最新版 - 日本貿易振興機構

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進出企業支援情報
<1> 法務労務・会計税務情報
当コーナーでは、最近の中国における法務労務・会計税務の動きについて把握頂くため、
要点を絞ってご説明致します。
(1)
「企業投資プロジェクト許可及び届出管理条例」
(企业投资项目核准和备案管理条例)
2016 年 11 月 30 日公布、2017 年 2 月 1 日施行
http://www.gov.cn/zhengce/content/2016-12/14/content_5147959.htm
同条例の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公
司に解説頂いた。
解説
1.主な内容
2004 年に国家発展改革委員会は「企業投資プロジェクト許可暫定弁法」1を公布、施行し、外
商投資プロジェクト及び海外投資プロジェクトを除く、その他の各種企業が中国国内で投資・
建設するプロジェクトについて、当該弁法が適用されるとしていました。今般、当該弁法を更
に規範化するため、国務院は、企業による固定資産投資の分野において統一的に適用される本
条例を制定しました。本条例の主な内容は以下のとおりです。なお、本条例は、
「企業投資プロ
ジェクト許可暫定弁法」とは異なり、外商投資プロジェクトを除外することを明確にしておら
ず、また本条例第 2 条によれば、外商投資プロジェクトについても本条例が適用されると解釈
できます。
(1) 適用範囲(本条例第 2 条、第 22 条、第 23 条)
本条例は、企業、公共機関、社会団体等の非企業組織が中国国内で投資し建設する固定資産
投資プロジェクトに適用されます。但し、以下の注意点があります。
① 予算によって配置された公共機関、社会団体等の非企業組織が中国国内で投資し建設す
る固定資産投資プロジェクトは除く
② 国防科学技術工業企業が中国国内で投資し建設する固定資産投資プロジェクトには、国
務院国防科学技術工業管理部門が別途制定する管理弁法を適用する
(2) 分類管理基準(本条例第 3 条)
① 許可プロジェクト
国家の安全に関係し、全国における重大な生産力配置、戦略的資源開発及び重大な公
1
国家発展改革委員会令第 19 号、2004 年 9 月 15 日公布、施行
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共利益等にかかわるプロジェクトがこれに該当します。具体的なプロジェクト範囲等
は、政府の許可投資プロジェクトの目録に従うことになります。
② 届出プロジェクト
上記①の許可プロジェクト以外のプロジェクトは、所属地の所轄機関への届出管理が
実施されます。
(3) 許可プロジェクトの申請、審査、変更、延期の手続及び関連する法定期間
① 申請手続及び法定期間(本条例第 6 条~第 8 条)
本条例では、許可プロジェクトの申請書の要点について関連規定が定められてい
ます。
申請書の主な内容には、企業基本状況、プロジェクトの状況(プロジェクトの名
称及び建設地、規模、内容等)
、利用する資源及び生態への影響についての分析、
経済及び社会への影響についての分析が含まれていなければなりません。
また、プロジェクトの許可につき前提条件が設けられている場合、企業は申請前
に、手続済みであることを示す関連証明を取得しなければなりません。
さらに、申請書の定型書式及び関連する作成上の要求はすべて公開されなければ
ならず、申請書は企業が自ら作成し、仲介機関に作成を依頼するよう企業に強制
することは禁じられています。
許可を得るために申請を国務院に転送する必要がある場合、転送期間は申請書を
受領した日から 5 業務日とされています。
② 審査の要点及び法定期間(本条例第 9 条、第 10 条)
許可機関は、次のような要点から投資プロジェクトの審査を行います。ⅰ投資プ
ロジェクトが経済、社会、生態等の国家の安全に危害を及ぼすか否か、ⅱ建設計
画、技術基準、産業政策に合致しているか否か、ⅲ合理的な開発及び資源の有効
利用がなされているか否か、ⅳ重大な公共利益に対し不利な影響が生じるか否か
等。
また、投資プロジェクトが関連地方政府の職責にかかわる場合、許可機関が当該
地方政府に書面で意見を求めます。
さらに、投資プロジェクトが評価にかかわる場合、30 業務日を超えない期間内で
関連評価を行うよう許可機関から仲介機関に依頼し、費用は許可機関が負担しま
す。
審査の法定期間については、原則として受理日から 20 業務日であり、状況が複雑
な場合は延長することができますが、最長でも 40 業務日を超えません(但し、評
価にかかわる場合、評価期間は審査期間に算入されません)
。
③ 変更手続及び法定期間(本条例第 11 条)
許可済みのプロジェクトの建設地、規模及び内容等に比較的大きな変更がある場
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合、企業は許可プロジェクトの変更手続を行わなければなりません。
変更手続の法定期間は受理日から 20 業務日です。
④ 延期手続及び法定期間(本条例第 12 条)
プロジェクトが許可された又は変更が承認された日から 2 年以内に建設に着工し
ていない場合、企業は、2 年の期間が満了する日の 30 業務日前までに、一回の 1
年間の着工延期を申請しなければなりません。
着工延期手続の法定期間は受理日から 20 業務日です。
(4) 届出プロジェクトの関連管理(本条例第 13 条~第 15 条)
届出プロジェクトに該当する場合は、オンラインプラットフォームを通じて、関連企業の基
本状況、プロジェクトの状況(プロジェクトの名称、建設地、規模、内容、投資総額)、及び産
業政策に合致している旨の声明書の情報を届出先の機関に告知すれば、届け出たことになりま
す。
上記の届出済み情報に重大な変更が生じた場合、速やかにオンラインで届出先の機関に告知
しなければなりません。
(5) 許可機関、届出機関等による監督(本条例第 16 条)
プロジェクトに対しては、許可機関、届出機関等によるプロジェクト中及び事後の監督管理
が実施されます。監督管理方法には、オンラインモニタリング、現地調査等があります。
(6) 関連処罰規定(本条例第 18 条~第 21 条)
投資プロジェクトの許可及び届出の過程で出現する、許可又は届出が規定どおりに行われな
いこと、不当な手段による許可取得、産業政策で禁止されているプロジェクトへの投資・建設
等のような違法行為については、建設停止、原状回復、是正命令及び 2 万元~5 万元又はプロ
ジェクト投資総額の 0.1%(最低)から 1%(最高)の過料といった相応の処罰措置が設けられ
ています。
2.今後の注意点
本条例は、
「企業投資プロジェクト許可暫定弁法」とは異なり、外商投資プロジェクトにも適
用されるとの解釈が可能です。また、
「外商投資プロジェクト許可及び届出管理弁法」は、本条
例の公布により廃止されていませんので、外商投資プロジェクトについては、本条例及び上記
管理弁法の両方に基づいた許可又は届出手続を行うことが求められる可能性があるため注意が
必要です。
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(2)
「外商投資産業指導目録(改正稿)」(外商投资产业指导目录(修订稿))
2016 年 12 月 7 日公表(意見募集は 2017 年 1 月 6 日まで)
http://www.mofcom.gov.cn/article/b/f/201612/20161202088897.shtml
同目録の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公
司に解説頂いた。
解説
1. 主な内容
「外商投資産業指導目録」は、1995 年の制定以降、絶え間なく発展する経済情勢及び対外開
放の必要性に応じて、それぞれ 2002 年、2004 年、2007 年、2011 年、2015 年の 5 回にわたり改
正が行われてきました。今回、本目録の第 6 回目の改正に関する意見募集がなされ、その際に
本改正稿が公表されました。本改正稿の主な内容は以下のとおりです。
(1) 奨励類の調整
本改正稿では、微調整はなされているものの、奨励類の大枠については大きな調整は行われ
ておらず、外資による、近代的農業、先進的製造、ハイテク、省エネ・環境保護、近代的サー
ビス業等の分野への投資が引き続き奨励されています。
大きな変更点としましては、これまで奨励類において規定されていた持分に関する制限が全
て削除された点です。このうち、①単純に持分に関する制限が削除された項目(例えば、ⅰ天
然ガス(炭層ガス、オイルシェール、オイルサンド、シェールガス)の探査、開発及び坑内ガ
スの利用(本改正稿奨励類 11)
、ⅱ自動車のバス型ネットワーク電子技術(本改正稿奨励類 207)、
及びⅲ電動パワーステアリングシステム電子制御機器(本改正稿奨励類 207)など)と②奨励
類に加えて新たに制限類にも規定された上で、制限類上で持分に関する制限が引き続きなされ
