みずほ欧州経済情報 - みずほ総合研究所

みずほ欧州経済情報
2017年1月号
◆ トピック
英国は3月後半にEUへ「離脱通告」実施の公算大
テリーザ・メイ首相は英国の対EU交渉方針を発表した。
EUへの離脱通告は3月後半には行われる公算が大きい
が、「離脱通告」後の交渉は難航が予想される
◆ 景気判断
ユーロ圏景気は堅調に回復
10~12月期のGDP成長率は、7~9月期並みの水準を維持
した模様である。もっとも物価上昇が実質所得を下押し
し、今後、徐々に景気回復の勢いは鈍化する見通しだ。
1.トピック:英国は 3 月後半にEUへ「離脱通告」実施の公算大
テリーザ・メイ首相は英国
テリーザ・メイ英首相は、1 月 17 日に行われた英国のEU(欧州連合)離
の対EU交渉方針を発表。 脱(ブレグジット)に関する演説において、対EU交渉の基本方針を表明し
「ハード・ブレグジット」 た。首相演説の骨子は図表 1 の通りであり、首相は 12 の交渉方針を示した。
を目指す姿勢を鮮明に
この中で最も重要な点は、EU域内市場への参加が失われようとも、国民
投票の意思の一部であるEU移民の制限を最優先事項とする、いわゆる「ハ
ード・ブレグジット」を目指す姿勢が明らかになった点である。同時にメイ
首相は、英国がEUと新たに「自由貿易協定(FTA)
」の締結を目指す旨
を宣言した。
「ハード・ブレグジット」
「ハード・ブレグジット」により、EU域内市場への自由なアクセスが失
により在英企業の対EU
われることから、在英企業の対EUビジネスへの影響が懸念される。一方で、
ビジネスへの影響が懸念
英国はEU域内市場への参加の見返りとして求められるEU法の順守義務
される
が無くなる。このため、自国の判断でEUからの移民流入を管理することが
出来るようになったり、EUへの予算拠出の必要が無くなったりする。今回
の演説内容については、概ね事前のリーク情報に沿った内容であったが、英
国とEUの間の最終合意については英議会での採決を行うことを首相が表
明した点は新しく追加された情報となった。
今後の英国とEUの間の交渉における主な注目は 2 点ある。第 1 は、英国
とEUの間の交渉開始のトリガーとなる、EU条約第 50 条に基づくEU理
事会への離脱通告(
「50 条通告」
)がいつ行われるかである。第 2 は、英国と
EUのFTA交渉の内容と締結に要する時間である。
今後の英国とEUの交渉
におけるポイント
第 1 の注目点である、離脱通告を英政府が実施するタイミングは、3 月後
半となる公算が大きい。1 月 24 日に下された「政府は議会による立法無くし
て離脱通告を実施することは出来ない」という最高裁判所の判決を受け、英
政府は「欧州連合(離脱通告)法案」を 26 日に議会に提出し、早期可決を
目指すことになった。
「離脱通告法」
は上下院で
可決される見込み
現在の与野党の上下院での議席構成等から判断すれば、
「離脱通告法」は
上下院で成立する公算が大きい。まず、650 議席を有する下院では、与党保
守党では国民投票で残留を主張した議員も含めてほぼ全員が離脱通告の実
施に賛同している。野党第一党で、229 議席を有する労働党では、ジェレミ
ー・コービン党首が「国民投票の意思である離脱通告自体を最終的に阻止す
ることはしない」ことを折に触れ発言し、採決にあたっては党議拘束をかけ
る可能性を示唆している。労働党からは国民投票で残留に投票した選挙区の
議員を中心に 60 名前後の造反議員が出ると予想されている。しかし、保守
党と労働党の法案賛成議員を併せれば、下院での過半議席は確保できそうだ。
805 名の議員が所属する上院では、中立議員が 178 名いることから保守党
は過半議席を占めていない。しかし、上院議員の多くは一代・世襲貴族であ
り、選挙で選ばれない上院議員は大勢としては国民の代表である下院の決定
を覆すことはないと考えられる。一部議員の反対も予想されるが、英BBC
報道では、検討中の定数削減を含む上院の効率化議論が「政府の決定に従わ
1
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
なければ首を切る」という暗黙のプレッシャーになっているとの見方もある。
「離脱通告法」は 3 月中
「離脱通告法案」は、3 月中旬までには成立する公算が大きい。下院に提
旬までに成立する公算
出された離脱通告法は第一読会を 1 月 27 日に終えた。
第二読会は 1 月 31 日、
大
2 月 1 日の二日間行われる。その後は、2 月 6~8 日には全院委員会で審議が
なされ、最終的な決議を行う第三読会が 2 月 8 日に予定されている。第三読
会での法案修正は通常は行われず、下院議員に与えられた期間は僅か 2 週間
ということになる。下院の決議が得られれば、2 月後半に法案は上院にまわ
され、同様の過程を経る。最終的には 3 月上旬に両院による協議を経て、国
王の裁可により法案は成立する。英フィナンシャル・タイムズ紙によれば、
