資生堂ビューティートレンド研究チームが 2016 秋冬季の街頭トレンドを解説 「ブライトリップ」が「なじみリップ」を逆転! 資生堂ビューティークリエーションセンター※1 では、メークやヘアの未来のトレンドを予測する「ビュー ティートレンド研究※2」を行っています。その一環として、トレンドの最先端である東京、ニューヨーク、パリ の 3 都市でメーキャップとヘアスタイルに関する街頭調査を年に 2 回(春夏季、秋冬季)実施しています。 今回は、2016 年 10 月中旬~下旬、東京の銀座・渋谷・原宿で 20~30 代の女性合計 300 人を対象に実施 した街頭調査の結果をもとに、ビューティートレンド研究チームのヘア&メーキャップアーティストが「東京 の街を歩く女性たちのヘア&メーキャップ傾向」を解説します。 トレンドは時代とともに移り変わっていきます。そこには変化の兆しがあり、それが継続し、盛り上がり定 着し、衰えていくといういくつもの「波」が存在します。2016 年秋冬はどんな変化が見られたのでしょうか。 ※1 資生堂ビューティークリエーションセンター プロのヘア&メーキャップアーティストが約 40 名在籍し、宣伝広告のヘア&メーキャップ、メーキャップ商品のカラークリエーションを はじめ、東京、ニューヨーク、パリ、などで開催されるファッションショーのバックステージで活動し、最先端のトレンド情報をグローバルに 発信している。 ■ビューティークリエーションセンターHP: http://hma.shiseidogroup.jp/ ※2 資生堂のビューティートレンド研究 資生堂では 1987 年に「ビューティートレンド研究」をスタートさせ、美容・ファッションの動向を分析し、未来のビューティー傾向を予測して いる。ヘア&メーキャップアーティストを抱える強みを活かし、具体的なメーキャップ、ヘアスタイルにまで提案する資生堂独自の取り組 みで、未来のトレンドをいち早く予測し、商品開発やマーケティングに役立てている。ヘア&アーティストを中心に約 15 名で調査を実施。 「なじみリップ」はもう古い!? 「ブライトリップ」が主流に 街頭調査で最も注目したいのは、リップの「色」。10 年以上の間、口紅の定番だった「モデレート(なじみ 色)リップ※3」を逆転し、ビビッド、ディープ系の「ブライトリップ」が主流になりました。ここ数年、赤やローズ といった、はっきりとした色のリップを楽しむ人が増加傾向にあり、「ブライトリップ」の流行はトレンドに敏感 な層から一般の層へと広がりつつあると考えられます。また、「ツヤをプラスする」「輪郭を指でぼかす」な ど、ブライトリップをより軽く楽しむ塗り方も浸透し、この傾向がトレンドとして定着してきていることがうかが えます。 ※3 モデレート(なじみ色)リップ: ソフトで肌なじみのいいおだやかなカラーのリップ 2016 年 ㈱資生堂調査 調査エリア:銀座・渋谷・原宿/対象:20~30 代女性 n=300 人 「赤みのアイカラー」の流行でアイメーク復活へ 秋冬でもうひとつ特徴的だったのが、「赤みのアイカラー」です。2015 年秋ごろから、アイメークを楽しみ たい気分が高まりつつあります。アイメークの流れを振り返ると、2015 年春夏が、アイメークをしない「底」 の時期。そこから、少しずつ「薄盛り傾向」が見られるようになり、さらに一歩進んだ形が、今季の「赤みの アイカラー」と考えられます。太眉、赤リップと、ここ数年は眉とリップメークに女性たちは重点を置いてきま した。それがひと段落した今、次はアイメークを楽しみたいという気分が高まっていると考えられます。 眉は「丸みアーチ」「ナチュラルな太さ」にシフト ここ数年ブームを起こした太眉は、引き続き収束傾向。流行だった「直線眉」「下がり眉」の名残は存在す るものの、流れは自然な丸み、自然な太さの「ナチュラルなアーチ眉」へと移行しています。