ネットワーク自動化が可能にするITの俊敏性と 運用効率の向上

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ネットワーク自動化が可能にするITの俊敏性と
運用効率の向上
日付:2016年5月 著者: Dan Conde(アナリスト)、Leah Matuson(リサーチ・アナリスト)
要約: 今日のITは、その目まぐるしい変化によって管理がますます複雑になってきています。組織は、俊敏性のあ
るシステムの検討に迫られており、各種の自動化技術を取り入れて、さまざまなチームやITドメインにわたって組み
込む必要があります。ITインフラストラクチャの他の構成要素については自動化が進んでいますが、ネットワークは
まだそうした流れに追いついていません。
組織が競争の優位性を保つためには、ネットワークの自動化に着目し、従来型の手動タスクから自動化に着手す
る必要があります。その目的は、時間やリソースを節約し、人為ミスを軽減し、ビジネスやITの俊敏性を強化すると
同時に、組織全体にわたって自動化ソリューションと他のITツールやITプロセスとを統合することにあります。
概要
今日の動的なビジネス環境では、クラウド・コンピューティングやBring Your Own Device(BYOD)のイニシアティブに向か
うトレンドを受けて、ネットワークの管理がますます複雑になってきています。組織全体が、ネットワークの俊敏性、セ
キュリティ、連携の強化を期待しています。社員の生産性とビジネスの競争力を保つためには、ITを柔軟性のあるもの
にする必要があります。つまり、アプリケーションやサービスを瞬時にプロビジョニングして、適切な人員が、適切なデー
タに、適切なタイミングと権限でアクセスできるようにする必要があります。しかし、IT担当者にとって、すべてが簡単に実
現できるわけではありません。IT担当者はさまざまな課題に直面していますが、その1つが、手動によるネットワーク構
成です。この技法は決して効率的とは言えません。こうした構成方法は、組織全体のシステムにわたって実行されるの
ではなく、隔離された状態で実行されますが、特定のハードウェアやソフトウェアにのみ重点が置かれていて、その役割
がITインフラストラクチャ・スタック全体にわたって包括的に捉えられてはいません。そして、こうしたレガシー・プラット
フォームは、自社の分離されたサイロの中で孤立しています。統合もなく、連携も不十分で、組織の拡大のニーズに合
わせて拡張することもできないネットワークで、IT部門はどうやってビジネスの俊敏性のニーズに応えることができるの
でしょうか。
コンピューティングやストレージなど、ITインフラストラクチャの他の部分はすでに自動化の恩恵を受けていますが、ネッ
トワークはまだそうした恩恵を受けていません。仮想化されたインフラストラクチャでは、プログラム可能なアクセスを通
じて、ストレージやサーバが仮想ディスクや仮想マシンの形で自動化されていますが、ネットワークは同じようなレベル
まで自動化されてはいません。つまり、コンピューティングやストレージがどれほど自動化されていても、ネットワークが
自動化されておらず、ITの他の部分と統合されていなければ、ITインフラストラクチャ全体の運用が最適なレベルで機能
することができなくなります。自動化は手動操作より優れていますが、自動化がサイロに隔離されている状況の中で、IT
この「ESG Solution Showcase」は、ブロケードからの委託を受けて作成され、ESGの許諾の下で配布されるものです。
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やビジネスの俊敏性を本格的なレベルにまで高めるためには、それだけでは不十分です。サイロ同士をブリッジでつな
げれば、機能を横断した形での実行がすぐに可能になります。
たとえば、ネットワーク運用のチームはそれぞれ、ネットワークを管理するために別々のツールを利用しています。ヘル
プデスクはチケット作成システムを利用し、ネットワーク・アナリストはトラブルシューティング・ツールを使って解決策の
候補を見つけ、ネットワーク管理者は別のツールを使ってその解決策を実装しています。同様に、ストレージ管理者は、
NASシステムを利用してパフォーマンスの問題を診断している可能性があります。これらのツールが協調して機能すれ
ばより効率が高まるのではないでしょうか。
事実、ESGの調査によれば、回答したITプロフェッショナルの29%が、彼らの組織のネットワーク・チームが抱えている最
大の課題の1つとして、ネットワーク運用と他のITドメインとの統合を指摘しました。1
ITが直面している課題は、確かに圧倒されるほどあるかもしれませんが、支援の取り組みは着々と進んでいます。ネット
ワークの自動化に踏み切りましょう。
ネットワークの自動化: ITの俊敏性と運用効率を向上
ネットワークの自動化を構成するものは、手動のネットワーク管理タスクを減らすのに役立つツールとソリューションで
す。対象のタスクには、計画、構成、コンプライアンス監査、監視、検証、トラブルシューティング、修復などがあります。
ネットワークの自動化によってかなりのメリットがもたらされます。ESGの調査では、回答したITプロフェッショナルの20%
が、ネットワークの自動化によってもたらされる最も重要なメリットとして、手動操作の減少による一貫性のある構成を指
摘しました。一方で、18%が、スクリプトやその他の自動化手法を通じてネットワーク・デバイス、構成、サービスのプロビ
ジョニングが俊敏に行えることだと回答しました。また、最も重要なメリットとしてサービス・レベル・アグリーメント(SLA)の
遵守を挙げたのは回答者の17%、人為ミスや構成ミスの軽減を挙げたのは14%でした。2
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出典: ESG調査レポート、『Trends in Data Center Networking』(2016年2月)。
出典: ESG調査レポート、『Network Automation: Enabler of IT Process Goals』(今後公開予定)。
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図1.ネットワークの自動化によってもたらされる最も重要なメリット
ネットワークの自動化によって貴社の組織にもたらされる最も重要なメリットは何ですか?
