《薬局サーベイランスコメント》 『第 3 週(1 月 16 日~22 日)の全国のインフルエンザ推定受診患者数は 100 万人を超 えたが第 4 週は更に患者数が増加し、流行のピークに差し掛かりつつあるものと予想さ れる』 2017 年 1 月 24 日 済生会中津病院感染管理室 安井 良則 薬局サーベイランスによると、今シーズン(2016/2017 年シーズン)の 2017 年第 3 週(1 月 16 日~22 日)の全国のインフルエンザ推定受診患者数は前週(第 2 週)の推 定値(622,745)よりも大幅に増加して 1,056,239 となり、今シーズン初めて 100 万人 を超えました(図 1) 。休日明けの月曜日(1 月 23 日)の推定受診者数は 299,433 とや はり今シーズンの最高値を大幅に更新しており、第 4 週(1 月 23 日~29 日)は更に患 者数が増加するものと予想されます。 各シーズンのインフルエンザ推定患者数週別推移(2017年は第3週まで) 1400000 1200000 1000000 800000 600000 400000 200000 0 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013 2013/2014 2014/2015 2015/2016 2016/2017 図 1.過去 6 シーズンと今シーズン(2016/2017 シーズン)のインフルエンザ推定患者 数の週別推移(累積の推定受診患者数=3,434,357) 2016 年第 36 週から 2017 年第 3 週までの累積の推定患者数は 3,434,357 であり、日 本の人口推計値(2016 年 11 月 1 日現在、1 億 2695 万人)で換算すると、累積の罹患 率は 2.71%となりました。罹患率を年齢群別で比較すると 10~14 歳(7.52%、413,435 人)、5~9 歳(7.47%、396,577 人) 、15~19 歳(5.64%、337,237 人) 、0~4 歳(5.08%、 261,277 人) 、20~29 歳(3.19%、405,521 人) 、30~39 歳(2.65%、402,661 人) 、40 ~49 歳(2.37%、448,921 人) 、50~59 歳(2.11%、324,390 人)の順となっています (図 2) 。第 3 週は特に 5~14 年齢群の患者数の増加が著しく、インフルエンザの流行 の中心となっているものと考えられます。 2016/2017年シーズン(2017年第3週まで)のインフルエンザの各年齢群別の累積の罹患率推定値 8.00% 7.00% 6.00% 5.00% 4.00% 3.00% 2.00% 1.00% 0.00% 0-4 5-9 10-14 15-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70- 全年齢 図 2.年齢群別のインフルエンザ罹患率推定値(2016 年第 36~2017 年第 3 週) 各都道府県別の 2017 年第 3 週の人口 1 万人当たりの 1 週間の推定患者数をみると、 福井県、広島県、徳島県、大分県、岡山県、宮崎県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、 奈良県、兵庫県の順となっており、秋田県を除く 46 都道府県で増加が見られています。 国 立 感 染 症 研 究 所 感 染 症 疫 学 セ ン タ ー の 病 原 微 生 物 情 報 (https://nesid3g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data2j.pdf)によると、今シーズンこれまで のインフルエンザ患者由来検体から検出されたインフルエンザウイルス(1,372 検体解 析)は、A/H3(A 香港)亜型が 90.0%と大半を占めており、次いで A/H1pdm 6.6%、B 型 3.4%の順となっています。 2017 年第 3 週のインフルエンザの推定受診者数は 100 万人を超えましたが第 4 週は 更に患者数が増加し、おそらく流行のピークに差し掛かりつつあるものと予想されます。 インフルエンザの患者発生の推移には十分な注意が必要です。
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