Deloitte CFO Signals Survey Report 2016 Q4 Date 2017/2/2 1 Contents Deloitte CFO Signals について ............................................................................................. 3 財政環境の見通し ................................................................................................................. 4 業績の展望........................................................................................................................... 5 不確実性 .............................................................................................................................. 6 グローバル経済、主要国経済の見通し................................................................................... 7 注目するリスク・イベント ........................................................................................................ 9 ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)と人工知能(AI)の導入 ................................... 11 RPA と AI についての認識 .................................................................................................. 12 RPA による業務の自動化 ................................................................................................... 13 将来的な RPA の導入 ......................................................................................................... 14 経理・財務部門の将来 ........................................................................................................ 15 CFO プログラムとは ............................................................................................................ 16 2 Deloitte CFO Signals について ‒ Deloitte CFO Signals は、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している CFO の意識調 査です。毎回の調査で CFO の皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を 加え、CFO からの”Signals”として発信しています。 ‒ 調査項目は、グローバル共通で毎回実施する「経済環境に関する調査」と、国ごとに異なる「ホット トピックに関する調査」で構成されています。 ‒ 日本では 2015 年 8 月に初めて実施し、今回で 6 回目の取り組みとなります。「経済環境に関す る調査項目」では、時系列で CFO の意識変化や、調査時点での最新の見通しを考察します。な お、今回の調査ではこの定例の調査項目に加え、マクロ的な視点で日本経済及び世界主要国の リスクシナリオに関する意識調査も行いました。 ‒ また、今回の日本の調査におけるホットトピックとしては、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA)や人工知能(AI)が会社業務に与えるインパクトを取り上げました。 ‒ 今回の調査は 2017 年 1 月に実施し、45 社の CFO から回答を得ることができました。 ‒ ご協力頂きありがとうございました。 デロイト トーマツ CFO プログラム 20172/2 3 経済環境に関する調査 財政環境の見通し 足元にかけて、企業の財政環境が目立って改善している。 グラフ1 3ヶ月前と比較して、現在の貴社にとっての財政的な見通しはどのようであると考えていますか。