ファイル名:guidance_handout サイズ:412.30 KB

1 ページ
2017 年 2 月 16 日
専門演習Ⅰ
履修ガイダンス
1. 専門演習Ⅰの概要
専門演習Ⅰ(3 回生配当・4 単位)は、木曜 3 コースに開講される演習科目です。必修科目
ですので全員忘れず履修してください。
各学生は、教員が 1 名または 2 名で担当するゼミのいずれかひとつに所属し、1 年間の学習
を通じて専門演習Ⅱと卒業論文の土台となる専門的な知識とスキルを身につけること目ざし
ます。
来年度は以下の 11 のゼミが開講される予定です。
※ ただし、中根ゼミは研究専念期間の関係で前期のみの開講となり、後期は別のゼミに移
籍することになります。
◇ 2017 年度 「専門演習Ⅰ」 開講一覧
履修
ゼミ名称
コース
社会福祉
コース
担当教員
福祉の思想と制度・政策
上掛
ソーシャルワークの方法
中村
メンタルヘルスとソーシャルワ
ーク実践
社会福祉の対象
子ども・家族のかかえる諸課題と
支援
山野
中根
山口
福祉社会とコミュニティ
野田
福祉社会と社会病理・社会問題
朝田
人間形成
福祉社会と学校教育
吉岡・長谷川
コース
子どもの発達と福祉
服部
福祉社会と社会教育
田所
福祉社会と心理
備考
石田・森下
前期のみ開講
2 ページ
2. 専門演習Ⅰの配属
各学生がいずれのゼミに所属するかは、希望調査をもとに学部の定員調整を経て決定されま
す。大まかな手続きは以下の通りです。
① 学生の希望調査
このガイダンスでの説明と 4 ページ以降のゼミの紹介文の内容をよく確認したうえで、
Google フォームで所属希望を回答して下さい(3 月 3 日(金) 23:59 締切)。締切期日の後で
希望を出されてもその通りにならない場合がありますので、遅れないよう注意しましょう。
手順は以下の通りです。
a. 希望調査用の回答入力ページにアクセスしてください。大学 HP の
「福祉社会学科
2017 年度専門演習 1
配属希望調査について」の
ページ内のリンクか、右の QR コードを読み取ってアクセスすること。
PC とスマートフォン、どちらでも可能です。(LINE の「友だち追
加」機能にも QR コード読み取り機能があります)
b. 氏名、学籍番号と連絡用メールアドレスを記入したうえで、第 1 希
望から第 3 希望までのゼミをひとつずつ選択して下さい。最後に送信(submit)ボタン
を押せば回答完了です(送信ボタンを押さないと完了になりません!)
希望調査回答入力ページ
3 ページ
② 配属の調整と決定
希望調査の結果をもとに、以下の要領で配属を決定します。
a. まず、各学生の第 1 希望にしたがって、各ゼミに振り分けをします。
b. 定員(原則として、教員 1 名の場合学生 8 名、教員 2 名の場合学生 16 名)を超過しない
ゼミについては、所属学生が決定となります。
c. 定員を超過したゼミについては、選考を行います。3 月中旬頃に担当教員から、連絡用メ
ールアドレス宛に連絡が届きますので、指示に従ってください。選考方法は、個別面接や
希望者同士の話し合い、単位の履修状況等、教員によって異なります。
選考を経て、所属学生が決定となります。
d.
c の選考に漏れた学生は、第 2 希望のゼミに配属となります。ただし、第 2 希望のゼミ
で定員超過が起きる場合は、第 3 希望のゼミに配属となります(そこでも超過した場合
は個別に対応します)。
※ 後期に中根ゼミから移籍する学生による超過については、ある程度柔軟に対応します。
e.
