住民生活の基盤として公共サービスの提供を行ってきた。本町で
は、1970 年代初頭から 1980 年代にかけて徐々に公共施設を整備してきたが、現在では全体の 4
割近い建物施設が、1981 年(昭和 56 年)以前の旧耐震基準による設計のものとなっている。これら
建物施設は、耐震性能不足で耐震改修が必要なものや、老朽化に対する大規模改修や建替え等
の更新が必要となるものが多くあり、すぐにその時期を迎えることになる。
しかしながら、本町では人口減少と少子高齢化が進行中であり、40 年先には人口が半減すると
予想されており、税収の減少と社会保障関係経費の増加が見込まれることから、公共施設等の維
持や更新等に必要な財源の確保は、より一層困難なものとなってくる。
本町は、これらの公共施設等を取り巻く現状と課題を踏まえ、本町の公共施設の適正配置と有
効活用の方向性を明確にし、今後の公共施設のあり方についての基本方針を示すことを目的とし
て「高千穂町公共施設等総合管理計画」を策定する。
1
2.計画の位置づけ
本計画は、本町の上位計画である「第 5 次高千穂町総合長期計画」を下支えする計画であり、
本町の行政改革等と連動して、各政策分野の中で公共施設面の取り組みに対して横断的な指針
を提示するものである。また、個別の施設を対象として策定されている「高千穂町公営住宅長寿
命化計画」「高千穂町橋梁長寿命化修繕計画」等の公共施設計画については、本計画を上位計
画と位置づけ、本計画の方針との整合性や計画自体の実現可能性を検証することとする。
第 5 次高千穂町総合長期計画
インフラ長寿命化計画
国土強靭化基本計画
高千穂町公共施設等総合管理計画
高千穂町公営住宅長寿命化計画
高千穂町橋梁長寿命化修繕計画
図 計画の位置づけ
3.計画期間
公共施設等の寿命は数十年に及ぶため、中長期的な視点が不可欠である。そのため、公共施
設等の管理方針を策定するにあたっては、「高千穂町人口ビジョン」の将来人口推計で示されてい
る「40 年間」を計画期間とする。
また当初 10 年間においては、必要に応じて各所管課において施設の類型に応じた個別計画を
策定することが重要である。
なお、計画のローリングについては、概ね 10 年ごとに見直しを行うことを基本とし、上位関連計画
や社会情勢の大きな変化、また歳入歳出の状況や制度の変更など、試算の前提条件における変
更が生じた場合においても適宜見直しを行うものとする。
2
1.高千穂町の概要
(1) 位置と地勢
本町は九州山地のほぼ中央部、宮崎県の最北端に位置し、町の中心部を五ヶ瀬川が西北か
ら南東にかけて貫流し、途中、名勝天然記念物高千穂峡が神秘的かつ雄大な自然を創出してい
る。
気候は、平地の標高が約 300m以上で夏・冬の気温差が大きく、四季の変化に富んだ自然環
境が春の新緑、秋の紅葉となって観光資源の一環を成している。
高千穂の起源は古く、古代遺跡の発掘や多くの出土品等の遺物により、紀元前 4000 年頃から
集落が作られたと推定される。一方、天の岩戸開きや天孫降臨などの神話の里としても知られて
いる。
写真出典:高千穂キャラバン(町HP)
(2) 沿革
1889 年(明治 22 年)5 月 1 日の戸長制廃止・町村制施行に伴い三田井、押方、向山の旧 3 村
が合併し高千穂村となる。その他、岩戸、山裏(上岩戸+見立地区)の旧 2 村で岩戸村、五ケ所、
河内、田原の旧 3 村で田原村、上野、下野の旧 2 村で上野村となる。
1920 年(大正 9 年)4 月 1 日 町制施行に伴い高千穂村が高千穂町となる。
1956 年(昭和 31 年)9 月 30 日 町村合併促進法(1954 年公布)に伴い高千穂町・田原村・岩
戸村が対等合併し、新町制による高千穂町が誕生。この際、岩戸村(旧山裏村)見立地区のみ隣
の日之影町に分離編入。
1969 年(昭和 44 年)4 月 1 日 上野村を編入し、現在の高千穂町の形となる。
3
(3) 土地利用現況
本町の総面積は 23,754ha で、宮崎県全体(773,531ha)の 3.07%を占め、8 割半ばが林野面積
となっている。
表 土地面積の現況
林野面積(ha)
総面積(k㎡)
(H27.10.1)
237.54
(H22.1.1)
構成比
20,452
耕地面積(ha)
国有林面積
(H22.1.1)
86.2
構成比
3,103
(H27.7.15)
15.2
宅地面積(ha)
構成比
1,970
(H27.1.1)
8.3
可住地面積(ha)
構成比
435.3
(H25.10.1)
1.8
構成比
3,280
13.8
※構成比は、国有林面積は林野面積、それ以外は総面積に対するものであり、総面積は各項目の年次に合わせたもの。
出典:みやざきの市町村(平成 28 年 4 月)「市町村の概要」(県HP)
(4) 道路・交通状況
本町には高速道路がなく、熊本県に通じる国道 218 号・国道 325 号が整備されている。
そのため、県都である宮崎市へは直通する交通機関もないため、片道 2 時間以上かかる。一
方、熊本市へは国道の通行が容易で、約 1 時間半程度で到達できる。
市町村道は、実延長 370.991km、改良率 23.0%、舗装率 87.1%となっている。
公共交通機関としては、本町には鉄道がなく、町内一般路線及び高千穂町発着の高速バス・
特急バス等を運行する宮崎交通と、町が主体のコミュニティバス「ふれあいバス」がある。
表 道路の現況
区分
項目
道路 ※1
市町村道
農林道 ※2
実延長(m)
370.991
改良率(%)
23.0
舗装率(%)
87.1
農道
延長(m)
18,276
林道
延長(m)
139,134
※1:H28.4.1現在 ※2:H27.3.31現在
出典:みやざきの市町村(平成 28 年 4 月)「市町村の概要」(県HP)
4
2.高千穂町の人口
(1) 人口と世帯数の推移
本町の人口は減少傾向にあり、平成 27 年国勢調査における人口は 12,755 人となっている。
世帯数も減少傾向にあり、平成 27 年国勢調査では 4,678 世帯となっている。
世帯当たり人員は、昭和 60 年では 3.63 人/世帯だったが、平成 27 年国勢調査では 2.73 人
/世帯まで減少している
図
人口・世帯数の推移
出典:各年国勢調査
5
(2) 地域別の人口
国勢調査の大字ごとの平成 28 年の人口をみると、人口が最も多い地域は三田井地域、人口
が最も少ない地域は五ヶ所地域である。
平成 17 年と比べると、どの地域も人口が減少している。
表 地域別人口
大字名
三田井
押方
向山
岩戸
上岩戸
田原
河内
五ヶ所
上野
下野
合計
H17
5,793
1,721
636
2,389
374
623
801
293
1,537
611
14,778
H22
5,501
1,559
552
2,235
306
686
598
270
1,450
566
13,723
H28
5,451
1,195
489
2,104
287
594
585
243
1,328
589
12,865
H28-H17
▲ 342
▲ 526
▲ 285
▲ 87
▲ 29
▲ 50
▲ 209
▲ 147
▲ 216
▲ 22 ▲ 1,913
(人)
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
H17
1,000
H22
H28
0
三田井 押方
向山
岩戸 上岩戸 田原
図
河内 五ヶ所 上野
下野
地域別人口の推移
出典:H17、H22 は国勢調査
H28 は住民基本台帳人口(H28.5.1 現在、町HP)
6
(3) 年齢別人口の推移
平成 27 年における本町の年齢区分別人口は、15 歳未満が 1,517 人(11.9%)、15~64 歳が
6,288 人(49.3%)、65 歳以上が 4,947 人(38.8%)である。
年齢区分別の割合でみると、65 歳以上人口の割合が年々増加し、平成 7 年には 15 歳未満人
口比を上回り、少子高齢社会に突入し、平成 27 年では 3 人に 1 人が高齢者となった。
また、宮崎県全体と比較すると 65 歳以上人口の割合が 9.6%高い一方、15 歳未満の割合が
1.7%低い状況である。
表
年齢区分別人口の推移
総人口
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
平成27年
宮崎県 平成27年
19,170
18,093
16,780
15,843
14,778
13,723
12,755
1,104,069
図
15歳未満 15~64歳 65歳以上
4,274
12,090
2,806
3,724
11,068
3,301
2,927
9,793
4,060
2,331
8,881
4,631
1,925
8,023
4,830
1,739
7,236
4,746
1,517
6,288
4,947
149,608
622,544
322,975
不詳
0
0
0
0
0
2
3
8,942
年齢区分別人口割合の推移
出典:各年国勢調査
7
(4) 地域別の年齢別人口の推移
国勢調査の小地域における平成 22 年の年齢別人口の割合をみると、最も高齢化率が高いの
は河内地域で 4 割半ば、最も高齢化率が低いのは三田井地域で 2 割半ばとなっている。
全 10 地域のうち 6 地域が 4 割以上を占めており、町全体で高齢化が進行している。
0%
20%
三田井
押方
向山
岩戸
上岩戸
田原
河内
40%
41.3%
45.5%
8.4%
10.2%
38.2%
46.2%
12.5%
下野
34.7%
56.5%
5.2%
11.0%
42.9%
52.7%
12.6%
上野
43.6%
50.4%
6.7%
46.2%
49.6%
40.0%
46.6%
42.3%
53.9%
15歳未満
図
100%
26.4%
47.1%
9.2%
10.4%
80%
57.6%
16.0%
五ヶ所
60%
35.9%
15~64歳
65歳以上
地域別の年齢区分別人口割合(H22)
出典:H22 年国勢調査
8
(5) 将来人口
本町では、平成 27 年に「高千穂町人口ビジョン」おいて本町の将来人口の予測をしている。
毎年 200 人を超えるペースで人口減少が進んでいる状況から、その傾向に歯止めを掛けるた
め、「高千穂町まち・ひと・しごと創成総合戦略」に基づいた人口の増減に特に関連の深い項目に
ついて下記 4 パターンの仮定値を定め、長期的な視点での将来人口推計を行っている。
【パターン毎の前提条件】
○パターン 1
・合計特殊出生率は現行の 1.9 のまま推移し、若年層の人口流出も抑制できない場合
○パターン 2
・合計特殊出生率が段階的に 2.3 まで上昇するものの、若年層の人口流出は抑制できない
場合
○パターン 3
・合計特殊出生率が段階的に 2.3 まで上昇し、若年層の人口流出を段階的に 30%抑制でき
る場合
○パターン 4
・パターン 3 に加え、今後UJIターン者が段階的に年間 12 世帯(20~40 代夫婦+子供 2 名
の家庭が 8 世帯、リタイア世代夫婦4世帯)に増加、若年層の単身者が段階的に年間 10
人に増加するとした場合
2060 年時点での人口推計値を、それぞれのパターンで 3,981 人、4,150 人、5,102 人及び 6,847
人としている。
図
将来人口の推移
出典:「高千穂町人口ビジョン」
9
一方で、国立社会保障・人口問題研究所による本町の将来人口の予測では、今後も減少が続
き、平成 52 年には 8,410 人と予測されている。
また、年齢区分別の割合をみると、65 歳以上の割合の増加が続き、平成 52 年における 65 歳
以上の人口は平成 22 年の約 1.3 倍に増え、その時点の 15 歳未満人口の割合の 4 倍になると
予測されている。
図
図
将来人口の推移
年齢区分別将来人口の割合
出典:平成 27 年以前データ国勢調査
年齢不詳は含まない
平成 32 年以降データは国立社会保障・人口問題研究所
