あとがき……

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.あ と が き
石川三郎*
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2
. CONCLUDINGREMARKS
By
SaburoISHIKAWA
序文で述べられているように,中波帯放送波の伝搬特
ては,幸l
として東一西コースによる結果が前述のように
性についての必要性は,極めて緊急を要する問題であっ
8
,
0
0
0
k
mを超える距離まで得られ, 中緯度域において
た。限られた時聞に所期の成果が挙げられた乙とは関係
は,伝搬路方位による距離特性の相違は殆んど見出す乙
各位の密接な協力による賜である。乙のととは計画の決
とができなかったととは大きな成果の一つであった。
定に当たって衆知を集め慎重に検討を重ねたととにより
次ぎに昼間時特性については,現存の CCIRテキス
達成されたものであり,特i
と第 2編として「調査研究経
トに記載されている情報が極めて少なく,限られた距離
過の概要」を収録した次第である。
と周波数による結果ではあるが,昼間と夜間における強
「固定点測定」は長期間にわたるデータを解析したも
度差を知るととができた。これは,混信対策の一環とし
去に距離
ので,送信局の識別に苦労したが凡ゆる情報を2
ての送信電力の昼,夜切替という問題に対して一つの示
特性を算出した。南一北伝搬路の全周波数帯及び東一酋
唆を与えるものと恩われる。
伝搬路の5
0
0
k
H
z
帝を除いては遠距離局のデータが無く所
伝搬特性とは直接関係は無いが,電界強度の距離特性
期の目的を達成する上からみて甚だ残念な結果しか得ら
を極めて効果的に求められる移動測定に使用した装置に
れなかった。データ取得の目的が混信調査であったとと
ついては,独特の考案がなされており,自動的に周波数
から止むを得ない乙とであったが,東一西伝搬路では
を切替え一台の受信機を数台分に利用するものであって
5
,
5
0
0
k
m附近のデータが取られており,乙のデータが,
省力化の問題と相倹って電界強度の測定法として非常に
後l
と続く移動測定の結果と相{突って重要な役割を果した
参考となるものと思われるとと,及びこの装置の果たし
ととはせめてもの慰めであった。
た役割を考えて敢えて収録した。
「移動測定」は短期間に距離特性を求める手段として
第 8編の「伝搬曲線についての考察」は,本誌第 3編
極めて効果的な方法であった。特に,諸特性の明確な一
∼第 5編ζ
l述べられているように,我が国周辺における
対の送・受信系の組合せという点で,索晴しいアイデア
中波帯放送波の夜間電界強度の距離特性がカイロ N/S
であり, CCIRでも高く評価された測定法である。し
曲線とよく合う乙とに注目して考察したものであり,電
かし,船上観測という特殊条件,取りわけアンテナ構成
離層吸収は殆んど無いものと見倣している。電離層吸収
に及ぼす艦上諸装置の影響,艦の“ゆれ”による装置の
について第 9編の「中波帯放送波の電離層吸収」で,
維持などの困難性l
とー沫の不安が無いわけではなかった
種々の N-hプロフィルを与えたときの吸収量が計算さ
が,関係各位の絶大な努力により悪条件を克服して見事
れており,その結果によると,静穏時プロフィルに対し
な成果を得るととができた。特に東一酉コースでは,
ては吸収量が極めて少なく,前記の仮定が中緯度域にお
8
,
0
0
肱皿にわたる測定値が得られたととは特筆に値す
ける電離の高度分布が静穏状態では妥当である乙とが裏
る。一方南一北コースでは最速距離が約 3
,
0
0
0
k
mであ
付けられていると思われる。眼を転じて, カイロ E/W
り,遠距維伝搬における方位による依存性を云今すると
曲線の距離による急激な強度低下に対しては,じょう乱
いう点からみて,もの足らなさを感じる。しかし,カイ
時の N-hプロフィルに対する計算値から推測して,低
ロ曲線にあっては, E/W曲線の距離による強度低下量
下量は説明の付く範囲内にある乙とが示されている。
乙のような傾
上述のように,中波待放送波の伝搬特性は,地域l
とよ
向が中緯度域においても生ずるか否かという問題に対し
り異なり,特ζ
l高緯度域,赤道域においては中緯度域と
が N/S曲線に比べて大きくなっており,
は大分異なった様相を呈している。従ってアジア地域で
場調査書事 国際技術研究室
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得られた特性から,全世界的な特性を類推する乙とはで
きない。そのため他の地域で得られている特性のうち,
CCIRテキストに記載されている代表的な特性と,そ
れら特性を取りまとめ, CCIRが全世界的に使用を勧
告している予測法を,参考のため第1
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編と第1
1
編に紹介
電波研究所季報
しT
こ
。
本特集号は,最近における中波帯放送波の伝搬特性に
ついて,電波研究所における研究結果を網羅したもので
あって,この方面に関心の持たれる方々に益する乙とが
あれば幸いである。