エマージング・マーケット・マンスリー

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情報提供資料
エマージング・マーケット・マンスリー
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
2017年1月号
経 済 調 査 部
Contents
※「エマージング諸国」とは、アジア、中南米、東欧・ロシアなどの新興諸国を指します。
【マレーシア】 米大統領選挙以降、アジア最弱通貨の座に復帰したリンギ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1ページ
【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7ページ
【マレーシア】 米大統領選挙以降、アジア最弱通貨の座に復帰したリンギ*
【図1】 民間消費が堅調な一方、固定資本投資や政府消費の伸びが鈍化(右)
 7-9月のGDP成長率は加速するも内需は勢いを欠く
マレーシア・リンギ相場が軟調です。米大統領選挙の行われた昨年11月8日から12
月29日にかけて、同通貨は対米ドルで6.3%下落。下落率は主要アジア通貨最大でし
た。上記期間には、米国の長期金利が上昇するとともに新興国債券市場から資本が
流出し、新興国通貨が下落。リンギが近隣諸国通貨を上回って下落した背景には、
外国人による多額の国債保有額、為替市場の流動性の低さ、当局が導入した為替取
15
実質GDP成長率(四半期)
(%)
前期比年率
(棒: 季節調整済)
10
5
前年比
(線)
0
引規制に伴う不透明感、弱い対外収支等があったとみられます。リンギ相場の低迷
は今後も続くのか。本稿では、同国の景気物価(1-3頁)や金融政策(4頁)の動向を概観
-5
するとともに、昨年11月以降の通貨下落の背景や当局の導入した為替取引規制の効
-10
注) 直近値は
2016年7-9月期
果や副作用について分析し、今後の相場動向について考察します(4-6頁)。
-15
2006
11月11日、政府は7-9月期の実質GDPが前年比+4.3%と前期の+4.0%より加速しつつ、
市場予想(Bloomberg集計の中央値)の+4.0%を上回ったことを公表。前期比年率は
2010
2012
2014
(年)
2016
(%)
実質GDP前年比と寄与度(四半期)
実質GDP
純輸出
固定資本
投資
政府消費
民間消費
在庫投資
注) 直近値は
2016年7-9月期
2006
2008
(年)
2010
2012
2014
2016
出所)マレーシア統計局、CEIC
【図2】 公的投資の落込みで建設業が鈍化、農林漁業は下げ幅を縮小(左)
+6.1%と前期の+2.7%から上昇、景気拡大の速度は加速しました(図1左)。しかし、需
要側では民間消費が底堅い一方で財政緊縮に伴って公的投資や政府消費が減速し、
25
内需(在庫投資を除く)は前年比+4.7%と前期の+6.3%より鈍化。成長率の加速は、在
20
庫投資の下押し幅の縮小や輸入の落込みによる純輸出の押上げ等によるものであり
15
(図1右)、景気拡大の持続力には不安が残ります。民間消費は前年比+6.4%と前期の
10
+6.3%より加速。雇用環境は緩やかな悪化を続けているものの、7月初の最低賃金の
5
引上げ等が消費を支えた模様です。政府消費は同+3.1%と前期の+6.5%より減速しま
0
した。公務員給与等が伸びたものの、財サービス購入が鈍化。財政赤字抑制目標の
-5
達成に向けた動きとみられます。固定資本投資は同+2.0%と前期の+6.1%より鈍化し
-10
ました。民間投資が同+4.7%と前期の+5.6%より鈍化しつつ底堅く伸びたものの、公
-15
的投資が同▲3.8%と前期の+7.5%より反落。公的建設投資の落込みによります。
-20
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2008
16
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
-12
(%)
実質GDP(部門別)の前年比 (四半期)
20
(%)
鉱工業生産の伸び率 (月次)
(%)
前年比
15
建設
10
サービス
製造
鉱業
5
農林漁業
0
-5
-10
注) 直近値は
2016年7-9月期
(線:左軸)
-15
前月比
(棒:右軸)
注) 前月比は季節調整済
