最近の国際金融情勢について

関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会 配布資料
最近の国際金融情勢について
Ⅰ.世界経済の動向等
Ⅱ.最近のG7・G20における議論
Ⅲ.Brexit
Ⅳ.米国大統領選
Ⅴ.中国経済の動向
Ⅵ.開発関係
Ⅶ.その他
平成29年1月24日
財務省国際局
資料2
Ⅰ.世界経済の動向等
IMFによる世界経済見通しの概要(2017年1月)
【経済見通し】
• 2017年、2018年において、経済活動は、特に新興国でペースを上げると予測される。しかし、米国次期政権の
政策やその波及効果に係る不確実性がある。
•
2017年、2018年の世界経済の成長見通しは、2016年10月の見通しから変更はなく、2017年が3.4%、2018年が
3.6%となっている。先進国の成長見通しは、2016年後半の景気回復、米国が財政刺激を行う見通しであることを
反映し、2017年は1.9%(2016年10月比+0.1%)、2018年は2.0%(同+0.2% )に上方改定された。
• 日本経済の成長見通しは、2017年は0.8%(2016年10月比+0.2%)、2018年は0.5% (同±0.0%)となっている。
(※)2017年の上方改定は、主として、足元の輸出の伸びが(2016年10月の想定より)高いことに伴うもの。
•
新興国の成長見通しは、金融環境のタイト化に伴い、2017年は4.5% (2016年10月比▲0.1%)に下方改定、2018
年は4.8%(同±0.0%)となっている。2017年の中国の成長見通しは、予定されている財政刺激策を考慮し、6.5%
(同+0.3%)に上方改定されたが、インド・ブラジル・メキシコを含めた他の新興国で、成長見通しは下方改定され
ている。
【リスク】
• 下方リスクとしては、①内向き志向な政策及び保護主義へのシフト、②予想を上回る金融環境のタイト化、③
中国経済の減速、④地政学的な緊張が存在している。
•
一方で、短期の上方リスクとして、中国及びアメリカにおいて想定を上回る財政刺激策が実施されると、世界経
済の成長は加速しうる。
4
IMFによる世界経済見通しの推移(2017年1月)
(対前年比GDP成長率、単位:%)
2016
2017
2018
16.07
時点
16.10
時点
17.01
時点
16.07
時点
16.10
時点
17.01
時点
16.10
時点
17.01
時点
日本
0.3
0.5
0.9
0.1
0.6
0.8
0.5
0.5
米国
2.2
1.6
1.6
2.5
2.2
2.3
2.1
2.5
ユーロ圏
1.6
1.7
1.7
1.4
1.5
1.6
1.6
1.6
英国
1.7
1.8
2.0
1.3
1.1
1.5
1.7
1.4
先進国計
1.8
1.6
1.6
1.8
1.8
1.9
1.8
2.0
アジア
6.4
6.5
6.3
6.3
6.3
6.4
6.3
6.3
中国
6.6
6.6
6.7
6.2
6.2
6.5
6.0
6.0
新興国計
4.1
4.2
4.1
4.6
4.6
4.5
4.8
4.8
世界計
3.1
3.1
3.1
3.4
3.4
3.4
3.6
3.6
5
世界経済:実質GDP成長率の推移
(%)
10.0
新興国
8.6
見通し
7.5
8.0
世界全体
6.3
5.8
6.0
5.3
5.0
5.7
4.6
5.4
4.0
2.9
4.0
2.7
3.0
5.1
5.1
3.6
3.7
3.7
3.8
1.8
1.8
1.8
1.7
1.7
2017
2018
2019
2020
2021
4.8
3.4
4.2
4.2
3.5
2.0
5.0
4.6
3.3
3.4
3.1
1.7
1.2
3.2
1.9
2.1
2014
2015
3.1
1.6
1.2
0.0
0.1
‐0.1
先進国
▲ 2.0
▲ 4.0
‐3.4
▲ 6.0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2016
(出所)IMF世界経済見通し(2017年1月)
6
IMF「世界経済見通し」(2017年1月)
実質GDP成長率(%)
経常収支
(対GDP比、%)
失業率(%)
2015
2016
2016
2017
2018
世界
3.2
3.1
3.4
3.6
n/a
n/a
n/a
n/a
n/a
n/a
n/a
n/a
先進国
2.1
1.6
1.9
2.0
6.7
6.2
6.1
6.0
0.6
0.7
0.6
0.5 -3.0 -2.9 -2.5 -2.1 104.4 107.5 108.1 107.5
先進7カ国
1.9
1.4
1.7
1.7
5.8
5.5
5.4
5.4 -0.6 -0.5 -0.5 -0.6 -3.4 -3.4 -3.0 -2.6 117.9 121.7 122.6 122.0
日本
1.2
0.9
0.8
0.5
3.4
3.2
3.2
3.2
米国
2.6
1.6
2.3
2.5
5.3
4.9
4.8
4.7 -2.6 -2.5 -2.7 -2.8 -3.5 -4.1 -3.7 -3.3 105.2 108.2 108.4 107.9
ユーロ圏
2.0
1.7
1.6
1.6 10.9 10.0
9.7
9.3
3.2
3.4
3.1
2.9 -2.0 -1.9 -1.5 -1.0 92.5 91.7 91.0 89.8
ドイツ
1.5
1.7
1.5
1.5
4.6
4.3
4.5
4.6
8.4
8.6
8.1
7.7
フランス
1.3
1.3
1.3
1.6 10.4
9.8
9.6
9.3 -0.2 -0.5 -0.4 -0.3 -3.5 -3.3 -3.0 -2.7 96.1 97.2 97.8 97.9
イタリア
0.7
0.9
0.7
0.8 11.9 11.5 11.2 10.8
英国
2.2
2.0
1.5
1.4
5.4
5.0
5.2
5.4 -5.4 -5.9 -4.3 -3.9 -4.2 -3.3 -2.7 -2.2 89.0 89.0 88.8 88.6
カナダ
0.9
1.3
1.9
2.0
6.9
7.0
7.1
6.9 -3.2 -3.7 -3.1 -2.8 -1.3 -2.5 -2.3 -2.0 91.5 92.1 90.5 88.7
新興国・途上国
4.1
4.1
4.5
4.8
n/a
n/a
n/a
n/a -0.1 -0.3 -0.4 -0.5 -4.5 -4.7 -4.2 -3.6 44.6 47.2 48.9 50.3
ASEAN 5
4.8
4.8
4.9
5.2
n/a
n/a
n/a
n/a
1.5
1.2
0.7
0.3 -2.1 -2.4 -2.4 -2.3 38.7 38.6 39.0 39.4
中国
6.9
6.7
6.5
6.0
4.1
4.1
4.1
4.1
3.0
2.4
1.6
1.4 -2.7 -3.0 -3.3 -3.0 42.9 46.3 49.9 52.6
インド
7.6
6.6
7.2
7.7
n/a
n/a
n/a
n/a -1.1 -1.4 -2.0 -2.2 -6.9 -6.7 -6.6 -6.2 69.1 68.5 67.2 65.6
ブラジル
-3.8 -3.5
0.2
1.5
8.5 11.2 11.5 11.1 -3.3 -0.8 -1.3 -1.5 -10.3 -10.4 -9.1 -8.0 73.7 78.3 82.4 85.2
ロシア
-3.7 -0.6
1.1
1.2
5.6
5.9
2018
5.5
2015
3.3
2.2