「離脱通告法」は最速で 3 月 16 日には成立させることが可能とみられる。
EUとのFTA交渉に
第 2 の注目点である、
「離脱通告」後の英・EU間のFTA交渉の内容や
ついては難航の可能性
締結に要する時間については、メイ首相が今回の演説の中で示したよりも交
も
渉は難航し、締結には時間を要する可能性がある。
EUとのFTA交渉の中で英国にとって重要な点の一つは、金融サービス
の自由なEU域内市場への参加であるが、これは昨年EU・カナダとの間で
調印された包括的経済貿易協定(CETA)においても認められていない。また、
フランスなど一部の国はEUにおける国際金融センターとしての地位をロ
ンドンから奪うために、国を挙げたキャンペーン活動を既に開始しており、
金融サービスの自由化を含むFTA交渉は難航が予想される。
交渉に要する時間について、メイ首相は 2 年間での大筋合意を目指す旨を
表明したが、これまでEUが他国と行ったFTA交渉は 4~8 年程度の時間
がかかっており、上記のカナダとの CETA のケースでは、交渉開始から調印
までに 7 年を費やしている。メイ首相が目指す 2 年間での合意形成は、英国
とEUの間の利害対立や欧州主要国の選挙日程等を踏まえれば、非常にタイ
トなスケジュールであると言わざるを得ない。
図表1 メイ首相が示した12の交渉方針
1.確実性
7.労働者の権利保護
・ 可能な限り確実な情報を提供
・ 欧州法上の権利を保証するとともに、権利保護をさらに強化
・ EUとの最終合意については、上下院で議決
8.欧州との自由貿易
2.EU法の排除
・ EU単一市場からは離脱
・ 自国法の立法権のEUからの奪回
・ EUとの間で、強力かつ野心的な貿易協定締結を目指す
・ 欧州司法裁判所の管轄から離脱
・ 巨額なEU予算の負担はしない
3.連合王国の強化
(ただし、交渉の結果としての一部負担の可能性は排除せず)
・ イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの協調
9.EU域外国との貿易協定
4.アイルランドとの共通旅行区域(CTA)の維持
・ 英国はEU域外国と独自に貿易交渉を行う
5.移民の制限
(EUの共通関税の制約は受けない)
・ 欧州からの移民数を制御
10.科学とイノベーション
6.英国内のEU市民、EU内の英国民の権利
・ 科学・技術・研究分野での欧州パートナーとの協働を歓迎
・ 既存の居住者の権利は、できるだけ早期に保証
11.犯罪・テロリズムとの戦いにおける協力
・ 欧州同盟国と外交・防衛面での協力を継続
12.円滑で秩序ある離脱
・ 制度急変の悪影響を避けるため、段階的な制度移行を模索
(資料)英政府より、みずほ総合研究所作成
2
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
2.ユーロ圏経済の概況:年末にかけて景気は堅調に回復
10~12 月期のユーロ圏
2016 年 10~12 月期のユーロ圏GDP成長率(1 月 31 日発表予定)は、7~9
景気は堅調に回復した
月期(前期比+0.4%)並みの水準を維持し、年末にかけてのユーロ圏景気が
模様。ドイツの暦年成長
堅調な回復を続けたことを示すとみられる。GDP成長率との連動性が高い
率は年末にかけての景
ユーロ圏合成PMIは、12 月分が上方修正され(修正前:53.9→修正後:54.4)、
気加速を示す結果
10~12 月期平均(53.9)は高めの水準となった。月次指標を踏まえると、消費
回復に加え、輸出復調が成長率を押し上げたと推察される(詳細は 5 頁)。
ユーロ圏で経済規模が最大のドイツでは、2016 年のGDP成長率が+
1.8%に加速した(2015 年:+1.5%)。暦年成長率から逆算すると、10~12 月
期のGDPは前期比+0.5%程度と 7~9 月期(同+0.2%)より伸びを高めた
とみられ(図表 2)、
この結果もユーロ圏景気の堅調な景気回復を示唆している。
需要項目別では、消費・輸出の増加がGDP成長率を押し上げたようだ。一方、機
械投資の一致指標である国内向け資本財販売の反発力が弱いことなどから(図
表 3)、機械投資を中心に固定投資は緩慢な回復にとどまったと予想される。
PMIは年明け後のユ
2017 年入り後も、ユーロ圏の景気回復は途切れていないようだ。1 月のユーロ
ーロ圏景気回復の持続
圏合成PMI(54.3)は景気判断の節目である 50 を上回り、引き続き高めの水準と
を示唆
なった(図表 4)。特に、輸出受注の改善などから製造業PMIが一段と上昇した。
もっとも今後に関しては、徐々にPMIが低下し、ユーロ圏景気回復ペースの鈍
化を示唆するとみられる。みずほ総研では、グローバル景気の回復を背景に輸出
は持ち直しを続けるも、これまで景気回復を主導してきた個人消費が伸び悩むと
予想している。エネルギー物価を中心とした物価上昇が家計の実質所得を下押し
するとみているからだ。
人手不足感が強いドイ