4 月の在学生ガイダンスで配属を通知します。
4 ページ
3. 専門演習Ⅰのゼミ紹介
★社会福祉コース
【ゼミ名】福祉の思想と制度・政策
【担当教員】上掛利博
このゼミでは、くらしの変化や社会の仕組みと人間の幸福(=福祉)の関係について幅広く取り上
げます。現実の福祉の制度や政策がどのようになっているかを解明し、よりよい社会を目指して「み
んなが幸せになる福祉」のあり方について検討します。
「老人」福祉の分野はもとより、「貧困」問題、「家族」政策、「女性」の地位、「北欧」の福祉
社会などの外国研究、日本のユニークな福祉実践の調査、協同組合や NPO と福祉・医療、福祉文化
(ex.映画、文学)に関すること、福祉の思想(理論、歴史)など、具体的な内容については、ゼミ
生一人ひとりの問題関心に合わせて対応しますので、自由です。
3 回生の間に、自分の頭で考えて自由に問題意識を深め、卒業研究で取り組みたいテーマが見つか
るようにアドバイスします。幅の広い「多様な視点」や、型にはまらない「柔軟な発想」は、福祉
の分野はもとより、今日いろいろな仕事でも共通して求められている能力です。この自由なセンス
が身につくように支援します。
なお、私が担当している大学院のゼミの社会人院生(元公務員、保育園園長、福祉施設長、他大学
教員など)との懇親会を行っており、貴重な話を聞くことができると好評です。また、毎年 3 月に
府大にやってくるノルウェー人の学生さんたちとの交流会もやっています。
◆4 月からゼミで取り上げてみたいテキスト(最近発行されたものから例示)
①三瓶恵子『女も男も生きやすい国、スウェーデン』岩波ジュニア新書、2017 年
②宮本太郎『共生保障~<支え合い>の戦略』岩波新書、2017 年
③暉峻淑子『対話する社会へ』岩波新書、2017 年
【4 回生での卒業論文について・実例等】
1)老人の役割と老人像の変化からみる敬老思想~日本は老人を大切にする社会なのか
2)労働市場と新自由主義~労働形態の多様化と自己責任論を中心に
3)「ワーク・ファミリー・バランス」実現への課題~女性と男性の労働と家庭生活
4)福祉を実質化するスローライフ
5)労働が作り出す二つの価値に関する考察~ワーク・ライフ・バランスと余暇時間
6)高齢者ケアにおける「ふるさと」の役割~介護施設のなかの方言と郷土料理
5 ページ
【ゼミ名】ソーシャルワークの方法
【担当教員】中村佐織
本年度のゼミでは、ソーシャルワーカーが専門職として活用する支援方法やアプローチについて考
えてみたいと思います。そこで、前期には、今日的な社会福祉の問題(例えば、子どもの貧困、孤
立死、生活困窮など)を、多様な素材から考えていきたいと思います。後期は、ソーシャルワーク
のアプローチを丁寧にみながら、最終的にはオリジナルな事例をつくってみたいと思います。その
ため、このゼミでは幅広い視点で(例えば①歴史(資格の動向)②諸外国との違い③専門的特性④
働く領域の広がりなど)、多様な素材(文献、雑誌、マンガ、DVD、映画、支援者の話や訪問)を
用いて学んでいきます。そこで、1人1人の積極的参加はもちろん、グループが主体的に活動して
いくことを期待します。関心のある方はぜひ来てください。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
・高齢者に対する災害支援についての一考察
~社会福祉協議会における防災支援システムの検討
~
・地域包括支援センタ~における民生委員の活用の意義
~要支援者の発見事例の分析から~
・医療ソ~シャルワ~カ~の新たな可能性についての一考察
~医療安全対策委員会への関わりか
ら~
・特別養護老人ホ~ムにおける介護職員のコミュニケ~ションに関する考察
~コミュニケ~ショ
ンスキルの向上に向けて~
・社会的孤立防止にみる高齢者の居場所の効果
~枚方市の「街かどデイハウス」からの分析~
・医療ソーシャルワーカーにおけるインフォームド・コンセントの意義
~医療ソーシャルワーカ
ーのヒアリング調査分析をふまえて~
・生活困窮者の自立支援に関する一考察
~「生活困窮者自立促進支援モデル事業」の分析から~
・ボランティアコーディネーターによるボランティア団体への調整機能の意義
~グループワーク
の技術を活用して~
