②加藤 志生子氏(エル・パーク仙台館長) ~平時にできないことは災害時にはできない~ 東日本大震災後、仙台市男女共同参画推進センターの指定管理者であるせんだい男女共同参画財 団は、被災者女性の支援と女性リーダー育成に取り組みました。その際、センターの事業経験とネ ットワークの積み重ねが、被災時にジェンダー視点でニーズをくみとり、支援に結びつけることを 可能にしました。具体的には、相談事業における「女性の悩み災害時緊急ダイヤル」の開設、女性 支援ポータルサイトでの情報提供、センターで人がつながるための「場」の支援、震災に対応した 講座内容への組み替え等です。また、新たに市民グループ等の多様な主体と連携した取組みができ ました。 このような中浮かび上がってきた課題は、「平時にできないことは災害時にはできない」という ことでした。災害時に女性たちがなかなか声を出しにくかったということは、普段のまちづくりに おいて、意思決定の場に女性が少ないということなのです。それゆえ避難所で女性のリーダーは少 なかったし、復興の過程にも入り難かったのです。だからこそ平時の女性のリーダーシップ、意思 決定の場への女性の参画が急務であると感じました。 被災地にある財団として、この経験を発信し続け、女性がリーダーシップを取ることが当たり前 にしていかなければなりません。日本女性会議では、女性達には社会を変える力があり、その力を 使う責任がある( 「仙台宣言」 )ということを発信しました。また、国連防災世界会議では、女性の リーダーシップと多様性について、特に以前の兵庫防災枠組では女性は災害弱者でしたが、今回の 仙台防災枠組では女性は防災・減災の主体であり、リーダーシップを持った担い手なのだというこ とを発信しました。そして今年、ようやく女性リーダー育成プログラム「決める・動く 2016」の開 催に至りました。今後 5 年で 500 人のリーダーの参加を目標に事業を展開しています。 男女共同参画センターは全国で連携して、大規模災害時における相互支援システムを構築してい ます。また、仙台市男女共同参画推進センターは、仙台市地域防災計画において災害時の女性支援 の拠点施設として位置づけられています。私たちは常に次の災害の前を生きています。より良く生 きていくために、平時の今できることを行わないといけません。そのためには女性のリーダーを増 やすことが必要です。今後は、NPO等と連携を図りながら、必要な対応とより良い支援を行って いきたいと思います。
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