Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Jan 10, 2017
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
トランプ次期⼤統領への政策期待も⼀服、⽶ドル円は上値が重い展開か。
USD/JPY (1週間の値動き)
ISM製造業景況指数
は好調な結果に
⼈⺠元相場急騰の
流れを受け米ドル安へ
米雇⽤統計は
強弱まちまちな内容
(出所)Bloomberg
コメント
先週の米ドル円相場は、3日にISM製造業景況指数が好調な結果となったことで一時118.60円まで上昇するも⻑続きはせず、その後はド
ル売りが優勢、5日に⼈⺠元が対ドルで急騰する流れの中で6日には115円台前半まで下落することとなった。注目された米雇⽤統計は強
弱まちまちの結果となるも、平均時給の改善などが好感されドル買いが進み、結局117円近辺で越週した。
今週は、国内が祝日だった昨日9日は海外時間で米⾦利が低下したことなどからドル売りが進み一時116円割れとなる場面も⾒られている。
11日には、トランプ⽒による記者会⾒が予定されるなど、その政策スタンスを睨みながらの相場展開となるが、市場の⽅向感としては政策期
待によるドル上昇は一段落、相場の⾏き過ぎへの警戒感から米ドル円下落の可能性には注意が必要だろう。
(市場営業部/川口)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
1/11(水)
(米国)トランプ⽒記者会⾒
-
1/12(木)
(日本)貿易収⽀(国際収⽀ベース)
¥246.6b
1/13(⾦)
(米国)イエレン議⻑講演
-
1/13(⾦)
(中国)貿易収⽀
$47.6b
1/13(⾦)
(米国)小売売上高速報(前月比)
0.4%
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
今村仁
114.00-119.00
ドル円相場の120円トライは一旦小休止。中国や英国の問題もあり、リスクOFF⽅向に思わぬ距離が出る可能性に注意。
川合隆⾏
114.00-118.50
週半ばのトランプ次期米⼤統領とイエレン議⻑の発⾔で、ドル高リスク等について⾔及があればドル売進⾏の可能性あり。
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Jan10, 2017
2. 円⾦利相場概況
円債市場は日銀オペが需給を下支え。リスク回避的な動きも⾒られ堅調に推移。
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
10年債⼊札
10年債利回り
債券先物
コメント
(出所)Bloomberg
先週の円債市場は、株高円安の流れを受け、売りが先⾏してスタート。警戒された10年債⼊札は事前に調整が⾏われた事から、無難な結
果となった。日銀オペも予定通りこなれされた事や米⾦利の不透明感から円⾦利は低下基調となったが、米雇⽤統計を週末に控え動意を⽋く
展開。注目された米雇⽤統計については、雇⽤者数の増加は市場予想を下回ったものの、平均時給の伸び率が⼤きく上昇した事で、⾦利引
き上げペースがFRBの思惑通り進展するとの⾒⽅から米⾦利は上昇するも、⼈⺠元の不安定な動きに端を発したリスク回避的な動きやトラン
プ新⼤統領の就任以降の政権運営を⾒極めたいとの姿勢から、米⾦利は⽅向感を⽋く展開となっている。
今週の円⾦利は、日銀オペが複数回⼊る事が想定され需給を下⽀えする材料になるだろう。11日に控える30年債⼊札は、年初より超⻑期
ゾーンが軟調に推移している事もあり、調整する可能性はあるが、水準的には相応の需要はありそう。グローバルにリスク回避的な動きも⾒られ
る事もあり、円債市場は概ね堅調に推移するだろう。
(市場営業部/吉岡)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
後藤賢太郎