・貧困家庭の子どもの高校進学に対する学習支援
~ストレングス視点からの支援の必要性~
・母子家庭等就業・自立支援センターにおける就労支援の意義
~京都府ひとり親家庭自立支援セ
ンターの支援の分析から~
・認知症高齢者の家族会の意義
~セルフヘルプ・グループの視点に着目して~
・ふれあい・いきいきサロンの活用の検討
~京都市における高齢者サロンの事例から~
・地域包括支援センターにおける三職種連携の意義
・認知症カフェの支援に関する研究
~センター職員へのヒアリング調査より~
~認知症の人と家族介護者への効果に焦点化して~
・代理意志決定支援に関する支援相談員の調整機能の重要性
~介護老人保健施設での看取り事例
の分析から~
・退院支援における医療ソーシャルワーカーの役割
~急性期病院における退院支援事例の分析か
ら~
・認知症高齢者の家族介護者への支援に関する研究
~介護支援専門員の支援に着目して~
・非行防止活動におけるストレングス視点の意識化の必要性
・精神障害者の居住支援におけるアセスメントの重要性
~京都 BBS 連盟 A 会の調査から~
~地域移行支援事例の分析から~
6 ページ
【ゼミ名】メンタルヘルスとソーシャルワーク実践
【担当教員】山野尚美
「人間の尊厳」「社会正義」「スティグマ」をキーワードに、現代社会におけるメンタルヘルス関
連問題と支援のあり方について、理解を深めます。とりわけ、《アルコール・薬物、ギャンブル等
の依存のある人々》、《刑事施設を出所した直後の人々》、《セクシャルマイノリティ》、そして
《障がいやその他の問題を抱えた人の家族に対する支援》などの、現状では法制度の整備が十分で
はない問題に積極的に焦点をあてます。
毎週の文献講読とディスカッションに加えて、精神科関連施設や刑事施設等の見学、更生保護施設
(刑事施設出所者等を入所させて、スムースな社会復帰を支援する施設)でのイベントサポート等
をはじめとする、プロジェクト活動にも取り組みます。
このゼミが、ソーシャルワークについて語り合うだけにとどまらず、実践の場に出かけてその対象
となる人々から多くを学び、いま自分にできることを実践し、ソーシャルワーク専門職としての基
本的な姿勢を身につける場となることを期待しています。
テーマについての関心があれば、精神保健福祉士取得希望かどうかは問いません。学内外を問わず、
ゼミでの活動が多いので、それらに主体的に参加できる方を希望します。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
「犯罪加害者の家族を取り巻く社会状況と困難
〜新たな支援の構築に向けて〜」
「自死遺族支援における当事者の語りの意義」
「女性受刑者の再犯防止・社会復帰支援
「本人の同意によらない医療
〜女性固有のニーズに注目して〜」
〜強制入院の許容の背景と人権侵害防止措置を中心に〜」
「アルコール依存症の回復支援の現状と課題
〜啓発の視点から〜」
「大学生の自殺とメンタルヘルス管理体制〜大学に期待される自殺予防対策とは〜」
7 ページ
【ゼミ名】社会福祉の対象
【担当教員】中根成寿
中根ゼミのテーマは「避けられない依存」と「二次的依存」です。私たちの社会は、労働力を市
場で「売却」すること(=はたらくこと)で生きるための手段であるお金を得ることが基本となって
います。でも、労働力を市場で売却する、ことができない人たちがいます。「老い」「病い」「子
ども」(避けられない依存)はもちろん、「二次的依存」と呼ばれる「誰かのケアをしなくてはな
らない人」も働くことが難しいです。「避けられない依存」者と「二次的依存」者は、労働力を市
場で売却できる人か、社会保障制度がないと生きていくことが難しくなり、その人や制度に依存的
となり、プライバシーの剥奪や暴力的な取り扱いに苦しむこともあります。私たちが思い描く家族
はどんな期待を背負っているのか、どんな役割を社会から期待されているのかを考えながら「でき
ない」「できなくさせられる」こととの接点を考えます。男性であること、女性であること、ケア
する/されることなどを制度、規範、感情などの福祉社会学の視点から考えていきます。
前期は文献の講読を基盤に(今年は上間陽子『裸足で逃げる』をまず読みたい)、裁判所での傍
聴などを考えています。2017 年度後期に、中根は研究専念期間となる予定ですので、後期は別のゼ
