2017 年 2 月 6 日 2016 年 12 月期決算説明会 日時 回答者 2017 年 2 月 2 日(木)17:00‐18:30 代表取締役 社長執行役員 澤田 代表取締役 専務執行役員 吉田 代表取締役 専務執行役員 竹内 執行役員 会計財務部門統括 山内 質疑応答要旨 道隆 勝彦 俊昭 憲一 第 4 四半期に中国のベビー用紙おむつは売上が鈍化したようだが、これは上海家化との販売代 理店契約終了に伴う在庫調整によるものという理解でいいのか? 澤田:ご理解の通り。一時的な要因だ。 2017 年度の中国の売上伸長率の目標は? 澤田:中国のコンシューマープロダクツ事業は 2016 年度に 24%伸長した。2017 年度も同様に 伸ばしたい。最低でも 10%台の伸びは達成しなければならない。その中心になるのがベビー用 紙おむつだが、そのベビー用おむつをきっかけに、スキンケアとファブリックケアが伸びており、 利益の 3 割を占めている。中国経済は厳しい状況だが、日用品はそれほど影響を受けていな い。 ベビー用紙おむつの想定伸長率は? 澤田:この数年間、ベビー用おむつは 20%以上伸ばしてきたので、それを継続したい。 上海家化との提携終了後のチャネル政策は? 澤田:2016 年に販売網を構築してきたので、今後それがうまく機能すると考えている。前向きに 取り組んでくれるところがたくさん出てきた。 竹内:市場は上海家化と提携を開始した 2011 年当時と比べ、ベビー専門店と e コマースの売上 比率が上がり大きく変化している。今後も花王はそこに注力していく。 2017 年度の業績予想の前提は、原材料価格が ∆10 億円となっているが、その背景は? 山内:油脂価格は高止まりしており、少し下がると期待している。原油価格が大幅に変動しなけ れば、この前提になる。 2017 年度のコスト削減の見通しが積極的だが、何か変化があったのか? 澤田:2016 年度のコスト削減活動(TCR)の成果は 110 億円だった。社員一丸となって取り組ん だ結果だ。2020 年に営業利益率 15%、営業利益 2,550 億円を目指すには通常の延長線上で は達成できない。目標達成の意気込みをトップダウンで示し、全社で共有していく。 コスト削減の成果は全事業から満遍なく出てくるのか? 澤田:TCR はこれまで日本中心だったが、海外展開が拡大したことで海外からの貢献も大きくな った。これを継続していく。 1 2017 年 2 月 6 日 2020 年度にはインドネシアでも利益が出るとのことだが、その時のマーケットシェアはどの程度 を想定しているか? 澤田:ベビー用紙おむつは、シェアが 10%では利益は出ないので、20%を超えないといけない。 設備投資をしている中でも、既に利益が出始めている。日本でもそうだったが、損益分岐点を超 えると急激に利益増につながってくる。 中期経営計画では、欧米コンシューマープロダクツ事業の営業利益率目標が 10%と高いが、構 造改革への投資は 2016 年度に引当てた 10 数億円で十分なのか?どのような構造改革か? 澤田:詳細は言えないが、人員の効率化、ブランドの整理、販売やマーケティングのやり方の変 更など、以前化粧品で実施したような構造改革を従来の延長線上ではないやり方で取り組むた めにまず欧州から着手している。現在、欧州の営業利益率は約 5%、構造改革の費用の影響を 除くと約 7%だ。2020 年までにあと 3~4%伸ばす。追加の投資は考えていない。 米州は営業利益率が現在 4%。欧州とは事業構造が違うので、考え方を再度整理しながら次な る投資を実施していく。欧州の成果を米州に取り入れ、欧米ともに 10%を目指す。 2017 年度のビューティーケア事業の実質売上伸長は 5.3%と高いが、化粧品はどれだけ伸びる のか?構造改革は終わったのか? 澤田: 2017 年度の化粧品の売上伸長は、ビューティーケア事業と同じ 5~6%くらい。スキンケ ア・ヘアケアは 4%くらい。 化粧品では、カネボウ化粧品のグローバル KANEBO、KATE、ビューティクリアパウダーの suisai などの伸長を期待している。 市場が横ばいの中、5~6%の伸長はこれまでなかったと思うが、構造改革が終わったからか? 澤田:構造改革の途中だ。ソフィーナは、国内では百貨店でソフィーナ iP を発売し、その後スキン ケアも刷新した。現在ドラッグストアでも iP を展開している。また百貨店以外で展開しているアル ブランも伸ばす。さらに海外ではこの春からソフィーナ iP を台湾と香港で販売、ホリスティックビュ ーティを導入していく。できれば銀座のビューティーパワーステーションのような旗艦店も作って いきたい。その後、2020 年度までにシンガポールなどアジアでさらに展開していく。 ベビー用紙おむつは、2016 年末から為替の影響もあり、並行輸入業者の活動が少し戻っている のでは? 澤田:並行輸入業者の活動はなくならないと思うが、花王は越境 EC の展開も強化している。並 行輸入業者の在庫も解消しつつあるので、以前ほどの問題にはならないだろう。 日本の化粧品市場は高価格帯の百貨店などが好調の反面、低価格帯のドラッグストアが低調と 感じているが、どう見ているか? 澤田:化粧品市場では大手化粧品メーカー以外の会社が増え、活発な動きでシェアを伸ばして おり、大手が伸びていないことを注視している。また、今まで化粧品専門店は縮小してきたが、従 来と違う大型の化粧品専門店が伸長している。さらにネット、SNS の広がりが活発化してきてい る。非常に見立てが難しくなっている。 ファブリック&ホームケアの売上が第 4 四半期減速しているようだが、その背景は? 澤田:新製品・改良品やマーケティング活動のタイミングによるもので、特別な背景は特にない。 年間を通して見て欲しい。 2 2017 年 2 月 6 日 消費者の所得構造が変化し消費の二極化が起きている。