[2017年 市場予測] カップルが泊りたいホテルを ソフト・ハードの両面から 再度、徹底的に構築する スタンダードの強みに グローバルな視点からの 発想を加えた進化が必要 ㈱イデア綜合設計 ㈱岩澤靖幸建築設計団 代表取締役 田中正寛 代表取締役 岩澤靖幸 ■ 2016 年の総括 ■ 2016 年の総括 従来、高・中・低それぞれの価格帯のホテルに需要があった 昨年は、40 歳前後の若い経営者のホテルの改装が多かった。 のが、近年、中価格の多くが低価格に移行。単価低下でマイナ 堅実さと思いっきりの良さを併せ持ち、既成概念に捉われず新 スのスパイラルに陥ってしまうホテルが増えている状況といえ しい方向性や魅力を積極的に採り入れる姿勢で事業に臨んでお ます。そのなかで、カップル客に “ 泊りたい ” と思われるホテ り、 業界の将来に向けて期待感を感じた1年だったといえます。 ルが好調さを持続しているといえます。 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 市場環境は昨年と変わらず、 二極化がさらに進むと思います。 利用者減少時代、景気が上向いても、泊りたいと思われるホ 今後、IR 構想やインバウンド増加を背景に新しいエンターテ テルでなければ単価と組数の上昇は望めないと思います。シ イメント型ホテルの登場も予想されます。レジャー・ラブホテ ティホテルよりもリーズナブルで楽しく過ごせてプライバシー ルも、スタンダードの強みを見据えながらも、進化をしていか が守られているというレジャー・ラブホテルの原点を再度見直 なければ時代に取り残されます。業界内の視点ではなくグロー す。それにはソフトとハードの両面からの取組みが必要です。 バルな視点からの新しい発想の追加が必要。老朽化し低迷して 換言すれば小商圏で地元の利用者に愛されるホテルづくりとも いる地方郊外のホテルでも、 利用人口が見込める地域であれば、 いえ、 そこに地方のオーナー店舗の希望があると思っています。 改装の内容次第で再生は可能です。 取得・改装意欲が増加、 低重心の和テイスト空間と 従業員の負担軽減にも注力 設計・施工の一貫体制で 中長期的に儲かる ホテルづくりを推進する ㈱カーサデザイン事務所 ㈱ケンエイ 代表取締役 八河 洋 代表取締役 三浦元裕 ■ 2016 年の総括 ■ 2016 年の総括 地域差が拡大し淘汰が進む一方で、物件価格上昇のなかでも 近年の市場環境の厳しさから改装でもコスト抑制の傾向が続 取得・改装に積極的な動きが目立ち、本格的な改装を施した店 いたといえます。そのなかで、中長期的に儲かるホテルとする 舗はハイレベルの売上を実現しています。また、良好な融資状 ためにはどうすべきか。 将来の改装のしやすさも考慮しながら、 況と不動産の利回り低下から、不動産分野等の業界外からの新 周辺環境や運営方針、財務状況等を総合的に検討し、ホテルご 規参入も増えはじめたといえます。 とに異なる最適な改装内容の提案を重視して臨みました。 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 以前から現代的な和のテイストの空間を意識してきました 急速な景気上昇は期待できず、市場環境の厳しさも続くと思 が、ここにきて和の空間への注目が高まっています。ただ、単 われます。そのなかで、プライバシーを確保するファサードや 純な和風デザインではなく、重心の低い行動空間が日本的な癒 清潔で使い勝手がよい客室という基本要素を確実に整えている し空間をつくります。外国人だけでなく日本の若者層にも新鮮 ことが集客力・収益力の持続に不可欠と考えています。当社の な印象を与えるはずです。また、人手不足が進むなか、労働環 設計・施工一貫体制を活かし、改装だけでなく補修やメンテナ 境改善も課題。従業員の負担軽減と効率化が図れるバックヤー ンスへの迅速な対応も含め、経営者が儲かるホテルづくりをサ ド構築にも重視して臨みます。 ポートするという視点からの取組みを今年も推し進めます。 46 LH-NEXT 2017 ● vol.31 [特集]2 0 1 7 年 市 場 予 測 ② 設計デザイナーに聞く: 2017年の改装の方向 先進性・独自性を 体感できる空間を構築し 安売り脱却を図る ポテンシャルを把握し 方向性を見極めた改装は 確実に結果が出る ㈱玄子空間デザイン研究所 ㈱KOGA設計 代表取締役 玄子邦治 代表取締役 古賀志雄美 ■ 2016 年の総括 ■ 2016 年の総括 大都市圏ではインバウンド増加からの新規需要獲得に成功し 昨年は大規模改装が増加。それらのホテルは確実に結果を出 た店舗も見られましたが、全国的にはラブユース需要の減少が しています。ホテルのポテンシャルとポジションを把握し方向 続き、健闘している店舗でも前年売上維持という市況だったと 性を見極めた大規模改装なら、厳しい市場環境下でも大幅な売 いえます。 