賃金上昇率の加速などによって名目所得が上振れれば、物価上昇の影響を相
ツでさえ賃挙げ圧力は
殺できるだろう。しかし、失業率が歴史的低水準にあって人手不足感が顕著なド
低調。ユーロ圏全体でも
イツでさえ、生産性上昇率の低さや諸外国との競争激化の中、企業は賃上げに
賃金上昇率は伸び悩む
慎重である。そうした中、ユーロ圏全体でも賃上げ圧力は低調と思われる。
見込み
図表 5 は、2016 年内に妥結された、ドイツ企業の賃金交渉の結果である。ポイ
ントは、2016 年の賃金交渉で 2 年分の賃上げ率が妥結された業種が多く、そうし
た業種では2017 年の賃上げ率の方が低いということだ。結果が判明している業種
の賃上げ率を加重平均すると、2017 年の賃上げ率(+2.2%)は 2016 年(+
2.7%)を下回る結果となる。勿論、2017 年入り後に新たな賃金交渉を始める業種
もあり、そうした業種で賃上げ率が高まる可能性は否定できない。しかし、生産性
や競争など単年度で改善の見込みにくい要因が賃上げの重石になってきた経緯
を踏まえると、2017 年の賃金交渉にあまり期待しない方が良いだろう。
なお、目先に関しては、年初の寒波がユーロ圏景気に及ぼす影響にも注意が
必要だ。寒波は、暖房需要の増加を通じて消費を押し上げる要因となり得るが、
一部では物流に悪影響が生じているようであり、景気下振れに繋がるリスクがある。
生鮮食品などが大幅に値上がりする可能性もある。
3
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
図表 2
ドイツGDP成長率
図表 3
(前期比、%)
1.5
8
ドイツ機械投資と資本財販売
(前期比、%)
6
加速した模様
1.0
4
反発力は弱い
2
0.5
0
0.0
▲2
▲ 0.5
▲4
▲ 1.0
▲6
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2014
15
在庫投資
政府支出
16
(年/四半期)
固定投資
実質GDP
外需
個人消費
2010
11
13
14
15
国内向け資本財販売(実質)
(年/四半期)
(資料)独連邦統計庁よりみずほ総合研究所作成
図表 4 ユーロ圏PMI
図表 5 2016 年のドイツ賃金交渉の結果
(単位:%)
(Pt)
56
交渉結果が適用
される労働者数
55
金属・電機
公共サービス
建設
化学
ホテル・外食
印刷
ゴム
木・プラスチック製品
製菓
←
拡
54
張
53
→
景 52
気
51
縮 50
小
49
2015/1
合成PMI
16/1
製造業
17/1
サービス業
図表 6
2.80
2.40
2.90
3.00
3.00
2.00
2.50
2.00
2.70
2.00
2.35
2.40
2.30
2.00
1.80
1.90
1.70
2.40
2.7
2.2
ユーロ圏景気の全体感を示す主要統計
Q3 2016
Q4 2016 Q1 2017
2016/08 2016/09 2016/10 2016/11 2016/12 2017/01
ユーロ圏(19カ国)
前期比、%
0.3
0.4
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
-
ドイツ
前期比、%
0.4
0.2
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
-
フランス
前期比、%
▲ 0.1
0.2
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
-
イタリア
前期比、%
0.1
0.3
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
-
スペイン
前期比、%
0.8
0.7
0.7
n.a.
-
-
-
-
-
-
ユーロ圏合成PMI
Pt
53.1
52.9
53.9
54.3
52.9
52.6
53.3
53.9
54.4
54.3
ユーロ圏製造業PMI
Pt
52.0
52.1
54.0
55.1
51.7
52.6
53.5
53.7
54.9
55.1
ユーロ圏サービス業PMI
Pt
53.1
52.6
53.4
53.6
52.8
52.2
52.8
53.8
53.7
53.6
長期平均=100
104.3
104.3
106.9
n.a.
103.5
104.9
106.4
106.6
107.8
n.a.
1.5
1.5
1.6
1.5
-
-
-
-
-
-
末値、%
0.00
0.00
0.00
n.a.
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
末値、%
▲ 0.13
▲ 0.19
0.11
n.a.
▲ 0.13
▲ 0.19
0.08
0.20
0.11
n.a.
末値、€/$
1.11
1.12
1.05
n.a.
1.11
1.12
1.10
1.06
1.05
n.a.
