別紙 諮問第537号 答 1 申 審査会の結論 「2015年○月○日に都立○○高校校長と私が電話で会話した際の音声記録」を不存在 を理由として非開示とした決定は、妥当である。 2 異議申立ての内容 (1)異議申立ての趣旨 本件異議申立ての趣旨は、東京都個人情報の保護に関する条例(平成2年東京都条 例第113号。以下「条例」という。)に基づき、異議申立人が行った「2015年○月○ 日に都立○○高校校長と私が電話で会話した際の音声記録」の開示請求に対し、東京 都教育委員会が平成27年12月15日付けで行った非開示決定について、その取消しを 求めるというものである。 (2)異議申立ての理由 異議申立書及び意見書における異議申立人の主張を要約すると、以下のとおりであ る。 ア 2015年○月○日○時○分頃異議申立人は都立○○高校校長○○に電話をし、約30 分程度会話をした。会話内容は主に、都立○○高校定時制教員の勤務態度、出勤状 況等に対するクレーム及び当日を含む週と前週の子の給食予約が想定外のクリア状 態となり喫食できなかった原因解明の要求等である。 異議申立人は会話の録音には同意していないので、当該会話の音声記録における 異議申立人の発言部分を抹消したい。 イ 実施機関が保有個人情報の開示請求を受けた場合には、東京都個人情報の保護に 、- 1 - 関する条例に基づき、請求要件・範囲を満足する公文書の特定及び開示決定、また は、当該公文書が不存在の場合には十分な理由を附して非開示決定を適切に実施す ることが必要である。 ウ 今回の公文書は電磁的記録である。 当日の会話の中で、校長は「東京都教育庁総務部法務監察課ではたくさんの弁護 士を抱えておりいくらでも対応できる」を述べており、将来異議申立人に対し訴訟 を起こすことを想定していることから、訴訟のための一材料として音声記録を本人 同意を得ずに録っていた可能性が高いため。 エ 実施機関から理由説明書が発出された2016年10月24日時点で、当該校長は退職し ているにもかかわらず、理由説明書で「異議申立人と校長が電話で会話したことは 事実」と明確に述べているが、会話の事実は当該二者以外知る由もないので、この 記載は音声記録に基づくものと推定される。 オ 東京都個人情報保護審査会においては、処分庁へのヒアリングのみに留まらず、 都立○○高校校長の現場に立ち入り、処分庁の主張「電話に録音機能がなく、録音 装置自体もない」を確認した上で答申していただきたい。 3 異議申立てに対する実施機関の説明要旨 理由説明書による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおりである。 本件開示請求に関し、2015年○月○日に、異議申立人と当時の本校校長が電話で会 話をしたことは事実である。 しかし、本校においては、電話に録音機能が備わっておらず、また、録音装置自体 を保有していないことから、電話の音声記録を録音した事実はない。 したがって、本件開示請求に係る音声記録は存在せず、本件非開示決定処分を行っ た。 4 審査会の判断 、- 2 - (1)審議の経過 審査会は、本件異議申立てについて、以下のように審議した。 年 月 日 審 平成28年 4月 5日 平成28年 5月31日 議 経 過 諮問 新規概要説明(第167回第一部会) 平成28年10月24日 実施機関から理由説明書収受 平成28年10月25日 審議(第171回第一部会) 平成28年11月 異議申立人から意見書収受 8日 平成28年11月16日 審議(第172回第一部会) (2)審査会の判断 審査会は、実施機関及び異議申立人の主張を具体的に検討した結果、以下のように 判断する。 ア 本件請求個人情報について 本件異議申立てに係る開示請求は、「2015年○月○日に都立○○高校校長と私 が電話で会話した際の音声記録」(以下「本件請求個人情報」という。)である。 実施機関は、本件請求個人情報は作成していないとして、不存在を理由とする 非開示決定を行った。 イ 本件請求個人情報の不存在妥当性について 異議申立人は、当日の○○高校校長との会話の中で、校長が「東京都教育庁総務 部法務監察課ではたくさんの弁護士を抱えておりいくらでも対処できる」と述べ ており、 将来異議申立人に対し訴訟を起こすことを想定していることから、訴訟 のための一材料として音声記録を本人同意を得ずにとっていた可能性が高い旨主 、- 3 - 張し、さらに、「自分が会話した校長はすでに退職しており、会話の事実は当該 二者以外知る由もないのに、実施機関が会話の事実を明確に認めているのは、音 声記録に基づくものと推定される」としている。 これらの主張に対し、実施機関は、2015年○月○日に異議申立人と当時の○○ 高校校長が電話で会話をしたことは事実であるが、○○高校の電話には録音機能 が備わっておらず、また、その他の電話の通話を記録する機能を有する録音装置 は保有していないことから、電話の音声記録を録音した事実はない旨説明し、理 由説明を行うに当たり、異議申立人と会話を行ったことが事実である旨について、 当時の校長に直接確認を取ったとのことであった。 審査会は、実施機関が理由説明で述べている「電話に録音機能が備わっておら ず、録音装置自体も保有していない」という主張を確認するため、現場の状況及 び備品の保有状況について事務局に現地調査をさせたところ、実施機関の当該主 張は事実であることが確認できた。 以上のことを踏まえると、本件請求個人情報は存在しないとする実施機関の説明 に不自然な点は認められず、他にその存在を認めるに足りる特段の事情も見当た らないことから、本件請求個人情報を不存在を理由として非開示とした決定は 、 妥当である。 よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。 (答申に関与した委員の氏名) 秋山 收、浅田 登美子、神橋 一彦、隅田 、- 4 - 憲平
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