ベルが異世界の自分を知ってチートなのは間違いだろうか

ベルが異世界の自分を知ってチートなのは間違いだろうか。
暇人
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じます。
︻あらすじ︼
ベルくんが中の人繋がりで能力を得たらこうなる筈。
妄想ネタ。駄文。原作崩壊。
5話から自分なりに地の文頑張ります。
おかしいと思ったらビシビシ指摘してください。
※この作品ではフレイヤ=シル説を採用しています。
どうせやる事は変わりませんが把握よろしくお願いします。
原作前
││││││││││
目 次 僕も彼等のような主人公になりたい
1
たみたいだ。 │││││││││││││││││││││
僕は神様の事が大好き
│││││││││││││││││││││││││
ダンジョンでスキルを試したりしたよ
です
│││││││
││││││││
僕がダンジョンに潜るのは間違いだろうか
50階層で無双するのは間違いだろうか
いいや間違
│││
││││││││││
│││││││││││││││││││││
ダンジョンで女の子を助けるのは間違いだろうか
いじゃない
1巻
12
20
24
!
?
受難。女神の疼き。ロリ巨乳と兎。 ││││││││││││
ベルの長い一日の始まり。 │││││││││││││││
神の宴 x ソーマ・ファミリア x 歓楽街 ││││││
神々の修羅場。リリの受難再び。 ││││││││││││
イシュタル x 黄金の剣 x 悪意 ││││││││││
50階層でイシュタルと。そして女神達と話し合い ││││
その後 x 改宗 x 動き出す者たち │││││││││
111 106 101 94
83
79
67
と あ る 受 付 嬢 の 受 難。無 乳 と 兎。薄 汚 い 少 女。マ ス タ ー ス ミ ス の
巨人を倒して、糞犬と殴り合いのは間違いだろうか
女の子を口説くのは間違いだろうか
!
5
神様に恩恵を授かったのはいいけど、ビーターならぬチーターだっ
!
?
33
?
?
39
54
?
!
原作前
僕も彼等のような主人公になりたい
ベル・クラネルは物心ついた時から、ある夢を観ていた。
その夢は一つではなかった。
A
Oというゲーム内での出来事。
ソードアート・オンライン
S
今いる世界よりも文明が進んでいる世界。
ゲームと呼ぶ娯楽が存在している世界で、仮想世界に囚われて始ま
る物語。
HP0が本当に死を招くデスゲーム。
出会いと別れを経験した。
その世界で僕はゲームをクリアした黒の剣士と呼ばれていた。
その世界での名前はキャラ名はキリト、本名は桐ケ谷和人。
文明はこの世界より進んでいた。
この世界には神がいるがこの夢では、悪魔や天使や妖怪等が存在す
る世界で僕は神父だった。
教会と呼ばれる場所で僕は狂わされた。訓練という名目で人体実
験ばかりだった。
そして僕は悪魔に斬られて死んだ。僕は屑で外道で自業自得な末
路だった。
その世界での名前はフリード・セルゼンだった。
A
空白
Oがある世界に似た世界。
ソードアート・オンライン
S
そこでの僕は天才の妹が居て、
﹃﹄と呼ばれた天才ゲーマー兄妹だっ
た。
何故か、遊戯の神テトに呼ばれるがままにディスボードと呼ばれる
異世界に行ってしまった。
そこで僕は勝ち続ける。そこで娘もできた。
その世界での名前は空。
1
!
桐ケ谷和人の時や空だった時よりも近未来的な世界。
神や悪魔なんて存在しない世界で、その世界には魔法が存在してい
た。
僕は十師族という序列がある家系に生まれた。
そして自分が生まれた祖国を守るために戦った。
僕は一族の魔法﹃爆裂﹄で何人もの敵を葬った。
戦場を血の赤に染め上げて、僕は一条のクリムゾン・プリンスと呼
ばれた。
でもモノリス・コードと呼ばれる競技で僕は司波達也に勝てなかっ
た。
彼の妹の司波深雪が当主に着くときに、告白したが玉砕した。
その世界での名前は一条 将輝。
その世界での僕が生まれた国は腐っていた。文明はこの世界と同
程度。
大臣が皇帝の権力を傀儡にして圧政を敷いていた世界。
僕は殺し屋集団のナイトレイドに居た。
一兵卒時代に惚れた将軍について行って、僕は戦った。
でも親友と一緒に捕らわれて、俺は大臣の息子は葬ったが結局死ん
でしまった。
告白すらしていなかったことを後悔した。
その世界での僕の名前はラバック。
その世界では妹を殺された。文明も他と同様進んでいた。
ブレイズ
僕は復讐を誓って生きた。唯、力を求めて。
イレギュラー
僕の魂を具現化した焔牙は本来なら武器だが楯だった。
そして僕は異 能と呼ばれた。
こ こ の え と お る
仇と戦ったが僕は腕ごと斬られて敗北した。
その世界での名前は九重 透流。
2
その世界は突如現れたドラゴン達の脅威があった世界。
文明はこの世界より進んでいた。
僕は世界でただ一人の男のDだった。
も の の べ ゆ う
そして記憶を対価に力を貰い、ドラゴン達と戦った。
その世界での名前は物部 悠。
その世界は魔甲蟲と呼ばれる生き物が地上を蹂躙し、地上が住めな
くなった世界。
文明はここよりも進んでいた。
ク
ロ
ノ
ス
そこで僕は魔甲蟲と唯一戦える空戦魔導士なり、エースだった。二
つ名は黒の剣聖
ある事件を切っ掛けに僕は裏切り者呼ばわりされた。
裏切り者という言葉が絶対に間違っている世界。
その世界での名前はカナタ・エイジ。
その世界は精霊がいる世界。
教導院と呼ばれる暗殺者を育てる場所で育った。
この世界の僕は自信過剰で自惚れていて﹃魔王の後継者﹄を自称し
ていた。
でも本当の魔王の後継者に腕を斬られ、牢屋に打ち込まれた。
この世界での名前はジオ・インザーギ。
この世界での僕は自称、魔王の後継者なんかではなく本物の魔王候
補だった。
その世界は魔法が存在して、伝説の魔道書を所持して魔道士をして
いた。
ちなみにこの世界の僕は胸ばっかり揉んでいた。ちょっとスケベ。
カンピオーネ
その世界での名前は春日 アラタ。
この世界の僕は神殺しだった。
ふと、イタリアに行くと神々の戦いに巻き込まれペルシャの軍神ウ
3
ルスラグナを倒し、権能を簒奪した。
神殺しになって、なんやかんやで僕の周りに美少女のハーレムが出
来ていた。
普段の日常でもイチャイチャしっぱなしで、栃木に行った時は5人
であんな事までしていた。
まさに魔王そして暴君。最後の王が物凄く強かった。
この世界での名前は草薙 護堂。
その他にも料理のエリート校に入ったり、パンツにやたら執着する
漫画家というこの世界にはない職業に就いていた。
異世界の僕は屑だったり、情強と信じていたり、カッコ良かったり
する。
僕も彼等のようになりたい
祖父が死に、天涯孤独の身になって僕は迷宮都市オラリオに僕は向
かった。
祖父は言っていた。
﹁オラリオには金も美女との出会いも何でも揃っている。
美人の女神のファミリアに入るのもよし、﹃英雄にもなれる。覚悟
があれば行け﹄とずっと言っていた。
僕はこの世界で英雄になりたい。
ダンジョンで素敵な女性と出会いたい
僕の女神ヘスティアに。
遂に出会った。
僕は再び眷属に入れてもらう為にオラリアを歩き回っていた時に
れない。空のように。
えた方がいいらしい。確かに人を疑うことから始めてもいいかもし
そして宿屋のおじさんに金を返して貰った。僕も人を疑う事を覚
こんな僕をファミリアに入れても役に立たないからだ。
でも全て断られた。
その一心でファミリアに入れてもらおうと、僕は街を駆け回った。
!
4
!
﹂
神様に恩恵を授かったのはいいけど、ビーターならぬ
チーターだったみたいだ。
﹂
﹁よし、それじゃあ恩恵を刻むよ
﹁お願いします
︻異界英雄アナザー・ヒーローズ︼
・彼等の夢を見続ける。
・憧れ続ければ効果持続。
・早熟する。
︻主役願望ヒーローズ・ビジョン︼
︽スキル︾
︻︼
︽魔法︾
魔力:I 0
敏捷:I 10
器用:I 10
耐久:I 10
力:I 10
Lv.1
ベル・クラネル
に神の血を垂らした。
ティアが乗っており、ヘスティアが自分の指を針で刺すとベルの背中
ベルは上半身裸でベッドにうつ伏せになって、背中には女神ヘス
!
・異なる世界の自分自身の能力を使う事が出来る。
・人格に影響が出る。
草薙 護堂
・勝者。神殺し。
・豪運。
・超直感。
5
!
・魔術無効。例外あり。
・闘争心に正比例して勘や反射神経と云った集中力とコンディショ
ンが最良に近づく。
・瀕死時における全アビリティ能力の超高補正。
・近くにいる神を探知する。そして闘争心を剥き出し、臨戦態勢に
なる。
・軍神ウルスラグナ10の権能が使用可能。制限あり。
桐ヶ谷 和人
・超反応。
・ソードスキルを使用可能。
・インベントリ使用可能。
・ゲーム廃人
・心意
空
・近未来予知。
・イカサマ成功率上昇。
・ゲーム廃人
・観察眼
・知力が大幅に上昇する。
ラバック
・千変万化クローステールを再現可能。
九重透流
・盾の焔牙を使用可能。
・身体能力が上昇する。
物部悠
・架空武装を使用可能。
・物質変換を使用可能。
・クリア・ドラゴン
カナタ・エイジ
・魔力を使用可能。
・崩力を使用可能。
6
・冥力を使用可能。
・絶力を使用可能。
春日アラタ
・アスティルの写本を使用可能。
・イーリアス断章を使用可能。
・アストラル・トリニティ
一条 将輝
・魔法を使用可能。
フリード・セルゼン
・精神干渉無効。
・人格破綻者
ジオ・インザーギ
・呪装刻印。精霊を身体に封じることが可能。
・狂王精霊。精霊を強制的に従わせる事が出来る。
幸平 創真
・大衆料理を再現する。
・創作料理を再現する。
・料理の腕が上昇する。
桐原 静矢
・固有霊装を使用可能。
・伐刀絶技を使用可能。
愛徒 勇気
・服の上からでも女性の胸のカップが分かる。
・見ただけでその女性の好きな下着のタイプが分かる。
・画力が上昇する。
雪村 透
・射撃能力が上昇する。
・画力が上昇する。
宮代 拓留
・妄想の具現化
7
﹁うひゃあ
﹂
突然、ベルの背中越しに座っていたヘスティアが悲鳴を上げる。そ
のままヘスティアは余りに驚いたのか、後ろ向きでベッドから落ちて
しまった。
どうかしたんですか
﹂
ベルは慌てて起き上がり、倒れているヘスティアに近付いて声を掛
けた。
﹁大丈夫ですか神様
?
黙っていたが10秒程で目を開けた。
﹂
﹁正直に言うとねベル君のスキルが異常なんだよ
﹁どういうことですか
!
﹁でもねベル君
﹂
他の神々は娯楽に飢えている。レアスキル持ちだ
ヘスティアは大きく頷く。
のスキルなんですね
﹁そうなんですか。主役願望に異界英雄か。じゃあこの二つは僕だけ
う。今まで確認されてない初めてのスキルなんだよ﹂
知らない物だ。多分だけどこの二つのスキルは﹃レアスキル﹄だと思
連のスキルに、ドワーフが力関連の様に。でもベル君のスキルは僕が
ば鍛治師には鍛治スキルの様にね。種族で言うならエルフが魔法関
﹁普通はね、スキルは他人と似ているケースの方が多いんだよ。例え
ティアは軽く咳をすると、丁寧に説明を始めた。
ヘスティアの凄まじい形相に、ベルは驚きながら質問した。ヘス
?
﹂
ヘスティアは目を閉じて倒れながら、ベタに悩めるポーズをして
?
?
大手のファミリアがちょっかい掛けて来た
!
﹂
二人で一緒に頑張り
!
スティアの顔は少し赤くなっていた。
ベルはヘスティアの小さな両手を握り締め、その言葉を告げた。ヘ
ましょう、神様
と、このヘスティア・ファミリアを守ります
どんな理不尽が襲ってきても、ずっと貴女の側に居ます。僕が貴女
﹁僕は... ﹃ヘスティア・ファミリア﹄所属のベル・クラネル。例え
ら僕の力では君を守れないんだよ... ﹂
るかもしれないんだ
と知らてしまえば、馬鹿な神々は君を手に入れようと色々な手段に出
!
!
8
!
﹁そうだね
﹂
﹂
二人でこの﹃ヘスティア・ファミリア﹄を大きくして、
神様
オラリオの頂点を目指すぞぉ
﹁はい
た。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルはヘスティアと、昨日の宴
に向かっていた。
の残り物で朝食を摂ってギルド
ヘスティアはベルの頬にキスをすると、ベルに抱き着き瞳を閉じ
﹁ベル君は誰にも渡さないよ...﹂
既に眠っているベルの頭を撫でながら、自分の想いを吐き出す。
は僕の﹃ファミリア﹄なんだから︶
︵僕がベル君を守る為には...ファミリアを大きくする事だ。ベル君
ヘスティアはこの日決心した。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
で、ベルはヘスティアに熱烈に歓迎された。
この後、ヘスティアがアルバイト先からお持ち帰りしたジャガ丸君
!
!
!
徒歩、約10分程でギルドに着いた。
うのか想像しながら歩いていた為、顔が少しニヤけていた。
ベルはすれ違う女性冒険者達のカップを測り、そしてどの下着が合
て、目の保養にもなるし︶
︵人 が 一 杯 居 る な ぁ。僕 の 村 と は 大 違 い だ。そ れ に 可 愛 い 子 も 多 く
が聞こえる。
今日の天気は雲一つない快晴。歩いていると色々な方向から会話
?
9
!
﹁こ こ か ぁ。こ の ギ ル ド 会 館 も 大 き い け ど、ア イ ン ク ラ ッ ド を ダ イ
エットさせたみたいな塔のバベルも大きいなぁ。流石、迷宮都市オラ
リオ﹂
ベルは人を避けながら、ギルド会館の中に入って行き、受付と書い
てある場所を探して、そこに向かった。受付には、眼鏡を掛けた綺麗
なエルフの女性が居た。
﹁す い ま せ ん。冒 険 者 登 録 を し た い ん で す け ど お 願 い 出 来 ま す か
﹂
﹂
︵エイナさんの中の人はアスナ でも僕みたいに夢を見てる訳ない
スナに見えた。
と正直に思った。でも同時に彼女の声に聞き覚えがあり、一瞬だけア
エイナはニッコリと微笑んだ。それを見たベルは明るくて可愛い
ら貴方のアドバイザーになりました。それで君は何君かな
﹁待たせてごめんなさい。私の名前はエイナ・チュールです。今日か
類を持って来た。
ファーに座り込んだ。一分もしないうちに先程のエルフの女性が書
ベ ル は 言 わ れ た 通 り に、入 り 口 の 横 に あ る 席 に 向 か い そ こ の ソ
ください。書類をお持ちしますので﹂
﹁新規冒険者登録の方ですね。それでは彼方の席で少しの間待ってて
?
ます、エイナさん
﹂
リア﹄を記入してね﹂
︶
ベルはエイナの年齢を聞き出そうとしたが辞めた。
︵今でなくてもいいよね。チャンスはある筈だし
た。
﹂
エイナはベルの書き込んだ書類に、不備が無いかチェックを始め
﹁これでいいですか
ベルは言われた通りに、書類に必要な事を記入した。
!
10
?
﹁僕の名前はベル・クラネルです。歳は14です。よろしくお願いし
ベルは考えた事を胸の奥にしまい、自己紹介をした。
よね。それに見間違いかもしれない︶
!?
﹁ベル君か。年下だね。それじゃあこの書類に名前と所属の﹃ファミ
!
?
いいね
﹂
﹁うん、問題無いね。それじゃあ次は冒険者としての常識と心得を、私
が説明するからね。覚悟して聞くこと
ベルは心の中では、早くダンジョンでスキルを試したくてウズウズ
?
していたが、このイベントは絶対に必要な情報だと判断したので、元
気良く頷いた。
11
!
ダンジョンでスキルを試したりしたよ
の事が大好きです
た。
﹁神様はバイトに行ったのか。なら、好都合だね
僕 は 神 様
﹂
ベルは廃教会に帰って来た。中に入るが、そこには誰も居なかっ
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルの脚が更に早くなった。
世界の彼等の様に成れると思うと、胸が躍る。
しかし、まずはスキルで装備を創造しなければならない。自分が異
かって浅い階層でスキルを試す。
まずは今日の予定からだ。装備をスキルで創造し、ダンジョンに向
内では常人以上の思考速度で考え事をしていた。
しかし、すれ違う女性のバストと下着姿を想像する事を忘れずに脳
ベルは走り出した。
物を使う気なんて更々無かった。
エイナからギルドから支給されたナイフがあるが、ベルはこんな安
ばいけないからだ。
まず、ベルは一先ず、廃教会に帰ることにした。装備を揃えなけれ
自分に素直だった。
従い、別世界の自分に憧れたからだ。ベル・クラネルは良くも悪くも
何故、彼は冒険者になったのか。それは敬愛している祖父の遺言に
この日この時刻を以って、ベル・クラネルは冒険者になった。
!
ありとあらゆる物質や現象に変化することができ、最も応用範囲が広
ベルは、物部 悠のスキル物質変換を使用した。この世界における
ベルは更に地下に降りる。そこには貧相な家具しか並んでいない。
!
12
!
い物質転換は空気で、指向性や圧縮率を変換時に調整すれば、攻撃だ
けでなく防御や移動にも使用することができる。
そして空気をミスリルに精製し、その形をキリト最盛期の愛剣を創
造した。
エリシュデータとダークリパルサーを。
この世界の最硬の金属はアダマンタイトという鉱石らしい。そし
てミスリルの鉱石もあるという。
しかし物部 悠で精製したミスリルは、上位元素を用いることでし
か作ることができない。理論上は最も頑丈で安定した物質で、生成に
失敗しても比重が異なったり近い金属に変換する程度になる。
即ち、理論上はアダマンタイトよりも硬く、スキルを使用すれば何
回でも武器を創造する事が出来るという反則行為も可能だ。
奮していた。
﹂
﹁後はダンジョンに潜って、雑魚モンスターを実験台に自分のスキル
を試そう
ベルは身だしなみを一通り整え、廃教会を飛び出した。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
13
勿論、アダマンタイトを精製する事可能だが、今はまだ比率が分か
らない為断念した。幸いにも神様は﹃鍛治ファミリア﹄の主神ヘファ
天 叢 雲 剣 も 捨 て が た い け ど...次 は 服 装
イストス様と神友らしいので暇な時にでも会いに行こう。
﹁や っ ぱ り こ れ だ よ ね
か﹂
これでキリトRPが出来る
!
の愛着であるブラックウィルム・コート。
﹁やったぁ
﹂
ベルは上位元素で再び、物質変換をする。次に創造したのはキリト
!
ベルは部屋にある小さな鏡でポーズを取る。その姿を見て、更に興
!
!
ベルは一階層に来ていた。
エイナさんの説明によると、この階層にはコボルドとゴブリンが生
息していると聞いた。
︵現在のステイタスは最弱だけど、スキルのお陰で... ︶
キリトの超反応でモンスター達の動きが遅い。行動を後から目で
追えている。そして空の近未来予知並みの観察眼のお陰で、次にどの
いや、僕が速いのか﹂
様な行動をするのか分かってしまう。
﹁遅過ぎるし、次は右からの後ろ
﹁次は僕の番だよ
僕は何てチートなんだ
そして超直感のお陰で、後ろからの不意打ちにも気付いてしまう。
!
ら面で気化させることが出来る。
デメリットは一応存在する。単体にしか作用出来ない。劣化版な
て爆発する。
対象内部の液体を瞬時に気化させる魔法で、生物ならば体液が気化し
爆 裂。一 条 将 輝 の 必 殺 技 と 言 っ て も 過 言 で は な い 魔 法。内 容 は
ざす。
新たに壁から生まれてくるモンスター達。それに向けて右手をか
﹁でも魔法なら関係ないよね﹂
速度に追従出来ていなかった。
キリトの動きは再現は可能だが、ベル・クラネルの身体がその反応
な∼ ﹂
﹁反応速度は申し分無いんだけど、身体が反応速度に追い付いてない
目が即死して次々と残ったモンスター達を切り刻む。
それは一瞬。目の前に居るモンスター達は反応出来ないまま、一体
ヴォーパル・ストライク
速した。
ベルはキリトが使っていた愛剣を二つ抜き、一気に踏み込んで、加
?
﹁CADが無いから発動に2秒掛かるな。この魔法の理屈は分かって
14
!
るからアスティルの写本でCADの代用するとして...﹂
試す事はまだ沢山ある。
一つ一つのスキルをちゃんと確認していこう。ベルは再び誕生し
たモンスター達を蹂躙していった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルはギルドで魔石を換金していた。今日の稼ぎは800程度だ。
ベルの攻撃が苛烈すぎて魔石の事を考えずにモンスターを虐殺した
結果だ。
﹁まっ、最初はこんなもんだよね﹂
ベルは急いでいた。原因はこの格好だ。エイナさんに見つかった
﹂
﹂
険者が数時間に会ったら立派な装備を持ってたら、尋ねるのは必然
だ。
﹁僕の自慢の相棒です
それによく見たら防具を付
あれ程言い聞かせたのに...ベル君、ちょっ
!
帰ることを。
﹂
ベルは後悔していた。ただ、質問されるのが面倒で早くギルドから
とお話ししようか
けてないじゃないの
者なんだからね 無理は禁物だよ
﹁ベル君。立派な武器を持っていても使い手はLv1の駆け出し冒険
の姿がアスナに見えてしまうからだ。
ベルはエイナに嘘は付きたくなかった。何故か分からないが、彼女
!
!
!
?
15
ら質問責めされる筈だ。換金を済ませて廃教会に帰ろうとしたら、声
その立派な武器は何かな
を掛けられた。
﹁ベル君
?
エイナさんの気持ちも分からなくは無い。自分が担当している冒
?
エイナさんは綺麗だし、胸は大きいし、お尻も引き締まっている。
声も心地良くて嫌味が無い。
抱けるかと聞かれればYes
結婚出来るかと聞かれればYes
子供を作るれるかと聞かれればYes
顔なのかな
︶
と・に・か・く
﹂
﹂
ナイスな展開じゃないか
︶
今度の私の休み日に防具を一緒に
﹁もう。こっちは真剣に話をしているのに、何でベル君はそんなに笑
説教されるのはそそる
︵エイナさんみたいな美人に心配されるのは嬉しいし、それに美人に
ベルは終始笑顔だった。
ベルはエイナに談話室に連れ込まれ、小一時間程説教された。でも
!
!
!
!
約束だからね
エイナさん
観に行くからね
﹁はい
︵これってデートだよね
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
!
?
﹂
!
﹂
怪我とかは無いかい さあさあ今日も奮発し
てジャガ丸君のフルコースだ
?
この話題になった。
﹁ベル君。スキルの事を教えてくれないか
?
ベルは今日得た成果からヘスティアに報告を始めた。
僕は何のことかさっぱりだぜ﹂
あんな単純な説明じゃ
二人は食事を終えるのは、そんなに時間はかからなかった。そして
ベルは、またかと思ったがそれもいいと思った。
!