10
(6) 産業別就業者数
本町の産業別就業者数は、平成 2 年以降減少しており、平成 22 年で 7,097 人となっている。
平成 22 年の産業別内訳では、第 3 次産業が最も多く 5 割半ばを占め、次いで第 1 次産業が
3 割弱となっている。
産業大分類別就業者数では、第 1 次産業の「農業」が最も高い割合を占め、次いで第 3 次産
業の「卸売業、小売業」、「医療、福祉」の順となっている。
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
(人)
H2
36.3%
19.1%
8,884人
44.6%
0.0%
H7
32.3%
H12
30.0%
H17
29.4%
21.4%
8,455人
46.3%
22.3%
7,964人
47.7%
20.2%
50.4%
7,637人
0.0%
H22
28.4%
16.5%
第2次産業
7,097人
55.0%
H22
第1次産業
第2次産業
第3次産業
分類不能
合計
就業者数
(人)
2,017
1,172
3,901
7
7,097
第3次産業
分類不能
0.1%
図
第1次産業
産業別就業者数の推移
公務(他に分類され
るものを除く), 318
割合
28.4%
16.5%
55.0%
0.1%
100.0%
サービス業(他に分類
されないもの), 265
分類不能の産業, 7
複合サービス事業,
171
農業, 1,921
医療,福祉, 843
教育,学習支援業,
280
凡例
第1次産業
第2次産業
第3次産業
分類不能
林業, 95
生活関連サービス
業,娯楽業, 179
漁業, 1
建設業, 790
宿泊業,飲食サービ
ス業, 486
学術研究,専門・技
術サービス業, 98
卸売業,小売業
900
製造業, 377
不動産業,物品賃貸
業, 53
金融業,保険業, 72
運輸業,郵便業, 205
図
鉱業,採石業,砂利
採取業, 5
電気・ガス・熱供
給・水道業, 16
情報通信業, 15
産業別就業者数の割合(H22)
出典:各年国勢調査
11
3.高千穂町の財政
(1) 平成 27 年度決算状況
平成 27 年度の本町の一般会計の決算総額は、歳入決算額 83 億 5,232 万円、歳出決算額
82 億 2,721 万円で、差引 1 億 2,511 万円の黒字となり、今年度への繰越財源 6,447 万円を除く
と、実質収支が 6,065 万円となった。
表
平成 27 年度決算
単位:千円
会計区分
歳入
歳出
計
8,352,324
8,227,211
125,113
国 民 健 康 保 険 特 別 会 計
2,152,530
2,150,109
2,421
2,421
簡 易 水 道 事 業 特 別 会 計
65,623
47,987
17,636
17,636
収 益 的 収 支
155,961
140,522
15,439
15,439
資 本 的 収 支
925
35,809
△ 34,884
△ 34,884
収 益 的 収 支
2,061,771
2,091,900
△ 30,129
△ 30,129
資 本 的 収 支
3,700
218,041
△ 214,341
△ 214,341
下 水 道 事 業 特 別 会 計
203,913
193,423
10,490
西臼杵介護認定審査会特別会計
8,715
7,970
745
745
勘 定
1,350,779
1,262,049
88,730
88,730
サービス 勘定
53,773
52,160
1,613
1,613
後 期 高 齢 者 医 療 会 計
166,280
166,218
62
62
一
般
上
事
業
道
会 計
国
事
保
業
病 院
会 計
介
特
水
護
別
保 険
会 計
会
事
業
収支
繰越財源
64,467
1,031
実質収支
60,646
9,459
出典:町広報「高千穂」
12
(2) 歳入(一般会計)の内訳
平成 27 年度決算の歳入額は 83 億 5,232 万円であり、前年度と比較すると 1 億 1,402 万円減
少している。
自主財源では「町税」が 11.9%、依存財源では「地方交付税」が 44.2%と最も割合が大きい。
図
表
区分
款
町税
自
主
財産収入
財
源
使用料及び手数料、諸収入他
譲与税、交付金
H27 年度歳入(一般会計)の内訳
歳入(一般会計)の内訳
H27年度
決算額
構成比
993,826
230,085
単位:千円、%
H26年度
決算額
構成比
997,917
23.1%
216,794
増減額
△ 4,091
24.8%
13,291
708,334
885,348
△ 177,014
363,754
246,632
117,122
506,679
583,169
△ 76,490
町債
依
存
国庫支出金
財
源
県支出金
898,802
961,860
1,024,775
△ 62,915
地方交付税
3,688,984
3,654,325
34,659
合 計
8,352,324
76.9%
100.0%
857,388
8,466,348
75.2%
100.0%
41,414
△ 114,024
資料:町広報「高千穂」
13
平成 18 年度以降の歳入の推移をみると、町税は平成 18 年度以降 10 億前後で推移している。
将来的に人口が減少していくと推計されているため、生産年齢人口の割合も同時に減少すると
見込まれ、町税が減少していくことは避けられないと考えられる。
図
図
歳入(一般会計)の推移
歳入(一般会計)の割合
資料:H18~H21 総務省決算カード
H22~H27 町広報「高千穂」
14
(3) 歳出(一般会計)の内訳
平成 27 年度決算の歳出額は、82 億 2,721 万円で、前年度と比較すると 1 億 1,380 万円減少
している。
消費的経費では「補助費等」(17.0%)、投資的経費では「普通建設事業費」(15.3%)、その他
経費では「繰出金」(9.7%)の割合が大きい。
図
H27 年度歳出(一般会計)の内訳
表
区分
款
物件費
消 人件費
費
的 補助費等
経
費 扶助費
歳出(一般会計)の内訳
H26年度
決算額
構成比
1,391,873
1,349,308
42,565
1,236,913
1,302,139
△ 65,226
1,401,196
維持補修費
投
経 普通建設事業費
資
費
的 災害復旧事業費
公債費
そ 繰出金
の
他 出資金、貸付金等
積立金
合計
単位:千円、%
H27年度
決算額
構成比
63.7%
1,165,126
59.6%
増減額
236,070
1,154,988
1,092,556
62,432
53,236
59,514
△ 6,278
1,259,940
1,486,171
△ 226,231
19.5%
15.9%
47,499
136,908
△ 89,409
776,776
831,943
△ 55,167
794,812
797,907
20.4%
△ 3,095
21.0%
63,023
64,943
△ 1,920
46,955
54,491
△ 7,536
8,227,211
100.0%
8,341,006
100.0%
△ 113,795
資料:町広報「高千穂」
15
平成 18 年度以降の歳出の推移をみると、扶助費の割合が年々増加している。
将来的に人口減少、高齢化の進展に伴い、扶助費等の増加に加え、後期高齢者医療費や介
護険等の負担が増大していくことが考えられる。
図
図
歳出(一般会計)の推移
歳出(一般会計)の割合
資料:H18~H21 総務省決算カード
H22~H27 町広報「高千穂」
16
(4) 公共施設の整備や管理運営に関する経費
公共施設の整備や管理運営に関する経費として、投資的経費、維持補修費、公債費がある。
各経費の推移をみると、投資的経費は平成 22 年度が最も高く、災害復旧事業費を除いた普通
建設事業費で比べても最も高い。主な要因は、光ケーブル整備事業等によるものとなっている。
過去 10 年間の普通建設事業費の平均は約 17.1 億円となっている。
維持管理費は増加傾向、公債費は平成 20 年度まで増加していたが、平成 21 年度以降は減
少傾向を示している。
図
投資的経費の推移
図
維持補修費の推移
図 公債費の推移
17
また本町では、長期財政シミュレーション(H27~H40)を作成している。その中で普通建設事業
費を以下のように推計している。これによると普通建設事業費は平成 37 年以降、大よそ 10 億円
程度で推移する。
図
高千穂長期財政シミュレーション 普通建設費予測
出典:長期財政シミュレーション
18
(5) 職員数
本町の職員数は 300 人前後を横ばいに推移しており、近年では減少傾向で、平成 27 年では
278 人となっている。
職種別でみても、どの職種の職員数も大きな変化は見られない。
議会
総務企画
税務
衛生
労働
農林水産
普通会計部門
民生
商工
土木
教育
病院
水道
その他
図
公営企業等
会計部門
消防
職員数の推移
議会
総務企画
税務
衛生
労働
農林水産
普通会計部門
民生
商工
土木
教育
病院
水道
その他
図
職員数の割合の推移
出典:高千穂町の給与・定員管理等について(各年 4 月 1 日現在、町 HP)
19
公営企業等
会計部門
消防
1.公共施設の分類
町が保有する全施設を、総務省更新プログラムで定義された大分類のうち、町の施設の実情に
合せ、11 項目に分類した。
大分類
町民文化系施設
スポーツ・
レクリエーション系施設
学校教育系施設
子育て支援施設
保健・福祉施設
医療施設
行政系施設
公営住宅
公園
その他
下水道施設
表 施設項目一覧表
中分類
施設名称例
町民ホール
集会施設
コミュニティセンター
公民館
文化施設
町民会館
町民体育館
町民プール
武道館
スポーツ施設
グラウンド
テニスコート
キャンプ場
レクリエーション施設・
少年自然の家
観光施設
観光センター
保養施設
保養施設
小学校
学校
中学校
総合教育センター
その他教育施設
給食センター
幼稚園、保育所
幼保・こども園
こども園
児童館・児童センター、こどもの家
幼児・児童施設
子育て支援センター
放課後児童クラブ、児童会
老人福祉センター
デイサービスセンター
高齢福祉施設
老人憩いの家
保健施設
保健会館
その他社会保険施設
福祉会館
医療施設
町民病院・診療所
庁舎等
町庁舎
消防施設
消防施設
公営住宅
公営住宅
公園
管理棟・倉庫、便所
駐車場、駐輪場、公衆便所
その他
職員住宅、寮等
上記大分類以外、普通財産等
下水道施設
浄化センター等
※総務省更新プログラム
総務省が公共建築物総合管理計画策定のための補助プログラムとして公開しているソフトウェア
20
2.対象施設の配置状況等の整理
本計画における公共施設(建築物)は以下の表の通りである。施設は全 101 施設、総延床面積
94,254 ㎡となる。
表 高千穂町公共施設一覧
番号
代表
建築年
施設名
延床面積
(㎡)
小計
(㎡)
町民文化系施設
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
上野公民館
1969
高千穂町立中央公民館
1972
岩戸公民館
1975
高千穂町基幹集落センター
1978
高千穂町コミュニティセンター
1986
スポーツ・レクリエーション系施設
上野プール
1966
高千穂町立上野体育館
1969
高千穂町立中央体育館
1973
高千穂町自然休養村管理センター
1978
親父山キャンプ場
1978
二上山展望台
1988
天岩戸駐車場トイレ
1989
高千穂町林業者等健康増進用建物(押方体育館)
1991
高千穂町武道館
1991
四季見原すこやかの森キャンプ場
1992
天岩戸温泉
1994
天岩戸観光トイレ
1995
高千穂温泉
1996
高千穂町いきいき温水プールすこやか館
1996
高千穂町農林水産物直売・食材供給施設
2003