ミに移籍することになります。2018 年度(4 回生)の時に、希望する学生は再度戻ってきてくださ
い。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
障害者のスポーツ文化とそのディスアビリティ解消の工夫による完全参加・平等
メディアにおける『近代家族像』について
知的障害児・者のきょうだいの経験に関する社会学的考察-家族規範とジェンダーの視点から
『軽度身体障害者』とは誰か-アイデンティティと能力主義の狭間で
なぜ消極的な死を選ぶのか~ALS 患者と家族への関わりから
ひとり親問題とは何か-Cash・Care・Work から見えてくる現代社会の限界-
私たちは誰を知的障害者と呼ぶのか-知的障害者の「定義」をめぐって-
介助者は「手足」になれるのか?~インタビュー調査から見える介助関係の現実~
障害者の工賃はなぜ低いのか?――「労働」とその評価多元化の考察―
自立生活における無償介助者の経験する「逃げられなさ」について
「知的障害」とは何か~日常生活における“知的障害っぽさ”を発見する
『第二次臨調を中心とした福祉見直しをきっかけとする、家庭奉仕員制度を巡る政策転換に関する
一考察―労働実態調査を中心に―』
『更生保護から見る日本型福祉社会の脆弱性』
『母娘関係における家父長制の影響—高学歴女性の娘の語りから』
「発達障害者」はどのように「診断」と出会うのか-「早期発見」されなかった当事者へのインタ
ビューから
「おひとりさま」から見える女性と社会の変化
ケアの共同化による依存の脱私事化の可能性~コーポラティブハウス住民への調査から
共働き夫婦における育児・家事分担をめぐる男性の葛藤からみた「イクメン」の再検討
障害児の親の進路選択について~特別支援学校に転入学した子どもの親へのインタビューから~
認知症高齢者の意思決定をめぐる支援者の葛藤
働きながら子育てすることにおける罪悪感の形成プロセス―働く母親の語りから―
「認知症の医療化」は家族介護者にどのような影響を及ぼすのか
人口減少地域における女性高齢「おひとりさま」の生活世界について
8 ページ
【ゼミ名】子ども・家族のかかえる諸課題と支援
【担当教員】山口敬子
子どもが育つ家庭の中には、貧困や虐待、子育て不安、ドメスティック・バイオレンス(DV)、
離婚など、様々な課題を抱えるケースが増えており、子育て支援や虐待防止、虐待対応の必要
性が高まっています。
こうした状況をふまえて、ゼミでは、現代社会における子どもや家族をめぐる諸問題、特に、
支援を必要とする子ども・家族について理解を深めていきたいと思います。
前期は、文献を輪読し、発表やディスカッション、論評を重ねながら、子ども家庭福祉や社
会的養護の諸課題について理解を深めていきたいと思います。具体的には、児童養護施設等の
施設養護のもとにいる子どものケアをめぐる課題、里親・養子縁組を含む非血縁の「家庭」へ
の支援の課題、子どもと家族にかかわる多様な専門職に求められる支援について問いを立て、
考えていきます。また、国内外の資料や実践事例を通し、親子分離や多様な喪失・困難を体験
している子どもの権利保障・自立支援のあり方についても理解を深めていく予定です。
後期は、文献や客観的資料を学生自身が収集し、内容を理解したうえで発表やディスカッシ
ョンを行います。そうしたプロセスから、自分の意見を他者に伝える力を磨くとともに、関心
やこだわりを明確にし、卒業論文のテーマ設定につなげていきます。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
4 回生のゼミでは各自が子ども家庭福祉にかかわる研究課題(研究テーマ)を設定し、その定
めたテーマに基づいて基礎的な文献を収集し、まとめたものについて報告・討論を行うという
形で専門的知識を深めていきます。各学生の問題意識を学問的な問題意識へと発展させていく
ことができるよう、教員の指導助言を受けながら研究に取り組み、卒業論文を執筆していきま
す。
9 ページ
★人間形成コース
【ゼミ名】福祉社会とコミュニティ
【担当教員】野田浩資
【ゼミの目標】
現代社会の変化・変動を捉え、地域社会のさまざまな課題に応えるため、「社会学の考え方」と
