新年のご挨拶 - 一般社団法人 日本ミャンマー協会 [JAPAN MYANMAR

新年の挨拶
新年明けましておめでとうございます。
昨年はミャンマーで地震による被害があり、観光地で有名なバガンのパゴダや
寺院も被災しました。また、日本でも熊本県を中心に大地震があり、お亡くな
りになられた方々、そのご家族、ご親族、関係者の方々に対しまして、謹んで
お悔やみ申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一年を振り返ると毎年のように国内外で大規模な災害が起きています。被災さ
れた方々に一刻も早い復興をお祈り申し上げる次第です。
さて昨年 2016 年 3 月に NLD 新政権が発足しましたが、まさに、ミャンマーの
民主主義のセカンドステージです。昨年 1 月に NLD 経済委員会の訪日ミッショ
ン、その後、ミャンマー訪問のたびに NLD の皆さんや新政権の閣僚の皆さんと
面談いたして参りましたが、未来志向の日本とミャンマーの緊密な信頼関係は
21 世紀に生存している我々と当協会の責任として発展させて行かなければなら
ないと再確信しました。11 月にはアウン・サン・スー・チー国家顧問がミャン
マーの最高責任者として来日され成功裡に終わりました。
是非、期待に応えて強いリーダーシップを発揮いただきミャンマーの発展、国
民の皆様に幸せをもたらす様に期待いたします。
また、テインセイン前大統領が掲げた民主化政策、経済発展のための政策、国
民和解のための少数民族との和解政策は全世界から称賛され評価される業績で
あると確信しており、言わばファーストステージの 5 年間のご努力ご苦労に、
友人としても日本国の一人の政治家としても心より称賛と敬意を表したいと思
います。
更に、選挙後も前大統領、前大臣、前議員の皆様は国民のために活動しており、
私は素直にこれらの方々の真摯な姿に感銘を受けております。
ミャンマーの経済発展のための象徴的なプロジェクトであるティラワの工業団
地は日本とミャンマーの絶大なる協力のもとでスタートし、二期工事の調印も
行われ順調な滑り出しです。今年の初めには起工式も予定されており、この両
国関係の絆でもある事業の推進に今後も協力支援を続けます。
昨年も私は訪問のたびに、連邦議会の議長、国軍最高司令官や主要大臣はじめ
日本とミャンマーに欠かせないミャンマーの友人や企業の皆様とお会いして新
生ミャンマーの国家建設に最大の努力をしている指導層の人たちと素直に意見
交換をし、日本ミャンマー協会会長としてこれまでできることは全て全力で取
り組んで参りました。
協会の活動については、会員企業の皆様のご協力、ご指導のお蔭により昨年も
ご期待に応えた活動ができたと自負しております。
そして、協会が企画・推進してきた人材育成分野では、JICA を中心として日本
の国立 6 大学(長崎、熊本、岡山、新潟、金沢、千葉)による具体的な協力(工
学部支援)が順調に実行されております。一昨年からはその 6 大学の医学部の
ご協力とご努力により、ミャンマー医療全般に亘る人材育成支援の具体策が当
協会のアドバイスのもとに始まり、本格化しております。更に、薬学、医療機
器(メディカルエンジニア育成も含め)の分野でも昨年からミャンマーへの支
援協力の在り方を探る勉強会も JICA と開始しています。
更に、産業人材の育成が喫緊の課題となっています。我々としても人材育成に
関する支援・協力の一つとして取り組んでいる中の一環として、昨年「技能実
習生部」を設置いたしました。
2014 年末に当時のエーミン労働大臣が訪日した際、私に対し「ミャンマーとし
てこれから日本に技能実習生の派遣を本格化させ、将来の国造りに必要な人材
を育成したいので、日本側で健全・合法的な受入が行われるよう全面的な協力
をお願いしたい」と申し出があり、以来、私どもがこの課題に取り組んでまい
りました。
加えて、2015 年 8 月にミャンマー労働省より「駐日ミャンマー大使館のサポー
ト業務として求人票の記載内容の事前確認および受入機関・企業の実態把握を
行い、その審査・確認結果を駐日ミャンマー大使館に報告して欲しい」旨、要
請があり、即ち、駐日ミャンマー大使館は私どもの報告を踏まえ求人票の最終
審査を行い、ミャンマー外務省経由、労働省に通知する事が決定され今日まで
続けられており、ミャンマー政府からも感謝されております。
今後も関係者の方々のご意見なども伺いながら、引き続きミャンマー労働省、
ミャンマー海外人材派遣企業協会(MOEAF)、駐日ミャンマー大使館および日