5.2
2016
3.7
2.2
3.0
2017
3.3
1.9
3.5
2018
2015
n/a
2016
n/a
2017
n/a
2018
一般政府債務残高
(対GDP比、%)
2015
5.8
2017
一般政府財政収支
(対GDP比、%)
n/a
2015
n/a
2016
n/a
2017
n/a
2018
n/a
3.3 -5.2 -5.2 -5.1 -4.4 248.0 250.4 253.0 254.9
0.7
0.1
0.1
0.2 71.0 68.2 65.9 63.6
1.5 -2.6 -2.5 -2.2 -1.3 132.7 133.2 133.4 132.0
3.9 -3.5 -3.9 -1.5 -0.8 16.4 17.1 17.9 18.6
※先進7か国を除く2015年以降の実質GDP成長率のみ1月のupdateベース、その他は10月WEOベース
7
ドル円相場の推移(2016年初~)
2/3
ダドリーNY連銀総裁の
発言「金融環境ひっ迫を
懸念、継続なら3月会合
で考慮すべき」
3/29
イエレン議長が講演
で、利上げに慎重な
姿勢を示す発言
12/14
4/29
6/16
米国為替報告書公表
日銀政策現状維持を決定
(日、中、韓、独、台湾を監視リ
ストに指定。現下のドル円相場
は秩序立っていると記載)
2/8~
欧州銀行株が急落
4/28
日銀政策現状維持を決定
1/4
軟調な中国
PMIを受けて
上海株が
大幅下落・
取引停止
6/3
予想を下回る米指標
5月 非農業部門雇用者
数変化 3.8万人(予想
16.0万人)
6/24
英国国民投票で
EU離脱決定
1/6~7
人民元大幅
切り下げ
1/7
中国外貨
準備高が
大幅減少
・2017年以降の政策金
1/18
利見通し上方修正
イエレン議長発言「2019年末
1/29
日銀
マイナス金利導入を決定
12/5
伊憲法改正案
が国民投票で
否決
9/21
・日銀長短金利操作付き量的・質的金
融緩和導入を決定
・FOMC政策金利据え置きを決定
115
1/11
トランプ次期大統領
記者会見
1/17
トランプ次期大統領発言
105.55円
「ドルは既に強すぎる」
(5/3(火)
17:00)
2/11
原油価格が今年の最安値更
新(WTI終値:26.21㌦)
円安
ドル高
まで年数回の利上げを予想」
7/29
・日銀追加緩和決定(ETF買入れ拡
大など)
・軟調な米GDP
2QGDP[一時速報/前期比/年率]
1.2% (予想2.5% 前期0.8%)
107.63円
(4/11(月)
10:40)
(2017/1/23(月)12:00)
上げ決定
110.99円
(2/11(木)
18:16)
113.62円
・FOMC政策金利引き
1/19
ムニューチン財務長官候補発
103.56円
言「強いドルは長期的に重要」
(6/16(木)
15:56)
99.00円
(6/24(金)
11:43)
年初来安値
7/11
安倍総理が記者会見で
経済対策指示を表明
11/9
米大統領選でトランプ
候補が勝利
8/26
イエレン議長の発言
「利上げの根拠強まって
いる」
1/20
トランプ大統領就任演説
円高
ドル安
11/30
OPEC総会で減産合意
8
米10年債利回りの推移(2016年初来)
12/15(木)
2.6394
2.4000
1/23(月)12:00
2.4300
7/6(水)
1.3180
2017年1月23日(月)12時時点
9
原油価格の推移
(ドル/バレル)
2015年3月26日
サウジアラビアが、カタール、クウェート、
UAE等と、イエメンへ軍事介入開始
2014年11月27日
OPEC総会で日量3,000万
バレルの生産枠維持決定
サウジアラビアの財政収支を
均衡させる原油価格(79.7ドル)
(2016年予測)
2016年6月2日
OPEC総会で増産凍結見送り
2016年4月17日
ドーハ産油国会合で
増産凍結見送り
2017年1月20日終値
55.49ドル
2016年9月28日
OPEC臨時総会で
減産に大筋合意
サウジアラビアの経常収支を
均衡させる原油価格(57.2ドル)
(2016年予測)
2015年1月22日
サウジアラビアの隣国イエメンで、
シーア派武装勢力のクーデタ発生
2015年7月14日
イランと6か国(安保理常任理事国+独)の核問題
協議で経済制裁の段階的解除を含む
「包括的共同行動計画」に最終合意
2015年12月4日
OPEC総会で減産見送り
2016年1月3日
サウジアラビアが
イランと国交断絶
(出所)Bloomberg, IMF地域経済見通し(中東)(2016年10月) (注)原油価格は北海ブレント。
2016年11月30日
OPEC総会で日量3250万バレル
の生産枠決定
(2017年1月1日より実施)
2016年1月16日
合意履行に基づく対イラン制裁の解除宣言
10
Ⅱ.最近のG7・G20における議論
G7伊勢志摩サミット(5月26、27日)の概要(世界経済)
(A)総論
○不透明さを増す現下の世界経済の状況を踏まえ、強固で、持続可能な、かつ均衡ある成長軌道を速
やかに達成するためのG7の対応について議論。
○新たな危機に陥ることを回避するため、現在の経済状況に対応するための努力を強化することで一
致。G7として、金融、財政、構造政策の3本の矢のアプローチの重要な役割を再確認しつつ、(1)経済
政策による対応を協力して強化すること、(2)世界的な需要を強化し、供給上の制約に対処するため、
金融・財政政策と構造政策の3つの政策手段を総動員することに合意。
(B)「G7伊勢志摩経済イニシアティブ」
○世界経済、貿易、インフラ、保健、女性、サイバー、腐敗、といった具体的な分野におけるG7としての
行動をとりまとめ、「G7伊勢志摩経済イニシアティブ」に合意。G7が世界経済を牽引するとの明確な姿
勢を発信。
(C)優先課題
(i)質の高いインフラ投資
○「質の高いインフラ投資」の基本的要素についても国際社会で認識を共有することが重要との点で一
致。かかる観点から、「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」にG7として合意。
○G7で合意した内容を、今後各国、国際機関等に対して効果的に発信し、インフラ投資・支援の実施に
おいて、「原則」に沿った行動をとるよう促していくことを確認。
○安倍総理から、日本は本年のG7議長国として、アジアのみならず、世界全体に対して今後5年間で総
額約2000億ドル規模の質の高いインフラ投資を実施していくこと等を決定した旨表明。
12
G7伊勢志摩サミット(5月26、27日)の概要(世界経済)
(ii)女性
○女性のエンパワーメントの礎として、女性の潜在力の開花及び自然科学分野における女性の活躍
促進が重要との認識の下、「女性の能力開花のためのG7行動指針」及び「女性の理系キャリア促進
のためのイニシアティブ(WINDS)」に合意。
○また、安倍総理から、2016~2018年の3年間で約5000人の女性行政官等の人材育成、約5万人の
女子生徒への教育支援を実施する旨表明。
(iii)サイバー
サイバー攻撃に対し、断固たる措置をとることにつき一致するとともに、サイバー空間における「法の
支配」の推進及びデジタルエコノミーの促進の重要性につき一致。「サイバーに関するG7の原則と行
動」に合意するとともに新たにG7ワーキンググループを設置し、サイバーセキュリティに関するG7の
協力を強化していくことで一致。
(iv)腐敗対策