(回答者の割合、N=236)
上記のどれでもない, 1%
運用コストが削減される, 6%
CLIなどの手動操作を削減す
るため、デバイスが多くて
も一貫性のある構成が可能
になる, 20%
設備投資が削減される, 10%
スクリプトやその他の自動
化手法を通じてネットワー
人為ミスや構成ミスが軽減
ク・デバイス、構成、サー
される, 14%
ビスのプロビジョニングを
自動化によって、システム
俊敏に行える, 18%
を再構成するためのフィー
ドバックが自動的に得られ
コンプライアンス, 15%
るため、ネットワークのパ
フォーマンスの提供に関す
るサービス・レベル・アグ
リーメントを遵守できる,
17%
出典: Enterprise Strategy Group、2016年
概して、ネットワークの自動化は、組織全体にわたって次のようなプラスの成果をもたらすことができます。
 運用効率の向上: 一貫性のある構成でITの俊敏性が促進されるため、時間やリソースを節約できるほか、これまで
コマンド・ライン・インタフェースなどによって手動構成が原因で生じていた人為ミスを減らすことができます。ネット
ワークの自動化をサービス・デリバリに取り入れることで、全体のエラーが減少します。
 SLAの向上: サービス要件の変化に合わせて細かな調整を頻繁に行えるため、サービス・レベルを向上させること
ができます。究極的には、ネットワークや関連するITインフラストラクチャ要素について、それらの構成をもっとス
ピーディに、もっと効率良く行えるようになります。ソフトウェア駆動型のネットワーク自動化プロセスの実行中に、IT
に関する知識が収集されるため、よりスピーディな対応と、一貫性のある措置がもたらされ、反復性と大規模環境
への拡張が実現します。
 協調の向上とタスクの委任の簡素化: 自動化により、ITのサイロ全体にわたって、ある程度の簡素化、利用促進、
協調が可能になります。自動化により、運用に関する知識の体系化、一元化が可能になります。組織全体にわ
たって、ITチームへのタスクの委任が容易になり、ネットワーク構成の作業が簡単になると同時に、プロビジョニン
グの時間が短縮されます。その結果、ITリソースが解放され、より価値の高い収益を生み出すイニシアティブに専
念できます。
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機能性、スピード、効率性の向上: ネットワークの自動化を他の構成要素と統合
ネットワークの自動化によって数々のメリットが組織にもたらされますが、実際にネットワークの自動化を他の構成要素
と統合できるようになることで、それほど遠くない将来に、最大級のインパクトをビジネスの俊敏性にもたらす状況が整
うようになるでしょう。逆に、他のネットワーク、セキュリティ、IT管理のツールとの統合がなければ、ネットワークの自動
化を全体的に導入することになったときに、そうした状態が解消しづらい障壁となる可能性があります。それに対して、
クロスドメインのコラボレーションは、組織全体の総合的な効率性と生産性を推進させることができる重要な要素になり
ます。
事実、ESGの調査によれば、回答したITプロフェッショナルの24%が、ネットワークの自動化とその他のネットワーキング、
セキュリティ、IT管理のツールとを統合することが、組織がネットワークの自動化イニシアティブを目指す中で最も多くの
作業を必要とする分野であると答えました。一方で、23%が、ネットワーク・グループとその他のグループとの連携が、最
も多くの作業を必要とする分野だと答えました。3
自動化が一般的なITプロセスの効率化に役立ち、組織の機能性、スピード、効率性の向上をはぐくみ支える実用的な
事例として、どのようなものが考えられるでしょうか。メリットをもたらすユースケースとして「ヘルプデスク」を考えてみ
ましょう。
競争の優位性: ヘルプデスクの効率を向上
場所や時間を選ばない業務の遂行に成功している組織では、常に競合相手の一歩先を行くうえで、ITの俊敏性がその
鍵となることを理解しています。同時に、顧客やパートナーの満足度を確保し、強化されたユーザ・エクスペリエンスを
社員に提供することも重要だと理解しています。自動化によって競争の優位性がもたらされる重要な領域の1つとし
て、「ヘルプデスクのチケット作成」があります。これは、さまざまなITドメインにわたる問題解決の中心点となっている
からです。
ヘルプデスクは、業界や企業を問わず、どこにおいても必要不可欠な存在であり、多くの場合、組織の中で最も多忙な
部門の1つになっています。企業の多くは小規模なIT部門を設けていますが、IT部門では大半の時間を日常的な保守作