ユーロ圏ESI
見通し
3,543,800
2,230,500
675,300
549,800
144,700
142,200
46,300
43,100
26,700
2017年
(資料)Wirtschafts- und Sozialwissenschaftliches
Institut よりみずほ総合研究所作成
Q2 2016
景況感
2016年
加重平均値
(年/月)
(資料)Markit よりみずほ総合研究所作成
実質
GDP
成長率
16
機械投資
(注)2016 年Q4 は暦年成長率から逆算したもの。
(資料)独連邦統計庁よりみずほ総合研究所作成
金融
12
専門家調査(当年のユーロ圏GDP成長率、%)
ECB主要政策金利
ドイツ10年国債利回り
ユーロ/ドル
(資料)Eurostat、欧州委員会経済金融総局、ECB、Markit、Datastream よりみずほ総合研究所作成
4
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
3.ユーロ圏内外需動向:輸出・生産は持ち直すも、企業の投資意欲は低調
ユーロ圏域外輸出は増
ユーロ圏の輸出は持ち直している。ユーロ圏域外輸出金額(国際収支統計
加。輸入も増加したが、
の財・サービス輸出)は 11 月(前月比+2.9%)に増加し、10・11 月平均は対
10~12 月期の実質GD
7~9 月期平均比+1.9%となった。ユーロ圏域外輸出は上方修正が相次いで
P成長率に対する外需
いる(図表 7)。これまでの結果は、昨夏までの輸出停滞を示していたが、今
寄与度はゼロまたはプ
回の結果は、昨夏からの輸出復調を示している。上方修正後の輸出の絵姿は
ラスに転じた模様
世界経済の持ち直しと整合的である。
輸入に関しては、ユーロ圏域外輸入金額(国際収支統計ベース)の 10・11
月平均が対 7~9 月期平均比+4.0%と大幅に増加しており、輸入の増勢は輸
出のそれよりも強いように見受けられる。ただし、輸入増加は油価上昇にも
影響されており、物価変動の影響を除いた実質ベースの輸入は、金額ベース
の輸入ほど強くない模様だ。このため、10~12 月期の実質GDP成長率に対
する外需寄与度は、ゼロまたはプラスに転じたと推察される。
ユーロ圏生産は持ち直
し傾向
ユーロ圏鉱工業生産は 10 月分が上方修正され(前月比▲0.1%→同+
0.1%)、新たに発表された 11 月分(同+1.5%)も増加した(図表 8)。アイル
ランドの急増産(同+16.3%、ユーロ圏鉱工業生産を 0.6%pt 押し上げ)の影
響を割り引く必要があるものの、ユーロ圏の生産は持ち直しを続けている。
ユーロ圏企業の投資向
ユーロ圏企業は投資に慎重だ。欧州中央銀行(ECB)の銀行サーベイでは、
け資金需要は低調。一方、 企業の銀行借入需要は強まったものの、運転資金や債務償還向けの資金需要
ドイツでは資本財受注
の増加が主因であり、固定投資向けの資金需要は低調だったことが示された
に明るい動き
(図表 9)。先行きに対する不確実性が残存していることが、企業の投資意欲
を下押ししていると推察される。ただし、一部に明るい動きがみられる。ド
イツでは、機械投資の先行指標である国内向け資本財受注が増加に転じた(7
~9 月期前期比▲1.6%→10・11 月平均の 7~9 月期平均比+5.3%)。輸出の
持ち直しを背景に、輸出関連業種の投資意欲が改善してきた可能性がある。
ユーロ圏雇用は改善。た
ユーロ圏の雇用は改善している。11 月のユーロ圏失業者数は前月比▲
だしイタリアでは失業
0.1%と減少を続けた(図表 10)。企業の雇用見通しは明るく、今後も雇用の
増が続く可能性も
改善が続くと予想される。ただし国別にみると、イタリアでは失業者数の増
加が続く可能性があり、先行きを注視する必要がある。イタリアでは、2016
年末までの期限付きで、一部の雇用者に対する企業の社会保障費の負担が軽
減され、この負担軽減が労働需要の押し上げに寄与したとの見方がある。そ
のため、この負担軽減が停止される 2017 年には、労働需要が縮小する可能
性がある。筆者は 12 月初にイタリアで現地のエコノミストと面談を行った
が、政府系機関などでこうした政策効果の剥落を懸念する意見が聞かれた。
ユーロ圏消費の回復モ
ユーロ圏消費は回復している。11 月のユーロ圏小売数量は前月比▲0.4%
メンタムは強いが、今後
と減少に転じたが、前月の大幅増の割に底堅さを保った。12 月のユーロ圏新
は鈍化する見込み
車登録台数は同+2.5%と 2 カ月連続で増加した。小売、新車登録台数とも
夏場より回復のモメンタムが強い。もっとも今後は、物価上昇が家計の実質
購買力を下押しする結果、消費回復のペースは鈍化するだろう。
5
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
図表 7
ユーロ圏域外輸出金額
図表 8
11月結果(直近)の発表時
10月結果の発表時
9月結果の発表時
8月結果の発表時
7月結果の発表時
(10億ユーロ)
250
248
246
244
242
240
238
▲
▲
▲
▲
236
上方修正
234
232
230
2015/5
15/8
15/11
16/2
16/5
16/8
16/11
(年/月)
ユーロ圏企業の銀行借入需要
図表 10
←
増
加
やや上向き
20
10
借
0
入
▲
10
需
要 ▲ 20
低調なまま
→
▲ 30
企業の銀行借入需要
減 ▲ 40
少
▲ 50
固定投資向け資金需要
2011
12
13
14
15
16
(年/四半期)
(注)直近の調査期間は、2016 年 12 月 7~27 日。
(資料)ECBよりみずほ総合研究所作成
図表 11
Q2 2016
企業
外需
雇用
16/8
16/11
(年/月)
増加が続く可能性
16/5
16/8
ドイツ
スペイン
16/11
(年/月)
(資料)Eurostat よりみずほ総合研究所作成
ユーロ圏内外需関連統計
Q3 2016
Q4 2016 Q1 2017
2016/08 2016/09 2016/10 2016/11 2016/12 2017/01
鉱工業生産
ユーロ圏(19カ国)
前期比、%
▲ 0.2
0.5
1.0
n.a.