(道の駅高千穂)
高千穂のムラ市場(がまだせ市場)
2010
高千穂町折原グラウンド
2014
学校教育系施設
田原中学校
1962
田原小学校
1969
岩戸中学校
1974
高千穂中学校
1978
旧上野小学校
1987
岩戸小学校
1988
押方小学校
1999
上野小中学校
2007
高千穂小学校
2013
子育て支援施設
田原保育園
1977
田原小児童クラブ
1979
天岩戸保育園
1979
旧商工観光会館(福祉利用)
不明
21
720.0
802.0
420.0
420.0
1,016.0
40.0
1,310.0
1,920.0
1,036.0
106.0
19.0
24.0
648.0
5,373.0
448.9
339.8
16.7
2,833.2
1,301.5
3,378
16,552
352.0
703.2
80.2
2,291.0
2,216.0
3,228.0
4,544.0
680.0
2,831.0
3,390.0
4,169.0
5,480.0
28,829
313.0
271.0
651.4
335.5
1,571
番号
代表
建築年
施設名
延床面積
(㎡)
小計
(㎡)
保健・福祉施設
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
老人福祉館
高千穂町国民健康保険保健福祉総合センター
(新)養護老人ホームときわ園
医療施設
平和町医師住宅(1 号)
田原歯科診療所
医師住宅
高千穂町国民健康保険病院
九電横医師住宅
九電上医師住宅
医師住宅1号地
田原診療所
行政系施設
本庁舎
消防施設
公営住宅
南平団地
岩戸団地
田口野団地
松の原団地
東松の原団地
旭ヶ丘団地
公園
中央児童遊園地
高千穂町総合公園
御塩井公園
青山墓地公園
北谷登山口公衆便所及び記帳所
国見ヶ丘公園
その他
河内団地
田口野住宅
五ヶ村教職員住宅
押方住宅
向山南小学校住宅
押方団地教職員住宅
永の内教職員住宅
旧向山中学校
旧五ヶ所小学校
上野小教職員住宅
平和町一般住宅
第二田口野団地
上岩戸小教職員住宅
岩戸小教職員住宅
下永の内教職員住宅
22
1975
1999
2010
727.7
835.0
2,719.7
4,282
1973
1979
1998
1999
2007
2007
2008
不明
84.2
141.3
515.3
8,055.0
410.2
314.4
284.0
580.9
10,385
1981
不明
5,725.9
179.5
5,905
1975
1980
1988
1999
2003
2015
1,599.4
330.1
1,218.6
1,256.9
2,323.4
809.7
7,538
1979
1987
1991
1993
1994
2011
6.2
756.3
409.7
13.8
14.9
63.1
1,264
1951
1957
1966
1968
1969
1971
1971
1971
1971
1999
1972
1973
1973
1973
1974
141.0
116.0
79.0
136.0
120.0
123.0
82.0
723.0
1,432.0
86.1
80.0
244.0
195.0
201.0
80.5
13,868
番号
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
代表
建築年
1978
1979
1981
1981
1983
1984
1980
1987
1991
1991
1992
1995
1997
1998
1998
2000
1993
2004
2007
2012
2013
不明
不明
不明
不明
施設名
河内教職員住宅
田原中教職員住宅
雲海茶屋(国見ヶ丘)
旧向山南小学校
曙団地
旧向山北小学校
笹の戸一般住宅
旧上岩戸小学校
高千穂小教職員住宅
下押方観光駐車場
田原小教職員住宅
田口野一般住宅
岩戸中教職員住宅
高千穂大橋事務所
青葉ハイツ
押方小教職員住宅
旧法務局
高千穂中教職員住宅
上岩戸大橋横トイレ
九州自然歩道高千穂神社トイレ
上野中教職員住宅
TR跡地
河内第6分団消防車庫跡
旧町立病院跡地
日本たばこ産業跡地
延床面積
(㎡)
273.0
169.0
184.5
1,295.2
117.0
1,407.6
99.5
1,478.9
139.0
24.1
148.3
74.7
79.0
181.7
996.3
179.0
763.2
151.0
8.1
30.0
154.7
576.2
40.0
1,135.8
323.8
小計
(㎡)
下水道施設
101
高千穂浄化センター
2001
23
682.0
682
合計 94,254 ㎡
本町が保有する公共施設総延床面 94,254m2 である。その結果、下表や次頁で示すように、棟数
及び延床面積では他自治体と同様に「学校教育系施設」が多いことが分かる。施設数では「その他」
が多くなっている。また人口 12,755 人(平成 27 年国勢調査結果)で換算すると人口一人当たりの床
面積は、7.39 ㎡/人となり、国の平均 3.75 ㎡/人及び宮崎県の 5.00 ㎡/人を上回っている。
表 分類別公共施設集計表
番号
施設項目
施設数
棟数
延床面積
延床割合
5
5
3,378
3.6%
17
24
16,552
17.6%
学校教育系施設
9
81
28,829
30.6%
4
子育て支援施設
4
4
1,571
1.7%
5
保健・福祉施設
3
4
4,282
4.5%
6
医療施設
8
15
10,385
11.0%
7
行政系施設
2
4
5,905
6.3%
8
公営住宅
6
22
7,538
8.0%
9
公園
6
16
1,264
1.3%
10
その他
40
86
13,868
14.7%
11
下水道施設
1
1
682
0.7%
101
262
94,254
100.0%
1
町民文化系施設
2
スポーツ・レクリエーション系施設
3
合計
全国自治体平均:3.75 ㎡/人
図
宮崎県内自治体平均:5.00 ㎡/人
左:全国の自治体別の施設量(延床面積)と総人口の関係
右:県内自治体別の施設量(延床面積)と人口の関係
24
図 分類別公共施設 割合グラフ
次図は、本町が保有する公共施設の建設年別に延床面積を積み上げたものである。本町では
1960 年頃から学校教育系施設等を中心に施設の整備が緩やかに始められ、1980 年以降もほぼ毎
年整備されている。町の規模から考察すると施設の延床面積は少し多い傾向が見られる。また耐
震性能に劣る 1981 年以前に建設された(いわゆる旧耐震設計)施設が 3 割程度とある。その中で、
学校教育系施設が占める割合が高いことが見受けられるが、小学校・中学校の必要な施設につい
ての耐震性の改善は対応済みである。
一般的に建築後 30 年程度を経過すると、大規模改修等や建替えの検討が必要となる施設が増
え、多くの整備費用が必要になる時期を迎える。本町では 4 割程度の施設が築 30 年以上に該当す
るが、既に規模改修を実施した施設、公営住宅に関しては長寿命化計画に沿って補修工事等を実
施している施設もある。逆に建設以来全く手を加えていない施設もある。それらについては整備を
早急に検討する必要がある。整備費用も多大になるため、適切な施設マネジメントが必要となる。
25
旧耐震基準(1981 年以前)
新耐震基準(1982 年以降)
36.078 ㎡ 38.3%
58,176 ㎡ 61.7%
㎡
築 30 年未満 55,210 ㎡ 58.6%
築 30 年以上 39,044 ㎡ 41.4%
図 公共施設年度別整備延床面積
大分類
表 整備年別集計表
築 20 年以上
築 30 年
~
以上
30 年未満
築 20 年未満
合計
町民文化系施設
3,378
0
0
3,378
スポーツ・レクリエーション系施設
4,429
10,988
1,135
16,552
学校教育系施設
12,062
2,979
13,788
28,829
子育て支援施設
1,571
0
0
1,571
保健・福祉施設
495
233
3,554
4,282
医療施設
806
0
9,579
10,385
行政系施設
5,805
100
0
5,905
公営住宅
1,929
1,219
4,390
7,538
161
1,024
79
1,264
8,408
3,485
1,975
13,868
0
0
682
682
39,044
(41.4%)
20,028
(21.3%)
35,182
(37.3%)
94,254
公園
その他
下水道施設
合計
※建築年不明の施設は築 30 年以上として計上
26
施設は構成される躯体の構造によって、耐用年数が違っており、一般的には、鉄筋コンクリート
造(RC)が最も長い。本町の公共施設を構造別に分類すると、鉄筋コンクリート造(RC)が最も多く 6 割
を占め、次いで鉄骨造(S)の 2 割強となっている。耐用年数の長い構造の施設については、長寿命
化などにより長く使って行くことも、更新費用縮減の手法となる。一方で耐用年数が短い構造の施
設については、築年数が多くなっているものは、安全性の確認のもと、その使用期限の設定が重要
となる。構造別建設年別延べ床面積の割合をみると、鉄骨造(S)は築 30 年以上経過している施設
が 5 割程度あり、コンクリートブロック・その他は、8 割程度ある。
表 構造別延床面積
構造
延床面積
合計
鉄筋コンクリート造(RC)
57,201
60.7%
鉄骨造(S)
19,764
21.0%
木造(W)
10,782
11.4%
コンクリートブロック(CB)・その他
3,529
3.7%
不明
2,978
3.2%
94,254
100.0%
合計
図 構造別延床面積の割合
27
表 大分類別構造別延床面積
大分類
RC
町民文化系施設
S
CB・
その他
W
不明
合計
1,736
1,642
0
0
0
3,378
スポーツ・レクリエーション系施設
13,061
1,055
2,396
40
0
16,552
学校教育系施設
16,923
10,029
1,821
56
0
28,829
子育て支援施設
0
1,258
313
0
0
1,571
保健・福祉施設
1,562
2,720
0
0
0
4,282
医療施設
8,055
581
1,749
0
0
10,385
行政系施設
5,255
471
0
0
179
5,905
公営住宅
4,799
0
810
1,930
0
7,539
112
0
546
606
0
1,264
5,016
2,008
3,147
897
2,799
13,867
682
0
0
0
0
682
57,201
19,764
10,782
3,529
2,978
94,254
公園
その他
下水道施設
合計
W
8,875
6,485
1,937
1,482
0
18,779
築 30 年以上~40 年未満
10,318
4,280
1,242
1,447
2,978
20,265
築 20 年以上~30 年未満
15,737
1,782
1,909
600
0
20,028
築 20 年未満
22,271
7,217
5,694
0
0
35,182
57,201
19,764
10,782
3,529
2,978
94,254
築 40 年以上
合計
RC
CB・
その他
S
構造
図 構造別築年割合
28
不明
合計
3.公共施設の将来更新費用の推計
集計した公共施設の「建築年」、「施設項目」及び「延床面積」に対して下記の通り改修周期等を
考慮した単価により将来更新費用の推計を行った。推計の結果、今後 40 年間の更新費用の推計
総額は 382.2 億円となり、年更新費用の平均は 9.6 億円(更新・大規模改修費のみ。維持費は含ま
ない。)となった。
図 公共施設の将来更新費用推移(公共施設)
表 大規模改修周期
項目
周期
大規模改修周期
建替え更新年
年
改修周期
30
改修期間
2
更新年
60
建替え期間
3
10 既に上記改修周期及び更新年
