南米パラグアイ便り第5号 西 野 重 雄 パラグアイは農業立国で、その中でも畜産業は国の基幹産業の一つです。その畜産業が 世界的競争に負けないように下支えをしているのが、私の配属先の国立家畜衛生研究所 (SENACSA)です。パラグアイには多くの家畜伝染病があるため、その撲滅を目的に疾病 浸潤状況調査を実施しています。 今回は、当研究所の検査部が担っている、牛ブルセラ病対策の一部についてご紹介しま す。この牛ブルセラ病は、牛の流産を起こしその生産性を低下させるのみならず、時に人 にも感染する人畜共通伝病の一つです。私は、この伝染病の診断に必要な診断液の作成や、 送付材料からのブルセラ菌分離も行っていますので、その概要を説明したいと思います。 ブルセラ アボルタス菌 1119-3 株という種菌を大量培養して菌を不活化し、ローズベン ガル色素で染色してローズベンガル急速凝集反応診断液を作成します。この診断液と牛血 清を混釈して粒状凝集塊が出現した場合、反応陽性と判断します。これは牛ブルセラ病の スクリーニングテストの一つで、最終的に陽性牛と決めるためには、その他の検査も進め る必要があります。 ジャガイモから、種々の試薬を加えジャガイモ寒天培地を作成します。 ジャガイモ寒天培地 種菌を接種します。 菌の回収を行います。 最後に瓶詰めをします。 遠心を繰り返したうえ、pH を調整し色素をつけます。 凝集試験反応例(ピンクの凝集塊が見えます。) ※解りやすくするために途中過程を省略しています。
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