テレビドラマや 雑誌に登場する憧れの女優やモデルの眉を真似している女性も多く見受けられました。 目の下チークは引き続き減少へ 太眉とともに減少しているのが「愛され」「色っぽい」といったワードの象徴だった「目の下チーク」。 先シーズンからの減少傾向は継続していて、現在は頬骨のラインに自然にぼかすナチュラルなチークが 主流となっています。 「何か盛りたい!楽しみたい!」が今の気分 ここ数年、ファッションの世界では、ハイウエスト、ダンガリーシャツなどのデニム素材、スニーカーなど 80 年代、90 年代に流行ったものがブームになりました。バブル期を知らない若い層には、この時代の「盛 り」感覚が新鮮。それに合わせ、メークも「何か盛りたい!楽しみたい!」というムードが高まっていると考 えられます。「軽さ」「エフォートレス」を経験した彼女たちにとっての「盛り」は、抜け感、こなれ感が重要。こ の傾向が、今季は「兆し」として表れていたのが特徴的でした。 狙うは「いいね」がもらえるヘア ヘアは、色、レングスに際立った傾向が見られない一方、ヘアアレンジにこだわる人が増加しています。 特に多いのが、ベレー帽などの帽子。実に 40%の人が、アレンジのツールとして帽子を取り入れていまし た。大きなサイズのヘアアクセサリーで遊ぶ、ウェットな質感に作りこんだスタイルに挑戦するなど、大胆 なヘアアレンジを楽しむ人も。その裏には、インスタグラム等の SNS に写真を投稿し、「いいね」を増やした いという今どきの女性の心理が働いているといえます。SNS で高評価を得ることは、ヘアスタイリングを行 う上での大きなモチベーションとなっていると分析できます。 2016 年 ㈱資生堂調査 調査エリア:銀座・渋谷・原宿/対象:20~30 代女性 n=300 人 人 理想は「作りこんだ無造作」 ヘアスタイルでは、何も手を加えていないような、無造作なスタイルが旬。一見、ボサボサに見えるスタ イルですが、実は、前髪のニュアンス、束ねたときのおくれ毛、くせ毛のような毛先の動き等をしっかり ヘ アアイロンで作りこみ、あえて「やっていない感」を演出しています。かつての巻き髪ブームから時代を経 て、ヘアアイロンを使ったスタイリングの楽しみ方が変化し、こなれてきたことがわかります。 “軽さ”と“盛り”のバランスを楽しむ メークでもヘアでも今どきスタイルは“軽さ”を抜きには語れませんが、今季はそこに新たな“盛り”をプラ スする傾向が見られています。以前の“盛りメーク”とは違い、ナチュラルな中にアクセントでバランス良く きかせる“ちょい盛り”です。この背景にはインスタグラム等の SNS で「いいね」を獲得したい意識が働いて おり、ポイントで盛って SNS 映えを狙う感覚です。「盛りながら楽しむ」傾向は今後も徐々に広がりを見せる でしょう。“ナチュラルでもポイントを一点盛る”バランスを取り入れて、自分らしいスタイルを楽しみましょ う。 ビ ュー テ ィー ト レ ン ド研究チー ム リーダー 資生堂ト ッ プ ヘ ア & メ ー キ ャ ッ プ ア ー テ ィ スト 鈴木 節子 トレンドの「赤みのアイカラー」の選び方&使い方 今季のトレンドは赤みのアイカラーで、女っぽさを演出するのがポイントです。赤みのアイカラーは腫れ ぼったく見えてしまうと敬遠しがちですが、ブラウンベースのものを選んだり、または発色を抑えめにする と取り入れやすいでしょう。また、ビビッドなアイカラーをポイント使いするのもおすすめです。下まぶた や、目尻だけに入れることで、誰でも簡単に抜け感のある 旬の目もとが仕上がります。ピンクやボルドーなどバリエー ションを変えて楽しんでみてください。 ビューティー トレンド研究チー ム 資生堂ヘア&メー キ ャッ プアー ティ ス ト 中山 夏子 トレンドの「計算された無造作ヘア」の作り方 ポイントはヘアアイロンで作る無造作感と質感。