を過ぎている施設の、大規模改
10 修、建替え時期の目安
大規模改修
先送り期間
備 考
建替え
表 改修費及び建替え費用の目安
施設項目
大規模改修費用
建替え費用
単位
町民文化系施設・社会教育系施設
25
40 万円/㎡
スポーツ・レクリエーション系施設
20
36 万円/㎡
産業系施設
25
40 万円/㎡
学校教育系施設・子育て支援施設
17
33 万円/㎡
保健・福祉施設
20
36 万円/㎡
医療施設・行政系施設
25
40 万円/㎡
公営住宅・公園
17
28 万円/㎡
供給処理施設・その他
20
36 万円/㎡
※上記金額は総務省更新プログラムによる
29
4.土木インフラの現状と将来更新費用の推計
(1) 道路
道路の全面積に対し、今後 40 年間の整備総額は 205.7 億円となる。この結果、年当たりの平
均整備額は 5.1 億円となる。
図 道路総面積による将来の更新費用の推移
(2) 橋梁
更新費用の推算の結果、橋梁の構造別による今後 40 年間の整備総額は 21.4億円となる。こ
の結果、年当たりの平均整備額は 0.5 億円となる。
図 橋梁構造別面積による将来の更新費用の推移
30
道路(町道)は、実延長約 370,991m(面積:1,628,305 m2)あり、その他にも、農道が実延長
18,276m、林道が実延長 139,134m ある。
橋梁は、管理対象橋梁の実延長が、1,719m(面積 7,173 m2)ある。
上水道は、総延長 66,911m の他、簡易水道が 439,392m ある。
下水道は、総延長 41,744m ある。
インフラ
実延長(m)
370,991
道 路
表 主要インフラの状況
総面積(㎡)
備考
1,628,305 道路改良率 23% 管理道照明数 16 基
自転車歩行者道
9,619
22,843
農 道
18,276
118,947
林 道
139,134
橋 梁
1,719
上水道
66,911
- 普及率 99.5% 耐震管整備率 34.9%
下水道
41,744
- 普及率 31.4%
簡易水道
439,392
- 延長のみ
7,173 橋長 15m 以上 111 橋 15m 以下 29 橋
-
上記数量に対して下記の改修周期を考慮した単価により、公園を除くインフラ施設の将来更新
費用の推計を行った。(上水道は特別会計のため推算していない。また公園の更新費用において
トイレ等は施設更新に参入しており、土地の管理は推計の対象外とした。)
表 道路及び橋梁の更新費用の目安
道路更新
更新単価(円/㎡)
更新年数(年)
一般道路
4,700
15
自転車歩行者
2,700
15
橋梁更新
更新単価(千円/㎡)
425
橋 梁
更新年数
60
先送り期間(年)
5
※金額は総務省更新プログラムによる
31
1.公共施設の課題
課題 1:将来人口の減少に対する課題
本町は、近年人口は減少傾向を示しており、全国的に将来的な人口減少が叫ばれる中、本町に
おいても、確実に将来人口が減少することが見込まれるため、その将来的な人口規模に応じた公
共施設のあり方を検討していく必要がある。
課題 2:少子・高齢化の進展に対する課題
平成 27 年国勢調査時点の本町の年齢区分別人口の割合の推移において、65 歳以上の人口の
割合が確実に増加しており、平成 27 年時点では 38.8%と超高齢社会の定義で示される 21.0%を大
きく超えている。
本町が策定した「人口ビジョン」における人口予測によると、2060 年にはもっとも多いパターンで
6,847 人となる。その一方で、生産年齢人口は減少することが予測されており、将来的な人口構造
の大きな変化に応じた公共サービスの内容を見直していく必要がある。
課題 3:財源の減少に対する課題
人口減少と同時に起こる人口構成の大きな変化に伴って、町税の徴収額が影響を受けると同時
に高齢者のための医療・福祉関連経費の増大が避けられず、投資的経費に充てる事ができる財源
に大きな制約が生じることが容易に予測される。
また、公共施設の老朽化の進行による改修や更新が順次発生し、減少する財源に反比例して、
公共施設の維持管理のための費用の増大が見込まれている。
限りある財源の中で必要な公共サービスを維持していくためには、その公共サービスのレベルを
保つために、最低限必要となる施設総量の目標値を定め、総量削減の目標達成のための、施設の
統合や用途廃止等の対応を図る必要がある。
課題4:施設量縮減、除却に関する課題
本町は合併を行っておらず、目に見えた重複余剰施設があるというわけでは無く、除却がそのま
ま住民サービスの低下になる場合も考えられる。施設量縮減に際しては、施設量が縮減されても住
民サービスの水準が下がらないように、施設の統合化等、機能的な施設の整備を図る必要がある。
32
2.基本方針のまとめ
(1) 基本方針
本町が策定した「高千穂町人口ビジョン」において、人口予測を行っているが、本町の総人口
は、平成 27 年国勢調査 12,755 人から、平成 72 年には 3,981~6,847 人となり、最大 5~7 割も減
少すると予測されている。
財政状況も高度経済成長期とは状況が異なり、歳入の増加が見込めない中で、扶助費は依
然として増加傾向にある。
現在、本町が保有する公共施設は、建築後 30 年以上が経過している施設が 4 割程度を占め
ている。これらの施設は大規模な改修や建替えの時期を迎えることになるが、更新費用として、
今後 40 年間で 382.2 億円(年平均約 9.6 億円)が必要と算定されている。また、インフラ施設にお
いて、道路、橋梁の整備だけでも、今後 40 年間で 227.1 億円(年平均約 5.6 億円)が必要と算定
されている。両方を併せると、今後 40 年間で 609.3 億円(年平均約 15.2 億円)必要と算定されて
いる。
しかし、今後財政の歳入は減少していくことは必至で、財政シミュレーションによると、公共施設
に投資する普通建設事業費は、平成 37 年以降は 10 億円程度であると予測している。今後の新
設はもちろん、本町が保有している全ての公共施設を更新・建替えすることは難しく、施設の量や
質をそのまま維持することは困難であるといえる。
町はこれらの現状を踏まえ、公共施設の維持管理のあり方として、以下の方針を掲げる。
【高千穂町公共施設マネジメントの基本方針】
方針 1 公共施設の適正配置と施設総量の縮減を図る
① 公共施設(建築物)の新規整備の抑制
② 既存施設の見直しによる複合化、縮減の検討
方針 2 公共施設の計画的な予防保全等の実施により長寿命化を図る
① 予防保全型の維持補修への転換
方針 3 公共施設の効率的な管理運営を目指す
① 維持管理コストの最適化
33
(2) 方針 1 公共施設の適正配置と施設総量の縮減を図る
① 公共施設(建築物)の新規整備の抑制
・住民の新たなニーズや行政サービス体制の変化に対応する等、新規に公共施設の整備が必
要となった場合は、既存施設や土地の有効活用等を検討し、既存施設の複合化や転用等に
より、有効活用を図ることを検討する。
・公共施設の複合化、転用等の実施が難しい場合に、真に必要な新規整備を行う場合は、ライ
フサイクルコスト等を十分に検討すると共に、財政状況に見合った「施設総量の最適化」を図
りながら、新たな整備に対応する。
② 既存施設の見直しによる複合化、縮減の検討
・利用者が少ない施設や空きスペースが見られる施設については、将来においても有用な施
設であるかを把握した上で、施設機能の移転や施設の統廃合を含めた施設保有のあり方等、
施設の現状を評価・検証し、短期もしくは中長期的な視点により、施設の統廃合、複合化の
可能性を常に検討する。
・老朽化に伴い更新する場合は、施設機能を維持しつつ、周辺施設との複合化や集約化、又
は他施設からの転用等について検討する。
・複合化が難しい施設の更新は、ライフサイクルコストを検討し、必要最小限の規模とする。
・借地上に設置されている施設については、優先的に他施設への統廃合や複合化を進める。
(3) 方針 2 公共施設の計画的な予防保全等の実施により長寿命化を図る
① 予防保全型の維持補修への転換
・改修・更新経費の平準化を行う際には、劣化や損傷等が生じた後に改修等を行う従来の「事
後保全」から異常の兆候を事前に把握・予測して、計画的に改修等する「予防保全」への転
換が有効とされている。
・本町では予防保全の考え方を取り入れることにより、施設の長寿命化及び財政負担の平準
化を図る。その際、ライフサイクルコストの考え方により、改修・更新時の企画、設計段階に
おいて、その後の維持管理コストの最適化を検討する。
・工事の実施に当たっては、財政状況を勘案し、緊急度の高いものから優先順位を付して行う
よう検討する。
(4) 方針 3 公共施設の効率的な管理運営を目指す
① 維持管理コストの最適化
・施設の維持管理費用については、ライフサイクルコストの検討の際に、光熱水費、委託費等
(清掃、警備、保守点検等)の維持管理費の適正化を図り、その縮減を図る。
・日常の管理や、費用縮減についての指針を示した維持管理マニュアルを作成する等、効率的
な施設管理を推進し、運営コストの最適化に取り組む。
3.縮減目標
基本方針における取り組みを実施することより、更新費用を今後 40 年間で 10%圧縮すること
を目標とする。
34
4.公共施設等の維持管理方針
(1) 点検・診断等の実施方針
公共施設の安全確保や、効率的かつ効果的な維持管理・更新等の方向性や整備の優先度を
検討する上で、公共施設等の点検・診断を的確に行うことが重要となる。
施設管理者による日常点検、法令等に基づく定期点検、災害や事故発生時に行う緊急点検の
3 種類の点検結果の一元管理を行い、点検履歴、修繕履歴の蓄積を行うことを目的とするデータ
ベースを構築する。そのデータベースに蓄積した情報を今後の総合管理計画の見直しの際に反
映して、計画の充実を図ると同時に、各施設管理者における維持管理・修繕・更新を含む老朽化
対策に関する情報共有を図る。
(2) 維持管理・修繕・更新等の実施方針
従来からの公共施設等における維持管理・修繕については、施設に不具合が生じてから、修
繕や更新を行う「事後保全型管理」が大部分であり、定期的に取換えや交換・更新を行う「予防保
全型管理」や、点検によりその劣化度や状態を見ながら修繕更新を行う「状態監視保全」は、ほと
んど実施されていない状況にあった。また、所管課毎に公共施設の管理を行っているため、同じ
状況であっても、その対応は異なっていた。
従って、維持管理体制の整備だけでなく、施設の点検等における各施設の状態を把握した上
で、これまでの「事後保全型管理」が中心の維持管理から、点検・診断実施結果から各施設分類
等個々の施設の状況に応じて、「予防保全型管理」「状態監視保全型管理」「事後保全型管理」の
3 つに分類し、財政的、物理的な条件を加味した計画的な維持管理により、各施設の長寿命化と
共に各年度の財政的な負担の平準化を目指す。
点検・診断実施の検討段階においては、その施設の必要性、対策の内容や時期を検討し、社
会情勢や住民の要望等から、その施設に必要性があると判断される場合は、更新等の機会を捉
えながら質的な向上や現在求められる機能への変更、用途変更等を図る。また必要性が無い、
もしくは低いとされたものについては、用途廃止や除却、他施設への複合化や集約を検討してい
くものとする。
公共施設等に関する保全のための情報をデータ化し、データの活用、継続性、統一性、効果
性を高めていき、情報を一元的に管理し、年度により大きく変動する公共施設等の改修や更新に
要する費用を施設の選択と集中、かつ優先順位を定め、各年度の予算の平準化に努め、将来の
施設の維持・更新に活用するほか、社会経済情勢の変化に的確に対応できるよう、適宣計画を
見直し、PDCAサイクルを循環していくものとする。
35
(3) 安全確保の実施方針
日常点検や定期点検により、施設の劣化状況の把握に努める。さらに、災害時に防災拠点や