「社会調査の方法」を学び、地域社会の現場から「社会調査のプロセス」を身につけることを目標
とします。
地域社会の多様な課題をテーマとする調査に共同で取り組み、まちづくり・地域活性化、伝統文
化・伝統産業の継承、住民参加による福祉・教育活動など、地域住民の主体的活動による地域社会
形成について一緒に考えていきます。文献調査から出発し、調査を企画・設計し、地域の住民・N
PO、行政担当者などへのインタビューやフィールドワークを行い、レポート・報告書にまとめる
までの「社会調査のプロセス」を、アクティブラーニングによって実践的に学びます。
「社会調査士」資格の対応科目ですが、資格取得を目的としない受講生も歓迎です。
【ゼミの進め方・スケジュール】
前期は、(1)社会調査方法論、地域社会学・コミュニティ論などのテキスト講読を進めながら、
(2)現地(西陣方面を予定)で予備的調査(町歩き、地域イベントへの参加、区役所ヒアリング
など)を体験し、各自の問題関心を深め、調査テーマを設定していきます。
後期は、各自の調査テーマに応じて、調査を企画し、インタビュー調査やフィールドワークなど
を実施し、調査レポートの作成に取り組みます。
【テキスト】
前期に取り上げるテキストは、受講生と相談して決めます。これまで取り上げてきたものは以下の
通りです。舩橋晴俊『社会学をいかに学ぶか』弘文堂、鳥越皓之『サザエさん的コミュニティの法
則』(NHK生活人白書)、金子勇『「地方創生と消滅」の社会学』(ミネルヴァ書房)、鰺坂・
小松編『京都の「まち」の社会学』(世界思想社)など。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
4回生では、主に社会調査に基づいたテーマで卒業論文に取り組んでもらっていますが、社会学
理論・学説史のテーマでも指導しています。
「都市農村交流による地域活性化の研究」
「里親委託推進に関する地域での実践」
「特別養子縁組について考える」
「認知症カフェの内側:オレンジカフェ今出川の事例から」
「現代日本の社会関係資本に関する考察」
「再帰的近代とソーシャル・ネットワーキング・サービス」
「現代若者の就労問題:コミュ力があれば就職できるのか」
10 ページ
【ゼミ名】福祉社会と社会病理・社会問題
【担当教員】朝田佳尚
本ゼミでは、現代の社会病理・社会問題を主に下記の3つの観点から扱います。
①社会病理学:自殺、非行などの発生の機制、更生保護の制度や実務、犯罪社会学(犯罪[者]の事
例分析・厳罰化の分析など)、貧困や社会的排除に関わるマイノリティ研究
②地域福祉論:福祉コミュニティづくり・地域づくりの事例分析、NPO や地域福祉施設などの実
践や制度、地域福祉論や福祉主体の理論研究
③文化社会学:日常世界や社会関係を規定する社会構造・社会変動の分析、文化現象についての
エスノグラフィー・言説分析・構築主義、文化に関する社会学の理論研究
本ゼミでは3回生の1年間で、「ひとつの研究課題をもち解答を得るためにはどのような作業
が必要か」を体験してもらいます。そのために、自分で何かしらの課題を作ってもらいます。上
記の3つの観点に関連する社会的な課題を考えたい場合は、ぜひそれを追求してください。同時
に、うまく言葉にならないが日常生活で「なぜかこれが気になる」、「なんでこうなんだろう」
というものを省察してもらってもかまいません。その意味で、上記の3つの観点はあくまで目安
です。「社会病理学に合わせる」ことなく、「個人的だが普遍的な」課題を構想してください。
前期は自らの研究課題を設定し、それに関連する文献の講読と研究発表を行います。後期は講
読を進めるとともに、予備的な調査にもとづいたレポートを作成してもらい、卒論に向けた足が
かりをつくる予定です。適宜、地域調査や更生保護施設の見学なども実施します。
ゼミは講読と議論を中心的な内容とします。3回生レポート作成にあたっても、研究課題に関
わる書籍や資料の読解は必須です。ゼミ内でも「社会学の基本書」を講読する時間をもうけます
が、個人研究を進めるために、別途書籍や論文の読解を相当程度してもらうことになります。
また、それぞれの「気になっていること」が社会的にはつながっていることを経験してもらう