腐敗は、法の支配、民主主義、公正な競争といったG7共通の価値観に根本的に反するものであり、
腐敗と戦う取組は、経済成長、持続可能な開発、平和及び安全の維持に不可欠であることを確認。
G7が模範となって国際社会における腐敗対策強化の重要性を発信すべく、「腐敗と戦うためのG7の
行動」に合意。
(D)税及び透明性
海外の資産保有の裏側に、課税逃れ、マネーロンダリング等の不正な資金の流れがある場合には、
厳正な対処が必要との点で一致。BEPSプロジェクトへの参加国拡大や金融口座情報の自動交換、さ
らに、法人等の「実質的所有者」に係る透明性向上が重要であることを確認。
13
G20財務大臣・中央銀行総裁会議のポイント(2016年7月23~24日 於:成都)
1.世界経済
・世界経済の回復は続いているが、望ましい水準より弱いまま。下方リスクは根強く残っている。
・英国のEU離脱に関する国民投票の結果が、世界経済の不確実性を増している。G20諸国は、国民投票から生ずる潜在的な経
済・金融の影響に積極的に対処する態勢を整えている。将来的に、英国がEUの緊密なパートナーであることを期待。
・強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長という我々の目標を達成するため、全ての政策手段―金融、財政及び構造
政策―を個別にまた総合的に用いるという決意を再確認。
・為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうる。為替市場に関して緊密に協議。
通貨の競争的な切り下げを回避することや競争力のために為替レートを目標とはしない。
2.構造問題
・一部の産業(鉄鋼など)における過剰生産能力を含めた構造問題が貿易と労働者に負の影響を与えていることを認識。
3.投資とインフラ
・ライフサイクルコストの観点からの経済的効率性、安全性、自然災害に対する強靭性などを考慮した、質の高いインフラ投資の
重要性を強調。
4.国際金融アーキテクチャ
・資本フローの分析と監視及び資本フローの過大な変動に起因するリスクの管理を引き続き改善。
・資本フローへの対処に係る各国の経験と生じつつある問題についてのIMFによる見直し作業を本年末までに期待。
5.金融セクター改革
・銀行セクターにおける資本賦課の全体水準を更に大きく引き上げることなく、2016年末までのバーゼルⅢ最終化を支持。
・重大で意図せざるいかなる影響にも対処すること等により、改革の実施と影響の監視を引き続き向上させる。
6.国際課税
・BEPS合意の幅広い国による一貫した実施に合意。
・OECDから報告された「税の透明性に関する非協力的地域を特定するための客観的基準」を支持。
・各国・国際機関による途上国に対するより効果的な税関連支援を実施。
7.テロ
・最近のテロ攻撃を、ありうる限り最も強い言葉で非難。
・テロ資金供与のすべての資金源、技術及びチャネルと戦っていく。
14
第11回G20首脳会合のポイント(2016年9月4~5日 於:中国・杭州)(1/2)
○ 我々は、世界経済の回復が進捗しているときに会合した。しかし、世界経済の成長は望ましい水準よりも弱く、下方リ
スクが存在している。
○ 我々は、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長という我々の目標を達成するため、全ての政策手段―
金融、財政及び構造政策―を個別にまた総合的に用いることを決意している。
○ 我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうることを再確認す
る。我々の関係当局は、為替市場に関して緊密に協議する。我々は、通貨の競争的な切り下げを回避することや競争
力のために為替レートを目標とはしないことを含む、我々の以前の為替相場のコミットメントを再確認する。
○ 我々は、資本フローの分析と監視及び資本フローの過大な変動に起因するリスクの管理を引き続き改善する。我々は、
資本フローへの対処に係る各国の経験と生じつつある問題についてのIMFによる見直し作業を本年末までに期待する。
○ 開かれた強靭な金融システムを構築することは、持続可能な成長と開発を支えるために必要不可欠である。
我々は、公平な競争条件を促進しつつ、銀行セクターにおける資本賦課の全体水準を更に大きく引き上げることなく
バーゼルIIIの枠組みを2016年末までに最終化するためのバーゼル銀行監督委員会の作業に対する支持を再確認
する。
我々は、重大で意図せざるいかなる影響にも対処すること等により、我々の全体的な目的との整合性を確保するため、
改革の実施と影響の監視を引き続き向上させる。
15
第11回G20首脳会合のポイント(2016年9月4~5日 於:中国・杭州)(2/2)
○ 我々は、「G20/OECD BEPS包摂的枠組み」の設立及び京都における第1回会合を歓迎する。我々は、BEPS
パッケージの時宜を得た、一貫した、広範な実施を支持する。
我々は、OECDがG20諸国と協働して作成した、税の透明性に関する非協力的地域を特定するための客観的基準に
ついての提案を支持する。
税の透明性に関して合意された国際基準を、満足のいく水準で実施することに向けて十分な進捗が見られない地域の
リストを、2017年7月のG20サミットまでにOECDが作成することを視野に入れる。
我々は、発展途上国の税に関する能力構築を各国と国際機関が支援することを奨励し、その関連で、IMF、OECD、
国連及び世界銀行グループにより新たな「税に関する協働のためのプラットフォーム」が設立されたことを確認する。
○ 過剰生産能力を含む構造問題は,グローバルな経済回復の弱さと市場需要の不振により悪化し,貿易と労働者に悪
影響を及ぼしており、鉄鋼やその他の産業における過剰生産能力が世界的な問題であるとの認識で一致した。主要
生産国が参加するグローバル・フォーラムの設立を通じた,情報提供と協力を促進していくこととなった。
○ 我々は、社会・環境面での影響に対応し、経済・開発戦略と整合性をとりつつ、ライフサイクルコストから見た経済性、
安全性、自然災害に対する強靭性、雇用創出、能力構築及びお互い合意した条件での技術・ノウハウ移転の確保を
目指す、質の高いインフラ投資の重要性を強調する。
○ 英国のEUメンバーシップについての国民投票の結果が、世界経済の不確実性を増している。G20諸国は、国民投票
から生ずる潜在的な経済及び金融の影響に積極的に対処する態勢を整えている。将来的に、我々は英国がEUの緊
密なパートナーであることを期待している。
○ 我々は、FATF及びグローバル・フォーラムに対し、10月の財務大臣・中央銀行総裁会合までに、法人及び法的取極
めの実質的所有者情報の入手可能性等についての初期提案を提示することを要請する。
我々は、FATF基準の速やかで効果的な、普遍的な実施を求める。
また、G20として,テロ資金供与のすべての資金源,技術及びチャネルと戦っていくことで一致した。
16
Ⅲ.Brexit
英国のEU離脱問題(Brexit)
1.離脱の手続き
6月23日(木):国民投票の実施により離脱派勝利決定
離脱派:51.9%、残留派:48.1%(投票率:72.2%)
英国政府が欧州理事会(いわゆるEU首脳会議)に対して
脱退の意思を通告し、
脱退の期日等を定める脱退協定の交渉開始
※欧州側は、英国から通告がされるまで、予備交渉は認めないとのスタンス。
※バルニエEC主席交渉官(EU側交渉責任者)は、「2018年10月までに交渉を
