【優秀賞】北海道PTA連合会長賞 学べる世の中へ 箕輪 萌華 「人が人として生きること。 」当たり前なことだから、今まで意識する事なく私は生きて きました。このことがどれだけ重要なのかを痛感したのは、あの日の経験がきっかけでし た。 私は小学校六年生の時に初めて難病を患い、長期にわたる治療のため三か月闘病生活を 経験しました。そのため学校を休むことになり、病院の中にある院内学級に通いはじめま した。学級には、小学生・中学生あわせて十五人程の生徒が、それぞれ色んな病気を抱え ながら勉強に励んでいました。最初は院内学級はなんのためにあるのかを考えたことがな く、週に何回かという決まった日に授業を受けるのが当たり前のように捉えていました。 しかし、その考えは間違っていました。ある時、 「今日は体調が良くないけど授業受けたいから来た。」 という声が聞こえてきました。その言葉を聞いた瞬間、今までの自分を恥ずかしく思いま した。どんなに具合が悪くても必死に授業を受け、遅れを取り戻そうと努力する。そんな 仲間達の姿に心が動かされ、院内学級が存在する意味を深く考えることができました。 今思い返すと、入院していても授業が受けられるのは、教育を受ける権利が保障されて いるからでした。私は今まであたり前のことのように考えていましたが、今はこの権利が 保障されていることに感謝しています。 入院して気づいたのは、それだけではありません。闘病生活を送るなかで入院生活に対 し、目を向けられることが多くなりました。私の思う入院は、一日中静まりかえった病棟 の個室にただ一人。一日一日が長く、辛い治療をスケールごとに行い、窓からみえる青空 が唯一の励みだと思っていました。しかし実際は真逆でした。一日中元気な子供達の泣き 声や笑い声が病棟の長い長い廊下に響きわたり、スタッフ達が慌ただしく走る足音。プレ イルームからは小さい子から中学生までの子が腕に点滴やカテーテルをつけながらハシャ ギ回る光景を目の当たりにした時、色々な感情が入り交じり目が涙ぐんでいました。素晴 しい出会いもあり、毎日笑顔で過ごしていくうちに、一日一日があっという間になり病気 をした事さえ忘れていました。 また、命を救ってくれた医師達はどんな患者にも平等に接し、何万人に一人という難病 を抱え治療が困難な子に対しても、その子のことを思い全力をつくしてくれる。そんな姿 に私はいつも刺激を受け、いつかその背中を私も追いたいと思うようになりました。 そして、この経験から「こういう人達を支える人になりたい。 」と思い、医者という大き な夢を抱き、叶えたいと思いました。しかし夢はそう簡単には手にはいらないと思います が、努力して手にいれるものだと思います。そのためには、教育が必要不可欠です。大き な夢を持っている人は、教育を受け勉強をして実現させ、たとえ将来の夢が大きなもので なくても、自分が社会に出て生きていくためには、教育がつながってくるからです。だか ら私は教育を受けられる期間を大切にし、思う存分学んで生きていきたいと思います。
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