ARマーカーを用いた自己位置推定 ARマーカーを用いた自己位置推定 電気電子工学科 研究概要 11 号館 6 階の適当な 位置に AR マーカーを設 置して、ロボットの自己 位置推定に役立たせる、 それによりロボットが 6 階の任意の地点間を走行 することを目的とした。 T213030 久保田 直樹 (白井研究室) 座標軸なので無視している)。図 2 において、壁に対 するロボットの姿勢(角度)はα+β となる。 図 1. 使用したロボット 1. はじめに 工場の作業用ロボット、サービスロボットなどの 基礎として、現在ロボットがどの場所、どんな姿勢 図 2. ロボットの位置と姿勢の求め方 をしているのかを推定する自己位置推定がある。GPS による自己位置推定が主流ではあるが、屋内の場合 ロボットが目的地に行くまでの動作は以下の通り GPS を利用した自己位置推定は精度が悪いため、GPS である: 初め、ロボットがスタート地点にいるとす に変わる方法が必要である。そこでマーカーにより る。マーカー(m1)をまず探索する。検出後、m1 マー 情報を取得することを考えた。本研究では拡張現実 カーから 30cm の地点に移動する(30cm とは、ロボ (AR, Augmented Reality)で用いられる AR マーカー ットのサイズから計算した値である)。次にロボット により屋内における精度の良い自己位置推定を行う。 の姿勢をマーカー m2 に向ける。そして m2 から なお AR マーカーを使用するメリットは室内にお 30cm 離れた地点に移動する。このような動作をマー ける位置推定の精度向上以外に、ロボットがアクシ カー列「m1 →m2→m3→m4→目的地」の順番で行う。 デントや人間によって本来の位置から移動させられ る、センサーの誤差が積み重なり本来の位置との誤 差が生じるなどの「誘拐問題」を、最寄りのマーカ ーを探し出し現在の位置を確認することで解消する ことができることもあげられる。 2. 内容 中京大学八事校舎 11 号館 6 階の入り口から白井研 究室まで移動できるよう、Raspberry Pi 2 にモーター と Web カメラを繋いだ、縦・横 20cm のロボット(図 1)を作成した。またマーカーは目的地までの移動経 路上の、ロボットが右折、左折する地点で、ロボッ トのカメラと同じ高さ 35cm に設置した。 ロボットの基本動作は次のようなものである:ス タート地点からマーカーを発見するまで回転、前進 後退するなど、ランダムな動きをする。マーカーを 発見したらロボットをサーバーとし研究室にあるパ ソコン(以後 PC)をサーバーとして、ロボットに搭 載された Web カメラの映像を PC に送る、PC ではそ の映像からロボットの位置推定を行い、6 階フロア地 図のどの位置にいるかを判断し、目的地にロボット がいれば停止命令を、そうでなければ経路上の次の マーカーの位置への移動命令をロボットに出す。 ロボットの位置と姿勢の推定には、ARToolkit [1]を 利用した。マーカーを認識していれば、ロボットの カメラから見たマーカーの位置(Xc,Yc,Zc)と変換行 列 M が得られる。これらからマーカーの座標系にお けるカメラの位置(Xm,Ym,Zm)が計算できる。図 2 を 例にすると、マーカーの座標系によるロボットの位 置が得られ(左図)、その情報とロボットの座標系に よるマーカーの位置情報(右図)の合成によりロボ ットの姿勢(角度)がわかる(ここで Y 軸は上下方向の 図 3. 11 号館 6 階の簡易的な地図とマーカーの位置 3. 結果 ロボットがマーカーを検知し、そこからロボット の位置と姿勢が精度良く得られるかの実験を行った。 マーカーとロボットの位置を 10cm~80cm まで 5cm 間隔でそれぞれ 10 回測定を行った。その結果、いず れの場合も誤差が約 7%生じることが分かった。ロボ ットの姿勢の計算はこの距離の精度に影響するため、 距離と同程度の誤差となった。しかし誤差の分布は 分散が小さいものであったため、それを考慮するこ とにより目的には十分な精度がえられた。 4.考察 4.考察 測定誤差には部屋の照明の影響があることが判明 した。これに対してはマーカーの黒枠の部分を光の 反射しにくいものにすると改善できると考えている。 参考文献 [1] 橋本直(2009) 『ARToolkit 拡張現実感プログラミ ング入門』 アスキーメディアワークス
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