図解・平成29年度税制改正大綱

図解・平成29年度税制改正大綱
税理士法人名南経営
最終版(平成28年12月23日)
「平成29年度税制改正大綱」の概要と主要項目
○ 個人所得税では、個人所得課税改革第1弾として、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われ、
今後数年をかけて、基礎控除をはじめとする人的控除等の見直し等が行われる。
○ 資産税では、財産評価において相続税法の時価主義の下、実態に即した評価を行う見直しが行われ、
また、国際的な租税回避への対応や事業承継に関する税制が見直される。
○ 法人税では、デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置として、研究開発税制・所得拡大促進税制の見直し、
中堅・中小事業者の支援強化のための措置、コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備が行われる。
○ 国際課税では、BEPSプロジェクトの基本的考え方を踏まえ、外国子会社合算税制が総合的に見直される。
【個人所得税】
・配偶者控除・配偶者特別控除の見直し
・積立NISAの創設
【資産税】
・自社株評価の見直し
・類似業種比準方式
・評価会社の規模区分
・株式・土地の財産評価の適正化等
・移行計画の認定を受けた医療法人の贈与税非課税措置
・相続税・贈与税の納税義務者の範囲の見直し
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【法人税関連】
・大企業並み中小法人に対する中小特例の適用除外
・競争力強化のための研究開発税制の見直し
・賃上げ促進のための所得拡大促進税制の見直し
・中小企業向け投資促進税制の改組
・中小企業経営強化税制の創設
・中小企業向け固定資産税減税の見直し
【国際課税】
・外国子会社合算税制の総合的見直し
本資料は平成29年度税制改正大綱および各省庁資料に基づき作成していますが、
今後の法令通達により内容が変わる可能性がありますのでご注意ください。
2
(参考)あの税制改正要望はどうなった?
当落
△
×
区分
所得税
主な各省庁の平成29年度税制改正要望(8月末)
積立NISA(NISAの長期積立枠:年60万円×20年間)の創設 ⇒ただし、「年40万円」×20年間に
ベビーシッター等の子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設
×
上場株式の相続税評価の見直し(時価→時価の9割に引下げ)
○
非上場株式の評価方式の見直し(類似業種比準価額の類似業種の株価(A)の見直しなど)
○
○
資産税
事業承継税制の見直し(雇用8割維持要件の緩和、早期・計画的生前贈与へのインセンティブ)
持分なし医療法人への移行計画の認定を受けた医療法人に対する贈与税の非課税措置の創設
×
教育資金一括贈与非課税措置の対象の拡充(あしながおじさんから貧困家庭の子どもも追加)
×
幼稚園・保育所等に土地を貸与し続けた場合の贈与税・相続税の非課税措置の創設
○
中小企業投資促進税制と中小企業の固定資産税1/2減税の対象範囲の拡大
○
500万円以上の医療用機器の特別償却の延長
×
医療機関の設備投資に関する特例措置の創設
○
法人税
地方税
所得拡大促進税制の拡充
○
研究開発税制の拡充・延長
○
地方拠点強化税制の拡充・延長
○
スピンオフ税制の導入
○
国際課税
外国子会社合算税制の見直し(BEPS対応。航空機リース事業の見直し)
※上記のほか、相続税の「遺言控除」の創設は見送られた。
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3
配偶者控除・配偶者特別控除の見直し①
増税
減税
個人所得税 大綱P17-20
○ 平成30年分以後の所得税から、配偶者控除と配偶者特別控除が次のとおり見直される。住民税も同様に改正される。
<現 行>
配偶者の給与年収(所得)
納税者本人の給与年収︵所得︶
配偶者控除
∼103(∼38)
70歳以上
∼1,220
(∼1,000)
1,220∼
(1,000∼)
38
配偶者特別控除
∼110
(∼45)
∼115
(∼50)
∼120
(∼55)
∼125
(∼60)
∼130
(∼65)
∼135
(∼70)
∼140
(∼75)
∼141
(∼76)
38
36
31
26
21
16
11
6
3
納税者本人の給与年収︵所得︶
70歳以上
∼1,120
(∼900)
38
48
∼1,170
(∼950)
26
32
∼1,220
(∼1,000)
1,220∼
(1,000∼)
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13
16
×
(配偶者の
所得制限)
(納税者本人の所得制限)
配偶者の給与年収(所得)
配偶者控除
∼103(∼38)
141∼
(76∼)
×
時給1,000円×6時間/日
×週5日×52週=144万円
を上回る年収150万円に拡充
<改正案>
対象外
∼105
(∼40)
48
配偶者特別控除
∼141
(∼76)
∼150
(∼85)
38
26
13
26
13
∼160
(∼95)
∼167
(∼100)
∼175
(∼105)
∼183
(∼110)
∼190
(∼115)
∼197
(∼120)
∼201
(∼123)
36
31
26
21
16
11
6
3
24
21
18
14
11
8
4
2
11
9
7
×
×
(納税者本人
の所得制限)
(納税者本人
の所得制限)
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(単位:万円)
対象外
∼155
(∼90)
12
(単位:万円)
6
4
2
1
201∼
(123∼)
×
(配偶者の
所得制限)
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4