直近値は2016年10月
-20
2006
2008
2010
2012
2014
2016
*注)本稿は、「アジア・マーケット・マンスリー」からの転載です。
(年)
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
-12
2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (年)
出所)マレーシア統計局、CEIC
1
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エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
【図3】 低迷する四輪車販売(左)と生産を下回る工業製品売上の伸び(右)
 減速する設備投資、内需の弱さゆえ反落した輸入の伸び
7-9月期の実質固定資本投資を分野別に見ると、建設投資が前年比+5.0%と前期の
+5.9%より鈍化しつつ底堅く伸びたものの、設備投資は同+0.9%と前期の+8.1%より大
きく減速しました。在庫投資はGDP比0.6%のマイナスとなり、寄与度は▲0.5%ポイン
トと前期の▲1.2%より押下げ幅が縮小しました。外需では、総輸出が同▲1.3%と前期
の+1.0%より反落し、総輸入も内需の弱さから同▲2.3%と前期の+2.0%より反落。この
結果、純輸出の寄与度は+0.5%ポイントと前期の▲0.6%ポイントより反転しました。
(%)
30
(%)
耐久財売上の前年比 (月次)
製造業生産等の前年比 (月次)
30
四輪車
20
20
二輪車
製造業生産
10
10
0
0
-10
-10
生産側では、公的建設投資の落込みに伴って建設業が鈍化したものの、その他部門
(線:a)
の殆どが加速しました(図2左)。農林漁業は同▲5.9%と前期の▲7.9%より下げ幅を縮め
つつ3期連続のマイナスに。雨不足の後遺症に伴って、同部門の5割弱を占める油やし
の生産が同▲13.8%と前期の▲19.3%に続き2桁台の落込みとなりました。鉱業は同
+3.6%と前期の+2.6%より加速。サバ州を中心に原油生産量が増加したことによります。
-20
-20
2009
の石油化学、運輸、公益関連の土木建築や住宅建設がけん引役です。サービス部門は
同+6.1%と前期の+5.7%より加速。輸出入の鈍化に伴って運輸・倉庫が減速したものの、
好調な民間消費を受けて卸売・小売、飲食・宿泊などが伸び、金融・保険も堅調でした。
7-9月期に加速した鉱工業部門の生産は、10月にも拡大。10月の鉱工業生産は、前年
比+4.2%と前月の+3.1%より加速し、前月比も+0.8%と前月の▲0.1%より反発しました
(図2右)。鉱業は前年比+3.6%と前月の▲0.3%より反発。原油の伸びが反発するととも
に天然ガスも加速しており、一次産品価格の上昇が増産を促しているとみられます。
後の需要の動向には懸念も残ります。液化天然ガス(LNG)の輸出量は10月に同▲11.0%
と前月の+19.2%より反落。国内でも、二輪車販売が堅調な一方で四輪車販売は低迷を
続けています(図3左)。また、製造業生産が回復する一方で工業製品売上は低迷を続け
ており(図3右)、今後、在庫削減圧力が生産の伸びを抑制する可能性も残ります。
2013
2015
(年)
-30
2005
2007
2009
2011
2013
2015
(年)
【図4】 上昇する失業率(左)や高水準の家計債務(右)が民間消費の重石に
(%)
8
(%)
失業率と製造業雇用者数 (月次)
3.6
失業率(右軸)
3.2
2.8
2
-2
-4
家計向け融資残高 (年次)
1.0
注) 直近値は
残高: 2015年末
GDP比: 2016年9月末
0.8
GDP比
(%)
90
85
3.0
4
0
(兆リンギ)
1.2
3.4
6
また、製造業も同+4.2%と前月の+4.0%より加速。電子・電器が同+8.0%と前月の+6.5%
より加速し、金属製品も堅調でした。しかし、足元の生産の伸びは堅調なものの、今
2011
注) 3ヵ月移動平均
直近値は2016年10月
出所)マレーシア首相府経済計画局(EPU)、マレーシア自動車協会(MAA)、マレーシア統計局、CEIC
 10月の鉱工業生産は加速するも需要動向には懸念も
7-9月期の建設業の実質生産は同+7.9%と前期の+8.8%より鈍化しつつ堅調。進行中
伸び率格差
(棒:a-b)
-30
