プラスチック部分が破損した洗面化粧台

【法人番号 4021005002918】
報道発表資料
相談解決のためのテストから No.106
平成 29 年 1 月 19 日
独立行政法人国民生活センター
消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
プラスチック部分が破損した洗面化粧台
-洗濯用洗剤などの溶剤が付着したときは、すぐに拭き取りましょう-
1.依頼内容
「洗面化粧台の三面鏡を支えるプラスチック部分に亀裂が生じて破損した。亀裂が生じた原
因を調べてほしい。
」という依頼を受けました。
2.調査
当該品は三面鏡(開き扉の構造)の中央鏡の下のプラスチック部分(ABS)(注 1)が破損し、そ
の背面のステンレスには液体が垂れた跡がありました(写真 1)
。そのほか、破損部のプラスチッ
ク破面には亀裂が徐々に進行していった跡も確認されました。
(注 1)アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂。金属に代わる耐衝撃性樹脂として開発された。電気部品、
自動車部品などに用いる。塩化ビニル樹脂の衝撃性改善に用いる。
(「理化学辞典」より)
写真 1.当該品の外観
ステンレス
中央鏡
(裏側)
液体が垂れ
た跡
約 82
cm
右鏡
上方より
観察
下方より
観察
破損部
1
そこで、当該品に収納していた洗剤など(注 2)と、参考として水道水を用いて、当該品のプラ
スチック部分が洗剤などで亀裂を生じるかテストしました。
当該品の破損していない箇所からプラスチック片を切り取り、プラスチック片に曲げ力が加
わる状態で試験片を作成しました。より過酷なテスト条件となるよう、洗剤など①~③では試
験片を原液に浸し、エアゾール製品の④では試験片に両面から噴射して、室温約 20℃の環境下
もろ
でそのまま 1 週間放置しました。テストの結果、①②では溶剤の影響で試験片が脆くなり、テ
。
スト開始 12 時間以内にソルベントクラック(注 3)を生じました(写真 2)
(注 2)①洗濯用合成洗剤(弱酸性)、②洗濯用合成洗剤(中性)、③衣料用漂白剤(酸性)、④ヘアスプレー
(注 3)成形品中に溶剤などが浸透拡散されることによって、分子間の剥離が生じクラック(亀裂)に至るもの。
(大武
義人著「ゴム・プラスチック材料のトラブルと対策」より)
写真 2.②に浸した試験片がソルベントクラックを生じた様子
ビーカー
一方、③④や水道水では 1 週間経過してもソルベントクラックを生じませんでしたが、試験
片を指で折り曲げたところ、③④は容易に割れました。このことから、①②と同様に③④でも
溶剤によって試験片が脆くなったものと考えられました。なお、水道水に浸した試験片は指で
割ることはできませんでした。
以上のことから、当該品の中央鏡の下のプラスチック部分は、洗剤などに含まれる溶剤が付
着したままになったことが原因で亀裂を生じ、三面鏡の開け閉めの際の衝撃や応力などによっ
てその亀裂が成長して破損したものと考えられました。
3.消費者へのアドバイス
洗面化粧台のプラスチック部分に洗剤などの溶剤を含んだものが付着すると、プラスチック
部分に亀裂を生じ、破損するおそれがあります。破損の程度によっては洗面化粧台を交換しな
くてはならなくなることも考えられます。洗面化粧台のプラスチック部分に洗剤などが付着し
たときは、すぐに拭き取りましょう。
本件問い合わせ先
商品テスト部:042-758-3165
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