ている項目(例えば、ⅰ原子力発電所の建設、運営(中国側の持分支配)
(本改正稿奨励類 289、
制限類 12)
、ⅱ電力網の建設、運営(中国側の持分支配)(本改正稿奨励類 291、制限類 13)、
ⅲ幹線鉄道網の建設、運営(中国側の持分支配)
(本改正稿奨励類 297、制限類 15)など)があ
ります。
(2) 制限類及び禁止類の調整
① 制限類及び禁止類の位置付けに関する追記
外商投資の規制に関しては、他の法令において既にネガティブリストが導入され2、また、ネ
ガティブリストについては、外商投資産業指導目録が用いられることが明らかにされていまし
た3。
2
「外商投資企業設立及び変更届出管理暫定施行弁法」(商務部令 2016 年第 3 号、2016 年 10
月 8 日公布、施行)第 2 条等
3
「国家の規定する特別管理措置の参入に関わらない外商投資企業の設立及び変更を審査許可
から届出管理に変更することについての公告」
(国家発展改革委員会、商務部公告 2016 年第 22
号、2016 年 10 月 8 日公布、施行)
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本改正稿では、制限類及び禁止類の項目の前に、このことを確認する内容が追記され、制限
類及び禁止類がネガティブリストに相当することが明確にされています。
② 制限類の調整
制限類については、上記(1)②において言及しましたとおり、奨励類に加えて新たに制限類に
も規定された項目の追加がなされていますが、全体としては、緩和(制限類項目の削除)がな
されているといえます。
制限類から削除された項目としては、例えば、ⅰ貴金属(金、銀、プラチナ族)の探査、採
掘、ⅱリチウム鉱石の採掘、選鉱、ⅲ大豆油、菜種油、落花生油、綿実油、アブラツバキ種子
油、ヒマワリ種子油、パーム油等食用油脂の加工(中国側の持分支配)、米、小麦粉、粗糖の加
工、とうもろこしの高度加工、ⅳバイオ液体燃料(燃料アルコール、バイオディーゼル)の生
産(中国側の持分支配)
、ⅴオートバイの製造、ⅵ道路旅客輸送会社、ⅶ外国船の貨物の検数、
ⅷ信用調査と格付けサービス会社などがあります。
③ 禁止類の調整
禁止類については、地図に関連して、
「地上移動測量」が追加された点(本改正稿禁止類 17)
以外は、追加項目はありません。また、数項目の禁止類が削除されていますが、これは、国内
外の投資者に一致して適用される市場参入ネガティブリスト制度 4が実行されたことに伴うも
のであり、禁止類の項目が外資向けに緩和されたものではないと考えられます(つまり、市場
参入ネガティブリスト制度によって、国内外の投資者がいずれも規制を受ける)
。
2.今後の注意点
本改正稿は 2017 年 1 月 6 日にパブリックコメントの募集の段階が終了しており、年内に正式
な目録の公布・施行がなされるものと推測されます。本改正稿は、全体としては、外資への規
制を緩和するものとなっており、機を逸することなく緩和された分野への参入を検討するため
にも、本改正稿の変更箇所を確認しておくことが重要であると考えられます。
(3)「外商投資企業設立及び変更届出監督検査に関する業務の適切な実施についての通
知」(关于做好外商投资企业设立及变更备案监督检查有关工作的通知)
2016 年 12 月 13 日公布、同日施行
http://www.mofcom.gov.cn/article/h/redht/201612/20161202273940.shtml
同通知の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公
司に解説頂いた。
解説
1.主な内容
4
「市場参入ネガティブリスト制度の実行についての意見」
(国発[2015]55 号、2015 年 10 月 2
日公布、同年 12 月 1 日施行)等参照。
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中国では、2016 年 10 月 8 日に公布、施行された「外商投資企業設立及び変更届出管理暫定
弁法」5(以下「届出弁法」といいます)等の法令に基づき、外商投資企業の設立及び変更が審
査許可制から届出制に変更され、外商による投資の利便性が大幅に高められています。もっと
も、これと同時に、届出手続中及び届出手続後の監督管理について高い要求が出されており、
届出弁法でもその第三章において、外商投資企業及びその出資者の届出制度遵守状況に対する
商務主管部門の監督検査の実施について規定しています。このことを受け、本通知及び本通知
の付属文書である「外商投資企業設立及び変更届出監督検査ガイドライン」
(以下「本ガイドラ
イン」といいます)は、ネガティブリストにかかわらない6外商投資企業の設立及び変更に対す
る届出手続中・届出手続後の監督管理を強化し、外商投資企業及びその出資者に対する監督検
査業務を規範化するために制定されました(本ガイドライン第 1 条)
。その主な内容は以下のと
おりです。
(1) ランダム・サンプリングを主とする監督検査制度
本ガイドラインの規定によれば、監督検査は主にランダム・サンプリングの方法で行われ、
サンプリングの頻度及び抽出比率は検査機関がその主管区域の外商投資企業の設立及び変更の
届出の具体的状況に基づき確定しますが、原則として、サンプリングの頻度は一年につき 2 回
を下回らないとされています(本ガイドライン第 4 条)
。
上記のランダム・サンプリングの方法のほか、検査機関は、通報や関係部門若しくは司法機
関の提案及び報告状況に基づき、又は職権に応じて自発的に検査を開始することもできます(本
ガイドライン第 5 条~第 7 条)
。
(2) ランダム・サンプリングの抽出方法の確立
本ガイドラインでは抽出方法を以下の 2 種類とすることを明確に定めています(本ガイドラ
イン第 4 条)
。
① 対象を特定しないサンプリング
具体的には、検査機関が、公平で規範化された要求に従って、外商投資企業の届出番号に
基づき、3%を下回らない比率でその主管区域内の企業をランダムに抽出し、当該企業の「届
出弁法」遵守状況につき検査を実施することを指します。
② 対象を特定したサンプリング
具体的には、検査機関が、外商投資企業の投資規模、所属する業種、地理的区域等の特徴
に従って、適当な比率でランダムにその主管区域内の企業を抽出し、当該企業の「届出弁
法」遵守状況につき検査を実施することを指します。
(3)
ランダム・サンプリングで連続抽出された企業の除外制度の確立
本ガイドラインの規定によれば、ランダム・サンプリングで連続して抽出された企業は、同
時に以下の状況に該当する場合には、除外されその回のサンプリング名簿にリストアップされ
5
6
商務部令 2016 年第 3 号、2016 年 10 月 8 日公布、施行
ネガティブリストにかかわる場合には、引き続き審査許可制が採られています。
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ないことが可能とされています(本ガイドライン第 4 条)。
① 直近一回の検査において法規違反及び「届出弁法」の違反行為が発見されていない
② 二回の検査期間において、届出手続を行う必要のある変更事項が発生していない
もっとも、以下の状況のある企業には上記の除外制度を適用することはできません。
① クレーム・通報が多く、経営異常名簿に入れられている又は重大な違法記録等の状況
がある企業
② 一般大衆の生命・財産の安全にかかわる特殊な業種、重点区域の企業
(4) 不信記録の保存期間(3 年)
「届出弁法」の規定に従い、本ガイドラインでは、
「届出弁法」違反により公示された不信記
録については、外商投資企業が法規違反行為を是正し、かつ関連義務を履行した後の 3 年間に
「届出弁法」の違反行為が発生していない場合、検査機関は公示プラットフォーム上の当該不
信記録を削除しなければならないとされています。
2.今後の注意点
ネガティブリストに該当しない外商投資企業は、
「届出弁法」
、本通知及び本ガイドラインの
規定に従って法により設立及び変更等の届出手続を行わなければならず、例えば、ランダム・
サンプリングにより関連する年度の検査名簿に入れられた場合は、自発的に協力し、検査事項
に関するすべての資料を積極的に提供し、自社の届出状況について真実の説明を行わなければ
なりません。
もっとも、本通知及び本ガイドラインの公布によっても、次のような事項については未だに
不明確であると思われます。すなわち、上記 1(2)のとおり、本ガイドラインでは 2 種類の抽
出方法を具体的に挙げていますが、対象を特定しないサンプリングと対象を特定したサンプリ
ングが同時に実施されるのかそれともどちらか一つしか実際されないのか、また、対象を特定
したサンプリングにおいて挙げられている「投資規模」の大小、
「適当な比率」の割合等につい
ては、明確に規定されていません。加えて、上記(3)のとおり、本ガイドラインでは除外制度
にも言及していますが、除外制度を適用できない企業として挙げられている、
「クレーム・通報
が多い」
、
