2017 年の懸念材料、「米国経済」が急増

2016/12/27
大阪支社
住所:大阪市西区靭本町 1-6-18
TEL:06-6441-3100
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画 : 2017 年の景気見通しに対する近畿地区企業の意識調査
2017 年の懸念材料、
「米国経済」が急増
~ 景気回復に必要な政策は、「個人消費拡大策」が 43.8%でトップ~
はじめに
2016 年 12 月 8 日に発表された 7~9 月期の実質 GDP 成長率 2 次速報は前期(4~6 月期)比 0.3%
増、年率換算で 1.3%増と、3 四半期連続のプラス成長となった。一方で、近畿地区ではここへ
来て住宅着工戸数、公共工事発注の減少が続くほか、大阪地区では 2016 年 11 月まで 11 ヵ月連
続で百貨店売上高が前年同月比減となるなど、悪化傾向を示す指標も少なくない。
こうしたなか、帝国データバンク大阪支社は、2016 年の景気動向および 2017 年の景気見通し
に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB 景気動向調査 2016 年 11 月調査と
ともに行った。なお、景気見通しに対する調査は 2006 年 11 月から毎年実施し、今回で 11 回目。
※調査期間は 2016 年 11 月 16 日~30 日、調査対象は全国 2 万 3,850 社で、有効回答企業数は 1 万
110 社(回答率 42.4%)
。今回は、全国調査分から近畿地区の企業を抽出して分析したもので調
査対象は 3,812 社、有効回答企業数は 1,657 社(回答率 43.5%)
。
調査結果(要旨)
1.2016 年の景気動向、
「回復」局面だったと判断する近畿企業は 6.1%で、前回調査(2015 年
11 月)から 0.8 ポイント減少。
「踊り場」局面とした企業は 54.6%と 2 年連続で 5 割超、
「悪
化」局面は 18.9%と前回から 2.2 ポイント減少。
「分からない」は 20.3%と調査開始以降で
最高
2.2017 年の景気見通し、
「回復」を見込む企業は 12.1%で、2016 年見通し(2015 年 11 月調査)
から 1.1 ポイント増加。
「悪化」は 19.2%で同 5.1 ポイント減少。また、
「踊り場」局面を見
込む企業も減少した一方、
「分からない」が調査開始以降で初めて 3 割を超え、先行き見通し
に対する不透明感が一段と高まっている
3.2017 年景気への懸念材料は「米国経済」
(42.1%、前年比 30.0 ポイント増)が最多。2 位は
「原油・素材価格(上昇)
」
、3 位は「為替(円高)
」
。前回トップだった「中国経済」
(24.6%、
同 28.3 ポイント減)
、2 位だった「消費税制」
(11.4%、同 25.4 ポイント減)は大幅に減少
4.景気回復のために必要な政策、「個人消費拡大策」
「所得の増加」
「個人向け減税」
「年金問題
の解決(将来不安の解消)
」
「公共事業費の増額」が上位 5 項目にあげられる。
「出産・子育て
支援」や「介護問題の解決(老人福祉、介護離職など)
」を重要施策と捉える企業も 2 割前後
5.トランプ次期米大統領の経済政策が日本経済に与える影響は、
「プラスの影響」が 10.3%、
「マ
イナスの影響」が 36.2%、
「影響はない」が 10.3%、
「分からない」が 43.3%
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
1
2016/12/27
特別企画: 2017 年の景気見通しに対する近畿地区企業の意識調査
1. 2016 年の景気、「踊り場」と捉える企業が 2 年連続で半数超、不透明感漂う1年
2016 年の景気動向について尋ねたところ、
「回復」局面であったと回答した企業は 6.1%とな
り、2015 年の景気動向(2015 年 11 月調査)から 0.8 ポイント減少した。他方、
「踊り場」局面
とした企業は 54.6%と 2 年連続で 5 割を超えたほか、
「悪化」局面とした企業は 18.9%と前回
調査から 2.2 ポイント減少した。また、
「分からない」は 20.3%と調査開始以降で最も高かった。
「回復」局面とみている企業からは「需要が回復してきており、受注が増加している」
(化学
製品製造、大阪府)など、緩やかに景況感の回復を実感しているという意見がみられた。しか
し、「踊り場」局面が半数超を占めるなかで、「売上高は上昇基調ながら、原材料価格が高騰し
たため収益は増加しなかった」
(飲食料品・飼料製造業、大阪府)や「増税延期により一服感は
あるが、個人消費の伸びが無く天候不順による農産物の相場高騰、水産・畜産原料高騰による
価格上昇での売上額伸長となっている状況である」
