第12回四国地域エネルギー・温暖化対策推進会議 四国地方の気候変動 身近にせまる気候変動の影響と将来予測 気象庁高松地方気象台 地球温暖化情報官 北脇 安正 1/24 温室効果ガス濃度の変化 世界的に増加傾向にあります。 2015年の世界の年平均濃度は観測史上最も高くなりました。 CO2の年平均濃度が初めて400ppmに達しました。 WMO温室効果ガス年報第12号 二酸化炭素 CO2 メタン CH4 一酸化二窒素 N2O 世界平均濃度(2015年) 400.0±0.1ppm 1845±2ppb 328.0±0.1ppb 工業化以来の増加分の比率 44% 156% 21% 2014年から2015年の増加量 2.3ppm 11ppb 1.0ppb 最近10年間の平均年増加量 2.08ppm/年 6.0ppb/年 0.89ppb/年 ppm: 体積比で百万分の一、ppb: 体積比で十億分の一 (平成28年10月24日 報道発表) 気象庁 観測地点 南鳥島(小笠原諸島) 与那国島(沖縄県) 2015年の年平均値 (前年からの増加量) 403.1(+1.8) 401.4(+1.9) 403.8(+2.0) 2016年4月の月平均値 412.0 407.5 411.0 (平成28年5月31日 報道発表) CO2 濃度(ppm) CO2濃度 (ppm) 綾里(岩手県) 二酸化炭素の世界平均濃度の経年変化 2/24 世界の気温変化(1891∼2015) 2015年は、1891年の統計開始以来、最も高い値になりました。 100年あたり0.71℃の割合で上昇しています。 「人間活動による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な原因 であった可能性が極めて高い」IPCC第5次評価報告書 各点:各年の基準値からの偏差 青い線:偏差の5年移動平均 赤い直線:長期変化傾向 基準値は1981∼2010年の平均値 3/24 日本の気温変化(1898∼2015) 100年あたり1.16℃の割合で上昇しています。 各点:各年の基準値からの偏差 青い線:偏差の5年移動平均 赤い直線:長期変化傾向 基準値は1981∼2010年の平均値 1898年以降、観測を継続している 気象観測所の中から、都市化の影響 が少なく、特定の地域に偏らないよ うに選定された15地点。 4/24 四国地方の気温変化(1898∼2015) 猛暑日や熱帯夜の年間日数は増加しています。 冬日の年間日数は減少しています。 地球温暖化による影響が現れている。 猛暑日:日最高気温35℃以上の日、熱帯夜:日最低気温25℃以上の日、冬日:日最低気温0℃未満の日 5/24 さくらの開花日の変化(1953∼2015) さくらの開花は、早くなっています。 かえでの紅葉は、遅くなっています。 長期的な気温上昇の影響が考えられます。 6/24 雨の変化(全国51地点) (大雨)日降水量100mm以上、200mm以上の年間日数は明瞭に増加していて、 地球温暖化による影響が現れています。 (無降水日数)日降水量1.0mm未満の日数は明瞭に増加していて、地球温暖化によ る影響の可能性があります。 日降水量100㎜以上の年間日数 日降水量200㎜以上の年間日数 日降水量1.0㎜未満(雨の降らない日)の年間日数 7/24 全国アメダスでみた短時間強雨の変化 増加傾向が明瞭に現れています。 地球温暖化の影響の可能性がありますが、より確実に評価するためには今後のさら なるデータの蓄積が必要です。 滝のように降る雨 1時間降水量50㎜以上の年間発生回数 息苦しくなるような圧迫感があり、 恐怖感を感じるような雨 1時間降水量80㎜以上の年間発生回数 8/24 地球温暖化予測情報 第8巻 「地球温暖化予測情報第8巻」の公表 平成25年3月15日 解像度5km四方の格子で計算 日本列島の細かな地形の影響を反映 21世紀末を「将来気候」として予測 排出シナリオは「A1B」(RCP6.0相当) 地域区分は「ブロック単位」 気象庁ホームページに全文掲載 http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/GWP/index.html 9/24 地球温暖化予測情報 第8巻 留意事項 1. 