(14-4)公社債、証券投資信託等の評価

14 -4
公社債、
証券投資信託
等の評価
利 付 債
額
面金額+経過利子相当額(源泉所得税相当額控除前)−中途換金調整額
中途換金調整額とは次の価額をいう。
…中途換金日の直前2回の利子相当額×0.79685※3
a. 2回目の利払日以後の場合
b. 初回の利払日以後
…初回の利子相当額×0.79685※3+経過利子相当額※3
2回目の利払日前の場合
c. 初回の利払日前の場合
…経過利子相当額※3
証券投資信託
の受益証券※8
上場新株予約権※11
※9
①上場期間内にある場合(下記a.b.のいずれか低い金額)
a.課税時期における上場新株予約権の最終価格
b.上場新株予約権の上場期間中の毎日の最終価格の平均額
②上場廃止後権利行使期間内にある場合(下記a.b.のいずれか低い金額)
a.(取得できる上場株式の課税時期における価格 − 権利行使価額)×
新株予約権1個の行使により取得できる株式数(負数のときはゼロとする)
b.発行法人による取得条項がある場合(コミットメント型)は、当該取得価格とaの低い方
①課税時期が評価日以後で、発行価額に相当する金銭による償還が行われることが確定してい
る場合
EB債
発行価額+既経過利息※2
(他社株転換可能 ②課税時期が評価日以後で、対象株式による現物償還が行われることが確定している場合
対象株式評価額+既経過利息※2
債)
③課税時期が評価日より前の場合
発行価額+既経過利息※2
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16税金読本_p317-346_14.indd 338-339
貸 付 信 託 の 相続等の日における受託者(信託銀行)の買取価額(原則として、元本の額+既経過利息の額
受益証券
から源泉所得税相当額や買取割引料を差し引いた額)
抵当証券
原則として、元本の額+既経過利息※2(債券型の場合は、相続等の日における抵当証券会社が
定める買戻価額)から源泉所得税相当額や抵当証券会社の解約手数料を差し引いた額
預貯金
原則として、相続等の日における預入高+相続等の日現在の既経過利息※2(源泉所得税相当額
控除後)
ゴルフ
会員権
①取引相場のある会員権
相続等の日の通常の取引価格×70%
(取引価格に含まれない預託金等がある場合には、預託金等の評価額を加算)
②取引相場のない会員権
a. 株主でなければ会員になれないもの……取引相場のない株式として評価
b. 株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員になれないもの……株式と預託金等とに
区分し、それぞれの評価額の合計により評価
c. 預託金等を預託しなければ会員になれないもの……預託金等の評価額により評価
書 画・ 骨 董
売買実例や専門家の意見を参酌して評価
品・宝石
※1 市場価格とは、金融商品取引所の最終価格または日本証券業協会の公表する平均値などをいう。上場利付債お
よび上場割引債で、日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されているものにつ
いては、金融商品取引所の最終価格と日本証券業協会の公表する平均値のうちいずれか低い金額を市場価格と
して評価を行う。上場転換社債については、証券取引所の最終価格を市場価格として評価する。
※2 既経過利息とは相続等の日に利払期が到来していない利息のうち、相続等の日現在の既経過分に相当する金額
から当該金額にかかる源泉所得税相当額(個人住民税の特別徴収相当額を含む)を引いた金額をいう。
※3 購入時に初回の利子の調整額の払い込みが必要となる銘柄は、初回の利子の調整額相当額が差し引かれる。
※4 通常よりも低い利率で、発行価額が額面金額より低く設定され、額面で償還される債券。
※5 平成14年3月31日以前に発行された転換社債を含む。
※6 課税時期において、償還差益に対する源泉所得税相当額(個人住民税の特別徴収相当額を含む)がある場合
は、さらにその金額を控除した金額によって評価する。
※7 券面額と発行価格との差額のうち相続等の日現在の既経過分に相当する金額をいう。