ためにも、ゼミでは積極的な議論への参加をお願いしています。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
・初発型非行に見る規範意識論の再考
・少年院での矯正教育の現状と課題について
・就職活動失敗による若者の自殺と若者の在り方
・人が人を支援すること
―金銭取引を伴う性交渉を行う知的障害女性の考察から―
・なぜ日本では死刑制度が廃止されないか
・若者の貧困と生活困窮者自立支援法
・ 児童虐待からみる家族の変化
・バリアフリー観光の課題と展望
・現代の若者の「空気」と対人関係における認識
・「女子力」の意味から見える社会変動
・「自己コントロール社会」における「ほんとうの自分」の問題と〈ほんとうの自分〉の可能性
・現代社会の「弱者」への対応を再考する
―24 時間テレビの分析より―
・現代日本における葬送儀礼の役割
・ 現代日本における欲望のゆくえ
―三億円事件の表象分析から―
11 ページ
【ゼミ名】福祉社会と学校教育
【担当教員】吉岡真佐樹・長谷川豊
テーマ:現代社会における学校教育のあり方を探る―子ども・青年の成長と自立をめぐってー
このゼミでは、現代社会における学校と教育のあり方、子ども・青年の成長と自立のあり方
について考えます。
今日の日本では、「子どもの貧困」が象徴するように、経済的な格差の拡大が教育の格差の
問題となって顕在化しています。高額な大学の学費は青年の未来に大きな影を落としています。
不登校と学習権保障の問題、私学助成問題など、日本社会には数多くの教育の自由と平等をめ
ぐる問題が存在します。
また学校ではいま、脱「ゆとり」を掲げ「学力」向上にむけて授業改善が行われています。
新学習指導要領は、小学校での英語、高校での「地理総合」「歴史総合」「公共」の必修など
を定めています。この改訂は、日本の教育をどのように変えて行くのでしょうか。
このゼミでは、受講生の皆さんの具体的な興味や関心を出発点に、①現代社会と学校をめぐ
る諸問題(格差・貧困と教育、学力・能力・発達・障害など)、②子ども・青年の発達と自立、
「学校から社会への移行」、職業選択と職業教育などをテーマに、議論し探究します。加えて、
卒業論文作成を展望しつつ学習・研究を進めます。
関係文献(例えば『リーディングス
日本の教育と社会』シリーズ、教育関連雑誌論文や報
告など)を手がかりに議論を進め、また学校見学や地域調査なども積極的に行う予定です。
【4回生での卒業論文について・実例等】
◆学力向上プランにおける教育委員会と学校現場との連携 ~〇〇市教育委員会の事例から~
◆不登校児童・生徒に対する支援のあり方 ~フリースクール新法をめぐって~
◆給付型奨学金制度導入に関する一考察 ~給付対象者・給付額を手がかりに~
◆高等学校における私的負担の学校間格差 ~〇〇市・△△地域の公私比較から~
◆大学等へ進学する児童養護施設児童の経済的支援に関する現状と課題
◆学校教育活動におけるドラマ教育導入の可能性と課題 ~コミュニケーション能力育成にむけて
◆就学援助制度における地域格差の現状と課題
◆総合型地域スポーツクラブの発展と課題 ~〇〇府の2つのクラブを例に~
◆生徒の目線から見た道徳教育の現状と課題 ~実りある道徳の授業をつくるために~
◆○○人気質と「おもてなし」文化 ~〇〇的ホスピタリティはいかに生まれたか
◆高等学校における「死に関する教育」の必要性と可能性 ~安楽死・尊厳死をテーマとした授業
の試みをめぐって~
◆日本における新卒一括採用制度の成立・展開と課題
◆地方自治体における市民アイデンティティの醸成・強化とその方策 ~〇〇市における自治体広
報活動を通して~
◆東井義雄の「いのち」の教育思想 ~子どもの命をみがく教育実践を通して~
◆戦後高等教育政策から考える高等教育再編 ~大学設置基準大綱化に伴う大学の量的拡大の批判
的検討~
◆高校多様化に対する批判的検討 ~準義務教育としての高校教育の方向性を考える~
◆教育における「個性化」路線批判 ~教育と社会的不平等の現代的展開~
◆大学における就職支援の望ましい在り方 ~先進事例の分析を通じて~
12 ページ
【ゼミ名】子どもの発達と福祉
【担当教員】服部敬子
超少子化時代といわれる昨今、子育て上の困難さを抱える親子の増加、保育所に入れない待機児
童の増加と「保活戦争」(入れる保育所を探す活動の過酷な状況)、規制緩和による「保育の質」