配偶者控除・配偶者特別控除の見直し②
増税
減税
【実務上のポイント】
○ 給与所得控除(最低65万円)・基礎控除(所得税38万円、住民税33万円)に改正はないため、現行どおり、配偶者本人の給料が
年収103万円を超えると所得税の税負担が発生する点に注意。住民税も同様。
○ (1) 健康保険や厚生年金保険等の社会保険料の増加や、(2) 会社からの配偶者手当(家族手当・扶養手当等)の廃止・縮減により、
世帯全体の手取りが減る可能性もあるため、税金以外の影響も考慮する必要がある。
(1) 「106万円の壁」の要件と今後の方向性(平成28年10月∼)
出典:厚生労働省「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」
(2) 民間企業の家族手当における収入制限
出典:人事院「扶養手当の在り方に関する勉強会」
【参考】今後の個人所得課税改革の方向性(大綱P5-6)
項
目
方向性
① 控除方式のあり方
収入にかかわらず税負担の軽減額が一定となる「ゼロ税率方式」や「税額控除方式」の導入のほか、現行の「所得控除方式」を
維持しつつ、高所得者について税負担の軽減額が逓減・消失する仕組みの導入(※)の検討
※ 平成29年度改正で「配偶者控除・配偶者特別控除」に先行して導入
② 多様な働き方への対応
給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と基礎控除などの「人的控除」のあり方を全体として見直すことを検討
③ 老後の生活など各種
リスクへの自助努力
企業年金、個人年金、貯蓄・投資、保険等に関連する諸制度のあり方について、社会保障制度を補完する観点や働き方の違
い等によって有利・不利が生じないようにするなど公平な制度を構築する観点から幅広く検討
④ 個人住民税
応益課税の観点から広く住民が負担を分かち合う仕組みとなっていることも踏まえ、制度のあり方を検討
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5
積立NISAの創設
減税
個人所得税 大綱P20-22
○ 平成30年分から平成49年までの各年において、少額からの積立・分散投資に適した「積立NISA」が創設される。
○ 現行のNISAと選択制となるが、暦年単位で選択ができる(例:平成30年は「積立NISA」、平成31年は「NISA」)。
制 度
NISA
積立NISA【創設】
対象者
20歳以上の居住者等
居住者等
非課税投資枠
年間120万円
年間40万円
非課税保有期間
5年間(平成26年∼平成35年)
20年間(平成30年∼平成49年)
非課税投資総額
120万円×5年間=最大600万円
40万円×20年間=最大800万円
投資対象商品
上場株式、公募株式投資信託、
ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
(信託期間が無期限や20年以上、毎月分配型ではないこと等)
投資方法
通常の取引による買付け
契約に基づく定期かつ継続的な方法による買付け
出典:金融庁資料
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6
自社株評価の見直し 類似業種比準方式①
増税
減税
資産税 大綱P60-61
○ 取引相場のない株式について、相続税法の時価主義の下、より実態に即した評価の見直しが行われる。
○ 類似業種比準方式の見直し(平成29年1月1日以後の相続・贈与等より適用)
① 類似業種の上場会社の株価について、現行に「課税時期の属する月以前2年間平均」が加えられる。
② 類似業種の上場会社の配当金額、利益金額、簿価純資産価額について、上場会社の連結決算が反映される。
③ 配当金額、利益金額、簿価純資産価額の比重について、1:1:1(現行:1:3:1)とされる。
<類似業種比準方式>
現行:当月、前月、前々月、
前年平均
(※)大会社:0.7 中会社:0.6 小会社:0.5
配当
類似業種
の配当
+
利益
類似業種
の利益
×3+
類似業種の株価 ×
5
簿価純資産
<改正の影響>
1株あたりの
類似業種の
資本金等の額
簿価純資産 ×斟酌率×
50円
(※)
② 連結決算を反映
③ 配当:利益:純資産=1:1:1(分母3)
① 「課税時期の属する月
以前2年間平均」を追加
配当
類似業種
の配当
+
利益
類似業種
の利益
類似業種の株価 ×
3
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+
簿価純資産
1株あたりの
類似業種の
資本金等の額
簿価純資産 ×斟酌率×
50円
(※)
○簿価純資産が大きい会社は、
比重が1/5から1/3になるた
め、株価上昇の可能性があ
る。
○利益の要素が3/5から1/3に
なるため、特別償却等により
多額の損失が計上されても
株価への影響が小さくなる。
○子会社の株価上昇により、
株式保有特定会社に該当す
る可能性がある。
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7
自社株評価の見直し 類似業種比準方式②
増税
減税
【実務上のポイント】
○ 配当:利益:簿価純資産の比重は、平成11年までは1:1:1(分母3)であったが、平成12年に利益重視のため1:3:1(分母5)となった。
○ 大綱では、医療法人については特に明記されていない。ただし、平成12年6月の通達改正時には、会社と同時に医療法人についても
「1:1(分母2)」を「3:1(分母4)」とする改正が行われているため、今後の情報に注意する必要がある。
<類似業種比準方式>
平成12年6月の
通達改正
① 一般の会社の株式の評価
∼平成11年
配当①
平成29年∼
平成12年∼平成28年
+
利益① +
簿価純
資産①
配当①
3
+ 利益③ +
簿価純
資産①
配当①
+
5
利益① +
簿価純
資産①
3
② 医療法人の出資の評価
∼平成11年
平成12年∼平成28年?
