3 □ 𝛼= #$ %& ' とする.ただし,𝑖 は虚数単位である.次の問いに答えよ. (1)𝛼 を解にもつような 2 次方程式 𝑥 ' + 𝑝𝑥 + 𝑞 = 0 𝑝, 𝑞は実数 を求めよ. (2)整数 𝑎,𝑏,𝑐 を係数とする 3 次方程式 𝑥 # + 𝑎𝑥 ' + 𝑏𝑥 + 𝑐 = 0 について, 解の 1 つは 𝛼 であり,また 0 ≦ 𝑥 ≦ 1 の範囲に実数解を 1 つもつとする. このような整数の組 (𝑎,𝑏,𝑐) をすべて求めよ. (神戸大) 解法パターン 実数係数の方程式が虚数解 𝛼 をもつときは,共役な複素数 𝛼 も解である! (※共役複素数:a,b を実数,i を虚数とするとき 𝑎 − 𝑏𝑖 を 𝑎 + 𝑏𝑖 = 𝑧 の共役(きょうやく)複素数 といい 𝑧 で表す) <解説> (1)この問題は今回の解法パターンである「実数係数の方程式が虚数解 𝛼 をもつときは,共役な複素 数 𝛼 も解である!」という性質をマスターできているか!?を問う問題であると言っても過言で はありません. 確かに 𝑥 = 𝛼(ただし𝛼 = #$ %& ' ) を解にもつことから 𝑥 = #$ %& ' を 2 次方程式 𝑥 ' + 𝑝𝑥 + 𝑞 = 0 に 代入して方程式を求めるという方法もありますが ※参考までに 𝑥 ' + 𝑝𝑥 + 𝑞 = 0 に 𝑥 = #$√%& ' #$√%& を代入すると > ' ' #$√%& ? +𝑝∙> ' ?+𝑞 =0 左辺を展開し 𝑖 ' = −1 であることを用いて実数の部分と虚数の部分とに分けて整理すると 2 + 6𝑝 + 4𝑞 + (6 + 2𝑝)√7𝑖 = 0 となります. ここで一般に 𝑎 + 𝑏𝑖 = 0 が成り立つとき 𝑎 = 0 かつ 𝑏 = 0 ですから 2 + 6𝑝 + 4𝑞 + (6 + 2𝑝)√7𝑖 = 0 が成り立つとき 2 + 6𝑝 + 4𝑞 = 0 かつ 6 + 2𝑝 = 0 です. この 2 式から 𝑝,𝑞 を求めると 𝑝 = −3,𝑞 = 4 となります. よって求める 2 次方程式は 𝑥 ' − 3𝑥 + 4 = 0 です. この方法だと 𝛼 を解にもつ方程式が 2 次方程式であるならまだしも 3 次方程式や 4 次方程式であ #$ %& る場合 𝛼 # や 𝛼 9 すなわち ' # や #$ %& ' 9 を計算しなければならず,その計算はかなり大 変ですのでお勧めできません. しかし,今回の解法パターンである「実数係数の方程式が虚数解 𝛼 をもつときは,共役な複素数 𝛼 も解である!」 という性質は 3 次方程式であれ 4 次方程式であれ方程式の係数が実数である限りは利用できます のでこれを機会に是非マスターしましょう! 解法パターンに従うと 𝛼 = #$ %& ' を解にもつ 2 次方程式は 𝛼 = #: %& ' も解にもちます. つまり 𝑥 = 𝛼 と 𝑥 = 𝛼 を解にもちます. 一般に 𝑥 = 𝛼 と 𝑥 = 𝛼 を解にもつ 2 次方程式は 𝑥 − 𝛼 𝑥 − 𝛼 = 0 と表せますよね!? 左辺を展開して整理すると 𝑥 ' − 𝛼 + 𝛼 𝑥 + 𝛼𝛼 = 0 となります. ここで 𝛼 = #$ %& ' , 𝛼= #: %& ' ですから 𝛼 + 𝛼 = 3 ,𝛼𝛼 = 4 となります. よって 𝑥 = 𝛼 と 𝑥 = 𝛼 を解にもつ方程式は 𝑥 ' − 3𝑥 + 4 = 0 です. そして,これが求める 2 次方程式です. (答) 𝑥 ' − 3𝑥 + 4 = 0 (2) (1)と同様に解法パターンに従って考えます.与えられた 3 次方程式の解の 1 つが 𝛼 であること から与えられた 3 次方程式は 𝛼 も解にもちます.そこで問題文にある 0 ≦ 𝑥 ≦ 1 の範囲における 実数解を 𝛾 とおくと与えられた 3 次方程式は 𝑥 = 𝛼 と 𝑥 = 𝛼 と 𝑥 = 𝛾 を解にもつことになりま す. ここで一般に 𝑥 = 𝛼 と 𝑥 = 𝛼 と 𝑥 = 𝛾 を解にもつ 3 次方程式は 𝑥 − 𝛼 𝑥 − 𝛼 𝑥 − 𝛾 = 0 と 表せますよね!? 次にこの式の左辺を展開して整理するのですが(1)より 𝑥 − 𝛼 𝑥 − 𝛼 = 𝑥 ' − 3𝑥 + 4 ですので 𝑥 ' − 3𝑥 + 4 𝑥 − 𝛾 = 0 の左辺を展開して整理すると 𝑥 # − 𝛾 + 3 𝑥 ' + 3𝛾 + 4 𝑥 − 4𝛾 = 0 となります. これが問題文にある 𝑥 # + 𝑎𝑥 ' + 𝑏𝑥 + 𝑐 = 0 に一致するので (※2 つの式が一致するとは 2 つの式が全く同じ式になるということです) これら 2 つの式の係数を比較することにより 𝑎 = − 𝛾 + 3 ・・・① かつ 𝑏 = 3𝛾 + 4 ・・・② か つ 𝑐 = −4𝛾 ・・・③ であることが分かります. この問題において求めるのは 𝑎,𝑏,𝑐 の値なのですが 𝑎,𝑏,𝑐 にはすべて整数であるという条 件がついています. よって①〜③から 𝑎,𝑏,𝑐 が整数となるような 𝛾 の値を求めます. ただし 𝛾 は上述のように 0 ≦ 𝑥 ≦ 1 の範囲における実数解をおいたものですから 0 ≦ 𝛾 ≦ 1 で す. まず①において 𝑎 が整数となるためには 𝛾 は整数でなければなりません. ( 𝛾 が分数や小数や無 理数だと 𝑎 は整数になりませんよね!?) ここで 0 ≦ 𝛾 ≦ 1 ですから 𝛾 = 0 または 𝛾 = 1 です. そして 𝛾 = 0 と 𝛾 = 1 のそれぞれの場合について考えます. ( i )𝛾 = 0 のとき (ii)𝛾 = 1 のとき ①より 𝑎 = −3 ,②より 𝑏 = 4 ,③より 𝑐 = 0 ①より 𝑎 = −4 ,②より 𝑏 = 7 ,③より 𝑐 = −4 これらはすべて 𝑎,𝑏,𝑐 が整数であるという条件をみたしています. よって( i ),(ii)から求める整数の組 𝑎,𝑏,𝑐 は 𝑎,𝑏,𝑐 = −3,4,0 , −4,7, − 4 となります. (答) 𝑎,𝑏,𝑐 = −3,4,0 , −4,7, − 4
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