料・タバコ、化学等が加速し、運輸機器の下げ幅も縮小しました。
(線:b)
注) 3ヵ月移動平均
直近値は2016年10月
製造業は同+4.2%と前期の+4.1%より加速。電子電器が同+6.6%と前期の+8.8%より鈍
化し、石油精製、ゴム製品、木製品、繊維・衣服なども鈍化したものの、動植物油、飲
工業製品売上
2.6
2.4
製造業雇用者数
前年比(左軸)
2.2
(線:右軸)
75
0.6
70
0.4
65
2.0
1.8
注) 3ヵ月移動平均
直近値は2016年10月
0.2
1.4
(年)
60
残高
1.6
-6
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
80
(棒:左軸)
0.0
55
2002
2005
2008
2011
2014
(年)
出所)マレーシア統計局、バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、CEIC
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
 民間消費への逆風は強いが、足元で緩和の兆しも
民間消費は、これまで内需をけん引。しかし、同消費への逆風も目立ちます。失業
率は上昇を続けるなど雇用環境は厳しく(図4左)、高水準の家計債務も重石に(図4右)。
4-6月期に改善した消費者信頼感は7-9月期に再び悪化しました(図5左)。もっとも、求
人数が足元で増加し(図5右)、賃金の伸びも加速(図6左)。雇用・所得環境は最悪期を過
ぎたとみられます。また、家計債務のGDP比は、昨年9月末に88.5%と前年末の89.1%
より低下。上昇を続けた債務水準はようやく低下を始めました。昨年前半にかけて低
下を続けた家計向け貸付の承認額の伸びも底を打ちました(図6右)。足元ではパーム油
や天然ゴム価格も上昇(図7左)、農村部家計の農業所得の改善を支えるとみられます。
また、今年度予算も消費を支えるでしょう。政府は財政赤字縮小に向けて歳出を抑
えているものの、同予算で多様な家計支援策を導入。国会の早期解散による今年内の
総選挙を念頭に置き、与党支持者の拡大を狙った模様です。政府は、低所得家計向け
の現金給付(BR1M)の引上げ、スマホやタブレット端末購入への税制優遇、公務員の住
宅・耐久財購入向けの優遇金利貸付を導入。これらの措置は、中期的な成長力の改善に
【図5】 悪化する家計と企業の景況感(左)、足元で反発する求人数(左)
(ポイント)
130
今年は、世界的な景気の回復とともに同国の輸出が緩やかに回復するとみられ、一
次産品価格の上昇による交易条件の改善も景気を支えるでしょう。自国通貨の減価(図
7右)も輸出部門を支援するとみられます。財政赤字抑制に向けて、昨年末にかけて抑
制された政府歳出は、今年初より再び加速する見込みです。昨年7-9月期に+4.3%に加
速したGDP成長率は10-12月期に+4%前後まで再び鈍化し、その後は回復過程に入るで
しょう。2016年通年の経済成長率は+4%強と2015年の+5.0%と2014年の+6.0%より鈍化
した後、2017年通年では+4%台前半へと緩やかに加速すると予想されます。
足元では消費者物価が上昇しています。11月の総合消費者物価は前年比+1.8%と前
月の+1.4%より上昇(図8左)。食品が同+3.8%と前月の+2.5%より上昇(図8右)、燃料が同
▲4.4%と前月の▲11.5%より下げ幅が縮小し、総合物価を押上げました。肉類や野菜
価格の上昇とガソリン価格の上昇(図9左)や調理油価格の引上げ(補助金の削減)等が背
景です。コア物価は同+1.7%と前月+2.7%より鈍化しました。今後も、政府による各種
補助金の削減や昨年11月以降のリンギ相場下落に伴う輸入物価の上昇で総合物価は上
昇し、昨年通年で+2%、今年通年で+3%程度へと緩やかに上昇すると予想されます。
企業
景況感指数
120
110
求人数と前年比 (月次)
(万人)
35
(%)
120
注) 3ヵ月移動平均
直近値は2016年11月
30
100
80
25
60
前年比(右軸)
100
40
20
20
90
15
サービス他
0
10
建設業
-20
5
製造業
80
消費者
信頼感指数
70
60
-40
注) 直近値は
2016年7-9月期
2006
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2011 2012 2013 2014 2015 2016