利益① +
簿価純
資産①
2
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利益③ +
平成29年?
簿価純
資産①
(改正の有無は大綱では不明)
4
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8
自社株評価の見直し 評価会社の規模区分
減税
増税
資産税 大綱P60-61
○ 取引相場のない株式について、相続税法の時価主義の下、より実態に即した評価の見直しが行われる。
○ 評価会社の規模区分の金額等の基準の見直し(平成29年1月1日以後の相続・贈与等より適用)
「大会社」及び「中会社」の適用範囲が総じて拡大される。
「大会社」及び「中会社」
の適用範囲が総じて拡大
※経産省資料では「L」の
割合の見直しとの文言も
【原則的評価方式】
大会社
類似業種比準価額 or 純資産価額
中会社
類似業種比準価額×L+純資産価額×(1−L) or 純資産価額
(※)Lの割合:中会社の大=90% 中会社の中=75% 中会社の小=60%
<改正の影響>
○会社区分の変更に
より従来より類似業種
比準価額の割合が上
昇し、株価が低くなる
可能性がある。
○土地保有特定会社の
保有割合は大会社70%
以上のため、中会社
(90%以上)から大会社
に変わる場合に留意。
小会社
純資産価額 or 類似業種比準価額×50%+純資産価額×50%
① 純資産価額
総資産価額(相続税評価額)−負債の合計額−評価差額×37%
発行済株式数
(※)大会社:0.7 中会社:0.6 小会社:0.5
② 類似業種比準価額(H29改正後)
配当
類似業種
の配当
+
利益
類似業種
の利益
類似業種の株価 ×
3
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+
簿価純資産
1株あたりの
類似業種の
資本金等の額
簿価純資産 ×斟酌率×
50円
(※)
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9
株式・土地の財産評価の適正化等
増税
減税
資産税 大綱P61
【土地の財産評価の適正化】
○ 広大地評価を利用した節税策に対処するため、次のとおり見直される。
現行 : 「面積」に比例的に減額する評価方法(路線価×広大地補正率×面積)
改正案 : 各土地の個性に応じて「形状」と面積に基づき評価する方法に → 形状の良い土地は評価上昇の可能性
○ あわせて、広大地評価の適用要件が明確化される。 → 財産評価実務には好影響か
○ 平成30年1月1日以後の相続等から適用
資産税 大綱P61
【株式の財産評価の適正化】
○ 転換社債(新株予約権付社債)を利用した節税策に対処するため、「株式保有特定会社(※)の判定基準に
「新株予約権付社債」が加えられる。
(※)保有する「株式・出資」の価額が総資産価額の50%以上を占める非上場会社をいう。
○ 平成30年1月1日以後の相続等から適用
資産税 大綱P42-44
【タワーマンションの固定資産税・不動産取得税の見直し】
○ 居住用超高層建築物(高さ60m超)に対する固定資産税について、1階を100とし、1階上がるごとに
10/39を加えた数値だけ補正されこととなり、高層階ほど高く、低層階ほど低くとなるなど見直される。
(例) 50階建て→50階は約5.9%増加、1階は▲約5.9%減少
○ 不動産取得税についても同様。
○ 平成30年度から新たに課税される居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約締結を除く。)について適用
○ なお、タワーマンション節税として問題視されている「相続税の財産評価」に関する改正は大綱では示されていない。
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10
移行計画の認定を受けた医療法人の贈与税非課税措置
減税
資産税 大綱P48-49
○ 移行計画の認定を受けた医療法人の持分を有する個人が、その持分の全部又は一部を放棄したことにより、その医
療法人が認定移行計画に記載された移行期限までに持分の定めのない医療法人への移行をした場合には、その医療
法人がその放棄により受けた経済的利益について、贈与税課税が非課税となる。 ※適用時期不明
○ ただし、移行日以後6年以内に認定要件に該当しない場合には、その経済的利益は、その医療法人を個人とみなして
贈与税の取戻し課税の対象となる。
○ あわせて、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限が3年延長される。
出典:厚労省資料
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11
贈与税・相続税の納税義務者の範囲の見直し
増税
減税
資産税 大綱P42
○ 国外財産に係る租税回避を抑制するため、次の見直しが行われる。
① 贈与者と受贈者の双方が「5年超」国外に居住してから国外財産を贈与する等の租税回避を防止する観点から、
居住要件が「5年超」から「10年超」に見直される。
② 日本の住所・国籍を有しない者が、過去10年以内に国内に住所を有していた者(※)から相続等により取得した国外
財産も課税対象とされる。 ※短期滞在の外国人を除く。
○ 経済のグローバル化に伴う外国人の増加への対応、高度外国人材等の受入れの促進から、次の見直しが行われる。