(各種商品小売、奈良県)といった、業種や
企業間で現状の景気動向が二極化している様子もうかがえる。
「悪化」局面とした企業からは、
「円高の影響で材料などの単価は若干下がったが、全体的に
見ると手詰まり感がある」
(電気機械製造、京都府)や「仕事の受注が減り、コストダウンの要
求が厳しい。業績が良いのは大手企業だけではないのか」
(建設、兵庫県)などの声がみられた。
また、「分からない」では、「政府発表では少しずつ回復しているとのことだが我々の身近では
実感がない」
(不動産、大阪府)や「都会と田舎、もしくは大企業と中小零細での格差が拡がっ
ているので一般消費者の消費が改善しない」
(飲食料品・飼料製造業、兵庫県)といった意見が
あがった。
アベノミクスは開始から 4 年目を迎えたが、2016 年の景気動向を回復局面と捉える企業は 1
割弱にとどまり、じわじわと減少している。他方、
「踊り場」局面とする見方は 2 年連続で半数
を超えているほか、
「分からない」とする企業も調査開始以来初の 2 割を超え、過去最高の割合
となった。2016 年の景気に対して半数超の企業が「踊り場」局面と認識していたなかで、判断
を留保する企業も多く、不透明感の漂う一年だったと言えよう。
近畿地区 景気動向の推移(2006 年~2016 年)
近畿地区
2016 年の景気動向
(構成比%、カッコ内社数)
回復局面
2006年
(2006年11月調査)
2007年
(2007年11月調査)
2008年
13.9%
5.0%
49.9%
0.1% 10.5%
(2009年11月調査) 2.7%
2010年
(2010年11月調査)
4.6%
(2011年11月調査)
3.6%
2011年
2012年
2013年
2014年
7.4%
(2014年11月調査)
2015年
(2015年11月調査)
2016年
6.9%
6.1%
(2016年11月調査)
11.8%
37.1%
45.2%
14.1%
52.1%
47.6%
49.1%
54.5%
54.6%
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
13.1%
14.3%
45.7%
36.5%
15.6%
5.7%
50.8%
34.7%
26.1%
(2013年11月調査)
29.5%
83.8%
2.0% 31.8%
(2012年11月調査)
分からない
11.1% 18.3%
56.6%
(2008年11月調査)
2009年
悪化局面
踊り場局面
8.0% 18.2%
28.7%
14.8%
21.1%
17.6%
18.9% 20.3%
回復局面
踊り場局面
悪化局面
分からない
合計
全国
5.7
(578) 53.9 (5,450) 19.3 (1,956) 21.0 (2,126) 100.0 (10,110)
近畿
6.1
(101) 54.6
(905) 18.9
(314) 20.3
(337) 100.0
大企業
7.0
(24) 56.9
(194) 14.4
(49) 21.7
(74) 100.0
(341)
中小企業
5.9
(77) 54.0
(711) 20.1
(265) 20.0
(263) 100.0
(1,316)
小規模企業
(396)
(1,657)
4.8
(19) 53.0
(210) 20.7
(82) 21.5
(85) 100.0
農・林・水産
0.0
(0) 50.0
(2) 25.0
(1) 25.0
(1) 100.0
(4)
金融
6.3
(1) 56.3
(9) 18.8
(3) 18.8
(3) 100.0
(16)
(189)
建設
6.9
(13) 52.4
(99) 20.6
(39) 20.1
(38) 100.0
不動産
10.4
(5) 50.0
(24) 22.9
(11) 16.7
(8) 100.0
(48)
製造
6.9
(38) 55.4
(305) 18.0
(99) 19.8
(109) 100.0
(551)
卸売
4.9
(27) 57.3
(313) 18.9
(103) 18.9
(103) 100.0
(546)
小売
3.6
(2) 41.8
(23) 34.5
(19) 20.0
(11) 100.0
(55)
運輸・倉庫
4.4
(3) 39.7
(27) 23.5
(16) 32.4
(22) 100.0
(68)
サービス
6.9
(12) 57.7
(101) 13.1
(23) 22.3
(39) 100.0
(175)
その他
0.0
(0) 40.0
0.0
(0) 60.0
(3) 100.0
(5)
滋賀
4.0
(4) 55.0
(55) 20.0
(20) 21.0
(21) 100.0
(100)
京都
6.1
(12) 57.7
(113) 16.8
(33) 19.4
(38) 100.0
(196)
大阪
5.7
(54) 54.1