「重大な違法記録がある」
、及び「特殊な業種及び重点区域」の判断基準についても本
ガイドラインではより詳細な規定がなされていません。これらについては、今後の実務の取扱
いにおいて、検査機関の自由な意志によって決定されることが多いと思われ、その場合には各
地における実際の取扱基準が一致しないとの問題が出現する可能性があるため注意が必要です。
(4)
「環境保護税法」(环境保护税法)
2016 年 12 月 25 日公布、2018 年 1 月 1 日施行
http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2016-12/25/content_2004993.htm
同法の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司
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に解説頂いた。
解説
1.主な内容
1979 年に中国で「環境保護法(試行)
」7が公布され、汚染物排出における汚染物排出費納付
制度が正式に設けられ8、また、2003 年 7 月 1 日、国務院が「汚染物排出費徴収使用管理条例」
9
を公布し、汚染物排出の種類及び数量の査定、汚染物排出費の徴収及び使用等についてより詳
細に規定し、それが今日まで実施されています。もっとも、財政部税政司司長の王建凡が言う
ように、汚染物排出費制度には実際の実施において若干の問題(例えば、法執行における強靭
性の不足、地方政府及び部門の干渉等)が存在しており、当該制度の機能の効果的な働きに影
響を及ぼしています。本法の制定及び実施は、環境保護制度の整備をさらに強化するためのも
のであり、同時に、中国共産党第十八期第三回中央委員会全体会議の決定「若干の重大な問題
の改革を全面的に深化させることに関する中国共産党中央委員会の決定」10で提起された「環
境保護費の租税への変更の推進」に呼応して行われる、環境保護費を租税に変更する制度改革
でもあります。本法の主な内容は以下のとおりです。
(1) 新たな税目(環境保護税)の設定
費用から租税への変更は、本法で定め及び実施する改革の重点です。全国人民代表大会常務
委員会法制業務委員会経済法室副主任の王清が説明するように、本法では、汚染物排出費制度
から環境保護税制度への穏やかな移転の原則に従い、汚染物排出費の納付者を環境保護税の納
税者とし、また、現行の汚染物排出費徴収項目、費用計算規則及び費用徴収基準に基づき、環
境保護税の税目、課税額の算出根拠及び税額基準を設定しています。
(2) 課税対象汚染物の種類
本法は、汚染物排出費制度で対象となっている、費用を納付すべき汚染物の種類の四大分類
を引き継いでおり、それらを環境保護税の課税対象汚染物としています。具体的には、大気汚
染物、水質汚染物、固体廃棄物及び騒音です(本法第 3 条)
。
(3) 納税義務者
本法は汚染物排出費制度における汚染物排出者の概念を引き継いでおり、それらを環境保護
税の納税義務者としています。具体的には、環境に課税対象汚染物を直接排出する企業・公共
機関及びその他の生産販売者としています(本法第 2 条)。
同時に本法では、環境への汚染物直接排出に該当せず環境保護税の納付が不要なケースを、
7
全国人大常委会令第 2 号、1979 年 9 月 13 日公布、施行
「環境保護法(試行)
」第 18 条第 3 項
「国の規定する基準を超えて汚染物を排出する場合、排出する汚染物の数量及び濃度に従って、
規定に基づき汚染物排出費を徴収しなければならない。
」
9 国務院令第 369 号、2003 年 1 月 2 日公布、同年 7 月 1 日施行
10 2013 年 11 月 12 日公布、施行
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8
次のように明確に列挙しています(本法第 4 条)
。
① 企業・公共機関及びその他の生産販売者が、法により設立された汚水集中処理場、生活
ゴミ集中処理場所に課税対象汚染物を排出する場合
② 企業・公共機関及びその他の生産販売者が、国及び地方の環境保護基準に合致する施設、
場所で固体廃棄物を貯蔵又は処分する場合
(4) 課税額の算出根拠
課税額の算出根拠は、納付すべき税額を計算するための根拠です。課税対象汚染物はその他
の課税対象の収入とは異なり、収入・金額等の数量化が可能なデータが存在しません。このた
め本法では、課税対象汚染物の特徴を踏まえて、その課税額の算出根拠の確定方法をそれぞれ
次のように定めています(本法第 7 条)
。
① 課税対象大気汚染物:汚染物排出量から換算した汚染当量数によって確定する
② 課税対象水質汚染物:汚染物排出量から換算した汚染当量数によって確定する
③ 課税対象固体廃棄物:固体廃棄物の排出量によって確定する
④ 課税対象騒音:国の規定する基準を超えるデシベル数によって確定する
上記のうち、課税対象大気汚染物及び課税対象水質汚染物の当量数の計算式は以下のとおり
となっています(本法第 8 条)
。
課税対象大気汚染物及び課税対象水質汚染物の当量数=当該汚染物の排出量÷当該汚染物の
汚染当量値(汚染当量値は本法附表二「課税対象汚染物及び当量値表」に基づき確定)
また、各種汚染物の排出量をいかにして確定、計算するかも非常に重要であり、これについ
ては、下記の方法及び順序で計算すべきと本法で規定しています(本法第 10 条)
。
① 納税者が国の規定及びモニタリング規範に合致する汚染物自動モニタリング設備を設
置・使用している場合:汚染物自動モニタリングデータに基づき計算する
② 納税者が汚染物自動モニタリング設備を設置・使用していない場合:モニタリング機
関から出された国の関連規定及びモニタリング規範に合致するモニタリングデータに
基づき計算する
③ 排出する汚染物の種類が多い等の理由によりモニタリング条件を具備していない場
合:国務院の環境保護主管部門が規定する汚染物排出係数11、物質収支12方法に基づき
計算する
④ 上記の①~③に規定する方法で計算することができない場合:省、自治区、直轄市の
人民政府の環境保護主管部門が規定するサンプリングによる推算の方法に従って査
11
汚染物排出係数とは、正常な技術、経済及び管理条件の下で、一単位当たり製品を生産する
ために排出されるはずの汚染物量の統計による平均値をいいます(本法第 25 条)
。
12
物質収支とは、物質の質量不変の原理に基づき、生産過程で使用した原料、生産された製品
及び生じた廃棄物等を測量し計算する方法をいいます(本法第 25 条)
。
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定・計算する13。
(5) 納付すべき税額の計算方法
本法の規定によれば、納付すべき税額は、
「課税額の算出根拠×適用税額」となります(本法
第 11 条)
。
このうち適用税額は、本法附表一「環境保護税税目税額表」に基づき確定され、例えば大気
汚染物の適用税額は一汚染当量当たり 1.2 元~12 元、水質汚染物の適用税額は一汚染当量当た
り 1.4 元~14 元となっています。
(6) 環境保護税の徴収方法
本法では、環境保護主管部門が汚染物排出費を徴収していた(「汚染物排出費徴収使用管理条
例」第 14 条)当初の手法を変更し、本法に規定する環境保護税は税務機関が徴収・管理すると
しています。また、税務機関と環境保護主管部門間の租税にかかわる情報共有のためのプラッ
トフォーム及び業務協力メカニズムが構築されています(本法第 14 条、第 15 条)。
納税者の申告・納付方法は以下のとおりとなっています。
① 納税者が納税申告を行う税務機関:課税対象汚染物の排出地の税務機関(本法第 17 条)
② 申告・納付方法:次の 2 種類(本法第 18 条)
i.
ii.
月ごとに計算し、四半期ごとに申告する
一回ごとに申告する(固定の期間で計算・納付することができない納税者に限る)
③ 申告・納付期間:次のとおり(本法第 19 条)
i.
四半期ごとに申告・納付する方法:納税者は四半期の終了する日から 15 日以内に納税
申告を行いかつ税金を納付しなければならない
ii.
一回ごとに申告・納付する方法:納税者は納税義務が発生した日から 15 日以内に納税
申告を行いかつ税金を納付しなければならない
なお、納税義務の発生日は、納税者が課税対象汚染物を排出した当日となります(本法第 16
条)
。
(7) 租税減免制度
汚染物排出費に減免制度がないのとは異なり、企業の環境保護意識を向上させ及び環境保護
に関する責任を増大させ、企業の排出削減を奨励するために、本法では次のような租税減免政
策が定められています(本法第 12 条、第 13 条)
。
① 環境保護税の一時的な免除
以下のいずれかの場合、環境保護税の徴収が一時的に免除されます。
i. 農業生産(一定規模以上の養殖は含まない)において課税対象汚染物を排出する場合
13
サンプリングによる推算の方法で汚染物排出量を査定・計算する場合には、税務機関が環境
保護主管部門と共同で汚染物排出の種類、数量及び納付すべき税額を査定します(本法第 21