避難所となる建物系施設もあるため、点検の結果をデータベース化し、危険が認められた施設に
ついては、施設の利用状況や優先度を踏まえた上で計画的な改修、解体、除却の検討を行った
上で速やかに対応する。また、老朽化等により供用廃止された施設や、今後とも利用する見込み
が無い施設については、周辺環境への影響を考慮し、解体、除却する等の対策を講じ、安全性
の確保を図る。
次表は施設の安全性及び耐久性の観点から、それに係る安全確保の項目を抽出したもので、
高い危険性が認められる項目としては、敷地安全性、建物安全性、火災安全性、生活環境安全
性が挙げられ、これらも参考に安全確保の推進を図る。
表 施設の安全確保に係る項目
大項目
評価項目
中項目
地震災害
土砂災害
浸水災害
地盤安定性
敷
地
安 全 性
緊急自動車接近
敷地安全
地盤調査結果
対応策
危険物の種類
保安距離
基礎の安全性
構造安全性
常時床荷重
建設年
耐震診断
建
物 耐震安全性
耐震補強
安 全 性
耐震等級
免震、制震
耐風安全性
耐風等級
対水安全性
浸水対策
対落雷安全性 避雷針
耐火安全性
延焼防止
火
災
避難安全性
避難路確保
安 全 性
消火安全性
消火活動・経路確保
空気質測定
空気質安全性
空気質安全性の確保
水質検査
水質安全性
水質安全性の確保
転倒・転落防止性
傷害・損傷
落下物防止性
防止性
危険物の危険防止性
アスベスト排除
生活環境
有害物質
PCB 排除
安 全 性
排除性
フロン・ハロン対策
CCA対策
日照・通風障害防止性
風害防止性
電波障害性防止性
公害防止性
騒音・振動・悪臭防止性
障害防止性
外構の維持保全
自然災害
回避性
安全性
内 容
小項目
・液状化・活断層・有・無
・警戒区域・特別警戒区域・有・無
・水害危険区域・津波高潮浸水区域・有・無
・地盤沈下・地盤崩壊・湿潤地域の有・無
・道路幅
・軟弱地盤・盛土・埋立地・有 ・無
・消防法危険物(1 類・2 類・3 類)・有・無
・危険物から 50m 以内、200m 以内
・基礎の安全要件の満足度
・許容積載荷重・超過
・1981 年 6 月以前
・Is 値>0.6 /0.6>Is 値>0.3 /0.3>Is 値
・要・不要
・等級
・有・無
・等級
・浸水に対する安全要件の満足度
・落雷に対する安全要件の満足度
・外壁・屋根の防火性能
・避難路確保
・非常用侵入口・窓先空地・防火設備・防火用水確保
・有・無・飛散性・非飛散性のアスベスト排除状況
・ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン放散速
・有・無
・水質安全性の確保に対する安全要件の満足度
・転倒・転落防止に対する安全要件の満足度
・落下物防止に対する安全要件の満足度
・危険物の危険防止に対する安全要件の満足度
・飛散性・非飛散性のアスベスト排除状況(年代・部位)
・トランス・蛍光灯・シーリングから PCB 排除状況(年代・部位)
・冷媒・断熱材からフロン、消火剤からハロン排除状況
・木造土台の CCA・有無
・日照・通風障害防止要件の満足度
・風害防止要件の満足度
・電波障害性防止要件の満足度
・音・振動・悪臭防止要件の満足度
・排気・排熱・排水障害防止要件の満足度
・外構の維持保全要件の満足度
出典:(FM 評価手法・JFMES13 マニュアル(試行版))
36
(4) 長寿命化の実施方針
公共施設の長寿命化と維持管理コストの縮減及び計画的な支出による財政の平準化を目指し、
公共施設の保全に当たっては、従来行ってきた「事後保全型」の維持管理から「予防保全型」の
維持管理に順次移行する。
① 目標耐用年数の設定
建築物は、老朽化による物理的な耐用年数だけではなく、経済的、機能的な観点から建替
えや解体されることがある。それぞれの要因による耐用年数の定義は下表の通りである。
表 耐用年数決定の要因
耐用年数
内容
決定の要因
建物躯体や構成材が経年劣化等自然的原因、物理的あるいは化学的原因に
①物理的要因
より劣化し、要求される限界性能を下回り、建築物滅失する年数。一般的に
は、事前に自然崩壊する前に解体され、建替えることになる。
建築物の機能が低下していく中で、不具合や故障が発生するため、事前にもし
くは事後に、その復旧を行う必要が発生する。不具合や故障の程度、頻度によ
②経済的要因
り、継続使用するための補修・修繕費その他費用が、改築費用を上回り、建替
えるよりも復旧する方が高額と見込まれる場合は、解体され建替えることにな
る。
使用目的が当初の計画から変わったり、建築技術の革新や社会的要求が向
③機能的要因
上して陳腐化していき、新たな要求が求められ、建築物の形態、構造等新しい
要求に対応できない場合は、機能的な寿命に達したと判断し、建替えることに
なる。
④法的要因
固定資産の減価償却費を算出するために税法で定められた年数
※耐用年数の長さは一般的には③<④<②<①となる。
本町の公共施設の構造は、鉄筋コンクリートが最も多く、マネジメントにおいて、コンクリート
構造の耐用年数の決定は重要となる。目標耐用年数については、さまざまな評価基準がある
が、老朽化に伴いこれらを総合的に評価して1棟の建物として設定する耐用年数が「目標耐用
年数」となる。
建物の寿命は、構造、立地条件、使用状況の違い等によっても大きく左右されるが、階高や
広さ等に余裕を持った建物や新耐震基準施設(1981 年以降建設施設)は、計画的な保全を実
施すれば 100 年以上も長持ちさせることができる可能性がある。
37
表 RC 造の目標耐用年数
目標耐用年数
代表値
範囲
下限値
高品質
100 年
80 年~120 年
80 年
普通品質
60 年
50 年~ 80 年
50 年
参考:(社)日本建築学会編・発行「建築物の耐久計画に関する考え方」
新耐震基準で設計されたコンクリート構造の目標耐用年数は、原則として、高品質の下限値
及び普通品質の最大値である 80 年として計画を設定する。(旧基準は代表値である 60 年に 10
年を加えた 70 年とする)
ただし、計画の詳細検討においては、LCCを算出すると共に、次項「築 35 年頃の建築物に
ついて構造躯体健全性調査」を実施した上で確定する。その他の構造等本町施設の望ましい
目標耐用年数は下記の通りとする。
表 高千穂町建築物の目標耐用年数
RC(新耐震)
RC(旧耐震)
木造
鉄骨造
その他
80 年
70 年
50 年
50 年
50 年
参考:「建築物の耐久計画に関する考え方」(日本建築学会)
② 施設の長寿命化計画について
築 20 年~30 年以上経過した施設の長寿命化については、現存の施設の状況を把握し設定
する必要がある、以下のその判定フローを示す。
【築 35 年頃の建築物について構造躯体健全性調査】
1
鉄筋
2
圧縮強度
残り40年以上
3
中性化
腐食あり
強度不足
残り20年未満
対策
残り20年以上
40年未満
工事内容検
工事内容検
大規模改修
中規模改善
可
工事内容検
中規模改善
(中性化対策含む)
さらに40年
以上使用
不可
残り20年
程度使用
図 構造躯体健全性調査フロー
38
直近で
建替え検討
③ 実施判定試験
鉄筋腐食度
・ひび割れ・鉄筋露出等の損傷が発生している箇所、環境条件の厳しい箇所(西面等)、健全
と思われる箇所から調査位置を目視評価する。
・コンクリートをはつり取り、目視にて鉄筋の状態を確認し、「腐食の状態」や「劣化度」を評価
する。
圧縮強度
・JIS基準によるコンクリート圧縮試験を行う。
・圧縮強度が設計基準強度を満たしているかを判定する。
中性化深さ
・コンクリートコアもしくは現位置でJIS基準による中性化深さ測定を実施し、鉄筋への影響を
確認する。
※耐震診断時に上記試験を実施している場合はそのデータを活用する。
④ 改修サイクル
施設の外壁等の部位、機械設備毎の物理的耐用年数を概ね 20 年、30 年、40 年に分けるこ
とで、建物の骨格部分である躯体に 100 年の耐久性、耐震性を持たせ、用途変更を含めた場
合、適切な周期で更新することで、躯体の限界性能が維持される場合、建物は長く使い続ける
ことができる。
既に築 20 年~30 年程度経過した施設については、長寿命化計画の判定フローに基づき、
竣工から概ね 35 年経過した時点で構造躯体の長寿命化判定を行い、個別施設毎に判断され
た残耐用年数に応じた整備内容を設定する。
中規模改修
20年以上
建替
竣工
長寿命化判定による使用可能年数
長寿命化改修
小規模改修
20年
15年
5年
機能維持改修
20年
20年
60年から80年
建替
80年以上
60年未満
機能維持改修
長寿命化判定
20年未満
図
建替
長寿命化判定・改修フロー
39
表 改修の定義
内容
改修項目
部分的
小規模改修
竣工から約15年~20年経過した頃に行う比較的小規模な改修
80年以上の使用は望めないが、60年以上の使用は可能と判断された場合に、
築40年頃に行う部分的に機能向上を考慮した改修
個別更新
長寿命化改修
(大規模改修)
80年以上の使用が可能と判断された場合に、築40年頃に行う機能向上を考慮
した大規模な改修
機能維持改修
80年以上の使用が可能と判断された場合に、築60年頃に行う機能維持を目的
とした改修
機能維持補修
60年以上の使用が困難な場合に、更新までの期間、利用者の安全確保を考慮
した上で、最低限の機能維持を行うもの
表 改修内容例(外部仕上げ)
部
位
防水
アスファルト
(保護)
アスファルト
(露出)
シート
屋根
鋼板葺
部分的
小規模改修
既存のまま
トップコート
塗替え
既存撤去
シート張替え
塗装改修
成形板葺
外部仕上げ
吹付け
個別更新
既存上
機械的
固定シート
張り
長寿命化改修
既存保護コン
アスファルト
防水新設
既存剝取り
アスファルト
防水新設
鋼板葺カバー工法
既存仕上げ・下地撤去鋼板葺
旧塗膜完
全撤去
中性化対策
劣化部補修
防水型複層
塗材吹付
劣化部補修
防水型複層塗材吹付
外壁
既存仕上げ
成形板張
タイル張
浮き部補修
樹脂塗膜又は外装用
仕上シート張
機能維持改修
機能維持補修
トップコート
塗替え
取合いシーリン
グ打替え
浮き部カット・
欠損部補修
トップコート
塗装改修
取合いシーリン
グ打替え
劣化部補修
部分塗装
改修
劣化部補修
防水型複層塗
材吹付
取合いシーリン
グ打替え
塗装改修
取合いシーリン
グ打替え
浮き部補修
取合いシーリン
グ打替え
劣化部補修
部分塗装
改修
既存のまま
浮き部補修
形成板張
塗装改修
仕上げ撤去成形板張
既存仕上げの上鋼板張
開口部
シーリング
改修
開閉調整
熱線反射
ガラスへ交換
カバー工法
複層ガラス
熱線反射
フィルム張
カバー工法
二重サッシ
40
塗装改修
取合いシーリン 部分塗装改修
グ打替え
シーリング改修
開閉調整
表 改修内容例(内部仕上げ・電気設備・機械設備)
部
位
内部仕上げ
居室・通路
トイレ
部分的
小規模改修
劣化部仕上材
撤去新設
劣化部塗装
改修
劣化部仕上材
撤去新設
劣化部塗装
改修
個別更新
劣化部仕上
材撤去新設
劣化部塗装
改修
劣化部仕上
材撤去新設
劣化部塗装
改修
長寿命化改修
内装・下地
撤去新設
内装・下地
撤去新設
ドライ化
機能維持改修
劣化部仕上材撤去新設
劣化部塗装改修
劣化部仕上材撤去新設
劣化部塗装改修
電気設備
機器類更新
機器類更新
又は
部品交換
老朽部のみ配
線更新
既存のまま
老朽化した衛
生器具の取替
機器類更新
機器類更新
又は
部品交換
老朽部のみ
配管更新
機器類更新
機器類更新
又は
部品交換
老朽部のみ
配管更新
受変電設備
非常用発電設備
機器類更新
機能向上に伴う機器
配線類更新
照明器具
衛生器具
機械設備
既存のまま
施設機能向
上に伴う
衛生器具
更新
施設機能向上に
伴う
衛生器具更新
機器類更新
機能向上に
伴う機器・
配管類更新
機能向上に伴う
機器・配管類・
システム更新
給排水・消火
ガス
空調設備
冷暖房
機器類更新
換気