終える 必要がある(加盟国や欧州議会の承認手続きに半年程度の時間が
必要)」と主張。
欧州議会の同意を得て、
欧州理事会の議決により脱退協定を締結
脱退協定の効力発生の日をもって、英国はEUから脱退
なお、協定がまとまらない場合、通告から2年後、自動的に
脱退
※欧州理事会の全会一致及び英国の同意があれば、
2年間の脱退期限を延長することは可能
2.脱退通知の時期
(メイ首相による10月2日の保守党大会での発言)
「(脱退)通知は2017年3月末までに行う」
※下院は12月7日、事前に政府の交渉方針を説明することを条件に、上記までに通知を
するとの日程に同意することを決議。
※英高等法院は、11月3日に、政府がEUに離脱通知を行うには議会の同意が必要
との判決。 政府は上訴しており、 最高法院の判断は2017年1月24日に予定。
3.メイ首相によるBrexitの方針に関する演説概要(2017年1月17日)
① 予測可能性の提供
・ EUとの離脱交渉にあたり、可能な限りオープンに交渉し、予測可能性を高める。
上下両院に対して、EUとの最終的な離脱交渉結果に対する承認を求める。
② 欧州司法裁判所からの司法権の独立
③ 英国内の団結強化
④ アイルランドと(英国の一部である北アイルランドの間)の共通渡航地域
(common travel area)の設定
⑤ 移民流入の制限
・ 国民投票の結果を実施するために、EUからの移民流入の制限を行う。
⑥ 英国内のEU市民及びEUにおける英国民の権利の保障
⑦ 労働者の権利を保護する英国内の法整備
⑧ EUとの自由貿易協定の締結
・ 単一市場のメンバーシップは追求しない。EUとの包括的なFTA締結を通じ、
単一市場への最大限のアクセスの確保を図る。
⑨ 他国との新たな貿易協定
・ EU域外国との自由貿易協定締結を推進。他方、何らかの方法で関税同盟の
準メンバーとなるか、関税同盟の一部分のメンバーとして残るかして、EUとの
新たな関税協定の締結を追求。
⑩ 科学・研究・イノベーション分野でのEUとの協力
⑪ 外交及び安全保障政策におけるEUとの緊密な協力の継続
⑫ 離脱交渉後の移行期間の設定
・ 2年間のEUとの離脱交渉後、新たなアレンジメントへの準備のため、
実施の段階的なプロセスの設定を図る。
18
EU懐疑派等の伸長
欧州諸国での経済の低迷や移民・難民問題等を契機に、各国でEU懐疑派等が伸長。Brexitを受け、こうした政党の動きが活発化しており、今後の
国政選挙(蘭総選挙(3月15日)、仏大統領選挙(4月23日、5月7日)、独連邦議会選挙(9月頃)、伊総選挙(18年春頃)、墺総選挙(18年内))等における動向が注目される。
【ドイツ】
EU懐疑派
ペトリ‐党首 モイテン党首
・2013年に結党した
「ドイツのための選択肢(AfD)」
は同年9月の選挙では議席を
獲得できなかったものの、
最新世論調査では、支持率は13.5%。
・ユーロ終焉や加盟国の主権回復等の
EU改革が実現しない場合、EU離脱を求める。
【オランダ】
EU懐疑派
・自由党(2006年結党)
・EU懐疑主義。
イスラム移民の排斥を掲げ、
トルコのEU加盟にも反対。
・最新世論調査では、
支持率は17.9%。
【フランス】
【イタリア】
前回選挙:2013年
次回選挙:2017年9月頃
左派党
193
・EU離脱は支持しないが、加盟国の
※AfD:現状議席なし
シュトラッヘ
党首
主権拡大を含むEU再構築を主張。
・最新世論調査では、支持率は
二大政党を上回って1位(34%)。
・2016年年12月4日に実施された大統領選では、
リベラル派が自由党に勝利。
64
631議席
過半数316議席
63
前回選挙:2012年
次回選挙:2017年3月15日
15
36
40
ルペン党首
13
自由民主国民党
労働党
社会党
キリスト教民主同盟
民主66党
自由党
その他
12
12
150議席
過半数76議席
22
前回選挙:2012年
次回選挙:2017年4月23日,5月7日
・国民戦線(1972年結党)
・移民の制限、ユーロ圏離脱
に関する国民投票の提案
等を行う。
・2017年大統領選で決戦投票へ進出する可能性大。
最新世論調査では、支持率は25%。
【オーストリア】 EU懐疑派
同盟90/緑の党
311
ヘルト・ウィルダース党首
EU懐疑派
・自由党(1955年結党)
キリスト教民主同盟(CDU)/
キリスト教社会同盟(CSU)
社会民主党(SPD)
287
577議席
過半数289議席
29
(参考)イタリアの議会と選挙制度
・上院、下院の権限は同等。
・下院選挙では、第1党(政党連合)に340議席
を配分。在外選挙区等を除く残り277議席を
第2党以下に得票率に応じて配分。
前回選挙:2013年
上院 次回選挙:2018年春頃(2017年夏までに前倒しの可能性も)
民主党
与党・その他
フォルツァ・イタリア
62
42
五つ星運動
35
※国民戦線は無所属に
含まれる(2議席)
113
18 18
15 10
320議席
過半数161議席
自由国民同盟
18
12
10
28
(終身議員5含む)
【スペイン】
【ギリシャ】
・ポデモス(2014年結党)
・SYRIZA(2004年結党)
チプラス
・反緊縮を掲げ、
・反体制派ではあるが、 イグレシアス
EU懐疑派ではない。
党首
・2015年総選挙で
第3党に躍進。
・2016年6月の総選挙
では議席数は横ばい。
・五つ星運動(2009年結党)
・ユーロ離脱を主張。
・グリッロ代表は、レンツィ
首相が国民投票の結果を
受け辞任を表明したことに関し、「政権に就く用
意がある、即時に選挙を実施すべき」と述べた。
・最新世論調査では、支持率は29. 8%
(与党・民主党の支持率は30.1%)。
(注)どの政党も40%に満たない場合、上位2党で決選投票を行い第1党を決定。
社会党
共和党
民主主義・独立連合
エコロジー・グループ
急進左派グループ
左派戦線
無所属
196
グリッロ代表
2015年1月総選挙で 党首・首相
政権を獲得。
・EUとの交渉課程で
緊縮路線へ転換し、
支持率低下。
下院
北部同盟
イタリア保守改革派
混合会派
民主党
74
与党・その他
91
301
630議席
過半数316議席
五つ星運動
50
31 19
10
54
前回選挙:2013年
次回選挙:2018年春頃(2017年夏までに前倒しの可能性も)
フォルツァ・イタリア
イタリア左派
北部同盟
イタリアの同胞
混合会派
19
Ⅳ.米国大統領選
トランプ新大統領の就任演説と主要政策等
【トランプ大統領就任演説のポイント】
・本日は特別な意味を持つ。なぜなら、権力(power)が、前政権から次政権に移行するだけでなく、ワシントンから米国民に移るから
である。「忘れ去られた人々」は、もう忘れ去られることはない。
・貧困に苦しむ母や子供、さびれた工場、高い教育、犯罪やドラッグ、こういった惨状は、今ここでなくなる。
・我々は、米国の産業を犠牲に、外国の産業を豊かにしてきた。我々は、自国の軍が消耗する間、他国の軍隊を補助してきた。我々
は、米国の国境を守る代わりに、外国の国境を守ってきた。我々は、アメリカのインフラが崩壊する中、海外で何兆ドルも使ってきた。
・本日からは、「米国第一」だ。貿易、税制、移民、外交についてのあらゆる決断は、米国の労働者と家族の利益となるようにする。
・我々は、我々の雇用を、国境を、富を、そして我々の夢を取り戻す。
・新しい道路、高速道路、橋、空港、トンネルを国内中に建設する。
・単純な2つのルールに従う。「Buy American and hire American」だ。