気候モデルの概要 冊子「地球温暖化予測情報 第8巻」の「本章の要約」を参照してください。 2. 温室効果ガス排出シナリオ 地球温暖化予測の前提となる温室効果ガスの将来変化は、単一のシナリオ(A1B:地球温暖化予測情報第8 巻P.8)についてのみ予測対象としています。このため、他のシナリオを用いた場合、異なる予測結果となる 可能性があります。 A1Bシナリオは、21世紀半ばまで排出量が増加し、ピークを迎えた後、緩やかに減少する経過をたどり、 2100年頃の大気中二酸化炭素濃度は、約700ppmに達すると予想しています。 3. 地球温暖化予測の目的と評価 地球温暖化予測は、自然変動に伴う気候の「ジグザグ」な揺らぎの影響を取り除いて、温室効果ガスの増加 に伴って「じわじわ」と進行する長期的な変化の傾向を検出することが目的です。 4. 計算対象の時代 現在気候は20世紀末(1980∼1999年)を、将来気候は21世紀末(2076∼2095年)を想定していま す。 5. 降水予測の不確実性 降水の変化予測は、気温に比べて一般に不確実性が大きいです。台風や梅雨前線に伴う大雨などの顕著現象 の頻度や程度は年々の変動が大きいことに加え、空間的な代表性が小さい上に、発生頻度がまれであって20 年程度の計算対象期間を設けても統計解析の標本数が少ないため、系統的な変化傾向が現れにくい場合があり ます。 10/24 四国地方の平均気温の将来変化 21世紀末は20世紀末よりも、2.5℃∼3℃程度上昇し、特に冬の変化が大きいと予 測されています。 将来気候の 年々変動の 標準偏差 将来気候と 現在気候との 差 現在気候の 年々変動の 標準偏差 年平均気温 1981∼2010平均値 松山 高松 徳島 高知 16.5℃ 16.3℃ 16.6℃ 17.0℃ 年平均気温 11/24 四国地方の平均気温の将来変化 夏(6月か8月) 春(3月から5月) 年 秋(9月から11月) 冬(12月か2月) 平均気温の変化 (将来気候の現在気候との差) 12/24 四国地方の平均気温の将来変化 平均気温の将来気候の半旬平均の季節進行 冬から春にかけて、将来気候の年々変動の幅が現在気候と重なっている時期が見ら れる。 年によっては、現在気候の平均気温と同程度に気温が低下する時期があることを示 している。 折線は通年半旬値、陰影は年々変動の標準偏差を示す。5半旬で平滑化している。 縦軸は現在気候の年平均値からの偏差として示している。 13/24 四国地方の降水量の将来変化 平均気温の将来気候の半旬平均の季節進行 冬から春にかけて増加し、秋に減る傾向が広がっています。 将来気候の 年々変動の 標準偏差 将来気候と 現在気候との 差 現在気候の 年々変動の 標準偏差 年降水量 1981∼2010平均値 松山 高松 徳島 高知 1314.9㎜ 1082.3㎜ 1453.8㎜ 2547.5㎜ 年降水量 14/24 四国地方の降水量の将来変化 夏(6月か8月) 春(3月から5月) 年 秋(9月から11月) 冬(12月か2月) 降水量の変化 (将来気候の現在気候との比) 15/24 四国地方の降水量の将来変化 降水量の将来気候の半旬平均の季節進行 冬から春にかけて、降水量が増加している。 梅雨明け後の降水量の減少がやや不明瞭となる。 折線は通年半旬値、陰影は年々変動の標準偏差を示す。5半旬で平滑化している。 縦軸は現在気候の年平均値からの偏差として示している。 16/24 四国地方の降雪・積雪量の将来変化 減少する傾向が広がっている。 降雪・積雪期間は短くなる傾向がある(期間の始まりは遅く、終わりは早く なる)。 最深積雪 降雪量 降雪・積雪量の変化 (将来気候の現在気候との差) 17/24 まとめ(気候の変化) 大気中二酸化炭素の世界平均濃度は、最近10年間の平均年増加量が2.08ppm。 世界の平均気温は、2015年は1891年の統計開始以来、最も高い値。 100年あたり0.71℃の割合で上昇(1891∼2015)。 日本の平均気温は、100年あたり1.16℃の割合で上昇(1898∼2015)。 猛暑日や熱帯夜の年間日数は増加し、冬日の年間日数は減少しています。地球温 暖化による影響が現れている。 さくらの開花は早く、かえでの紅葉は遅く、長期的な気温上昇の影響が考えられ る。 