以下の中から 最も当てはまるものを選択してください。 2016Q4 27% 2016Q3 9% 2016Q2 10% 2016Q1 8% 0% 11% 69% 7% 22% 50% 40% 50% 2015Q4 3% 2015Q3 3% 55% 34% 71% 8% 26% 15% 70% 20% 40% a.大いに楽観的になった c.概して変わっていない e.大いに楽観的ではなくなった 60% 80% b.やや楽観的になった d.やや楽観的ではなくなった 12% 100% グラフ 1 は 2015Q3 以降の各時点において、CFO がその 3 か月前と比べて、財政環境をどのよ うに見通していたかを示している。これをみると、財政環境が昨年中盤以降に徐々に改善し始め、 足元にかけて目立って改善していることが確認できる。具体的には、2015Q3 から 2016Q1 の時 期において、「d. やや楽観的ではなくなった」と「e. 大いに楽観的ではなくなった」という回答が増 加傾向にあったが、2016Q2 から 2016Q3 にかけては、こうした慎重化の動きが弱まっている。そ して今回の調査(2016Q4)では、「b. やや楽観的になった」という回答が既往ピークを更新し 27% に達する一方で、慎重な見方(選択肢 d 及び e)が 2015Q3 以来の水準にまで低下している。こ のように企業の経営環境が全体として改善局面に入った可能性がある。 4 業績の展望 業績の見通しも明るく、7 割近くの企業において増収増益トレンドが見込まれる。 グラフ2 今後1年間の中で貴社にとって以下の財務的な指標はどのように変化すると考えていますか。以下の中から最 も当てはまるものを選択してください。 [収益] 2016Q4 5% 64% 2016Q3 1% 20% 47% 2016Q2 23% 26% 33% 2016Q1 2015Q3 23% 3% 37% 43% 2015Q4 3% 11% 20% 7% 34% 68% 3% 16% 9% 13% 79% 0% 20% 40% 12% 60% a.大きく増大する見込みである c.ほとんど変わらない e.大きく減少する見込みである 80% 100% b.いくらか増大する見込みである d.いくらか減少する見込みである [営業利益] 2016Q4 9% 60% 2016Q3 1% 49% 2016Q2 30% 2016Q1 2015Q4 18% 17% 27% 6% 2015Q3 23% 68% 12% 0% 30% 33% 44% 21% 13% 40% 12% 10% 3% 12% 60% a.大きく増大する見込みである c.ほとんど変わらない e.大きく減少する見込みである 3% 10% 73% 20% 9% 4% 80% 3% 100% b.いくらか増大する見込みである d.いくらか減少する見込みである グラフ 2 は、今後 1 年間の業績の展望に関する調査結果である。2015Q3 から 2016Q2 までの 時期を振り返ると、時間を追うごとに減収減益を見込む CFO の割合が上昇していた。例えば、収 益についてみると、「a. 大きく増大する見込みである」と「b. いくらか増大する見込みである」という 回答割合は、2015Q3 時点に 88%であったが、2016Q2 には 23%にまで低下し、営業利益でも 同様のパターンをたどっていた。ところが、2016Q3 以降に、こうした減収減益の流れが反転して いる。今回の調査では、収益と営業利益共に、69%の CFO が改善を見込み、調査対象企業にお いては、約 1 年ぶりに増収増益基調に戻ったとみられる。 5 不確実性 財政環境や収益環境が改善するとの見方が広がっているにもかかわらず、今まで以上に多くの CFO が不確実性の高さを強く認識している。 グラフ3 貴社のビジネス環境における財政的および経済的な不確実性は、どの程度高いものとお考えですか。以下の 中から最も当てはまるものを選択してください。 2016Q4 20% 2016Q3 60% 9% 20% 47% 42% 2% 3% 2016Q2 20% 2016Q1 54% 8% 20% 72% 20% 2015Q4 3% 49% 48% 2015Q3 3% 49% 48% 0% 20% a.非常に高い 40% b.高い 3% 60% c.普通 d.低い 80% 100% e.非常に低い グラフ 3 は、財政的・経済的な不確実性の見通しを示している。前述の通り、財政環境や収益に 関する CFO の見通しは足元にかけて明確に改善しているが、これと対照的に、不確実性が高い という回答が増加している。今回の調査では、不確実性について、「a. 非常に高い」と「b. 高い」と いう回答が 80%を占め、2016Q1 と並び、既往ピーク水準に達した。これらの結果を踏まえると、 多くの CFO が経営環境の改善や業績回復に手ごたえを感じつつも、経済、金融市場、政治情勢 に係る様々な不確実性を非常に気にしている姿が浮かび上がる。 6 グローバル経済、主要国経済の見通し 足元にかけて、グローバル経済及び主要国経済の成長見通しが目立って改善している。 グラフ4 グローバル経済全体、及び、主要国・地域経済の2017年の経済成長率の見通しについて2016年と比べてどの ように見通されていますか。