1.9
▲ 0.8
0.1
1.5
n.a.
n.a.
ドイツ
前期比、%
▲ 0.5
0.3
0.6
n.a.
3.3
▲ 1.4
0.4
0.3
n.a.
n.a.
フランス
前期比、%
▲ 0.3
▲ 0.0
0.8
n.a.
2.6
▲ 1.5
▲ 0.1
2.2
n.a.
n.a.
イタリア
前期比、%
▲ 0.1
1.2
0.5
n.a.
1.8
▲ 0.8
0.1
0.7
n.a.
n.a.
スペイン
前期比、%
0.5
0.8
0.6
n.a.
1.6
▲ 1.3
0.1
1.7
n.a.
n.a.
%
81.5
81.6
82.3
n.a.
-
-
-
-
-
-
前期比、%
n.a.
3.1
▲ 0.8
2.2
n.a.
n.a.
n.a.
ユーロ圏設備稼働率
ユーロ圏製造業受注
(大型輸送機器除く)
ユーロ圏経常収支
▲ 0.3
1.0
2.7
億ユーロ
31.7
29.6
32.2
n.a.
29.5
29.3
28.3
36.1
n.a.
n.a.
ユーロ圏財・サービス輸出 前期比、%
▲ 0.0
1.5
1.9
n.a.
2.9
0.7
▲ 1.0
2.9
n.a.
n.a.
ユーロ圏財・サービス輸入 前期比、%
ユーロ圏実質雇用者報酬 前期比、%
▲ 0.7
0.7
4.0
n.a.
1.5
▲ 0.5
2.3
3.0
n.a.
n.a.
0.2
0.6
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
-
10.1
10.0
9.8
n.a.
10.0
9.9
9.8
9.8
n.a.
n.a.
ユーロ圏失業率
家計
アイルランドの
寄与度が大
ユーロ圏・主要国失業者数
(2015/1=100)
101
99
97
95
93
91
89
87
85
83
81
2015/11
16/2
ユーロ圏失業者
フランス
イタリア
(DI、%Pt)
30
(前月比、%)
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2015/11
16/2
16/5
その他
アイルランド
主要4カ国
ユーロ圏
(注)主要 4 カ国=ドイツ、フランス、イタリア、スペイン。
(資料)Eurostat よりみずほ総合研究所作成
(注)国際収支ベースの財・サービス輸出金額。
(資料)ECBよりみずほ総合研究所作成
図表 9
ユーロ圏鉱工業生産(国別寄与度)
%
ユーロ圏小売数量
前期比、%
0.3
0.3
0.9
n.a.
▲ 0.1
▲ 0.3
1.4
▲ 0.4
n.a.
n.a.
ユーロ圏新車登録台数
前期比、%
▲ 0.5
0.3
1.0
n.a.
▲ 0.2
4.2
▲ 4.1
2.5
2.5
n.a.
(資料)Eurostat、欧州委員会経済金融総局、ECBよりみずほ総合研究所作成
6
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
4.ユーロ圏物価動向:コア・インフレ率は横這い圏にとどまる
12 月のユーロ圏インフ
12 月のユーロ圏インフレ率は前年比+1.1%と、エネルギー物価を中心に
レ率は急上昇。コア・イ
11 月(同+0.6%)から急上昇した。基調的な物価動向を表すコア・インフレ
ンフレ率の上昇は特定
率(エネルギー・食品等を除く)は同+0.9%と、5 カ月ぶりに上昇した(図表
品目に偏ったもの
12)。ただし、コアの上昇はパック旅行の値上がりで殆ど説明可能であり、
実体としては、コア・インフレ率は横這い推移を続けていると言える。
コア・インフレ率の伸び
欧州中央銀行(ECB)の理事会メンバー間でも、コア・インフレ率に対す
悩みなどから、ECBは
る慎重な見方が共有されている。ECBが資産購入プログラム(APP)の月
12 月にAPP調整を決
次購入額の縮小や期間延長を決めた 12 月理事会の議事要旨によると、理事
定。柔軟性の確保と債券
会メンバーの総意は「基調的なインフレ率に上向く兆候がうかがわれないた
不足への対応が、APP
め、2017 年 3 月以降もAPPを延長すべき」というものだった。
の減額・延長の選択理由
APPの調整に向けては、プラート理事が、①毎月 800 億ユーロの購入を
6 カ月間延長、②毎月 600 億ユーロの購入を 9 カ月間延長という二案を提示
した(図表 13)。その上で同理事は、①には政策の継続性という利点があるほ
か、金融市場の予想に沿っていると説明した。他方、②に関して同理事は、
緩和効果をより長く出来るほか、不測の事態に月次購入額を引き上げられる
柔軟性があると指摘した。実務上の観点からはクーレ理事が、①の場合、(a)
APP対象債券の残存期限の下限の短縮化(2 年→1 年)や、(b)預金ファシリ
ティ金利未満の利回りを持つ債券を購入することだけでは、購入対象となる
債券の不足問題に対応しにくくなる可能性に言及した。一方で②の場合は、