日降水量100mm以上、200mm以上の年間日数は明瞭に増加していて、地球温 暖化による影響が現れています。 日降水量1.0mm未満の日数(無降水日数)も明瞭に増加していて、地球温暖化 による影響の可能性がある。 アメダスでみた短時間強雨は、増加傾向が明瞭に現れています。地球温暖化の影 響の可能性がありますが、より確実に評価するためには今後のさらなるデータの 蓄積が必要である。 18/24 まとめ(気候の変化予測:四国地方) 地球温暖化予測情報 第8巻 平均気温は、今世紀末は前世紀末よりも2.5℃∼3℃程度上昇し、特に冬の変化 が大きいと予測されている。 冬から春にかけて、年によっては、現在気候の平均気温と同程度に気温が低下す る時期があることを示している。 降水量は、冬から春にかけて増加し、秋は減る傾向が広がっている。 梅雨明け後の降水量の減少がやや不明瞭となる。 大雨(日降水量100㎜以上、200㎜以上)の発生回数は、部分的に減少してい る地点も見られるが、増加傾向が広がっている。 地形的に大雨の降りやすい地域(太平洋沿岸)は増加幅が大きい。 年間無降水日数は、増加傾向を示している。 積雪・降雪量は、減少する傾向が広がっている。積雪・降雪期間は短くなる傾向 がある(期間の始まりは遅く、終わりは早くなる)。 19/24 気象台ウェブページ 四国地方の気候変動 掲載資料の解説など、気象台に お問い合わせください http://www.jma-net.go.jp/takamatsu/12/shikoku_climate.html 高松地方気象台 http://www.jma-net.go.jp/takamatsu/ 香川県の気候変動 http://www.jma-net.go.jp/takamatsu/12/kagawa_climate.html 愛媛県の気候変動 http://www.jma-net.go.jp/matsuyama/ehime/ehime_kikouhendou.html 松山地方気象台 http://www.jma-net.go.jp/matsuyama/ 徳島県の気候変動 http://www.jma-net.go.jp/tokushima/ondanka%20hp/index.html 徳島地方気象台 http://www.jma-net.go.jp/tokushima/ 高知県の気候変動 http://www.jma-net.go.jp/kochi/kouchi_kikouhendou/kouchi_kikouhendou.html 高知地方気象台 http://www.jma-net.go.jp/kochi/ 20/24 地球温暖化情報ポータルサイト 気象庁 http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/index_temp.html 地球温暖化や気候変化に関して、気象庁がもっている様々な情報をまとめていま す。これら最新の科学的知見等を、地域の気候変動適応計画の策定等に向けた基 礎資料としてご活用ください。 ポータルサイト内の数値データや簡単な表・グラフ等は出典を記載するなどによ り、自由にご利用いただけます(詳しくは利用規約をご覧ください)。 掲載内容 地球温暖化について これまでの温室効果ガスの変化 これまでの気候の変化 これからの気候の変化 日本の各地域における気候の変化 (各地方、各都道府県における気候の変化リンク集) 気象庁の刊行物 など 21/24 (参考)熱中症搬送者数と日最高気温 • 初夏から初秋にかけて、熱中症にかかりやすくなる。 • 最高気温30℃を越えると、搬送者数が非常に多くなる。 22/24 (参考)気象庁からの情報発信 • • • • • • • • • 気象庁ホームページ(平均気温、短時間強雨など) 気候変動監視レポート 異常気象レポート2014 地球温暖化予測情報 リーフレット 地球温暖化「いま」と「これから」 IPCC第5次評価報告書 メッシュ平年値(平年値を使って1kmメッシュで推定) 気候講演会 気候情報連絡会 23/24 ご清聴ありがとうございました ぜひ気象台の様々な資料をご利用ください。
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