・我々は、諸外国との友好関係を求める。ただし、自国の利益を最優先とすることはあらゆる国の権利であるという考えの下である。
・我々は、新旧の同盟を再強化し、文明世界を一致団結させてイスラム過激派テロリズムを地球上から一掃する。
・我々は、一緒に米国を再び強く、豊かに、誇りに満ち、安全にする。そして米国を再び偉大にする(will make America great again)。
【就任演説直後に発表した政策方針(ホワイトハウスHP)】
【医療保険制度改革法(オバマケア)見直しに関する大統領令】
①米国第一のエネルギー計画
②米国第一の外交政策
③雇用と成長の回復
④強い軍を取り戻す
⑤法執行官(警官・入国管理官等)のために立ち上がる
⑥米国人のための通商協定
※TPPからの離脱を表明、NAFTAの再交渉(米労働者の
利益とならなければ離脱の意思を通知)を謳った。
・20日夜、医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しに関する
大統領令に署名。
・同法の早急な撤廃を目指すことが新政権の方針、と明記。
※但し、撤廃までの間は、オバマケアを維持しなければならないことも強調。
※また、保健・社会福祉長官や他省庁の長に対し、個人や医療保険
事業者等がオバマケア関連の負担を避けるための支援に裁量を
行使するよう指示。
21
トランプ大統領の(想定しうる)経済政策と主な留意点
<トランプ大統領の主な政策と留意点>
トランプ大統領(当時)記者会見
(2017年1月11日)(概要)
・我々の貿易協定は大失敗。中国に対し毎年何百億ドルもの
貿易赤字を出している。日本やメキシコ等も同様。
・ロシア、中国、日本、メキシコ、全ての国は、これまでよりも我々
をリスペクトするだろう。
Toyota Motor said will build a new plant in Baja, Mexico, to build Corolla cars for U.S. NO WAY! Build plant in U.S. or pay big border tax. (1月6日)
1月20日(同21日)
大統領就任式
1月下旬~2月上旬
2月上旬(6日?)
一般教書演説
予算教書提出
 NAFTA再交渉(「米国第一」姿勢)
 TPPからの離脱(大統領就任初日の
離脱を公言)
 中国やメキシコへの関税率引上げ
 輸入車への高関税を示唆
 為替操作に反対
○議会共和党の多くは自由貿易主義路線
○TPPについては、TPA法案で貿易交渉権が大統
領に一任
○生産財を中国等から輸入する多くの企業との関係
○輸入車への高関税の示唆は、特にメキシコでの工
場建設を計画する自動車メーカー等への圧力に
 メキシコの負担で国境に壁を設置
 国境警備官及び移民・税関執行機関
の強化
 不法移民の強制送還免除等に係る行
政命令の破棄、移民法の完全な執行
○メキシコや米国議会との関係
○多くの移民労働者が不可欠となっている産業との
関係
○引き続き移民に厳しい姿勢だが、イスラム教徒の入
国禁止等の過激な主張はトーンダウン
その他
※ 政権人事については、一般的に、長官クラスは新大統領就任日(ない
しその直後)、副長官・次官クラスはその少し後、次官補クラスは新大統
領就任日から数か月で確定。
○低金利へのスタンスは不明(イエレン議長の任期は
2018年2月3日)
○理事の人事は大統領指名+上院の承認
移民
主な日程
 選挙期間中はイエレン議長を批判
貿易
トランプ大統領(当時)のツイッター(トヨタ自動車関連)
○共和党内の多数の財政タカ派(ティーパーティー、マイク・
ペンス次期副大統領やライアン下院議長等)との関係
○オバマケア撤廃に向けた予算決議が上下院で成
立(1月13日)
 中所得家庭に利する所得税減税
○税法に係る議会との関係
 所得税の税率構造簡素化(7→3段階)
・議会に決定権
 法人税(35%)を15%以下に削減。米
・上院で野党がフィリバスター(議会妨害)可能
企業の海外留保資産の還流に対する ○2016年6月の下院共和党政策文書においても国境
優遇税制(10%)の適用
税と同様の国境調整に言及
 相続税廃止
 国境税の導入(輸出免税、輸入課税) ○WTOルールとの関係
金融
・オバマケアは「廃止」と「置き換え」をほぼ同時に行う。
 10年間で1兆ドルのインフラ投資
 オバマケアを撤廃
留意点
税制
・メキシコにプラントを作り、エアコンや自動車等を国境を越えて
米国に売ろうとした場合には、かなり多額の国境税(large border
tax)を払うこととなる。もし国外に移転し、企業を支えた米国の労
働者を解雇したければ、ミシガン、テネシー、ノースカロライナ、
サウスカロライナの中で移転すれば良いということである。
財政
・国内移転を表明したフォード、フィアット・クライスラー等の自動
車メーカーに感謝。私は最も偉大な雇用創出者になる。
政策内容
※選挙期間中の発言も含まれ、実現性
等について不透明な点も多い。
 エネルギー関連の規制の緩和
○企業への負担増となる温暖化対策に反対の立場
 片務的な気候変動対策政策の廃止
の共和党との関係(パリ協定形骸化の可能性も)
 金融規制緩和
○ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法の
(参考)経済・金融関連ポストには、多くの
緩和
ウォール街出身者が就任予定
22
「ドナルド・J・トランプによる米国有権者との契約」(2016年10月22日)
【就任初日に実行する措置①≪米国人労働者を保護するための措置≫】
① NAFTA再交渉、もしくは脱退の意図を発表
② TPPからの撤退を発表
③ 中国を為替操作国に認定するよう財務長官へ指示
④ 貿易相手国の不正捜査を開始、あらゆる手段で対抗
⑤ 米国内におけるエネルギー開発関連規制の緩和
⑥ インフラ建設を阻害する政策の撤廃、キーストーン・パイプラインの建設認可
⑦ 国連による温暖化対策への資金拠出撤回、国内の水道・環境関連インフラ投資の財源に
【就任初日に実行する措置②≪セキュリティと憲法秩序を取り戻すための措置≫】
① オバマ大統領による、すべての憲法に反する行政措置、覚書、大統領令の停止
② 米連邦最高裁 スカリア判事の後任選定プロセスの開始
③ 「サンクチュアリ・シティ」(移民優遇都市)に対する連邦予算給付の停止
④ 200万人以上の不法移民の排除、不法移民の送還を拒む本国に対しビザの停止
⑤ テロを輸出する傾向にある地域からの移住の一時停止、徹底的な身元調査の実施
【最初の100日間で立法化を目指す措置】
① 税制改革(所得税、法人税、法人国際課税)
⑥ 育児・介護支援
② 企業の海外移転を阻止するための税制改革
⑦ 不法移民対策(防壁建築等)
③ エネルギー開発、インフラ投資の促進
⑧ コミュニティの安全確保(凶悪犯罪対策強化等)
④ 教育改革(学校選択の自由度向上等)
⑨ 安全保障改革(国防費強制削減廃止等)
⑤ オバマケア廃止
⑩ 政治腐敗対策
23
トランプ政権の主な幹部(候補)
(1月20日更新)
①財務・金融・マクロ経済担当閣僚等
ポスト
*は議会承認不要
名前・現職等
バックグラウンド・立場等
公聴会1/19
スティーブン・ムニューチン(53歳)
(トランプ陣営財務委員長)
元ゴールドマンサックス(パートナー)。大統領選では資金集めに尽
力。
公聴会1/24
ミック・マルバニー(49歳)
(共和党下院議員)
財政タカ派で、保守強硬派で構成される「下院フリーダム・コーカス」
設立に関与。
