ニュースリリ​​ースPDF版は​​こ​​​​ちら

News Release
JLL(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)
A グレードオフィス賃料 東京は 19 四半期連続、大阪は 10 四半期連続で上昇
「ジャパン プロパティ ダイジェスト 2016 年第 4 四半期」
2017 年 2 月 8 日 東京‐総合不動産サービス大手の JLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長:
河西利信)は、日本のオフィス、リテール(商業施設)、ロジスティクス(物流)、ホテル市場における市況、
需給や空室状況、賃料・価格動向及び 12 ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジ
ェスト(JPPD)2016 年第 4 四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京の A グレードオフィス市場
 賃料
19 四半期連続の上昇
月額坪当たり 36,209 円(共益費込)。前期比 1.0%上昇、前年比 2.3%上昇となり、19 四半期連続の上昇
となった。上昇ペースは 4 四半期ぶりに加速した。
 空室率
3 四半期ぶりに上昇
空室率は 1.9%となり、前期比 0.5 ポイント上昇、前年比横ばいとなった。2%を下回る水準にとどまったも
のの、六本木と京橋における新規供給を反映し、3 四半期ぶりの上昇となった。既存ビルの空室は引き
続き概ね限定的となった。
 ネット・アブゾープション※1
第 4 四半期は、127 千㎡となった。2016 年通年では 460 千㎡となり、前年の実績を 30%上回った。過去
10 年平均比 160%となった新規供給が需要を喚起した。
 価格・投資利回り
価格は 17 四半期連続で上昇
価格は前期比 0.6%上昇、前年比 3.4%上昇となった。上昇ペースは 3 四半期ぶりに加速。投資利回りは
横ばいとなったため、主に賃料上昇を反映した。投資家の投資意欲は依然高いが、市場に供給される
物件数は限定的となっている。
 12 ヵ月見通し
賃料と価格ともに上昇ペースが減速
賃貸市場では、新規供給予定が過去 10 年比 60%程度となっており、空室率は 3%を下回る水準で推移
するとみられることから、賃料の上昇ペースは減速する見通し。投資市場では、取得競争の激しさを背
景に、投資利回りには引き続き下押し圧力が続き、これと賃料上昇を反映し、価格の上昇ペースは 2016
年並みとなる見通し。
※1 当期中に新たに賃貸された床面積から当期中に退去した床面積を控除したネットの床面積の増減
A グレードオフィス賃料 東京は 19 四半期連続、大阪は 10 四半期連続で上昇
「ジャパン プロパティ ダイジェスト 2016 年第 4 四半期」
大阪の A グレードオフィス市場
 賃料
賃料上昇ペースが 3 四半期連続で加速
月額坪当たり 17,477 円(共益費込)。前期比 2.7%上昇、前年比 6.8%上昇となり、10 四半期連続の上昇
となった。上昇ペースも 3 四半期連続で加速した。
 空室率
3 四半期ぶりに上昇
空室率は 3.9%、前期比 0.1 ポイント上昇、前年比 1.7 ポイント低下となった。前期比で上昇したのは 3 四
半期ぶりとなった。中之島で空室の消化がみられた一方、梅田で大型の空室が発生した。
 ネット・アブゾープション
2016 年通年では 29 千㎡となり、前年実績の 30%程度となった。情報通信業、金融業、専門サービス業
の需要は堅調だったものの、限定的な供給を受けて大型移転が成約しにくい状況であることから、第 4
四半期のネット・アブゾープションは若干のマイナスとなった。
 価格・投資利回り
価格は 13 四半期連続上昇
価格は前期比 2.8%上昇、前年比 15.2%の上昇となった。上昇ペースは 2 四半期ぶりに減速した。投資
利回りは横ばいとなり、5 四半期連続で 4%を下回る水準で推移した。国内外投資家の関心は高まって
いるが、供給は限定的であり、当四半期に A グレードオフィスビルの売買事例は確認されなかった。
 12 ヵ月見通し
賃料、価格ともに緩やかに上昇
賃貸市場では、第 2 四半期に 2 年ぶりとなる新規供給が予定されており、空室は 4%を若干上回る水準
へと上昇するとみられることから、賃料の上昇ペースは減速する見通し。投資市場では、投資家の関心
の高さを背景に投資利回りには引き続き低下圧力が加えられ、これと賃料上昇を反映し、価格は緩や
かに上昇する見通し。
JLL リサーチ事業部長 赤城威志は、次のように述べています。
「2016 年の A グレードオフィス賃貸市場では、東京で賃料上昇ペースが減速した一方で、大阪で加速し
ました。2017 年には、東京・大阪ともに空室率は若干上昇するものの、市場均衡を下回る水準で推移す
るとみられるため、賃料は緩やかながらも上昇傾向を維持する見通しです。2016 年の投資市場では、商