の低下など、乳幼児の福祉をめぐって検討すべき課題が山積しています。安心して遊ばせることが
できる場所や子ども仲間の減少、経済的な格差の増大など、子育て環境が貧困化している現代社会
においては、「発達早期からの質のよい(集団的な)保育がすべての子どもに必要」との考え方が
国際的に認められるようになっています。
本ゼミでは発達心理学の知見をもとに、「子どもの発達保障」という観点から「保育の質」、及
び「特別なニーズをもつ子どもの保育」について考えます。共通文献として、次の3冊を予定して
います。(高額、絶版の本は研究室でコピーまたは貸し出します)
1.秋田喜代美ほか『あらゆる学問は保育につながる:発達保育実践政策学の挑戦』
(東京大学出版会、2016 年)
2.ブレイディみかこ『This is JAPAN:英国保育士が見た日本』(太田出版、2016 年)
3.清水民子ほか編『保育実践と発達研究が出会うとき』(かもがわ出版、2006 年)
これらの本について、報告担当者を決めて議論します。また、「子ども・子育て新制度」移行期
の課題を抱える学童保育や小規模保育事業でのフィールドワークを予定しています。
後期には各自が選んだ文献を発表し、批判的に検討する議論を通してそれぞれの問題関心を多角
的に深め、卒業研究のテーマ設定へとつなげていきます。これまで本ゼミで取り組まれた卒業研究
のテーマは多岐にわたりますが、まとめると次のような内容です。参考にしてください。
【4 回生での卒業論文について:内容の分類】
・子どもの発達的特徴や指導方法について(遊び、友達関係、描画、ことば、運動面、絵本の
理解、想像力、動機付けなど)
・特別なニーズがある子どもの発達と指導・支援方法について(事例研究、保護者支援、保育
実践の分析、児童養護施設の子どものニーズ調査、病弱児教育、薬物治療の実際など)
・子育て支援の方法(行政機関、保育所、子育てサークルなど)
・子どもの発達を支援する専門職、施設(チャイルド・ライフ・スペシャリスト、学童保育)
・子育てのしかたと親子関係(関わり方のタイプ)と社会性との関連、叱り方の実態
・父親の育児参加と母親のストレス、育児不安との関連
・きょうだい関係(出生順位とパーソナリティ、障がいがある場合)
・学生の学習意欲や進路決定に関わる要因の検討
・今の小学生はどんな遊びをしているのか?遊び場の現状は?
そのほか、左利きとユニバーサルデザイン、音楽教育の変遷、公園の特徴と使用状況など。
13 ページ
【ゼミ名】福祉社会と社会教育
【担当教員】田所祐史
社会教育の歴史や現状について、理論や実践報告等の文献講読を中心にして学びあいます。でき
れば実践現場見学なども行いたいと思います。
前期は、小林繁ほか『生涯学習概論』 (エイデル研究所、2014 年) などの社会教育学関係の入門書
を基本テキストとし、適宜、宮原誠一、小川利夫ほかの論文や史資料をまじえて講読する予定です。
後期は、公民館をはじめとする社会教育機関・施設の現状と歴史を扱うか、または、参加者の興
味関心に応じて内容を決めていきます。「生涯学習論」の講義内容や、各自の問題関心・課題意識、
学習の中で、興味を抱いたテーマがあれば取り上げます。また、卒業論文のテーマを検討し、構想
を報告する機会を設け、卒業論文作成への下準備も後期以降に進めます。
田所ゼミは、2015 年度に 1 名でスタートした先輩が、2016 年度に第 1 号の卒業論文を提出した
歴史の浅いゼミです。2016 年度の専門演習Ⅰ (3 回生ゼミ)には 2 名が参加しました。ゼミの歴史や
伝統を、みなさんと一緒にこれから創造していきましょう。
卒業論文のテーマは、下欄の過去 5 年間の例のとおり多彩です。みなさんが 1 回生のときに「生
涯学習論」で学んだように、社会教育が扱う領域は多岐にわたり、対象とする学習主体も子どもか
ら高齢者まで幅広いです。どんなテーマに取り組むにせよ、人と人とがつながりあい、高めあう営
みや条件を、社会教育や教育福祉の観点から探究することになるでしょう。
本ゼミは、専門的教育職員たる社会教育主事任用資格取得の必修科目 (実習はありません)ですが、
資格取得を目的としない参加も歓迎します。ほかの養成課程を履修しつつ所属することも可能です