条)
。
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ii. 自動車、鉄道車両、非道路用の移動機械、船舶及び航空機等の流動汚染源が課税対
象汚染物を排出する場合
iii. 法に基づき設立された、都市・農村部の汚水集中処理、生活ゴミ集中処理場所が相
応の課税対象汚染物を排出し、国及び地方が規定する排出基準を超えない場合
iv. 納税者が総合的に利用する固形廃棄物が国及び地方の環境保護基準に適合する場合
v. 国務院が免税を許可するその他の場合
② 環境保護税の減税
以下のいずれかの場合、環境保護税が軽減されます。
i. 納税者が排出する課税対象大気汚染物又は水質汚染物の濃度値が国及び地方が規定
する汚染物排出基準の 30%を下回る場合:環境保護税を 75%に軽減して徴収する
ii. 納税者が排出する課税対象大気汚染物又は水質汚染物の濃度値が国及び地方が規定
する汚染物排出基準の 50%を下回る場合:環境保護税を 50%に軽減して徴収する
2.今後の注意点
費用から租税への制度改革は一大プロジェクトです。本法では、環境保護税の課税対象、税
目、課税額の算出根拠、及び税額基準等について原則的な規定がなされています。目下のとこ
ろ本法の実施細則はまだ制定されていません。もっとも、国の関係部門は、本法が施行される
2018 年 1 月 1 日より前に本法に関する実施細則、具体的な政策又は徴収・管理措置を制定し、
本法に実行性を持たせるものと推測することができます。環境保護税の納税義務者となりうる
日系企業においては、これらの動向に注意を払う必要があります。
(5)
「企業簡易抹消登記の改革の全面的推進についての指導意見」
(关于全面推进企业简易注销登记改革的指导意见)
2016 年 12 月 26 日公布、2017 年 3 月 1 日施行
http://www.saic.gov.cn/zwgk/zyfb/zjwj/xxzx/201612/t20161229_173811.html
同意見の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公
司に解説頂いた。
解説
1.主な内容
2016 年 5 月 23 日に公布された「2016 年における政府機関の統廃合・権限委譲、管理の合理
的な緩和と強化、サービスの適正化の改革業務推進の要点の印刷・配布についての国務院の通
知」14において、商事制度の改革を継続的に推進し、工商登記の全過程の電子化、名称登記、
住所に関する条件の緩和とともに簡易抹消登記の改革の試行を加速・促進しなければならない
ことが明確に提起されました。本指導意見は、当該背景の下、市場撤退メカニズムを完全なも
14
国発[2016]30 号、2016 年 5 月 23 日公布、施行
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のにし、企業の抹消の効率を高め、ひいては市場メカニズムの効率を高めるために制定されま
した。その主な内容は以下のとおりです。
(1) 簡易抹消登記手続の非強制性の明示
本指導意見では、簡易抹消登記手続は非強制的なものであり、通常の抹消手続を適用するか
それとも簡易抹消手続を適用するかは企業が自主的に選択すると明確に規定されており(本指
導意見第 2 条第 1 項)
、企業の自己決定権が十分に尊重されています。
(2) 簡易抹消登記が適用可能な企業形態
本指導意見は、簡易抹消登記が適用可能な企業形態を以下のとおり掲げています(本指導意
見第 2 条第 1 項)
。
① 営業許可証の交付を受けた後、経営活動を行っていない企業
② 抹消登記の申請前に債権債務が発生しておらず又は債権債務の清算が完了している有
限責任会社
③ 会社以外の企業法人
④ 個人の独資企業
⑤ 組合
(3) 簡易抹消登記が適用できない場合
企業簡易抹消登記手続は市場撤退メカニズムの作用効率の向上、市場撤退コストの低下に資
するものの、簡易抹消登記が適用可能な企業形態に該当するとしても、債権者の利益を損なう
可能性があり、若しくは違法な各種の状況が存在し、又は国の利益を保障するため、通常の抹
消手続を実施する必要がある場合があります。本指導意見では、このような場合について規定
しており、具体的には、以下の場合には、簡易抹消登記は適用できないとされています(本指
導意見第 2 条第 1 項)。
①
国が実施すると規定した参入特別管理措置(ネガティブリスト)にかかわる外商投資
企業
②
企業経営異常名簿又は重大な違法・信用失墜企業名簿に入れられている場合
③
持分(株主資本)が凍結されている、質権又は動産担保が設定されている等の状況が
存在する場合
④
現在立件され調査されている又は行政強制、国際司法共助を取られている、行政処罰
を受けている等の状況がある場合
⑤
企業に所属する非法人の支分機関が抹消登記を行っていない場合
⑥
簡易抹消手続を終了されたことがある場合
⑦
法律、行政法規又は国務院の決定により、抹消登記の前に許可を得る必要があると規
定されている場合
⑧
その他の場合
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(4) 簡易抹消登記手続の流れ及び申請資料
本指導意見の規定によれば、条件に合致する企業が簡易抹消登記を行う場合、以下の流れに
従わなければなりません(本指導意見第 2 条第 2 項)。
①
第一ステップ
国家企業信用情報公示システムの「簡易抹消公告」の特別欄を通じて、簡易抹消登記を申請
する予定であること及び出資者全員の誓約等の情報を社会に公告する。公告期間は 45 日。
②
第二ステップ
工商登記機関に申請資料を提出する。通常の抹消手続15と比べて、簡易抹消登記の申請資料
は次のように簡素化されています。
i.
ii.
「申請書」
「指定代表者又は共同委任代理人授権委任状」
iii.
「出資者全員の誓約書」
iv.
営業許可証の正本・副本
(5) 簡易抹消登記を違法適用した場合の処理及び利害関係人の救済
簡易抹消登記手続を適用することができない企業が、状況の隠蔽、詐術等の方法により簡易
抹消登記を行った場合について、本指導意見では次の処理及び利害関係人の救済が規定されて
います(本指導意見第 2 条第 3 項)
。
①
処理
登記機関は、法により抹消登記の取消等の処理をし、企業の主体資格を回復させるとと
もに、当該企業を重大な違法・信用失墜企業名簿に入れ、かつ企業信用情報公示システム
を通じて公示することができる。
②
利害関係人の救済
利害関係人は民事訴訟を通じてその相応の権利を主張することができ、企業簡易抹消手
続を悪意で利用して債務を逃れ又は他人の適法な権利を侵害した場合については、利害関
係人は民事訴訟を通じてその出資者に対しその相応の民事責任を主張することができる。
2.今後の注意点
日系企業においても、企業登記の抹消により市場から撤退することを予定している場合、自
らの実際の状況に応じて、撤退コストを下げ、撤退の効率を高めるために簡易抹消登記手続の
利用を検討することが考慮に値します。
15
通常の抹消手続では、企業は通常、抹消登記を行うために工商登記機関に(1)
「申請書」
、
(2)
「指定代表者又は共同委任代理人授権委任状」、
(3)会社定款に規定する最高権力機関による決
議書又は決定書、
(4)清算報告書、
(5)税務部門が発行した租税完納証明書、(6)税関部門が
発行した関連事項処理済み・完結の又は関連手続を行っていないことの証明書、
(7)公開発行
されている新聞における抹消公告の見本、
(8)清算委員会メンバーの「届出確認通知書」、
(9)
営業許可証の正本・副本の申請資料を提出する必要があります。
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(6)
「税関総署による 2017 年版「HS 品目表」改正リストの公布」
(海关总署发布 2017 年版《协调制度》修订目录)
2016 年 9 月 2 日発布
2017 年 1 月 1 日より施行
http://www.customs.gov.cn/publish/portal0/tab49661/info817050.htm
同リストの主な内容、企業への影響について、徳勤華永会計師事務所に解説頂いた。
解説
1.主な内容
税関総署は 2016 年 9 月 2 日に 2017 年版「商品の名称及び分類についての統一システムに関
する国際条約」
(
「HS 条約」
)における HS 品目表改正リストの中国語版を公布した(税関総署公
告 2016 年第 48 号)
。当該改正リストは 2017 年 1 月 1 日から発効する。
1.背景
HS 品目表は世界税関機構(
「WCO」
)によって制定された貿易取引ツールであり、
「国際貿易の
世界共通言語」として知られている。現在、200 以上の国・地域及び経済連合が HS 品目表を使
用しており、
世界の貿易の 98%以上は HS 品目表に基づく品目分類が行われている。
HS 品目表は、
6 桁の番号によって構成される多目的の商品分類リストであり、主に下記の用途に用いられる:

