平成28年度入学式式辞 清明の節気を迎え、木々の芽も、日を追うごとに膨らみゆく本日、同窓会副会長様、定 時制課程PTA会長様、通信制課程悠々会会長様をはじめとするご来賓の皆様のご臨席の もと、保護者の皆様をお迎えし、平成二十八年度入学式を挙行できますことは、本校関係 者にとりまして、この上ない喜びであり、皆様に対しまして、厚く御礼申し上げます。 只今、入学を許可された皆さん、入学おめでとうございます。 皆さんの入学に対して、教職員を代表してお祝いするとともに、皆さんが、本日から、 私たち学悠館高の仲間の一人となられることに対して、心から歓迎の気持ちをお伝えした いと思います。 本校は、栃木県高等学校再編計画において、高等学校教育を希望する多様な生徒の学習 ニーズに応えるとともに、主体的に学びながら、個性を生かし、資質・能力を伸ばせる新 しいタイプの高校となることをねらいとして、平成十七年に設立されました。定時制・通 信制の独立校として、今年で十二年目を迎えております。 いつでも、誰でも、学習目的や学習歴、あるいは生活環境等に応じて学ぶことができる よう、単位制という仕組みを導入して、昼夜間開講の選択幅の広い教育課程を編成し、柔 軟な学習システムを取り入れております。また、これまでの学校教育に十分に適応するこ とが難しかった生徒に対しては、教育相談等の支援機能も高めています。 そして、現在、800 名を超える生徒諸君、約 100 名の一般県民聴講生、年齢で言いますと 15 歳から 92 歳までの方々が本校で学んでおります。 自分の学習計画に応じた授業編成を行い、緩やかな学習集団、人間関係の中で自己実現 を目指すという本校は、全日制課程の高校に比べると、より大学や社会の実態に近い学校 でもあります。 その意味では、決められた学習ルールを守り、その都度自分の足で教室に向かう、与え られた課題に誠実に向き合うといった強い気持ちが必要となります。 学びは自己管理の中からつかみ取っていく。そのために、様々な角度から、個人個人へ の支援をさせていただいているのが本校の教育です。 そして、そのような取り組みを通して、 「意欲ある人がいつでも高校教育を受けられるや り直しのきく学校づくり」を進めているところでございます。 ところで、皆さんは、プロ野球阪神タイガースの藤川球児選手をご存知でしょうか。伸 びのある速球を武器に、阪神で大活躍した後に、2013 年に大リーグに渡りますが、腕の手 術などもあり、ほとんど活躍はできずに3年で日本に戻ってきました。昨年は、四国の独 立リーグで無報酬でプレーしており、かつての脚光を浴びることはありませんでしたが、 今年から古巣の阪神に戻りました。そして今週日曜日の横浜 DeNA 戦で先発し、6回を2安 打0点に抑え、勝利投手となりました。翌日の新聞には、4580 日ぶり先発勝利という見出 しで紹介されていました。 球速は MAX144km。かつての火の玉ストレートはない。変化球を駆使して試合を作った。 藤川選手は「自分を変えられる人が成功しています。今までのスタイルで「俺はこうだっ たという人は、みんな衰退していっている。それが現状」と言っています。そして記事は、 「変わることを恐れず新しいスタートを切った」と結んでいます。 高校生活の新しいスタート地点に立つ皆さん、この新しいタイプの学校で、新しい自分 を見出してください。今までの自分に凝り固まらずに、日々の学びを通して、自分の可能 性を拓いてください。皆さんの中に秘められた輝きは、外に溢れ出るのを待っています。 私たちは、精一杯そのお手伝いをいたします。 結びになりますが、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。今日 まで幾多の試練を乗り越え、育んでこられましたお子様の本日の姿に、感慨いかばかりか とご拝察いたします。私どもに寄せられている大きな期待をしっかりと受け止め、教職員 一同、一丸となってお子様一人ひとりの自己実現のために努力を惜しまない所存でござい ます。ともにお子様を育てていくという意識のもとに、本校の教育にご理解とご協力賜り ますようお願い申し上げます。 そして、新入生の皆さんが早く生活に慣れ、本校が一人ひとりの成長の場となりますよ う祈念して、式辞といたします。 平成二十八年四月八日 栃木県立学悠館高等学校長 大森 亮一
© Copyright 2024 ExpyDoc