文具・事務用品市場に関する調査を実施(2016 年)

2017 年 1 月 6 日
プレスリリース
文具・事務用品市場に関する調査を実施(2016 年)
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の文具・事務用品市場の調査を実施した。
1.調査期間:2016 年 10 月~12 月
2.調査対象:文具・事務用品関連事業者等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<文具・事務用品とは>
本調査における文具・事務用品とは、筆記具(鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープ
ペンシル、油性マーカー、水性マーカー)、紙製品(ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、
レポート用紙)、事務用品(ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、修正用品、カッター、ス
テープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書)の 3 分野 26 品目を対象とす
る。なお、水性ボールペンにはゲルインキボールペンを含む。
【調査結果サマリー】
2015 年度の国内文具・事務用品市場は前年度比 1.0%増の 4,598 億円
2015 年度の国内文具・事務用品市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 1.0%増の
4,598 億円であった。2012 年度以降は、個人向け需要に対応したヒット商品により、筆記具分野が大き
く拡大し市場規模全体を底上げしている。2015 年度は、筆記具が引き続き伸長したことに加え、事務
用品もプラス成長となり、全体市場規模は微増で推移した。
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‹ 万年筆市場は、ユーザー層のすそ野が拡がり市場規模が大幅に拡大
2015 年度の国内万年筆市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 19.1%増の 46 億 8,000
万円となった。エントリーユーザー向けの低価格モデルによって、ユーザー層のすそ野が拡大してい
ることに加え、かつての万年筆ユーザーである中高年男性の回帰も見られており、2012 年度以降市
場は拡大基調に転じている。また、中高価格帯の万年筆を中心として、訪日外国人客のインバウンド
消費も追い風となっている。
◆ 鉛筆市場は、大人向けの塗り絵ブームで多色セット色鉛筆の需要が急拡大
2015 年度の国内鉛筆市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 18.0%増の 82 億円であ
った。同年度は、大人向けの塗り絵(コロリアージュ)ブームによって、多色セット色鉛筆の需要が急拡
大し、商品の供給が追いつかないほどの好調な販売状況で推移したことが、国内の鉛筆市場拡大を
牽引した。
◆ 資料体裁
資料名:「文具・事務用品マーケティング総覧 2016 年版」
発刊日:2016 年 12 月 26 日
体 裁:A4 判 421 頁
定 価:110,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2017 年 1 月 6 日
プレスリリース
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況
2015 年度の国内文具・事務用品市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 1.0%増の
4,598 億円であった。文具・事務用品市場は、2012 年度以降、個人向け需要に対応したヒット商品が
創出された筆記具分野が大きく拡大し、市場規模全体を底上げしている。2015 年度は、筆記具が引
き続き伸長したことに加え、事務用品分野もプラス成長となり、全体市場規模は微増で推移した。
同年度を分野別に見ると、筆記具が前年度比 4.0%増の 965 億円、紙製品が同 0.6%減の 1,630
億円、事務用品が同 1.0%増の 2,003 億円であった。
筆記具は、水性ボールペンのヒット商品が市場拡大を牽引し 2012 年度以降プラス成長を継続させ
ている。2015 年度においては、水性マーカーが横ばい推移となったものの、それ以外の 6 品目は全
て前年度を上回る規模で推移した。
紙製品は、当該分野で 5 割以上の構成比を有する封筒が国勢調査やマイナンバー制度による需
要拡大があり、前年度並みを維持した。一方、手帳やノートは、これまで個人向け需要が好調で市場
を伸ばしていたが、近年はやや頭打ちとなっている。2015 年度の手帳市場は引き続き増加したものの、
ノート市場は前年度比微減だった。
事務用品は、調査対象 12 品目のうち、半数の 6 品目が前年度を上回った。市場規模が前年度を
上回ったのは、粘着テープ、ラベル類、電子文具、ファイル類、事務用のり、カッターであり、法人向け
需要が回復基調で推移したことや、個人向け需要では女性を中心に手帳やノートをデコレーションす
ることが流行したことで、デザインテープ類やふせん類、テープのり、電子文具などの関連商品が増加
した。
図 1.国内文具・事務用品 分野別市場規模推移
