マーケット・フォーカス

マーケット・フォーカス
商品:原油
2017/
1/30
投資情報部
ストラテジスト兼
テクニカルアナリスト
西村 三養子
OPEC減産 vs シェール増産
 OPECは減産を順守していると主張、EIAは18年に需給はタイトになると指摘
 一方、米国原油在庫、石油掘削装置(リグ)稼働数が増加、シェール増産の可能性も
 オプション動向からは55~60ドルが上値めどか
国際指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は1/27時点で
OPECの減産順守に楽
1バレル=53.17ドル。テクニカル面では、200日線の45ドル前後がサポートとして機
観的な見方も
能しており、45~55ドルのレンジを上放れなければもちあい継続となりやすそう(下
左図)。
石油輸出国機構(OPEC)は、1月からの6ヵ月間生産上限を日量3,250万バレルに
することで価格の安定化を狙う。1/18に発表されたOPEC月報によると、2016年12
月の原油生産量は加盟国全体で日量前月比▲77万バレルの3,310万バレルと近
年見ない減産となった。1/21~22のOPEC・非OPEC諸国での減産状況を確認する
監視委員会の初会合が開かれ、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資
源相は「2月には100%減産目標を達成できる」と発言したとの報道も。1/25に米エ
ネルギー情報局(EIA)は2018年まで世界の生産と消費は増加するが、消費の増加
が生産を上回り需給はタイトになると指摘している。一方、足元は予想を上回る原
油在庫の増加から、原油価格は55ドルを目前に上値が重くなりつつある。今後は、
OPEC・非OPECの減産状況が確認できる2月のOPECやEIAの月報に注目が集まり
そうだ。
(1バレル=ドル)
OPEC 原油生産量
W TI 原油先物
(百万バレル/日)
(日次:2016/1/4~2017/1/27)
34.5
60
(16/12/28)
54.06
(16/6/8)
51.23
50
34.0
(17/1/27)
53.17
33.5
200日線47.50
32.5
33.0
32.0
(16/11/14)
43.32
40
31.5
(16/8/2)
39.51
31.0
30.5
30
(16/2/11)
26.21
WTI原油先物
30.0
200日移動平均線
29.5
20
16/1
16/4
16/7
16/10
出所:QUICK Astra Managerのデータよ りみずほ証券作成
29.0
17/1 (年/月)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (月)
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
は
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
2016年
過去3年最多
過去3年平均
過去3年最少
2017/1/30
マーケット・フォーカス
米国の原油在庫、生
産量、リグ稼働数はと
もに増加
米国では原油の受け渡し場所となるオクラホマ州クッシングの在庫は増加しており
(上左図)、米国内の原油生産量や石油掘削装置(リグ)の稼働数も増加している(上
右図)。また、米国のリグ1基当たりの生産量は一部の地域を除いてほぼ右肩上がりだ
(下左図)。1/24に米トランプ大統領は、石油パイプラインの建設を推進する大統領令
に署名し、環境保全への配慮からパイプラインの建設申請を却下してきたオバマ政権
の方針を覆した。トランプ大統領は原油増産や輸送効率を向上させエネルギーの安
全保障を強化したい考えだ。今回の大統領令で2本の基幹パイプラインの建設が予定
される。その1本は、シェールオイルの主要鉱区バッケンから中西部の製油所地帯に
原油を運ぶものだ。これが完成すると、1日45万バレルの原油を輸送できることから同
地区での生産の拡大が期待される。エネルギー分野でも「米国第一」を目指すトラン
プ大統領の政策は、中東のオイル依存からの脱却を目論む姿勢がうかがえシェール
オイル産業にとってさらなる追い風となろう。
足元のオプション動向からは投資家の控えめな姿勢もうかがえる(下右図)。上値の
めどとして意識されるコールの建玉は1ヵ月前に(12/23時点)60ドルが大きな壁となって
いたものの、1/27時点では55ドルに最も積み上がった。一方、下値のめどとして意識さ
れるプットの建玉は45~50ドルに集中している。当面の原油価格は突発的な事象が
起きない限り、55~60ドルで上値を抑えられやすそうだ。
W TI原油価格と米国リグ稼働数
クッ シング原油在庫とWTI原油先物価格
(週次:2014/1/4~2017/1/27)
(千バレル)
70,000
(1バレル=ドル)
クッシング原油在庫(左目盛)
20
WTI原油先物(右逆目盛)
30
60,000
110
90
60
70
80
30,000
10,000
14/11
15/9
16/7
1,000
60
800
600
400
200
20
120
14/1
70
30
110