上増加が可能であることを再確認できた1年だったといえます。 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ラブユース需要の減少は加速すると思います。従来同様の経 社会や市場の変化への対応は必要ですが、あまり惑わされず 営では組数減少・単価低下のマイナスのスパイラルから脱却で にレジャー・ラブホテルとして魅力的だと思われるホテルづく きません。経営者には世の中の変化を読んだ経営、設計者には り・運営に取り組むべきだと考えています。改装においては、 明確なコンセプトを打ち出し利用者がそれを理解できるホテル デザインの流行等を追うのではなく、的確なマーケティングで づくりが求められます。改装においては、利用者目線で問題点 自社ホテルの方向性を見極めることが重要。同時に、ホテルを を詳細に分析し予算内で優先順位をつけて臨み、先進性・独自 構成する要素1つ1つを使い勝手や能力の面からこれで利用者 性を利用者が体感できる空間を構築することで、明確な差別化 が満足しているのかどうか、業界の常識や先入観を排除して、 を図り、安売りから脱却できるホテルづくりを推し進めます。 再度見直していくことも重要だと考えています。 お客様の五感満足が前提、 反応を検証した段階的改装で 確実な集客向上を図る 低コストでリメイクする 新工法の浴室改装で 宿泊他業態と差別化 スタイルアソシエイツ ㈲デコラボ ディレクター 谷 昌敏 代表 佐々木智美 ■ 2016 年の総括 ■ 2016 年の総括 改装の手法が変わってきました。一気に全面改装をするので 改装の動きは活発化、ただし取組み方は慎重。全面改装では はなく、予算を分割してお客様の反応や経済の動向も検証しな なく数室改装というケースも多い状況でした。さらに改装後の がら、数回に分けて改装を施す。確実に集客・売上増につなが 料金設定に悩まれる経営者も多く、利用者の料金に対する反応 る現実的な改装方法といえ、この手法で成功しているケースが はシビアな状況が続いたといえます。 多いといえます。 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 観光客やインバウンド客への対応から活性化が期待されま 見栄えが良ければ繁盛する時代ではありません。デザイン性 す。それにより宿泊他業態との競合も進むことになります。デ の前に、お客様の五感を満足させることが重要。臭う、お湯が ザイン性の高い一般ホテルが増加するなか、レジャー・ラブホ 出にくい、料理が冷めている……五感の不満足は致命的です。 テルの優位性は浴室がポイント。低コストのリメイクでイメー これらの解消が前提という感性を設計デザイナー・経営者とも ジ刷新できる新工法を駆使して、今年はとくに浴室の魅力強化 持ったうえで、前述の段階的な改装に臨むことが必要。同時に に力を注ぎます。同時に、女性が入りやすいイメージの構築、 ラブホテルはハイブランドではありません。手軽に利用できて 4号営業のメリットを活かしたラブニーズ演出など、ホテルの 回転することが高収益の源。それを重視して取り組みます。 方向性に沿って集客力向上につながる改装に取り組みます。 LH-NEXT 2017 ● vol.31 47 [2017年 市場予測] 二極化がさらに進行し 改装・サービス両面からの “攻め”が求められる 外客増加に翻弄されず 4号なら大いに遊んで 明確な差別化を図る design Chill-out inc. ㈲デラックスダブルデザイン 代表取締役 村上 敦 代表取締役 二石誠也 ■ 2016 年の総括 ■ 2016 年の総括 旅行業界・宿泊業界全体でみると、インバウンドの急増や民 昨年は、宿泊業全体がシティもビジネスもラブも、インバウ 泊問題などさまざまな動きがありましたが、レジャー・ラブホ ンド急増という流れに翻弄。新たな利用層の獲得ができるので テル市場は、一部でインバウンド対応の動きがあったものの大 はないかと揺れ動いた経営者も多かったと思います。ただ、昨 きな変化はなく、この数年続いている、地域格差と店舗間格差 年もレジャー・ラブホテルとしての基本を押さえてブレずに営 ともに二極化の構図がさらに進行したといえます。 業していた店舗は堅調な売上が継続できていたといえます。 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 市場環境は大きくは変化しないと思われますが、意欲的な経 改装ホテルが増えると思いますが、大きな予算がかけられな 営者のホテルが改装とサービスの両面からさらに “ 攻め ” の動 い状況は続くでしょう。限られた予算では全室均一改装は避け きを進め、売上向上につなげていくと思います。また、投資も るべき。平均的にキレイになっただけでは訴求力は弱い。