関税率の設定

原産地の決定(例えば、
「HS コードの 4 ケタ変更(CTH ルール)
」は原産地規則の
一つとして用いられている)

内国税の徴収(例えば、特定の品目に分類される商品に対して、輸入段階で課さ
れる消費税)

貿易交渉(例えば、世界貿易機関(WTO)譲許表や情報技術協定(ITA)譲許表な
どに関する交渉)

貿易制限品目のモニタリング(廃棄物、麻薬、化学兵器、オゾン層破壊物資など)

その他の用途(例えば、中国における輸出税額還付率表の作成)
WCO は 5 年ごとに HS 品目表の見直しを行っている。2017 年版の HS 品目表は、貿易と産業の
現状とトレンドに合わせて、2012 年版に基づき改正されたものである。中国は、2017 年から
WCO による 2017 年版 HS 品目表を実施する予定であり、今回公布された 48 号公告は、WCO によ
る 2017 年版 HS 品目表における改正リストの中国語版に当たる。
2. 2017 年版 HS 品目表における主な変更点
2017 年版 HS 品目表は 2012 年版と比べて、計 242 箇所の改正が行われており、農産品、
化学品、機械・電器製品、交通手段などの分野をカバーしている。例えば:
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
環境・社会問題への取り組みとして、魚介類、竹製品、木製品に関 する品目分類の
調整を通じて、特定の資源に対するモニタリングと 管理を改善する。

国際条約によって定められた特殊化学品、危険化学品、残留性有機 汚染物質につい
て、新たに「号」
(上 6 桁番号)を設けることで、 そのモニタリングと管理を改善
する。

技術の進歩に合わせて、新聞紙のサイズ基準、LED 電球(チュー ブ)、マルチコン
ポーネント IC、ハイブリッドカー、純電気自動車 に関する調整が行われた。

貿易業態の変化に対応するため、一部の商品に対して、既存の 「号」に再分類する、
新たに「号」を設ける(例えば、ノンアルコ ールビール)などの調整が行われた。
3.潜在的な影響
2017 年版 HS 品目表の施行に伴い、輸出入企業は品目分類、税負担、貿易管理、コンプライ
アンスなどの面で影響を受けることが予想される。下表では、一部の商品を取り上げて、潜在
的な影響について説明する。
商品
調整
新エネルギ
純電気自動車と
ー自動車
ハイブリッドカ
エネルギー自動車のキーパーツに対して税収優遇を
ーについて、新
与えることで、その輸入を奨励してきた。しかし、完
たに「号」
(上 6
成車を輸入する場合、新エネルギー自動車は伝統的な
桁番号)を設け
自動車と同様に、25%の税率が適用される。
る
コメント


産業発展の支援と省エネへの取り組みとして、国は新
2017 年版 HS 品目表の施行後、新エネルギー自動車に
税収優遇(例えば、輸入段階でより低い暫定税率が適
用される)が与えられるか否かについては、明確化が
待たれる。関係企業は、政策の動向に留意し、意見公
募に積極的に参加することが推奨される。