(年)
-60
農林漁業 -80
0
50
は貢献しないものの、短期的に民間消費を支えることになると予想されます。
 景気は年末にかけ鈍化した後、緩やかに回復か
消費者信頼感と企業景況感(四半期)
出所)マレーシア経済研究所(MIER)、マレーシア統計局、CEIC
【図6】 改善傾向の賃金(左)と家計向け貸出承認額(右)の伸び
(%)
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
2008
製造業賃金の前年比 (月次)
(%)
80
注) 3ヵ月移動平均
消費者物価指数で実質化
直近値は2016年10月
家計向け貸出の承認額と承認率 (月次)
承認額/申込額
(右軸)
60
50
55
50
20
実質
45
10
40
0
-10
承認額の前年比
-20
2012
2014
2016
60
40
30
2010
65
承認率:
70
名目
(%)
(年)
-30
2007
(左軸)
2009
35
注) 3ヵ月移動平均
直近値は2016年10月
2011
2013
2015
30
(年)
出所)マレーシア統計局、 CEIC
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
3
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
【図7】 上昇する一次産品価格(左)リンギの実質実効相場は大きく下落(右)
 リンギ相場が下落する中で政策金利を据置き
11月23日、バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は政策金利を3%で据置き。Bloomberg
(千リンギ/トン)
主要商品先物価格 (日次)
主要アジア通貨の実質実効為替相場
(リンギ/kg)
集計でのエコノミスト19人全員の予想通りの決定でした。据置きは、昨年7月の利下げ
5.0
(3.25%→3%)以降2回連続です(図9右)。声明は今年の世界景気の見通しは「若干改善」し
4.5
たとし、前回の「下振れリスクは高い」との文言を削除しました。見通し改善の理由と
4.0
20 115
して先進国の財政政策(による景気刺激)を挙げる一方、保護主義や金融市場の変動に
3.5
110
伴う不透明性を懸念。米新大統領による政策を指したものとみられます。国内景気は
3.0
15 105
2.5
100
韓国
フィリピン
台湾
タイ
インド
シンガポール
95
インドネシア
民間消費等に支えられており、鈍化気味の総投資はインフラ投資や民間設備投資に支
えられると指摘。物価は2017年も落着いて推移すると予想しました。今回の声明は、
米大統領選挙以降のリンギ相場の下落にも言及し、為替市場の機能を維持するために
流動性を供給すると記述。ドル売り介入によるドル流動性の供給を指した模様です。
総合消費者物価は今年末にかけて3%程度まで上昇し、実質政策金利はゼロに近づく
でしょう。米国の追加利上げが予想される中でのBNMの追加利下げはリンギ安を加速
させるため利下げの余地は乏しいとみられます。BNMは法定準備率(SRR)の引下げ等
相場の軟調さの背景には、(1)外国人による多額のリンギ建て国債保有額、(2)国内為替
10
90
1.0
注) 直近値は、
2016年12月29日
0.5
外国人投資家は、11月末時点で同国のリンギ建て普通国債(MGS、イスラム債や短期
(右軸)
0
(年)
減税やインフラ投資が米景気と物価を押上げるとの期待から米長期金利が上昇。それ
まで新興国債券に流入してきた投資資本の流出を促しました。外国人による11月のリ
ンギ建て国債の売越額(イスラム債や短期債を含む)は189億リンギ(42.4億ドル)と(図11
左)、インド(31.0億ドル)、インドネシア(15億ドル)、タイ(15億ドル)を上回りました。
マレーシア
注) 2012年1月3日=100として指数化
直近値は2016年12月28日
75
2012
2014
(年)
2016
出所)マレーシア証券取引所、マレーシア・ゴム取引所、Bloomberg
【図8】 総合消費者物価が上昇する一方、コア物価の伸び率は鈍化(左)
(%)
10
消費者物価の前年比 (月次)
(%)
6
注1)コア物価は、総合物価より
自動車用燃料と飲食料を
除いて計算
8
5
食品物価の前年比 (月次)
食品物価
4
6
コア物価
総合物価
4
その他
3
2
野菜・果物
2
牛乳・卵・