各項目について、最も当てはまるものを選択してください。 【グローバル経済】 2016Q4 47% 2016Q2 3% 40% 30% 【日本】 2016Q4 67% 31% 2016Q2 3% 13% 60% 37% 13% 67% 【米国】 2016Q4 86% 2016Q2 17% 4% 9% 62% 【英国】 2016Q4 4% 21% 47% 49% 2016Q2 100% 【欧州(英国を除く)】 2016Q4 13% 49% 2016Q2 3% 7% 【中国】 2016Q4 38% 90% 14% 44% 2016Q2 42% 71% 【アジア諸国 2016Q4 29% 52% (中国を除く)】 2016Q2 39% 20% 【中南米諸国】 2016Q4 59% 18% 2016Q2 21% 64% 13% 0% 9% 18% 41% 20% 40% a.上昇する b.変わらない 45% 60% 80% 100% c.低下する グラフ 4 は、グローバル経済と主要国・地域の経済成長率の見通しについて、2016Q2 の調査結 果と今回の調査結果を比較したものである。CFO は、中国を除く全ての地域について、経済成長 率に関してポジティブな見方を持ち始めている。この結果、グローバル経済全体についても楽観 的な見方が急速に広がっている。 まず、グローバル経済の成長率見通しの回答結果をみると、2016Q2 時点では「c. 低下する」とい う見方が 67%を占めていたが、今回は、こうした悲観的な見方が 13%に急低下するなかで、「a. 上昇する」という回答が 47%を占めた。「a. 上昇する」という回答割合が 2016Q2 に 3%であった ことを考えると、CFO の見通しが急速に改善していることがわかる。 次に、国・地域別にみると、米国経済への見方が劇的に変化していることが確認できる。米国経 済の成長率の見方を振り返ると、2016Q2 時点では、62%の CFO が「b. 変わらない」と回答し、 安定的な成長が見込まれていた。これに対して今回の調査では、「a. 上昇する」という回答が 86%に急上昇している。ほとんどの CFO は“トランプノミクス”が米国経済にとってプラスになると 予想していると考えられる。 7 楽観的な見通しは、日本、アジア諸国(中国を除く)、欧州(英国を除く)でも確認できる。例えば、 日本経済については、2016Q2 時点に 67%を占めていた「c. 低下する」という回答が、今回は 13%にまで低下した。更に、31%の CFO が「a. 上昇する」と回答しており、日本経済について楽 観的な見方を持つ CFO が増加している。 また、英国経済への慎重な見方が目立って低下している点も注目される。2016Q2 の調査では、 Brexit を巡る国民投票の衝撃もあり、全ての CFO が英国経済の成長率が低下すると回答してい た。ところが今回の調査では、「c. 低下する」という回答が 49%にまで低下し、一頃のような悲観 論一色ではなくなっている。もっとも、「a. 上昇する」という回答が 4%にとどまっている点にも注目 すべきかもしれない。国民投票後の英国経済がポンド安に伴う輸出増や観光客の増加から堅調 に推移していることを踏まえると、楽観的な見方が 4%にとどまったということは、英国経済の先行 きに対して CFO が依然として慎重な見方を保持していることの現れともいえる。 最後に、中国経済に関して楽観論と悲観論が交錯している点も興味深い。今回の調査結果を 2016Q2 時点と比較すると、「c. 低下する」という回答割合が 29%から 42%に上昇すると同時 に、「a. 上昇する」という割合が 0%から 14%に上昇している。この結果を見る限り、現在 CFO に とって、中国経済の先行きを見通すことが一番難しいのではないかと推測される。 8 注目するリスク・イベント CFO が注目するリスク・イベントの回答をみると、国内イベントよりも海外イベントへの関心が高い ことが確認できた。特に関心を集めているのは、米国・トランプ政権の行く末、中国経済の先行き、 そして欧州の政治イベントであった。 グラフ5 2017年の事業展開を展望するうえで、蓋然性が高いとして注目しているリスク・イベントを以下のなかから3つ 選択してください。 米国: トランプ政権による保護主義路線の明確化 25% 米国: トランプ政権による外交政策を受けた 国際政治の緊張(対中東、対中国、等) 中国: 経済政策の混乱(資本流出の強まり、 住宅バブル崩壊、構造政策の行き詰まり、等) 16% 12% 欧州: 各国における極右・極左政党の伸長 11% 欧州: 英国のEU離脱を巡る混乱(通告時期やEUとの 交渉を巡る混乱、実体経済の悪化) 10% 日本: 金融政策の行き詰まり 7% 米国: 急テンポな政策金利引き上げ 日本: アベノミクス成長戦略への失望の高まり (TPPの失速、労働市場改革の頓挫、等) エマージング諸国: 資本流出圧力の高まりや 通貨急落 中国: 近隣諸国との軍事衝突リスクの上昇 (南シナ海、等) 日本: 財政規律への不安の高まりと それを受けた金融市場の混乱 エマージング諸国: 政治リスクや社会不安の台頭(汚 職問題、テロ発生、等) エマージング諸国: 保護主義の台頭を受けた 貿易鈍化 中国: 2017年秋の共産党大会に向けた 国内政治対立の先鋭化 欧州: 地政学リスクの上昇(NATO弱体化、 ウクライナ情勢の悪化、等) 4% 4% 3% 3% 2% 1% 1% 1% 0% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 回答総数:134 グラフ 5 は、CFO が 2017 年の事業展開を展望するうえで注目しているリスク・イベントの回答結 果である。