③ 一時的滞在者である外国人同士の相続等は、国内財産のみ課税対象となる。
○ 上記の改正は、平成29年4月1日以後の相続・贈与について適用される。
相続人
受贈者
被相続人
贈与者
国内に住所あり
国内に
住所なし
国内に住所なし
国内に
住所あり
(注1)
①10年(現行5年)
以内に住所あり
(注1)
上記以外
(注1)
日本国籍あり
①10年(現行5年)
以内に住所あり
左記以外
日本国籍なし
(注1)
(注1)
(注1)
【現行】 国内財産のみ課税
【改正案】 国外財産も課税(②)
(注2)
(国内財産のみ課税)
(注1) 一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしている場合等は国内財産のみ課税(③)
(例)日本にいる外国人駐在者が死亡し、本国の家族が相続でも国内財産に限定(現行:本国の自宅など国外財産にも課税)
(注2)日本国籍なしで一時的滞在をしている場合は、国内財産のみ課税(③)
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12
大企業並み中小法人に対する中小特例の適用除外
増税
法人税 大綱P90
○ 平成31年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置について、平均所得
金額(前3事業年度の所得金額の平均)が「年15億円」を超える事業年度については、適用が停止される。
適用除外となる中小企業向け措置
出典:財務省資料
① 中小法人等の法人税の軽減税率の特例:所得800万円以下に15%
※平成29年度改正で2年延長
② 研究開発税制:総額型の税額控除率
③ 所得拡大促進税制:給与等支給額の増加要件・税額控除の上限
④ 中小企業投資促進税制(特別償却・税額控除)
⑤ 中小商業サービス活性化税制(特別償却・税額控除)
⑥ 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
※⑥は平成28年度改正で従業者数1,000人超で適用除外が追加されたばかり
平成28年度
平成29年度
平成30年度
①
②
③
平成31年度
適用停止
<過去10年間の平均課税所得>
大企業
(資本金1億円超)
中小企業
(資本金1億円以下)
15億円
1,600万円
前3事業年度の所得金額の年平均>15億円
【実務上のポイント】
○「法人税の軽減税率(所得800万円以下に19%)」、「貸倒引当金の損金算入制度」、「欠損金の繰越控除(100%損金算入可)」、
「欠損金の繰戻し還付」、「留保金課税」については、今回の改正の影響はない。
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13
競争力強化のための研究開発税制の見直し①
減税
法人税 大綱P62-64
○ 平成29年4月1日以後に開始する事業年度から研究開発税制が見直され、試験研究費の範囲に「サービス開発」が
追加される。また、「増加型」が廃止され、総額型に統合され、試験研究費の増減割合に応じた税額控除制度となる。
○ 高水準型は2年延長され、オープンイノベーション(OI)型は手続き要件が緩和される。
<試験研究費の範囲の見直し>
出典:経産省資料
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14
競争力強化のための研究開発税制の見直し②
減税
<中小企業者等>
(増加型と高水準型は選択制)
(1) 現 行
総額型(恒久措置)
増加型(28年度末まで)
高水準型(28年度末まで)
オープンイノベーション型(恒久措置)
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
8∼10%
法人税額
×25%
増加に応じ
5∼30%
法人税額
×10%
(試験研究費割合
−10%)×20%
法人税額
×10%
相手が大学等:30%
相手が企業等:20%
法人税額
×5%
2年延長
廃止(総額型に統合)
(2) 改正案
総額型(恒久措置)
高水準型(30年度末まで)
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
試験研究費の増減割合
に応じ12∼17%(※1)
法人税額
×25%∼35%(※2)
(試験研究費割合
−10%)×20%
法人税額
×10%(※2)
試験研究費の増減割合
に応じ12∼17%
出典:経産省資料
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手続要件を企業活動
の実態に合わせて緩和
【用語】 試験研究費の増減割合
(試験研究費−比較試験研究費※)÷比較試験研究費※
※前3年度の試験研究費の平均
(※1)税額控除率
控除率12%超の部分は2年間の時限措置
(※2)控除限度額
総額型の控除限度額は、①対売上高試験研究費率が
10%超の場合、その割合に応じて0∼10%を上乗せ。
②中小企業は試験研究費の増加割合5%超の場合、
10%上乗せ(2年間の時限措置)。
ただし、①・②のいずれも「高水準型」との選択制
本資料は平成29年度税制改正大綱および各省庁資料に基づき作成していますが、
今後の法令通達により内容が変わる可能性がありますのでご注意ください。
15
競争力強化のための研究開発税制の見直し③
減税
<大企業>
(1) 現 行
(増加型と高水準型は選択制)