※8 金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、上場株式の方法に準じて評価する。
※9 負担付贈与により取得したものを除く。
※10 課税時期が権利行使可能期間にあるものを対象とする。
※11 課税時期において相続財産に含まれていた上場新株予約権が申告時に失権していたとしてもこの評価方法によ
り評価するものと思われる。
財産評価
①金融商品取引所に上場されている割引債
最終価格※6
②日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引債
平均値※6
③①②以外の割引債
発行価額+既経過償還差益※6※7
①上場されている不動産投資信託証券※9
上場株式と同様の方法で一口ごとに評価
②上場されていない不動産投資信託証券
純資産額、配当利回り、キャッシュフロー等に着目して個別にその価値を測定
ストック・
オプション
その他の財産
公 社 債 ①金融商品取引所に上場されている転換社債型新株予約権付社債または日本証券業協会におい
て店頭転換社債型新株予約権付社債として登録された転換社債型新株予約権付社債
市場価格※1+既経過利息※2
②①以外の転換社債型新株予約権付社債
※2
転 換 社 債 型 発行価額+既経過利息
ただし、転換社債型新株予約権付社債の発行会社の株価
(相続税を計算する際の財産評価額
新株予約権
※5
を原則とし、取引相場のない株式の場合は一定の修正を加えた額となる)
が、その転換社債型
付社債
新株予約権付社債の転換価格を超える場合は、次の算式により計算した金額によって評価す
る。
転換社債型新株予約権付社債
100円
×
の発行会社の株式の株価
その転換社債型新株予約権付社債の転換価格
信託財産留保額及
1口当たり
再投資されていな Aにつき源泉徴収され
× 口数 +
−
− び解約手数料(消費
の基準価額
い未収分配金(A) るべき所得税相当額
税相当額を含む)
②①以外の証券投資信託
課税時期に解約請求等を
課税時期の1口当
信託財産留保額及び解約手
× 口数 − した場合の源泉徴収され −
たりの基準価額
数料(消費税相当額を含む)
るべき所得税相当額
①上場株式・気配相場等のある株式を目的とするストック・オプション※10
(課税時期における株式の価額−権利行使価格)×
ストック・オプション1個の行使により取得することができる株式数
②未上場会社が発行するストック・オプション
権利行使価格の決定方法や株式の譲渡方法などを考慮して評価する。
発行日から課税
額面金額と
前回利払日から課税時期まで
時期までの日数
発行価額 + 発行価額の ×
+ の期間に対応する既経過利息
発行日から償還
差額相当額
(源泉所得税相当額控除後)
日までの日数
ディスカ
ウント債 A
※4
ただし、課税時期の予想売却価格が、上記算式により計算した価額を下回る場合は、予
想売却価格で評価することができる。
前回利払日から課税時期まで
課税時期における指数
予想売却価格 = A×
+ の期間に対応する既経過利息
100
(源泉徴収税額控除後)
割引債
①中期国債ファンド・MMF等の日々決算型の証券投資信託
評価方法
①金融商品取引所に上場されている利付債または日本証券業協会において売買参考統計値が公
表される銘柄として選定された利付債
市場価格※1+既経過利息※2
②①以外の利付債
発行価額+既経過利息※2
個人向
け国債
● 相続・贈与に欠かせない財産評価
不動産投資信託
の受益証券
●公社債、証券投資信託等の評価方法
資産の種類
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16.10.31 5:02:01 PM
14 -5
● 相続・贈与に欠かせない財産評価
不動産の評価
公社債等の評価の例
〔例1〕利付債(上場債の場合)
・相続等の日 平成27年6月1日
・発行価額 額面100円につき99円50銭 ・利率 3%
・利払日 3月20日、9月20日
・額面総額 1,000万円
・市場価格 99円
・評価額の計算