機能向上に
伴う機器・
配管類更新
41
機能向上に伴う
機器・配管類・
システム更新
機能維持補修
5.施設の類型別の課題と方針
町が保有する施設の類型別にそれぞれの課題を整理して、大規模改修等の更新や維持管理
の方針を整理する。下水道施設については、インフラ系施設の類型ごとの基本方針によるものと
し、本節の対象としない。
【町民文化系施設】
1
上野公民館
1969
47
延床面積
(㎡)
720.0
2
高千穂町立中央公民館
1972
44
802.0
3
岩戸公民館
1975
41
420.0
4
高千穂町基幹集落センター
1978
38
420.0
5
高千穂町コミュニティセンター
1986
30
1,016.0
番号
施設名
代表築年
築年数
現状及び課題等
○町は町民文化系施設を 5 施設保有している。いずれも築 30 年を経過しており、それぞれ部分
的に修繕を行いながら、維持管理を行っている。特に上野公民館は築 47 年経過しており、内
壁のクラックや雨漏りが起きている。
○岩戸公民館、高千穂町基幹集落センター、及び上野公民館の利用度は低く、使われていない
部屋もある。
基本的な方針
○公民館は、地域の重要な拠点となる施設であることから、今後も長期間の利用ができるように
定期的な点検と計画的保全により施設の長寿命化を図る。
○どの施設も劣化が進んでおり、更新や大規模改修が必要である。更新の際には必要な機能の
検討を行うとともに、将来の人口動態や利用状況、周辺施設の配置状況を勘案しながら施設
規模を設定する。
○町民だけでなく観光客の利用も視野に入れ、社会教育施設としての機能を充実させる。文化ホ
ール、図書館、歴史資料展示室等を統合し、歴史、文化、観光を一元的に学習・情報収集でき
る施設を考えていく必要がある。また関連性が高い機能との複合化等を検討し、施設の有効
活用を図る。
○高千穂町立中央公民館を中心に個別計画の策定を検討する。
42
図 町民文化系施設位置図
43
【スポーツ・レクリエーション系施設】
番号
施設名
代表築年
築年数
延床面積
(㎡)
6
上野プール
1966
50
40.0
7
高千穂町立上野体育館
1969
47
1,310.0
8
高千穂町立中央体育館
1973
43
1,920.0
9
高千穂町自然休養村管理センター
1978
38
1,036.0
10
親父山キャンプ場
1978
38
106.0
11
二上山展望台
1988
28
19.0
12
天岩戸駐車場トイレ
1989
27
24.0
13
高千穂町林業者等健康増進用建物(押方体育館)
1991
25
648.0
14
高千穂町武道館
1991
25
5,373.0
15
四季見原すこやかの森キャンプ場
1992
24
448.9
16
天岩戸温泉
1994
22
339.8
17
天岩戸観光トイレ
1995
21
16.7
18
高千穂温泉
1996
20
2,833.2
19
高千穂町いきいき温水プールすこやか館
1996
20
1,301.5
2003
13
352.0
20
高千穂町農林水産物直売・食材供給施設
(道の駅高千穂)
21
高千穂のムラ市場(がまだせ市場)
2010
6
703.2
22
高千穂町折原グラウンド
2014
2
80.2
現状及び課題等
○スポーツ施設は大会やイベントを通して比較的利用は多い。
○町立上野体育館及び中央体育館は築 40 年を経過して、劣化が進んでいる。
○道の駅は築 13 年を経過し、機械類の故障が頻繁に発生するようになってきている。利用度は
高く、農産加工品などをはじめ出品点数も増えてきたことから、売り場も手狭になってきてい
る。
○天岩戸温泉及び高千穂温泉は、躯体に問題は無いが、ポンプなどの設備に不具合が生じ始
めている。
基本的な方針
○地域ごとの人口動態やニーズを把握し、学校体育館の町民開放等も考慮し、町域全体での類
似施設の集積状況を踏まえた施設のあり方を検討するとともに、提供するサービスや運営手
法の見直しを進める。
44
図 スポーツ・レクリエーション系施設位置図
45
【学校教育系施設】
23
田原中学校
1962
54
延床面積
(㎡)
2,291.0
24
田原小学校
1969
47
2,216.0
25
岩戸中学校
1974
42
3,228.0
26
高千穂中学校
1978
38
4,544.0
27
旧上野小学校
1987
29
680.0
28
岩戸小学校
1988
28
2,831.0
29
押方小学校
1999
17
3,390.0
30
上野小中学校
2007
9
4,169.0
31
高千穂小学校
2013
3
5,480.0
番号
施設名
代表築年
築年数
現状及び課題等
○小中学校に関しては段階的な統廃合を進めてきている。
○高千穂中学校は老朽化が激しい。現在、修繕等で対応しているが建替が必要となってきて
いる。
基本的な方針
○将来の児童・生徒数、現在の整備位置及び国が示す「公立小学校・中学校の適正規模・適
正配置等に関する手引」を踏まえ、統廃合等による適正化を検討する。
○個別計画を策定し、計画に沿って改修・統廃合の優先度を決定し、それぞれの状況に応じ
た実施時期を明確にする。
46
図 学校教育系施設位置図
47
【子育て支援施設】
32
田原保育園
1977
39
延床面積
(㎡)
313.0
33
田原小児童クラブ
1979
37
271.0
34
天岩戸保育園
1979
37
651.4
35
旧商工観光会館(福祉利用)
不明
-
335.5
番号
施設名
代表築年
築年数
現状及び課題等
○田原小児童クラブ、天岩戸保育園、田原保育園は、いずれも建設年から相当経過している
ため、劣化も目立つ。維持管理について検討が必要。
○旧商工観光会館の建築年は不明であるが、外壁のタイルの落下等が発生するなどの、劣
化が進んでいる。
基本的な方針
○幼稚園及び保育園のあり方については、子ども・子育て支援新制度のもと、園児数の推
移、利用者ニーズを把握し、建物状況等を勘案する中で、施設の集約化や公共施設への
転用について検討する。
○子育て支援施設は、地域との関連が深く利用者が減少傾向にあることから単純に統廃合
等の判断をすることは難しいため、今後は民営化の検討及び学校施設等との統合等を検
討していく。
48
図 子育て支援施設位置図
49
【保健・福祉施設】
番号
施設名
代表築年
築年数
延床面積
(㎡)
36
老人福祉館
1975
41
727.7
37
高千穂町国民健康保険保健福祉総合センター
1999
17
835.0
38
(新)養護老人ホームときわ園
2010
6
2,719.7
現状及び課題等
○老人福祉館は築 40 年を経過しており、劣化が進んでいる。
○(新)養護老人ホームときわ園は築 6 年と新しい施設であるが、建具や設備に不具合が生じ
始めている。
基本的な方針
〇保健・福祉施設は、各施設の利用状況だけでなく、地域性や公共施設の必要性等を踏ま
え、適正な施設の配置及び運営方法の適正化を図必要がある。
〇高齢化が進む中、養護老人ホームの充実は必要であり、さらに施設需要等が見込まれる
場合は、効率的な運営及び維持管理に努めることにより施設の長寿命化を図る。
○今後の利用見込みによっては、必要に応じた新規整備も必要となる、その場合、周辺地域
の民間事業所の設置状況等も踏まえ、適切な施設規模の設定を図る。
〇保健・福祉施設は、町民の健康保持及び福祉の増進を図るための施設であり、今後も長期
間利用できるように定期的な点検と計画的保全により施設の長寿命化を図るとともに、施
設の適正配置についても検討する。
50
図 保健・福祉施設位置図
51
【医療施設】
番号
施設名
代表築年
築年数
延床面積
(㎡)
39
平和町医師住宅(1 号)
1973
43
84.2
40
田原歯科診療所
1979
37
141.3
41
医師住宅
1998
18
515.3
42
高千穂町国民健康保険病院
1999
17
8,055.0
43
九電横医師住宅
2007
9
410.2
44
九電上医師住宅
2007
9
314.4
45
医師住宅1号地
2008
8
284.0
46
田原診療所
不明
580.9
現状及び課題等
○平和町医師住宅(1 号)及び田原歯科診療所は築 30 年を経過している。
基本的な方針
○人口減少・高齢化等を見据えながら、地域の医療ニーズと照らし合せた医療機能の提供につ
いて効率的な管理・運営が実施できるよう検討する。
○医師住宅は、将来的には集合住宅等への建て替え等も検討し、管理運営の効率化を図る。
○高千穂町国民健康保険病院は、重要な医療施設であるため、長寿命化を図る個別計画の策
定が望ましい。
52
図 医療施設位置図
53
【行政系施設】
番号
施設名
代表築年
築年数
35
47
本庁舎
1981
48
消防施設
不明
延床面積
(㎡)
5,725.9
179.5
現状及び課題等
○本庁舎は、建設から 35 年が経過し、劣化が見受けられつつある。
○平成 28 年度に耐震補強の実施は行うが、躯体・設備(空調、電気、発電機等)については、庁
舎建設当時の物で、事後対応型の保全を行っている。
基本的な方針
○本庁舎は建築後 35 年が経過しているため、耐震改修に引き続き、耐震以外の大規模改修
の検討が必要である。
○住民が様々な手続きで集まる本庁舎は、多くの住民に利用されている。今後は行政サービス
を提供するための基盤となる機能と、住民生活をより豊かにする機能とを区分して、他施設
の機能等と統廃合を検討する。
54
図 行政系施設位置図
55
【公営住宅】
番号
施設名
代表築年
築年数
延床面積
(㎡)
49
南平団地
1975
41
1,599.4
50
岩戸団地
1980
36
330.1
51
田口野団地
1988
28
1,218.6
52
松の原団地
1999
17
1,256.9
53
東松の原団地
2003
13
2,323.4
54
旭ヶ丘団地
2015
1
809.7
現状及び課題等
○「高千穂町公営住宅長寿命化計画」により予防保全型管理が行われ、昨年度旭ヶ丘団地が
整備されている。
基本的な方針
○公営住宅は歳入源としての価値があり、住民への住居の提供という福祉的な側面もあるた
め、更新などの際には、将来発生すると思われる歳入と歳出の両面で考える必要がある。耐
用年数を迎える施設は長寿命化計画に従い、除却、更新を推進する。
○居住者がいるため、詳細に計画を立てる必要がある。既存の「高千穂町公営住宅長寿命化
計画」について、必要に応じて中長期の視点により見直しを実施する。
56
図 公営住宅位置図
57
【公園】
番号
施設名
代表築年
築年数
延床面積
(㎡)
55
中央児童遊園地
1979
37
6.2
56
高千穂町総合公園
1987
29
756.3
57
御塩井公園
1991
25
409.7
58
青山墓地公園
1993
23
13.8
59
北谷登山口公衆便所及び記帳所
1994
22
14.9
60
国見ヶ丘公園
2011
5
63.1
現状と課題
○公園トイレについては、浄化槽点検を委託している。
○木造の公園トイレは、屋根等の劣化が進んでいる。
基本的な方針
○公園トイレ、休息所は維持補修で対応するものとし、建替え、大規模改修は実施しない。
○管理コストを縮減するために、公園整備を主として行う所管での一元管理を検討する。
58
図 公園位置図
59
【その他】
番号
施設名
代表築年
築年数
延床面積
(㎡)
61
河内団地
1951
65
141.0
62
田口野住宅
1957
59
116.0
63
五ヶ村教職員住宅
1966
50
79.0
64
押方住宅
1968
48
136.0
65
向山南小学校住宅
1969
47
120.0
66
押方団地教職員住宅
1971
45
123.0
67
永の内教職員住宅
1971
45
82.0
68
旧向山中学校
1971
45
723.0
69
旧五ヶ所小学校
1971
45
1,432.0
70
上野小教職員住宅
1999
17
86.1
71
平和町一般住宅
