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2016 年度に向けた「政策・制度要求と提言」の取り組み
2017年度に向けた「政策・制度要求と提言」の取り組み
~現状認識と課題~(案)
~基本的な考え方~
◇はじめに
わが国では超少子高齢化・人口減少という社会や経済の構造変化に加え、マクロにおける
分配のゆがみ、増大し続ける非正規雇用、そして収入格差拡大が相まって、将来の雇用・生
活に対する希望が失われかけている。
このような課題を克服していくためには、非正規雇用から正規雇用への転換促進、就労支
援策の拡充、最低賃金の引き上げなどによる国民生活の底上げや、社会保険の適用拡大など
重層的な社会的セーフティネットの整備、および社会保障と税の一体改革を通じた所得再分
配機能の強化が求められる。
連合は、真に暮らしと雇用の安定・向上につながる政策の実行を求め、政府・政党への要
請行動を展開している。
「STOP THE 格差社会! 暮らしの底上げ実現」を合言葉に、国民が将
来にわたって希望と安心が持てる「働くことを軸とする安心社会」をめざし、今解決すべき
重要課題を直視し、その実現をはかるべく取り組んでいく。
連合神奈川は、神奈川で働く労働者の代表として、神奈川において「働くことを軸とする
安心社会」を実現するため、全力を挙げて取り組むこととする。
◇基本的な考え方
1.以下の連合本部の基本的な考え方を共有する
東日本大震災の発生から 5 年が経過した。災害廃棄物処理の完了など復旧・復興に進展が
見られる一方で、2016 年 3 月現在でも未だ約 17 万 1 千人が避難生活を強いられるなど生活
基盤の再建や、安定雇用の確保は十分とは言えず、復興は道半ばである。
経済・社会の現状を見ると、デフレ脱却と経済再生に向けた目標を掲げているアベノミク
スの政策効果は一部にとどまっており、国内総生産の 6 割を占める個人消費を喚起するもの
とはなっていない。また、完全失業率や有効求人倍率では雇用情勢は改善しているものの、
非正規労働者の割合は 4 割を超している。雇用の質の改善と労働条件の復元は後回しにさ
れ、雇用者間の格差や貧困が拡大するなど働く者を取り巻く環境は依然として厳しい。加え
て、少子高齢化の急速な進展による支え手の減少に直面する中、持続可能で安心できる社会
保障制度への改革は不十分であり、社会保障・税一体改革を引き続き推進することが重要で
ある。
震災からの復興・再生を着実に成し遂げるとともに、日本経済を持続的に発展させ、地域
経済の活性化をはかっていくためには、雇用不安と将来不安を払拭し、雇用労働者の 7 割を
占める中小企業で働く仲間、そして約 2,000 万人の非正規労働者の「底上げ・底支え」「格
差是正」を進めるなど、働く者・生活者の立場からの政策実現に全力で取り組む必要があ
る。政府は、働く者・生活者の視点に立った政策を実行し、すべての国民が将来に希望と安
心が持てる道筋を示さなければならない。そのためにも、連合は、早急に解決すべき重要課
題に取り組み、
「働くことを軸とする安心社会」の実現をめざし、組織の総力をあげた運動
を展開する。
なお、2016 年 4 月中旬に発生した熊本県を中心とする九州地震により、九州各地で甚大
な被害が生じており、被災者・被災地域の救援・復旧に向けた必要な対応を求めていく。
2.神奈川の現状
(1)神奈川における、最近の経済情勢は、①個人消費は一部に弱さが見られるものの、持
ち直しが続いている ②住宅建設は前年を下回っている ③設備投資は 2015 年度の設備
投資計画額をみると減少見込みとなっている ④企業の景況感も全産業で「下降」超幅が
拡大とされている。
(関東財務局 2016 年 4 月発表)
また、雇用情勢は、①有効求人倍率は上昇している ②新規求人倍率も上昇している ③
新規求人数は前年を若干上回る、等となっており、有効求人倍率は、5 か月連続で1倍台を
