三菱重工技報 Vol.54 No.1 (2017) M-FET 特集 会 社 紹 介 2 運び,走り,加速する。社会を動かす力 三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(株) (M-FET) Lifting, Powering & Accelerating the World Mitsubishi Heavy Industries Forklift, Engine and Turbocharger Holdings, Ltd (M-FET) 三 菱 重 工 フォークリフト&エンジン・ ターボホールディングス(株 ) 三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(株)(M-FET)は,フォークリフトを 中心とした物流システム,陸・船・発電用のエンジン・エナジー,及びエンジンのダウンサイジング を可能にしたターボチャージャの3事業から構成される三菱重工業(株)100%出資のホールディ ングカンパニーである。 M-FET は新たな Mission,Vision,Value(図1)のもと、技術・営業・サプライチェーン等で,3事 業のシナジーを創生し,それぞれの製品の競争力を高めると共に,ソリューション型ビジネスへ進 化させ,新たな視点で事業展開を図っている。 図1 M-FET の Mission, Vision, Value |1. M-FET 設立の背景と狙い 三菱重工グループは,競争力強化と収益力強化を目的として“独自経営会社”による成長促進 を図るべく構造改革を実行してきた。独自経営会社としては,三菱日立パワーシステムズ (MHPS),Primetals Technologies(PT)に続き M-FET が 2016 年 3 月に設立された。これら 3 社 は三菱重工グループの中核的存在であり,全社戦略のもと,事業特性に応じた迅速な自律経営 を推進している。 M-FET は三菱重工グループとしてはじめてのホールディングカンパニーであり,中量産品事 業の集約による規模拡大と技術・開発・生産・調達・営業の各分野で統廃合・重複排除等による 大胆なシナジー創出を強みとして事業を展開していく。 また、独自経営会社として,素早い経営判断,専業プロによる事業展開,資金効率の向上によ る財務基盤強化を行うと共に,戦略的パートナーとの連携により新規商流の開拓に努め、新たな 視点で経営の革新と新規事業に取り組んでいく。 三菱重工技報 Vol.54 No.1 (2017) 3 |2. M-FET グループの概要 M-FET の物流システム事業は,傘下にニチユ三菱フォークリフトと買収したユニキャリアがあ り,両社合計で世界シェアが3位となった。早期にシナジーの創出,組織のスリム化,新分野への 挑戦を実現すべく,2017 年1月にはユニキャリアをニチユ三菱フォークリフトの完全子会社とし、 同年 10 月には 2 社を経営統合する方向で諸準備を行っている。 また,親和性のあるエンジン・エナジー事業とターボチャージャ事業においては,M-FET の独 自経営の両輪を担うべく,2016 年7月に三菱重工エンジン&ターボチャージャ(株)を設立した。 現在のグループ全体での事業規模約 7,100 億円を 1 兆円に拡大すべく鋭意活動中である。 以下は、M-FET グループにおける事業会社 3 社の概要である。(図2) 図2 M-FET グループ 事業会社概要 |3. 製品ラインナップ (1) “運ぶ” 物流機器(図3) 当社の物流機器のラインナップは,ニチユ三菱の“ニチユフォークリフト”,“三菱フォークリフ ト”,ユニキャリアの“ユニキャリアフォークリフト”,“TCM フォークリフト”の自社4ブランドに,販 売協力によるブランドを加えて,エンジンフォークリフトからバッテリーフォークリフト,保管システ ム,倉庫管理システムまでフルラインの物流ソリューションの提供が可能となった。 図3 主要製品 物流機器 三菱重工技報 Vol.54 No.1 (2017) 4 (2) “走る” エンジン・エナジー(図4) 暮らしに必要な様々な機械の動力として,電力を作り出す発電システムの心臓部として,毎 日の生活を支えるエンジン。MHIET では,出力1kWから 15000kW まで幅広いレンジのエンジ ンを提供している。また,稼働中エンジンの 24 時間遠隔監視サービスや分散型発電などのエ ナジーソリューション事業を展開している。 図4 主要製品 エンジン・エナジー (3) “加速する” ターボチャージャ(図5) エンジンのダウンサイジングを可能にするターボチャージャ。MHIET では,他社に先駆け世 界的な環境規制強化に対応した高品質で高効率な新製品を市場に投入している。 生産拠点は相模原の他にオランダ・タイ・中国・米国にあり,高度に自動化された生産設備 により,品質の安定した製品を全世界に供給している。 図5 主要製品 ターボチャージャ |4. グローバルネットワーク M-FET グループは現在全世界に 22 の生産拠点と 85 の営業・サービス拠点(合計 107 社)を 有し、各地域のニーズに即したサービスを提供し、グローバル/グローカルに展開している。 (図6)。 図6 グローバルネットワーク 三菱重工技報 Vol.54 No.1 (2017) 5 |5. 今後の展開 M-FET グループは,ロジスティクスとエナジーの融合で,“大胆なシナジーの創出”と“新市場 への積極的参入”を推進していく(図7)。 “ 大 胆 な シ ナ ジ ー の 創 出 ” で は , ま ず 物 流 機 器 事 業 統 合 に 向 け た PMI ( Post Merger Integration)を加速し,生産・営業拠点の強化・統廃合,調達分野の一体運営,開発の加速,ブラ ンド力の強化等を実行していく。 また,“新市場への積極的参入”では,3 つの事業において,従来の単体売りからソリューション 事業へと大きく舵を切り替え,ビジネスモデルの変革を行っていくと共に、それらをグローバルに 展開していく。 図7 ロジスティクスとエナジーの融合
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