(a)と(b)で不足問題に十分対応可能であると説明した。結局、APPの長期
化が視野に入る中、柔軟性が確保しやすく、また、債券不足などの実務上の
問題に対応しやすいという理由などから、②が選択された。
ECBは 1 月に政策を据
1 月理事会において、ECBは金融政策の現状維持を決定した。ユーロ圏
え置き。記者会見ではイ
のヘッドラインのインフレ率が急上昇したため(上述した 12 月の+1.1%と
ンフレ率の上振れに関
いう結果)、記者会見では物価関連の質問が相次いだ。ドラギ総裁は 12 月の
する質問が相次ぐ
インフレ率が上振れたことを認め、
「今後 3~6 カ月のヘッドラインのインフ
レ率は、12 月のECBスタッフ見通しで想定されたパスから上振れるだろう」
と述べた。もっとも、こうした上振れがテーパリング観測の強まりに繋がら
ぬよう、ドラギ総裁は、インフレ率の上振れが続けばAPPの月次購入額を
減らすかという質問を「議論していない」と一蹴した。また、ドイツのイン
フレ率がユーロ圏のそれを大幅に上回る中(図表 14)、金融緩和に対するドイ
ツ国民の批判が強まっているとの指摘については、
「金融緩和はユーロ圏の
景気回復のために必要であり、それよってドイツ国民も恩恵を被る」と理解
を求めた。
DBRS 社はイタリア国債
の格付けを引き下げ
格付機関 DBRS 社は、銀行システムを巡る不確実性などを理由に、イタリア
国債の格付を BBB(high)に引き下げた(1 月 13 日)。ECBが参照する格付機
関全てが伊国債の格付を BBB+(high)以下にしたことになる。結果、ECB
が伊国債に適用するヘアカット率が引き上げられ(図表 15)、伊国債を担保に
ECBより資金供給を受ける銀行(多くが伊銀行とみられる)に逆風となる。
7
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
図表 12 ユーロ圏コア・インフレ率
(前年比の前月差、%pt)
0.2
図表 13 APP調整に係る 12 月理事会での検討内容
①毎月800億ユーロの購入、6カ月延長
(前年比、%)
1.1
パック旅行の
寄与が大
1.0
0.1
0.0
0.9
▲ 0.1
0.8
▲ 0.2
0.7
▲ 0.3
2015/12
0.6
・ 政策の継続性が保たれる
・ 金融市場が織り込む内容と一致
・
APP対象債券の残存期限の短縮化、預金ファシリティ金利未満の利回りを持
つ債券の購入の2つだけでは、購入対象となる債券の不足問題に対応しにく
く、キャピタルキー(ECBに対する各国の資本拠出割合)に基づく購入ルール
から逸脱する可能性あり
②毎月600億ユーロの購入、9カ月延長
・ 景気回復の頑健性が増してきたことと整合的
16/3
16/6
16/9
・ (期間が相対的に長いくなるので)緩和効果をより長く出来る
物価見通しからの下振れなど不測の事態には、購入額を800億ユーロに戻す
・
ことが可能であり、柔軟性がある
APP対象債券の残存期限の短縮化、預金ファシリティ金利未満の利回りを持
・
つ債券の購入の2つだけで、購入対象となる債券の不足問題に対応可能
16/12
(年/月)
パック旅行
その他
コア・インフレ率(右目盛)
(資料)Eurostat よりみずほ総合研究所作成
図表 14
(資料)ECBよりみずほ総合研究所作成
ユーロ圏・主要国インフレ率
図表 15 国債格付けとヘアカット率
(前年比、%)
(単位:%)
1.6
国債の格付
残存期間
1.2
AAA~A-
BBB+~BBB-
0.8
1年未満
0.5
6.0
0.4
1~3年未満
1.0
7.0
0.0
3~5年未満
1.5
9.0
▲ 0.4
5~7年未満
2.0
10.0
▲ 0.8
7~10年未満
3.0
11.5
▲ 1.2
2015/12
ドイツ
スペイン
10年超
5.0
13.0
16/3
16/6
フランス
ユーロ圏
16/9
16/12
イタリア (年/月)
BB+以下
担保として
非適格
(注) 格付は、ECBが参照する 4 機関が付与する格付のうちで
最高位のもの。ECBの資金供給オペにおいて国債を担保として
差し入れた場合に適用されるヘアカット率を示した。
(資料)ECBよりみずほ総合研究所作成
(資料)Eurostat よりみずほ総合研究所作成
図表 16 ユーロ圏物価関連統計
Q2 2016
物価
商品
ユーロ圏インフレ率
コア(エネルギー・
食品等除く)
エネルギー
Q3 2016
Q4 2016 Q1 2017
2016/08 2016/09 2016/10 2016/11 2016/12 2017/01
▲ 0.1
0.3
0.7
n.a.
0.2
0.4
0.5
0.6
1.1
n.a.
前年比、%
0.8
0.8
0.8
n.a.
0.8
0.8
0.8
0.8
0.9
n.a.
前年比、%
▲ 7.7
▲ 5.1
0.2
n.a.
▲ 5.6
▲ 3.0
▲ 0.9
▲ 1.1
2.6
n.a.