(512) 19.6
(185) 20.6
(195) 100.0
(946)
兵庫
7.5
(24) 54.1
(172) 17.9
(57) 20.4
(65) 100.0
(318)
奈良
8.0
(4) 52.0
(26) 24.0
(12) 16.0
(8) 100.0
(50)
和歌山
6.4
(3) 57.4
(27) 14.9
(7) 21.3
(10) 100.0
(47)
(2)
注1:網掛けは、ブロック全体以上を表す
注2:全国の母数は有効回答企業1万110社。近畿は1,657社
2
2016/12/27
特別企画: 2017 年の景気見通しに対する近畿地区企業の意識調査
2. 2017 年の景気見通し、「踊り場」「悪化」を見込む企業が減少、「分からない」が急増
2017 年の景気について、
「回復」局面を迎えると見込む企業(12.1%)は 2016 年見通し(2015
年 11 月調査、11.0%)から 1.1 ポイント増加。
「悪化」や「踊り場」局面になると見込む企業
が 2016 年見通しより減少した一方、
「分からない」とする企業が 32.8%と調査開始以降で初め
て 3 割を超え、先行き見通しが一段と難しくなっている様子がうかがえる。
規模別でみると、
「悪化」と見通す企業の割合は「小規模企業」が「大企業」より 7.4 ポイン
ト高く、規模の小さい企業ほど厳しい見通しを示していることが浮き彫りとなった。業界別に
見ると、
『小売』では「回復」と見通す企業の割合が 5.5%と低いのに対して、
「悪化」が 27.3%、
『運輸・倉庫』では「回復」が 8.8%、
「悪化」が 19.1%、
『建設』では「回復」が 10.1%、
「悪
化」が 21.2%、
『卸売』では「回復」が 10.4%、
「悪化」が 20.1%と、それぞれ「悪化」が「回
復」を大きく上回った。府県別では、
『滋賀県』が「回復」の 9.0%に対して「悪化」が 27.0%
となったほか、
『兵庫県』
『奈良県』でも「悪化」を見込む企業が 20%以上となっている。
「回復」を見込む企業からは「アメリカの景気に連られ景気は拡大すると思われる」(電気機械製造、兵
庫県)など海外経済の活発化に期待する声がみられた一方、「悪化」とする企業からは「会社が給与の
総支給額を上げても、社会保険料などで手取りが減少傾向にある」(建築工事、和歌山県)といった意
見もあった。全体を通してみると、「米国の政権交代でどう変化があるか不明」(運輸・倉庫、大阪府)な
ど、次期米国大統領による経済政策の行方に対する懸念を持つ企業が非常に多かった。
近畿地区 景気見通しの推移
(2007 年~2017 年)
近畿地区 2017 年の景気見通し
(構成比%、カッコ内社数)
回復局面
回復局面
2007年
(2006年11月調査)
2008年
(2007年11月調査)
2009年
(2008年11月調査)
2010年
(2009年11月調査)
2011年
(2010年11月調査)
2012年
(2011年11月調査)
2013年
(2012年11月調査)
2014年
(2013年11月調査)
2015年
(2014年11月調査)
2016年
(2015年11月調査)
2017年
(2016年11月調査)
踊り場局面
13.0%
42.0%
悪化局面
17.7%
6.0% 29.5%
41.3%
1.7% 14.4%
71.3%
分からない
27.3%
23.1%
12.6%
9.1%
36.2%
33.0%
21.7%
9.6%
35.7%
31.6%
23.1%
10.7%
31.1%
35.6%
22.6%
9.5%
30.5%
24.8%
13.8%
11.0%
34.8%
34.2%
36.2%
38.7%
12.1% 36.0%
16.0%
25.6%
24.3%
19.2%
25.1%
25.0%
24.3%
26.0%
32.8%
踊り場局面
悪化局面
分からない
合計
全国
11.0 (1,115) 37.9 (3,827) 20.0 (2,027) 31.1 (3,141) 100.0 (10,110)
近畿
12.1
(200) 36.0
(596) 19.2
(318) 32.8
(543) 100.0
大企業
11.1
(38) 38.7
(132) 13.8
(47) 36.4
(124) 100.0
(341)
中小企業
12.3
(162) 35.3
(464) 20.6
(271) 31.8
(419) 100.0
(1,316)
小規模企業
10.6
(42) 37.1
(396)
(1,657)
(147) 21.2
(84) 31.1
(123) 100.0
農・林・水産
0.0
(0)
0.0
(0) 50.0
(2) 50.0
(2) 100.0
(4)
金融
6.3
(1) 50.0
(8) 18.8
(3) 25.0
(4) 100.0
(16)