﹁おかえりベル君
すると地下からヘスティアが走って向かって来た。
ベルは腹の底から声を出す。
﹁神様、ただいまです
ベルは廃教会に帰って来た。日は既に落ちて夜になっていた。
!
!
!
!
16
!
?
!
﹁そうですよね。まず、常時発動と任意発動のスキルが複数あります。
常時発動には超反応や超直感や観察眼などがあります。効果はその
文字が表す通りです。しかし任意発動のスキルは非常に個性的な構
成になってます﹂
ベルは任意発動のスキルの詳細を語り出した。
ソードスキルは剣の技を使用できる。インベントリは一枠のアイ
テムを99まで所有出来る。まだまだ総アイテム限界を検証しなけ
ればならない。
伐刀絶技は完全ステルスの能力と自分に有利な森などを創造する
能力。
アスティルの写本は魔法のコピーなどが可能。イーリアス断章は
解読や補助。
盾の焔牙は魂を具現化した武器。破壊されると気絶する。
主神だからだ。きっと理解してくれると信じたい。
ベルは語り出した。
それぞれが別の世界。人種や立場が違う。その夢は進行形で毎日
取り敢えず、君が迷宮都市オ
見ていることを。最近の夢は空でジブリールにゲームで負けたこと
だ。
﹁大丈夫だぜベル君大体把握したぜ
!
17
架空武装は99%を上位元素で構成され、1%が物質化した武器。
使 用 方 法 を 挙 げ る な ら 魔 法 を イ メ ー ジ し て 使 用 す る の が セ オ リ ー。
槍で陽電子砲を撃つなど。基本なんでもあり。
物質変換は上位元素を使用して、別の物質や現象に変換することが
できる。
ウルスラグナって
軍神ウルスラグナ10の権能はその名の通りでウルスラグナの力
特に一番最後
を振るうことが出来る。しかし制限付き。
﹁聞けば聞くだけ可笑しいよ
正義の軍神じゃないか﹂
!
ベルは、ヘスティアに夢の話をしようと思っていた。彼女は自分の
!
﹂
ラリオのナンバーワンだ
いてくれぇ
﹁はいはい﹂
だから僕を大手ファミリアの主神に導
!
﹂
﹂
!
どうゆうことかなベル君
てステイタスを更新しようとしたが...
﹁えぇ∼
﹂
と魔術や魔法を受け付けないんです
﹂
﹁スキルで魔術無効があるんです。そ、そのですね...キスじゃない
!?
﹁ステイタスの更新が出来ないぜ
!
ベルの心配が現実になった瞬間だった。
﹂
ヘスティアが自分の人差し指に針を指して、神の血を垂らす。そし
は冒険者としては致命的な問題なのだ。
スティアが乗る形になる。しかし、ベルには不安な事があった。それ
ベルは上着を脱いで、ベッドにうつ伏せになった。ベルのお尻にヘ
﹁はい
﹁それじゃあ、ステイタス更新しようじゃないか
てこの﹃ファミリア﹄をオラリア一番にするのも目標にしているかだ。
ベルは抱きついて来たヘスティアの頭を優しく撫でる。ベルだっ
!
!
﹂
?
﹂
!
舌を出すんだ
﹂
!
は神の血を垂らす。そしてベルは血を飲む。ヘスティアの血がベル
ベルはヘスティアに言われた通りに、舌を出し、そこにヘスティア
﹁ベル君
をしなければいけないか理解していた。だから彼女は覚悟を決めた。
ヘスティアはステイタスが更新出来なければどれだけ不便な思い
タスを更新すれば可能性はあります
﹁神様の血を僕が飲み込んで、神様の舌で僕の身体の内側からステイ
タス更新出来るのかな
﹁じゃ、じゃあ。僕の血をベル君に飲ませて... キスすればステイ
いと魔術の類を無効にされてしまうなんて。
スキルがある﹃レアスキル﹄を発言しただけかと思えば、キスじゃな
て前代未聞な出来事だ。ただでさえ、早熟するスキルとスキルの中に
ヘスティアは驚くしかなかった。ステイタスを更新出来ないなん
!
!
18
!
﹂
の舌に広がり、飲み込んだことにより食堂を流れていく。
﹂
﹁ベル君。僕が君を一人前にしてやるぜ
﹁大好きです神様
﹁ベル君。ステイタスの更新は
ん、んっ
﹂
人は口元をたっぷりと濡らしながら、キスに夢中になっていた。
二人の唇を端から唾液が零れしまう程に濃密なキスを繰り返し、二
ばれていた。
て、ベルはヘスティアの口内を蹂躙する。ヘスティアの舌はベルに弄
ティアがステイタスを更新する為に必死にキスをしているのに対し
異世界で経験豊富なベルがヘスティアの舌に執拗に絡み付く。ヘス
ヘスティアは初めての経験なので、舌の動きはぎこちない。しかし
ベルの背中にあるステイタスが熱を帯びた。
んて存在しなかった。
更にベルの唇を自分の口で丁寧になぞる。二人の唇の間には隙間な
ヘスティアは唇を開き、今度はベルの口を塞ぐようにキスをした。
スティアの口が塞がれる。しかしヘスティアは受け身にならない。
ベルは自分の唇をヘスティアの唇に被せるように押し付ける。ヘ
!
!
嫌いですか
﹂
﹁神様。僕は貴女の事が大好きです。愛しています。神様は僕の事は
いた。それに欲望が爆発してしまった。
ベルは常時発動の神殺しのスキルで、心が滾って臨戦態勢になって
うとしたが、ベルは再びヘスティアの口元を塞ぎ、押し倒した。
ヘスティアはベルのステイタスの更新を終えたのでキスを終えよ
!
イと思ってもいた。そんな風に言われたら断れないじゃないか。
もう。甘えん坊な子供をあやすの
﹁ベル君、君はズルイよ。僕が君を嫌いなわけ無いじゃないか。寧ろ
僕もベル君の事が大好きだぜ
も主神の役目だね。おいでベル君... ﹂
?
19
!
ヘスティアはベルの言葉に嘘が無いことが分かった。しかし、ズル
?
僕がダンジョンに潜るのは間違いだろうか
よ
﹂
﹁逆に嫌いな男なんているんですかね
僕は神様の胸は大好きです
﹁まさかベル君がおっぱい魔人だったなんて知らなかったよ﹂
?
﹂
良く数分で洗い終えた。
﹁本当に行くのかい
﹁僕がやらなければ誰がやるんですか
﹁無茶だけはしちゃダメだからなぁ
﹂
﹁それじゃあ行って来ます。お元気で﹂
ベルとヘスティアは口惜しそうに距離を取る。
た10秒程度の時間が数時間にも感じられた。
ヘスティアが少しだけ抵抗したが、すぐにベルを受け入れた。たっ
﹁ん、んっ﹂
た。そしてベルはヘスティアを無理矢理抱き締め、唇を奪う。
ベルはヘスティアの頭を優しく撫で、ヘスティアは頬を赤くさせ
うって約束したじゃないですか﹂
それに、昨日の夜に僕が養
ベルは食事を食べ終えた後、汚れた皿を洗い場に持っていき、手際
を残さず食べた。
りした特製ヘスティア風ジャガ丸君達。ベルは愚痴一つ言わず、料理
二人は朝食を食べていた。ジャガ丸君を焼いたり、蒸したり、煮た
?
?
?
プアイテムが確定で落ちるその光景は、まさに異様と言える。インベ
モンスター達を問答無用で蹂躙し、カンピオーネの豪運によりドロッ
あれから3日でベルは50階層に到達した。数多の階層主を含む
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
振り返した。
ヘスティアは大声を出して手を振り、ベルは笑顔を浮かべて、手を
!
20
!
ントリのお陰で魔石や各種ドロップアイテムは全て確保していた。
彼のダンジョン爆進を支えたのは、超反応や超直感などの常時発動
スキルのお陰でもあるが、彼が上位元素で生成した結晶を心意のスキ
ルを利用して効果を付属した特殊結晶も彼を支えた。
本来はSAOにしか存在しない回復結晶や解毒結晶などのアイテ
ムを作り出し、それに効果を付属して完成する。
﹂
回復結晶を使えば、どんな怪我も体力も即座に回復する。
﹁ここをキャンプ地とする
ベルは大声をで叫ぶが、この階層には冒険者どころかモンスターす
らいない。ここは安全階層だからだ。
﹁家でも作るか﹂
ベルはそう言って、上位元素でファフニール世界のミスリル製で家
を作成した。
中には上位元素で作成した家具なども置いてある。
そしてベルは低反発のベッドに横になり、ヘスティアの事を考えて
いた。
︵禁欲して1週間。早くヘスティア抱きたいなぁ。でもその前に極貧
生活を抜け出さないとね。あぁ愛しのおっぱい。おっぱいといえば
エイナさんのも中々のものだったなぁ︶
ベルは女体の神秘に考え出したが、その真理には到達出来なかっ
た。
それから家を建築したベルは、51階層から57階層にいる竜達の
虐殺を毎日繰り返していた。
彼の任意発動スキルで戦闘チートなのが桐原静矢の完全ステルス。
如何なる手段を持ってしても、補足出来ないチートスキル。
完全ステルスによる奇襲攻撃による致命傷でモンスター達は為す
術もなく、ベルに蹂躙され続けた。
21
!
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルがダンジョンに篭って、1ヶ月が経った。ベルは50階層に家
を建ててから、モンスターの虐殺と並行して家周辺に18階層から
持ってきた果物の種を植えて育てていた。この50階層はそこまで
明るくは無い。しかしベルが家の周辺を綺麗にし、周りに大型の魔石
灯りを周囲に建てていた為、だいぶ明るくなった。
︶
そして可愛い子はいるのだろうか
丁度、ベルが種植えをしていたら49層から冒険者の集団が降りて
きた。
︵どこのファミリアだろうか
取り敢えず、歓迎しよう。寛大にな
貧 相 な 身 体 を し た ア マ ゾ ネ ス が 指 差 す 方 向 か ら 人 が 歩 い て い た。
﹁団長。誰かこっちに来るよ∼﹂
り、そして緑が増えており一軒家も確認出来る。
空間の彼方此方に魔石灯が設置され、階層全体が明るくなってお
ら50階層が以前訪れた時と全く景色が変わっていたからだ。
しかし、ロキ・ファミリアの面々は驚きを隠せないでいた。何故な
程だ。
模と質共にもう一つの最大派閥のフレイヤ・ファミリアと肩を並べる
ロキ・ファミリアは迷宮都市オラリオの最大派閥の一つである。規
?
ファミリア全員が身構えるが、現れたのは白髪のひ弱そうな冒険者
だった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
22
!
?
﹁皆さん初めまして。僕は﹃ヘスティア・ファミリア﹄のベル・クラネ
ルです。説得力は皆無ですけど僕は怪しい冒険者じゃないです﹂
ベルは武器を持たずに、安物の作業着で両手を上げていた。フィン
は周りの仲間に目配りすると、皆は警戒を解いた。
﹁初めましてベル・クラネル君。僕達は﹃ロキ・ファミリア﹄で、僕が
﹂
団長のフィン・ディムナだ。単刀直入で悪いが、この階層をこんな風
にしたのは君かな
﹁そうです。僕がこの階層を他の冒険者達に少しでも過ごしやすい環
境に整えました﹂
見当たらない様だけ
それを聞いたフィン達は驚きを隠せないでいた。しかしその後、更
に驚く事になる。
﹁君はパーティーでここまで来ているのかな
﹂
ど。それとも置いていかれたのかい
そして﹃ヘスティア・ファミリ
﹁僕にパーティーなんて居ませんよ
?
あんな弱そうな奴が﹃ロキ・ファミリア﹄の上位冒険者より
問攻めしたが、頑丈そうな家に逃げ込まれてしまった。そしてロキ・
先程の少年が爆弾発言をした後に、ロキ・ファミリアの幹部達は質
﹁黙れ糞アマゾネス共﹂
から仕方ないわ﹂
﹁よしなさい。こんな時ぐらいしか、話しかけれないのよ。軟弱狼だ
﹁うわっ、直ぐにアイズに話しかけるベートキモい﹂
強いなんてありえねぇだろ。そうだろアイズ﹂
﹁団長
ロキ・ファミリアは50階層をキャンプ地としていた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ア﹄は僕だけですし﹂
?
ファミリアは食事を取った後に、明日に備えて睡眠を取った。
23
?
?
!
50階層で無双するのは間違いだろうか
50階層。そこは迷宮都市オラリオのダンジョン内にて現時点で
最前線の安全階層だ。地面には大型の魔灯製品が多数設置されてお
り、以前の天井からの僅かな灯りをしか存在しなかった時と比べると
凄まじい変化だった。
その階層には迷宮都市オラリオが誇る大手の探索系ファミリア﹃ロ
キ・ファミリア﹄が滞在していた。彼等の目的は未開拓階層に到達す
る為の下準備だった。ここまでの道程の障害になる迷宮の孤王達を
撃破し、それと同時に多数のクエストの依頼を成功させ、次の未開拓
階層に到達する為の大規模な準備。そしてその下準備は最終段階に
入っていた。
﹁僕 達 の 最 終 目 的 は 5 9 階 層 に 到 達 す る 事。そ の 為 に は 資 金 が 必 要
だ。そして今は時間も惜しい。あくまで﹃カドモスの泉﹄だ。クエス
﹂
ト成功を優先する為、そして時間効率重視の為に平等にパーティーを
二つに分けた。異論は無いね
﹁何で俺がフィン達の方なんだよ
いた。
﹂
﹂
﹁おい糞ベート。団長が平等にって言ったのが聞こえなかったの
団長に文句があるってことは私に喧嘩売ってる事でいいの
?
﹂
﹁ベートがアイズとパーティー組めなくて拗ねてる∼。気持ちが悪い
?
ヴァレンシュタインと同じパーティーじゃないことに不満を抱いて
冒 険 者 に し て ツ ン デ レ 狼 で あ る。彼 は 片 想 い の 相 手 で あ る ア イ ズ・
彼の名前はベート・ローガ。﹃ロキ・ファミリア﹄のレベル5の上位
!
がアイズに惚れてることを本人以外の団員には知られている。
アイズ・ヴァレンシュタインは天然である。何故、同じファミリア
の仲間が自分のパーティーに参加出来ないことに不満を言っている
理由が、見当もつかなかった。
24
?
大半の幹部達は頷くが、一人の狼男は異議を唱えた。
?
その光景は﹃ロキ・ファミリア﹄の一種の予定調和だった。ベート
!
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
その後、リヴェリアの仲裁を経て﹃ロキ・ファミリア﹄の二手に分
かれた幹部達は51階層を目指した。
その一組で彼女達は進んでいた。前衛は金髪金眼の天然剣姫アイ
ズ・ヴァレンシュタイン、貧相な体型の妹に比べて豊満な体型のアマ
ゾネスのティオネ・ヒリュテ、姉に比べて決定的に体型が劣っている
ティオネの妹 ティオナ・ヒリュテ。後衛は魔法職でレベル3のエル
フ。アイズに恋い焦がれているレフィーア・ウィリディス。
彼女達は道を阻む、モンスター達を蹴散らしながら問題無くカドモ
スの泉に到達したが、そこには強竜の死骸が横たわっていた。しかし
︶
を疑った。巨大な芋虫の大群が一心不乱に﹃ロキ・ファミリア﹄の野
25
冒険者が倒した風には見えず、強竜の素材は残されており冒険者以外
の何者かが強竜を屠ったと彼女達は推測した。その何者かはまだこ
の階層にいるかもしれないと。
そして彼女達の不安が的中する事になる。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベル・クラネルは無害そうに見えて、実は腹黒むっつりスケベを拗
らせており、禁欲の為にミスリル製の家の中でSM漫画をひたすら書
き続けていた。すると外から悲鳴が聞こえた。
︵ 家の外から悲鳴が聞こえる。この声は可愛い女の子に違い無い
スだ
これは﹃ロキ・ファミリア﹄の可愛い女の子達と交流出来るチャン
!
ベルは内側の扉の鍵を開けて、家の外に出た。そしてその光景に目
!
あっ、僕が作った魔石灯が
営地に前進しており、その数はゆうに50体は超えるだろう。
﹁まるでジブリの王蟲じゃないか
﹂
!
絶対に駆逐してやる
﹂
ロキ・ファミリアの女性を傷付けるだけじゃ飽き足
らず、僕の作品を壊して
られていた。
﹂
!
﹁ベル・クラネル
乱れ撃つぜぇ
﹂
た。そしてベルは両手に持っている銃の引き金を再び引く。
凄まじい爆音と共に、銃口から放たれた力は一撃で芋虫を蒸発させ
等を込め、芋虫に銃口を向けて引き金を引いた。
ベルの両手に大型の銃が錬成された。その銃にベルが魔力や呪力
﹁認識権限リアライズからの降臨顕現コンセプション﹂
には存在しない力。
態はメイガスモード。春日アラタだった時の使えたもので、この世界
ベルの服装がキリトのコートからアラタの服装に変わる。その状
﹁傲慢スペルビアの書庫アーカイブに接続。テーマを実行する
﹂
ベルは突然、獰猛な笑みを浮かべた。その笑顔の裏には殺意が込め
にキモいし﹂
﹁大型の蟲で僕の剣は問題無いけど、酸性の体液が面倒だなぁ。それ
ジョンの地面が溶けていた。
る。ベルが先程まで立っていた場所に、蟲の体液が降りかかりダン
ベルは蟲の顔を斬りつけたが、嫌な予感がしたので直ぐに後退す
てくる蟲達に斬りかかった。
ベルは蟲の大群と﹃ロキ・ファミリア﹄との間に飛び込み、向かっ
﹁この糞蟲がぁ
で離れておらず、ベルの脚をもってすれば数秒だった。
ベルは走り出し、芋虫の大群の先頭に向かっていく。距離はそこま
!
﹁許さないぞ
倒していたからだ。
してその瞳には芋虫に対する憎しみがあった。芋虫が魔石灯を押し
ベルはインベントリからキリトの愛剣を取り出して装備する。そ
!
!
は腐食液をばら撒く事すら出来ずに蒸発する。50を超える蟲の大
そこからは一方的な蹂躙劇だった。ベルが引き金を引く度に、芋虫
!
26
!
!
!
群は、1分足らずでベル・クラネルによって殲滅された。
その光景をロキ・ファミリアの面々は口を開けて見ていた。ベルは
僕が来たからには安心してください ﹂
襲われていた﹃ロキ・ファミリア﹄に近づき、エルフの女性に声を掛
けた。
﹁皆さん大丈夫でしたか
﹂
詠唱を短文で済ませ、連射が効き、そして何より威力が可
﹂
も無事で何よりです﹂
﹁いえいえ。困った時は助け合いが基本ですから
そちらの皆さん
﹁ベル・クラネル君。仲間を助けてくれて感謝するよ﹂
ン・ディムナにロキ・ファミリアの本営に招かれた。
ベルは51階層から帰還した﹃ロキ・ファミリア﹄の団長であるフィ
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
リア﹄の精鋭達が帰還した。
下げた。そんな事をしている内に、51階層の方から﹃ロキ・ファミ
エルフの女性が軽く謝ると、ベルは両手を合わせて笑いながら頭を
﹁いえいえ。ご馳走様でした﹂
﹁すまない。恥ずかしい所を見せてしまったな﹂
の距離は鼻が当たりそうで当たらない距離だった。
エルフの女性は思わず、ベルの肩を握ってしまっていた。そして顔
﹁お、落ち着いてください。顔が近いですよ
笑しい。魔法なのか
魔法は
﹁君のお陰で何人か負傷者が居るが無事だ。それよりも何なんだあの
?
﹁親指が疼く。これはマズイな﹂
笑む。しかし、そんな時間は直ぐに終わる事になる。
フィンは肩を竦め、やれやれと笑いながらベルも御愁傷様ですと微
らなくなったけどね﹂
﹁僕達は無事だけど、手持ちの武器があの腐食液で何個か使い物にな
!
27
!
?
?
﹁何か来ますね﹂
直後、奇妙な音が聞こえた。まるでダンジョンの壁が削られている
ような感じ。その場にいた全員が振り向く。そしてその正体に驚く
事になる。
﹂
﹂
﹁あれも下の階層から来たっていうの
﹁迷路を壊して進めば...なんとか
﹁糞がっ
﹂
﹁きゃああああ﹂
の場から離脱した。途端に鱗粉が大爆発を起こした。
包み込む。その瞬間に冒険者達の第六感が危険信号を出し、彼等はそ
舞う微粒子。七色に輝く鱗粉。七色に彩られた鱗粉が冒険者達を
腕を、まるで母親が我が子を胸の中に誘う様に、優しく広げた。
冒険者達がじっくり観察していると、モンスターが動いた。四枚の
になっていた。
クラネルは自らが愛する主神の妊婦姿を思い浮かべ、下半身がバベル
ロキ・ファミリアの面々が思った事を呟く中で、新米冒険者ベル・
︵あのボテ腹は無いな。やっぱり、ヘスティアのボテ腹の方が...︶
﹁ヤバイですね﹂
﹁あれはヤバイな﹂
胎内にナニカを蓄えている様で、その姿はまるで妊婦の様だった。
虫の形状を引き継いでおり、その腹部は醜悪で黒く淀み痛々しいその
状の腕。上半身が女性の様な身体つきをしている割には、下半身は芋
回り大きく、顔はノーフェイスで黄緑かかった全身に二対四枚の扁平
大きはおよそ6M。先程戦っていた芋虫の大型個体よりも更に一
ミリア﹄の本営に響く。
モンスターを視認し、呆れたアマゾネスの姉妹の会話が﹃ロキ・ファ
﹁冗談じゃないわよ﹂
?
ごと巻き込み、凄まじい熱気が冒険者達を撫でた。
︶
︵巻かれた鱗粉の一粒全てが爆弾か。まるでモンハンのテオみたいだ
な。また白とモンハンしてぇ
!
28
?
エルフの少女の美声が悲鳴を上げ、狼男は毒を吐く。大爆発は地面
!
辺り一面に砂煙が舞い、吹き飛ばされた冒険者達は態勢を立て直
す。
﹁総員、撤退だ﹂
ロキ・ファミリア団長のフィンは団員に告げる。その言葉を聞き、
動揺する者がいる中で彼は目の前のモンスターを見る。
﹁速やかにキャンプを放棄、最低限の物資を持って迅速に、この階層か
逃げんのかよ
﹂
ら撤退する。異論は認めない﹂
﹁フィン
﹂
﹁フィンさんは優秀な指揮官かつ冒険者だ。でも僕は冒険しますね﹂
しまった。
そう言ってフィンはベルを止めようと腕を出すが、振りほどかれて
﹁君も避難するんだ。あのモンスターは彼女に任せればいい﹂
だ。
ロキ・ファミリアの面々は驚きを隠せずにいた。フィンもその一人
﹁僕はロキ・ファミリアじゃないから、アイズさんを手伝いますね﹂
た。しかし、馬鹿な冒険者が声を上げた。
他の団員達が、異論を唱える中でフィンは団員達を一喝し黙らせ
﹁アイズ、あのモンスターを討て﹂
く。
フィンは矛盾しているなと心の中で呟き、金髪金眼の少女に近づ
抑えるの方法が一つしかない﹂
﹁僕も大いに不本意だが、あのモンスターを排除して被害を最小限に
には振らなかった。
て来た場合、多くの冒険者達が死ぬからだ。しかし、フィンは首を横
放しにする事を許さなかった。あのモンスターが更に上層に上がっ
も、一流の冒険者としてのプライドと責任、目の前のモンスターを野
狼男とアマゾネスは団長に再考を求める。ロキ・ファミリアとして
﹁団長、あのモンスターを野放しには
!