マルチコン
集積回路(IC)
ポーネント
の類注を調整
は部品・コンポーネントに分類されることが多く、品
IC
し、マルチコン
目分類や輸入関税率適用の間違いが起きやすく、論争
ポーネント IC を
に発展しやすい。
IC の所属項(即

現在、一般的な実務として、マルチコンポーネント IC
2017 年版 HS 品目表の施行に伴い、マルチコンポーネ
ち 85.42)に含め
ント IC は、IC として 85.42 項に分類されることが明
た
確化されたため、品目分類上の間違いの減尐と通関手
続の利便性を高める上で有利である。

留意点として、85.42 項に分類されるその他の商品と
は異なり、マルチコンポーネント IC の輸入はゼロ関
税を適用できず、ITA に基づき関税が課される。ただ
し、適用税率は年度ごとに引き下げられる。
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LED 電球
(チ
新たに号を設け
ューブ)
る

現在の実務において、LED 電球(チューブ)の品目分
類は統一されておらず、85.43 項に分類する税関と、
94.05 項に分類する税関が存在する。今回の改正は、
品目分類に関する論争の減尐、及び実務の規範化に有
利である。

LED 電球(チューブ)に適用される輸入関税率と輸出
還付率については明確にされておらず、関係企業は今
後の政策動向に留意する必要がある。
混合済又は
新たに号を設け
未混合の免
る

新たに号を設けたことによって、免疫産品の範囲が明
確化され、品目分類に関する論争の減尐、及び実務の
疫産品
規範化に有利である。

現行の実務において、免疫産品は一般的に 3002.10 に
分類され、輸入時に暫定的にゼロ税率が適用される。
2017 年版 HS 品目表の施行後、免疫産品は引き続きゼ
ロ関税の適用を受けられることが予想される。関係企
業は今後の政策動向に留意する必要がある。
比重が 0.94
新たに号を設け
未満のエチ
る

直鎖状低密度ポリエチレンはエチレン−α−オレフィ
ン共重合体の一種として、その優れた性能を以て、薄
レン−α−オ
膜と電線・ケーブル製造業に幅広く応用されている。
レフィン共
直鎖状低密度ポリエチレンに適用すべき HS コードに
重合体(直
ついては、グローバルな範囲での論争が存在する。例
鎖状低密度
えば、中国は 3901.9020 に分類するのに対して、米国
ポリエチレ
では 39011050.10 に分類している。
ンを含む)

新たな号の設定は、グローバルにおける当該商品の品
目分類の統一に有利である。プラスチック製造業は、
HS コードの変動に伴う中国輸入関税率と輸出還付率
の調整に留意する必要がある。
2.企業への影響
HS 品目表は 5 年ごとに見直されるため、今回の改正は、これより長期的に企業に持続的な影
響を与えることが予想される。改正リストに記載された商品を取り扱う企業は、今回の改正に
細心の注意を払い、潜在的な影響を評価するとともに、速やかに対応する必要がある。関係企
業には、下記の対応措置が推奨される。

新たに号が設けられた商品について、適用関税率と輸出還付率に関する政策の動向に
留意すること。

最新版の HS 品目表と類注に基づき、HS コードの変更が必要である取扱商品の有無を確
認し、必要に応じて社内又は社外の部門に連絡すること。
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
貿易自動化システムを利用している企業は、HS コードと関連情報の更新を遅滞なく行う
こと。

HS コードの変更は、以前の申告における HS コードの正確性に対する税関の質疑を引き
起こす可能性があるため、予めリスク評価を行い、必要に応じて、自主開示を通じて処
罰の減軽を図ること。

商品仮分類制度を合理的に利用し、自主的に税関とコミュニケーションを取ることで、
リスクの事前対応とコンプライアンス確保を図ること。

今回の改正によってもたらされたチャンスと困難を評価し、事前に対応策を講じること
でコンプライアンスを確保すること。
(7)
「営改増に関する新規定:金融、不動産などの業界政策の明確化」
(营改增新文件明确金融、房地产等行业政策)
2016 年 12 月 21 日発布
2016 年 5 月 1 日より施行
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c2425059/content.html
同規定の解説について、徳勤華永会計師事務所に解説頂いた。
解説
財政部と国家税務総局は 2016 年 12 月 21 日に共同で財税[2016]140 号通達(以下、
「140 号通
達」
)を公布し、財税[2016]36 号通達(以下、
「36 号通達」)では明確な定めのなかった内容の
一部、即ち金融、不動産開発などの業界に関する増値税の取扱いについて規定した。これを受
け、国家税務総局は 12 月 24 日に 2016 年第 86 号公告16(以下、「86 号公告」
)を公布し、関連
の徴収管理事項について詳しく定めるとともに、増値税改革(以下、「営改増」)に関する若干
の実務問題について明確に規定した。当該通達のキーポイントを下記の通りまとめた。
1.主な内容
【金融サービス業】

金融商品の保有期間(期限到来を含む)の収益
36 号通達において、
「金融商品の保有期間(期限到来を含む)の利息(元本保証収益、報酬、
資金占用費、補償金等)収入は、貸付サービスとして増値税を納付する」と規定された。140
号通達は、
「上述の“元本保証収益、報酬、資金占用費、補償金”に該当するか否かは、契約書
において「期限到来時に元本の全額返還を保証する」ことを明確に約定したか否かにより判断
する。金融商品の保有期間(期限到来を含む)における元本非保証の収益は、利息及び利息性
質の収入に該当せず、増値税を徴収しない」ことを明らかにした。
上述の規定は、元本非保証型金融商品の保有期間の収益に対する不徴収優遇措置を明らかに
16
参考 http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c2435263/content.html
Page 17 of 23 第 183 号(2017 年 1 月 23 日発行)
するものであり、元本保証収益と元本非保証収益に対する納税者と税務当局の判断基準の統一、
及び政策適用の規範化に有利である。
ただし、留意点として、会計処理が利息の性質に関する判断に影響を及ぼす可能性について
は、要観察である。実務では、一部の元本非保証型金融商品は、保有期間の収益を利息収入と
して会計処理を行うケースも存在するが、その場合、増値税の不徴収優遇措置の適用に影響を
及ぼすか否かについては論争が存在する。類似のケースについて、36 号通達では「通貨資金を
投資して得た固定利益あるいは最低保証利益は、貸付サービスとして、増値税を納付する」と
規定されているが、実務では、通貨資金を投資して得た変動金利型の利益あるいは最低保証の
ない利益に対して、利息収入として会計処理を行った場合、増値税の取扱いについて同様の問
題が存在する。

金融商品を期限到来まで所有する行為
140 号通達において、
「納税者がファンド、信託、理財商品等の各種の資産管理商品を期限到
来まで所有する行為は、36 号通達において定められた“金融商品の譲渡”に該当しない」こと
が明確に規定された。
実務では、金融商品を期限到来まで所有する行為が金融商品の譲渡に該当するか否かについ
て、長きに渡って議論されてきた。金融商品の期限到来に伴い償還を受ける行為は、金融商品
を譲渡する行為に類似するため、金融商品の譲渡として関連の収入に対して流通税を課すべき
という考えが存在したが、140 号通達の公布により、これまでの論争が解決されることが見込
まれる。
留意点として、金融商品を期限到来まで所有した場合、所有期間の利息収入に対して、貸付
サービスとして増値税を納付する必要がある。所有期間の収益が利息収入に該当するか否かは、
前述した元本保証収益と元本非保証収益の判断基準に基づき考察した上で、判断する必要があ
る。