(189)
建設
10.1
(19) 41.3
(78) 21.2
(40) 27.5
(52) 100.0
不動産
18.8
(9) 39.6
(19) 14.6
(7) 27.1
(13) 100.0
(48)
製造
14.7
(81) 32.5
(179) 18.0
(99) 34.8
(192) 100.0
(551)
卸売
10.4
(57) 38.5
(210) 20.1
(110) 31.0
(169) 100.0
(546)
小売
5.5
(3) 32.7
(18) 27.3
(15) 34.5
(19) 100.0
(55)
運輸・倉庫
8.8
(6) 27.9
(19) 19.1
(13) 44.1
(30) 100.0
(68)
サービス
13.1
(23) 37.1
(65) 16.0
(28) 33.7
(59) 100.0
(175)
その他
20.0
5人以下
6~20人
従
業 21~50人
員 51~100人
数
101~300人
別
301~1,000人
0.0
(0) 20.0
(1) 60.0
(3) 100.0
(5)
8.7
(17) 35.4
(1)
(69) 22.1
(43) 33.8
(66) 100.0
(195)
10.6
(45) 38.7
(164) 22.2
(94) 28.5
(121) 100.0
(424)
13.3
(59) 34.4
(152) 21.3
(94) 31.0
(137) 100.0
(442)
14.2
(37) 35.0
(91) 17.7
(46) 33.1
(86) 100.0
(260)
12.4
(31) 35.6
(89) 14.0
(35) 38.0
(95) 100.0
(250)
15.6
(10) 31.3
(20)
7.8
(5) 45.3
(29) 100.0
(64)
4.5
(1) 50.0
(11)
4.5
(1) 40.9
(9) 100.0
(22)
滋賀
9.0
(9) 32.0
(32) 27.0
(27) 32.0
(32) 100.0
(100)
京都
11.2
(22) 39.3
(77) 15.8
(31) 33.7
(66) 100.0
(196)
大阪
12.3
(116) 38.1
(360) 18.3
(173) 31.4
(297) 100.0
(946)
兵庫
13.5
(43) 28.9
(92) 21.7
(69) 35.8
(114) 100.0
(318)
奈良
12.0
(6) 36.0
(18) 20.0
(10) 32.0
(16) 100.0
(50)
和歌山
8.5
(4) 36.2
(17) 17.0
(8) 38.3
(18) 100.0
(47)
1,000人超
注1:網掛けは、ブロック全体以上を表す
注2:全国の母数は有効回答企業1万110社。近畿は1,657社
3. 「米国経済」の動向を懸念する企業が前年より 30.0 ポイント増
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
3
2016/12/27
特別企画: 2017 年の景気見通しに対する近畿地区企業の意識調査
2017 年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、
「米国経済」が 42.1%で最も高か
った(3 つまでの複数回答、以下同)
。
「米国経済」は前回調査(2015 年 11 月)から 30.0 ポイ
ント増加しており、トランプ次期大統領が打ち出す経済政策による米国経済への影響を懸念す
る企業が急増していることが浮き彫りとなった。逆に、前回トップだった「中国経済」は同 28.3
ポイント減の 24.6%、前回 2 位だった「消費税制」は同 25.4 ポイント減の 11.4%となってお
り、景気の懸念材料はこの 1 年で大きく様変わりした。また、
「原油・素材価格(上昇)
」は 29.0%
で 2 位、
「人手不足」は 23.3%で5位となっており、景気を左右する重要項目として上位にあげ
られた。
業界別にみると、
「米国経済」では『金融』や『製造』など 5 業界が4割を上回り、
「原油・
素材価格(上昇)
」では『運輸・倉庫』や『製造』が3割を超える企業で景気への懸念材料とし
てあげている。また、「このままではデフレに逆戻りして景気が滞っていく」(自転車小売、大
阪府)など、デフレ脱却の遅れを指摘する声もみられた。
■2017年景気の懸念材料(上位3項目、業界別)
■2017年景気の懸念材料(上位10項目、複数回答、3つまで)
(構成比%、カッコ内社数)
(%)
原油・素材価
為替(円高)
米国経済
格(上昇)
2016年11月調査 2015年11月調査
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
米国経済
原油・素材価格(上昇)