﹁勇敢さと無謀は違うものだよ、ベル・クラネル君。まぁ、君の人生だ。
好きにするといい﹂
29
!
!?
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
僕、強いですから
﹁自分の身は自分で守ってね﹂
﹁大丈夫大丈夫
﹁︻目覚めよ︼﹂
テ ン ペ ス ト
た。
﹂
ベルは再び、メイガスモードになった。そして解析した魔法を唱え
﹁傲 慢の書庫アーカイブに接続。テーマを実行する﹂
スペルビア
﹃短文の詠唱による付与魔法と確認﹄
﹁イーリアス断章。解析﹂
いた。
ベルは少女とモンスターの戦闘を少し下がったところで観察して
る腐食液。そのを難なくアイズは躱す。
に亀裂が現れ、巨大な口を開いた。鉄砲水のような勢いで撃ち出され
気にも止めずにアイズだけを標的とみなして、その何もない顔から横
アイズが呟くと風が彼女を包み込んだ。モンスターは横の少年を
﹁︻︼﹂
た。
れた嫌悪感を抱かせる容姿。そのモンスターにアイズが先に仕掛け
巨体を支える多脚に揺れ動く複腕。黄緑色を基本とし、七色に彩ら
いたが、直ぐに考えを改める事になる。
アイズはこの瞬間まで隣の少年の事を、ただの死にたがりと思って
ルが目の前のモンスターと相対していた。
タインと﹃ヘスティア・ファミリア﹄の白髪赤眼の少年ベル・クラネ
﹃ロキ・ファミリア﹄の主戦力で金眼金眼の少女アイズ・ヴァレンシュ
!
そしてベルも戦闘に介入することにした。
30
!
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ロキ・ファミリアが安全な所まで退避し、アイズの戦闘を見守って
いた。
﹁ベル・クラネルか... 実に興味深いね ﹂
﹁先程の魔法といい、デタラメだな﹂
﹁私のスキルと似ている...﹂
﹂
ロキ・ファミリアの冒険者達はそれぞれの感想を漏らした。
﹁それ、私の魔法﹂
﹁いいや、僕達の魔法だよ
アイズは顔には出てないが、内心驚きを隠せないでいた。自分と同
じファミリアのレフィーヤはエルフの魔法だけを全て覚える事が出
来る。目の前の少年も彼女も同じでレアスキル持ちだと思った。
ベルはアイズとモンスターの戦闘に介入し、モンスターの気を引く
為にワザと超至近距離で動き回っていた。モンスターは敵が増えた
事により、次第に攻撃が雑になっていく。そしてアイズが切り落とせ
なかった四本の腕を難なく切り落とす。
アイズとベルの視線が交わる。その瞳からベルは彼女が勝負に出
﹂
るのを察した。彼女の瞳は右脚を見ていた。
﹁じゃあ僕は左にGO
なり、隙が出来た瞬間に二人は脚に突撃した。
それは一瞬だった。二人同時に巨体を支える左右の多脚を切断し
た。支える脚を失ったモンスターは地面に倒れる。
大きく膨張した腹部が巨体に押し潰され、ノーフェイスだった顔に
再び亀裂が走りモンスターの悲鳴が木霊する。
アイズはダンジョンの壁に張り付き、風を更に纏わせた。ベルも彼
女に合わせて風を纏わせ、二人はモンスターを目掛けて突撃する。
31
!
二人の変則的な動きに翻弄され、モンスターの攻撃パターンが雑に
!
アイズは主神に技名を言うと威力が上がる。などと嘘を信じてい
﹂
る為、技名を言う。ベルも彼女を真似て技名を叫ぶ。
﹁リル・ラファーガ﹂
﹁ヴォーパル・ストライク
﹂
﹁あの糞野郎
手を握ってやがる
﹂
白髪赤眼の少年がゆっくりと手を繋いでこちらに歩いてくる。
方を見ると、燃え盛る炎が割れた。歓声が上がる。金髪金眼の少女と
レフィーヤが叫び、指差す。﹃ロキ・ファミリア﹄の面々が指された
﹁あれはっ
自分が惚れた女がこんな所でくたばる訳がないと。
し か し 彼 は 信 じ て い た。可 憐 で 強 い ア イ ズ が 生 き て い る こ と を。
た。
いが安全な所まで退避していたロキ・ファミリアの所にまで運ばれ
り、大爆発の余波でダンジョンの地面まで抉られており、焦げ臭い匂
ベートは想い人の名を呼ぶ。瞳の先には辺り一面が火の海に染ま
﹁アイズっ
﹂
発が起きた。
ンスターに致命傷を与えた結果、モンスターは全身を膨張させ、大爆
風を纏わせ、更に加速した二人の攻撃が見事に命中した。二人がモ
!
!
歓声により揉み消された。
ベートとレフィーヤの悲痛な叫びは、
﹃ロキ・ファミリア﹄団員達の
﹁アイズさんの手が穢された...﹂
!
32
!
!
ダンジョンで女の子を助けるのは間違いだろうか
いいや間違いじゃない
﹁ねぇねぇ。ベルは本当に一人で50階層まで潜ったの
﹂
軽く料理を作るだけで、見た目良し味良しの完璧料理になる。
んだ。
米がメインの限られた食材でロキ・ファミリア達の胃袋を無事に掴
ベルは調理を手伝った。
人だったがリヴェリアに誘われ幹部達と食事を取る事になっていた。
した時のこと。周りの冒険者達は数人で食事を囲んでいて、ベルは一
ベルがロキ・ファミリアに客人として迎えられ、始めて皆で食事を
?
ですから﹂
﹁どうやって
﹂
﹁本当です。僕のヘスティア・ファミリアには団員が一人しか居ない
しており、全体的に引き締まった身体付きをしていた。
な褐色の肌、胸は姉には負けているが尻は弾力がありそうでぷりっと
女アイズが来た。可愛い顔と天真爛漫で人懐っこい性格に健康そう
ベルの左右にはアマゾネスの少女ティオナと人間で金髪金眼の少
?
た。その眼には真剣さが篭っていた。
﹁普通にです。目の前のモンスターを倒して魔石とドロップアイテム
﹂
を回収し、階層主も撃破。腹が減れば軽く食事を取り、寝たい時に軽
く寝てました﹂
﹁それでそれで、何日で深層に着いたのー
﹁3日です﹂
﹂
﹁﹁﹁えっ﹂﹂﹂
﹁えっ
?
﹂
てしまった。ベルには何か驚く所があるのか不思議だった。
﹁嘘...だよね
?
33
!
アイズは目の前に居る少年ベル・クラネルの強さに興味を持ってい
?
ベルの発言にティオナとアイズ以外の幹部達も、その言葉に固まっ
?
ティオナが再びベルに尋ねる。
﹁本 当 で す よ。適 当 に 探 索 し て た ら 5 0 階 層 に 着 い て い た ん で す か
ら。何ならロキ・ファミリア主神のロキ様に嘘か本当か試してもらっ
てもいいです﹂
ベルはティオナに向かって笑顔を浮かべた。ティオナはどうして
﹂
もベルが嘘をついている風には見えなかった。
﹁何故、貴方はそこまで強いの
も5日は掛かるんだ
﹂
俺達、ロキ・ファミリアが最速で
あり得るわけねぇだろ
!
異常なんですね﹂
﹁そうなんですか
﹂
僕が強いのは自覚してたんですけど、やっぱり
り得ない事なんだ﹂
﹁ベル君。もし仮にそれが本当だとしても常識的に考えて、それはあ
舌打ちしたベートが許せず、綺麗な顔に青筋を浮かべていた。
ベートは舌打ちして、フィンに従った。しかしティオネはフィンに
﹁ベート、落ち着け﹂
がベートを咎めた。
少しだけ気不味い食事の雰囲気が、険悪な雰囲気に変わる。フィン
じゃないと証明してみせろよ
﹁黙れバカゾネス引っ込んでろ。お前言ったからには、ロキの前で嘘
ングなの﹂
﹁うるさい糞ベート。確かにあり得ないけど、今はベルが喋るタイミ
!
﹁おい糞兎。嘘をつくんじゃねぇ
ラついていたベートが遂にキレた。
そして想い人の隣を百合エルフと部外者に取られたことにより、イ
事を経験したのかが聞きたくてたまらなかった。
えを求めていた訳じゃなかった。どんな風に剣技を鍛え、どんな風な
アイズは言葉の意味が分からず首を傾げる。彼女の心はそんな答
﹁僕がベル・クラネルだからです。それ以外の理由は無いです﹂
?
!
即発の空気になるが、何とか他の団員により仲裁された。
それからはベルが50階層に到着するまでの出来事を洗いざらい、
34
!
ベルはワザと笑みを浮かべ、自分を煽った糞犬の方へ向けた。一触
?
身振り手振りで話していった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
冒険者。それは迷宮都市オラリオに集いし、命知らずの老若男女が
夢と希望や絶望と恐怖を胸に秘めた者たち。
その冒険者の一人であるベル・クラネルは50階層の拠点を放棄
し、美女達と仲良くなる為にロキ・ファミリアと行動を共にして6日
が経っていた。現在17階層だ。
最初はスキルや魔法の事で質問攻めされると同時に他のファミリ
アの為、一部の団員からは苦い顔をされたが、食事の時にインベント
リに保存していた食料を使ってソーマの料理の腕で飯を作り、ロキ・
。ベルは散々悩んだ末
子だ。世界的な天才画家だけど、一人では身の回りの事がすら出来な
い常識と生活力で僕に介護されてた。出会って最初の一ヶ月は朝は
全 裸 と い う 猛 者 だ っ た。物 凄 い 天 然 だ っ た。あ と 凄 く 可 愛 い。ま し
ろはバームクーヘンとかが大好きでアイズさんも何か大好きな食べ
物とかを小動物の様に食べるのだろうか
寧ろ、寝る時に全裸なのかが気になる
?
ていた。彼女も少々天然だった。
だ。彼女は肉が大好きで、朝に弱いシェーレやマインの肉をよく食べ
殺者だけど物凄く優しくて、暗殺者という点を除けば普通の女の子
する。寡黙で無表情さが、アイズさんと被っている。彼女は凄腕の暗
ドの暗殺者ラバックだった時のアカメさんに雰囲気が似ている気が
容姿は全然似ていないが、僕がナジェンダさんに惚れてナイトレイ
!
35
ファミリアの団員達の胃袋を初日で掴んだ。
誰かと被っていた
そしてベルはロキ・ファミリアの女性達に毎日の様に見惚れていた
が、特にアイズの容姿が
"
椎名ましろ。僕が神田 空太だった時にさくら荘で出会った女の
に、遂に思い出すことが出来た。
"
今はロキ・ファミリアの精鋭達と先頭を歩いていた。
ア イ ズ さ ん と テ ィ オ ナ が 僕 の 隣 に 居 て、糞 犬 と 百 合 エ ル フ の レ
フィーヤさんが僕を睨んでくるんだ。
!
そんな糞兎なんかと仲良くするんじゃねぇ
﹂
他のファミリアの人に近すぎです もう少し離れ
僕は悪くない
﹁アイズさん
てください﹂
﹁そうだアイズ
!
僕としてはレフィーヤさんも可愛いから問題ない
レフィーヤさんも僕から近付いたんじゃないんです
アイズさんは相変わらず、首を傾げている。
﹁五月蝿い糞犬
から﹂
ベルは悪くないでしょー ﹂
﹂
﹂
!
い。
僕は例外だから勝てる
ミノタウロスを追跡を開始した。
フィンの号令が響き、最悪の結末を回避する為に、僕達は逃走した
!
ミノタウロスのレベルは2。どう足掻いても1レベルでは勝てな
餌食になってしまう。
でも、このままじゃあ中層の下級冒険者達が、あのミノタウロスの
一流冒険者は、ある意味人間を辞めているからだ。
僕はあのミノタウロス達に同情する。
﹁あ、逃げんな∼
﹁お前らモンスターだろ
ビって大逃走を始めてしまった。
みを浮かべていてやる気満々だったけど、ミノタウロスは僕達にビ
不完全燃焼だった糞犬とティオネさんとティオナさんが、獰猛な笑
遭遇しちゃった。
そんな感じで大声で騒いでいたら、目の前にミノタウロスの群れと
好感度はいい方だとは思う。
ティオナさんとは毎日、昔の英雄譚の話しで盛り上がっていた。
﹁二人とも
!
そして僕とアイズさんの間にレフィーヤさんが入り込んで来た。
!
!
!
!
!
36
!
しかし予想外な事にミノタウロス達は、各階層を出鱈目に走り回
り、そして散り散りになって逃走をしてしまった。
そのせいで、こちら側の戦力も分散してしまう。
そしてミノタウロス達は何故か、階段を見つけてどんどん上へと逃
げていく。
気が付けば僕に付いてきているのはアイズさんと鼻が効く糞駄犬。
もうミノタウロスは中層から上層まで進出していた。
他のロキ・ファミリア団員達は上手くミノタウロス達を被害を出さ
ずに、処理していると信じたい。
僕達三人だけで上層に進出したミノタウロス達を処理しなければ
ならない。
しかし糞駄犬が匂いを辿っているから楽だけど、このままじゃあ犠
牲者が出るのも時間の問題だ。
僕達は糞駄犬の鼻を頼りに追いかけるが、最後の一匹が6階層から
ける。
﹂
僕達がその場には到着するとミノタウロスから一目散に逃げて行
く男の冒険者と、その場に取り残された大きなリュックを背負ってい
る獣人の女の子が居た。
﹂
ミノタウロスは男の冒険者には目も向けずに女の子に接近する。
﹁させるかぁ
僕はアイズさんや糞犬よりも早く飛び出した。
魔力を使って一瞬で距離を縮める。
今更、アイズさんや糞犬に見られても躊躇しない。
女の子を助ける為なら
音を超えた斬撃が、断末魔さえあげさせずに一瞬でミノタウロスを
ミノタウロスを後ろから二刀流で一気に切り刻む。
!
37
5階層に上がってしまった。
﹃ヴヴォォォォッ
﹂
﹂
﹁うわぁぁぁあ
﹁きゃあああ
!!
僕達が上がると、悲鳴が聞こえてきた。悲鳴が聞こえてきた方へ駆
!
!
!
肉塊に変えた。
辺りにはミノタウロスの血が飛び散っている。
ミノタウロスが死んだことにより、巨体に隠れていた女の子と目が
合う。
﹂
女の子にもミノタウロスの生臭い血飛沫がかかってしまっていた。
﹁大丈夫ですか
ベルは腰を低くし、手を差し出して女の子に声を掛ける。
﹁はい・・・大丈夫です﹂
﹂
女の子はベルの手を取るのを一瞬躊躇うが、ベルは彼女の手を掴み
あげた。
﹁よかったぁ∼ 立てるね。怪我とかしてない
険者様﹂
﹁冒険者様のお陰で無傷です。助けて頂きありがとうございました冒
?
大きなリュックを背負った獣人の女の子は、丁寧にベルにお辞儀を
した。
38
?
1巻
女の子を口説くのは間違いだろうか
ベルはアイズや糞犬と別れて、丁寧な口調の女の子と一緒に地上に
帰還した。
﹁冒険者の癖にサポーターを置いてけぼりにするなんてどうかしてる
よ。絶対に間違ってる﹂
﹁ベル様は何も分かって無いですね。サポーターは所詮、ただの荷物
持ちですから﹂
ベルの目の前に居る少女の名前はリリルカ・アーデ。彼女は何も知
らないベルに頭を悩ませた。サポーターというのが冒険者として落
ちぶれた者たちだという事を。そして一部の冒険者達はサポーター
を下に見ていると。
リリルカ・アーデが白髪赤眼の冒険者ベル・クラネル簡潔な説明を
終えると、ベルは涙を流していた。
﹂
﹁サポーターってのはブラックな職業だったんだね... 僕と契約し
て専属のサポーターになってくれないか
路が理解不能だった。恐る恐る理由を尋ねると。
絶対
絶対に見捨てないし、僕が必ず君を幸せに
!
しかし、時と場所を考えて欲しい。ここはダンジョンから出て直ぐの
広 場 だ。よ っ て 周 り に は 常 に 冒 険 者 や 見 送 り の 神 達 が 居 る わ け で
あって、周りから熱い視線が送られて見守られていた。恥ずかしくて
リリは死にそうだった。それに︻ソーマ・ファミリア︼の連中に見つ
早く別
かる訳にはいかない。今すぐにでもここから逃げ出したかったリリ
リリはベル様に付いて行きますから
!
は直ぐに返答した。
﹁わかりましたから
!
39
?
リリは唐突に涙を流し、更に突然勧誘に切り替わったベルの思考回
?
﹁そんな酷い冒険者よりも僕と組んだ方が何億倍もましだよ
﹂
に後悔なんかさせない
するよ
!
リリは手を握られ、勧誘された。行き過ぎた行為には目を瞑ろう。
!
の場所に移動しましょう
周りからは﹁よっ、色男
﹂
﹁うん。それでいいよ
﹂
﹂
﹂
﹁幸せにしてやれよぉ
﹂
﹁リア充死す
しかし、ベルはまだ覗き見が一度目だからという事と主人公だから
バベルの頂上からだった。
で到着したが、粘着質な視線が気になって仕方なかった。その視線は
に向かっていた。ベルは冒険者達の間を簡単に抜けてバベルに数分
この際にバベルを見て回るからだ。しかしその前にシャワールーム
一方でベル・クラネルも鼻歌を歌いながらバベルに向かっていた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
生臭い身体を綺麗にする為にバベルへと向かう。
で頑固なのは分かった。もう約束したことだとリリは割り切って、血
んだ。話をしてみると悪い人では無い。しかし、無自覚の自己中心的
リリは、ようやくベルに解放されてその背中を見送った。リリは悩
リリ、また明日
じゃあ僕は予定が詰まってるから先を急ぐね
﹁ベ ル 様。明 日 は 朝 8 時 に 中 央 広 場 に 待 ち 合 わ せ で 問 題 な い で す か
広場から少し離れた裏路地にて二人の会話は続いていた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ガッツポーズしていた。
引 い て こ の 広 場 か ら 走 り 出 し た。そ し て ベ ル は 呑 気 に 野 次 馬 達 に
べし慈悲は無い﹂などと野次が二人を包んでいた。リリはベルの手を
!
!
!
仕方ないという訳の分からない理由で見逃す事にした。
40
!
!
?
!
バベルは50階まであり、ダンジョンと迷宮都市オラリオの象徴と
も言える、巨体な建造物だ。バベルでの移動は魔石で動くエレベー
ターで移動する。貨物用と移動用とに分かれ、ベルは移動用に他の客
達と一緒にエレベーターに乗った。
シャワールームがある階層でエレベーターを降りて、目的地のシャ
ワールームを目指した。バベルの通路は広く、色々な店が視界に入る
が、ベルはシャワールームに急いだ。
ベルはシャワールームに着くと受付嬢に利用料を支払って貸し出
しのタオルを貰い、男女に分かれた更衣室に入る。全部脱いで、空い
たシャワールームに入る。その間に着ている服を、魔石で動く洗剤要
らずの洗濯機に入れて回しておく。
ベルが丸裸で身体を綺麗にしている間も、上から粘着質な視線がベ
ルの身体の隅々をじっくりねっとりと品定めをするように舐め回し
ていた。ベルは内心驚きを隠せないでいた。一目惚れにしては度を
41
超えている。
ここまで執拗にアプローチされたらベルにも考えがあった。ベル
は仕返しに自慢のナニを天に向けて直立させた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
迷宮都市オラリオのシンボルであるバベルの50階には、美の女神
フレイヤのプライベートルームがあった。︻フレイヤ・ファミリア︼と
いえば、
︻ゼウス・ファミリア︼
︻ヘラ・ファミリア︼が無き今、
︻ロキ・
ファミリア︼と共にオラリオの最大派閥だ。
そのプライベートルームで美の女神フレイヤは水晶玉を見て悶え
それに可
ていた。フレイヤの側には、迷宮都市オラリオ最強のlv7冒険者
明滅してる魂。あぁ...良いわ
オッタルが控えていた。
﹁何て不思議な色なの
!
愛 い 顔 に 綺 麗 な 赤 眼。6 つ に 割 れ た 腹 筋。引 き 締 ま っ た お 尻。そ し
?
てその身体に似合わない逞しいソレ...とっても可愛いわ﹂
フレイヤが偶然見つけた冒険者の魂は、色々な色に明滅していた。
そして見た目も悪くない。フレイヤの顔は赤みを帯びており、吐息も
次第に激しくなっていく。フレイヤはオッタルに水晶玉の冒険者を
見せる。
﹁この子が欲しいわ。今直ぐにここに連れてきてくれないかしら
手荒な真似はダメよ﹂
オッタルは水晶玉に移った白髪赤眼の少年を見る。中性的な顔つ
きに綺麗に引き締まった肉体。まだまだ若いが、大人顔負けのソレに
目がいってしまう。女神の命令は絶対だ。速やかに遂行あるのみ。
﹁直ちにお連れします﹂
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルが数十分でシャワールームから出て、更衣室でその肉体美を晒
しながら着替える。周りの冒険者達はベルのソレを見て圧倒されて
いるが、ベルは気にせず綺麗になった服を着てからその場を後にし
た。
受付嬢の横を通りすぎると獣耳の大男と目があった。すると大男
がベルに近づいて来る。その男が纏う圧倒的なオーラは︻ロキ・ファ
ミリア︼の幹部達とは比べ物にならない。しかしベルはそのオーラを
受け流して大男に近づく。すると大男の方から喋り掛けてきた。
﹂
﹁俺の名はオッタル。我が主神がお前との面会を望んでいる。着いて
きてくれないか
ますねオッタルさん﹂
ベルはオッタルに連れられて、一緒にエレベーターに乗った。
エレベーターの中で二人は一切会話をせずに他の客が乗り合わせ
てもオッタルを見て沈黙し、目的の階につくとすぐに降りていった。
42
?
﹁構いませんけど、僕の名前はベル・クラネルです。よろしくお願いし
?
数分でバベル最上階50階に着いた。
﹁付いて来い﹂
オッタルの後ろをベルが付いて行く。
ベルは歓喜していた。美の女神に出会えると胸が高鳴っていた。
数秒ほど歩いているとオッタルは豪華な扉の前で止まった。
﹁ここだ﹂
オッタルが扉を開けて先に入り、ベルもその後に続く。
その部屋は豪華な装飾が施された高級感ただよう部屋で家具も見
るからに
ベルの目の前には余りにも整った容姿をしている女性がいた。
ベルは下半身が熱くなっているのを感じていた。
﹁フレイヤ様。水晶球の少年を連れて参りました﹂
﹁ご苦労様。迷惑かけて悪わねオッタル。それじゃあ私達はお話をす
るからこの階の護衛を頼むわ﹂
﹂
フレイヤはベルの頬を軽く撫でて顔を近づける。フレイヤは無理
矢理に魅了をしてでもベルを自分の物にしようとしていた。二人の
43
﹁畏まりましたフレイヤ様﹂
オッタルはフレイヤの命令に従い、この部屋から出て行った。
﹁私の失礼な招待に答えてくれてありがとう。さあ、こちらにいらっ
しゃい﹂
この部屋にはベルとフレイヤしか居ない。
ベルはフレイヤに誘われ、フレイヤの隣の椅子に座る。
﹁私の名前はフレイヤよ。︻フレイヤ・ファミリア︼の主神をしている
わ。フレイヤって呼び捨てでいいわ﹂
フレイヤは自分から自己紹介を始めた。
﹂
﹁僕の名前はベル・クラネルです。僕のことはベルって呼んでくださ
い﹂
﹁ベル...いい名前だわ。ねぇベル
﹁はいなんでしょう
艶やかさな声でフレイヤはベルの名前を呼ぶ。
?
