Economic Indicators

Economic Indicators
マクロ経済指標レポート
一般会計税収(2016年11月末時点)
発表日:2017年1月5日(木)
~16年度前半は低調も、年度後半に反転の兆候~
担当
第一生命経済研究所 経済調査部
副主任エコノミスト 星野 卓也
TEL:03-5221-4547
年度前半の税収伸び悩みを確認
財務省から 2016 年 11 月末時点の税収額が公表された。11 月は3月決算企業の法人税の中間納付月にあた
り、法人税がまとまった額で計上される点で重要度が高い。11 月末時点の累計税収額は 26.7 兆円と前年と
比べて▲3.6%の減少となった。内訳をみると、法人税が▲6.3%、所得税が▲2.2%、消費税が▲7.3%とそ
れぞれ減少している。法人税、所得税の減が重石となっているほか、円高を背景とした輸入額の減少を受け
て消費税も伸び悩んでいるようだ。季節調整値(筆者試算)の動向をみても、2016 年初ごろをピークに減少
が続いた。年度前半の税収が低調であったことが改めて確認された形である。財務省はこうした税収の伸び
悩みを受けて、既に 16 年度の税収見込みを下方修正済みだi。16 年度税収は 55.9 兆円(当初見込みの 57.6
兆円から 1.7 兆円の減額修正)と、15 年度決算の 56.3 兆円と比較して▲0.4 兆円の減額と見込まれている。
税収減の見込みとなっているのは、昨年初来の円高・株安の影響によるところが大きい。円高は輸出企業
を中心に法人所得を下押しするほか、企業業績の悪化に伴う配当所得の減、株安による譲渡所得の減は個人
所得税の下押しにつながったと考えられる。しかし、11 月単月ベースの法人税は前年同月比+0.4%と5ヶ
月ぶりの増加、所得税は同+1.4%と2ヶ月連続の増加となっており、税収が既に最悪期を過ぎた可能性を示
唆している。11 月以降進んだ円安・株高も今後の税収にとって追い風となろう。“円安株高水準が持続すれ
ば”という留保つきにはなるが、決算段階の 2016 年度税収額は第3次補正予算時点での見積もり値から上方
修正される可能性もある。“トランプ相場”の行方は財政再建の行方も左右することとなろう。
資料1.税収(各年度の 11 月末時点累計値)
資料2.税収(季節調整値)の推移
(兆円)
兆円・年換算
35
65
30
その他
60
25
55
消費税
20
50
15
45
法人税
10
40
5
所得税
35
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
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2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
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2014
2015
2016
0
1998
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2000
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2014
2015
2016
2017
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(資料1出所)財務省「租税及び印紙収入、収入額調」
(資料2出所)同上。季節調整値は第一生命経済研究所。太線は6ヶ月移動平均。シャドー部は景気後退期。
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弊著「2016 年度第3次補正予算案のポイント~“為替次第”の税収のゆくえ~」をご参照ください。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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