為替(円高)
中国経済
人手不足
為替(円安)
物価下落(デフレ)
消費税制
株価(下落)
金融市場の混乱
↑
↑
↑
↓
↑
↓
42.1
29.0
28.8
24.6
23.3
20.8
13.3
11.4
10.5
9.4
12.1
23.4
9.5
52.9
20.1
25.2
6.5
36.8
12.6
7.0
注1:以下、「金利(上昇)」(8.9%)、「所得(減少)」(8.9%)、「雇用(悪化)」(7.1%)、
「TPP協定の実行」(6.7%)、「地政学リスク」(6.2%)、「法人税制」(4.5%)、「政局」
(4.3%)、「欧州経済」(3.2%)、「物価上昇(インフレ)」(2.8%)、「訪日観光客数の
減少」(2.7%)、「税制(消費税制、法人税制を除く)」(2.4%)、「その他」(1.8%)
注2:矢印は2015年11月調査より5ポイント以上増加、または減少していることを示す
注3:2016年11月調査の母数は有効回答企業1,657社。2015年11月調査は1,779社
全体
42.1 (698) 29.0 (480) 28.8 (477) -
(1,657)
農・林・水産
25.0
(1) 75.0
(3) 0.0
(0) -
(4)
金融
50.0
(8) 6.3
(1) 50.0
(8) -
(16)
建設
32.8
(62) 23.8
(45) 20.1
(38) -
(189)
不動産
37.5
(18) 10.4
(5) 29.2
(14) -
(48)
製造
47.2 (260) 36.5 (201) 35.6 (196) -
(551)
卸売
42.7 (233) 28.2 (154) 26.7 (146) -
(546)
小売
23.6
(13) 18.2
(10) 14.5
(8) -
(55)
運輸・倉庫
36.8
(25) 38.2
(26) 30.9
(21) -
(68)
サービス
42.9
(75) 19.4
(34) 25.7
(45) -
(175)
その他
60.0
(3) 20.0
(1) 20.0
(1) -
(5)
注1:網掛けは、全体以上を表す
注:母数は有効回答企業1,657社
4. 景気回復に必要な政策、「個人消費拡大策」「所得の増加」「個人向け減税」がトップ 3
今後、景気が回復するために必要な政策を尋ねたところ、
「個人消費拡大策」が 43.8%(複数
回答、以下同)と4年連続で4割を超え、3年連続のトップとなった。次いで「所得の増加」
「個
人向け減税」
「年金問題の解決(将来不安の解消)
」
「公共事業費の増額」が 3 割を上回った。企
業は、今後の景気が回復するために、所得増加や将来不安の解消を通じた個人消費の拡大が依
然として重要な課題と捉えているとともに、地域経済を下支えする公共事業や企業の競争力向
上を図る法人向け減税を求めていることが浮き彫りとなった。
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
4
2016/12/27
特別企画: 2017 年の景気見通しに対する近畿地区企業の意識調査
また、政府の成長戦略の柱となる
■今後の景気回復に必要な政策(複数回答)
(%)
女性活躍に関しては、
「出産・子育て
支援」
(19.8%)や「介護問題の解決
( 老 人 福 祉 、 介 護 離 職 な ど )」
(17.7%)が 2 割前後となった。
企業の声としては、
「非正規から正
規従業員へと雇用を増加させる政
策」
(建設、滋賀県)や「消費税率変
更を諦め、8%で固定すること」
(繊
維・繊維製品・服飾品卸売、大阪府)
といった、消費拡大につながる政策
を必要とする意見が多かった。
2016年11月調査 2015年11月調査
1
個人消費拡大策
2
所得の増加
3
個人向け減税
4 年金問題の解決(将来不安の解消)
5
公共事業費の増額
6
法人向け減税
7
規制緩和
8
雇用対策
9
出産・子育て支援
10 介護問題の解決(老人福祉、介護離職など)
↓
43.8
39.6
32.3
32.0
31.1
28.5
26.4
25.8
19.8
17.7
注1:以下、「物価(デフレ)対策」(16.3%)、「財政再建」(13.6%)、「地方創生」
43.5
39.7
32.7
29.7
27.1
35.6
26.8
24.0
22.3
17.7
(13.6%)、「TPP協定の実行」(11.3%)、「災害対策」(8.8%)、「金融緩和政策」
(8.6%)、「地方への税源移譲」(8%)、「研究開発の促進税制」(7.8%)、「女性登
用」(7.3%)、「原発事故の収束」(6.9%)、「個人向け手当の創設」(6.8%)、「震災
復興」(6.6%)、「環境関連の優遇策(補助金など)」(5.7%)、「道州制の導入」
(4.9%)、「その他」(2.4%)
注2:矢印は2015年11月調査より5ポイント以上増加、または減少していることを示す