﹁私、ベルに一目惚れしたの...貴方のことをもっと知りたいの﹂
?
吐息が感じられる程度の距離。
フレイヤの魅了がベルを襲う。
﹁僕もフレイヤの事がもっと知りたい﹂
フレイヤとベルは目を閉じて優しい口づけをする。
ヘスティアより上手い舌使いで、フレイヤはベルを楽しませてい
た。
何分経っただろうか。実際、数分しか経っていないがベル達には何
時間にも感じられた。
﹁あらあらベルったらそんなに興奮してたのね。私が解消してあげる
わ﹂
ベルは自慢のソレがズボンにテントを張っており、フレイヤがズボ
ンの上からソレを優しく撫でる。
フレイヤとベルの楽しい大人の時間が訪れた。
ロップアイテムは直接売り込みに行く﹂
44
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルとフレイヤは軽く10試合程大人のプロレスをしていた。フ
レイヤは魅力でベルを堕としたと思っていたが、スキルで体質とスキ
ルで無効化された。
﹂
そしてベルのソレは一向に萎えず、御構い無しにフレイヤを弄んで
いた。
﹁ベル。もう行くの
﹂
?
﹁ギルドで魔石を換金するのは面倒だからバベルで済ますつもり。ド
﹁ギルドで換金するの
た。しかしフレイヤは今この瞬間にヘスティアに嫉妬していた。
フレイヤは他の女神達に嫉妬されど、嫉妬することは殆ど無かっ
レイヤの所と違って貧乏だから、僕がヘスティアを養わないとね﹂
﹁魔石とかドロップアイテムを売りに行くんだ。僕のファミリアはフ
?
ベルは着替えを済ませた。フレイヤは毛布に包まっており、ベルは
﹂
フレイヤの側に近づく。
﹁また逢えるかしら
﹂
﹁フレイヤが他の男達と寝なければ、また来るよ﹂
﹁私を独占したいの
﹁もちろん。フレイヤの全てが欲しいから﹂
﹁ベル。私もベルをヘスティアから奪いたいわ。ずっと貴方を私の側
に置いておきたい﹂
ベルはフレイヤと別れのキスを済ませて、この大部屋から出て行っ
た。取り残されたフレイヤはベルのステイタスをその目に焼き付け
ていた。
今まで見たことも聞いたことも無いレアスキル群。そしてその中
でもアルカナムに匹敵する権能。フレイヤはヘスティアがアルカナ
ムを使ったと一瞬疑うが使ったら最後、ウラヌスに強制送還されてし
まう。
ベルがこの階に来た時だろうか。本能の危険信号がフレイヤの頭
の中で鳴り響いていた。その原因があのスキルの所為だろう。
ベルのスキル群をいつまで隠し通せるのだろうか。神々に知られ
てしまえば確実に奪い合う流れになる可能性があった。ベルがヘス
ティアに手を出されて黙っている男では無い。
備えなければ。ベルを手に入れる為に。ベルを護る為に。
﹁フレイヤ様。お部屋の掃除に参りました﹂
大部屋にオッタルがメイドを連れて来た。オッタルがメイドを手
配してくれたのだろう。
﹁オッタル。後はお願いね﹂
﹁かしこまりました﹂
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
45
?
?
ベルはオッタルとすれ違い、エレベーターに乗り込んだ。目的地は
取り敢えず20階までの商業施設を回ることだ。ベルは20階でエ
レベーターを降りてこの階から商業施設を順番に見回って行った。
﹁高いなぁ。ぼったくりでしょ﹂
20階から4階までベルは軽く店を回り見て、ベルは誰にも聞こえ
ないぐらいの声量で呟いた。ベルはバベルで売られている商品の値
段が高い事に不満を抱き、自作した方が良いと思っていた。
バベルの店を見回り、ベルは3階の換金所で魔石を全部交換するこ
とにした。時間はまだランチタイムだったので人少なく、ベルが億越
えの換金をしても注目されずに済んだ。金は有り余っているのでベ
ルはついでに昼食をバベルの食堂で済ませた。
ベルは北西のメインストリートを進んでいた。次に向かった場所
はドロップアイテムを買い取ってくれる有名な商会の本部に向かっ
ていた。
名前は︻トルネコ商会︼第二のギルドで呼ばれている良心的な価格
で引き取ってくれるので有名らしい。会長のトルネコは世界的にも
有名な商人で、更に富を稼ぐ為に冒険者になった男らしい。所属は
︻メルクリウス・ファミリア︼でトルネコはlv5。二つ名は幼妻一
筋。これもフィンが教えてくれた情報で︻メルクリウス・ファミリア︼
主神メルクリウスは金髪巨乳の女の子を探してオラリオを歩いて
回ってる奇神。変態で有名らしい。
ベルが最初にフィンに教えてもらった時は変な声が出ていた。そ
れもその筈。トルネコと言えば﹃﹄だった時にプレイしたドラクエの
商人だからだ。聞けば聞く程に似ていた。肥満体型に幼妻と子供一
人が居ると。それよりも主神のインパクトが強過ぎて、ベルは頭が痛
かった。
ベルがフィンから教えてもらった場所に向かうと巨大な文字でト
ルネコ商会と看板が出ていた。ベルは中に入ると色々な道具やアイ
テムが展示されており、価格も良心的だった。
46
﹁いらっしゃいませ﹂
髭を生やした小人の男性店員がベルを歓迎する。
﹂
﹁すいません。素材を買い取って欲しいですけど﹂
﹁量はどれくらいですか
﹁かなり多いです﹂
﹁それなら奥でお願いします﹂
店員に案内されて、奥の倉庫に通された。店員が素材の確認を取る
ので、ベルはインベントリから鉱石以外を取り出した。莫大な量の素
材に驚き、男性店員は会長を呼んで来てれた。その会長は正にトルネ
コだった。優しそうで相撲でも通用しそうな外見。
﹁やあ、いらっしゃい。私がこの商会の会長トルネコだ﹂
﹁初めまして。僕の名前はベル・クラネルです﹂
﹂
﹁いやぁ∼この量はびっくりだよ。ベル君はどこのファミリアかな
良ければ教えて欲しい﹂
﹁︻ヘスティア・ファミリア︼です。何でそんな事聞くんですか
?
うだろう
﹂
﹁それはだね。このドロップアイテムの山は深層の素材ばかりだ。そ
?
﹁君は一流冒険者だ。しかし私はベル君の名前を初めて聞いた。︻ヘ
スティア・ファミリア︼も聞いたことが無い。即ち、専属契約してい
る商会が無いと思ったんだよ﹂
﹂
トルネコは素材を手に取り、鑑定をしながらベルとの話を続ける。
﹁専属契約のメリットは何ですか
サー。
トルネコがベルの持ち込んだ莫大な量の素材を鑑定を終えるのは
ないか﹂
﹁それは良かった。素材の鑑定が終わり次第、契約の話をしようじゃ
﹁乗った
﹂
い報酬を支払う。そしてポーションや装備などの援助。正にスポン
商会が専属契約の冒険者にクエストを出して、素材を入手してもら
﹁要約するならギブアンドテイクだね﹂
?
47
?
ベルは無言で頷き、トルネコは話を進める。
?
!
1時間後だった。合計金額は数億を超え、ベルの財布は潤った。鑑定
が終わったのでベルはトルネコの部屋に案内されて、契約について再
度説明を受けて契約書にサインした。そしてベルは迷宮都市オラリ
オに日本食の店が有ることをトルネコに尋ねると、日本食専門店は存
在しなかった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルはトルネコ商会を後にして、来た道を戻って北東に向かってい
た。現在の時刻は16時前だからなのか冒険者達の数が増えていた。
ベルは相も変わらず美人美女を探して目の保養にしながら目的地の
︻ヘファイストス・ファミリア︼のホームに向かっていた。
48
ベルが数十分歩いていると︻ヘファイストス・ファミリア︼のホー
ムに到着した。周りは工房ばかりで空気が暑い。ベルが中に入ると
受付嬢が居たのでベルはそこに向かう。顔は童顔で可愛い系。身長
も余り高くはないが、胸の形から美乳サイズで彼女に合う下着は黒だ
と一瞬で分かった。
﹁いらっしゃいませ。本日の御用は何でしょうか﹂
﹁素材の買い取りをお願いしたいんですけど。出来ればヘファイスト
ス様を呼んでくれたら嬉しいです﹂
﹁少々、お待ち下さい﹂
そう言って受付嬢のお姉さんはどこかに行った。ベルが数分待っ
ていると、先程の受付嬢が呼びに来てくれてヘファイストスの所に案
内してくれた。
﹁初めまして。私がヘファイストスよ﹂
﹁初めましてヘファイストス様。僕の名前はベル・クラネルです﹂
ベ ル の 目 の 前 に は 右 目 を 隠 し た 赤 髪 の 男 装 の 麗 人。し か し ヘ ス
﹂
ティア程じゃないが巨乳だ。恐らく、ブラは着けていないだろう。
﹁早速、素材を見せてもらってもいいかしら
?
﹁分かりました﹂
ベルにしか見えないインベントリを操作して、アイテム欄に残って
いる鉱石類を全部取り出した。何も無い所から突然、500は超えて
いるだろう鉱石が一気に現れた。ヘファイストスは最初の動作が気
﹂
になっていたが、突然鉱石が現れたことに驚いていた。
﹁ベル。貴方、所属のファミリアは
かしら
﹂
﹂
﹁まあ、今はいいわ。鑑定が終わったら貴方の事を聞かせてくれない
てきた答えはヘスティアときた。
かり。今まで見たことがない顔なのでファミリアの事を聞くと、返っ
少年はバカみたいな量の鉱石を出現させ、どれも最上級の品質の物ば
ヘファイストスは胃が痛かった。突然の指名かと思えば、目の前の
ベルは首を縦に振る。
﹁ヘスティアですって
﹁︻ヘスティア・ファミリア︼です﹂
石でそれを繰り返す。
ヘファイストスが近くに転がっている鉱石を手に取り眺め、別の鉱
?
﹂
﹁あるわ。何故、そんな事聞くの
﹂
目ぼしい作品が無かったので自作しようかと﹂
ベルは笑いながらそう答える。ヘファイストスの目つきが変わっ
た。
﹁ヘスティアの子供にしては言うじゃない。別に空きの工房は貸して
もいいわ。でもそこまで言うならばベルの作品を見てみたいわ﹂
﹂
﹁もし、僕がヘファイストス様を唸らせる作品を作ったらどうします
か
その言葉を聞いたベルは今すぐに工房に行くことに決め、ヘファイ
ストスはベルの気迫に押されてしまい、結果としてヘファイストスは
49
!?
﹁別に構いませんけど...その前に誰も使ってない工房はありますか
?
﹁僕も昔、自分で武器を打ってた時があったんです。あとはバベルに
?
?
﹁とびっきりのご褒美をあげるわ﹂
?
鈴を鳴らし呼んだ眷属に空きの工房を案内させた。鑑定の予想終了
時間は1時間らしい。
︻ヘファイストス・ファミリア︼から出て数分歩いた所に空きの工房は
あ っ た。中 に 入 る と 最 近 ま で 人 が 居 た お か げ で 環 境 は 悪 く は な い。
良くもないが。
ベルも最初はもしまつろわぬ神クラスのモンスターが現れてもい
いように。夢で見たキリトが味わった無力感を味わいたくないから
という理由だったが、今ではヘファイストスにご褒美を貰えるという
だけでベル・クラネルの全力を持って鍛冶に対して燃えていた。
﹁何でも器用にこなせたラバック。キリトの剣を打ったリズ﹂
ベルは意識を集中する。自分のスキルである心意はダンジョンに
篭っているときに射程距離を伸ばしたりある程度は掌握できた。今
度は自分を上書きする。そしてベルは鍛冶を始めた。
ラバックだった時に鍛冶はしたことがあり記憶を頼りにベルは、上
位元素で生成したミスリルを炙って打つがミスリルは理想の硬度を
もった物質だ。しかしベルは意識を集中させた。
イ メ ー ジ を す る。刃 渡 り 3 尺 3 寸 5 分 の 豪 刀 を。日 本 神 話 の ト
リックスターであるスサノオの相棒であり草薙護堂の愛刀を。
打つ。打つ。打つ。
ただ繰り返す。
ミスリルの塊がが次第に形を変え、見覚えのある刀に変わる。
ベルが刀を完成させたころに、受付嬢が呼びに来てくれた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
﹁これが領収書とお金ね﹂
50
ヘファイストスからベルは領収書とヴァリスが大量に入った袋を
貰い、インベントリに入れた。
﹁信じられないわ。たった1時間でこんな物を﹂
ヘファイストスはベルが持ってきた刀を見て、驚くしか無かった。
何故なら、ヘファイストスの作品よりも出来が良かったからだ。見
た目も美しく切れ味も抜群で全てが一線を画しており、更に吸収とい
う訳の分からない属性まで付与されている。そして何よりも
﹃余り触らないで欲しいです﹄
刀に意識があることに驚いていた。それも女性の声で直接頭に語
りかけてくる。しかしヘファイストスは刀を見て触って確かめるの
﹂
を や め な か っ た。ヘ フ ァ イ ス ト ス は 目 の 前 に い る 少 年 の 事 が 気 に
僕、ご褒美だけの為に全力を出しました
なってしょうがなかった。
﹁合格ですか
があった。
﹁これは認めるしか無いわ。それでベルは何が望みなの
具一式でもいいわよ﹂
武器や防
めだけに全力を出したのだから。そして認められて当然という自負
ベルの瞳は輝いていた。そう、ヘファイストスからご褒美を貰うた
!
?
﹂
これだけの刀を打つ人にあげる褒美なんて、一級品の防具一式ぐら
いしかなかった。
ヘファイストス様が欲しい
ベルは首を横に振る。
﹁僕の望みはただ一つ
!
﹁ごめんなさい。その言葉を久しぶりに聞いちゃって、思わず笑って
ながら腹を抱えて笑う。
してしまい、刀身が床にめり込んだ。ヘファイストスは半泣きになり
ヘファイストスは思わず、手に持っていた刀を驚きのあまりに落と
!
僕は
﹂
しまったわ。昔の団員達も同じこと言われたことあるの﹂
﹁じゃあ
!
﹁ベル。貴方の気持ちは嬉しいわ。でもね私と貴方は別のファミリア
同士。それに女として失格﹂
51
?
ベルの言葉をヘファイストスは遮る。
!
ヘファイストスはベルに近づき、その頭を優しくそっと撫でる。
﹁この眼帯の下にはね、貴方が想像を絶する程の醜い顔が広がってい
る﹂
神なのに醜いの。神の力を使ってもどうするこ
ベルは黙ってヘファイストスの話を聞き続けることにした。
﹁可笑しいでしょ
とも出来なくて、天界では他の神に嫌厭されたし、馬鹿にされて笑わ
れた﹂
ベルは日本人だった時の記憶を頼りにギリシャ神話のヘファイス
トスを思い出す。
諸説はあるが足が悪いのと醜かったのはどの説にも共通している。
﹁この眼帯の下を見て、笑ったり不気味がったりしなかったのは、貴方
の主神ヘスティアくらいよ﹂
そして唯一無二の神友であるヘスティアの眷属に求愛されるとは
思っても見なかったとベルに打ち明ける。
﹁それがどうしたんですか。他のファミリアの冒険者同士の結婚は禁
それに﹂
止されていますが、他のファミリアの主神と結婚は禁止されていませ
ん
ベルはヘファイストスの静止を振り切り、右目の眼帯を無理やり外
した。
動揺しているヘファイストスなんてお構いなしに、ベルはヘファイ
ストスの素顔を見た。
彼女は見られまいと顔を背けようとするが、ベルに顔を両手で固定
されて振り向けない。そしてヘファイストスは諦めてベルと向き合
う。ベルは表情を一切変えず、力を緩めてヘファイストス顔を小さな
手で優しく触っていく。
﹁この程度、醜いうちに入りませんよ﹂
そしてベルはヘファイストスの眼帯で隠していた部位をペロペロ
止めて。そこは醜いから...それにくすぐったい﹂
とキャンディーの舐めた。
﹁ベル
ベルは何回か舐め回した後眼帯を元に戻した。
!
52
?
﹁ちょっとっ、ダメ﹂
!
﹁僕は本気です﹂
ヘファイストスの心臓は高鳴っていた。いつからだろうか。ベル
と瞳が合うと顔が赤くなるのを感じている。神友の眷属に求愛され
て、それにこんな若い少年を意識してしまっていた。
時刻は夕方を過ぎて、夜の月が出てきた頃。
ヘファイストスは今まで味わったことのない感情に流され、神友の
﹂
﹂
眷属であることは二の次にしてベルに体を預ける。
﹁本気の本気
﹁もちろんです
?
部屋に月の光が差し込む中で、二人の男女は口づけを交わした。
53
!
巨人を倒して、糞犬と殴り合いのは間違いだろうか
それにサンドイッチだって美味しいよ﹂
料理はタマゴサンドとハムサンドという簡単な物だが、ベルはヘ
ヘファイストスの部屋で二人は朝食を食べていた。
話を暴露等だった。
二人の話はベルの体質やスキルについてだったり、ヘスティアの昔
夜を共に過ごした。
ベルはヘファイストスの部屋に泊まり込んで、甘く情熱的で激しい
て全然ないよ
﹁ファイが悪いんじゃなくて、僕が泊まったからであって謝る事なん
ぐらいしか振る舞えなくて﹂
﹁ごめんなさいねベル。私、普段料理なんてしないからサンドイッチ
?
ファイストスが自分に作ってくれただけで嬉しくてたまらなかった。
﹂
そしてベルは締めにはコーヒーを一杯飲み干す。
﹁ご馳走様でした﹂
﹁もう、行っちゃうの
﹁ファイ。行ってきます
﹂
ベルは椅子から立ち上がり、上着に腕を通して扉の方に向かう。
﹁待ち合わせが8時なので、そろそろ行きます﹂
?
?
を離す。
﹂
﹁また、私の所に来てくれる
﹁もちろん
﹂
二人は別れのディープキスを済ませると、ベルは名残惜しそうに口
﹁いってらっしゃい頑張ってね﹂
!
ルは我慢して待ち合わせ場所に向かった。
││││││││││││││││││││
54
!
ヘファイストスは物足りなさそうにベルに熱い眼差しを送るが、ベ
!
時刻は7時50分。
朝日が優しく都市を包み込み、都市全体が目覚めた頃。メインスト
リートが冒険者達で賑わっている。
ベルはヘファイストスの所から、バベル前の広場に鼻歌を歌ってス
キップをして向かっていた。
美人の冒険者や露店の店員を見て、スケベな笑みを浮かべながら、
リリとの冒険を楽しみにしていた。
︵いや、あの娘のブラはサイズ間違ってるだろ。自分の胸を過小評価
しすぎだな。それよりも獣耳サイコー︶
目の保養を行いながら、スキップをしているといつの間にかバベル
前の中央広場に着いていた。
ベルが辺りを見回すと、噴水の所に待ち合わせしている冒険者は複
数居るが、目当てのフードを深く被って大きなリュックを背負った人
﹂
を見つけたので、ベルはその人に近づいて声を掛ける。
﹁おはようリリ∼。待った
﹁おはようございますベル様。10分程待たせてもらいました。ダン
どうしたの﹂
ジョンに潜る前にベル様にお話があるんですが﹂
﹁ん
す﹂
ベルは突然、空に向けて指を指した。
﹁お爺ちゃんが言っていた・・・。﹃我も人、彼も人。故に対等、基本
だろう﹄とね﹂
﹁だから報酬はその日の換金額の半分でいいよ﹂
リリは反論しようとしたが、ベルが先程纏っていた柔らかい雰囲気
が消え失せて、鋭い刃物のような雰囲気に変わったのでやめた。
ベルはこの時、リリに怒っていた訳ではなくサポーターの待遇につ
いて怒りを覚えていた。だからベルはこの一瞬でサポーターの地位
向上までの流れを考えた。
フリーのサポーターと無名ファミリア所属の専門サポーターを有
55
?
﹁報酬についてです。リリは報酬の三割を恵んでもらえると嬉しいで
ベルはリリの隣に座る。
?
名になった︻ヘスティア・ファミリア︼に引き抜いて、全ての冒険者
達に待遇改善の要求とサポーターを鍛える。完璧なプランだとベル
﹂
は一人で納得していた。
﹁報酬は半分。いいね
﹁分かりました﹂
ベルとリリは立ち上がり、ダンジョンに向かった。リリはベルの事
を変わった冒険者と思いながら、その後ろを着いて行く。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ダンジョン上層にて。今回のベルは試し斬りに天叢雲剣レプリカ
を使っていた。最初、リリは喋る剣に驚いていたが見惚れるのには時
間が掛からなかった。だがベルは絶対に手放しはしなかった。
﹁ギャア﹂
ベルは無言でゴブリンやコボルドを瞬殺する。その目には躊躇い
は一切無い。モンスターからドロップアイテムと魔石が零れ落ちて、
リリがそれを拾い集めバックパックに入れる。
﹁先程からベル様が倒したモンスターのドロップアイテムが落ち過ぎ
ていると思います﹂
﹁それが当たり前と思ってくれていいよ﹂
﹃気にするな小娘﹄
二人と一本は歩みを止めない。下の階層に降りるとモンスターの
質と数は上がる。だが、モンスターがリリに近づこうとするならばベ
ルが空戦魔導師の経験を活かして、一瞬で接近して確殺する。
リリはベルに守られ、魔石とドロップアイテムを拾いながらダン
ジョンの奥へ奥へと向かって行く。
そして二人は10層、11層と更に下に潜って13階層に到達し
た。
﹁ベル様が強いのは知っていますが、リリをちゃんと守ってください
56
?
ね
﹂
﹁大丈夫だよ。僕、この冒険が終わったらエイナさん口説きに行くん
だ﹂
﹁とても不安です﹂
﹃フラグを建てるな。馬鹿者﹄
リリはそう言うが、ベルの実力を信じていた。天叢雲剣はベルと
神々にしか分からないツッコミを入れた。
中層はモンスターも上層より強くなり数も増える。しかし別世界
での相手よりも全て劣っているのでベルの敵ではなかった。
リリの進むペースに合わせて、二人は奥へと進んでいく。次第にリ
ベル様のそのスキルがあ
リのバックにアイテムが入らなくなり、ベルがインベントリにバック
の中身を入れた。
﹁ベル様。何故、私を雇ったんでしょうか
ミノタウロスから助けた時に小柄で守っ
別のサポーターだって居るのに﹂
﹁うーん。一目惚れかな
何ですか
れば、サポーターなんて必要ないじゃありませんか。それに何でリリ
?
﹃変態だな﹄
た。それに冒険には花がいるでしょ
﹂
てあげたいと思って、それに悲鳴を上げているリリが可愛いと思っ
?
?
ルで産み落とされる場所。
迷宮の孤王。最初の階層主lv4のゴライアスが2週間のサイク
嘆きの大壁。
それを繰り返すと。
ベルの勘を頼りに進んで行くと、簡単に下への連絡路が見つかる。
を繰り返す。
れで襲おうとしても瞬殺される。それをリリが拾い集めて前に進む
他愛の話をしながらベル達は奥へと進んでいく。モンスターが群
下を見ていた。
リリは赤面していた。ベルが笑顔で一目惚れや可愛いと言うので
﹁ベ、ベル様は変わった冒険者様ですね﹂
!