総額型(恒久措置)
増加型(28年度末まで)
高水準型(28年度末まで)
オープンイノベーション型(恒久措置)
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
8∼10%
法人税額
×25%
増加に応じ
5∼30%
法人税額
×10%
(試験研究費割合
−10%)×20%
法人税額
×10%
相手が大学等:30%
相手が企業等:20%
法人税額
×5%
2年延長
廃止(総額型に統合)
(2) 改正案
総額型(恒久措置)
高水準型(30年度末まで)
税額控除率
控除限度額
税額控除率
控除限度額
試験研究費の増減割合
に応じ6∼14%(※1)
法人税額
×25%∼35%(※2)
(試験研究費割合
−10%)×20%
法人税額
×10%(※2)
手続要件を企業活動
の実態に合わせて緩和
(※1)税額控除率
原則は10%。ただし、控除率10%超の部分は2年間
の時限措置が設けられる。
(※2)控除限度額
総額型の控除限度額は、対売上高試験研究費率が
10%超の場合、その割合に応じて0∼10%を上乗せ。
ただし、「高水準型」との選択制
出典:経産省資料
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16
賃上げ促進のための所得拡大促進税制の見直し
減税
増税
法人税 大綱P65-66
○ 所得拡大税制が次のとおり見直される。適用時期は平成29年4月1日以後に開始する事業年度からと予想される。
<中小企業者等>
現
<大企業>
行
改正案
現
【要件①(H29年度)】
給与支給額が平成24年度(基準年度)より3%以上増加
適用
要件
【要件②】
給与支給額が前年度以上に増加
行
改正案
【要件①(H29年度)】
給与支給額が平成24年度(基準年度)より5%以上増加
適用
要件
【要件③】
平均給与が前年度を超えて増加
【要件②】
中小と同様
【要件③】
中小と同様
(1) 平均給与が前年度より2%以上増加
24年度からの増加額×10%控除に
前年度からの増加額*×「12%」を上乗せ
【要件③】
平均給与が前年度より2%以上増加
⇒2%未満増加は対象外に
24年度からの増加額×10%控除に
前年度からの増加額*×「2%」を上乗せ
*「24年度からの増加額」に限度
*「24年度からの増加額」に限度
税額
控除
24年度から
の増加×10%
税額
控除
※法人税額の
20%を限度
24年度から
の増加×10%
※法人税額の
10%を限度
出典:経産省資料
出典:経産省資料
(2) 平均給与が前年度より2%未満増加
現状維持(10%控除)
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(参考)経産省資料では「事業主の社会保険料(法定福利費)の負担」に
関する記述があり、中小の12%上乗せは「社会保険料の負担増
への配慮」と考えられる。
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中小企業向け投資促進税制の改組①
減税
法人税 大綱P73-75
○ 「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」を独立させ、中小企業等経営力強化法に基づく「中小企業経営強化税制」
が創設される(平成29年4月1日∼平成31年3月31日)。
○ 中小企業投資促進税制から器具備品が対象外とされた上、2年延長される。
○ 中小商業サービス活性化税制が2年延長される。
○ 税額控除については、3つの制度を合わせ、法人税額の20%が上限となる。
建物・構築物
特別償却(30%)・税額控除(7%)
建物附属設備
中小商業サービス活性化税制
器具備品
建物附属設備:単品60万円以上
器具備品:単品30万円以上
器具備品は
対象外に
機械装置
中小企業投資促進税制
工具
ソフトウェア
車両運搬具
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機械装置:単品160万円以上
測定工具及び検査工具
:単品30万円以上かつ合計120万円以上
ソフトウェア:合計70万円以上
普通貨物自動車:車両総重量3.5t以上
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建物附属設備・器具備品にも
対象拡大。指定事業用に限る。
中小企業経営強化税制【創設】
① 生産性向上設備(A類型)
旧モデルと比べて生産性が年平均
1%以上改善する設備
② 収益力強化設備(B類型)
投資収益率が5%以上の投資計画
に係る設備
建物附属設備、器具備品、機械装置、
一定の工具、一定のソフトウェア
即時償却・税額控除(7%/10%)
本資料は平成29年度税制改正大綱および各省庁資料に基づき作成していますが、
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中小企業経営強化税制の創設①
減税
法人税 大綱P73-75
○ 青色申告書を提出する中小企業者等で、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29
年4月1日∼平成31年3月31日の間に、一定の設備を取得等して、国内にある指定事業の用に供した場合には、その
設備について、即時償却又は7%の税額控除(資本金3,000万円以下は10%の税額控除)の選択適用ができる。
