区内事業者ヒアリング結果

参考資料 2
区内事業者ヒアリング結果
1. ヒアリング調査の目的
大田区環境基本計画の中間見直し及び後期 5 年の計画策定に向けて、区内中小事業者
の環境に関する取組み状況及び課題、今後の展開、区へ期待する事項等を把握するため、
ヒアリング調査を実施した。
2. ヒアリング調査の概要
区内中小事業者ヒアリング調査の概要及び対象者一覧は以下のとおりである。
表 1
ヒアリング調査概要
事業者ヒアリング調査概要
対
象
区内中小事業者等 計 11 者
 『大田区環境基本計画』の認識
 自社の取組状況
 自社が抱える環境課題
調査項目
 自社の今後の方針
 環境基本計画に期待する施策等
 海外進出状況
 その他(区への要望、環境基本計画の範囲外の事項等)
調査方法
事業所訪問によるヒアリング及びメール、FAX 等による回答
実施時期
平成 28 年8月~9月
1
表 2
区分
中小事業者
ヒアリング対象者の一覧
事業者名称・業種
事業内容
実施日/
回答日
A社
製造業
照明器具、バイオメタルの研究開発・
製造
8/2
B社
製造業
印刷業
8/4
C社
製造業
セグメント構造ダイヤモンド状炭素膜
(SDLC)の研究・開発
8/4
D社
製造業
公園施設等における鋼構造物の設計・
加工・施工・管理 等
8//10
E社
製造業
精密プレス加工
9/15
F社
製造業
制御盤、動力盤製造 等
9/15
資源のリサイクル及びリユース、製鋼
原料及び非鉄貴金属原料の売買 等
9/16
廃棄物収集・運搬業、古物品売買業 等
9/20
合成樹脂製造加工業
9/21
大田区商店街連合会
―
8/18
大田工業連合会
―
8/29
G社
H社
I社
廃棄物処理業
他
廃棄物処理業
他
製造業
その他
2
3. ヒアリング結果の概要
以下に、区内中小事業者ヒアリングの結果を整理する。
表 3
項
事業者ヒアリングにおける主な意見
主な意見等
目
環境基本計画の認識
・これまで計画の存在を認識していなかった。
(A社、B社、C社、D社、F社、大田区商店街連合会)
・知っている。
(E社、G社、H社、I社、大田工業連合会)
自社の取組状況
●EMS(環境マネジメントシステム)への取組み
・ISO14001 の認証取得。
(B社、F社、H社)
・エコアクション 21 に準拠した環境活動を行っている(認証取得はし
ていない)
。
(C社)
●事業活動における廃棄物削減等に関する取組み
・一般廃棄物は、リサイクル/焼却に分別している。有機溶剤は販売店
に引き取って貰い正規処分を依頼している。使用原料も微量であり、
環境負荷は極小。(C社)
・冷却水は循環装置設置済み。
(C社)
・昼食は給食とし、自社におけるごみゼロに取組んでいる。
(C社)
・ペーパーレスを推進。
(F社)
●事業活動における省エネに関する取組み
・東日本大震災以降、事務所では昼休み消灯を実施している。
(D社)
・CO2 削減及び経費削減のため、デマンドシステム(消費電力の管理)
を導入し、成果を出している。
(E社)
・冷暖房の温度調節を実施。(F社)
・営業時間外は OA 機器の電源を落とす。(大田区商店街連合会)
・蛍光灯の間引き、クールビズを実施。(大田工業連合会)
●製品やサービスの環境配慮に関する取組み
・1999 年から業界の先陣を切って「LED テープライト」を販売。
・VOC(揮発性有機化合物)や有害物、排水を出さないため、環境への
負荷が小さい水なし印刷を取り入れている。当初は品質向上を導入
目的としていたが、気候変動枠組条約第 3 回締約国会議(COP3、京
都会議)を機に環境配慮に方針転換。(B社)
・FSC(森林管理協議会)認証用紙の積極的な利用を業界でも早い時期
に開始。
(B社)
・カーボンフットプリントは計算式を SGS ジャパン㈱に認証いただき、
カーボンフットプリントのロゴを使うことができるようになった
3
が、計算コストが高く、CO2 削減効果が出せる訳ではないので、顧客
には削減効果が明確なカーボンオフセットを勧めている。(B社)
・自社製品が「あらゆる産業機器の省エネに貢献する技術」であり、
摩擦によるエネルギーロスを減らす目的である。
(摩擦損失は全世界
では 10 兆円と言われ、年々増加する一方と言われている。)(C社)
・大田区中小企業新製品・新技術コンクール 2015 の入賞作品である長
寿命理美容ハサミは、従来品と比べて 20 倍も寿命が長いという点で
環境に良い。(C社)
・メガソーラー等の太陽光パネル施工時の杭基礎に使う鋼材は、人力
で打ち込むことができ、重機を必要としない。また、撤去時にもそ
のまま抜き出すことができ、土壌に金属類が残ることがないため環
境への影響が少ない。環境配慮に気を配っている事業者に選んでも
らっている。(D社)
・公園施設、動物園の檻等、子供が触ったり動物が舐めたりする製品
を世に送り出していることから、数十年来、鉛やクロムなどの有害
重金属類を含まず、高いさび止め効果を実現する塗料の開発研究を