57
?
丁度、リヴィラの町の冒険者総出でゴライアスを討伐している最中
だった。しかし、雑魚モンスターの群れが冒険者達を阻んでいた。
今すぐ斬ろう
﹄
﹁まるで進撃の巨人だなぁ。やっぱりこの世界楽しいな﹂
﹃うなじを斬ろう
!
すよね
﹂
﹁任せたよ
﹄
﹂
?
﹁何なんだ
﹂
者達は何が起こったのか理解が追いついていなかった。
らドロップアイテムと魔石を回収に勤しんでいた。リヴィラの冒険
ンスターの群れが殲滅され、リリはゴライアスの攻撃に気をつけなが
ベルは凄まじい速さでモンスター達を絶命させていく。数秒でモ
イテムと魔石をリリが確保。よしやるか︶
︵先ずは雑魚から。他の冒険者達に見える速度で殺して、ドロップア
した。
リリは頷く。ベルはリリの頭をくしゃくしゃに撫でて前に走り出
﹃うなじ
僕のカッコ良いとこ見ててよね
﹁ベル様。楽しんできてください。リリはまた拾い集めればいいんで
!
︶
!
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
の方に落ちて行った。ベルは駄目押しに四肢を全て切断した。
為、首を跳ね飛ばしてしまう。その頭は下に居るリヴィラの冒険者達
そしてベルはうなじを斬る。しかし天叢雲剣の斬れ味が良過ぎた
者達は目の前のゴライアスよりもベルを目で追っていた。
ベルは壁を走っていた。かつてALOで爆走した時の様に。冒険
︵あれをしないとね
ベルはゴライアスに向かわず、壁に向かっていた。
﹁手際良過ぎだろ﹂
?
58
!
?
!
リヴィラの街のlv3冒険者ボールス。街の大頭。左目に眼帯を
しているむさいおっさんがという第一印象がベルの感想だった。
﹂
﹁あんたのお陰でゴライアスを楽に倒す事が出来た。魔石とドロップ
アイテムはベルに任せる。ゴライアス討伐の礼に一杯どうだ
﹁ごめんなさい。今日は予定あるんですよね﹂
﹂
﹁そりゃあ残念だ。いつかリヴィラに遊びに来いよ﹂
﹁はい
﹁ベル様。本当に半分貰っていいんでしょうか
﹂
二人が換金所から受け取った金額は合計数十万ヴァリス。
石を鑑定してもらう。
ルームで二人は身体を綺麗にしてギルドに向かい、換金所に今日の魔
二人が地上に帰還した時には既に夕方だった。バベルのシャワー
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
インベントリに入れて、ベル達は再び上層を目指した。
普通の魔石よりも大きいゴライアスの魔石とドロップアイテムを
可愛い声で物騒な発言を繰り返す相棒に溜息をつくベル達。
﹃手応えを感じない。もっと斬りたい﹄
にしても大きいなぁ﹂
﹁ゴライアスの魔石とドロップアイテムは僕が回収しておくね。それ
とドロップアイテムは回収しておきました﹂
﹁ベル様って本当フレンドリーですよね。一応、下に落ちていた魔石
ボールスとベルが軽い握手を交わして、お互いの道へ進む。
?
らリリも来なよ﹂
らね。あ、そうだ
今から︻ロキ・ファミリア︼と打ち上げあるか
﹁いいよ。僕らパーティーだから。それに僕、お金には困ったないか
?
ベルはリリの手を引いて待ち合わせ場所に向かった。
!
59
!
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
豊穣の女主人にて。
ベルとリリはここまで手を繋いで一緒に歩いて来て店に入る。
﹁いらっしゃいませ。2名様入ります∼﹂
銀髪の綺麗な店員に二人はカウンターに案内され、メニュー表を渡
﹂
される。ベルは一瞬、銀髪の店員に対して違和感を感じたが気にしな
いことにした。
﹁すいませーん﹂
﹁はいよ。注文は
﹂
ベルはカウンター越しにいるドワーフの女将さんに声をかけた。
﹁僕は料理全部でお願いします。酒も全部で。リリは
﹂
客を待たせるん
?
﹁今日予約のロキ・ファミリアの団体様が到着しました∼﹂
ベルとリリが大盛りスパゲッティを食べ始めた頃に彼等は来た。
﹁大丈夫。残したらリリの分は僕が食べるからね﹂
﹁ベル様・・・リリはこの量食べれる自信がありません﹂
ドワーフの女将さんはまた直ぐに厨房に戻っていく。
振りがいい彼氏を連れて来たお礼に酒だよ﹂
﹁はいよ。二人には大盛りスパゲッティとお嬢ちゃんには、こんな羽
かった。
より一層、店員達の動きが慌ただしくなっていくがベルは気にしな
!
﹁ミートソーススパゲッティでお願いします﹂
私は残しは許さないよ
リリは今更、驚くもんかと心で思っていた。
﹁本当にいいのかい
!
ロキ・ファミリアの幹部が先頭で次々と冒険者達が入ってくる。
60
?
﹁食べるなら食べ干してしまおうホトトギス﹂
?
﹁腕によりをかけるからね。皆、大量の注文だよ
﹂
じゃないよ
!
﹂﹂﹂
﹁﹁﹁はいっ
!
﹁皆さん。僕、先に食べて飲んでまーす﹂
﹁あれがフィンが言っていた冒険者や・・・な
﹂
ベルの心臓が止まった。ベルの視線の先には、色鮮やかな緋色の髪
に市丸ギンの様な糸目。スラリと引き締まった身体。断崖絶壁を誇
る無乳さと白く綺麗な肌の女神が居た。
ロキ・ファミリアの連中からすれば、またベル・クラネルが見惚れ
てると思ってロキが不審に思っている構図になっているが、それは
違った。
ベルは神と相対した事により闘争本能が昂ぶっており、ロキは神と
しての本能が危険信号を発していた。
ベルはロキに近付き、手を取って跪いた。
﹁僕の名前はベル・クラネル。所属ファミリアは︻ヘスティア・ファミ
﹂
リア︼です。︻ロキ・ファミリア︼の主神ロキ様。貴女に一目惚れしま
﹂
﹂
?
今日は宴や
﹂
!
した。この宴の後もし良ければ二次会と洒落込みませんか
﹁ベルゥ
この後ベルはティオナに滅茶苦茶にされた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
﹂
﹁よっしゃあ、ダンジョン遠征みんなごくろうさん
飲めぇ
!
ガレスのおっさん。約束通り飲み比べで勝負だ
ロキの一声でロキ・ファミリアの宴が始まった。
﹁よっしゃあ
にできる権利付きやァッ
﹂
他の団員達も次々と声を上げる。
!
!
61
?
ちなみに勝った方はリヴェリアのおっぱいを自由
﹁いいぞベル坊。返り討ちにしてやるわい
!
﹁うちも混ぜてー
!
!
!
!
﹂
んでぇ
﹂
でもベルにはリヴェリアのおっぱいと耳は渡さへ
﹁ロキ様ァ リヴェリアさんの耳を好き放題する権利もつけてくだ
さい
!
﹁うちが認めよう
!
お前あの話聞かせてやれよ
﹂
!
話だよ
﹂
アイズは無言を貫く。
﹁お前ら、あれは傑作だったぜ
怖で顔が引きつらせてるんだよ﹂
流石糞兎だぜぇ
あー腹痛ぇ
!
﹂
﹁それで糞兎は生臭ぇ牛の血を全身に浴びたトマト女を口説いんだよ
﹁最後に糞兎が必死の顔でミノタウロスを微塵切りにしたんだよ﹂
?
!?
﹁それでその女の子どうなったんや
﹂
可哀想なくらいに震え上がって、恐
﹁俺達が最後に追い詰めた時のミノタウロスが襲っていたトマト女の
﹁そうだ、アイズ
オナに弄られてアイズは恥ずかしそうにしていた。
た団員がアイズに酒を進めるが幹部達の制止がかかり、その事をティ
を次々と飲み込んでいく。さながらピンクの悪魔の様だ。他の酔っ
ベルはロキ・ファミリアと一緒に飲み比べをしながら、頼んだ料理
﹁上等だ、ロキ様ァ﹂
!
!
!
原初の神の大地母神に喧嘩売ってんのかァ
﹂
﹁テメェ。グダグダうるせぇんだよ。駄犬野郎。可愛いは正義なんだ
よ
そしてベードも立ち上がる。
糞兎野郎﹂
﹁テメェこそ嘘つきの癖にでしゃばるんじゃねぇ
も追い掛けてろ
ずっと女の尻で
?
﹂
﹁自分の気持ちを伝えられない童貞の上級冒険者の嫉妬は心地良いぜ
!
!
!
﹁ぶっ殺すテメェ表出ろ﹂
﹁二人とも落ち着け﹂
リヴェリアが二人の仲裁に入ろうとするが
﹁黙れババァ﹂
62
!
!
しかし今まで黙っていたベルが立ち上がった。
!
!
﹁男 に は 引 け な い 戦 い が あ る ん だ
全世
そ れ に テ メ ェ は 散 々 テ ィ オ ナ
﹂
ちゃん馬鹿にしやがって。貧乳は希少価値なんだよ分かるか
界の貧乳に悩んでる女の子に謝れ
二人は睨み合いながら、豊穣の女主人から出て行く。
ロキ・ファミリアの幹部達は二人を追い掛けて、外に出た。リリも
ベルが︻ロキ・ファミリア︼に喧嘩売った結末を見届けようと外に出
た。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
豊穣の女主人の外にもロキ・ファミリアの冒険者達が酒を飲んでい
﹂
た。そこに幹部達も出て来るので何かあったのかと見守ると。
﹁俺が勝ったらティオナちゃんとリリに土下座しろよ
﹁俺が勝ったらお前をトマト野郎にしてやるぜ﹂
のはベードの右ストレートだった。
ベルは身体を殴られ、後退する。
﹁我は最強なり。全ての障碍を打ち破るものなり
﹂
ベルとベードはお互い、相手に向かって走る。最初に一撃を入れた
の差が大きくけど、権能使えば余裕だな︶
︵ベードのステイタスは999x5で4995が最大だ。ステイタス
もりだった。
差を見せつけて、
︻ロキ・ファミリア︼の女の子達に好印象を与えるつ
ベルの頭にはベードをぶちのめす事しか無かった。圧倒的な力の
二人は周りの野次馬共を無視して、勝手に喧嘩を始めた。
ルは臨戦態勢だった。
ベルはテンションが可笑しくなっており、神が近くに居るせいでベ
!
される。冒険者は大の大人が敵わないlv1のモンスターを瞬殺す
件は的が破格に力強いこと。効果は相手が怪力な程、自分の力が強化
ベルはウルスラグナの聖句を唱えて﹃雄牛﹄の権能を使う。使用条
!
63
!
!
!
ることが出来る。人間以上の怪力の持ち主だということだ。
そしてベルとベードの壮絶な殴り合いが始まった。お互い一歩も
︶
引かず自分を顧みずに相手を殴り続ける。
︵駄犬野郎。渋とすぎんだろ
︶
一発一発がとても重ぇ。ガレスを超えてんじゃねのか
それよりとっとと倒れやがれ
︵変態糞兎が
!
を超えている。
﹁まだまだ終わりじゃねぇぞ
糞兎
﹂
!
スーパーマンか
?
時に見たアニメの英雄達を。
︵悟空か
いや、サイタマで十分だろ︶
ベルはイメージする。ジャンプ黄金期の英雄達を。現代人だった
﹁茶番は終わりだ。次の一撃で終わりにしてやる三下﹂
!
オーネには遠く及ばないが神に近付いているということ。即ち、人間
在 を 見 誤 っ て い た。ス テ イ タ ス を 刻 ま れ て い る と い う 事 は カ ン ピ
二人の顔には凶暴な笑顔が浮かんでいた。ベルは冒険者という存
!
!
﹂
!
﹂
知るもんか
﹂
私なんかの為にそこまでして﹂
﹂
﹁もしかしてティオナちゃん照れてる
﹂
﹁人が心配してるのに調子に乗るなッ
ベルは軽く額にデコピンを喰らった。
何ですか
﹁そのね・・・ありがとう﹂
﹁えっ
﹁人が恥ずかしい思いしながらベルったらもう
軽く頬を殴られティオナはそっぽを向く。
!
ベルはにやけながらティオナを聞き耳を立てる。
?
﹁絶対ベードは許さへんでぇ。ウチの子供に貧乳穢す奴はお仕置きや
!
?
?
﹁ベルって頑丈なんだね。大丈夫
ベル・クラネルという白髪赤眼の少年を。
けた野次馬は見届け、心に刻みつけた。
壮絶な殴り合いからのワンパン。周りの冒険者達や騒ぎを聞きつ
﹁まずはその顔面をぶち壊す
盪を起こしており避けれずに顔面に拳が直撃した。
ベルは一気に踏み込み、右ストレートを放った。ベードは軽く脳震
?
!
?
64
?
﹂
﹁私も混ぜてくれロキ。目上の存在に対してババア呼ばわりしたこと
を後悔させてやる﹂
﹂
ベードに向けてベルは手を合わせた。
﹁大丈夫ですが冒険者さん
﹁深雪さん
待ってください
﹂
合った。彼女は中に入ろうとしてベルに背を向けた。
そしてベルは中に入ろうとしたら、ベルはエルフの女店員と視線が
ベルは彼女から渡されたハンカチを血塗れにして返した。
﹁僕の名前はベル・クラネルって言います﹂
﹁私の名前はシル・フローヴァです。冒険者さん﹂
﹁ありがとうございます。店員さん﹂
銀髪の綺麗な女店員がベルにハンカチを渡す。
?
!
︵深雪さんなのか
︶
下界の子供達はうちらに嘘付けんのや。
?
なんや
﹂
なのにやベルが考えてることがうちにはわからん。それにあの牛は
﹁ベルは一体何者なんや
の冒険者達は既に食事を終えていた。
ベードは縄で拘束されて、気絶していた。ベルやロキ・ファミリア
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
彼女に見惚れてベルに左手の平手打ちが直撃した。
!
?
﹁私にはまだ幻の左手がある
﹂
はその右手を左手で掴んでいた。
ベルの手を振りほどき、右手で平手打ちをしたかと思えたが、ベル
﹁私に触れるな﹂
ベルが彼女を追い掛けて、肩を触る。
!?
ロキの普段糸目が見開いていた。
?
65
!
こ れ か ら 軽 く 飲 み に 行 き ま す か 僕 の サ ポ ー
﹁さぁ。僕はベル・クラネルです。それ以上でもそれ以下でもないで
す。ど う で す
ターも眠そうだし﹂
ベルは隣に座っているリリの頭を軽く撫でる。
す﹂
!
リリは礼儀正しく礼をして帰って行った。
﹂
?
﹂
﹁リリはもう疲れました。明日リリは冒険をおやすみさせてもらいま
?
﹁洗いざらい吐き出してもらうからな。あ、あとうち金無いから
﹂
﹁僕が支払いしますよ。オススメの酒場あるんですか
﹁それならいいとこあるで
?
お互いが相手の事を興味津々で話が進んでいく。二人はこの後酒
場巡りをした。
66
?
と あ る 受 付 嬢 の 受 難。無 乳 と 兎。薄 汚 い 少 女。マ ス
タースミスの受難。女神の疼き。ロリ巨乳と兎。
とある受付嬢の受難
ギルドの受付嬢で一番人気な彼女の名前はエイナ・チュール。種族
はハーフエルフ。
可憐な容姿に面倒見の良さと、仕事に対する真面目な姿勢が高評価
されている。
基本的にギルドの受付嬢は冒険者に深入りしない。仲が良くなれ
ば良くなるほど死んだ時のショックがより大きくなるからだ。
しかし彼女は担当する冒険者が死んで欲しくない為、何かと世話を
焼く。
しかし彼女の担当した新米冒険者は二日目から見当たらなくなっ
た。
ギルドは中立の為、一冒険者のファミリアには詮索することは許さ
れない。
だから彼女はバベルで働いている同僚に、白髪赤眼の少年が魔石や
ドロップアイテムを換金に来たか尋ねたが、同僚は来てないと答え
た。
彼女は何度も泣いて悔やんだ。
駆け出しの新米冒険者の少年が死んでしまった事を。
もっと長く厳しく、ダンジョンの恐怖を教えんだら良かった。
泣いても悔やんでも少年は帰ってこない。
だから彼女は彼のような新米冒険者を死なせない為により一層、担
当の冒険者達に厳しく指導した。
そんな彼女についた非公式の二つ名は︻鬼教官︼
名誉か不名誉な二つ名を付けられる程に、彼女は新米冒険者には徹
底的に厳しく指導した。
しかし彼女に転機が訪れる。
67
これは酒場での私闘が始まる前の昼時。
つい先日、長期間の遠征から帰還した︻ロキ・ファミリア︼の副団
長で迷宮都市オラリオ最強の魔法使いであり、母の親友でもあるリ
ヴェリア・リヨス・アールブがエイナを尋ねて来た。
ありがとうございますっ
お褒めの言葉、身に沁
﹁久し振りだなエイナ。少し見ない間に綺麗になったな﹂
﹁リヴェリア様
みる思いで・・・﹂
心中を察してくれ﹂
?
は折れた。
﹁場所を変えてもらえないか
そこで話そう﹂
エルフ達は高貴なハイエルフには逆らえない。その命令でエイナ
﹁分かりましたリヴェリア様。今日は何のようですか
﹂
別に過敏になるなといっているだけだろう。敬うというのなら、私の
﹁アイナまでそんな事を・・・一緒に里を抜け出した仲間なのだがな。
﹁しかし母が高貴な方は敬えと・・・﹂
お前は里の生まれではないだろう。敬わなくて舞わない﹂
﹁堅苦しいのはやめてくれ。ここはエルフの里ではないんだ。それに
!
エイナは突然出てきた名前に驚いた。
いて知ってる事を教えてくれ﹂
﹁お前が担当していた冒険者の事だ。名前はベル・クラネル。彼につ
﹁それでどういった事なんでしょうか﹂
でいた。
二人は向かい合って、リヴェリアはエイナから出された紅茶を飲ん
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
リヴェリアはエイナに案内されて個別の相談室に向かった。
﹁分かりました。此方へどうぞ﹂
?
まさか死体が発見されたというのだろうかと思った。
68
!?
﹂
﹁彼は確かに私の担当でしたが、彼は一ヶ月前に行方不明になってい
ます。まさか彼の死体が見つかったのでしょうか
﹁へっ
・・・はぁぁぁぁっ
﹂
スターに襲われている時に助けてくれた﹂
﹁エイナ。ベルは死んでいない。ベルは50階層で我々が新種のモン
エイナは泣きそうになりながら、リヴェリアに伝えた。
?
先に目が覚めたのは女神だった。重たい瞼を開けると、そこは見知
ある場所のある部屋に白髪赤眼の少年と緋色の髪の女神が居た。
無乳と兎
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
エイナの顔はリヴェリアが引くような強烈な笑顔を浮かべていた。
﹁頭にキマシタ﹂
それに私の忠告を無視して、深層にまで潜っている。
そして泣いて悔やんだ事を返して欲しい。
寝る時間も惜しんで徹夜で仕上げた。
りも更にハードに改良した。
彼のような新米冒険者を死なせないように、今までのマニュアルよ
い。
死んだと思っていた冒険者が生きているということは確かに嬉し
エイナはキレていた。
その際のアクシデントで彼の手を借りた事も。
彼と一緒に地上に帰還した事も。
彼が50階層を拠点化しているという事。
リヴェリアは話を続ける。
そしてエイナの驚愕の声はギルド中に響いた。
?!
らぬ天井。横から可愛い寝息が聞こえるからそちらの方を向くと少
69
?
年が居た。
﹁えっここどこ
なんでドチビの子供が居るんや
が白いベッドを染めていた。
﹁うち、ドチビの子供と寝たんか
﹂
﹂
ズキズキと痛む秘部。もしやと思い、毛布を持ち上げて覗き見ると血
同じ場所に脱ぎ捨てられている。ベッドの硬さは丁度良い。そして
この部屋の状況は豪華な装飾品で飾られた高級感漂う部屋。服は
思考停止していた脳をフル活用して、ロキは考える。
だった。
全 裸 だ っ た。ロ キ は 少 年 の 毛 布 を 軽 く 持 ち 上 げ て 覗 き 見 る と 全 裸
ロキは思わず身体を素早く起こす。すると下着すら着けておらず
!?
予備軍やったんか
﹂
﹁よくよく見れば可愛い顔してる。もしかして、うちってショタコン
ロキは横で寝ている少年の顔を覗き込む。
先の記憶が無い。しかし熱烈にアプローチされたのは覚えていた。
少年の秘密を暴こうとして酒場を回ったのは覚えているが、そこから
昨日の記憶を辿る。豊穣の女主人で皆と別れた後、神の力を使った
?
それとうちのことは呼び捨てでいいからな﹂
﹂
﹁ダメなんか
﹁ベルたん
﹁おはようベルたん﹂
を引っ込める。
ベルは身体を触られたせいか目を覚ました。ロキは触っていた手
﹁ん。あっロキ様おはようございます﹂
﹁顔に似合わず、細マッチョなんやな﹂
腹筋へと。
も綺麗だった。そしてその手は身体の方にむかっていく。胸板から
だからロキはベルの頬を軽く撫でる。柔らかい。スベスベして肌
﹁いきなりはダメやな。うん﹂
あげたくなってる。ぎゅーと抱き締めてやりたい。
衝撃の事実が発覚した。しかし可愛い顔なのは事実なので、守って
!?
70
?
﹁ダメじゃないですけど。分かったよロキ﹂
?
!?
ベルに名前を呼ばれて、ロキは嬉しい気持ちで満たされた。
ベルはタジタジだった。ベルは朝起きたらてっきり裁判の流れの
﹂
可能性が高い中でお持ち帰りしたわけだが、この展開は願ったり叶っ
たりだった。
﹂
﹁なあなあ。うちのこと好きって言ったやん
﹁はい大好きです﹂
﹂
﹁それに愛し抜きます。とも言ったやん
﹁男に二言はありません
?
員達はリリの事なんて気にも止めていなかった。そして派閥拡張の
リリは神酒を奪い合う︻ソーマ・ファミリア︼で孤立した。他の団
い階層で野垂れ死にした。
せずに、気付いたら死んでいた。神酒を求める余り、実力が見合わな
は幼いリリに金を稼ぐように厳命していた。親らしいことは何一つ
彼女の所属は生まれた時から︻ソーマ・ファミリア︼だった。両親
ベルとパーティーを組んで半日で稼いだ金だ。
彼女はベッドの下に隠している金庫から金を取り出す。その金は
た﹂
﹁ま さ か た っ た 一 回 で こ ん な に 貰 え る な ん て 夢 に も 思 い ま せ ん で し
は息を潜めるように過ごしていた。
とある格安の古臭い宿屋の部屋に、小人族の少女リリルカ・アーデ
薄汚い少女。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
入るがベルも一緒に浴びて第二ラウンドが始まるのは必然だった。
ロキは笑顔でベルに抱き着いた。その後にロキがシャワーに先に
から﹂
﹁なら、うちを傷物にした責任とってな。一年後にうちが迎えに行く
?
際に配られた神酒を飲んでしまい、リリも神酒に魅了された。
71
!