維持しており「雇用情勢は持ち直している」とされている。
(神奈川労働局
2016 年 4 月発表)
(2)神奈川における、社会情勢を展望すると、最も懸念されるものは、少子・高齢社会の急
速な進展である。神奈川県の人口は、統計調査によると 2014 年には統計開始以来、初めて
自然増減率がマイナスとなり、今後も推計よると転入者の減少などと合わせ、2018 年をピ
ークに人口減少に転ずると予想されている。人口減少による労働力人口の減少は、需要・
供給の両面から経済成長にマイナスの影響を与える恐れがある。
今後、神奈川県内で豊かで安心できる勤労者生活を実現していくためには、政労使の一
体的な取り組みによる雇用の安定と、全ての勤労者の所得拡大等、社会全体の「底上げ・底
支え」「格差是正」を確実に進めることによる、安定的・継続的な経済成長が必要である。
(3)神奈川県は、県政運営の総合・基本的指針を示す総合計画として「かながわグランド
デザイン」の「第2期実施計画」を掲げプロジェクトを進めてきた。今年度の進捗状況は、
全体として概ね順調に進捗と評価をしている。
また、昨年は、
「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、人口減少の課題に対応した取り
組みを推進するために、地方創生推進会議を開催し、広く関係者(「産・官・学・金・労」)
の意見を反映させた「地方版総合戦略」が策定されている。
連合神奈川としても、神奈川県や県内自治体が開催する関連した諸会議に参加し、私た
ちがこれまで要望してきた「働き方改革」
「福祉・社会保障対策」などの政策を反映させる
ために、各地域連合と連携しながら取り組むことが求められている。
◇連合神奈川「政策制度要求と提言」の位置づけ
2017 年度に向けた政策制度要求と提言の取り組みは、2017 年度の自治体予算編成に反映さ
せるための「重点政策」と、3年目となる「将来を見据えた政策提言」としている。これまで
の取り組み・成果等から、政策策定論議の深化と、労働者をはじめとする幅広い国民各層の
ニーズを踏まえ、政策の優先順位付けと絞り込みにより「政策・制度要求」の実現に向けて
取り組むこととする。
特に、「将来を見据え 2020 年までに取り組むべき政策提言」については、当初から神奈川
県版「政労使会議(仮称)」を設置することによって課題の共有と政策の転換を求めてきた。
昨年、神奈川県では、地方創生推進会議にて、広く関係者(「産・官・学・金・労」
)の意見を
反映させた「地方版総合戦略」が策定され、私たちが提言した方向で動き始めている。
また当初作成した提言の中で、今後の政策検討の方向として示した、
① 社会の成長を支える労働力人口の確保
② 現在から更に加速する超高齢社会への対応強化
③ 子育てと仕事の両立をめざしたワークライフバランス社会の早期実現
④ 子育て世帯や高齢者世帯を支え合うことができる地域コミュニティの創造
を基本に産業の活性化も考慮し、政策策定論議を進めてきた。
今年度も「将来を見据えた政策提言」については、2017 年度自治体予算編成への対応と併
せ、次年度以降も継続的に取り組みを進める必要があることから、各政策において「重点政
策」に取り込み、補記として「将来を見据えた政策」と経過を表すこととする。
今後の「将来を見据え 2020 年までに取り組むべき政策提言」については、取り組み開始か
ら3年が経過したことから、次年度は、取り組みの振り返りを行い、各行政から、より具体
的な回答を受領するために、提出する提言文書の見直し等、政策委員会で論議を深めていき
たい。
各政策の重点政策における時間軸の考え方
2017年度予算等で
対応を求める
2017年度末
重点政策(新規・補強・継続)
2020年までに
自治体中期・総合計画や地方版
総合戦略等で対応を求める
将来を見据え取り組むべき政策