回答が最も多かったのは米国のトランプ政権の動向に係るものであり、具体的には、 「保護主義路線の明確化」及び、「対中東・対中国を含む外交政策とそれが国際政治に与える緊 張」であった。グラフ 4 でみた通り、CFO はトランプ政権の政策が米国経済にはポジティブな効果 をもたらすと評価していたが、この結果が示す通り、CFO は貿易政策や外交政策面での不安も同 時に感じ取っているように見受けられる。 9 次に多くの回答を集めたのは「中国の経済政策の混乱」である。前述の通り、今回の調査では、 中国経済についてのみ楽観論と慎重論が交錯していたが、その背景には、この回答に見られる 通り、中国のマクロ経済政策が上手くいくかどうか、心配な面が残されているためであろう。 また、欧州については、「極右・極左政党の伸長」や「英国の EU 離脱に伴う混乱」がリスク・イベン トとみられており、広い意味での政治リスクが意識されていることが確認できる。欧州では今年、3 月のオランダ下院選挙、4 月のフランス大統領選挙、夏場以降のドイツ連邦議会選挙といった政 治イベントが控えているほか、イタリアにおいて解散総選挙の可能性もある。こうしたなかで、CFO が欧州の政治リスクに敏感になっているのは素直な反応といえるが、これら各国の現状を見る限 り、欧州において「想定外」の政治リスクが顕現化する可能性はあまり高くないとみることもでき る。 むしろ、「エマージング諸国の資本流出圧力の高まりや通貨急落」や「日本の財政規律への不安 の高まりとそれを受けた金融市場の混乱」については、今のところ CFO の関心はそれほど高くな いが、いずれも潜在的には大きなインパクトを持ちうるイベントだけに注視が必要と思われる。特 に、トランプ相場のなかでドル高が進むなかで、幾つかのエマージング諸国通貨への下落圧力が 高まっていることを踏まえると、エマージング諸国発のリスクシナリオへの警戒は引き続き必要と なろう。 10 ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA) や人工知能(AI)が会社業務に与えるインパクト ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)と人工知能(AI)の導入 今回の調査では、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)や人工知能(AI)が会社業務に与 えるインパクトについて確認した。特に、RPA は、経理処理などルールの決まった処理を複数の システム(エクセル、ERP、メールなど)をつないで作業自体を自動化してしまう仕組みで、近年注 目を集めている。 CFO からの回答は、これら新技術への関心の高さと期待の大きさを示しており、予想以上に注目 されていることが認識された。 グラフ 6. ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)および人工知能(AI)は貴社のどの部門に有効に導入できると 思いますか。以下の中から最も当てはまるものを選択してください。 本社・事業にかかわらず探せばロボや人工知能に置 き換えられる業務はたくさんある 51% 40% 22% 経理、給与、文書管理等間接業務のある程度の部分 31% 18% 会計などのうち、ごく簡単な標準定型業務 27% 9% ほとんどない 2% 0% AI 20% 40% 60% RPA 最初の質問では、AI と RPA 各々について業務のどの部分に適用可能かについて確認した。ま ず、半数以上の CFO が特に AI にとって代わられる業務があると答えており、RPA に関しては、 間接業務のある程度の部分に導入可能という回答と、ごく簡単な定型業務に導入可能という回答 が各々三分の一近くに上った。「本社・事業にかかわらず探せば RPA に置き換えられる業務があ る」との回答が 40%に上ったことと合わせて、現時点でかなりの人数の CFO が、これら技術の実 際の業務の現場への適用の可能性に期待していることがわかる。 また、事業モデルとして人件費比率の高さを CFO が感じている背景から、ロボットへの置き換え を期待する、というコメントも寄せられていた。 11 RPA と AI についての認識 次に、ロボティクス(RPA)についての認識を確認した。先の適応可能性の質問においても、AI が RPA を上回って適応の可能性が高いとの回答であったが、ここでは RPA が AI との対比におい てどのように捉えられているのかをみている。 グラフ7 RPAやAIについてどのように認識されていますか。