まず髪全体を太めのア イロンで巻きますが、このとき毛束は少し細かめにとってくせをつけてい きます。髪全体が巻き上がったらしっかりブラッシングして、作ったくせを ほぐしながら自然に仕上げていきます。狙いはくせ毛のようなラフなニュ アンスです。最後に少量のヘアオイルを毛先から全体になじませて完成 です。キッチリと巻くより、少々ざっくりとした巻き方でも様になるのが無 造作ヘアのいいところ。是非試してみてください。 ビ ュ ー テ ィ ー ト レ ン ド 研究チ ー ム 資生堂ヘア&メーキャップアーティスト 中村 潤 鈴木 節子 SETSUKO SUZUKI 1993 年資生堂入社。資生堂の美容分野社員の頂点である「資生堂トップ ヘア&メーキャップ アーティスト※4」として、資生堂の宣伝広告や広報に おけるヘア&メーキャップの他、東京、ニューヨーク、パリでのコレクショ ン等ファッションショーのバックステージでメーキャップを手掛けるなど、 多岐にわたり活動。これまでに「クレ・ド・ポー ボーテ」、「Shiseido Makeup」、「マキアージュ」などのブランドの商品開発やカラークリエーシ ョン、美容情報開発などを担当。2010 年から 2 年間ニューヨークに駐在経 験がある。2003 年からビューティートレンド研究に携わる。その研究成果 を活かし、西洋の化粧が一般的に取り入れられるようになった 1920 年代 から現在に至るまでの化粧の変遷を 1 名のモデルで再現した「日本女性 の化粧の変遷 100 年」が話題となった。 ■Web サイト:http://hma.shiseidogroup.jp/suzuki/ ■「日本女性の化粧の変遷 100 年」 http://hma.shiseidogroup.jp/info/p20141222_5392/ 中山 夏子 NATSUKO NAKAYAMA 2003 年資生堂入社。資生堂の宣伝広告や広報におけるヘア&メーキャップを中心に、 コレクションなどで活動。 ヘアメーキャップスクール SABFA※5 の講師も務める。 さら にカラークリエーターとして商品開発やメーキャップソフト情報の作成にも携わる。 ■Web サイト: http://hma.shiseidogroup.jp/nakayama/ 中村 潤 JUN NAKAMURA 2008 年資生堂入社。資生堂の宣伝広告や広報におけるヘア&メーキャップに携わる。 「シーズンヘア」、「メンズシーズンヘアスタイル」のクリエーティブメンバーとしてヘア スタイルの創作を行い、ヘアメーキャップスクール SABFA※5 の講師も担当。 ■Web サイト: http://hma.shiseidogroup.jp/nakamura/ ※4 資生堂トップヘア&メーキャップアーティスト 資生堂の美容技術専門職のなかで、最高レベルの技術を有するヘア&メーキャップアーティスト。先進的な美を創造しグローバルに発信する ことで、資生堂ブランドや企業価値の向上に努めるとともに、美容業界全体の発展に寄与することをミッションとしている。現在鈴木を含め計 7 名が就任している。 ※5 SABFA (サブファ) 資生堂が運営するプロのヘア&メーキャップアーティストを育成するスクール。1986 年に設立し、卒業生は、広告・TVCM・雑誌の撮影やファッ ションショーなどの第一線で活躍している他、美容サロンではヘア&メーキャップのエキスパートとして、お客さまの トータルビューティーを提 案している。学校名は「Shiseido Academy of Beauty & Fashion」の頭文字に由来する。 ■SABFA オフィシャルページ: http://sabfa.shiseido.co.jp/
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