1972
44
80.0
72
第二田口野団地
1973
43
244.0
73
上岩戸小教職員住宅
1973
43
195.0
74
岩戸小教職員住宅
1973
43
201.0
75
下永の内教職員住宅
1974
42
80.5
76
河内教職員住宅
1978
38
273.0
77
田原中教職員住宅
1979
37
169.0
78
雲海茶屋(国見ヶ丘)
1981
35
184.5
79
旧向山南小学校
1981
35
1,295.2
80
曙団地
1983
33
117.0
81
旧向山北小学校
1984
32
1,407.6
82
笹の戸一般住宅
1980
36
99.5
83
旧上岩戸小学校
1987
29
1,478.9
84
高千穂小教職員住宅
1991
25
139.0
85
下押方観光駐車場
1991
25
24.1
86
田原小教職員住宅
1992
24
148.3
87
田口野一般住宅
1995
21
74.7
88
岩戸中教職員住宅
1997
19
79.0
89
高千穂大橋事務所
1998
18
181.7
90
青葉ハイツ
1998
18
996.3
91
押方小教職員住宅
2000
16
179.0
92
旧法務局
1993
23
763.2
93
高千穂中教職員住宅
2004
12
151.0
94
上岩戸大橋横トイレ
2007
9
8.1
95
九州自然歩道高千穂神社トイレ
2012
4
30.0
96
上野中教職員住宅
2013
3
154.7
60
97
TR跡地
不明
-
延床面積
(㎡)
576.2
98
河内第6分団消防車庫跡
不明
-
40.0
99
旧町立病院跡地
不明
-
1,135.8
100
日本たばこ産業跡地
不明
-
323.8
番号
施設名
代表築年
築年数
現状と課題
○職員住宅は築 40 年を経過しているものが多くある。
○廃校になった旧校舎なども多く保有しているが、用途廃止後、貸付や民活化等により有効
利用が実現できている施設があれば、用途変更等の活用方法が決定していない施設等も
ある。
○既に除却を検討している施設もある。
基本的な方針
○用途廃止等により普通財産となる施設のうち、比較的新しく安全性に問題がない施設につ
いては、他施設との集約化や複合化等の有効活用や民間活用などを検討する。しかし、、
老朽化が著しく施設機能上、リノベーションや長寿命化等の対応で高コストとなり利活用が
困難な施設については、解体も視野に入れて、その取り扱いを検討する。
○既に用途廃止等により解体すべき施設においては、原則として解体していく。
61
図 その他位置図
62
6.インフラ系施設に関する類型ごとの基本方針
インフラ系施設の基本的な管理方針を以下に示す。
(1) 道路
現状及び課題等
損傷が発生してから対応する「事後保全型管理(対症療法的な管理)」の状況である。
基本的な方針
・「事後保全型管理」から適切な時期に修繕を行う「予防保全型管理」への転換を図る。
・舗装修繕計画を策定し、その内容に沿った計画的な維持管理を行う。
・主要な道路及び道路付属施設等については、国土交通省が定めた点検実施要領に基づいて、5
年毎に定期的な点検を実施する。
・主要道路以外の生活道路については、日常のパトロールにより点検を実施する。
・舗装修繕計画において、維持管理の優先順位を定め、財政状況を見極めながら予防保全型管理
を行うことで、維持管理コストの平準化や低減を目指す。
(2) 橋梁
現状及び課題等
「橋梁長寿命化修繕計画」を策定し、予防保全型による管理を実施している。
基本的な方針
・「橋梁長寿命化修繕計画」に沿って計画的な管理を行う。「橋梁長寿命化修繕計画」については、
適宜見直しを行い、PDCA サイクルを循環していくものとする。
・「橋梁長寿命化修繕計画」対象の橋梁については、日常的なパトロール点検に加え、通行者から
の異常の報告、並びに 5 年に一度の定期点検(概略点検)により、橋梁の損傷を早期に発見すると
共に健全度を把握する。
・「橋梁長寿命化修繕計画」の対象外である橋梁については、日常点検及び 5 年サイクルによる定
期点検を実施する。
・日常的な維持管理においては、安全で円滑な交通の確保、第三者被害の防止を図ると共に損傷
要因の早期除去を目的として、清掃、維持管理作業をこまめに行い、軽微な損傷に対して応急的
な対策を行う。
・計画的かつ予防的な修繕対策の実施へと転換を図り橋梁の寿命を 100 年間とすることを目標と
し、修繕及び架替えに要するコストを縮減する。
(3) 下水道
現状及び課題等
整備開始が 1997 年からで、布設後 20 年程度経過している状況である。
基本的な方針
・平成 29 年度にストックマネジメント計画を策定し、予防保全型の管理により、長寿化を図る。
63
1.施設類型ごとの管理に関する基本的な方針について
保有施設の簡易的評価、公共施設で提供される行政サービスの項目や施設管理者である「所管
(行政サービスを管理する部署)」と、公共施設の形態から見た「利用(行政サービスの利用方法)」
とに分類し、以下に示す評価手順により、老朽化を含む「建物性能の状況(施設管理)」と「施設の利
用度(施設利用)」の 2 つのファクターによる評価を行い、各施設の管理の方向性を判断するための
参考的な資料として整理を行う。
2.保有施設の再分類
(1) 施設の再分類とその必要性
評価に当たり公共施設全体を次の 2 指標に分類する。
・[所管]:その施設で提供される行政サービスや人材等を管理する部局
・[利用]:その施設の利用形態・行政サービスから見た施設用途
上記に示す[所管]と[利用]は、階層的ではなく独立した分類とし、行政構造としての[所管]に
縛られた分類だけでなく、提供される行政サービスに応じた[利用]の視点からも施設を分類した
施設マネジメントを検証する。
なお[所管]は、「公用」「教育文化(文科省)」「福利厚生(厚労省)」「建設交通(国交省)」「警察
消防(総務省・法務省)」「その他」「公営企業」の 7 つに分類する。一方[利用]については、「窓口
サービス」「活動」「特定」「居住宿泊」「設備衛生」「倉庫通路」「未利用」の 7 つに分類する。この 2
つの分類を縦横([所管]×[利用])の表組みにすると 49(7×7)分類が可能になるため、階層的
な分類を行わなくても詳細な分析が可能となる。なお[所管]と[利用]の分類基準と該当施設を
次表に示す。
表 [所管]の分類項目
No
分類
内容
施設例
1
公用
庁舎等公用財産に当たる建物
庁舎等
2
教育文化
文部科学省が管理する建物
学校建物・幼稚園・図書館等
3
福利厚生
厚生労働省が管理する建物
保育所・保育園・福祉施設等
4
建設交通
国土交通省が管理する建物
公営住宅・駐輪場・防災倉庫等
5
警察消防
総務省・法務省が管理する建物
消防署・消防団施設等
6
その他
上記以外の省庁が管理する建物
公園・体育館・集会所等
7
公営企業
公営企業が利用している建物
浄水場、処理場等
64
表 [利用]の分類項目
No
分類
内容
施設例
1
窓口サービス
主に個人で利用・サービスを受ける建物
庁舎・出張所・図書館・観光施設等
2
活動
主に運動・集会等の活動に用いる建物
集会所・公園・運動公園・体育館等
3
特定
利用者が特定されている建物
校舎・保育園・学童保育所・管理棟等
4
居住宿泊
住宅・宿泊に用いる建物
公営住宅・キャンプ施設・宿泊施設等
5
設備衛生
設備や衛生機器等が占めている建物
機械室・トイレ・ポンプ・給食室等
6
倉庫通路
主に倉庫・通路等が上記以外の建物
倉庫・機材倉庫・駐車場・防災倉庫等
7
未利用
基本的に利用されていない建物
未利用施設
(2) 再分類の活用方法
公共施設全体を[所管]×[利用]で分類し、その状況を把握することで、マネジメントの対象に
すべき施設を客観的に選定する。この手法により、同種の[利用]施設とも比較し、管理する部局
が異なる公共施設の集約化や相互利用等についての検討を行う。また個々の公共施設を[利用]
面から見直すことで、民間施設の利用や民間企業への移行を含めた施設量(延床面積)の縮減
を検討する効果等、「供給」量を削減しつつ「品質」を確保する具体的な手段を明確にする。行政
サービスと公共施設の関係を再確認し、本当に現状の公共施設の使い方で効果的なのか、[所
管]×[利用]による分類を用いた客観的な「見える化」を行うことで、個々の公共施設を再評価す
る。
なお公共施設の集約化・複合化の検討を行う場合、同じ[所管]に属する施設間で検討を行う
ことは、機能面において補完関係にある場合も多く、また別所管施設間で検討する場合に比べ、
計画策定時の予算配分等効率的に実施できると考えられる。
また[所管]に関わらず機能が同じ施設間で集約化・複合化が実現すれば、より効率的な施設
マネジメントになる可能性がある。特に利用者の立場から見ると、公共施設の[所管]の違いは重
要ではない場合が多いことから、[利用]の面から施設を集約化・複合化を検討することが求めら
れている。
さらに地理的に近い施設同士の集約化・複合化であれば、これまでの利用者に与える影響は
少ないと考えられる。よって、施設間で集約化・複合化の検討を進める。
65
(3) 再分類から見た配置状況
本町の保有する施設を[所管]と[利用]による分類を用いた延床面積の配置状況を図に示す。
また[所管]×[利用]の結果を表に示す。
[所管]別に見ると「その他」「教育文化」「建設交通」の順に、[利用]別に見ると「特定」「活動」
「居住宿泊」の順に延床面積が多く占めている。なお1人当たりの延床面積が最も大きい[所管]
×[利用]は、大よそ多くの自治体の傾向と同様に「教育文化」×「特定」で、延床面積が 28,149 ㎡
(1 人当たり 2.21 ㎡)と全施設の 29.9%を占めている。また「その他」×「活動」も 16,737 ㎡(1 人当
たり 1.31 ㎡)と 17.8%を占めており、所管違いの活動拠点施設が多くあることが分かる。
図 延床面積から見た配置状況(左図:所管、右図:利用)
表 延床面積から見た配置状況(単位:㎡)
居住
設備
倉庫
窓口
所管
活動
特定
未利用
サービス
宿泊
衛生
通路
5,726
182
公用
0.45
0.01
28,149
139
教育文化
2.21
0.01
5,518
1,608
福利厚生
0.43
0.13
11,847
建設交通
0.93
219
警察消防
0.02
4,287
16,737
9,101
449
94
24
9,492
その他
0.34
1.31
0.71
0.04
0.01
0.00
0.74
682
公営企業
0.05
10,013
16,737
42,950
14,043
776
243
9,492
合計
0.79
1.31
3.37
1.10
0.06
0.02
0.74
※上段:延床面積/下段:人口 12,755 人(H27 年国勢調査)の 1 人当たりの延床面積
66
合計
5,908
0.46
28,288
2.22
7,126
0.56
11,847
0.93
219
0.02
40,184
3.15
682
0.05
94,254
7.39
3.保有施設の簡易評価
適切な公共施設マネジメントに必要な整備方針や、工事予算の検証等を行うためには、対象とす
る公共施設の状態を的確に評価し、その結果をもって具体的なマネジメントを計画することが求め
られる。しかし、全ての施設評価を詳細かつ迅速に実施することは困難であるため、まずは、簡易
な施設情報を基に何らかの不具合や問題がある可能性が高い施設を抽出し、優先的に対応を検
討する。
本計画では、収集した情報を用いて公共施設の簡易評価を行い、優先的にマネジメントすべき施
設や建物を抽出し、具体的にどのようなマネジメントを行うのか方向性を定める一連の手順を採用
する。また施設・建物全体の評価とは別に、早急な対応が必要な施設についても抽出する。
(1) 簡易評価手法
公共施設には利用者である住民が、適切かつ快適に利用できる機能や環境が求められるが、