している。製品は大手自動車メーカー等から受注している。
(D社)
・従来の「守り(我慢)の省エネ」から「攻めの省エネ」へ思考を変
え、ポンプやファンのインバータ化による最適運転制御システムや
LED 調光システムの導入提案・推奨・提供により、社会の省エネへ貢
献する取り組みを始めている。
(F社)
・業務用建物や各種工場を対象とした省エネ支援システムを開発。
(F
社)
●海外進出状況
・印刷機器のモデル工場となっているため、先進国・途上国を併せて
世界中から視察が来る。
(B社)
・ハサミは海外市場へは進出していないが、オフロードバイクの部品
等は海外でも使われている。(C社)
・海外進出は台湾で塗料のリサーチをしたが、値段的勝負できないこ
とがわかった。
(D社)
・海外から鋳物を輸入し、技術加工をして製品を作っているが、日本
の環境に対する要求基準について、仕入れ先に現地で指導している。
将来的には海外からの視察も受け入れたい。
(D社)
●その他
・日本印刷産業連合会(日印産連)の環境優良工場表彰において経済
産業省局長賞を受賞。現在は環境優良工場制度の審査委員を務めてい
る。
(B社)
4
・緑のカーテンや、敷地内での野菜や植物の栽培をし、景観の美化・
緑化や地域環境との調和に努めている。
(B社)
自社が抱える環境課
題
・FSC 認証は、産地証明のある木を使い、違法伐採等がないことが確認
できる、環境にやさしい木材だが、グリーン購入ネットワークでは
あまり評価されていない。
(B社)
・機械装置で使用する 200V 電源が、集合管理のためグリーン電力を選
ぶことができない。
(C社)
・緑化などの環境配慮のための取組みへの理由付けとコストの折り合
いが難しい。(D社)
・省エネ設備・システム等の導入費用が高いことと、導入に係る補助
金や減税制度に伴う事務手続きの簡素化。(F社)
・国及び国連の温室効果ガス排出量削減目標、EU のサーキュラー・エ
コノミー政策の国際的波及、廃棄物管理の国際標準化(ISO 規格化)
の動きなど、国内外の動向を踏まえた自社の今後の事業のあり方の
検討。
(G社)
・トラックの燃料使用量と排ガス排出量の増加。
(H社)
・省エネ施策の個店への周知。
(大田区商店街連合会)
・理解することはできても実行面が難しい。
(大田工業連合会)
自社の今後の方針
●業態・製品について
・印刷物を作成する工場として環境対応能力世界一を目指す。(B社)
・今後、工場を新設できた際には、羽田空港から近いこともあるので、
海外客向けに、モデル工場としてアピールしたいという考えは持っ
ている。情報産業なので、製品の海外進出は考えていないが、印刷
業のノウハウや技術移転は可能性がある。
(B社)
・法令順守及び環境負荷の低減。(F社)
・環境関連製品の積極的な受注。(F社)
・従来の自社事業の枠にとらわれない、中長期的な視点を踏まえた新
たな環境ビジネスの創造。
(G社)
・顧客の不用品をできる限りリサイクル処理を行い、廃棄物による環
境負荷を低減する。
(H社)
・省資源・省エネルギー活動を推進し、地球温暖化の抑制に向けて取
り組む。
(H社)
●普及啓発について
・行政の関連施策の周知・協力依頼を行いたい。
(大田区商店街連合会)
●その他
・工場の緑化を実施したい。(D社)
・営業車に電気自動車を導入したい。(D社)
5
環境基本計画に期待
する施策等
●制度や仕組み等について
・目標達成企業に対しての優遇処置やインセンティブの制度化。
(B社)
・区の発注ガイドライン等で、グリーン購入ネットワークの認定工場
を優先するなど、環境経営が儲かるような仕組みづくりに取組んで
いただきたい。
(B社)
・産業廃棄物を一般廃棄物として排出する事業所がある場合は、違反
者の取締りを強化する等を検討してほしい。
(B社)
・太陽熱、地熱、風力、水力等の環境にやさしいエネルギーの活用を
進めてほしい。
(I社)
・区内の省エネ関連事業者等を巻き込み、産業振興につなげてほしい。
(大田区商店街連合会)
・期待できる効果などをわかり易く示してほしい。
(大田工業連合会)
●普及啓発について
・全員参加型の動きが必要。家庭内でできる手軽な省エネの案を募集
し、区全体に広める。省エネ川柳などを募集、発表するなどして家
庭内で意識を高める。(C社)
海外進出状況・問題
・バングラデシュの事業進出に向けて調査中。(G社)
点等
その他
・野鳥が飛び交う、虫のいる草原、明るい夜道、きれいな街、交通渋
(区への要望、環境
滞がない街、といった無駄のない大田区を作っていきたい。
(C社)
基本計画の範囲外の
・東京スーパーエコタウン内のリサイクル事業者への支援(例:大田
事項等)
区内の排出企業に向けた周知・販促活動など)。「高度なリサイクル
技術を集約したエコタウン、都内唯一のエコタウンが所在する大田
区」としてのアピールに繋がるかどうか検討いただきたい。
(G社)
・EMS を取得し、CO2 削減などに取り組んでいる会社の数や効果の実績
等について、区が全体の数値管理をすることを検討されたい。
(I社)
6