業用不動産投資総額は前年比を下回り、2 年連続で減少となりました。物流とホテルセクターは好調と
なったものの、牽引役のオフィスセクターが昨年に引き続き減少しました。市場に供給される物件が抑制
されていることが主たる要因ですが、依然として投資需要は高く、低金利環境も当面継続するとみられる
ことから、2017 年の投資総額は前年比横ばい程度となると予測しています」
A グレードオフィス賃料 東京は 19 四半期連続、大阪は 10 四半期連続で上昇
「ジャパン プロパティ ダイジェスト 2016 年第 4 四半期」
東京のリテール(商業施設)市場
 賃料
17 四半期連続で上昇
月額坪当たり 78,783 円(共益費込)。前期比 0.6%上昇、前年比 2.1%上昇となった。賃料上昇は 17 四半
期連続となったものの、上昇ペースは 2 四半期ぶりに減速した。
 価格・投資利回り
13 四半期連続で上昇
価格は 0.3%上昇、前年比 4.7%上昇となった。投資利回りは横ばいで推移し、緩やかな賃料上昇を反
映して上昇ペースは概ね前期並みとなった。当四半期の売買事例には、日本プライムリアルティによる
Ginza Gates の取得が挙げられる。並木通りに面する商業ビルで、101 億円、NOI 利回り 3.2%で取引され
た。
 需要
需要は堅調であるものの小売業者の新規出店姿勢は慎重
出店需要は堅調となったものの、消費の弱さと訪日外客の消費動向の変化を受けて、小売業者は積極
的な新規出店に対して慎重姿勢を強めている。第 4 四半期の新規開業には、10 月にグランドオープン
した Okura House に入居したカルティエ銀座ブティック、銀座吉兆、Bills が挙げられる。
 12 ヵ月見通し
賃料上昇ペースは一層減速
賃貸市場では、引き続き需給が逼迫するとみられるものの、賃料は前回ピークに近付いていることから、
上昇ペースが減速する見通し。投資市場では、機関投資家のほか個人富裕層を含む様々な投資家に
よる投資意欲は依然高い。これと限定的な供給を背景に、投資利回りには引き続き下押し圧力が加えら
れる見通し。
東京のロジスティクス(物流)市場
 賃料
2 四半期ぶりに下落
月額坪当たり 4,134 円となり、前期比 0.1%下落、前年比 1.1%下落となり、2 四半期ぶりに下落した。ベイ
エリアで前期比 0.4%下落した一方、内陸エリアで前期比 0.1%上昇した。
 空室率
ベイエリア、内陸エリアともに大きく低下
空室率は 5.3%、前期比 2.7 ポイント低下、前年比 1.2 ポイント低下となった。ベイエリアは 3.0%と前期比
1.2 ポイント低下、内陸エリアは 6.8%と前期比 3.7 ポイント低下し、ともに大きく低下した。
 価格・投資利回り
価格は 2 四半期ぶりに下落
価格は前期比 0.1%の下落、前年比 0.4%の上昇となった。四半期ベースの変動率は 2 四半期ぶりにマ
イナスとなった。投資利回りは横ばいとなり、主に賃料の変動率を反映した。
A グレードオフィス賃料 東京は 19 四半期連続、大阪は 10 四半期連続で上昇
「ジャパン プロパティ ダイジェスト 2016 年第 4 四半期」
 ネット・アブゾープション
ネット・アブゾープションは 208 千㎡で前期並みの力強い水準となった。2016 年通年では 1,101 千㎡とな
り、前年の実績を 40%上回った。過去 10 年平均比 200%に相当する新規供給が潜在的な需要を喚起し
た格好となった。ベイエリアのネット・アブゾープションは 216 千㎡と新規供給の 75%程度、内陸エリアで
は前年の供給物件の成約もあったことから 881 千㎡となり、新規供給を 10%上回る面積が吸収された。
 12 ヵ月見通し
賃料、価格ともに緩やかに上昇
賃貸市場では、過去 10 年平均比 110%に相当する 722 千㎡の新規供給を見込んでいるが、予約契約
は好調で、空室率は低下するとみられることから、賃料は緩やかな上昇基調で推移する見通し。投資市
場は、急拡大する物流セクターに関心を高める投資家が増加していることなどを背景に、投資利回りに
は引き続き下押し圧力が加えられ、価格は上昇する見通し。
東京のホテル市場
 需要
インバウンド客の貢献により宿泊需要の基盤は引き続き堅固
2016 年 1 月-10 月の訪日外客数は対前年同期比で 23.3%増となる 2,011 万人と、初めて 2,000 万人を突
破した。訪日外客数の上昇率は昨年 1 月-10 月の伸び率(+47.1%)と比較すると、ペースダウンしている
が、インバウンド客は引き続き、都内の宿泊需要の基盤となっている。
国内の総宿泊需要の 12%を占める東京都の延べ宿泊者数は、2016 年初来 9 月までの累計で 3,790 万
人であった。都内延べ宿泊者数の 32%を占める外国人宿泊者数は、対前年比 0.8%減の 1,200 万人、
日本人宿泊者数は対前年比 6.8%減の 2,600 万人であった。
 供給
2016 年第 4 四半期は4ツ星及び5ツ星ホテルの新規供給は無し
2016 年第 4 四半期はラグジュアリーホテルの新規供給は無かった。2016 年 7 月に星野リゾートが、客室