小野口裕美子
今週のレンジ
0.01%-
0.07%
0.00%-
0.08%
予想のポイント
米⾦利をはじめ外部環境の動向には多少振られるものの、好需給を背景に底堅さを維持する構図に⼤きな変化は無さそう。
日銀オペ動向と11日の30年債⼊札により需給確認する週となるが、基本的には日銀オペに⽀えられ⾦利は低位安定か。
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3. 今週のトピックス
通貨オプション市場の動向
通貨オプション市場の注目材料 〜欧州の政治日程が⼤きなリスク要因か?〜
昨年の政治イベント
2016年為替市場を揺さぶった⼤きな政治イベントは、英国のEU
離脱(BREXIT)是非を問う国⺠投票と、米⼤統領選挙だったと
⾔えるだろう。これらのイベント後に発生する為替変動のリスクを回
避する需要が高まり、イベント直後を満期日とした通貨オプションの
インプライド・ボラティリティー(以下IV)の価格には数カ月まえから「
リスク・プレミアム」の織込みが開始され、価格の期間構造に⼤きく
影響を及ぼし続けた。
【図1】欧州各国の選挙日程
オランダ総選挙
3月15日
フランス⼤統領選(1回目)
4月23日
フランス⼤統領選(2回目)
ドイツ連邦議会選挙
5月7日
(1回目で過半数獲得者なしの場合)
8月23日から10月22日
今年は欧州政治リスクへ警戒感が他通貨にも波及
昨年の米⼤統領選挙以降、IVの価格形成を⼤きく歪めているのは
今後予定されている欧州各国の政治イベントである【図1】。
景気低迷の⻑期化や、移⺠の⼤量流⼊等課題が⼭積している中
で、反緊縮、反EU勢⼒の台頭による政治の先⾏き不透明感が欧
州各国でスパイラル的に高まっていく事態に対する警戒感は通貨オ
プション市場でも相当強い。特に4月下旬から5月に予定されている
仏⼤統領選の「リスク・プレミアム」の⼤きさが目⽴っており、この日程
より後に期日を迎える通貨オプションのIVは相当割高となっている【
図2】。
このような政治日程が明らかになると、当事者国を含む通貨ペアの
IVの価格形成だけが歪んでゆくケースが多い。(例えば昨年の米
⼤統領選前には、ドルストレートのIV価格に対する「リスク・プレミア
ムは拡⼤したが、ユーロ円等クロス通貨のIV価格への影響は極めて
限定的であった。)ところが、今年の仏⼤統領選挙の場合、ユーロ
のみならず、広範な通貨ペアでリスク・プレミアムの拡⼤が観測され、
様々な通貨ペアで5月8日の1日間のIVは極めて高い水準で建値
されている【図3】。これは、欧州の心臓部で起こり得る政治イベン
トの結果が、EUおよびEUROの存在を脅かすのみならず、グローバ
ルな規模で⾦融市場を動揺させる事への市場の警戒感の強さを⽰
唆していると⾔えるだろう。また、蘭、仏など先⾏する国々の選挙結
果次第では、年後半に予定されている独連邦議会選挙への警戒
感が急激に高まっていく可能性も排除できない。
円の為替相場への影響は?
欧州の政治リスクに対する警戒感は「リスク・オフ」通貨としての円の
価値を下⽀えしている要因の一つでもあろう。ユーロ円のIV市場で
観測される仏⼤統領選挙へのリスク・プレミアムが他通貨ペアに比
較しても突出して⼤きい事からも、為替市場における「リスク回避手
段としての円」への潜在的な需要の強さが伺える【図3】。
⾒⽅を変えると、時間の経過とイベント通過によりリスクへの警戒感
(≒円への需要)が弱まるにつれ、徐々に円の下落およびIVの下
落が起こりやすい相場環境が整って⾏くことになるだろう。
【図2】通貨別 IV 期間構造
【図3】通貨別 5月8日 1DAY IV
EUR/USD
EUR/JPY
USD/JPY
GBP/USD
35.49%
63.55%
30.99%
21.18%
AUD/USD
AUD/JPY
GBP/JPY
21.63%
43.18%
39.21%
( 出所 Bloomberg )
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