カール・アイカーン(80歳)(投資家)
数多くの大規模企業買収等で成功。
SEC(証券取引委員会)委員長
ジェイ・クレイトン(弁護士)
企業法務で有名なサリバン&クロムウェルのパートナーで、M&Aや
IPO等の投資銀行業務が専門。当局との訴訟で金融機関側から和
解交渉。
NEC(国会経済会議)委員長*
ゲーリー・コーン(56歳)
(ゴールドマンサックス社長兼COO)
財務長官
OMB(予算管理局)局長
大統領特別顧問
(規制改革担当)*
ゴールドマンサックスのNO.2。
②通商・産業担当閣僚等
商務長官
ウィルバー・ロス(79歳)(投資家)
公聴会 1/18
企業再建を多数手掛けてきた投資家。
計40~50社の日本企業に投資、NYジャパン・ソサエティ会長。
大統領補佐官兼
貿易産業政策ディレクター*
ピーター・ナバロ(67歳)
(カリフォルニア大アーバイン校教授)
通商問題・中国問題等に詳しい学者。
USTR(通商代表部)代表
ロバート・ライトハイザー(69歳)
(元USTR次席代表)
元USTR次席代表(レーガン政権)。1984~85年に日米鉄鋼協議を
担当。
エネルギー長官
リック・ペリー(66歳)
(元テキサス州知事)
石油・ガス等の国産開発による成長・雇用創出を提唱。予備選では
自身撤退後クルズ候補を支持。
公聴会 1/19
24
Ⅴ.中国経済の動向
中国の経済成長率
(%)
20.0
純輸出(寄与度)
総資本形成(寄与度)
14.2
15.0
最終消費(寄与度)
12.7
実質GDP成長率
9.7
10.0
9.4
10.6
9.5
7.9
7.8
7.3
6.9
6.7
2014
2015
2016
5.0
0.0
▲ 5.0
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(出所)中国国家統計局
26
固定資産投資
年初来累計前年同期比(%)
30
25
20
15
10
固定資産投資
5
民間固定資産投資
国有企業固定資産投資
0
1‐2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1‐2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1‐2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2014
2015
2016
(出所)中国国家統計局
27
社会融資総量残高(対GDP比)
250%
社会融資総量残高/GDP
200%
209.6%
(2016年末)
150%
100%
50%
0%
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(出所)中国人民銀行、中国国家統計局
(注)2014年以前の社会融資総量残高は開示されていないため毎年の増減額より推計。
28
新築住宅価格
前年同月比(%)
35
全体の平均(70都市)
30
4大都市平均(北京・上海・深セン・広州)
25
1線級(18都市、4大都市含む)
2線級(22都市)
20
3線級(19都市)
15
4線級(11都市)
10
5
0
▲5
▲ 10
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2014
2015
2016
(出所)中国国家統計局
(注1)1~4線都市の分類は、新一線都市研究所の分類による
(注2)1線級都市は、北京、上海、広州、深セン、成都、杭州、武漢、天津、南京など
29
内需主導への経済発展モデル
GDPの需要項目別構成(日中比較)
2007年
100%
90%
80%
8.6%
純輸出
13.4%
政府消費
2015年
1.9%
100%
政府消費
19.9%
80%
70%
60%
36.7%
民間消費
55.7%
50%
40%
40%
30%
30%
38.7%
20%
総固定資本形成
10%
2.6%
43.4%
20%
24.1%
日本
0%
‐10%
56.6%
総固定資本形成
23.4%
10%
0.4%
在庫増加
中国
38.0%
60%
民間消費
50%
‐10%
純輸出
13.6%
90%
17.9%
70%
0%
3.4%
1.6%
在庫増加
▲0.3%
純輸出
中国
0.5%
日本
(出所) 中国国家統計局、内閣府、CEIC
30
過剰生産能力の削減
鉄鋼
石炭
生産能力
12億トン
57億トン
過剰生産能力
4億トン
20億トン
削減目標
2016年から5年間で1~1.5億トン
2016年から3-5年間で5億トン
うち
4,500万トン
2016年中の削減目標
2億5,000万トン
うち
600万トン
2017年中の削減目標
2,470万トン
(出所)国務院、中国鉄鋼工業協会、国家発展改革委員会、各種報道等
31
債務問題
中国の非金融企業の債務残高
商業銀行の不良債権の推移
(兆元)
(%)
4.8
180
170
163.6
167.0
167.6
3.6
150
150.0
167.6%
(2016年6月末)
140.7
140
130.6
130
119.9
120
120.7
2006
96.3
2007
2008
(出所)BIS、中国国家統計局
不良債権残高:その他商業銀行
5.0
不良債権残高:国有商業銀行
3.2
不良債権比率:国有商業銀行
2.8
不良債権比率:商業銀行全体
2.4
4.0
3.0
不良債権比率+要注意債権比率
2.0
1.75%
1.6
100
96.8
6.0
5.86%
2.0
119.9
106.5
90
要注意債権残高
4.0
160
110
4.4
(%)
1.2
1.67%
0.8
1.0
0.4
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2016
Q1
Q2
0.0
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ
2011
2012
2013
2014
2015
0.0
2016
(出所)中国銀行業監督管理委員会
(注)要注意債権については2014年から公表を開始
32
人民元対ドル基準値(仲値)の推移
人民元安
ドル高
2015年12月11日
13種の外国通貨バスケットに
対する人民元指数の公表開始
FOMC利上げ決定
(2016/12/14)
6.8572
(2017/1/23基準値)
前日比 +0.18%元高
11月30日人民元のSDR入り決定
(12/1 基準値:6.3973)
8月11日 基準値:6.2298
対ドル基準値を▲1.86%切下げ
人民元高
ドル安
33
中国の外貨準備の推移
(兆ドル)
4.5
2016年10月末
3.12兆ドル
最大:3.99兆ドル
(2014年6月)
(前月比:▲457億ドル)
4.0
2016年11月末
3.05兆ドル
(前月比:▲691億ドル)
3.5
2016年12月末
3.01兆ドル
3.0
(前月比:▲411億ドル)
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
15年
8月末
15年
9月末
15年
15年
15年
10月末 11月末 12月末
外貨準
備高
[億㌦]
35,574
35,141
35,255
前月比
[億㌦]
▲ 939
▲ 433
114
(出所)中国人民銀行
34,383
16年
1月末
16年
2月末
16年
3月末
16年
4月末
16年
5月末
16年
6月末
16年
7月末
16年
8月末
16年