以下の中から最も当てはまるものを選択してください。 d.e. 0% a.ロボティクス(RPA)は有益な自動化ツールではあ るが、大きな恩恵は後の認知知能(CI:Cognitive Intelligence)または人工知能(AI:Artificial Intelligence)によってもたらされる c.16% a.46% b.RPAもAIも新しい運用モデルであり、"Digital Workforce (デジタル人材)"の導入となりえる c.純粋なITの導入の一種類である b.38% d.一過性の流行であり、数年後にはなくなっている e. 基幹システムが改善されるまでの一時しのぎ である AI や RPA の議論をすると必ず聞かれるのが“いままでの IT とどこが違うのか?”というものであ り、今回も 16%の CFO が「純粋な IT の一種に過ぎない」と答えている。しかし、この数字は予想 を大きく下回る数字であり、RPA の有効性を支持する回答が 38%に上ったことは注目に値する。 また、AI に劣後するものの有益なツールである、との回答と合わせると大部分の CFO が RPA を 業務に有益に利用できる新しい技術の潮流であると認識している。 選択肢における「デジタル人材」とは、人に代わりうる可能性を指しており、この回答の多さから期 待が高いことがうかがえる。また、AI や RPA を使いこなせる人材の育成が課題、との CFO コメン トもあった。 12 RPA による業務の自動化 グラフ 8 は RPA の効果について、それが何をもたらすか、複数回答で答えた結果である。 グラフ8 RPAは貴社の業務部門にかなりの効果/恩恵(定性的な効果)をもたらすことができると思いますか。 以下の中から当てはまるものを2つ選択してください。 RPA導入により柔軟に業務容量拡大・ 縮小の対応をすることが可能になると思う 23% RPAはかなりの品質向上の 恩恵をもたらすと思う 21% RPAはかなりの精度向上の 恩恵をもたらすと思う 19% RPAはかなりの適時性向上の 恩恵をもたらすと思う 14% RPA導入により管理情報の提供が 幅広く可能になると思う 9% RPAはそれほど恩恵を もたらすとは思えない 8% RPA導入により24時間体制での 対応が可能になると思う 6% 0% 5% 10% 15% 回答総数:78 20% 25% 「RPA はそれほど恩恵をもたらすものではない」という回答がわずか 8%であり、今後様々な形で の有効活用を期待していることがわかる。特に、品質の向上や精度の向上を期待するという定性 面への効果を上げた回答が目立った。実際の導入現場では、最初は“ロボットは 24 時間働きま す”といった定量面での効果をアピールする場合が多いが、利用が拡大するにつれ、「間違いのな いきちんとした業務を遂行する」という業務品質の向上への効果が認められることからも裏付けら れる。 「長時間労働の解消に役立つ」というコメントもあり、産業界の課題になりつつある“働き方”の問 題にも一石を投じるかもしれない。 13 将来的な RPA の導入 4 つ目の質問では実際の導入予定、導入への意欲を伺った。 グラフ9 RPAをあなたの業務部門・センターへ導入する予定がありますか。以下の中から最も当てはまるものを選択し てください。 e. f. 0% a.5% d.20% a.いいえ、効果が期待できない b.14% b.いいえ、効果はありそうだが、他の取り組みを 優先させると思う c.現時点では未定 d.近年中に試験導入を検討中 e.はい、来年RPAをかなりのプロセスに導入予定 f.はい、来年導入予定で、なるべく迅速に 進める予定 c.61% 「効果がなさそうだから導入する予定はない」という回答はわずか 5%で、ほとんどが効果は期待し ているものの、実際の導入については「未定」と答えている。これは半ば予想された結果であるが、 注目は 20%がすでに試験導入を検討している、と答えており、企業現場への急速な浸透がうかが える。 コメントとしては、「経理部門のみへの導入では効果は限定的」という積極的な指摘や、「導入の前 提になる、業務の標準化の取り組みがまだまだ」という慎重な意見も寄せられた。 なお、過去に同様に行われたグローバルのサーベイ※1 で、2015 年に 13%だった「近年中に導入を 検討」という回答が 2016 年で 76%と飛躍的に伸びたことを考えると、この回答結果は今後の変化 に注目すべき数字と言えよう。 ※1: Deloitte Insight. 2015. The robots are coming, Deloitte UK. 2016. The robots are here 14 経理・財務部門の将来 最後の質問で、「どの程度の業務がロボットに置き換えられると思うか」ということを率直に伺った。 グラフ 10 貴社の経理部門に RPA を導入した場合どれくらいの業務が自動化できると思いますか。以下の中から最も当 てはまるものを選択してください。 d. 0% a.21% a.マンパワーの10%未満 c.28% b.マンパワーの20~30%程度 c.マンパワーの40~50%程度 d.