○ 税額控除については、中小企業投資促進税制・中小商業サービス活性税制と合わせ、法人税額の20%が上限となる。
控除限度超過額は1年間の繰越し可能。
<要件1> 経営力向上計画の認定
<要件2−1> 生産性向上設備(A類型)
対象設備
取得価額
販売開始時期
生産性要件
機械装置
単品160万円以上
10年以内
測定工具・検査工具
単品30万円以上
5年以内
器具備品(試験・測定機器、
冷凍陳列棚など)
単品30万円以上
6年以内
建物附属設備(ボイラー、
LED照明、空調など)
単品60万円以上
14年以内
※旧モデルが
ない場合は不要
ソフトウェア(情報を収集・
分析・指示する機能)
単品70万円以上
5年以内
―
旧モデル比
年平均1%以上
向上
<要件2−2> 収益力強化設備(B類型)
出典:経産省資料
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対象設備
取得価額
機械装置
単品160万円以上
工具
単品30万円以上
器具備品
単品30万円以上
建物附属設備
単品60万円以上
ソフトウェア
単品70万円以上
要件
経済産業大臣の確認を受けた
年平均の投資利益率5%以上の
投資計画に記載されたもの
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中小企業経営強化税制の創設②
減税
【実務上のポイント①】
○ 「生産性向上設備(A類型)」は、単に「工業会等の証明書」の交付を受けるだけでなく、「経営力向上計画の認定」も必要となる。
○ 「収益力強化設備(B類型)」は、「経済産業大臣の確認」と「経営力向上計画の認定」の2つの手続きが必要となるため、
スケジュール管理が重要となる。
【実務上のポイント②】
○ 収益力強化設備では、「器具備品」がすべて対象となるため、例えば、「医療機器」についても投資利益率5%以上となれば、
生産性向上設備投資促進税制のように利用できると考えられる。ただし、逆に言えば単に取得するだけでなく、「手続き」をすること
が非常に重要となる。
<器具備品・建物附属設備のイメージ>
<医療機器と優遇措置>
∼平成29年3月
平成29年4月∼
適用制度
生産性向上設備
投資促進税制
中小企業
経営強化税制
優遇措置
50%特別償却
又は4%税額控除
即時償却
又は7%/10%税額控除
B類型
B類型
類
型
手続要件
経済産業大臣に
投資計画を申請
(取得の1か月前)
①経済産業大臣に
投資計画を申請
+
②厚生労働大臣に
経営力向上計画を申請
※時期については①・②
ともに現時点では不明
出典:中小企業庁資料
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中小企業経営強化税制の創設③
減税
【実務上のポイント③】
○ 「指定事業」は、中小企業投資促進税制と中小商業サービス活性化税制の対象事業に該当するすべての事業となる。
なお、風営法の適用を受ける事業等は除かれる。
(1) 中小企業投資促進税制の「指定事業」の範囲
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業・その他の
飲食店業(料亭、バー、ナイトクラブその他これらに類する事業は除く。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、
旅行業、通信業、損害保険代理業、サービス業(映画業、通信業以外の情報通信業、駐車場業、宿泊業、医療・福祉業、教育・学習支援業、自動車
整備業、機械・家具等修理業、その他の事業サービス業、廃棄物処理業)
(2) 中小商業サービス活性化税制の「指定事業」の範囲
卸売業、小売業、情報通信業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸
業、専門サービス業、広告業、技術サービス業、宿泊業、飲食店業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、社会保険・社会福
祉・介護事業、サービス業(教育・学習支援業、映画業、協同組合、他に分類されないサービス業(廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職
業・労働者派遣業、その他の事業サービス業))、農業、林業、漁業、水産養殖業
※「電気業(太陽光発電等)」はいずれにも含まれていない。
※上記の業種であっても「中古」や「貸付け」のものについては対象外
中小企業経営強化法では、事業分野毎に経営課題が異なること等
から、「14分野」においては「事業分野別指針」に基づく経営力向上
に資する取組みを、下記以外の業種については「基本方針」に基づ
き経営力向上に資する取組みについて「経営力向上計画の認定」
を受けることとなる。
①製造業、②卸・小売業、③外食・中食産業、④旅館業、
⑤医療分野、⑥保育分野、⑦介護分野、⑧障害福祉分野、
⑨貨物自動車運送事業分野、⑩船舶産業、⑪自動車整備業分野、
⑫建設業、⑬有線テレビジョン放送業、⑭電気通信分野
出典:中小企業庁資料
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(参考)「経営力向上計画」と支援措置
中小企業・小規模事業者等は、人材育成、コスト管理のマネジメントの向上や設備投資等、事業者の経営力を向上させるための取組内