9月末
16年
16年
16年
10月末 11月末 12月末
33,304
32,309
32,023
32,126
32,197
31,917
32,052
32,011
31,852
31,664
31,207
30,516
30,105
▲ 872 ▲1,079
▲995
▲286
103
71
▲280
135
▲41
▲159
▲188
▲457
▲691
▲411
34
中国の国際収支の状況
経常収支
(億ドル)
2,500
金融収支(除く外貨準備)
外貨準備
誤差脱漏
2,000
1,500
1,000
500
0
‐500
‐1,000
‐1,500
‐2,000
‐2,500
(注)金融収支のマイナスは資金の流出(資産の増加・負債の減少)、外貨準備のプラスは外貨準備の減少を表す。
(出所)中国国家外貨管理局
35
Ⅵ.開発関係
質の高いインフラパートナーシップ
質の高いインフラパートナーシップ
■ 世界の膨大なインフラ整備需要に、各国・国際機関と協働し、日本の官民の力を総動員して対応。
■ これを触媒として、民間の更なる資金とノウハウを呼び込み、質・量ともに十分なインフラ投資を実現。
■ 今後、各国・国際機関と協働しつつ、「Value for Money」及び「質」の要素を考慮した調達制度の導入を慫慂すること
等を通じて質の高いインフラ投資をグローバルに推進。
JICA
JBIC
JOIN
円借款
海外投融資
輸出金融
投資金融
出資
ハンズオン支援
ADB
【質の高いインフラとは】
● 経済性(ライフサイクル・コストの低減等)
● 安全性
● 自然災害への強靭性
● 環境・社会への配慮
● 現地の社会・経済への貢献(技術移転、人材育成)
アジア
【質の高いインフラパートナーシップを支える四本の柱】
アフリカ
開発銀行
欧州復興
開発銀行
世界銀行
世界
米州
開発銀行
1. JICAの支援量の拡大・迅速化
2. ADBとの連携
3. JBIC等によるリスクマネーの供給拡大
4. 質の高いインフラ投資の国際的スタンダード化・グ
ローバルな展開
37
G7伊勢志摩サミット「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」
経協インフラ戦略会議(5月23日開催)
1.世界全体に対するインフラ案件向けリスクマネーの供給拡大
 世界全体のインフラ案件向けに、今後5年間の目標として、約2,000億ドルの資金等を供給
①対象地域をアジアから全世界に(ロシア・アフリカ等)
②資源エネルギー等も含む幅広いインフラに対象を拡大(石油・ガス、病院等)
③オールジャパンで関係機関が実施
(JICA、JBICに加え、NEXI、JOIN(交通・都市開発)、JICT(通信・放送・郵便)、JOGMEC(石油ガス・金属鉱物資源)
2.質の高いインフラ輸出のための更なる制度改善
(1)迅速化の更なる推進
 円借款の更なる迅速化(F/S調査開始から着工までの期間を最短1年半に短縮。事業期間の「見える化」)
(2)民間企業の投融資奨励
 JICA海外投融資の柔軟な運用・見直しやユーロ建て海外投融資の検討
 NEXI貿易保険の機能拡大(海外投資保険・輸出保険の非常危険のカバー率(上限)を100%に)
 JOIN・JICTの出資基準・運用の緩和
 JBICと市中銀行の協調融資における市中優先償還の柔軟な適用
(3)その他
 途上国の地熱開発支援
 大規模インフラ案件に対するF/S支援
 無償資金協力の制度・運用改善
 人材育成支援の更なる強化
3. JICA、JBIC、NEXI、JOGMECその他の関係機関の体制強化と財務基盤の確保
38
「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」について
G7伊勢志摩サミットにおいて、以下の原則をG7諸国で採択。下記の原則に沿って、各国・国
際開発金融機関(MDBs)がインフラ投資を行い、「Value for Money」及び「質」の要素を考慮した
調達制度を導入することを慫慂するもの。
原則1
安定した運行、ライフサイクルコストから見た経済性、安全性及び自然災害等に対
する強靭性の確保
原則2
現地での雇用創出、人材育成及びノウハウ移転の確保
原則3
社会・環境への影響に対する配慮
原則4
国・地域レベルでの経済開発戦略との整合性の確保
原則5
PPP等を通じた効果的な資金動員
39
G20杭州サミット(平成28年9月4-5日)コミュニケの関連記載
(英文)
39. We stress the importance of quality infrastructure investment, which aims to ensure economic efficiency in view of life‐cycle cost, safety, resilience against natural disaster, job creation, capacity building, and transfer of expertise and know‐how on mutually agreed terms and conditions, while addressing social and environmental impacts and aligning with economic and development strategies. (和文)
39. 我々は,社会・環境面での影響に対応し,経済・開発戦略と整合性をとりつつ,ライフサ
イクル・コストから見た経済性,安全性,自然災害に対する強じん性,雇用創出,能力構築
及び相互に合意した条件での技術とノウハウの移転の確保を目指す,質の高いインフラ投
資の重要性を強調する。
「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」の内容を反映。
40
伊勢志摩サミットにおける保健分野の成果
SDGs達成に向けた,全ての人の健康安全保障の実現~エボラ危機の教訓を活かし,健康危機に備える
3つのキーメッセージ
今回のサミットの意義
▪ エボラ出血熱の教訓
緊急かつ幅広い改革を要請・支持。
▪ 危機時の迅速な資金拠出のための資金メカニズムの構築を歓迎。
公衆衛生危機
対応のための
グローバルヘルス・
アーキテクチャー ▪
(国際保健の枠組み) ▪
の強化
▪ 国際社会が直面する
幅広い保健課題(母
子保健から高齢化ま
で)への対応の鍵と
なるUHCを推進。
▪ 公衆衛生危機対応で中心的な役割を担う世界保健機関(WHO)の
1
を活かし,国際社会
による公衆衛生危機
対応の強化を主導。
国際社会の支援,連携した運用を要請。
 初動:WHO(緊急対応基金(CFE))への支援を要請
 拡大時:世銀「パンデミック緊急ファシリティ(PEF)」 の設立を歓迎
大規模公衆衛生危機における,WHO,国連(OCHA等)等の
「連携のためのアレンジメント」の方向性を提示。
公衆衛生危機への予防・備え(Preparedness)を強化。
 GHSA等によりIHR(国際保健規則)の実施を前進させるため支援
 世銀・IDAを含め,予防・備えを強化するための資金動員を議論
▪ 途上国におけるUHCを推進、危機への備えを強化。
 関係ステークホルダーや様々なイニシアティブの取組を調整する
2
国際的枠組みを強化,「UHC2030」の設立を支持。
危機への予防・
備えにも資する
UHCの推進
▪ SDGs採択後初のサ
ミットとして,上記2点
を含む保健分野の
SDGsの実施に力強