リリは孤立していた為、頼れる存在はいない。自力で稼ごうとした
が全てが無駄に終わった。リリには冒険者の才能がなかったからだ。
リリはサポーターに転職を余儀無くされた。
そしてリリの地獄の日々が始まった。他の団員達に身に覚えのな
いクレームを付けられて搾取され続けた。
モンスターに殺されかけても助けてくれはしない。怪我をしても
治療しようとしない。荷物を無くしたらただじゃおかないと脅され
暴力の嵐。奴隷のように酷く扱われた。
ダンジョンから帰還すると醜い報酬の奪い合いが始まる。
ファミリアから何回も逃げた。しかしその度に見つかって、その居
場所を壊されて金を奪われる。花屋で優しく保護してくれた老夫妻
の時は冷たい態度で手の平を返された。
﹁冒険者を辞める選択肢もありますね。でもベル様となら・・・﹂
リリは昨日パーティーを組んだ白髪赤眼の少年を思い出す。
今までに冒険者と違って、優しくて気遣いが出来て出鱈目な強さ。
目の前で︻ロキ・ファミリア︼の一流冒険者ベート・ローガとの私
闘。
﹁リリの為にと一瞬でも思ったリリが馬鹿でした。本当にベル様は女
好きの変態さんです。でも・・・﹂
しかしリリはベルとの冒険を楽しんでいた。
本来なら、モンスターと命のやり取りをしながら死に物狂いでダン
ジョンを攻略していくのが普通だ。
年下で強くて頼り甲斐のある少年。
顔も悪くはなく、そして報酬も半分という気前の良さ。
﹁脱退する時、ソーマ様までに辿り着く前に誰かに捕まると全額取ら
れる羽目になりますね。それに辿り着いたとしても、ザニス様が待ち
構えていることですし。ベル様なら何とかしてくれるかもしれませ
ん。根拠なんてありませんけど﹂
彼女は何度も神と、この世界を恨んだ。
︻アストレア・ファミリア︼が存在していたらなどと思ったこともあっ
た。
72
しかしベルから装備品を盗みたくはなかった。
本当のことを話して嫌われてもいい。
﹁ベル様のサポーターを辞めたいんじゃなくて、報酬が良いからまだ
組んであげるだけなんです﹂
どん底にいた少女には、まだ希望はあった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
無乳と兎 後編
ベルはロキを抱えて、完全ステルスのスキルを使用して空を飛んで
いた。
目的地は︻ロキ・ファミリア︼のホームである黄昏の館。ロキの部
様々な色、多様な形のボトルが部屋中に散乱している。
机周りには高価そうな道具の数々。
その付近には服や書物などが転がっていた。
﹁僕は部屋が汚いことなんて別に気にしませんよ﹂
ベルはロキをベッドに横にさせた。
﹁そう言ってもな、女は男を綺麗な部屋に招きたいものなんや﹂
﹁じゃあ次に来る時に部屋が綺麗になってることに期待しておくよ﹂
﹁ベルたん。また今度な﹂
﹁お元気で﹂
73
屋だ。
﹂
先程までずっとロキはベルに弄ばれており、腰が抜けて立てなく
なったのだ。
今もうちを弄んで楽しいか
﹁到着です。今日は楽しかったです﹂
﹁ベルたんの鬼畜
!
一番多いのは小型の保存庫まで用意されている酒類。
辺りには様々な物で溢れていた。
ロキの部屋は散らかっていた。
!
﹂
二人は軽いキスをして、ベルは窓から再び空を飛んだ。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
マスタースミスの受難
﹁それでね、ベルがね、ベルがね
とある武具店の執務室でのこと。
機嫌のいい女神の声が弾むように響いていた。
﹁毎日百以上は聞いたぞ、主神様よ。頼むから仕事をしてくれ﹂
最近のヘファイストスは浮かれていた。
机に頬杖を突きながら笑みを浮かべている主神に、惚気で手がつい
ていない書類を手伝っている椿が呆れた顔で指摘する。
ヘファイストスは椿を捕まえては、何度目か分からない惚気話を始
める。
他の団員達には内緒にしており普段通り接するが、椿が雑務を手伝
うために執務室に入ると書類仕事は進んでおらず途端に惚気話にな
る。
最初は椿も、主神を超えた少年に興味が沸いて話を聞いていたが、
主神はあの日のことの思い出に浸っている惚気話しかしない。椿は
自分や主神を上回る技量に嫉妬と、この状況を作ったベル・クラネル
という名前しか知らない少年に軽く殺意を抱いた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
女神の疼き。
バベル最上階50階にて。
74
?
美の女神フレイヤは、血が乾いたハンカチを吸いながら疼いた体を
慰めていた。
﹁ベルの使用済みハンカチってだけで興奮が止まらないわ﹂
この部屋にはフレイヤしかいない。
こんな痴態を自分の子供たちには見せられないので、オッタルは部
屋の外で待機してもらっている。
﹁早く神の宴に行きたいわ。ヘスティアにベルを譲るように説得しな
いといけないわね。それか天界に強制送還は・・・ベルが怒るから駄
目ね﹂
フレイヤは色々な案を考えるが、結局正攻法で攻めることにした。
﹁昨日のベルはカッコよかったわ・・・でもロキのワンちゃんにはお仕
置きが必要かしら。オッタル﹂
すると扉が空いた音もせずにオッタルが傍に控えていた。
﹁ロ キ の ワ ン ち ゃ ん に 警 告 を お 願 い。私 の ベ ル に 手 を 出 す な ら 私 は
そしてお互いに抱き合い、キスをする。
﹁んっ﹂
久しぶりのヘスティアの舌を味わうように唾液を交換する。
75
黙っていないと。それと軽く手を出しても構わないわ。抗争に発展
しても面白いし﹂
﹁貴女の御心のままに﹂
都市最強が動く。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ロり巨乳と兎
﹂
﹂
﹁ただいまヘスティア
﹁お帰りベルくーん
!
ベルは廃教会に帰ってきた。
!
寂しかったんだぞ
﹂
﹂
一か月以上も僕のところに帰ってこないなんて酷いじゃ
そして臨戦態勢に移る。
﹁ベル君
ないか
﹁ごめんなさい。それよりもお話があります﹂
二人は椅子に座る。
ベルはインベントリを操作して、金をとりだした。
﹁ダンジョンに籠っていたおかげで、億を超えましたよ
﹂
流石僕のベル君だよ 今夜はぱーっ
﹁すごいじゃないかベル君
でも待ってくれないか﹂
!
る。
﹂
﹂
﹂
﹁18時に南西のメインストリート、アモールの広場で集合だっ
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
そこは楽園だった。
﹁おぬし、やはり大きくなっておらんか
﹁女神達が成長するわけないでしょう・・・ってこら、揉むな
﹂
いる。そこは男達の理想郷。楽園だった。
ない生まれたままの裸体を、完成された美しさを誇る女神達が晒して
湯気の中、麗しい身体のラインを、豊満な胸を、何も身につけてい
気にするだろう。
下界の子供達がこの場にいたら、鼻から血が噴き出して下半身を元
!
?
!
ヘスティアは自分の身体を匂い、クローゼットと睨めっこをしてい
﹁それは構わないぜ
﹁いいですね。僕のおすすめの店でいいですか
揺れている巨乳を見てベルはにやけていた。
ヘスティアは万歳をして喜んでいる。
﹂
と外食に行こうじゃないか
!
﹁ふぁー・・・お風呂に限るな
!
76
?
!
!
!
!
!
!
ここは神聖浴場。
その名の通り、神のみが入浴することを許された清浄な浴場だ。
この神専用の大浴場は、ギルドが都市に住む神の為に設け管理して
いる。
各︻ファミリア︼から徴収した税の一部を、神達の娯楽施設き還元
させている。
一応、男風呂もあるが使用率は低いため、神聖浴場といえば基本的
に女風呂を指す。
一度とある偉大な老神により、神々の伝説になった侵入を許した。
以降はギルドによる警備は鼠一匹通さない厳重なものになってい
た。
ヘスティアの横に女神が来る。
﹁あら、へスティア。珍しいわ、貴女がここに足を運んでいるなんて﹂
﹁あー・・・やぁ、デメテル。久しぶりー﹂
77
デメテルはその暴力的なヘスティアを上回る胸を風呂に沈めた。
デメテルがヘスティアを問い詰めることにより、男ができたことが
ベル・クラネル
この場にいる女神達にばらされてしまった。
︶
この浴場には誰にも気づかれずに白 兎が紛れ込んでいた。
︵眼福眼福。デメテル胸でかっ
﹃照れるなぁ﹄
その発言を聞いたベルは獰猛な笑みを浮かべていた。
﹁全部だよ。僕は彼を愛している﹂
傾けていた。
ヘスティアがデメテルにどこが好きと聞かれ、ベルも気になり耳を
た。
がっている女神達の美しい身体をその目にしっかりと焼き付けてい
ステルス状態でベルはインベントリに服を入れて、ヘスティアに群
上の楽園に侵入していた。
知ったベルはギルドの警備を易々と突破し、女神達の裸体が拝める地
完全ステルスを使ってヘスティアを微行した結果、この神聖浴場を
!
ーーーーーーーーーー
時刻は18時前。
広場にはイチャコラしているカップルで賑わっていた。
ベルはヘスティアを待っている時間を暇つぶしに、女の顔面偏差値
﹂
とスタイルを採点していた。
﹁ベル君
﹁ここでーす﹂
普段と違う服装にベルは見惚れていたのも、つかの間。
ヘスティアを尾行していた女神達に揉みくちゃにされたベルは臨
戦態勢に入ってしまったが、先ほどの言葉を思い出してヘスティアの
手を握り逃げ出した。
ベルはステルスを使用して空を飛んでいた。
﹂
目的地は豊穣の女主人だ。路地裏で降りてベルはステルスを解除
した。
一度は来てみたかったんだよ
!
﹁このお店です﹂
﹁ああここか
﹂
!
﹁太っ腹だね、流石ベル君だよ
今日は宴だぁ
!
﹂
ミアは奥の厨房に向かい、昨日見た光景を思い出す。
﹁あいよ。ゆっくりしていきな﹂
﹁ミアさん。飯も酒も全部で﹂
二人は座り、すぐに注文をする。
内された。
ベルはシルと目が合うと逸らされ、冷めた口調でカウンター席に案
﹁いらっしゃいませ
二人は手を繋いで中に入る。
!
!
78
!
ベルの長い一日の始まり。
﹁それじゃあ行ってきます。昼には戻りますから﹂
﹁気を付けて行くんだよ∼﹂
昨日、ベルとヘスティアは豊穣の女主人で夕食を摂った後は、ベル
が泥酔したヘスティアを介抱しながらホームに帰った後は、当たり前
のようにヘスティアとベルは熱い夜を過ごした。
今日はヘスティアが神の宴なので、ベルは昼から一緒にドレスを買
いに行く約束をしていた。
ベルはホームを飛び出して、ある場所に向かって歩き出した。
その方向はバベル前の待ち合わせ場所に向かっているわけではな
かった。
数分程歩いて、冒険者達の波を抜けて細い路地裏に目的地はあっ
た。
﹂
﹂
今まで柔らかい言葉遣いが変わり、鋭くなる。
﹂
﹁こ こ で 買 っ た ポ ー シ ョ ン は パ チ も ん で す ね。そ の お 陰 で 僕、ダ ン
ジョンで死にかけたんですよ。どう、責任とってくれるんですか
﹁私はそんな事・・・知らない﹂
?
79
そこは殆ど知られていない見窄らしい建物で中に店があり、その中
にベルは入っていった。
﹁いらっしゃ・・・い。ベル
﹁今日は・・・買い物
個人的に見た目は悪くないので全然問題な
た。
ベルは主神のミアハから元冒険者だったことしか聞いていなかっ
エリスイス。種族は犬 人。
シアンスロープ
ベルの目の前にいる女性は︻ミアハ・ファミリア︼所属のナァーザ・
﹁それは酷いですよ、ナァーザさん﹂
﹁死んだかと・・・思った﹂
﹁おはようございます。一ヶ月ぶりですねナァーザさん﹂
?
﹁それもありますが、その前に聞きたいことがあります﹂
?
ベルが悪い笑みを浮かべる。
﹁ならミアハ様に直接聞きましょうか
下界の子供達は神に嘘はつ
けない。その後にギルドに報告してペナルティは確実ですね。下手
僕はそれが
すれば悪質ファミリア認定されて、ファミリア解散も在り得るかもし
れませんね﹂
全てはったりだ。
思いつく限りの嫌がらせ行為。
そこまでして、ベルは知りたかった。
﹁ミアハ様にも・・・ギルドも・・・ダメ﹂
﹁なら何故こんな事をした経緯を教えてくれませんか
知りたい﹂
たことがあった。
ナァーザの説明を聞きながら、
﹁﹂だった時の知識を活かして気づい
て、今では中堅だった頃の面影はない。
を作ってもらい、莫大な借金のせいで団員達はミアハに愛想を尽かし
そしてミアハが︻ディアンケヒト・ファミリア︼に借金して銀の腕
ダンジョンに潜っている時に右腕を食われた。
簡潔に言うならば、彼女は冒険者だった。
││││││││││
ベルは頷かなかった。
﹁話を始めてください﹂
﹁教えるから・・・言わないで﹂
少しだけ優しかった。
いだったら身体を要求したかもしれないが、最近のベル・クラネルは
この瞬間、もしもベル・クラネルの精神が少しでも、はぐれ悪魔祓
?
︵確か、銀の腕といえばサルバトーレ・ドニの権能。古代ケルト人が崇
80
?
めたダーナ神族の王ヌアダ。諸説あるがディアンケヒトが治すが所
詮は義手。息子のミアハが腕を再生させて父であるディアンケヒト
に殺される。さしずめナァーザさんがヌアダの役割なのか︶
それを聞いたベルの感情は混沌を極めていた。
同情と怒り。ベルの夢の人物たちは殆どが善人だ。だから憐れん
で同情する。
しかし一人だけの悪人である、キチガイはキレていた。
実力不足だから腕を食われて、お前のせいでファミリアは衰退した
んだと。
﹁そうなんですか。ならタイミングが良かったです。カドモスの泉の
水を貴方達に上げます。丁度、
︻ディアンケヒト・ファミリア︼に売る
予定だったんですが、こっちの方が役に立つでしょう﹂
﹂
ベルはインベントリを操作して、泉の水が入った大中小の瓶を取り
出した。
﹁じゃあ、僕はこれで
・・・どうしよう﹂
ベルは大量のボトルを置いて、店から飛び出した。
﹁これ・・・億はくだらない・・・よね
つけたのでそちらの方に歩いて行く。
ベルは辺りを見回し、はずれのベンチに座っている小さな少女を見
わせ場所についた。
ということを考えながら、メインストリートを歩いていたら待ち合
ちゃんは無罪確定。
この考えが適用されるなら、フリードは認めないけど聖女アーシア
を教えられた。
ベルは昔、祖父から女性が悪い事するのには理由があるということ
││││││││││
取り残されたナァーザはボトルをどうするか悩んだ。
?
81
!
﹁おはよう。リリ﹂
﹁おはようございます。ベル様﹂
﹂
ベルもリリの隣に座る。
﹁それじゃあ、行こうか
﹂
﹂
﹁その前に私ごとですが、ベル様にお話があります。いいですか
﹁うん。別に構わないよ。どうかしたの
﹁リリをベル様のファミリアに入れてもらえませんか
﹁じゃあ、ヘスティアに聞いてみようか﹂
﹂
ベルは立ち上がると、リリに手を差し伸べる。結局、リリが何か言
﹂
う前にベルが無理矢理手を握ってホームに向かった。
││││││││││
﹁ベル様は何も聞かないんですか
﹁何が
﹂
のはリリだった。
今二人はしっかりと手を握り合って歩いている。先に口を開いた
?
﹂
﹁別に理由なんて幾らでもあるじゃないか。僕に一目惚れしたとか、
結婚したいとか・・・ね
?
﹁違います 何でベル様なんかの伴侶にならないといけないんです
か
別に知らない︻ファミリア︼に行くくらいな知り合いのベル様
!
思ってませんから
﹂
さまな態度を取るリリにベルは可愛いと思っていた。
先程の重たい雰囲気がベルがふざけた所為で壊れてしまい、あから
!
82
?
?
?
?
﹁リリが突然、改宗したいと言い出した理由についてです﹂
?
の と こ に し た い と 思 っ た だ け で す。別 に ベ ル 様 の 事 な ん て 何 と も
!
神の宴 x ソーマ・ファミリア x 歓楽街
﹁ベルさん遅いです。私、かなり待たされたんですけど。責任とって
くださいね﹂
﹁そんな事、言われても。でも弁当ありがとうございます﹂
リリとベルが︻ヘスティア・ファミリア︼のホームに向かってる途
中に、たまたま豊穣の女主人の前を通り過ぎようとした時に、店員の
シル・フローヴァに声を掛けられた。どうやらベルが寄り道して待ち
﹂
合わせ場所に向かった為、シルは長い時間待たされることになったよ
うだ。
﹁それより何で、その子と手を繋いでるんですか
﹂
た教会が建っており、ベルに続いてリリも中に入って行く。
二人はここまで手を繋いで歩いてきた。今、リリの目の前には寂れ
﹁ここが僕のホームだよ﹂
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
シルは笑顔で手を振り、ベル達を見送るが目が笑っていなかった。
﹁絶対に来てくださいね。待ってますから﹂
﹁それじゃあ、僕達はこれで。後で食べに来ますね﹂
た。
シルはベルを睨みつけても無駄だと悟ったのか、リリを威圧してい
﹁へぇ。お二人とも仲がよろしい事ですね﹂
﹁ベ、ベル様
うようにリリの手をしっかりと握る。
シルはリリを見て、不満な顔を浮かべていた。ベルはシルをからか
﹁リリの手が小さくて、とっても柔らかいからかな﹂
?
そこには古臭い長椅子が綺麗に並べられており、二人は真ん中を歩
いて奥にある隠し通路を降りた。
83
!?
って、その手を繋いだ女の子は何なのかな
﹁ヘスティア。ただいま﹂
﹁ベル君おかえり
リリはベルより一歩前に出る。
﹂
僕とベル君の︻ヘスティア・ファミリア︼へ。さ
何で僕の︻ファミリア︼に入りたいのかな
﹂
﹁今から、君の面接試験を始めようか。まず初めに自己紹介。そして
ティアはベルを隣に呼び、リリを見下ろすようにベットに腰掛けた。
ヘスティアに付いて行き、リリは中に案内されて椅子に座る。ヘス
あさあ中に入りたまえよ﹂
﹁よく来てくれた
す。今日は貴女様のファミリアに入りたいと思いまして・・・﹂
﹁神ヘスティア様、初めまして。私の名前はリリルカ・アーデと言いま
?
ど、ベル君の事はどう思っているのかな
﹂
﹁な、なるほどね。ベル君と冒険がしたいからか。単刀直入に聞くけ
てしまった。彼女が敵だという事を。
ヘスティアは嘘じゃないと確認した。しかし、ヘスティアは分かっ
もっと一緒に居たいと思いました﹂
ミリアを入りたい理由は、ベル様との冒険が楽しいからです。だから
﹁私は︻ソーマ・ファミリア︼所属のリリルカ・アーデです。このファ
事にした。
神に嘘はつけない。この世界の常識だ。だから、リリは正直に話す
?
た。彼女はベルの事が好きだと。
リリは少しだけ声が上がり、頰が赤くなった。ヘスティアは確信し
﹁ベル様の事は・・・嫌いじゃないです﹂
本人が居る。彼女が本気か試したのだ。
ヘスティアは腹黒い笑みを浮かべていた。彼女の目の前にはベル
?
﹂
﹁ふむふむ。じゃあ最後の質問だ。君は今まで誰にも言えない罪を犯
した事はあるかい
﹂
﹁あります・・・﹂
﹁ヘスティア
の罪に、後悔や反省はしているかい
﹂
?
84
!
!
?
﹁ベル君。少し黙っていてくれ。これは大事な事なんだ。君は今まで
!
﹁ありません。生きていく為には仕方の無い事でした﹂
﹁それでは、これで面接を終わるよ。また明日ここに来るといいよ。
その時に採用か不採用か決めさせてもらうね﹂
﹁はい。ありがとうございました﹂
﹂
リリは立ち上がり、丁寧にお辞儀をして階段を上って行った。
﹁ベル君。君は彼女が悪人には見えるかい
﹂
﹁見えない。寧ろ虐げられてきた弱者にしか見えない﹂
﹁︻ソーマ・ファミリア︼について知ってる事は
ベルは話を続ける。
﹁リ リ は 僕 達 に 助 け を 求 め て い る ん だ
ティなら見捨てない。僕は信じてる﹂
ヘスティアのアイデンティ
だ。それが出来ない事を推測する限り、脱退金が設定されてる筈﹂
ファミリア︼はただのゴミ溜めだ。そしてリリなら直ぐに抜けてる筈
ら金が必要なのは、ノルマを達成しないと飲めないからだ。︻ソーマ・
そしてソーマの酒は出回ってはいない。団員規模はかなりの筈だか
こ こ か ら 推 測 す る と 答 え は 酒 だ な。団 員 達 は 酒 に 魅 了 さ れ て い る。
﹁金に執着が強いファミリア。ファミリアの主神は酒の神のソーマ。
を話した。
ベルは一ヶ月前にエイナに聞いた事を思い出して自分なりの知識
?
に比例する。草薙護堂だった時の知識だ。
﹁ベル君がそこまで言うなら、僕は君の言う通りにするよ。金ぐらい
で彼女を助けられるのなら、全然構わない﹂
この時、ヘスティアはベルが金を払うと思っていた。しかしベルは
屑に払う金など一文たりとも存在していなかった。
二人はその後も話を続けて、リリの事を話し合い続けた。ヘスティ
アも彼女を助ける事に賛成した事で、気が付けば昼前だったので豊穣
の女主人に食事に行く。
その時にシルから名前を聞いた、エルフのリュー・リオンを見ると
深雪では無くて、サチに見えたが気のせいだったのだろうかと、ベル
は一人で納得した。
85
?
ベルはヘスティアを真っ直ぐに見据える。神はアイデンティティ
!
昼食を取った後に、買い物デートに出掛けた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
神の宴。
自由気ままな神達が、好きな時に好きな場所で開催される宴。神の
自由さを表したようなもの。
今回の神の宴はガネーシャが主催している。会場は︻ガネーシャ・
ファミリア︼のホームで行われる。ホームの入口がガネーシャの股間
を潜るという変なセンスをしている。
そこにヘスティアは居た。
深い青色の足首までのロングドレスを着て、ドレスに合わせた髪留
﹂
が惚気ていると。ベルとヘファイストスの間に何かあったに違いな
いと考えていた。
﹁ヘスティア。貴女も来ていたのね﹂
その二人の間に入るように、迷宮都市の一の女神フレイヤが会話に
86
めでツインテールに青いヒールを履いていた。今日、着ている物はベ
ルに買ってもらったものだ。
普段の貧乏な雰囲気を放っているヘスティアから、優雅でお淑やか
な雰囲気を纏っている。その姿を見た神々は驚いていた。
﹂
ヘスティアが上品にテーブルの食事を食べていると、彼女に声を掛
けた神が居た。
﹂
今日はどうしたんだい
﹁ようやく見つけたわよ。ヘスティア。探したわよ﹂
﹁ヘファイストスじゃないか
ヘファイストスはヘスティアの横に来る。
﹁今日は貴女に用があったの。ベルを私に来れない
?
何を言ってるんだ、ヘファイストス。ベル君は、まだ君に紹
介していない筈だ・・・まさか
﹁えっ
?
!
ヘスティアの勘が訴えていた。ヘファイストスの凛としている顔
!
?