マクロ環境の消費マインドの低下が中 間所得層に影響し、中期経営計画の達成が難しくなってくるのではないか? 澤田:今まで日本の日用品の消費を牽引してきた団塊の世代が牽引しきれなくなってきた。それ に代わり、団塊世代ジュニアの特に女性が消費を牽引している。しかし、購買意欲が低い 2000 年以降に 20 歳を超えたミレニアル世代の消費を喚起しないとどんどん縮小していく。それぞれの 世代のニーズを的確に捉え、一歩先回りして提案していく。 2016 年度は下期にマーケティング費用を大きく投下したようだが、2017 年度に向けて、さらに加 速するのか? 吉田:2016 年度は、インバウンド需要減に対して費用をかけた。また、中期経営計画(K20)に向 けたマーケティング投資をしてきた。解析手法、分析などのリサーチレベル向上、グローバルな モバイルプラットフォームの構築、さらにデジタルマーケティングのために費用を使った。2017 年 度には同様の増加はない。 澤田:K20 の数字を見たときに、売上が CAGR+5%に対して、営業利益率 15%を目指すと、営 業利益の CAGR は+8.3%でないといけない。売上より利益の伸びを大きくするために、費用は 効率的に使っていくことが重要だ。 今後の日本のトイレタリーの販売チャネルの構造変化に伴う、マーケティング費用のかけ方につ いて教えて欲しい。 竹内:e コマースの比率が上がっていくのは間違いない。日本の小売業というのは、実店舗が多 く、アメリカや中国と大きく環境が違う。中国ではベビー用紙おむつ市場の売上の約半分がeコマ ースだが、日本では、中国のように急激に伸びることはないだろう。しかし、e コマースが伸びて いるのは確かなので、実店舗とネットのリンクの実現など小売りと協働して消費者の動向に対応 した e コマースの最適な姿を目指している。 澤田:小売業界は再編され変化していくが、花王はやり方を変えながらマスとスモールマスのそ れぞれに対応したマーケティングをやっていく。ただし、費用がかさまないよう効率化していく。 2016 年度は国内の利益率が上がっているが、その理由は? 2017 年度の国内の利益率、原価 の見通しは? 澤田:日本の利益率が改善した要因は、高付加価値の新製品・改良品の比率が高くなっている ためだ。以前 18~19%だった新製品・改良品の比率が、現在は約 25%になっている。いろいろ な世代に向けた高付加価値品を出した結果だが、スモールマスを狙っているのでコストもかかる。 今後の成長のため、2017 年度は価値伝達のやり方をもっと違う形で効率的にやっていく。 コアブランドの売上比率が上がると、生産やマーケティングが効率化されてくると思うが、今後数 年間どのようにシナジーを出していこうと考えているのか? 澤田:今までは個々のブランドを強化することに注力してきたが、これからは企業イメージと商品 をリンクさせることが重要になってくる。本来は花王というコーポレートブランドとメリーズ、ビオレ、 アタックといった製品ブランドがシナジーを生むことが望ましいが、そこまでは出来ていない。ひと つひとつの製品ブランドが、新規市場を開拓するときの旗頭になってくれれば良い。 中国では非常に苦戦していたが、メリーズというブランドが受け入れられて、花王(ファーワン*)と いうコーポレートブランドの浸透、信頼増につながった。それが生理用品ロリエのシェア拡大にも つながっている。スキンケアのビオレも衣料用洗剤のアタックも伸びた。インドネシアでも、長年 築き上げたスキンケア、ヘアケアの製品ブランドの資産が今のメリーズの好調につながっている。 3 2017 年 2 月 6 日 今後新規参入する国では、メリーズ、アタック、ビオレなどの 1,000 億円ブランドでスタートする。 さらに、これが企業イメージの、例えば「きれい(KIREI)」と社会貢献活動ともつながれば、コーポ レートブランドにも大きなシナジーが出てくる。そのためにも、1,000 億円を超えるブランドをもっと 育成していく。 * ファーワン:「花王」の中国語での発音 2017 年度の国内トイレタリー市場伸長率を 1%と想定しているが、2016 年度は 2%伸長しベビ ー用紙おむつ以外は単価も下がっていない。世帯数の増加もあるようだが、この 1%の市場伸長 率の前提は? 澤田:ファブリックケアは 4~5%伸長しており、オーラルケアも大きく伸長しているが、花王の参 入カテゴリー79 品目のトイレタリー市場全体で見ると、これまで継続して伸びてきたので伸長率 は低い。対前年では 1%増と見ている。 中期経営計画(K20)の売上と営業利益の伸長はどれだけ連動しているのか? 売上が達成でき なかった場合の利益への影響は? 澤田:事業セグメントや地域によって異なる。売上が利益の源泉なので、売上を伸ばさないとい けない。K20 では、売上を 3,000 億円、営業利益を 700 億円伸ばさないといけない。営業利益の CAGR は+8.3%。売上の伸長だけでは営業利益の目標は達成できないので、費用を含めた効 率化が必要。 注意事項 本資料に記載されている内容は、決算説明会の質疑をもとに要約した当社の見解であり、 その情報の正確性および完全性を保証または約束するものではなく、また今後、予告無しに 変更されることがあります。 また、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であ ると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではあ りません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。 4
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