(例えば、社会福祉士受験資格取得を目指しながら田所ゼミに所属する例が 2 件あります) 。
「現代社会と社会教育」「社会教育計画論」をはじめ、教育学や隣接領域の講義等を履修するよ
う努めてください。「社会教育計画論」は隔年開講で、2017 年度は開講年度にあたります。
なお、毎月「京都社会教育研究会」を開催しています。『月刊社会教育』を片手に懇談する集い
で、単位は出ません。日時は決まり次第、研究室前に掲示します。ゼミの所属は問わず、自由参加
です。大学生協などで関心があるテーマの号を見かけたら、お気軽に参加を。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
・2016 年度
・2015 年度
「高齢者の社会教育実践の現状と課題」
専門演習Ⅱ履修希望者なし
・2013~14 年度
(参考)2012 年度
ゼミ未開設
築山 崇ゼミ
卒業論文の例
「地域における住民相互の『つながり』づくり ~開発後数十年を経た新興住宅地を例として~ 」
「自治会活動支援を通じた住民の地域参加の意義・効果と応用可能性
~静岡市清水区蒲原地区の事例より~ 」
「まちづくりにおける地域住民組織の役割と課題
「郷土に関する社会教育
~伏見区横大路地区の事例から考える~ 」
~南丹市日吉町の文化伝承事例を通じて~ 」
「景観保全における住民参加の方法と課題
~京都市の事例から~ 」
「亀岡市における地域福祉活動とそれを支援する社会福祉協議会の役割」
14 ページ
【ゼミ名】福祉社会と心理
【担当教員】石田正浩・森下正修
2回生までに、心理学の中に実にさまざまな研究テーマがあることがわかってきたことと思いま
す。3回生ゼミでは、自身の関心を心理学の実験や調査で具体的に調べるための基礎を学んでくだ
さい。
前期のゼミでは、心理学の歴史の中で重要かつ興味深い研究をコンパクトに紹介した英語の書籍
を取り上げます。心理学が普遍的な人間理解をめざす以上、世界中の優れた研究の成果を英語で読
むことは避けて通れません。わからない部分はわからないなりにレジュメにまとめてもらって、各
自発表をし、議論を行います。
後期のゼミは、卒論に向けての準備も兼ねた内容になります。後期の前半は、各自が自分の関心
にそって研究論文を探して発表をおこないます。先行研究の検索の仕方や、先行研究から疑問点や
不明な点を見つけて自身の研究テーマにするような論文の読み方を指導します。
後期の後半は、数名ずつのグループに分かれ、先に読んだ研究論文をもとに自分たちの研究テー
マを設定して実験・調査をしてもらいます。質問紙や課題を考えたり、データを分析したりといっ
た過程を体験して、卒業論文の執筆に役立ててもらおうと思います。
【4 回生での卒業論文について・実例等】
質問紙による調査系の研究と、集団や個別でおこなう実験系の研究とがあり、これまでは前者が
多いです。テーマ的には、社会、性格、感情、認知心理学などが中心となっています。
・日本人的性格と面識条件による遠慮行動のちがいについて
・時間と共に変容する集団の同調特性について
・援助行動の性差と平等主義的性役割態度の関係について
・ユーモア行動における性差
・制御焦点と精神的健康の関連
・大学生の一人でいられる能力と友人づきあい、独自性欲求との関連
・大学生の「生きる意味」に関する研究
~性格からの検討~
・日本人大学生における社会的手抜きの生起および消去に関する研究
~課題誘因、社会的補償、
ケーラー効果による検討~
・「中二病」がその人の「今」に与える影響
~中二病的記憶と青年期の発達上の危機的状態、妄
想傾向との関係に関する考察~
・ネット・クチコミの掲載場面が受け手に及ぼす影響
・キャラクターを使用した商品パッケージと購買意欲について
~コミカルキャラクター、萌えキ
ャラクターに関する検討~
・東日本大震災後の非被災者における心理的変化について
・泣くことによる感情の変化および泣き行動の個人差について
・ポジティブ語とネガティブ語を用いた言語課題遂行時の聴取音楽の影響
~気分一致効果と状態
依存効果による検討~
・和音のつながりと数による曲の印象の変化
・ひらがながもし人だったら
~ひらがなにおける人的性質の付与についての研究~
・左利き者の「器用さ」イメージの妥当性と左右認識困難について