くコミット。
「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」
 UHC推進の特使の構想について,国連事務総長と協議。
 保健システムが特に脆弱な国(低所得・低中所得国)を支援。
 アフリカでのUHC推進に向けた世銀等の努力を歓迎。
▪ 生涯を通じた保健サービスの確保。
 母子保健,リプロダクティブヘルス,予防接種,ポリオ等への
主導的取組を継続。
 「活動的な高齢化(アクティブ・エイジング)」の推進(日本での
フォーラム開催を含む)。
3
全
て
の
課
題
に
つ
い
て
R
&
D
を
推
進
▪ 感染症は健康安全保障に直結する課題。
薬剤耐性(AMR)
▪
への対応強化
薬剤の不適切使用と市場の失敗によるAMR被害の拡大。
「ワンヘルス・アプローチ」等に加え,安全・効果的で品質保証された
抗微生物剤のアクセスを確保。
41
TICADⅥにおける保健分野のメッセージ
1.「G7伊勢志摩ビジョン」の示す国際保健のあり方をアフリカの現状に合わせて提示
2.UHCの実現等に向け、アフリカ諸国が具体的な国家戦略を策定する際に参考とできるフレームワークを公表
⇒ サイドイベント(8/26)、TICADテーマ別会合(8/27)で発信し、成果文書(ナイロビ宣言)に反映
TICAD VIにおける優先課題:質の高い生活のための強靭な保健システムの構築
(1)公衆衛生危機対応強化
①アフリカの感染症対策に資するWHO改革★
 危機オペレーション強化(危機管理センター設
置、情報収集・リスク評価機能強化)
 人材育成・強化(アフリカ地域の事務所の人員
増、人材強化)
②感染症危機時の資金メカニズム構築
 WHO 緊急対応基金(CFE)
 世銀パンデミック緊急ファシリティ(PEF)☆
③感染症危機時の国際調整メカニズム
 WHOがOCHAと連携して他の国際機関等を
主導
【伊勢志摩サミットに先立つ日本のプレッジ】
★:WHOに対する5,000万ドルの拠出金を活用した速やかなアフリカ支援
☆:世銀PEFに対し3年間で5,000万ドルの貢献を表明
(2)危機への予防・備えにも資するUHCの推進
①アフリカでのUHC推進に向けた
政策フレームワークの提示(UHC in Africa)
世銀・WHO等が協同してアフリカ諸国のUHC
推進の国家戦略に盛り込むべき政策等を提示
②危機への備えの強化
 IDA活用による予防・備えへの世銀の資金的支援
 WHOによるアフリカ諸国の国際保健規則(IHR)の能
力強化★
 Joint External Evaluation (各国のIHR能力の
外部評価)の実施と公表★
③保健システム強化に向けたアフリカ諸国支援
⇒ 以上の進捗をフォローし、グローバルにUHCを推進す
るため、2017年秋にUHCの進捗状況を確認するための
モニタリング会合を東京で日本・世銀・WHOが共催
42
IDA18(2017~20年)における国際保健分野への取組み
全体テーマ:“Toward 2030: Investing in Growth, Resilience and Opportunity”
➢日本が提起した強靭性構築(Resilience Building)が核
➢強靭性構築:地震・津波等の自然災害やエボラ熱等の公衆衛生危機に対する予防・備えや対応
を含む「危機管理のための能力・体制の整備・強化」
重点政策テーマ
○雇用と経済変革 ○ジェンダー ○気候変動 ○脆弱性、紛争、暴力 ○ガバナンス
政策コミットメント
保健分野の具体的コミットメントをガバナンス・テーマの下に、以下の通り明記
「感染症対応能力の強化
(i)25以上のIDA国でPandemic Preparedness Plansを策定
(ii)25か国でセクター横断的な保健危機への備え、対応、復興のためのガバナンス・組織フレームワークを策定」
IDA資金総額 (750億ドル)
譲許的資金
○ コア資金
○ 特別ウィンドウ
・危機対応ウィンドウ(Crisis Response Window) ➢対象:経済危機、自然災害、保健危機
➢保健危機においては、①被災国が緊急事態宣言し、②WHOが
「国際警戒・対処システム」に則り国際的に深刻な事態であると
宣言した際に、アクセス可能
非譲許的資金
○Scale Up Facility
Resilience Buildingを優先配分
対象と明記
世銀(キム総裁)は、TICADⅥにおいて、IDAを主たる資金ソースとして、「保健分野に対して今後5年
間で150億ドルの支援を行う」と表明。
43
第50回ADB横浜年次総会
 2017年5月4日(木)~7日(日)に開催。加盟67ヶ国から、財務大臣(各国総務)を
はじめとする政府関係者、民間企業やNGO等関係者、計3~4千人が参加。
 ADBは1966年に設立。これまで10年ごとに総会を日本で開催しており、今回は大
きな節目となる第50回総会。
 “Building Together the Prosperity of Asia”をテーマに、過去半世紀のADBの歩
みを振り返るとともに、アジアのさらなる発展に向けた課題を議論。
 日本は、質の高いインフラ、高齢化社会における保健分野での対応、地域金融協
力の重要性などを発信していく。
5/4(木)
5/5(金)
5/6(土)
5/7(日)
主要日程
日本主催セミナー①:アジアの持続的発展に向けた高齢化社会への対応
日本主催セミナー②:アジア通貨危機からの20年「成果と今後の展望」
主要国総務によるセミナー:アジア50年の発展からの学び
ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議
開会式
総務会1日目
総務会2日目
※上記のほか、ADBや民間企業主催の各種セミナー、レセプション、展示会が開催される。
44
Ⅶ.その他
「国の安全」に係る技術流出防止のための制度見直しの議論について
1.経緯
○ 経産省では以下の問題意識から、産業構造審議会・安全保障貿易管理小委員会(座長:白石GRIPS学長)に
おいて、国の安全に係る技術流出防止のための制度見直しについて議論を行っている。
 我が国への外国人の入国者数が急増し、対日直接投資が増加傾向にある中で、我が国の企業等が保有す
る国の安全に関する技術や貨物(機微技術等)の海外への流出の懸念が増大。
 我が国や世界の安全保障を維持していくためには、機微技術等について、適切な流通管理を確保するため
の制度の構築が必要。
○ これを踏まえ、産構審より、外為法における貨物や技術の輸出管理及び対内直接投資のあり方について、以
下の見直しの方向性が示された。
2.産構審で示された見直しの方向性の概要
①輸出・技術取引規制における罰則のあり方の見直し
無許可輸出等の違反行為に対する罰金の水準を引き上げるべき。
②輸出規制における行政制裁のあり方の見直し
輸出禁止命令を受けた法人の責任者が、別法人で同様の業務を継続することを防止するため、当該別法人の
当該業務の責任者に新たに就くことを禁止することができるようにすべき。
③対内直接投資規制のあり方の見直し
事前届出対象である「国の安全」、「公の秩序」、「公衆の安全」、「我が国経済の円滑な運営」に関する対内直
接投資のうち、「国の安全」を損なうおそれがある投資に関し、(イ)非上場株式の外国投資家間取引の管理、
及び(ロ)無届けや届出内容に反するものの原状回復措置を検討すべき。
④役務取引(技術取引)の管理のあり方の見直し
国内における技術取引の規制については、各国の管理体制と整合的な制度改正を検討すべき。
46