2、 含め異業種からの参入も進むと思われます。改装においては、 3室に予算を集中させ特色のある客室づくりが必要です。4号 従来と同様、デザインの流行に左右されずに、あくまで地域特 営業なら、思い切った遊びを仕掛ける。お客様から見て同じよ 性と店舗の客層のニーズを重視して臨み、地域で特別な存在に うなホテルが増えているなか、いまこそ特徴ある客室をつくり なるホテルづくりを進めます。 明確な差別化が求められると考えています。 採算性重視が前提 アバンギャルドなデザインで 難しい市場環境に挑む 投資額は相場感重視、 圧倒的な魅力の特室は 地方でも高単価高稼動 ㈱NAVIS DESIGN ㈱Hale Design 代表取締役 山本 勉 代表取締役 関口達也 ■ 2016 年の総括 ■ 2016 年の総括 昨年は、ビジネスホテル分野は新築に加えて商業ビルやマン 昨年は、改装件数も改装予算も一昨年よりも増加傾向だった ションからの転用も行なわれるなど活況でしたが、レジャー・ といえます。とはいえ、利用者の消費感覚はシビア。地域の相 ラブホテルは、大規模改装は少なくプチリニューアルが主流の 場感を重視し、相場感の上限を見極めた料金と回転数から投資 状況が続き、慎重さ優先の印象でした。 額を算出することが求められる状況が続いたといえます。 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 改装の目的は収益拡大、採算性重視で臨むことが前提です。 改装ホテルは、従来に比べ時間はかかるものの確実に売上を そのなかでいかにレジャー・ラブホテルとしての良さを具現化 回復しています。今年も改装の動きはさらに活発化すると思い していくか。デザイン、素材、レイアウト等々、幅広い視点か ます。客室デザインは、煌びやかなゴージャス、和風モダン、 らコスト抑制と魅力創出の両立を図ります。ネット時代、写真 ナチュラルテイストを組合せて構成。単一テイストでの統一よ 写りも重要です。デザインの方向は、モダンジャパニーズが注 りも幅広い層に長期にわたって訴求力があると思います。また、 目されていますが、どのような表現方法であれアバンギャルド ソファベッドやテーブルを配した寛げる浴室など圧倒的な魅力 なデザインを重視し、難しい市場環境下ながら経営者とともに を有する特室の設置も重視。店舗イメージの向上に加え、地方 儲かるホテルづくりを推し進めます。 でも目的客を創出し高単価・高稼動で売上に貢献します。 48 LH-NEXT 2017 ● vol.31 [特集]2 0 1 7 年 市 場 予 測 ② 設計デザイナーに聞く: 2017年の改装の方向 OTAからの宿泊客と 昼の休憩利用客の 混合利用ができる形態 明確なコンセプトで 空間と運営を合致させた ホテルが勝ち残る ㈱ユニックス ㈱redesign 代表取締役 近藤俊大 代表取締役 オザワリエ ■ 2016 年の総括 ■ 2016 年の総括 都市繁華街は堅調ながら、地方郊外では集客減が進んだとい 地域格差と店舗格差がさらに拡大したように感じます。改装 えます。また、都市繁華街でも新規開業ビジネスホテルが優勢。 すれば集客力が回復するというのではなく、現代のお客様の 改装は老朽化対策が多く、新たな魅力創出までは至らないケー ニーズを掴んだ改装なのかどうかが問われています。アメニ スが多かったといえます。追加投資に対して慎重な姿勢が続い ティやサービスでも、質より量で訴求するホテルがまだ多く、 たと思います。 それでは現代のお客様の心を掴むことはできないと思います。 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 ■ 2017 年の市場予測と改装の方向 利用人口の減少が進むなか、老朽化対策だけでは大幅な売上 以前からの"女性の五感を刺激する"というコンセプトを推 回復は難しい。しかし大型投資もリスクが大きい……。都市繁 し進めます。和モダンの空間が注目されていますが、違和感の 華街においては、コストを抑えながらデザインホテルの方向で ある空間も少なくありません。コンセプトの具現化は空間デザ の改装が現実的。OTA からの宿泊客をベースに昼は休憩利用 インだけでは不十分、オペレーションも合致させることが必要 で回転させる"ビジ・ラブ"化の方向です。今後のレジャー・ です。オペレーションの考え方や手法の変更も伴った明確なコ ラブホテルは旅行代理店等へのアプローチといった取り組みも ンセプトでの改装を行なえば、縮小市場下でも確実に集客・売 必要になってくると思います。 上の回復は可能だと思っています。 LH n e x t 2017年 市場予測 LH-NEXT 2017 ● vol.31 49
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