(単位:億円)
5,000
4,556
4,576
4,552
4,598
4,594
2,064
2,032
1,984
2,003
2,000
4,000
3,000
事務用品
紙製品
筆記具
2,000
1,649
1,650
1,640
1,630
1,618
843
894
928
965
976
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2016年度(予測)
1,000
0
矢野経済研究所推計
注1. メーカー出荷金額ベース
注2. 2016 年度は予測値
注3. 筆記具(鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー)、
紙製品(ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙)、事務用品(ファイル類、粘着テ
ープ、印章類、ラベル類、事務用のり、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベ
ルライター他〕、電子辞書)の 3 分野 26 品目を対象とする。
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2017 年 1 月 6 日
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2. 注目すべき品目別動向
2-1. 国内万年筆市場
2015 年度の国内万年筆市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 19.1%増の 46 億 8,000
万円となった。同市場は、2000 年代において何度か現出した万年筆ブームによって、一時的に需要
が喚起されることはあったものの、漸減基調であった。ただ、2012 年度以降は緩やかな拡大基調に転
じており、2015 年度の同市場規模は大きく拡大した。
近年、同市場の拡大に貢献しているのは、エントリーユーザー向けの低価格モデルである。これら
の商品によって、これまで万年筆のコアユーザーであった中高年男性を中心とする市場から、女性や
低年齢層などへユーザー層のすそ野を拡げている。また、かつての万年筆ユーザーである中高年男
性も、万年筆が注目される環境を受け、これへ回帰する流れも見られている。さらに、中高価格帯の
万年筆を中心に訪日外国人客のインバウンド消費も追い風となっており、日本独特の蒔絵などを施し
た商品が好調な伸長を示している。ただ、その需要の増加に対して、製造工程でハンドメイドが多い
万年筆では、供給面での課題も多い。
引き続き、主要メーカー各社の万年筆は、それぞれのユーザー層の拡大と相まって好調な推移を
継続させており、2016 年度の国内万年筆市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 15.4%
増の 54 億円を予測する。
図 2.国内万年筆市場規模推移
(単位:百万円)
7,000
6,000
5,400
4,680
5,000
4,000
3,450
3,770
3,930
2013年度
2014年度
3,000
2,000
1,000
0
2012年度
2015年度
2016年度(予測)
矢野経済研究所推計
注4. メーカー出荷金額ベース
注5. 2016 年度は予測値
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2017 年 1 月 6 日
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2-2. 国内鉛筆市場
2015 年度の国内鉛筆市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 18.0%増の 82 億円であ
った。同年度は、大人向けの塗り絵(コロリアージュ)ブームによって、多色セット色鉛筆の需要が急拡
大し、商品の供給が追いつかないほどの好調な販売状況で推移したことが、国内の鉛筆市場を牽引
した。
国内の鉛筆市場は、主要なユーザーである低学年層を中心とする学齢人口の減少、オフィス環境
のシステム化の進展による法人向け需要の減少、総じて学童需要以外はシャープペンシルへのシフ
トが一般化している環境などから、構造的に厳しい市場環境である。ただし、近年は、主要鉛筆メーカ
ー各社による児童向けの「かきかた鉛筆」や多色セット色鉛筆の投入による商品単価向上や、入学シ
ーズンを見越した需要喚起施策などによって、緩やかながらも市場規模は拡大基調で推移している。
2015 年度は、これらの要素に加え、大人向けの塗り絵ブームが市場拡大に大きく貢献した。
2016 年度は、多色セット色鉛筆の需要に落ち着きが見られ始めており、2015 年度の大人向けの塗
り絵ブームに対する反動が考えられることから、2016 年度の国内鉛筆市場規模はメーカー出荷金額
ベースで、前年度比 2.4%減の 80 億円を予測する。
図 3.国内鉛筆市場規模推移
(単位:百万円)
10,000
8,000
6,500
6,600
2012年度
2013年度
8,200
8,000
2015年度
2016年度(予測)
6,950
6,000
4,000
2,000
0
2014年度
矢野経済研究所推計
注6. メーカー出荷金額ベース
注7. 2016 年度は予測値
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