行政サービスの円滑かつ効率的な提供を実現するためには、公共施設の管理者である行政の
立場から見ても、また、公共施設で働く行政職員にとっても適切かつ快適に利用できる施設が求
められる。
そのため本計画では、行政サービスの質の向上を行政の立場と町民の立場の両面から実現
するため、大きく「管理者視点」と「利用者視点」という 2 つの視点から評価を行う。また各視点は
3 つの評価軸で検証を行い、各評価は基本的に 2 つの数値情報を用いて行う。これら 2 視点 10
項目による簡易評価により、総合的な公共施設の評価を実施する。
なお、各項目は程度が良い方から「A」「B」「C」「D」の 4 段階と、情報不足や評価対象外をそれ
ぞれ「X」「-」とする全 6 段階の判定を行う。また各項目の評価は明確な基準が無いため、[利用]
別の平均を基準に評価を行う。
(2) 「管理者視点」からみた簡易評価
「管理者視点」は、管理者の立場から重要なマネジメントと考えられる「建物劣化度」「建物管理
度」「運用費用度」の 3 評価 5 項目から構成している。
◆「建物劣化度(安全性)」
躯体の劣化状態から簡易的に安全性を評価するため、主に建物の工事履歴を基に「建物劣
化度」の評価を行う。
「建物劣化度」は、基本的に築後年数と耐震性能の 2 項目を用いて式 1 のように算出を行う。
この値が 100%に近いほど、経年によって劣化が進んでいると推察され、大規模な耐震改修や
更新(建替え)の必要性が高い施設だと簡易的に判断できる。
67
建物劣化度(%)
式 1 建物劣化度の概算式
出典:前橋工科大学:堤洋樹
◆「建物管理度(健全性)」
躯体を除く施設の管理状態から簡易的に健全性を評価するため、施設に対して行われてい
る点検や報告を基に「建物管理度」の評価を行う。
◆「運用費用度(経済性)」
施設の運用状態のうち、特に経費の面から簡易的に経済性を評価するため、主に建物のラ
ンニングコストを基に「運用費用度」の評価を行う。
「運用費用度」は、基本的に総コストと維持管理費の 2 項目によって評価を行う。
(3) 「利用者視点」からみた簡易評価
「利用者視点」は、利用者が施設を利用する際の条件や利用状況を評価する「設備管理度」
「立地環境度」「施設活用度」の 3 評価 5 項目から構成している。
◆「設備管理度(快適性)」
施設の設備を中心とした管理状態から簡易的に快適性を評価するためバリアフリー法の項
目を用いて評価する。
◆「立地環境度(有用性)」
施設の立地や環境の状況から簡易的に利便性を評価するため、施設の立地環境が利用し
やすい場所にあるかどうかの評価と、災害に対する危険性による評価の 2 項目によって評価を
行う。
◆「施設活用度(利便性)」
施設の使い方や活動状況から簡易的に利便性を評価するため、主に利用度や施設の稼働
率の 2 項目から「施設活用度」の評価を行う。
68
(4) 簡易評価を用いた整備方針
以上の手順により算定された 10 項目・6 段階(一部 4 段階)の判別結果を基に、公共施設マネ
ジメントの方向性を示す 4 つの整備方針を示す。
10 項目の評価項目のうち、「A」や「B」は大きな課題を抱えていないと考えられるため、必要に
応じて適宜対応できれば全体の方向性に対する影響は少ないと考えられる。
一方で「C」や「D」は比較的大きな課題を抱えている施設の可能性があるため、再整備の必要
性や緊急性が高いと考えられる。そこで「管理者視点」「利用者視点」別に「C」の数を数え、ポート
フォリオ(重要な 2 つの指標の組み合わせから戦略のための分析をする手法)に落とし込み、今
後のマネジメントの方向性を「維持保全」「利用検討」「更新検討」「要早急対応(用途廃止)」の 4
つに分類した。図に施設評価のポートフォリオを示す。
なお、「D」は「C」に比べてより大きな問題を抱えているため「C」の 2 つ分としてとらえる。
管理評価と利用評価の 2 つの指標に対する点数化を行った上で、以下の分類に区分した。
評価分類
管理評価点
利用評価点
維持保全
≦2
≦2
更新検討
>2
≦2
利用検討
≦2
>2
要早急対応
>2
>2
用途廃止
点数評価は無視し、除却予定があるもの
評価分類
維持保全
評価内容
利用者視点からも管理者視点からも評価が高く、今後も保有す
べき施設として積極的に維持管理を行う施設。
施設の老朽化や経済性等の評価が低いが利用上必要な施設
更新検討
のため、「大規模改修」「建替え」「他施設への移転」及び「他の施
設への統合等」により施設の機能を維持しながらも総量縮減を検
討する施設。
施設自体の老朽化等は問題無く、利用目的を変えることで有効
利用検討
利用が図れ、他機能を持ち込むことで他施設の総量縮減を検討
する施設。
要早急対応
(用途廃止)
利用者視点からも管理者視点からも評価が低く、用途廃止も検
討に含み、早急に何らかの対応が必要な施設。
69
評価低い
9
「「利用者視点」
利⽤検討
要早急対応
(⽤途廃⽌)
6
3
維持保全
0
更新検討
3
6
9
評価低い
評価高い
「管理者視点」
図 施設の整備方向性を示すポートフォリオ
4.簡易評価から見た配置状況
簡易評価の結果を取りまとめたものを図示する。
「維持保全」を除く施設については、統廃合や売却等も含め再整備が必要な公共施設である可
能性が高いと考えられる。これらについては具体的な整備方針を決定する必要がある。
図 整備方針結果
70
図 高千穂町の整備方針一評価区分
なお、この整備方針は、実施した時点の公共施設の状況を機械的に判断した結果であり、別
に考慮する事象が存在した場合や、調査後に改修等が行われた場合は方針が変わる。そのた
め、整備方針の結果がそのまま各公共施設の具体的な方向性を決定するものではなく、今後の
具体的な個別計画を策定する際に方向性を確認するために活用するものとする。
71
5.公共施設のファシリティマネジメント計画の流れ
高千穂町公共施設等総合管理計画(10 年毎に見直し)
維持保全
更新検討
要早急対応
利用検討
個別計画準備
現状維持
集約化
譲渡
民活化
適正化
複合化
廃止
財産分類
現状維持・適正化・集約化・複合化
譲渡・廃止
町で活用していく施設の目安
町では活用しない施設
単独倉庫・トイレ施設 100 ㎡以下の付属施設
D:マネジメント対象としない
対象施設の選定
(大規模改修・更新を実施しない)
1981 年以前
耐震診断及び耐震改修
耐震設計基準
実施の可否
実施済・する
実施しない
既に計画が策定してある
マネジメント対象施設
行政的な判断が必要
D:マネジメント対象としない
他に施設に関しての適用法令がある。
B:個別計画策定
(大規模改修・更新を実施しない)
C:既存計画の見直し
A:マネジメント計画に沿って長寿命化・改修時期の目安を設定
72
(1) 詳細検討(個別計画の準備)
個別計画策定にあたっては基本方針を踏まえ、以下の評価区分を設定する。この評価区分に
基づき詳細検討を行い、個別計画等策定対象施設を抽出する。
表 公共施設方針
簡易評価区分
維持保全
更新検討
利用検討
更新検討
利用検討
要早急対応
詳細区分
対象となる施設
現状維持
現有施設を利用し、適切な時期に維持更新を行う施設
適正化
需要と供給規模が対応する施設の中で将来の需要の増加が見込
まれ、更新時に規模拡大を行うことが求められる施設、または将来
の需要の減少が見込まれ、更新時に規模縮小を行うことが可能な
施設
複合化
提供しているサービス・機能を機能が異なる他施設内、もしくは他敷
地内に集約しても現状のサービス水準が低下しないか、もしくは向
上が見込まれる施設
集約化
類似した複数施設を 1 箇所に集約しても現状のサービス水準が低
下しないか、もしくは向上が見込まれる施設
民活化
更新にあたって PFI 等、民間活力の導入により民間事業者等資金や
ノウハウを活用し、施設の建替費用の圧縮及び公共施設サービス
の質の向上を図ることが可能な施設
民間施設のストックを活用することにより、公共施設と同等、もしくは
それ以上のサービスが提供される施設
廃止
建設当初の目的を終え、現在機能を停止している、もしくは停止が
予定されている施設
他施設との機能の重複に伴う集約化や、機能が異なる施設への
集積に伴う複合化により、必要性が失われる施設
民間施設のストック活用により、必要性が失われる施設
譲渡
現在、地域や民間事業者が独自に運営を行っている施設
民間が運営可能と見込まれる施設
要早急対応
73
(2) 財産の分類
詳細検討後、次図による区分で財産分類を行い、公共施設の対応における分類を行う。
詳細検討結果(全体が施設の目的どおり利用されているか?)
YES
利用度が十分
費用対効果有
NO
NO
実現可能な打開策が計画
または既に実行されている
YES
YES
有効活用財産
改善活用財産
所有目的や住民の需
要等を最適に達成し
ている財産。
目的や利用度など個々の
問題はあるが、実現可能
な打開策が計画されてお
り、それを実行すること
により目的が十分に達成
できる財産。
A:個別計画・長寿命化計画等の検討
NO
実現可能な
転用計画がある
YES
終期設定財産
NO
処分財産
目的どおりに利用してい
るが、利用者が少ないな
ど問題がある財産。
また、実現可能な打開策
の計画もなく、能力維持
に限界がある財産。
B:能力限界財産見直し
C:単純所有財産の処分
【A:個別計画・長寿命化計画等の検討】
所有目的や住民の需要等を最適に達成している、もしくは達成可能財産として利活用を進め
るため、施設の個別計画等を策定し管理していく。
【B:能力限界財産見直し】
能力限界財産見直しに区分された財産は、次表の通り見直し方法を判断する。
型
民間譲渡型
統合型
縮小型
必要性検討型
表 能力限界財産見直しの型と内容
内容
財産の目的を考慮した民間事業者を選定し、条件付一般競争入札による売
却を原則とし、予定価格は、不動産鑑定評価額とする。
直ちに統合に関する計画を策定し実現する。統合により遊休化した施設は、
施設の目的と必要性を再検討する。
施設の使用部分を見直し、未使用の部分は、一部処分または民間等への賃
貸を検討し遊休化を防ぐ。
施設の目的と必要性を再検討する。
【C:単純所有財産の処分】
単純所有財産の処分に区分された施設は、施設の目的と必要性を再検討する。
74
1.推進体制
(1) 公共施設等の管理運営等の現状
公共施設等の維持管理(営繕補修を含む)や公共施設等の運営(施設サービスや活動等)に
ついては、各施設等の所管部署が個別に実施している。また、各施設等にかかる更新、修繕、維
持管理の履歴等の保全データや施設利用状況等の運営データについても、各施設等の所管部
署が個別に管理をしている状況である。
施設整備において、当初予算の区分により、倉庫及びトイレ等の同用途施設であっても、所管
課が複数に分かれて管理していることがある。
(2) 庁内推進体制の整備
これまで、公共建築物の改修や維持管理、インフラ資産の長寿命化等については、それぞれ
の分野で個別に取り組みが進められてきた。計画策定後の庁内推進体制としては、計画の進行
管理と公共施設等にかかる更新、修繕等の年度計画の実践、管理等を一つの部署で一体的に
実施していく専門的部署を設置することが望ましい。しかし、現職員による新規専門的部署の設
置は難しいことより、公共施設の更新や大規模改修等の実施に当たって、庁内横断的な意思決
定や調整を図るための庁内横断的な組織として、財政課を事務局とした委員会の設置を検討す
る。
(管理委員会の設置)
管理委員会は総括管理課と施設所管課の上位に位置づける。所管課と管理課が情報を共有
し、長期的な計画等の策定や統廃合については、管理委員会にて検討を行う。
委員会は暫定委員会とする。
高千穂町公共施設等管理委員会
財政課
 公共施設等のデータの一元化
 公共施設等総合管理計画の PDCA
公共施設等の各所管部署

点検・診断等の実施方針

維持管理・修繕・更新等の実施方針

安全確保の実施方針
図 庁内推進体制イメージ
75