農林漁業信用基金の事務所統合について 黒元 重雅 昨年の12月はじめ、独立行政法人農林漁業信用基金の林業、漁業、農業共済の3部門 の事務所が千代田区内神田にある本部の建物11階のフロアーに移転して来て、同月6日 に記念式典がささやかに催されました。長年の懸案であった4部門の事務所統合がついに 実現の運びとなりました。以下ここに至るまでの経緯を簡単に振り返ってみたいと思いま す。 農林漁業信用基金(以下「基金」という。)は、その前身である農業信用保険協会(1966 (昭 41)年設立。事務所は千代田区内神田)、林業信用基金(1963(昭 38)年設立。事務 所は文京区後楽)、中央漁業信用基金(1974(昭 49)年設立。1977(昭 52)年に中小漁業融資 保証保険特別会計、1982(昭 57)年に漁業共済基金の業務を承継。事務所は文京区湯島)、 農業共済基金( 1952(昭 27)年設立。事務所は千代田区一番町)の4法人が組織・業務を 統合(前3機関については 1987(昭 62)年)することにより、2000(平 12)年4月1日認可 法人として発足し、2003(平 15)年 10 月1日に独立行政法人組織に移行して現在に至って いるものです。しかし組織は統合したものの、諸般の事情から事務所は従来のまま都内に 分散されてきたところから、事業運営の効率化、組織の合理化等の観点から事務所を早期 に1カ所に統合することがかねてからの基金の課題となっていました。とりわけ 2002(平 14)年 8 月には総務省「認可法人に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告」において 『農林水産省は、農林漁業信用基金に対して、事務所の統合を指導する必要がある 。』旨 の勧告を受けていましたが、2003(平 15)年 10 月∼ 2008(平 20)年 3 月を期間とする基金 の中期目標及び中期計画において『4分野に分かれている事務所を統合』することが定め られるに至り、同問題は期限を切って実施されるべき喫緊の課題となりました。 ちょうどその頃、基金の本部(農業部門)が置かれていた千代田区内神田のコープビル 内では、入居していた店舗がまとまって転出することになり、相当の空きフロアーが発生 することとなりました。基金は早速同フロアーを統合事務所の移転先とすべく、関係方面 との協議を精力的に進めましたが、この移転決定には、 主たる事務所の移転等の際には 東京都区部からの転出を義務づける多極分散型国土形成促進法との関係、 べて面積が相当程度減少するなどの職員の執務環境の変化、 旧事務所に比 同フロアーへの入居を熱望 する他法人との競合や具体的な賃貸借条件の詰め等、解決すべき難問が少なくありません でした。しかし、前述の中期目標・計画を達成するためにはこの移転案が唯一のものであ ることを関係者の方々に熱く訴えた結果、最後には基金3部門の入居に理解・協力を示し てくれました。ご理解、ご協力を頂いた皆様にはこの場をお借りし改めて感謝を申し上げ -1- ます。 並行して基金内部では、円滑な事務所移転と業務運営を期するため、統合事務所の設計 ・工事、備品・什器、移転費用及び統合事務所の管理共通費用についての部門間分担、管 理部門の組織・事務の再編、職員の勤務・福利厚生に関する部門間統一等に関するプロジ ェクトチームをそれぞれ発足させ、具体案を確定していきました。 とりわけ、事務所の統合を通じて総務、経理等の管理部門組織を再編し、同部門の人員 削減はじめ人員配置を見直すことが中期目標・計画で定められており、明確な成果を出す ことが求められていました。そこで、昨年12月6日付けで総務部の企画調整課(実質上 は林業部門の庶務課 )、経理部の経理第4課を廃止するとともに、基金の企画部門の強化 を図るため企画調整室に企画推進課を新設することとしました。また各4部門で分掌され ていた管理関係事務は可能な限り整理統合されました。これにより、管理部門に配置され ていた職員は、独立行政法人化直後に比べ1割強の4人削減し、企画部門等業務が増大し ている部門に再配置することができました。 基金の事務所統合に関連する中期目標・計画の課題は以上によりほぼ達成されました。 しかしこれは、基金が同中期目標・計画の精神に即して新たな業務展開を図るためのやっ と入り口に立ったに過ぎません。再編が成った管理部門においても、効率的な業務運営を 図っていくためには今後改善・解決していくべき大小様々な課題が残されていることも事 実です。関係者の方々の従前にも増したご理解・ご協力をお願いする次第であります。 (総括調整役兼総務部長) -2-
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