新町西地区の再開発はどうあるべきか?!

新町西地区の再開発はどうあるべきか?!
~遠藤市長の「白紙撤回」
「権利変換計画不認可処分」の是非を考える~
新町西地区市街地再開発組合代理人弁護士
2017(平成 29)年 2 月 13 日(月)
第1
別紙 年表1
況、住民訴訟、権利変換計画不認可、訴訟)
権利変換計画不認可処分の取消し・認可
義務付け訴訟の概要、論点
(4) 権利変換期日・権利変換処分
建築物に関する権利を(形式的に)一括して変
換する。
2.権利変換計画とは
1.訴訟の概要
施設建築物の設計、権利床の位置・規模、権利
①徳島市による「権利変換計画の不認可処分」を
取り消すこと
変換計画の期日等を定めるもの。組合が原案を
作成し、組合の総会で可決して確定する。これ
②徳島市に対し「権利変換計画を認可する」よう
義務付けることを求める訴訟。
について市の認可を受けなければならい。
3.権利変換計画で定める事項
(1) 配置設計
2.訴訟の論点
法的な最大の論点は権利変換計画の認可につ
施設建築物の各階平面図を含む建物設計図面
(2) 権利床の帰属
いて、徳島市の「裁量」があるかどうか。
法律上の要件を充たす限り認可しなければな
らない「覊束処分」であれば、徳島市の不認可
従前の権利者について、誰がどのように施設建
築物の権利を取得するかを決める
処分は違法であり、取り消されなければならな
い。
(3) 保留床
権利床と参加組合員及び特定事業参加者が取得
実質的には、再開発の仕組みの上で、ここま
する床以外の床が、
「保留床」。権利変換計画で
で進めてきた計画を中止することができるの
は、保留床は施行者に帰属するよう定めるのが
かが最大の論点。権利変換計画が認可されれば、
原則。ただし、保留床の売却先が決まっている
1人1人の地権者の従前権利がどのような権
場合は、それを記載することもできる。
利(床)に変換されるか、転出者にいくらの補
償金が支払われるかが確定する。それを市長が
代わっただけで突然「ちゃぶ台返し」のように
(4) 権利変換期日、土地明渡しの予定時期及び工
事完了の予定時期
4.事業を途中で変更・中止した事例(甲 48 号証)
(1) 準備組合時点での中止
ひっくり返すことができるのか?
第3
取得するか」
、
逆に転出者には補償金の額を決め
権利者の従前の権利を、新たに建築される施設
別紙 年表2
⇒
平
る。
2.組合設立認可から現在まで(本件事業の施行状
⇒
章
「建てられる建物に、誰がどのように権利を
1.再開発の機運から組合設立認可(本件事業のス
第2
和
あわぎんホール1F大ホール(徳島県郷土文化会館)
新町西地区再開発事業の経緯
タート)まで
坂
組合施行による再開発事業の仕組み
・・・ 資料ABC参照
松阪市の事例(準備組合が破産)
⇒
1.手続
都市計画決定に至る前、準備組合が準備を
進めていた段階で事業が破綻し、準備組合は
(1) 都市計画決定
破産した。
どこで再開発事業を行うか(施行区域)を決め
る。
(2) 都市計画決定段階での中止
堺市の事例(組合設立・事業計画不認可)
(2) 組合設立・事業計画認可
⇒
都市計画決定はされたが、地権者による組
施工地区内の権利者が全員組合員となる、どの
合設立認可申請に対し、市が不認可処分をし
ような建物を建てる再開発事業を行うかを決め
た。
(3) 組合設立・事業計画認可後の「変更」
る。
(3) 権利変換計画の認可
明石市の事例(事業計画を変更)
⇒
再開発組合は設立・認可され、事業計画も
認可されたが、その後、市と組合の協議によ
1
り事業計画を変更して再開発事業を進めた事
⇒
どこに建てるかも決まらないのに?
(4) 3つの候補地発表(1月26日)
例。
・・・ 資料7,8
「代替案」の実行には十分な協議と合意の形成
が必要である。
①徳島駅西側(約4800㎡)
(4) 組合設立・事業計画認可後の「中止」
JR 四国等、民間の敷地。購入 or 賃貸?い
事業を中止した事例はない。前代未聞。権利変
くらで?