容等を記載した事業計画(=「経営力向上計画」)を作成し、認定を受けると、(1)機械装置の固定資産税の軽減や(2)各種金融支援等の
特例措置を受けることができる。
平成29年度税制改正により、(1)の対象設備が拡充され、さらに中小企業経営強化税制が創設される。
(1)税制支援
(2)各種金融支援等の特例措置
【拡充】
中小企業向け
固定資産税減税
3年間1/2減免
+
【創設】
中小企業
経営強化税制
即時償却又は税額控除
出典:中小企業庁「中⼩企業等経営強化法について」
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(参考)「経営力向上計画」の記載例① 製造業
○ 「経営力向上計画」は実質2枚のみであり、郵送による申請が可能。 ※B類型の申請と異なり、税理士の事前確認書の発行等は不要。
○ 一部の製造業を除き、各地域の経済産業局長宛に提出する。 例外:食料品・飲料製造業は各地域の農政局長宛など
製造業
記載された設備が
中小企業経営強化税制
の対象に
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(参考)「経営力向上計画」の記載例② 医療業(診療所)
○ 「経営力向上計画」は実質2枚のみであり、郵送による申請が可能。 ※B類型の申請と異なり、税理士の事前確認書の発行等は不要。
○ 医療業の主務大臣は「厚生労働大臣」(担当窓口:厚生労働省医政局医療経営支援課)である点に注意
医療業
要件を満たせば
医療機器も対象に
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中小企業向け固定資産税減税の見直し
減税
固定資産税 大綱P53-54
○ 平成28年度改正で創設された固定資産税減税措置(3年間1/2減税)について、現行の機械装置のほか、測定工具・
検査工具、器具備品、建物附属設備(償却資産として課税されるものに限る。)のうち一定のものが加えられる。
なお、工業会等の証明書の発行と中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受ける必要がある。
<制度の全体像>
<経営力向上設備の範囲>
対象設備
取得価額
販売開始時期
機械装置
単品160万円以上
10年以内
測定工具
検査工具
単品30万円以上
5年以内
器具備品
単品30万円以上
6年以内
建物附属設備
単品60万円以上
14年以内
生産性要件
旧モデル比
年平均1%以上
向上
<地域・業種>
対象設備
機械装置
【追加設備】
測定工具・検査工具
器具備品
建物附属設備
地
域
業
種
全国
全業種
最低賃金(H28年度:823円)が
全国平均未満の地域
全業種
最低賃金が全国平均以上の地域
※東京、神奈川、千葉、埼玉、
愛知、大阪、京都
労働生産性が全国
平均未満の業種のみ
(参考)
24年経済センサスにおいては、一部の小売業(織物・衣服、飲食料品など)、宿泊業、飲食店、理美容、自動車
整備業、医療業(※)、社会保険・福祉・介護業(※)などのサービス業については、労働生産性が全国平均未満。
※医療業、社会保険・福祉・介護業については東京を除く。
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出典:中小企業庁資料
【実務上のポイント】
○ 中小企業経営強化税制と重複適用可能
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25
外国子会社合算税制の総合的見直し①
減税
増税
国際課税 大綱P111-118
○ 次のような現行制度の問題点に対処するため、外国子会社合算税制が総合的に見直される。
① ペーパーカンパニー等からの所得でも税負担率20%(トリガー税率)以上の場合、合算対象とならないものがある
② 実体のある事業からの所得でも税負担率20%未満の場合、合算対象になる場合がある など
○ 外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。
外国子会社の
税負担率
30%
①ペーパー・カンパニー等
⇒税負担率30%未満の場合、
所得の全額を合算
【制度適用免除基準】
租税負担率が20%以上の
会社は制度の適用を免除
20%
②実体のある事業
からの所得で
一部合算されて
しまう部分も
合算対象外に
(航空機リース等)
税負担率20%
未満の会社
は合算対象
能動的所得
受動的所得
出典:経産省資料
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26
外国子会社合算税制の総合的見直し②
減税
増税
<改正後のイメージ>
内国法人等が合計で50%超の株式を保有
日本の法人実効税率
が約30%のため
【高税率免除基準】 租税負担割合30%以上はペーパーカンパニー等も合算対象外
30%未満
30%未満
【制度適用免除基準】
租税負担割合20%以上か(現行のトリガー税率に相当)
20%未満
30%以上
20%以上
【経済活動基準】
① 事業基準
主たる事業が株式の保有、船舶・航空機リース等
でないこと(一定の航空機リース会社を除く(実体
があれば合算対象外)。
② 実体基準
③ 管理支配基準
④ 所在地国基準 又は 非関連者基準
すべて
満たす
合算対象外
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一定の受動的所得の合算課税