入ってきた。
﹂
﹁フ、フレイヤじゃないか。何だい、僕が来ていたら悪いとでも言うの
かい
﹁違うわ。寧ろ逆よ。私は貴女がここに来てくれた事が嬉しいの。貴
女に用があったから﹂
﹂
ヘスティアは嫌な予感がした。これも女の勘だ。
﹂
﹁フレイヤまで・・・一体何の用かな
﹂
﹁ベルを私に頂戴
﹁君もかぁぁ
?
?
と一瞬で分かった。
﹁おーいファイたん
フレイヤー
!
ドチビ。よぉ﹂
はヘファイストスと見つめ合う。そして二人の女神はお互いが敵だ
ヘスティアの絶叫が会場に響き渡る。その言葉を聞いたフレイヤ
!
無いわね﹂
の流れから嫌な予感しかしなかった。
?
﹂
﹂
!
現実逃避をしているヘスティアを置いて、三人の女神の三つ巴が始
﹁まさか、ファイたんとフレイヤもベルたん狙いか
﹁それならヘファイストス、貴女もよ。私は別に問題ないわ﹂
たけど﹂
﹁あのロキが男ねぇ。意外だわ。まさかフレイヤまでとは思わなかっ
ヘスティアは現実逃避してしまった。
﹁もう、僕には訳が分からないよ
ウチにはちゃんとした理由があるんや。ウチにベルたん寄越せ﹂
﹁なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか
残念だったなドチビ。
最後の最後で一番会いたくない奴が、来たことにヘスティアは、こ
﹁何しに来たんだい、君は・・・
﹂
﹁ヘファイストスの言う通りだわ。この面子が揃うなんて、そうそう
は珍しいこと続きだわ﹂
﹁本当に久しぶりね、ロキ。ヘスティアやフレイヤにも会えたし、今日
ず、ゲッと唸ってしまった。
ヘスティアは入口から、一番聞きたくない声の主が来た事に思わ
!
!
!
87
?
まった。が・・・
﹁見つけたぞ、ヘスティア。ベルの事で話が・・・﹂
最後に来たミアハのせいで、四人の女神達にベルのバイセクシャル
説が流れたのは、必然だった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
どれだけ空が味わった体験を繰り返せばいいんだろう。
どれだけ、サチやユージオが死ぬ所を見続けなければいけないん
だ。
そして光を浴び続けなければいけないんだろう。
どれだけ、ナジェンダさんに想いを告げられず拷問されて、足掻い
﹂
?
88
て死ねばいいんだろう。
どれだけ、クソ悪魔にコケにされて、身体を改造された挙句に、斬
り殺されればいいんだろう。
どれだけ、新ソ連の兵士を殺さなければならないんだろう。
何回、司馬達也に敗北すればいいのか。ていうか完全にあいつが主
人公でしょ
﹁注文はなんだい
た。席は安定のカウンター席だ。
ベルはヘスティアを会場まで送った後、一人で豊穣の女主人に居
時刻は夕方。
を、思い出させられるから。
胸糞悪い夢を見ても、イライラしてくる。思い出したくない事実
不幸だった僕が嫉妬しているから。
楽しい夢を見ても、イライラしてくる。
イチャついていたが、ここ最近は胸糞悪い夢ばかり。
様々な僕には素敵なヒロイン達が居る。一週間前はヒロイン達と
!
飲まずにはいられないッ
﹁酒とツマミ全部﹂
ベルは酒
を飲みまくった。
深く刻み込まれている。
﹁ベル。どうしたんだい
ないとね
と叫びたかったが抑えて、酒
早速ゴミ掃除に出掛けよう。そうしよう。あ、完全ステルスを発動し
殺すだけだな。エイナちゃんのお陰で場所に目星はつけているから、
心意を利用して、服装を完全再現した。心意の力ってスゲー。後は
﹁キリトが死銃のコスプレってマジワロス﹂
ベルは一度帰宅して、外出の準備をしていた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
今日はやる事がある。ゴミ屑の異教徒共をお掃除しないとね★
﹁彼女の事が気になるだけです。お会計をお願いします﹂
ミア母さんが、僕を心配してわざわざ声を掛けにきてくれた。
ど、うちのリューにでも惚れたのかい
﹂
さっきからリューの方ばかり見ているけ
一条の時は、ただ可愛くて一目惚れ程度だが、それでも一条の心に
達は死ななかった。
自分が彼等にビーターだと告げて、ステータスを偽らなければサチ
デスゲームでの己の無力さを。
からだ。
ベルはリューを見ていた。その姿や声が、やはりサチと深雪に被る
!
?
?
﹁空飛んで行っちゃお
﹂
﹁第一死亡者、発見∼。異教徒共は皆殺し安定だわ﹂
た。
そして不可視の死神は、数秒でソーマ・ファミリアのホームに着い
!
89
!
ベルはホームから出た。
!
ベルは十字を切って、その冒険者に空砲の銃の引き金を引く。する
と、その冒険者は突然胸を押さえつけ、倒れてしまった。
どんどん逝ってみよぉ∼★﹂
﹁無色のファフニールって糞チートじゃん。問答無用で即死させると
か直視の魔眼かなぁ
スちゃんかぁ
あ、女の子意外に可愛いじゃん。ムカついた。ザニ
﹁でたでた。こんな奴が小物の悪党って決まりだから、こいつがザニ
た。そこでは男と女がヤッていた。
手当たり次第に部屋を回っていたベルは、一番豪華な部屋に進入し
次第に探索して、冒険者を見つけては引き金を引き続けた。
ベルはソーマ・ファミリアのホームに正面から進入して、手当たり
?
﹂
により拉致られた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
﹂
﹂
?
﹁ここは・・・
﹁はーい。お目覚めですか迷える子羊ちゃん
この拘束を解け
声の主はザニスよりも幼い少年だった。
﹁貴様
!
﹂
そしてザニスはベルがインベントリから取り出した、あるアイテム
笑っていたが、突然意識を刈り取られた。
ザニスは突然気絶した女を見て、自分のテクニックと勘違いして
気絶させた。
ベルは完全ステルスで騎乗位で突かれている女に接近して、手刀で
な
スちゃん即死させるの止めて、拷問しちゃった後に女の子を抱こうか
?
?
た。
!
ザニスは座らせられて手足を拘束されていた。
﹁嫌 だ な ぁ。今 か ら 僕 は 超 C O O L な 遊 び を す る ん だ か ら
名付け
ザニスは意識が覚醒したのか、自分が置かれている状況を確認し
!
90
?
て、悪魔も泣き叫ぶ教会直伝の拷問大会
﹁止めろ
そいつを俺に近づけるな
﹂
﹂
ベルはインベントリからある虫を取り出した。
!
うん、そ
あっ、超えるには幼女の目玉に水銀打ち込んだアニ
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
うしちゃおう﹂
メみたいに、目玉を抉ってムカデを入れた方がいいよね
を超えるんだ
﹁え∼ヤダ。今からこのムカデを耳の中に突っ込んで、ヤモリの兄貴
!
﹂
!
﹂
あの巨乳を思い出すとム
そんなベルは再び、転移結晶で転移した。
ラムラしてきたから、歓楽街で女でも抱きに行こうか
?
!
どり着けない場所だ。
﹁歓 楽 街 は 向 こ う か 待 っ て ろ 可 愛 い 子 ち ゃ ん 達
ちゃうぜ∼﹂
今 す ぐ 行 っ
ベルが出てきた場所は、バベルの塔の頂上。空を飛ばない限り、た
!
﹁これがカンピオーネの勘ってやつかぁ
女神達がヘスティアに話し掛けてバレても仕方ない事だった。
感がした。ホームに帰ったら修羅場に気がしたのだ。神の宴で、他の
ベルは鼻をほじりながら、そんな事を考えていたが、不意に嫌な予
うかな∼﹂
﹁なんか不完全燃焼だわ∼。あ、嫌になっちゃう。ヘスティアを抱こ
移結晶でザニスを拉致して拷問していたのだ。
ベルは今、50階層の拠点に居た。前の冒険中に心意で作成した転
ゴーシュート。超エキサイティング
﹁は ぁ、シ ョ ッ ク 死 す る と か マ ジ か よ。つ ま ん ね。カ ド モ ス の 餌 に
?
!
到着するのが当たり前だ。
ベルは完全ステルスを発動させ、歓楽街に飛行で向かった。数秒で
!
91
!
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
﹂
﹁来ちゃったぜ。︻イシュタル・ファミリア︼
い
これは進まざるを得な
!
金ならある
見た目とアレにも自信がある
!
が居た。
﹂
﹁女の子全員買いに来た
貸切だ
!
主の神娼婦殿に来た。ベルが中に進むと扉をくぐる。すると受付嬢
ベルは適当な所に降りて︻イシュタル・ファミリア︼のホーム、女
!
これは可愛い坊やじゃないか
キレそうになった。
﹁ゲゲゲッ
アタイの好みだ
押し倒
!
﹁女神イシュタルか・・・﹂
すると丁度、受付嬢が女神やアマゾネス達を連れて来た。
て、意識を失った。
を決めた。目の前のブスは反応出来ずに、蹴りの直撃を受けて倒れ
ベルは魔力を爆発させ、一瞬で後ろに移動して後頭部に全力の蹴り
﹁黙れブス﹂
ベルは耐えられなかった。そう、それはまるでメロスのように。
じゃないかぁ∼﹂
した身体に跨って、その可愛い顔を無茶苦茶にして・・・そそられる
!
更にヒキガエルのようなブサイクすぎる顔に、耳障りな声にベルは
体型に手足と釣り合っていない胴体。まるで相撲レスラーだ。
なく巨女が現れた。肉体は筋肉の塊。横幅に広くてずんぐりとした
ベルが受付の前で待たされていると、2メートルは超える巨漢じゃ
﹁若い男の匂いがするよぉ∼﹂
すると受付嬢はベルを待たせて、建物の奥に消えていく。
﹁少々、お待ちを﹂
を示す。
ベルはインベントリから数千万ヴァリスを出して、受付嬢に本気度
!
!
92
!
﹁へぇ。ゾクゾクするねぇ。この感覚、気になるねぇ
カンピオーネは神と接近すると、臨戦態勢に移る。
見て驚いていた。
﹁ねぇ、もしかしてフリュネ倒したの君
になっていた。
﹂
しかし、ベルはイシュタルの背後に控えているただ一人の獣人が気
と思ったからだ。
に群がった。この場にいたアマゾネス全員が、ベルの子供を産みたい
その言葉を聞いたアマゾネス達は、イシュタルなんて無視してベル
﹁ブスを抱く趣味ないからな。このブスがしつこいから気絶させた﹂
一人のアマゾネスがベルに尋ねる。
﹂
だが、イシュタルの背後にいた大勢のアマゾネス達は倒れたブスを
?
そして︻イシュタル・ファミリア︼に語り継がれる事になる、伝説
の夜が始まった。
93
?
神々の修羅場。リリの受難再び。
ここは﹁ヘスティア・ファミリア︼ホーム。そこにはガネーシャの
宴から帰って来たヘスティアとヘファイストス、ロキ、フレイヤが居
た。
何故ならヘスティアが三人からベルについて話を聞きたかったか
らだ。それにベルを問い詰めたかった。他の三人もそれに賛同して、
ヘスティアについて来た。フレイヤの護衛のオッタルもだ。
しかしベルは姿を消していた。
修羅場という名の二次会が始まった。
﹁ねぇ、ヘスティア。貴女とベルの初めて会った時の話が聞きたいわ﹂
﹁うちも聞きたいわ﹂
﹁私も私も﹂
ベルが居ない以上、彼女達は暇だ。だからと言って帰るのもつまら
ない。折角、共通の男を好きになったのだから、自慢話をする女子会
に変わっていた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
︻イシュタル・ファミリア︼の宴。
それはベル・クラネルが大金を使って、数百人のアマゾネスを買い、
女主の娼殿を貸切でベルの絶倫が発揮された出来事。
それは後世に残る大英雄ベル・クラネルの一つの逸話として語り継
がれるのは別の話だ。
ベルはアマゾネスとは違う、獣人の女の子を見て一つ分かったこと
がある。
あれはヒロインだと。あくまで仮定の話だが、この世界の主人公は
ベル・クラネルだとしたら。あれはフリードだった時に居た聖女アー
シア・アルジェントと同じ雰囲気を持っている。
94
まぁ、あのクソビッチのアーシアちゃんは悪魔共と仲良くやってる
から複雑だ。殺したい自分と赤龍帝が幸せにしてくれる事を願って
る自分がいる。
話を戻そう。彼女は誰かの策略で売られて、迷宮都市オラリオに来
冗談だけど。
たのだろう。服装は見るからに着物。これで日本じゃなかったらエ
リア11か何かかな
彼女は俺達の宴を、離れて見ていた。両手で見ないように隠してる
割には、指の隙間から見ていた。いわゆるむっつりスケベちゃんなの
だ。俺が彼女の方を見ると、目の隙間が埋まる。面白い。
俺は彼女も抱こうとしたが、俺のナニを見て気絶した。だから目隠
しをして、皆の前で抱いた。初物だった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
宴は低レベルのアマゾネスから体力が持たずに眠りについて行く。
残ったのは高レベルのアマゾネス達と女神イシュタル。かと言って
高レベルのアマゾネス達はかなり多い。
ちなみにブスが、また混ざろうとしたので気絶させてやった。
行為中に名前を聞いた。
首輪をしているからに、逃さない
獣人の女の子の名前はサンジョウノ・春姫。この世界の日本人だ
な。こちら風で言うなら極東か
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
能にしようと必死だった。
イシュタルは魅了が効かないのが腹立つらしくて、俺のナニを戦闘不
アマゾネス達は俺の子供を産むと宣言して、せがんでくる。一方で
こう。
ようにされているのだろう。彼女も気絶したから後で個室で話を聞
?
95
?
俺はイシュタルを手刀で気絶させた。そしてアマゾネス達に春姫
の事を聞いてみた。するとレベル4のアイシャが教えてくれた。
︻イシュタル・ファミリア︼が企んでいる計画。彼女のレアスキル︻ウ
チデノコヅチ︼レベルが一時的に1上昇する。を殺生石という魔導具
を利用して春姫の魂を分割して、イシュタルが気に食わない︻フレイ
ヤ・ファミリア︼と戦争するつもりだったらしい。
結 論。オ ッ タ ル は レ ベ ル 7。ブ ス は レ ベ ル 5。1 上 が っ て も 6。
フレイヤのとこはレベル6は何人も控えている。
勝てるわけないんだよなぁ。イシュタルって頭弱すぎでしょ。そ
んな無謀な事のために生贄にされる春姫が可哀想すぎだろ。
決めちゃったぜ。この俺様が助けてやろう 俺は気絶した春姫
を個室に連れて行った。
﹂
﹁春姫。起きろ﹂
﹁えっ、ベル様
一時期住んでたことがあるんだ﹂
そこから話が始まった。温泉の話や桜の色について。京都の町並
みについても語りあった。ここに来た経緯を聞いてみると、騙されて
勘当され売り飛ばされたぽい。夕立ではない。
﹁春姫は何も悪くない。君は騙されてしまったんだ。だから僕が助け
る﹂
﹁春姫はただの娼婦です。助けられる価値はありません。娼婦は英雄
にとって破滅の対象です﹂
﹂
﹁なら問題ない。俺はカンピオーネだから。お前は今から俺の物だ。
異論は認めない絶対に﹂
俺は春姫の首輪を腕力に任せて、引き千切った。
﹁行くぞ春姫﹂
﹁︻イシュタル・ファミリア︼と戦争になってもいいんですか
﹁戦争にならないから、大丈夫。安心して﹂
!?
96
!
﹁おはよう。オレは君の事がもっと知りたいんだ。ちなみに俺は極東
?
インベントリから転移結晶を取り出して。ここにマーキングして、
ホームに帰るか。
ベルは春姫を抱き上げて、転移結晶を使用した。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
空 は 明 る く な り、太 陽 が 都 市 を 照 ら す 頃。一 人 の 少 女 が 大 き な
リュックを背負って歩いていた。
彼女の名前はリリルカ・アーデ。今日は面接の結果を聞きに︻ヘス
ティア・ファミリア︼のホームに向かっていた。
︵ベル様が何とかしてくれるはずです。多分、大丈夫だと信じてます
よ︶
︶
と、目の前には目を腫らしたヘスティア、それを慰める眼帯の女神、酒
﹂
場で見かけたロキ、心が奪われそうになるほどの絶世の美女の女神が
居た。彼女がフレイヤだと直ぐに分かった。
﹁お、おはようございます﹂
﹁あ、ちっちゃくて可愛い子や﹂
リリは取り敢えず、挨拶する事にした。
﹁サポーター君か・・・ベル君を知らないかい
?
97
そんな事を心の中で呟いていたが・・・
リリが︻ヘスティア・ファミリア︼に到着して中に入ると、巌の様
な見た目で強そうな冒険者が居た。
﹁ベル・クラネルのサポーターだな。中に入れ﹂
﹁はい・・・失礼します﹂
リリは目の前の冒険者に怯えながら、足を進んでいく。それもその
筈。
意味が分かりませんよ
︵何でこんな所に︻フレイヤ・ファミリア︼の猛者オッタルがいるんで
すか
!
しかし、リリの受難は終わってはいなかった。彼女が下に降りる
!?
﹁リリはベル様の所在は分かりません﹂
﹁そうかい・・・ならイインダヨ﹂
﹂
ヘスティアの目は死んでいた。いつもの元気は何処にもない。
﹁それで、ヘスティア様。リリは合格なのでしょうか
後は脱退金を払うだけなんですが・・・︶
リリを抱き抱えて膝に座らせた。
﹁ちょっ、何するんですかロキ様
﹂
リリはロキに手招きされるままに彼女の横に座る。するとロキは
﹁分かりました﹂
﹁なぁなぁ。バッグ下ろして、おチビちゃんこっち来てや﹂
︵流石、ベル様です
﹁合格でいいよ・・・はぁ﹂
た。
と判断した。ベルの事を尋ねるのは止めて、合格か不合格かを尋ね
リリはこの状況はベルが作り出したと考えた。俗に言う修羅場だ
?
に、気合入れてきたパターンやな﹂
ロキはリリに抱き付いて離れない。
﹁暇だし。私は彼女とベルの話が聞きたいわね﹂
ヘファイストスは言う。それに賛同するフレイヤ。
﹂
﹂
これもベル様の所為でしょ ﹁私も気になるわ。ベルはどんな風に冒険するのかしら
﹁なぁなぁ教えてくれるよな
そしてダメ押しのロキの一言。
︶
︵何でこんな事になったんですか
ベル様の馬鹿ァァー
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
!
﹁ここから先は春姫に任せた。俺はイシュタルに用があるから、中に
︻ヘスティア・ファミリア︼のホームの目の前にベルと春姫は居た。
?
﹁可愛ええなぁ。それにいい匂いもする。これはベルたんに会うため
!?
!?
?
98
!
!!
居る彼女達に説明を頼むよ。ついでに昼には絶対にここに戻ってく
るって伝言頼むよ﹂
﹁分かりました。気をつけてくださいベル様﹂
ベルは再び、転移結晶を使用してその場から居なくなった。春姫は
﹂
扉を開けて、中に入るとそこには一人の強そうな冒険者が居た。
﹁ベル・クラネルの関係者か
﹁はい﹂
﹁なら、下に行け﹂
春姫は男の後ろにある階段を降りて行った。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
私 の ベ ル よ。私 が 認 め た ん だ か ら 当 た り 前 で
﹁ゴライアスを瞬殺ねぇ。流石、私のベルだわ﹂
﹁何 言 っ て る の
しょ﹂
や﹂
﹁君達
ベル君は僕の眷属だぞ
﹂
︵もう死にたい・・・何で殺伐してるんですか
!
︶
嘘がつけないので、質問されまくってベルに対する想いがバレてし
まった。女神達は容赦がないのだ。
結局の所、ベルが来なければ話にならないのだ。
﹁ミアハ様。ここ、怖い・・・﹂
﹁ナァーザよ。辛抱するのだ。ベルを騙さなければ、こんな事にはな
らなかったのだから﹂
リリが洗いざらい話をしてる途中で、
︻ミアハ・ファミリア︼主神ミ
アハとその眷属のナァーザが訪れた。あの会話の後、女神達にホモと
疑われたミアハだったがそんな事は無かった。ベルが置いていった
99
?
﹁フ ァ イ た ん も フ レ イ ヤ も 寝 言 は 寝 て 言 え。ベ ル た ん は う ち の も ん
?
リリの話を聞いて、女神達の会話はループする。リリも神の前では
!?
!
カドモスの泉の水と、ナァーザがベルを騙した事の謝罪だ。
しかし、女神達はそんな事よりもベルの所有権を争っている。そこ
に新たな人物が加入する。
﹁初めまして。私の名前はサンジョウノ・春姫です。ベル様の伝言を
預かってます﹂
﹂
この場に居た全ての人物が、春姫の方を向いた。ヘスティアが尋ね
る。
﹁君は一体、何者なんだ
﹁ベル様の所有物です﹂
﹂
恥じらいながら、春姫は地雷を踏み抜いた。女神達は瞳に映ってい
﹂
る獣人の少女が嘘をついていないのが分かった。
﹁で、ベルたんの伝言ってやつは何なんや
ロキが糸目から瞳を開き、話を進める。
﹁昼には絶対に戻る。と言ってました﹂
﹁貴女は昨日、私のベルが何処にいたのか知ってる
周りを煽って、質問するのはヘファイストス。
キレていた。
﹁なら、ベルは貴女を抱いた後に買ったの
春姫の暴露話は続く。
﹁そしてイシュタル様も混ざって、宴が始まりました・・・﹂
かった。
止 ま ら な い 暴 露。想 像 す ら し て い な か っ た 展 開 で 全 員 が 頭 が 痛
で一括購入しました﹂
﹁違います。まずベル様は︻イシュタル・ファミリア︼の娼婦達を現金
春姫にフレイヤは尋ねた。
﹂
その言葉を聞いて、全員が口を開いたままだった。そして女神達は
﹁昨日は︻イシュタル・ファミリア︼のホームに居ました﹂
?
?
?
100
?