食品・アルコール・タバコ 前年比、%
0.9
1.1
0.8
n.a.
1.3
0.7
0.4
0.7
1.2
n.a.
非エネルギー工業品
前年比、%
0.5
0.3
0.3
n.a.
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
n.a.
サービス
前年比、%
1.0
1.1
1.1
n.a.
1.1
1.1
1.1
1.1
1.3
n.a.
ドイツ・インフレ率
前年比、%
0.0
0.4
1.0
n.a.
0.3
0.6
0.8
0.7
1.6
n.a.
フランス・インフレ率
前年比、%
0.1
0.4
0.7
n.a.
0.4
0.5
0.5
0.7
0.8
n.a.
イタリア・インフレ率
前年比、%
▲ 0.4
▲ 0.0
0.2
n.a.
▲ 0.2
0.2
▲ 0.2
0.1
0.6
n.a.
スペイン・インフレ率
前年比、%
▲ 1.0
▲ 0.3
0.8
n.a.
▲ 0.3
0.0
0.5
0.5
1.4
n.a.
生産者物価(消費財)
前年比、%
▲ 0.5
0.0
n.a.
n.a.
0.0
0.1
0.6
0.7
n.a.
n.a.
輸出物価
前年比、%
▲ 2.5
▲ 0.8
n.a.
n.a.
▲ 0.6
▲ 0.5
0.3
n.a.
n.a.
n.a.
前年比、%
輸入物価
ブレント原油(ユーロ建て) 前年比、%
▲ 7.9
▲ 3.2
n.a.
n.a.
▲ 3.0
▲ 2.1
▲ 0.4
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 27.0
▲ 8.7
12.9
n.a.
▲ 2.8
▲ 2.8
2.1
4.9
34.8
n.a.
(資料) Eurostat、Datastream よりみずほ総合研究所作成
8
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
5.英国経済の概況:内需を中心に景気回復ペースは鈍化する見込み
10~12 月期の成長率は
前期と同水準
英国景気は回復しているが、そのペースに加速感はうかがわれない。10~12
月期のGDP成長率は前期比+0.6%と、7~9 月期と同水準にとどまった(図表
17)。国民投票後も景気が底堅さを維持していることを示す結果だが、GDP成長
率に対する商業(卸・小売業や運輸業など)の寄与度の低下は、10~12 月期の内
需減速を示唆している(需要項目の内訳は 2 月 23 日発表予定)。
年末にかけて内需は減
速したとみられる
内需関連の指標では、小売数量(7~9 月期前期比+1.8%→10~12 月期同
+1.3%)や新車登録台数(同+2.0%→同+0.6%)の伸び率が低下し、個人消
費の減速がうかがわれる。また、イングランド銀行(BOE)の銀行信用状況調査
(調査期間は 2016 年 11 月 21 日~12 月 9 日)では、過去 3 カ月間の固定投資向
け資金需要が大幅に悪化し(図表 18 左)、今秋の固定投資の弱さを示唆している。
年明け後の内需は加速
感に乏しい見込み
内需の先行きを考えると、加速感に乏しく、下振れリスクの大きい状況が続くと
見込まれる。個人消費については、雇用増加ペースの鈍化やインフレ率の上昇
が家計所得の重石となり、2017 年入り後は一段と減速する可能性が高い。11 月の
就業者数(3 カ月移動平均)は前月比+0.1%と増加したが、企業の雇用意欲は
弱く、雇用増は一時的と思われる。他方、12 月のインフレ率は前年比+1.6%に
上昇した。エネルギー物価に加え、非エネルギー工業品物価の上昇率も高まっ
てきており(11 月同+0.2%→同+0.3%)、ポンド安の影響が徐々に強まってき
たようだ。今後の注目点はポンド安の価格転嫁がどこまで進むかであり、この点、
インフレ率に先行性のある「企業値上げ見通しDI」は急ピッチで上昇し、物価の
上振れリスクの強まりを示唆している(図表 19)。
固定投資に関しては、先行指標の弱さを踏まえると、引き続き力強さを欠くと見
込まれる。BOEの銀行信用状況調査では、今後 3 カ月の固定投資向け資金需要
が弱い。また、Deloitte 社が英国大企業のCFO(最高財務責任者)を対象に
実施した調査では、不確実性の高さなどを背景に、今後 12 カ月の投資を減
らすとの回答が、増やすとの回答を大幅に上回ったままである(前掲図表 18
右、
調査期間は 2016 年 11 月 29 日~12 月 12 日)。
2017 年入り後、メイ首相の「ハ
ード・ブレグジット宣言」を受け、企業の投資マインドが一段と委縮する可能性があ
り、2 月に発表される、BOEの月次サーベイ(企業の投資計画が含まれる)の変化
などが注目される。
金融市場では利上げ観
インフレ率の上昇が続いていることから、金融市場では利上げ観測が強ま
測が強まる。物価上振れ
っている。2017 年 12 月末までにBOEが利上げに踏み切る確率は、1 月下
リスクの強まりを踏ま
旬時点で 50%程度と織り込まれている(図表 20)。
えて 2 月のインフレ報告
書の内容が注目される
2 月には、BOEの新たなインフレ報告書が公表される。10~12 月期のG
DP成長率とインフレ率は、11 月時点のインフレ報告書における想定並みで
ある。一方、物価の上振れリスクや利上げ観測は 11 月時点よりも強まって