注3:2016年11月調査の母数は有効回答企業1,657社。2015年11月調査は1,779社
5. トランプノミクスの影響、日本経済に「マイナス」「分からない」が 4 割前後
11 月 9 日(日本時間)
、米大統領選挙で共和党候補
のトランプ氏が勝利した。選挙期間中の発言などが報
■トランプノミクスの日本経済への影響
道されるなか、大統領就任後の経済政策(トランプノ
プラスの
影響
10.3%
ミクス)や対日政策への注目が高まっている。
そこで、トランプ次期米大統領による経済政策(ト
ランプノミクス)が、日本経済にどのような影響を与
えると思うか尋ねたところ、
「プラスの影響」と回答し
た企業は 10.3%と 1 割程度にとどまった。他方、
「マ
分からな
い
43.3%
マイナス
の影響
36.2%
イナスの影響」は 36.2%となった。また、
「影響はな
い」は 1 割程度だったほか、
「分からない」が 43.3%
と、4 割超の企業がトランプノミクスによる影響を測
りかねていることが明らかとなった。
影響はな
い
10.3%
注:母数は有効回答企業1,657社
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
5
2016/12/27
特別企画: 2017 年の景気見通しに対する近畿地区企業の意識調査
まとめ
2016 年の近畿地区企業の景気は、
「踊り場」局面と考える企業が 2 年連続で半数を超えた一方、
「分からない」とする企業も今回で初めて 2 割を超え過去最高の割合となるなど、不透明感の
漂う一年だった。業種や企業間で景気動向が二極化している様子もうかがえた。
さらに、2017 年の景気を「踊り場」
「悪化」局面と見込む企業は前回調査より減少し、
「分か
らない」と回答した企業が大きく増加したことから、先行きへの見通しが一段と難しくなった
とみている傾向も表れた。
とりわけ、懸念材料として「米国経済」を挙げる企業が急増した。トランプ次期米大統領の
経済政策(トランプノミクス)や対日政策に対する方向性が不透明なこともあり、日本経済に
どのような影響を及ぼすか測りかねているようだ。トランプノミクスが日本経済に「マイナス
の影響」を与えると考えている企業は 36.2%となる一方、どのような影響があるか「分からな
い」とする企業も 4 割を超えている。トランプノミクスに対しては不明な部分が多いものの、
企業は日本経済への影響を慎重かつ厳しくみている様子がうかがえる。
加えて、石油輸出国機構(OPEC)加盟国に加えて非加盟国においても原油の減産で合意する
など、
「原油・素材価格(上昇)
」も懸念している。さらに、
「人手不足」は依然として懸念材料
「中国経済」や「消費税制」は前回調査から大幅に減少してお
として上位にあげられる。他方、
り、景気の先行きに対する懸念材料はこの 1 年で大きく様変わりした。今後の景気回復に向け
て、企業は個人消費拡大策や所得増加、年金問題など将来不安の解消を通じて、個人消費が活
発化することが重要と考えている。
海外動向に先行き不透明感が漂うなか、今後、日本経済が自律的な好循環を達成するため、
政府は消費活性化と企業業績の改善に向けた政策を一段と推し進める必要性が高まっている。
※ 企業規模区分
中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。
大企業
中小企業(小規模企業を含む)
小規模企業
製造業その他の業界
業界
「資本金3億円を超える」 かつ 「従業員数300人を超える」
「資本金3億円以下」 または 「従業員300人以下」
「従業員20人以下」
卸売業
「資本金1億円を超える」 かつ 「従業員数100人を超える」
「資本金1億円以下」 または 「従業員数100人以下」
「従業員5人以下」
小売業
「資本金5千万円を超える」 かつ 「従業員50人を超える」
「資本金5千万円以下」 または 「従業員50人以下」
「従業員5人以下」
サービス業
「資本金5千万円を超える」 かつ 「従業員100人を超える」
「資本金5千万円以下」 または 「従業員100人以下」
「従業員5人以下」
注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング
【 内容に関する問い合わせ先 】
(株)帝国データバンク 大阪支社情報部
TEL 06-6441-3100
担当:和家 浩紀
e-mail [email protected]
当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。
当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内で
ご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
6