※少額免除(2,000万円以下など)あり
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① ペーパーカンパニー
事務所等の固定施設をもたず、本店所在地国等に
おいて事業の管理・支配・運営を自ら行わないもの
② 事実上のキャッシュボックス
受動的所得÷貸借対照表上の総資産>30%
※総資産のうち有価証券・貸付金・無形固定資産等
の合計額が50%超のものに限る。
③ ブラックリスト国所在のもの(財務大臣が指定)
いずれかを
満たさない
いずれかに
該当
会社単位の合算課税(すべての所得を合算)
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27
その他の改正項目①
【個人所得税】
・医療用機器の特別償却制度の2年延長 大綱P88
・医療費控除(セルフメディケーション税制を含む)の医療費の領収書添付不要化(ただし「医療費の明細書」を添付) 大綱P37
【資産税、土地・住宅税制】
・事業承継税制 大綱P41-42
①相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に追加
②雇用確保要件について、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数×80%に
1人に満たない端数があるときは、原則として切捨て(現行:切上げ) 例:4人の場合、3.2人→3人(現行は4人維持が要件)
③災害等の被災者等に関する緩和措置を追加 等
・相続税の物納財産として「上場している株式・社債・受益証券」が第1順位に 大綱P60
・特定資産の買換え特例の一部見直され、その適用期限が平成32年3月31日まで3年延長される。 大綱P89-90
・住宅の耐久性向上改修工事に対する税制措置(住宅ローン控除、設備投資減税) 大綱P22-24
・住宅ローン控除制度の対象とならない住宅借入金等に係る利率の引下げ(1%未満→0.2%未満) 大綱P26
【法人税】
・会計監査人設置法人で、かつ、定款等の定めで事業年度終了の日の翌日から後3か月以内に定時総会が招集されないものは、
「4か月」の範囲内で確定申告書の提出期限が延長可能となる(法人事業税も同様)。株主総会の時期の定款変更に留意。 大綱P66
・組織再編成税制 大綱P68-72
①スピンオフ税制が導入される(共同事業における適格要件の見直し)。主に上場企業を中心に事業の切分けが可能に。
②企業グループ内の分割型分割において「関係継続要件」が見直される。分割型分割後に分割法人をM&Aで売却する場合も適格に。
③全部取得条項付種類株式の端数処理等について株式交換と同様に組織再編成税制に位置づけられる。
④非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度、連結納税の開始・加入の資産の時価評価
について、簿価1000万円未満の資産を除外。自己創設のれん問題に対処。 など
・営業権の償却方法を「月割」計算に 大綱P72
・グリーン投資減税(環境関連投資促進税制)の新エネルギー利用設備等の範囲について適正化が行われる。 大綱P86
・公益法人等・協同組合等の貸倒引当金の特例について割増率を10% (現行:12%)に縮減し、2年延長 大綱P90
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28
その他の改正項目②
【法人税(つづき)】
・役員給与の損金不算入制度 大綱P67-68
①定期同額給与の範囲に税・社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額の定期給与を追加(例:外国人役員へのグロスアップ)
②利益連動給与の指標に「株式の市場価格の状況を示す指標」、「売上の状況を示す指標」を加え、
その事業年度後の事業年度、将来の所定の時点・期間の指標も利用可能に など
・地域中核企業向け設備投資促進税制の創設 大綱P73
地域経済を牽引する地域中核企業による、地域経済に波及効果のある新たな事業を行った場合に、特別償却・税額控除
・協同組合等課税の見直し
①軽減税率は現行水準が据え置かれる。
②協同組合等の連合会等への普通出資に係る配当について、受取配当益金不算入割合を一律「50%」とする特例が創設される。
③一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の割増特例について、割増率を110%(現行:112%)とし、2年延長される。
【消費税】
・仮想通貨に係る課税関係の見直し(平成29年7月1日以後、「非課税」に) 大綱P108-109
【納税環境整備】
・国税犯則調査手続の見直し(※国税犯則取締法を廃止。「国税通則法」に編入) 大綱P121-125
①電磁的記録に係る証拠収集手続の整備(サーバー、クラウド等)
②臨検等の夜間執行の整備(日没後も可能に)
③その他見直し
・災害等による期限延長制度における延長手続の拡充 大綱P28-31(個人所得税),44-48(資産税),80-83(法人税)他
・異動届出書等の提出先の見直し 大綱P36,83他
・法人の設立届出書等の提出時における登記事項証明書の添付省略 大綱P83
・外国税額控除制度・研究開発税制等の申告要件の見直し 大綱P83
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