延滞未収利息
36 号通達の規定によれば、金融企業が貸付をした後、利息の支払日から 90 日を経た後に発
生した未収利息(以下、
「延滞未収利息」)は暫定的に増値税を納付せず、実際に利息を受け取
った時に増値税を納付する。この政策の適用を受けられる金融企業は、銀行、都市信用組合、
農村信用組合、信託投資会社、金融会社に限定される。
140 号通達の規定により、証券会社、保険会社、ファイナンスリース会社、証券基金管理会
社、証券投資ファンド、及び中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委
員会、中国保険監督管理委員会(即ち、“一行三会”)の認可を得て設立され、且つ金融保険業
務に従事する機構も、上述の政策の適用を受けられるようになった。
ただし、留意点として、実務において、金融保険業務に従事する小口融資会社、質屋、担保
会社など、
“一行三会”の認可を得て設立された金融企業に該当しない金融企業は、発生した延
滞未収利息について、原則として上述の政策の適用を受けられない。
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
資産管理商品の増値税納税義務者
140 号通達の規定によれば、資産管理商品の運営過程で発生した増値税の課税行為は、資産
管理商品の管理者が増値税の納税義務者となる。
資産管理商品の運営過程における納税主体の認定について、これまで明らかにされなかった。
関連の納税義務は資産管理商品の管理者(例えばファンド管理者、信託会社など)が履行すべ
きか、投資家が履行すべきかについて、明確なルールがなく、実務において混乱を招いた。140
号通達は、管理者の納税義務をある程度明確化しており、管理者の増値税コンプライアンス義
務に著しい影響を与えるものである。実務において、同時に複数の資産管理商品を担当する管
理者は今後、監督管理要求への対応として、これまで通りに資産管理商品別に記帳、採算、財
務報告の作成を行うほか、増値税の取扱い(例えば、各商品の収益が増値税課税収入に該当す
るか否かの判断)についても管理する必要性が生じており、大きなチャレンジと言える。
また、税額の計算と申告、発票の発行と税額控除などに関する具体的な取り扱いについては、
明確化が待たれる問題が尐なからず存在する。例えば:

増値税の課税状況について、資産管理商品別に独立採算しなければならないか?(即
ち、ある商品の売上税額に対して、その他の商品又は管理者自身の仕入税額を控除に使
用してはならないか?)管理者は自身の担当する複数の資産管理商品を合算して納税で
きるか否か、また、管理者自身の増値税と合算して納税できるか否か。

資産管理商品についてサービスを提供する機構、例えば引受人、法律・会計関係の仲介
機構などは、取得したサービス費について資産管理商品の管理者に発票を発行する必要
があるか否か。管理者は、取得した資産管理商品の管理サービス費について、自身に発
票を発行し、仕入税額控除を行う必要があるか否か。


投資家が資産管理商品から取得した収益について、増値税を納付する必要があるか否か。
営改増以前の金融商品譲渡損失
納税者が 2016 年度営改増以前(即ち 2016 年 1~4 月)に金融商品を売却し、損失(即ち譲渡
損失)が出た場合、その損失を営改増以降の増値税課税期間に繰り越すことができるか否かは、
多くの注目を集めてきた。140 号通達は、2016 年 1~4 月の譲渡損失を以降の課税期間に繰り越
し、2016 年 5~12 月の金融商品売却収入との相殺処理が可能であることを明確にした。
留意点として、営改増以前は、金融企業は 1 会計年度内の各課税期間に発生した譲渡益と譲
渡損について損益通算を行い、その上で当該年度の営業税納付税額を計算できるが、営改増以
降は、この取り扱いはそのまま増値税の税額計算に引き継がれるか否かは、まだ明確にされて
いない。例えば:

2016 年 1~4 月に譲渡益が、5~12 月に譲渡損が出たと仮定して、納税者は損益通算を行っ
た上で、1~4 月分の営業税還付を申請できるか否か。

2016 年 1~11 月に譲渡益が、12 月に譲渡損が出たと仮定して、納税者は損益通算を行っ
た上で、1~11 月分の増値税還付を申請できるか否か。
140 号通達において、上述の取り扱いへの言及はなかった。
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 ファイナンスリースに従事する納税者の範囲
140 号通達の規定によれば、36 号通達でいう「人民銀行、銀行業監督管理委員会或いは商務
部の認可を得て」
、
「商務部の授権した省レベルの商務主管部門および国家経済技術開発区の認
可を得て」ファイナンスリース(セール・アンド・リースバックを含む)に従事する試験対象
納税者(増値税一般納税者を含む)は、上述の部門にて届出登録を行った試験対象納税者を含
む。この規定により、差額徴収規定(試験対象納税者が非試験対象納税者に支払った金額を課
税対象から控除できる)の適用を受けられるファイナンスリース事業納税者の範囲が実質的に
拡大した。
【不動産業】
項目
140 号通達による規定
コメント
課税収入の
増値税一般納税者の不動産開発企業が不動産開
実務において、当該 2 つの
控除項目
発プロジェクト(簡易課税方式の適用を選択した
控除項目に該当する支出は、
旧プロジェクトを除く)を販売し、増値税課税収
ディベロッパーの原価にお
入を計算する際、販売価額及び販売価額以外の費
いて高い比率を占めている
用から控除できる費用として、従来のものに加
ため、140 号通達による規定
え、以下 2 つの控除項目を新たに追加する。
は、不動産開発企業にとって
●企業が土地譲受人として政府部門に支払った
増値税課税収入の大幅低減
立ち退き補償費、土地前期開発費、土地使用権譲
に繋がる大きなアドバンテ
渡益など
ージと言える。
●企業が土地使用権を取得する際、その他の組織
単位又は個人に支払った立ち退き補償費
土地価額の
不動産開発企業(複数の不動産開発企業からなる
不動産開発企業が土地価額
控除主体
企業連合を含む)が政府に土地価額を支払って土
を支払った後、プロジェクト
地使用権を譲り受けた後、プロジェクト開発会社
開発会社を立ち上げて、当該
を立ち上げて土地開発を行い、且つ下記の条件に
土地の開発を担当させるケ
合致する場合、プロジェクト開発会社が規定に基
ースが存在する。その場合、
づき、不動産開発企業が政府部門に支払った土地
増値税課税収入を計算する
価額を費用項目として控除できる。
際、土地価額の控除を行う納
●不動産開発企業、プロジェクト開発会社、政府
税主体はどちらにすべきか
部門が三者協議又は補充協議を締結して、土地譲
(土地価額を支払った不動
受人をプロジェクト会社に変更すること。
産開発企業か、それともプロ
●土地の用途、開発計画などの土地出譲条件に変
ジェクト開発会社か)につい
更がないことを前提として、変更協議又は補充協
て、これまで明確にされなか
議を締結する場合、土地価額の総額が変化しない
った。140 号通達は、この場
こと。
合の取り扱いについて具体
●プロジェクト開発会社の全持分が、土地使用権
的なガイダンスを提供した。
を譲り受けた不動産開発企業によって保有され
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ること。
控除時点
86 号公告の規定により、上述 「課税収入の控除
項目」
、
「土地価額の控除主体」の規定に基づき増
値税課税収入の計算時における控除が認められ
-
たが、控除しなかった支出は、2016 年 12 月(税
額の属する課税期間)から、現行の規定に基づき
控除を行う。
不動産賃貸
86 号公告の規定により、納税者が不動産を貸し
出し、賃貸契約書において一定期間の賃料を免除
すると約定した場合、増値税の見なし販売行為に
-
該当せず、見なし販売ルールに基づき増値税売上
税額を計算し納付する必要がない。
【その他】
140 号通達による規定
コメント
飲食店のテイクア
飲食業に従事する納税者がテ
「飲食サービス」として 6%の増値税税
ウト食品
イクアウト食品の販売につい
率が適用されるテイクアウト食品は、自
て、「飲食サービス」として増
作のものに限定されるか否かは、明らか
値税を納付する。
にされていない。実務において、自作で
飲食サービスを主要業務とす
はないテイクアウト食品を販売する場
る納税者は、イートイン食品と
合、貨物の販売とみなして 17%或いは
テイクアウト食品両方の販売
13%の税率を適用すべきと主張する税務
について、6%の税率に基づき増
当局が出てくるかが注視されている。
値税を納付することになる。
会議展覧サービス
ホテル、旅館、ホステル、リゾ
ート、及びその他の営利目的の
宿泊施設による会議場所及び
それに関連するサービスの提
-
供は、「会議展覧サービス」と
して増値税を納付する。
教育補助サービス
増値税一般納税者が提供する
教育補助サービス(例えば教育
評価、試験、生徒募集など)は、
簡易課税方式の適用を選択し
-
て、3%の徴収率に基づき増値税
を計算し納付することができ
る。
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2.新規定の実施
状況
140 号通達の各規定の実施
処理方法
新政策の大部分は 2016 年 5 月 1 日に遡
根拠
140 号通達
及適用される。
徴収免除又は不徴収の対象に該当す
徴収済みの増値税は以降の月の増値税
るが、すでに増値税を納付した場合
納付税額から控除することができる。
納税者がすでに買い手に増値税専用
発行した増値税専用発票を回収しなけ
発票を発行した場合に、140 号通達
ればならない。
140 号通達
86 号通達
の規定により、徴収免除又は不徴収
の適用を受ける場合
課税対象と適用税率の調整に関わる
a) 過多納付分の売上税額は以降
場合(例えば、前述の飲食サービス、
の月の売上税額から控除する
会議展覧サービスなど)
ことができる。
a) 140 号通達の新規定による適
b) 過尐納付分については調整申
用税率よりも従来の適用税
告を行う必要がなく、2016 年
率が高い場合
12 月(税額の属する課税期間)
b) 140 号通達の新規定による適
用税率が従来の適用税率よ
86 号通達
から、
140 号通達の規定により、
高い税率で納税する。
り高い場合
将来において、企業が過多納付した増値税を控除しきれない状況が長く続いた場合、税額の
還付を申請できるか否かについては、新規定において言及されていない。関連の企業は、税額
還付の適用可能性と実現可能な実施方法について所轄の税務当局と相談することも可能である。
2.企業への影響
全体的に見て、140 号通達と 86 号公告は金融、不動産などの業界における典型的な増値税問
題について、具体的な取り扱いを明確にしており、法執行の規範化や税務論争の減尐に有用で
ある。特に、不動産開発にかかる増値税課税収入に対する控除項目の追加や飲食店のイートイ
ンとテイクアウト食品に対する税務処理の統一化は、税負担の減軽や実務手続きの利便性向上
に有利である。一方、一部の企業(例えば、資産管理商品の管理者)は増値税のコンプライア
ンス義務が重くなる可能性があるため、関連のリスクに留意し、積極的に対応する必要がある。
営改増の全面的推進に伴い、実務では、今後も業界政策の不明瞭さが浮き彫りになることが
予想される。国家の財政、税務部門は引き続き情報とフィードバックの収集に努め、問題解決
のための新規定を公布することが期待される。納税者は引き続き関連の動向に留意されたい。
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<2>知っておきたい中国語<第百八回>~2017 春節編
みなさん、こんにちは。
2017 年の春節は 1 月 28 日です。法定休日は 1 月 27 日の「除夕」
(大晦日)から 2 月 2 日
の1週間になります。しかし春節期間は、この1週間だけではありません。春節は、かな
り早くから前段階が始まり、「除夕」の日に「年夜饭」(一家団らんの食事)で盛大に春節
を迎え、旧暦の「元宵节」まで余韻を残しつつ終了します。ちなみに 2017 年の元宵节は 2
月 11 日になります。
「你们什么时候放假?」
(いつからお休みにはいりますか?)、「你回家吗?」
(故郷に帰
りますか?)
、中国の人たちが、この会話を始めたら春節モードに入ります。
「奖金」(ボー
ナス)をもらって、
「年货」
(お正月用品)を購入して、「春运」(帰省ラッシュ)の中で、大
きな荷物を抱えて故郷に帰ります。今年の「春运」は、春節1月 28 日を挟んで、1 月 13 日
~2 月 21 日までの 40 日間にわたり実施されます。予測ではこの期間に延べ 29 億 7,800 万
人が移動するらしいです。
飛行機より安い列車のチケットは発売後あっという間に完売になりますので、12 月 25 日
の列車チケット発売日より「春运」の「抢票大战」
(チケット争奪戦)が始まります。
「抢」
は「ひったくる、奪いとる、先を争う、我先に行う」のことを指し、ある意味で春節の帰
省チケットを手に入れるには、我先に奪いに行かないと購入できません。かつては駅のチ
ケット売り場(售票点)まで出向いて、長蛇の列並ばなければなりませんでしたが、いま
は、9 割以上の人が、各種の「抢票」アプリを使ってネットで買います。
禁售禁放烟花爆竹(花火や爆竹の抑制)
今年は春節を前に、花火や爆竹を市中心部では抑制するように、との市民への呼びかけ
がなされています。北京市では応急対策として、
「オレンジ警報」 「赤色警報」 の発令な
ど深刻な大気汚染が発生した場合に、全市にわたり花火と爆竹を禁止するほか、花火と爆
竹の配送や販売を一時停止するとしました。また今年は、市中心部に当たる第三環状路内
では、花火や爆竹の販売店(烟花爆竹零售网点)が設置されなくなっており、市当局が許
可した花火や爆竹の販売店は今年計 511 カ所で、前年比 208 カ所 (28.9%) の減尐とな
ります。三環路内で販売店が消えるのは、北京市で花火や爆竹が解禁された 2006 年以来、
初めてのことです。
春节庙会(春節廟会)
日本のお正月と言えば「初詣」ですが、中国でそれに該当するものとしては「逛庙会」と
いう風俗習慣があります。
「庙会」は春節の期間中に行われる伝統行事の一つで、各地で開
催されます。北京での有名な「庙会」は、「地坛春节文化庙会」、
「北京龙潭春节文化庙会」
、
「北京陶然亭厂甸庙会」、
「北京大观园红楼庙会」などがありまして、テーマパークとフリ
ーマーケットが合体したようなイメージで、中国各地の料理が屋台で食べられる他、
「舞狮」
(獅子舞)や各民族の雑技・伝統舞踏などを見ることもできます。また、場所によっては
各地域の物産展示会が催されることもあります。
いよいよ春節が近づきまして、この場をお借り致しまして、「给大家拜个早年!」(皆さ
んに早めに新年の挨拶をいたします。)
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