肉・魚
穀物等
1
債を除く)の48.4%を保有しており(図10右)、インドネシアの同37.0%を上回り、主要ア
ジア最高の外国人保有比率です。11月8日の米大統領選挙の直後より、新大統領による
85
80
2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016
市場の流動性の低さ、(3)当局による為替取引規制の導入に伴う不透明感の高まり、(4)
低水準の外貨準備残高など相対的に弱い対外収支などがあると考えられます。
5
天然ゴム
0.0
昨年11月の米大統領選挙以降、通貨リンギが軟調に推移しています。同選挙の行わ
て+9.9%と急反発した同通貨は、再びアジア最弱通貨の地位に復帰しました。リンギ
香港
120
(左軸)
1.5
 債券投資資本の流出等に伴って下落するリンギ相場
ジア通貨最大の下落率を記録。2015年通年で同18.5%下落した後に2016年4月末にかけ
パーム原油
2.0
で市場に流動性を供給しつつ、今年は政策金利を据置く可能性が高いと考えられます。
れた11月8日から翌月29日にかけて、同通貨は対米ドルで6.3%下落と(図10左)、主要ア
25 125
0
0
-2
-4
2006
注2)直近値は
2016年11月
-1
注) 食品物価の前年比と主要項目別寄与度、
直近値は2016年11月
-2
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2011 2012 2013 2014 2015 2016
(年)
出所)マレーシア統計局、CEIC
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
4
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
 急激な資本流出で国内為替市場の流動性が一時枯渇
米大統領選挙から間もない11月11日、前日の米国時間に始まった新興国債券売りの
動きがアジアにも波及。各国の国債が売込まれ、為替ヘッジのための先物ドル買いの
【図9】 上昇する燃料小売価格(左)、2回連続で政策金利を据置き(右)
(リンギ/リッター)
3.2
動きも加速しました。同国では、国内為替市場の流動性が枯渇。ドルの出し手が姿を
3.0
消し、直物取引も一時成立しなくなりました。国内市場の日々取引高は80億ドル前後
2.8
と小さく(図11右)、大量のドル買いを吸収しきれなかった模様です。BNMは、従来よ
り相場を市場に委ねる傾向が強く、市場介入の頻度もタイやインドネシアより低かっ
た模様であり、市場の急変への対応が遅くなったとみられます。対照的に、インドネ
抑える体制を整備。中央銀行がドル売り介入によって市中にドル流動性を供給し、資
2.0
為替市場の混乱に伴って投資家の間に広まった懸念は、その後のマレーシア当局の
動きによって更に深まりました。BNMは、投機的な為替取引を問題視。11月13日に、
国内銀行による海外為替先物(NDF: ドルによる差金決済)の取引が禁じられていること
を改めて通知し、上記の規制の実効性を高める措置を導入すると公表しました。
 海外為替先物(NDF)を敵視し取引規制を強化する当局
一部の報道によれば、BNMは国内銀行に対して海外の取引相手に「リンギのNDFを
取引しない」という誓約書を提出させるよう要求。外国銀行の関係者は「誓約書の提出
プレミアム・ガソリン
(RON97)
3.5
ガソリン
(RON95)
1.6
2010
2012
2014
2016
(SRR)
注) 直近値は
2016年12月29日
0.5
2006
(年)
2008
2010
2012
2014
2016 (年)
出所)マレーシア財務省、バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、Bloomberg
【図10】 11月の米大統領選挙後よりリンギ相場の下落が加速(左)
(億米ドル)
1,700
為替相場と外貨準備
(リンギ/米ドル)
リンギ相場:(右軸)
直近値: 2016年12月29日
リ
ン
ギ
高
↕
リ
ン
ギ
安
1,400
1,300
3.2 1,400
3.4 1,200
用)を公表。海外投資家は、リンギ建て資産の25%相当までを投資取引証明を提出する
1,000
4.0
600
ことなく国内為替先物でヘッジすることが可能になり、国内投資家も同様に海外投資
900
4.2
400