換なされないままに事業が中断していること自
⇒
体が、異常事態。地権者たちは一体どうなるの
現計画より高く付くのでは?
か?どこにも答えはない。
第4
敷地の狭さも懸念材料。
新町西地区のあるべきまちづくり
②文化センター跡地(約4500㎡)
1.現計画の「変更」は?組合との協議は?
最も狭い。旧文化センターは客席数115
1席(収容人数1280人)。
・よりよい「まちづくり」のため、現在の再開発
⇔
計画をそのまま進めるのではなく、計画内容の
棟:300席)+8500㎡(大ホー
・そのためには、当事者(の合意形成)のための
ル棟:1500席)
。
話し合いが必要。しかし、市は組合が「白紙撤
⇒
回」
を受け入れない限り、
協議しないとの姿勢。
現計画前の案(平成17年以前)。10年以
上も議論を巻き戻し?
始。
もなく、就任後はじめてその検討に着手
(2) 11月15日有識者会議が提言書を提出(資
料1~4)
⇒その評価―お粗末、具体策なし(資料5、6)
(3) 徳島市が当事者(=住民=地権者)の意見を
聞かないまま発表した新町西地区まちづくりの
「代替案」とは
・
「来街者の増(交流人口の拡大)を目指すまち
づくり」
「まちなか居住の推進(定住人口の拡大)を
目指すまちづくり」
⇒
駐車場の不足や交通アクセスの悪さが議会
そもそも、遠藤氏が市長に就任した時点で
「代替案はある」はずだったが、現実には何
でも問題になった
3.現計画のメリットは?
・既に計画として完成しており、権利変換計画の
認可を得ればすぐに着工可能
・地権者の合意もとれており、計画が遅れる危険
がない
・すでにかかった事業費が無駄にならない
4.費用面に関する再開発計画の「白紙撤回」論へ
の反論
・遠藤市長は「数十億円で新ホールができる」と
主張 → 本当に?
・これまでの反対派の「旧文化センター耐震改修・
活用論」 → 不便すぎ、市自身も断念してし
ただの抽象論で、具体的な中身はない。総
花的で現実味もない。
まった
・代替案を具体化するまで今後何年も新町西地区
・いつできるかも分からない
現計画は20年以上かけて議論して完成した
もの。また一から議論をやり直すのか?そん
を「放置」→ その経済的損失は?
・現計画の「白紙撤回」に伴う地権者への補償は?
(遠藤氏は「市が負担すべきものは負担する」
な余裕は市にも地権者にもない
・事業手法は「民間の力を活用」
「民間事業者か
らの提案」と抽象的。
⇒
単なる文化センターの建て直し計画?
③動物園跡地(約18000㎡)
・・・ 資料1~6
(1) 有識者会議を立ち上げて急遽代替案検討を開
⇒
現計画は、
施行区域1.8ヘクタール、
建物敷地面積で1500㎡(小ホール
「変更」はあり得る(cf.明石市の事例)
2.新市長の対応
駅直結の利便性と引き替えに、結局、
誰がどう投資してくれるのか?外部資本頼
みのまちづくり?」
・「新ホール」はどうなるのか
新ホールは「平成35年開館予定」
2
と発言していたが、その具体案はゼロ)
・何よりも、高齢化する地権者たちに「今から新
しいまちづくり」はムリ!