業や労力を必要とする手動の業務に費やしています。ヘルプデスクのチケット解決を担当している組織が次のようない
くつもの課題に悩まされているとしても驚くことではありません。
 多くの労力を必要とする効率の悪いプロセス: ヘルプデスクのチケットを処理し、ネットワークのトラブルシューティ
ングに対処して、根本的な原因を見つける作業には、多くの場合、ITの貴重な時間がかなり多く費やされていま
す。プロセスには受け渡しがいくつも伴うため、多数のグループが関与することになり、プロセスが扱いにくくなり、ミ
スが生じやすくなるほか、多くの時間や労力が必要になります。
 チーム間での連絡ミス: 組織全体のさまざまなチームが問題の調査と修復にあたる中で、コミュニケーション上のミ
スが起こることはよくあります。特に、プロセスに関与する人員の数が増えてくればなおさらです。コミュニケーショ
ン上のミスは既存の問題を悪化させ、解決をずっと困難なものにするおそれがあります。
 誤りや矛盾を伴う結果: プロセスの中で、是正措置の選択が場当たり的に行われていたり、複数の異なるグループ
によって手動で行われていたりする場合、その結果に誤りや矛盾が生じるおそれがあります。
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ESGの調査結果
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ヘルプデスクの手動タスクを自動化することでもたらされるメリット
組織で自動化を利用してヘルプデスクのチケットを解決することで、プロセスをよりスムーズに、効率良く、一貫して処理
できるようになります。自動化には次のようなメリットがあります。
 問題解決までの平均時間の短縮: 自動化された手法をネットワークのトラブルシューティングに役立てることができ
ます。あらかじめ決められた自動化ワークフローを利用して正しい状態を復元できます。そのため、最初にヘルプ
デスクに報告された問題について、複数のドメインにわたる複数のグループがその解決策の検証や確認を行うの
に必要となる時間やリソースが削減されます。
 プロセスの合理化、効率化: 自動化されたネットワーク構成は、ITグループ同士の共同作業を通じて、全員の合意
に基づいて作成されるため、解決策について後で疑問や批判が生じることがなくなります。自動化された是正措置
を通じて解決策を作成し、解決策の導入によって得られた教訓を収集することで、一貫性のある方法で収集された
知識を利用できます。
まとめ
今日のITは、その目まぐるしい変化によって管理がますます複雑になってきています。組織は業界を問わず、俊敏性の
あるシステムを導入する必要に迫られており、各種のソリューションを取り入れて、さまざまなチームやITドメインにわ
たってそれらを組み込む必要があります。コンピューティングやストレージなど、ITインフラストラクチャの他の構成要素
については自動化が進んでいますが、ネットワーキングはまだそうした流れに追いついていません。
ネットワークの設計、サービス・リクエストへの対応、トラブルシューティング、変更の承認、修復の作業などにあたってい
る担当者同士の間で、タスクの調整と知識の共有は、多くの場合、手動で行われています。そのため、効率の悪さやミ
スが蓄積され、こうしたチームがより高い価値を組織にもたらす活動に従事する機会が失われています。
競争の優位性を保ち、なおかつ従業員の満足度を保つためには、ネットワークの自動化に着目し、従来型の手動タスク
から自動化に着手する必要があります。その目的は、時間やリソースを節約し、人為ミスを軽減し、問題解決までの時
間を短縮し、ビジネスやITの俊敏性を強化すると同時に、顧客と従業員の満足度を高めることにあります。ネットワーク
を自動化することで、IT組織にはより価値と収益性の高い取り組みに専念できる時間と機会がもたらされます。さらに、
グループ間やドメイン間でソリューションとコラボレーションを統合することが、自動化のメリットを最大限にする唯一の方
法になるでしょう。
商標名はすべて、各社に属します。本ドキュメントに記載されている情報は、Enterprise Strategy Group(ESG)が信頼性のあるものと判断している情報源から引用して
いるものですが、ESGがその内容を保証するわけではありません。本ドキュメントにはESGの見解が記載されている可能性がありますが、その内容は変更される場合
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