⑴ 経過日数 3月21日から6月1日まで(73日)
⑵ 既経過利息(額面100円あたり)
73
×(1−0.20315)
=0.47811円
100円×3%×
365
⑶ 評価額
1,000万円
(99.00+0.47811)×
=9,947,811円
100 〔例2〕転換社債(非上場転換社債の場合)
もっとも、生活の基盤となる居住地の
の貸地などに分けられ、評価方法が細か
確保と事業承継の円滑化を図るため、一
く定められています。宅地の評価は、市
定の場合には小規模宅地等の特例が認め
街地にあるものは路線価方式、それ以外
られています。これに該当すると、評価
の地域にあるものは倍率方式が原則で
額が、
80%または50%減額されますので、
す。路線価方式は、評価する宅地が面す
非常に有利となります(次のページの
る路線に付された標準価額(路線価)を
Q&A参照)。
もとに、宅地の状況や形態に応じて修正
その他の土地や、借地権などの土地の
した額で評価する方式です。倍率方式は、
上に存する権利についても、細かく評価
課税台帳に登録された固定資産税評価額
方法が定められています。くわしくは税
に国税局長の定める倍率を乗じた額で評
理士などの専門家にお尋ね下さい。
価する方式です。
●土地等の評価原則一覧表
宅 貸
土 地
地
①市街地的形態を形成する地域にあるもの
路線価を基準に、宅地の状況や形態に応じ修正した価額(路線価方式)
②その他
固定資産税評価額×国税局長の定める倍率(倍率方式)
①借地権の目的となっているもの
自用地としての評価額×(1−借地権割合)
*借地権の取引慣行がない地域においては、借地権割合を20%とする
②定期借地権等の目的となっているもの
地 自用地としての評価額−定期借地権等の評価額
自用地としての評価額×(1−権利の残存期間の区分別に定められる割合)
のうち少ない額(上記の算式によらない評価額も認められる場合がある)
③地上権の目的となっているもの
自用地としての評価額×(1−地上権等割合)
宅
貸 家 建 付 地 自用地としての評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
純農地・中間農地
固定資産税評価額×国税局長の定める倍率
純山林・中間山林
〔
〕
宅地としての1㎡ 国税局長の定める1㎡あ
×面積
−
たりの宅地転用造成費
市 街 地 農 地 あたりの評価額
市 街 地 山 林 *国税局長の定める倍率がある地域内のもの
固定資産税評価額×国税局長の定める倍率
財産評価
農地・山林
・相続等の日 平成X年7月10日
・発行価額 97円10銭
・発行日 平成X年2月14日
・償還日 平成X+1年2月14日
・市場価格 97円80銭
・額面総額 1,000万円
・評価額の計算
⑴ 経過日数 2月15日から7月10日まで(146日)
⑵ 既経過償還差益(額面100円あたり)
146
(100−97.10)×
=1.16円
365
⑶ 評価額
1,000万
(97.10+1.16)×
=9,826,000円
100 土地は、宅地、農地・山林、宅地以外
・相続等の日 平成X年8月24日
・発行価額 額面100円につき100円
・転換価格 1,000円
・利率 1.5%
・利払日 3月31日、9月30日
・株価 1,250円(財産評価額)
・転換社債の市場価格 140円
・額面総額 500万円
・評価額の計算
⑴ 転換価格<株価なので、320ページの表の転換社債型新株予約権付社債②
但書の算式に従って評価します。
⑵ 評価額
100円
500万円
1,250円×
×
=6,250,000円
1,000円 100 〔例3〕割引債
(非上場割引債または基準気配銘柄に選定されていない割引債の場合)
土地等の評価
市 街 地 周 辺 農 地 市街地農地としての評価額×80%
宅地以外(農地・山林等)の貸地 自用地としての評価額−耕作権等・賃借権等の権利の評価額
生
340
16税金読本_p317-346_14.indd 340-341
産
緑
地
〔
生産緑地でないもの
行為制限期間の区分
× 1−
として評価した価額
別に定めてある割合
〕
341
16.10.31 5:02:01 PM