イシュタル x 黄金の剣 x 悪意
ベルは転移結晶で︻イシュタル・ファミリア︼のホームに戻って来
た。今、ベルは完全ステルスで誰にもバレる事はありえなかった。
彼の目的はイシュタルを拉致誘拐し、拷問する事だ。最初から対話
などするつもりは毛頭無かった。
神にはアルカナムが存在する。もし仮に致命傷となる怪我を負え
ば、力が神を元に戻すと考えていた。
しかし、それなら使わせなければいい。
女神イシュタルはメソポタミア、アッカド神話の豊饒、美、性愛、戦
の女神。 金星を司っている。森の主人とも呼ばれていた。
シュメールのイナンナに相当。 父をエアやエンリルとする説もある。
イナンナ﹂は古代シュメールに起源を持つとされている女神︵地母
神︶。 名は﹁天の貴婦人﹂等と訳されている。
愛と豊穣の女神、水と大地の女神としても信仰されたが、より原型
に沿う形では金星の女神であり、翼を持つ姿がレリーフに残ってい
る。
この系統の女神は角を生やし獣を従えた姿で描かれている場合も
ある。 最も格上の女神ではあるが﹁母﹂のイメージは少なく、若い娘の様
に奔放で気まぐれな性格の持ち主。 古い神であるせいか、イシュタルやアプロディテやユノーなど、多
くの女神と同一視される。 エジプト神話からの移入も考えられ、親神についてはエジプト神話
のプタハとされることもある。
美しくも勇猛、残忍な争いの女神として盾とこん棒で武装した乗馬
姿でもあらわされ、悪魔アスタロトの前身ともされる。 101
ベルは外から聞こえる声を頼りに春姫の部屋から出る。勿論、完全
ステルス状態でだ。声の方に向かっていると次第に声が大きく聞こ
えるようになる。
それは怒声だった。
ベルの足が速くなる。しかし足音は響かない。ベルが角を曲がり
広い場所に出ると、ブスが他のアマゾネス達を嬲っており、イシュタ
ルが激怒していた。
ベルの目の前には昨晩抱いたロリ系からグラマーまでのアマゾネ
ス達が倒れている。ベルの何かが弾けた。
女に優しくて女好きな心が刺激された。
ベルはステルス状態を解いた。
﹁ぶっ殺すぞブスが。大人しくニートしてろ﹂
﹂
﹁貴様ぁ∼。このアタイをブス呼ばわりしやがって、それに昨日の借
りは返してないんだよ﹂
﹁春姫を何処にやったベル・クラネル
ベルはブスの啖呵を無視して、イシュタルを睨みつける。目の前の
女神はフレイヤに手を出そうとしていた。
ベルはフレイヤと初めて会った時の事を思い出す。微かにエリカ
に似ていた。姿や声が彼女に被っていた。甘えてくる所なんてそっ
くりだった。そんなフレイヤに手を出そうとしたんだ。オッタルや
第一級冒険者が揃っていたとしても、許せない。俺のフレイヤだ。僕
のフレイヤなんだ。
﹁悪党に答える義理は無いね。女神イシュタルはメソポタミア、アッ
カド神話の豊穣、美、性愛、戦の女神だった。天神アヌや月神シンの
娘とされた。しかし、同時にイシュタルはシュメールのイアンナと同
一視された。二人の女神が対応しているのは金星。しかし母なる大
地母神ガイヤやティアマトとは違い、あくまで豊穣の女神としての性
格が大きい。それが他の女神達にも引き継がれていく﹂
この程度では戦士の権能は鈍だ。しかし心意で最後の一押しをす
る。まつろわぬ神と対峙した感覚を思い出す。そして上書きした。
﹁何故、下界の子供がアルカナムを・・・﹂
102
!
下界でのアルカナムの使用は禁止されている。破った場合は天界
に強制送還される。しかしベルには関係なかった。
﹁サクサクっと﹂
ベルはイシュタルとブスの目の前から消え失せた。次の瞬間、フ
リュネは背中を斬られてた。そしてベルはイシュタルの目の前に突
然現れて、腹を黄金の剣で刺した。
イシュタルが吐血する。本来ならアルカナムが自動で働いて、致命
傷を治そうとするが治らない。
﹁何シケた顔してんだ糞ビッチ。たった今、お前の神性を斬った。ア
ルカナムなんて使わせねぇよ。後、そこのブスも数時間は冒険者じゃ
ないただのアマゾネスだ。皆∼仕返しのチャンスでちゅよ∼﹂
﹂
倒れていたアマゾネス達が、獰猛な笑みを浮かべ立ち上がり始め
た。
﹁ベル、冒険者じゃなくなったのは本当かい
﹁僕 チ ン が 嘘 つ く わ け な い じ ゃ な い で す か や だ ー。や っ ち ゃ い な よ
ユー。さぁ、イシュタルちゃんはしまっちゃおうね∼﹂
ベルは身動きが取れないイシュタルを抱え、転移結晶でこの場から
消えた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
現在進行形で修羅場が展開されている︻ヘスティア・ファミリア︼の
ホームでは神達は何かを感じ取った。
﹁これは・・・﹂
ミアハが呟くと同時に神々達は顔を合わせる。
﹁これはベルたんやな﹂
ロキの一言で、また︻ヘスティア・ファミリア︼のホームは騒がし
い事になる。ロキの膝の上にいるリリは死にそうだった。
103
?
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
迷宮都市オラリオ。
この都市の富は冒険者達が入手する魔石を工業地域に持ち込み、加
工することで商品になりそれを売る。
オラリオの富を管理しているのは︻ギルド︼だ。その︻ギルド︼の
地下では神ウラヌスがダンジョンに祈祷している最中だった。
﹁またか・・・﹂
ウラヌスは呟く。
未知のアルカナム。二日前の夜にも感じた。その時も強制送還し
ようとしても反応が無かった。今回もだ。
﹁私の出番というところか﹂
104
黒い布を纏ったナニカが壁から出てきた。
﹁私の知らない事が起きているようだ。調査を頼む﹂
天界に強制送還されない神。ウラヌスはオラリオの行く末が分か
らなかった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
そ こ は 迷 宮 都 市 オ ラ リ オ を バ ベ ル と 同 じ く 象 徴 す る ダ ン ジ ョ ン。
﹂
深層の整備された五十階層に攫われた女神と一人の冒険者がいた。
﹁この私をどうするつもりだ
注射器を静脈注射した。
ベルはそんな女神を見て、ドス黒い笑みを浮かべ、手に持っている
戻っていた。
た腹をベルにエリクサーとハイポーションで治療され、威勢の良さが
現在、全身を固定され座らせられていた。イシュタルは先程貫かれ
!
﹁何をした・・・
﹂
﹂
﹁人間の悪意ってやつを見せてやんよ糞ビッチ。今のはヘロイン。次
は何にしようかぁ
その瞳はムッツリすけべの14歳の瞳ではなく、ある世界の狂信者
の瞳だった。そしてインベントリから拷問器具を取り出した。
制限時間の三時間は既に切っている。ベルの神に対する冒涜が始
まる。
105
?
?
50階層でイシュタルと。そして女神達と話し合い
黄金の剣によりアルカナムを封じられたイシュタル。彼女に無慈
悲な暴力が襲った。
爪を剥ぎ、指を切断。
徐々に徐々に斬っては火で炙り、斬り落とす。そしてエリクサーと
ハイポーション。
肉を削ぎ落とせば、ハイポーションをかけながら骨を削られる。
臓物を引きずり出されても、エリクサーとハイポーションと心意に
よって死なない。
歯を全部抜かればエリクサーを突っ込まれる。
目玉を抉ればエリクサー。そして火を通して口に突っ込まれる。
舌を斬り落とせば、牛タンならぬ神タンになった舌を食べさせられ
る。そしてエリクサー。耳を削ぎ落とされ、ムカデを突っ込まれる。
そしてその合間に狂信者時代に知識として知っていた、ありとあら
ゆる薬物が投与され、女神の精神はあっという間に崩壊した。
50階層に主人公と女神は居るが、慈悲は存在しなかった。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ベルは転移結晶でホームの目の前に帰って来た。そして扉を開け
る。下に降りる階段前にオッタルが待機していた。
﹁遅いぞ、ベル・クラネル﹂
﹁ごめんね。どうしても片付けないといけない問題がね﹂
オッタルは意味深な視線を送ると、ベルを急かす。
﹁フレイヤ様が待っておられる。早く行け﹂
﹁了解了解∼﹂
軽く返事をして、ベルは下に降りる。その先に修羅場という地獄が
106
待っていたとしても。
﹂
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
﹁ただ・・・いま
ベルの目の前には、顔が死んでいるリリルカ・アーデとそれを看病
している春姫。ブルブルと震えているナァーザをあやしながらベル
の帰りを待っていたミアハ。彼等の共通している事は目が死んでい
る事だ。
﹁おかえりベル君﹂
﹁おかえりなさいベル﹂
﹁おかえり、ベルたん﹂
﹁おかえりベル﹂
ヘスティア、フレイヤ、ロキ、ヘファイストスの順にベルを迎える。
ただし女神達の目は笑っていない。
﹁ベル君。取り敢えず正座﹂
ベルに発言は許されない。この場にいる四人の女神が纏う雰囲気
がベルを黙らせたのだ。ベルはヘスティアに言われた通りに正座し
た。
﹁君の罪は、僕という正妻が居るにも拘らず他の女神との浮気。そし
て春姫ちゃんから聞いた娼館貸切。春姫ちゃん誘拐。そして最後に
アルカナムに似た力をを使用した事だ﹂
ベルは無言で頷く。
しかし他の女神達は早くヘスティアがベルを追い出す事を期待し
ていた。女神達が反応した所も結局は正妻という部分。アルカナム
に似た力を使用なんて彼女達からすればどうでもいい。何故ならベ
ルから直接教えてもらっていたからだ。彼女たちと肌を重ねた時は、
﹂
ヘスティアがステイタスのロックの仕方を知らなかったのもあるが。
﹁あら、ヘスティア。ベルが序列を付けたがらない事を知らないの
?
107
?
﹁そうやそうや。ベルたんはハーレム目当てでこのオラリオに来たん
や﹂
﹁私も聞いたわ。出会いが欲しくてオラリオに来たって。でも養う人
﹂
﹂
これは︻ヘスティア・ファミリア︼の
が出来たから稼ぐとも言ってたわね﹂
﹂
﹁君達は口を慎んでくれ給え
問題なんだ
﹁ドチビ覚悟あるんかいな
﹁神友だからと言って手加減しないわよ
?
争遊戯以外での話だが。
﹂
﹁ねぇベル。何で私達が居るのに、娼館なんて利用したの
だって恋する乙女なのよ
私達が
リアとして相対するということ。ヘスティアには勝ち目が無い。戦
彼女達の言葉はファミリアという部分を出すなら、彼女達もファミ
﹁ぐぬぬ﹂
﹂
﹁なら責任を取って貰わないとねヘスティア
!
かと思っていたが、口には出さない。
﹁アマゾネスを抱きたかったです﹂
﹁ベルたん。子供出来たらどうするんや
﹂
フレイヤはそう言うが、ベルは心の何処かで神ってBBAじゃない
?
出している。
﹁それなら大丈夫。妊娠しないようにしたから﹂
これも心意の応用。
女神達は引っかかる。ロキが尋ねる。
﹂
﹁しないって事は、ベルたんの意思の想いのままってやつかいな
﹁心意の赴くままに﹂
﹁それなら逆に言えば、神でも妊娠出来るって・・・ことか
?
同質の力。でも姿形を変えられる。上書きする力なんだ﹂
ば、アルカナムでも無乳は治らない。心意も、ある意味アルカナムと
﹁そうだと思う。あくまで持論だけど、神は不変の存在。ロキで言え
?
﹂
それぞれの女神達は思った事を口に出す。ここでは皆、本音を曝け
﹁下界の子供の特権よね。私もベルの子供欲しいわ﹂
?
108
?
?
?
!
それはアンダーワールドでキリトがSAOのアバターを上書きし
た様に。
ベルが強制的に心意で権能を発動した様に。
﹁ならうち、可愛い女の子と元気な男の子欲しいわ﹂
﹁もしそれが本当なら、私はベルの子供なら何人でも産むわ﹂
﹁私も男の子と女の子欲しいわ﹂
﹂
勝手に子作りしようとするんじゃ
ベル君、今言ったことは本当なのかい
﹁ロキ、フレイヤ、ヘファイストス
あない
﹁それなら見せてあげるとしますか﹂
﹁キリコたんマジかわ
﹂
﹁初めましてキリコです♪﹂
アーになり、顔つきも変わり胸もある。
ベルは集中する。思い浮かべるのは・・・ベルの髪は黒のロングヘ
?
!
﹁胸、揉まないで
後、下は擦っちゃダメ
﹂
ミアハとオッタル以外の女性陣で、ベルの柔らかな胸を堪能。
に玩具にされてますし。リリの魔法よりも凄いです︶
︵ベル様は訳が分かりません。性別が変わったかと思えば、女神様達
伐としていたが、ヘスティアの正妻発言から場の雰囲気が変わった。
その後に春姫という極東出身の娼婦が訪れ、爆弾発言。雰囲気は殺
に巻き込まれ、ライバル認定されてしまった。
︻ソーマ・ファミリア︼を抜けるだけなのだが、何故か女神達の修羅場
リ リ ル カ・ア ー デ は 胃 が 痛 か っ た。改 宗 の 面 接 を パ ス し て、後 は
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
!
!
﹁もうベルたん。キリコたんのままでもええんやで﹂
﹁ちょっと、ヘファイストス。私にも触らせなさい﹂
﹁ベルの胸、なかなかに柔らかいわ﹂
﹁胸は僕の方が上だね。でもベル君の立派なアレが無い・・・﹂
!
109
!
﹂
ベルに抵抗は許されない。この後女神達に無茶苦茶にされた。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
﹁もう僕。お婿に行けない﹂
﹁うちは、ベルたんでもキリコたんでもウェルカムや
﹁弱々しいベルを見ると、バベルの最上階で監禁したくなるわ﹂
﹁椿に仕事全投げして、このままベルを愛でたい﹂
﹁ベル様。結局、イシュタル様はどうなされたのでしょうか﹂
訳の分からない流れから、心意を使用してキリコからベルに戻っ
た。そして再びシリアスさを感じさせる雰囲気になる。
﹁大丈夫。きつくお灸を据えただけから。春姫は安心していいよ﹂
ベルの屈託のない笑み。しかし、その瞳は笑っていなかった。
﹂
﹁おっほん。なら本題に戻ろうじゃないか。君は僕達女神とどういう
関係になりたいんだ
﹂
絶対に生きると思う。神からすれば三百年なんてちっぽけな時間か
もしれない。それでも僕は全員を愛し抜く
全員愛し抜くちゃうんか
﹂
﹁三百年あったら子供何人になるのかしら
﹂
﹁ベルたん。それ、言葉抜けとるやろ。現在進行形で口説いた女の子
考えは心意を使えば不老不死ワンチャンという考えも頭の隅にある。
ベルの知っている人物で三百年生きた糞爺ヴォバン公爵。ベルの
!
?
?
ハーレム宣言なんて・・・まったく愚かだよ君は
んてものは無粋だからだ。
110
!
﹁真面目なお付き合いを。カンピオーネは寿命はあるけど、三百年は
?
﹁良かったわねヘスティア。ファミリアが大きくなるわよ﹂
﹁君達はうるさい
﹂
!
結局、女神達はベルを許した。ファミリアを巻き込んで殺し合いな
!
ベルと女神達ヘスティア、ヘファイ
その後 x 改宗 x 動き出す者たち
何とか修羅場を潜り抜けた
ストス、ロキ、フレイヤは、ベルが反省しているという見返りに怪物
祭に行くことを求めてベルもそれを了承した。しかしロキは元々、自
分の可愛い眷属達とのデートがあるために二者択一の選択を迫られ、
眷属達とのデートを優先した。そしてロキは怪物祭でデートが出来
ない為、ちゃっかりとベルにデートする約束を取り付けたのだった。
結果としてはベル・クラネルは女神達にシェアされることになったの
だ。
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︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
ヘファイストス、ロキ、フレイヤの女神達がそれぞれのホームに帰
ると、ミアハと女神の怒りを目の当たりにして震えていたナァーザを
連れてホームに帰って行った。ミアハは別れ際に﹁いつか刺される
ぞ﹂と優しく警告した。
この場に残されたのは、不幸にも女神達の修羅場に巻き込まれてし
まっていた小人族の少女リリルカ・アーデと娼館でベルとの性行為で
腰を砕かれてしまって歩けない狐女であるサンジョウノ・春姫。彼女
達はヘスティアとベルの痴話喧嘩を見守っていた。
﹁君は何度も僕の事を愛していると言っていたが、あれは嘘だったん
それに何だい
﹂
︻イシュタル・
だね いつの間にか親友のヘファイストスや怨敵ロキや僕の苦手
なフレイヤにまで手を出してさ
ファミリア︼の娼館を貸し切りにして遊んだって聞いたよ
!
だ。あの場では仕方なく納得したものの、やはり不満があるのだ。何
故ならヘスティアは自分がこの世でベルに相応しい主神であり女神
確かに浮気
であると共に、一生の伴侶としての覚悟があったからだ。
﹁僕はヘスティアを本当に愛している。誓ってもいい
!
111
?
正妻ヘスティアには他の女神達との浮気イベントは大きすぎたの
!
!
!
した事はヘスティアには悪いと思ってるが、俺は後悔はしていない﹂
このクズ・クラネルは人格破綻者な為、全ての責任はベルの悪の精
僕の心を
神の側面であると言っても過言ではない。しかし、悪の人格もベルの
ハーレム願望と超融合している為、手が付けられない。
﹂
﹁ベル君。僕がこんなにも君を愛しているのに君って奴は
裏切ったんだ
﹂
もし僕の愛の言葉が貴方に届かないな
﹁今の僕はヘスティアだけのベル・クラネルですよ﹂
﹁ぼ、僕は君の甘い言葉には騙されないし、君に屈しないからな
ら、僕は誠心誠意を持って態度で示そう﹂
いう事を疎かにはしない
何故なら、それが男の浪漫だから。だからと言って誰かを愛すると
レムを築きたいんだ。
愛い美少女系から綺麗なお姉さん系まで何でもイケる。それにハー
﹁ヘスティア。僕は人間、小人、獣人、アマゾネス、エルフ、女神の可
ベルもそのことに気付いていた。
示すよりも先に態度で示してほしかったのだ。淫乱な紐神様である。
言葉では平行線。結局は分かり合えない。ヘスティアは口だけで
?
んはどうなされます
﹂
﹂
﹁私は寝ようかなと思っています。寝れればの話ですけどね。リリさ
スティアを見ていた春姫に尋ねた。
自分もベルに狙われているのかと困惑するリリは、羨ましそうにヘ
﹁春姫様はどうしますか
してベルに抱えられたヘスティアは奥の二人部屋に入って行った。
口ではこんな事を言っているが、ヘスティアは内心喜んでいた。そ
!
!
?
結局、この後春姫は寝れなかった。何故ならばベルとヘスティアが
自分が止まっている格安の宿に帰って行った。
リリはソファーの上から身動きが出来ない春姫に見送られながら
のだろうかと考えた結果、悪いの全てベルの所為だと気付いた。
リリは目が死んでた。リリは何故、ここまで厄介事に巻き込まれる
けですから﹂
﹁リリは一旦家に帰ります。今日は改宗させて貰えるか聞きに来ただ
?
112
!
滅茶苦茶セッ○スをしていたからだ。
︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
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そして次の日の朝。ヤりたい事をヤッたベルとヘスティアは汗や
体液を流すために朝シャワーを浴びていたが、ベルが暴走してシャ
ワーを浴びる時間が長くなった。
﹂
その後、ヘスティアとベルは着替えを済ませて春姫が用意した朝食
今から春姫君とリリ君の改宗を始めるぜ
を食べたのだった。
﹁よし
身になった恩返しに︻ヘスティア・ファミリア︼に改宗を決めたのだ。
ルと運良くパーティーを組んだ事により脱退する事に成功し、自由の
マ・ファミリア︼から脱退する為の金は100万ヴァリス。しかし、ベ
奪われてしまい泥棒などの汚い事をして生きてきた。そんな︻ソー
として戦えずサポーターとして今まで酷使されて、しかし報酬は殆ど
心の無い最低な冒険者によって虐げられ、彼女が小人族の為、冒険者
リリルカ・アーデの場合は彼女が所属する︻ソーマ・ファミリア︼の
わけの無い冒険者ベルによって助けられた。
在理由はそのレアスキルにあるのだ。しかし、美少女の命を見捨てる
オラリオに連れて来られた。そしてイシュタルに買われた春姫の存
サンジョウノ・春姫は商人に騙され、色々あって極東の地からこの
す﹂
てくれました。リリが︻ヘスティア・ファミリア︼に入るのは当然で
ア︼を抜けれましたし、行き場の無いリリをヘスティア様は受け入れ
﹁リリもお人好しで屑なベル様のおかげで最底辺の︻ソーマ・ファミリ
思います﹂
た恩義をこの︻ヘスティア・ファミリア︼の眷属になって返したいと
﹁ヘスティア様、よろしくお願いします。私はベル様に助けてもらっ
!
君達みたいな子供が増えるなら僕は大歓迎だぜ
!
113
!
﹁ウェルカムだよ
﹂
!
しかし、この場にはベル・クラネルの姿は無かった。
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︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳︳
一方、ヘスティアがリリと春姫を改宗させている同時刻。迷宮都
市オラリオの冒険者や住民達で、ある話題で持ちきりだった。︻ソー
マ・ファミリア︼の団員が皆、外傷は全く見当たらずに不審死した事
件。幸いにも主神ソーマは無事だという。ギルドが闇派閥関連で調
査を進めるものの真相は掴めなかった。
そして︻ソーマ・ファミリア︼が団員が全員不審死して事実上の壊
滅状態になった事件とは別に、神々だけしか分からない大事件が起き
て い た。そ れ は ダ ン ジ ョ ン で ア ル カ ナ ム を 使 用 し た 神 が い る の だ。
アルカナムとは神々が持っている全能なる力。しかし神々は下界に
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降りるときにその力を使わないという制約があり、破ると天界に強制
送還されるのだ。
しかし今回のアルカナムの波動は軍神ウルスラグナであるのだが、
彼は下界には居なかったのだ。
ギルド地下。
そこに、このオラリオを創設した神であるウラヌスが居た。そして
彼に付き従う亡霊は二つの大事件について話し合っていた。
﹂
﹁フェルズよ。︻ソーマ・ファミリア︼の壊滅とダンジョン内でアルカ
ナムを使用された件はどうなっている
祭なのだから﹂
に神会を開く事にする。異端児と調査を頼んだぞ。明日からは怪物
﹁異端児達の件もあると言うのに。全く厄介事が増えるな。近いうち
係あるかは知らないがね。結局は分からず仕舞いだ﹂
灯などがあったから誰かが持ち込んだ可能性が高い。まぁ、本件と関
が、51階層が人工的に開発されていて小屋が一つ建っていた。魔石
るが、八方塞がりだ。アルカナムの件でダンジョンに潜ってみたのだ
﹁︻ソーマ・ファミリア︼の方は闇派閥の連中が殺ったとみて調べてい
?
﹁ああ、分かった﹂
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迷宮都市オラリオと神々が騒がしい中で、ベル・クラネルはある場
所を訪れていた。そこは壊滅した︻ソーマ・ファミリア︼の本拠地。既
に死体は片付けられて、ギルドの調査員の姿がチラホラとあった。し
かし、ベルはそんな事は御構い無しに建物の奥に歩いて行った。
﹁初めまして、ソーマ様。僕の名前はベル・クラネルと言います。以
後、お見知りおきを﹂
﹁ああ。それで何の用だ﹂
﹁実は僕、金に余裕がありましてソーマ様に商談を持ち込みに来たの
ですよ﹂
115
﹁続けろ﹂
﹁ソーマ様は神酒を造る為に資金を稼がせる目的でファミリアを創設
したた聞いております。しかし、ソーマ様の子供達は不幸にも団員全
員が不審死してしまいました。しかし、これでは神酒が作れない。そ
こで僕ははソーマ様に資金援助をしたいのです。僕はソーマ様がお
造りする神酒が欲しいのです。そしてソーマ様は僕が援助する金を
どうでしょう﹂
使って酒造りをするだけでいいのです。面倒なファミリア運営もあ
りませんよ
﹂
?
こうして酒の神ソーマはベルと契約を結んだのだ。
﹁お望みの額を﹂
﹁月に幾ら援助して貰える
ソーマはベルの話を一通り聞いて、口を開いた。
もらう。お互いにWINWINな関係だ。
の酒を作り続ける事ができる。そしてベルには出来た神酒を渡して
た事により行動に移したのだ。この条件でソーマは金が貰えて趣味
は金が余りすぎて使い道が無い。そして、このビジネスチャンスが来
ベルはリリから教えてもらっていた情報でソーマと接触した。彼
?