第5
あべの再開発の損失2000億円の教
訓は?(2017 年 2 月 3 日付)・・ 資料9
年表1
平成3年
平成5年3月
平成10年6月
平成11年3月
平成11年
~12年
平成13年
~24年
平成16年
平成17年12月
平成18年11月
平成19年
平成20年6月
同年7月
同年8月
平成21年2月
地元商店街振興組合が「街づくり構想」を策定
新町西地区まちづくり協議会が発足
新町西地区市街地再開発準備組合が発足
地区整備の「基本構想」を準備組合が策定
地域振興整備公団が事前調査を実施
徳島市と地域公団が共同で新町西地区の都市圏調査を実施し、事業枠組み案をまとめる
徳島市の補助を受けて事業推進コーディネート業務を実施
原市長が新ホールを新町西地区市街地再開発事業と一体的に整備する方針を表明
新町西地区再開発推進協議会が発足
都市計画の素案の説明会、公告・縦覧、公聴会開催
都市計画案公告・縦覧
徳島市都市計画審議会開催
徳島県に知事同意の協議書を提出するが、
「同意できない」旨の通知
推進協議会の臨時総会において、知事同意の申請を取り下げ、現計画を見直し、新たな事
業計画で事業を推進することを決議
同年5月
地元推進組織の名称を「ゴデレッチョ新町西創造会議」に変更
平成23年5月
ゴデレッチョ新町西創造会議からホール1200席+200席の事業構想案を提出
同年6月
新町西地区市街地再開発準備組合設立
同年8月
法改正により、知事同意が不要になる
同年10月 都市計画手続開始
同年11月 徳島市が明治安田生命ビルを購入
平成24年5月
都市計画素案の縦覧、説明会、公聴会開催
同年11月 都市計画決定告示
平成26年5月
組合設立認可申請
平成26年8月
8月25日付で組合設立認可公告 ⇒ 本組合成立
年表2
平成26年8月25日
平成27年9月4日
同年10月16日
同年10月22日
同年11月4日
同年11月16日
同年11月27日
同年12月1日
同年12月10日
同年12月15日
同年12月20日
平成28年1月20日
同年2月4日
同年2月17日
同年3月27日
同年4月6日
同年4月9日
同年4月18日
同年6月23日
同年8月26日
組合設立認可公告・本組合成立
事業計画の変更を組合臨時総会で可決
事業計画の変更を認可
権利変換計画の縦覧開始(11月4日まで)
権利変換意見書提出
組合審査委員会開催(11月27日まで、3回)
住民訴訟の第一審判決(請求棄却)
住民訴訟の第一審判決を受け、徳島市が、都市計画の変更について県に協議書を
持参(県は受け取りを拒否)
住民訴訟の第一審判決に対し、原告住民側控訴
住民訴訟の第一審判決を受け、徳島市が都市計画変更の素案の縦覧手続を開始
(12月28日まで)
住民訴訟の第一審判決を受け、徳島市が都市計画変更の素案の説明会を開催
住民訴訟の第一審判決を受け、徳島市が都市計画変更の公聴会を開催
権利変換計画について組合臨時総会で可決
組合と徳島市との権利変換計画の事前協議開始
徳島市長選挙にて遠藤氏当選
権利変換計画の認可申請
住民訴訟の第一審判決に対し、原告住民側が控訴を取下げ、第一審判決が確定
遠藤氏、徳島市長就任
権利変換計画の不認可処分
権利変換計画不認可処分・認可義務付け訴訟提起
3
チャート
資料A
再開発事業の仕組み
1.都市計画決定段階
施行区域の決定
徳島市
2.事業計画決定段階
設計の概要
再開発組合成立
権利者A
権利者B
権利者C
権利者D
権利者E
3.権利変換計画認可段階
権利床
保留床
権利者C
売却
権利者B
売却
権利者A
配置設計
※権利者D、権利者Eは転出
4.権利変換期日の到来 ⇒ 着工 ⇒ 完成
4
資料B
(組合施行)再開発事業の手続
再開発事業の計画ドリル(第2版)
(2016 年 4 月)から引用
(一般社団法人 再開発コーディネーター協会 発行)
5
6
資料C
(組合施行)再開発事業の事業スケジュール
再開発事業の計画ドリル(第2版)
(2016 年 4 月)から引用
(一般社団法人 再開発コーディネーター協会 発行)
7
8
資料1
徳島新聞
2016年(平成28年)10月29日
資料2
徳島新聞
2016年(平成28年)11月12日
資料3
徳島新聞
2016年(平成28年)11月16日
資料4
徳島新聞
2016年(平成28年)11月16日
資料5
徳島新聞
2016年(平成28年)11月25日
資料6
徳島新聞
2016年(平成28年)12月23日
資料7
徳島新聞
2017年(平成29年)1月26日
資料8
徳島新聞
2017年(平成29年)2月4日
資料9
朝日新聞
2017年(平成29年)2月3日