いる。これらを総合してBOEがどのような見通しを示すかが注目される。
以上
9
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
図表 17 英GDP成長率
1.0
図表 18 英企業の投資関連指標
(前期比、%)
(DI%pt、
「増加」-「減少」)
40
30
20
10
0
▲ 10
▲ 20
▲ 30
▲ 40
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
▲ 0.2
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2014
その他
金融ビジネス
鉱工業
15
商業
建設業
実質GDP
16
(年/四半期)
2013
図表 19 英インフレ率と企業の値上げ見通し
(DI、%pt)
値上げ見通しDI(右目盛)
15
16
(年/四半期)
(2017年末までに利上げされる確率、%)
60
70 高
60
50
値
上
30 げ
圧
20 力
40
40
30
20
→
10
15/3
14
図表 20 金融市場が織り込む英国の利上げ確率
50
14/3
2013
15
16
(年/四半期)
←
インフレ率(エネルギー除く)
13/3
過去3カ月
今後3カ月
投資計画
(DI%pt、
「増加」-「減少」)
100
80
60
40
20
0
▲ 20
▲ 40
▲ 60
▲ 80
▲ 100
(注)左図は固定投資向け資金需要。右図は今後 12 カ月の設備投資計画。
(資料)BOE、Deloitte よりみずほ総合研究所作成
(資料)英統計局よりみずほ総合研究所作成
(前年比、%)
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
2010/3 11/3 12/3
14
借入需要
10
0 低
16/3 17/3
(年/月)
0
2016/9
(注)消費関連業種(小売業や外食など消費関連サービス業)の
3 カ月後の販売価格見通しDI(上昇-下落)を消費者物価
のウェイトで加重平均したもの。DIは 3 カ月先行。
(資料)英統計局、欧州委員会よりみずほ総合研究所作成
16/10
16/11
16/12
17/1
(年/月)
(注)各時点における「2017 年末までの利上げ確率」を示したもの。
(資料)Bloomberg よりみずほ総合研究所作成
図表 21 英景気の全体感を示す主要統計
Q2 2016
成長率
実質GDP
景況感
Q3 2016
Q4 2016 Q1 2017
2016/08 2016/09 2016/10 2016/11 2016/12 2017/01
前期比、%
0.6
0.6
0.6
n.a.
-
-
-
-
-
-
合成PMI
Pt
52.5
51.6
55.6
0.0
53.5
53.9
54.8
55.3
56.7
n.a.
製造業PMI
サービス業PMI
Pt
Pt
50.8
52.7
52.4
51.0
54.8
55.3
0.0
0.0
53.4
52.9
55.5
52.6
54.6
54.5
53.6
55.2
56.1
56.2
n.a.
n.a.
企業
鉱工業生産
前期比、%
2.1
▲ 0.4
▲ 0.5
n.a.
▲ 0.4
▲ 0.3
▲ 1.2
2.0
n.a.
n.a.
外需
財輸出
前期比、%
7.6
▲ 1.5
7.3
n.a.
0.5
▲ 1.4
6.7
2.8
n.a.
n.a.
財輸入
前期比、%
3.3
7.0
▲ 0.1
n.a.
6.0
0.1
▲ 6.0
8.4
n.a.
n.a.
%
4.9
4.8
0.0
n.a.
4.9
4.8
4.8
4.8
n.a.
n.a.
前期比、%
0.8
0.6
0.5
n.a.
0.2
0.2
0.1
0.3
n.a.
n.a.
前期比、%
1.1
1.8
1.3
n.a.
0.2
▲ 0.1
2.0
▲ 0.1
▲ 2.0
n.a.
Nationwide住宅価格指数 前年比、%
4.9
5.4
4.5
n.a.
5.6
5.3
4.6
4.4
4.5
n.a.
雇用
家計
失業率
民間賃金(賞与除く、
3カ月平均)
小売数量
物価
消費者物価指数
前年比、%
0.4
0.7
1.2
n.a.
0.6
1.0
0.9
1.2
1.6
n.a.
金融
主要政策金利
末値、%
0.50
0.25
0.25
n.a.
0.25
0.25
0.25
0.25
0.25
n.a.
英10年国債利回り
末値、%
1.32
1.05
1.52
n.a.
0.88
1.05
1.51
1.71
1.52
n.a.
末値、£/$
1.34
1.30
1.24
n.a.
1.31
1.30
1.22
1.25
1.24
n.a.
ポンドドル
(資料)英統計局、Nationwide、Markit、Datastream よりみずほ総合研究所作成
10
みずほ欧州経済情報(2017 年 1 月号)
2017年 1月 3 0 日
発行
欧米調査部上席主任エコノミスト 吉田健一郎
03-3591-1265 kenichi ro.yoshid a@mizuho- ri.co.jp
欧米調査部主任エコノミスト 松本 惇
03-3591-1199 atsushi .matsumot o@mizuho- ri.co.jp
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