吸音材が特性に与える影響について トランスミッションライン型SP(プロトタイプ) マスローデッド型 吸音材なしの特性: はじめに: 先日の石田氏のボイド管スピーカーの音に感動した勢いで始めた考察から始めたこのプロジェ クトですが、なんと行き着いたところはトランスミッションライン型のエンクロージャーでし た。 実は以前から一度作ってみたいとは思っていたのですが複雑で長大な構造ゆえに手を出 さなかったのですが、石田氏のデモを聴いて、その音に背中を押されたというのが実態であり ます。取り組むきっかけを与えて下さった氏に感謝しております。 基本的な動作原理: 3 rd 吸音材を全く入れない状態では、気柱の共 鳴現象が強く現れる。 一番低い40Hz付近の ピークがλ/4 共鳴、その右に鋭く規則的 にそそり立っているのが奇数次の高次共鳴 である。ビョ∼ンと龍鳴き音が耳につく 5th 7 th 9th NON-OFFSET DRIVER POSITION SPユニットの裏側に放射される音を、4分 の1波長の気柱の共振を利用し位相反転す ることで、SPユニットの表側の音と同相に し、低域の再生帯域の拡大を図るものであ る。 「共鳴管」と異なる点はその内部に 吸音材を充填することでリンギングを抑 え、さらに(共鳴器+吸音材)=吸音器と さえみなせるにまでに発展させ利用してい る点である。実際に制作する上での重要な ポイントは、①適切な特性のSPユニットの 選択、②λ/4共鳴の周波数をFsに合わせ る事、 ③音路の断面積及びその形状、④ SPユニットの取り付け位置、⑤吸音材の素 材と詰め方 などの多岐に渡る。 バリエーションについて: Fundamental 1st http://park8.wakwak.com/ hilo/audio/spk_mltl/index.html プロジェクトを始めるにあたり、そこそ この音を出すには、事前のweb調査をし た段階で相当量のノウハウの蓄積と理論 の 吸収が必要だと思い知ったので、フィ ジビリティースタディを実施することに し、一番理論に近く簡単なパイプを使っ た予備実験から始める事にしました、次 ページにその結果概要を記します。 少しでも吸音材を入れると急激に共鳴現象は 低減していく。同時に かだか共振する周波 数も下がる。 3rd 3 rd 5th 7th th 9 5th Classical Transmission Line 右に示したように、現在ではトランス ミッションライン型といっても、様々な バリエーションがあるため、その共通原 理である4分の1波長管を総して「クオ ーターチューブ型」と呼ぶ方が適切なの かもしれない。各バリエーションの特徴 については、私のHPに記載しましたの で、興味のある方は以下のURLを参照く ださい。 マスローデッド型 吸音材少量での特性: 4 マスローデッド型 吸音材適正での特性: So=3*Sd Sc=3*Sd x 1.0x 4 0.25x ① 高次共振のピークはほぼ消失している、同時 にλ/4 共鳴もQが低くなり、量を増やすに つれてレベルも低下していく、2つのインピ ーダンスカーブの山も低く抑えられている状 態。 3 rd 5th So=3*Sd Sc=3*Sd 7th th 9 1.0x ② Sc=0.1*Sd So=3*Sd 0.6x マスローデッド型 吸音材過多の特性: 1.34x ③ 0.16x So=Sd Sc=3*Sd 0.77x ④ 高次共振のピークは認められないがλ/4 共 鳴でのレベルも低下してしまっている、 1kHzのピークが上昇しているのはポートの長 さを変えたため。この状態ではインピーダンス カーブは1つだけになっている。 3 rd 5th 7th th 9 0.16x Sc=2.5*Sd Sc=2.5*Sd 0.64x 吸音材の素材、入れる量、そして場所によって、特性が大きく変化してしまう。経験的に得た結果から 傾向を記すと、基本的に開口端付近には吸音材を入れない方が良い、入れると音圧が大きく低下してし まう。 逆に閉塞端側はかなりの高密度で充填しても構わない、特に全長の1/5と1/3の位置はデリケ ートに変化する。 今回使用したユニットのFsスペックが誤っていたため音圧的なバランスが取れな かったが、音的な印象ではインピーダンスカーブを監視しながら2つのインピーダンスの山が低くなり やがて、ついには1つになってしまう一歩手前ぐらいの量を充填した時が一番好みであった。 ドライバー位置のオフセットについて: 閉塞端にSPユニットを取り付けた場合、共鳴している周波数で節となるため制動がかかり放出 される音圧も大きくなるが、同時に高次の共鳴もキツく立ってしまう、そこでドライバーの位置 をオフセットすることで共鳴を抑えるというテクニックが近年のトランスミッションライン型の デザインのトレンドとなっている 本日のデモシステム構成 Dayton ND20FA-6 USB オフセットなし iPhone6s OFFSET オフセットあり MIRAREED GA-1450 Dayton ND105 自作C/D 3.2kHz 12dB/oct ALPINE KTP-445UJ Class-D 参考URL等 本日のデモで使用するプロトタイプ2種 MassLoaded TransmissionLine Prototype: φ125mm PVC Woofer Unit: Dayton Audio ND105 Tweeter Unit:Dayton Audio ND20FA-6 280mm NegativeTapered TransmissionLine Prototype: Woofer Unit: Dayton Audio ND105 Tweeter Unit: Dynaudio MD100 1120mm φ60mm PVC MJK氏のHP http://www.quarter-wave.com/ Brines Acousticsの資料 http://audioroundtable.com/misc/Quarter_Wave_Generators.pdf Brines Acoustics http://www.brinesacoustics.com/ Dayton ND105 http://www.daytonaudio.com/specs/specsheet.php?prod=290-212 次期SPユニット候補 WaveCore SW118WA01 http://www.baysidenet.jp/shopdetail/000000002464/031/002/Y/page1/order/ HILO@町田のwebページ http://park8.wakwak.com/ hilo/
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