数 84 室の高級旅館「星のや東京」を丸の内にて開業し、都市部への初進出を果たした。また、「旧グラ
ンドプリンス赤坂(715 室)」の跡地では、250 室の 5 ツ星ホテルとして「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井
町」が同じく 7 月に開業した。
 運営パフォーマンス
客室稼働率の低下にも関わらず RevPAR は成長を維持
1 日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が対前年比で減少していた第 3 四半期から転じて上
昇傾向にある。第 4 四半期は、客室稼働が昨年の水準を下回って推移している中、月次平均客室単価
(ADR)の上昇が RevPAR パフォーマンスの回復を牽引している。なお、年移動平均で RevPAR は 2012
年第 2 四半期以来、継続して成長軌道にある。
 売買
2016 年第 4 四半期は東京の 5 ツ星ホテルの取引は見られなかった。全国のホテル売買市場も年末の
「シェラトン沖縄サンマリーナ」の売却まで売却案件が少なく、第 4 四半期は比較的静かな売買市場で
あった。
A グレードオフィス賃料 東京は 19 四半期連続、大阪は 10 四半期連続で上昇
「ジャパン プロパティ ダイジェスト 2016 年第 4 四半期」
 12 ヵ月見通し
RevPAR は成長するものの、ペースは減速
今後、訪日外客数の増加ペースが鈍化する可能性が懸念されている。ADR の上昇は緩やかになり、そ
の結果 RevPAR の成長ペースも減速すると予想される。今後 12 ヵ月間のホテル投資市場は、売買取引
件数は 2016 年と同程度、売買金額は引き続き高水準で取引されると見込まれる。
JLL ホテルズ&ホスピタリティグループ 取締役執行役員 沢柳知彦は、次のように述べています。
「2016 年の訪日外国人客数は年間で過去最高となる 2,400 万人に達し、前年比で 20%を超える高い成
長率を維持しましたが、東京のホテルパフォーマンス(RevPAR)の成長は明らかに鈍化しつつあります。
インバウンド客の宿泊パターンが変化してきているものと見られますが、その原因は民泊や東アジア圏
の旅行客のクルーズ船泊へのシフト、滞在日数自体の減少や移動手段としての夜行バス利用の増加等、
複合的なものが考えられます。こういった宿泊における低価格志向は、世界経済、アジア経済の景況に
大きく影響を受けることから、外的環境の安定が望まれます」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京 CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪 CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の 5 ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD) 2016 年第 4 半期」の詳細は www.joneslanglasalle.co.jp をご覧く
ださい。
この件に関する問い合わせ先:
広報担当(エイレックス)吉岡・山本 電話:03-3560-1289
JLL について
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグローバル
に提供する総合不動産サービス会社です。フォーチュン 500 に選出されている JLL は、世界 80 ヵ国、従業員約 70,000 名、280
超拠点で展開しており、総売上高は 60 億米ドル、年間の手数料収入は約 52 億米ドルに上ります(2015 年 12 月 31 日時点)。
2015 年度は、プロパティマネジメント及び企業向けファシリティマネジメントにおいて、約 3 億 7,200 万㎡(約 1 億 1,200 万坪)の
不動産ポートフォリオを管理し、1,380 億米ドルの取引を完了しました。JLL グループで不動産投資・運用を担当するラサール イ
ンベストメント マネジメントは、総額 597 億米ドルの資産を運用しています。JLL は、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテ
ッドの企業呼称及び登録商標です。www.jll.com
JLL のアジア太平洋地域での活動は 50 年以上にわたり、現在 16 ヵ国、94 事業所で 36,000 名超のスタッフを擁しています。JLL
は、2016 年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックにて、合計 15 の賞を受賞し、リアル・キャピタル・アナ
リスティックスより、アジア太平洋地域のトップ投資アドバイザーに選出されています。www.ap.jll.com
JLL 日本法人の詳細な情報はホームページをご覧下さい。
www.joneslanglasalle.co.jp