Economic Indicators マクロ経済指標レポート 一般会計税収(2016年12月末時点) 発表日:2017年2月1日(水) ~月次では既にボトムアウト~ 担当 第一生命経済研究所 経済調査部 副主任エコノミスト 星野 卓也 TEL:03-5221-4547 12 月末時点累計額は前年比▲2.7% 財務省から 2016 年 12 月末時点の税収額が公表された。12 月末時点の税収累計額は 30.1 兆円となった。 前年割れの状態が続いているものの、そのマイナス幅は縮小する方向にある(10 月:▲4.1%、11 月:▲ 3.6%、12 月:▲2.7%)。筆者の季節調整値のトレンド(6か月移動平均値)をみても、2016 年前半に減少 した後、足もとでは増加の方向に転じている。税収を巡っては、昨日成立した第3次補正予算iにおいて、 2016 年前半の円高・株安が重石となる形で 2016 年度見込値の下方修正(57.6 兆円→55.9 兆円)が行われた。 税収減に対する懸念が強まっているが、月次でみれば既にボトムをつけた可能性が高く、一段の悪化は避け られそうだ。10-12 月期の上場企業業績の改善が見込まれている点も、年度後半の税収環境の改善に寄与す る公算が大きいだろう。 12 月時点累計値の前年比を税目別にみると、所得税が前年比+0.6%の増加と 11 月末時点の前年比マイナ スからプラスに転じている。法人税、消費税はそれぞれ同▲8.8%、▲6.3%の減少である。法人税は年前半 の円高を受けた企業利益の低下が、消費税についても円高に伴う輸入額の減少が効いている模様だ。 今後の税収を考えるうえでも、為替や株式市場の動向は重要なファクターだ。法人所得、個人の配当所得、 譲渡所得などの増減を通じて税収を大きく左右するためだ。昨年 11 月以降進んだ円安・株高の影響により、 今年度後半の税収は増加傾向での推移を予測しているが、トランプ大統領からドル高牽制発言が発せられる など不透明感は依然として強く、今後の税収も非常に見通しづらい状況にある。 資料1.税収(12 月末時点累計値) 資料2.税収(季節調整値)の推移 (兆円) 兆円・年換算 35 65 30 その他 25 60 55 消費税 20 50 45 15 法人税 40 10 5 所得税 35 30 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 0 (資料1出所)財務省「租税及び印紙収入、収入額調」 (資料2出所)同上。季節調整値は第一生命経済研究所。太線は6ヶ月移動平均。シャドー部は景気後退期。 i 2016 年度第3次補正予算については「2016 年度第3次補正予算案のポイント~“為替次第”の税収のゆくえ~」で解説しています。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1
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