14/7
(年/月)
15/1
15/7
16/1
16/7
17/1
(年/月)
出所:ブ ルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:ブ ルームバーグのデータよりみずほ証券作成
W TI原油先物オプション権利行使価格分布
リグ1 基当たりシェールオイル生産量
(バレル/日)
1,400
1,200
40
100
1,600
80
50
90
20,000
リグ稼働数(右目盛)
WTI原油先物(左目盛)
100
50
40,000
(基)
1,800
120
40
50,000
(週次:2014/7/4~2017/1/27)
(1バレル=ドル)
(2017年1月27日時点)
(千枚)
(月次:2013/1~2017/1)
80
プット(2・3・4月限合計)
1,400
イーグルフォード
ニオブララ
バッケン
パーミアン
ユーティカ
1,200
1,000
コール(2・3・4月限合計)
60
800
40
600
400
20
200
0
0
13/1
14/1
15/1
出所:ブ ルームバーグのデータよりみずほ証券作成
16/1
10
17/1
(年/月)
15
20
25
30
35
40
45
50
出所:ブ ルームバーグのデータよりみずほ証券作成
55
60
65
70 75 80
(1バレル=ドル)
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2017/1/30
マーケット・フォーカス
■ エネルギー関連統計
日付
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月4日
2月4日
2月4日
■
国・地域
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
米国原油在庫(前週比・千バレル)
オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル)
米国ガソリン在庫(前週比・千バレル)
米国中間留分在庫(前週比・千バレル)
米国製油所稼働率(前週比)
米国原油推定需要(千バレル/日)
米国ガソリン推定需要(千バレル/日)
米国留出燃料推定需要(千バレル/日)
ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ
ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ
期間
1月27日
1月27日
1月27日
1月27日
1月27日
1月27日
1月27日
1月27日
2月3日
2月3日
2月3日
国・地域
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約(季調前、前年比)
ダラス連銀製造業活動
雇用コスト指数
シカゴ購買部協会景気指数
消費者信頼感指数
MBA住宅ローン申請指数
ADP雇用統計
住宅ローン延滞率
ワーズ自動車販売台数合計
ワーズ国内自動車販売台数
ISM製造業景況指数
FOMC政策金利(上限)
FOMC政策金利(下限)
チャレンジャー人員削減数(前年比)
非農業部門労働生産性
単位労働費用
非農業部門雇用者数変化
民間部門雇用者数変化
製造業雇用者数変化
失業率
平均時給(前月比)
平均時給(前年比)
週平均労働時間(全従業員)
労働参加率
不完全雇用率
ISM非製造業景況指数
期間
12月
12月
1月
10-12月期
1月
1月
1月27日
1月
10-12月期
1月
1月
1月
2月1日
2月1日
1月
10-12月期速報
10-12月期速報
1月
1月
1月
1月
1月
1月
1月
1月
1月
1月
前回
2,840
▲ 284
6,796
76
▲2.4%
16,365
8,913
4,723
712
145
566
経済指標
日付
1月31日
1月31日
1月31日
1月31日
1月31日
1月31日
2月1日
2月1日
2月1日
2月1日
2月1日
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月2日
2月3日
2月3日
2月3日
2月3日
2月3日
2月3日
2月3日
2月3日
2月3日
2月4日
前回
▲2.5%
1.4%
15.5
0.6%
54.6
113.7
4.0%
153,000
4.52%
18,290,000
14,190,000
54.7
0.75%
0.50%
42.4%
3.1%
0.7%
156,000
144,000
17,000
4.7%
0.4%
2.9%
34.3
62.7%
9.2%
57.2
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2017/1/30
金融商品取引法に係る重要事項
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む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込
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