マンパワーの70%程度またはそれ以上 b.51% 20~30%が置き換わると答えた方が半分以上にのぼり、40~50%という回答も 28%と CFO の目 には経理業務のかなりの部分がロボットに置き換わると答えている。さすがに 70%以上との回答は なかったが、デロイト トーマツが別の場で行った同種のアンケートでは、経理部門の社員自身に同 様の質問をしたところ、90%以上の方が、自分の仕事の一部または半分以上がロボットに置き換わ る、と答えた事例もある。 いずれにせよ、CFO の目にも、また実際の経理の現場でもロボットに置き換え可能な仕事の存在 が目立ち始めているのかもしれない。 15 CFO プログラムとは CFO プログラムは、日本経済を支える企業の CFO を支援し、CFO 組織の能力向上に寄与することで、 日本経済そのものの活性化を目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。信頼のお けるアドバイザー(the Trusted Advisor)として、さまざまな領域のプロフェッショナルが連携し、CFO が抱 える課題の解決をサポート致します。さらに、企業や業界の枠を超えた CFO のネットワーキング、グロー バル動向も含めた最新情報の提供を通じ、日本企業の競争力向上を目指します。 デロイト トーマツ合同会社 C&I、CFO プログラム 〒108-6221 東京都港区港南 2-15-3 品川インターシティ C 棟 Tel 03-6720-8330 Fax 03-6720-8335 デロイト トーマツ グループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームおよびその グループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デ ロイト トーマツ税理士法人および DT 弁護士法人を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループ のひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、法務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています。ま た、国内約 40 都市に約 8,700 名の専門家(公認会計士、税理士、弁護士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとし ています。詳細はデロイト トーマツ グループ Web サイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。 Deloitte(デロイト)は、監査、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、リスクマネジメント、税務およびこれらに関連するサービスを、 さまざまな業種にわたる上場・非上場のクライアントに提供しています。全世界 150 を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイト は、高度に複合化されたビジネスに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを Fortune Global 500® の 8 割の企業に提供しています。“Making an impact that matters”を自らの使命とするデロイトの約 225,000 名の専門家については、 Facebook、LinkedIn、Twitter もご覧ください。 Deloitte(デロイト)とは、英国の法令に基づく保証有限責任会社であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)ならびにそのネットワーク組織を構 成するメンバーファームおよびその関係会社のひとつまたは複数を指します。DTTL および各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体 です。DTTL(または“Deloitte Global”)はクライアントへのサービス提供を行いません。Deloitte のメンバーファームによるグローバルネットワークの詳 細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。 本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応す るものではありません。また、本資料の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。 個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本資料の記載のみに依拠 して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。 Member of Deloitte Touche Tohmatsu Limited © 2017. 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