本の関係諸官庁とも連絡を密にしてミャンマー人技能実習生の失踪・不当難民
申請の防止や健全な送出し・受入が出来るよう努力して参る所存です。今日そ
の実績として成果が着実に実っており、ミャンマー政府からも高く評価されて
おります現実は会員皆様に正しく報告させていただいておるところです。
産業人材の育成については、これだけでなく、ミャンマー国内での育成が肝要
です。昨年は JICA の委託を受け「職業技術教育・訓練(TVET)情報収集・確
認調査」を行い、最終報告書も完成しました。
ミャンマーにおける職業技術教育・訓練の実情を調べ、今後の支援協力の方策
を検討・提言するためです。端的に申し上げると、ミャンマーが低賃金単純労
働の提供をするだけの国にならないようにしっかりと国内教育を行い優秀な産
業人材を育成、確保できるようなことを求める提言です。
この提言により短期、中期、長期にわたる人材育成の施策を今後もミャンマー
側と話し合いながら実行していきたいと思います。
また、ミャンマー政府各省の若手育成教育に関しては、JICA、日本財団からご
支援を得て始まり、昨年も引き続き国際大学への留学が実施されおり大きな成
果が見られております。
更に、昨年は米国の経済制裁がほとんど全て解消され、市場の活性化は言うま
でもなく健全な企業が活発に活動できる環境が必要になってきています。その
ことに留意し企業会計がしっかり定着していくことの必要性を鑑みて、日商簿
記を広める事業も始めました。ミャンマーの企業には財務諸表が存在しない場
合が多く日系企業との合弁やパートナー探しの足かせとなっていることをよく
聞きます。ミャンマーに支店や事業所を置く日系企業もそうした人材を求めて
おります。これらの声を聴き、JICA と日商簿記のセミナー講座を開き広めるこ
とも実現できました。
こうしたプログラムが少しずつでも実現して行くことが、各分野での官民一体
の信頼醸成を深め推進して来ております。
更に昨年は、新政権となって初めて大型の協会会員メンバー中心の経済ミッシ
ョンも行い、主要大臣、ミャンマー商工会議所、NLD 経済委員会の皆さんと具
体的な話し合いができました。中小企業の進出においてはミッションの派遣、
日本とミャンマー企業同士のマッチング事業も具体的に成果が出ておりますこ
とは皆様のご協力、ご努力の賜物で心より御礼申し上げます(経産省、中小企
業基盤整備機構、JETRO、日本商工会議所、ミャンマー工業省、ミャンマー商
工会議所と共催で中小企業マッチング事業を4年連続して今年も2月にヤンゴ
ンで行います)。
昨年の年初には NLD 経済委員会の皆さんが来日され、主要な大臣等、重要人物
が相次いで訪日された機会に協会の皆様との懇親を深める期待にもお応えして
参りました。
こればかりでなく、日本の各省庁からの個別の支援や日本とミャンマーの民間
企業同士あるいは企業単独でのミャンマーへの支援・投資も盛んになりました。
ミャンマー日本商工会議所の現地登録数は飛躍的に増加し今日段階では約33
0社になっております。
また、私の同志である日本財団笹川会長(
「ミャンマー国民和解担当日本政府代
表」)は日本政府の代表としてミャンマー政府と少数民族との和解を目指して真
剣かつ命がけの活動されており引き続き大きな成果を上げておられます。一昨
年の 10 月には少数民族8つの勢力と停戦に合意しました。昨年は笹川会長のご
尽力で「21 世紀ピンロン会議」が開催され、今後も更にこの国民和解が具体的
かつ活発に進展するように期待されており、世界からも大いに注目と期待が寄
せられておるところであります。
加えてこれまでの ODA 中心の支援が夫々プロジェクト毎に具体的な形となっ
て表れて来る年だと確信しています。そして日本政府も更に新しい協力支援策
を出さなくてはなりません。新政権がどのような政策にプライオリティをつけ
るのか、これまで以上に大幅に両国関係も深く活発になる中で、ミャンマー・
日本双方の理解を高め、当協会の事業もそれに合わせて活動を集中して進めて
行きたいと思います。
以上、皆様にとってお役に立ち、両国の信頼と友好による具体的成果をミャン
マーの国民生活の向上と人材育成による産業経済の発展がミャンマー国全体に
広がり、国民各界各層に浸透し実現することこそ共通の願望として一層の努力
をお誓い申し上げる次第です。
皆様の今年一年のご健勝とご発展をお祈り申し上げながら、併せて当協会への
変わらぬご理解ご厚情に感謝申し上げ新年のご挨拶と致します。
日本ミャンマー協会 会長
渡邉秀央