資産の為替ヘッジが可能になりました。また、国内投資家による為替ヘッジは、1銀行
800
4.4
200
6百万リンギ以内(純額)であれば投資取引証明を提出することなく可能になりました(初
700
2008
外貨準備(左軸)
直近値:2016年11月30日
4.6
2010
2012
2014
2016
(年)
50
(線: 右軸)
45
注) リンギ建普通
国債(MGS)
直近値は
2016年11月
40
35
30
3.6 1,000
800
1,100
55
保有比率
2.8 1,800
3.0 1,600
(%)
外国人の国債投資 (月次)
(億リンギ)
2.6 2,000
3.8
回取引時に投機的な取引を行わないという誓約書を提出することが要件)。
法定準備率
1.0
1,200
にも着手しました。12月2日には、国内為替取引の自由化を含む措置(12月5日より適
3年
国債
1.5
1.4
1,500
BNMは、海外でのリンギ為替先物取引の根絶を目指す一方で、国内為替市場の育成
政策金利
2.5
注) RON (Research Octane
Number)は、ガソリンの
オクタン価の指標
直近値は2016年12月29日
報道機関に明かした模様です。BNM総裁は、11月18日の講演で、「NDF取引を行わな
して外国為替管理(FEA)規則への違反者には懲罰的な措置を課すとも発言しました。
3.0
2.0
1.8
1,600
上記の報道が事実無根ではなかったことを示唆。BNMの総裁補は、現地報道機関に対
10年国債
4.0
なしに投資資産をマレーシアから回収はできない」と告げられたことを、匿名を条件に
いことを確約しなかった外国銀行とは取引しないよう国内銀行に通告した」と発言し、
5.0
4.5
2.4
2.2
政策金利と国債利回り (日次)
5.5
2.6
シアは国債市場からの資本流出などに備え、国債と為替市場での介入で市場の混乱を
本流出によって生じた市場の混乱を抑制することに成功しました。
(%)
ガソリン小売価格 (日次)
0
2006
25
20
15
10
残高
5
(棒: 左軸)
0
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
出所)バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、CEIC、Bloomberg
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
5
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
 規制強化で海外先物市場の流動性が急減
当局は、リンギ売りを抑制する措置も導入。リンギ建て借入を有する居住者による
国内での外貨建て資産購入への上限(個人: 百万リンギ、法人:5千万リンギ)、輸出業者
による外貨支払の先物ヘッジを6ヵ月以内のものに限る規制が設けられました。この他、
【図11】 国債市場から多額の資本が流出(左)、低い為替市場の流動性(右)
25
100
全額の外貨保有も可能)も設けられました。当局は、輸出業者に対して市場金利を上回
50
る年利3.25%の特別預金制度(SDF)を提供。輸出代金のリンギへの交換を促すための措
0
20
-150
 対外収支の弱さもあり、リンギは今後も軟調に推移か
海外投資家は有効な為替ヘッジ手段を失い、突然の規制変更を行った当局への不信
感を強めているとみられ、今後の債券投資資本流入は鈍化すると予想されます。また、
同国の対外収支の相対的な弱さもリンギのリスク感応度を高めています。国内企業の
対外投資や巨大な機関投資家(被雇用者積立基金: EPF)による対外証券投資は、同国の
経常黒字を相殺。当局の指導の下でこれらの投資は近年抑制されているものの、上記
の構造は大きく変化しておらず、リンギは経常赤字国通貨のようなリスク感応度の高
さを見せます。また、外貨準備は11月末時点で964億ドルで短期対外債務の1.2倍と(図
12右)、主要アジア諸国で最低の水準です。新興国の外貨繰りが注目されるリスク回避
局面では、同国のショック耐性の相対的な低さが意識されやすいと考えられます。
60
イスラム
国債(GII)
短期債
-200
0
2015
(年)
2016
20
20日移動平均
(棒:右軸)
-10
2015
-250
2014
40
国内為替市場
日々取引高:
-5
注) 短期債は中央銀行債(BNB)と短期国債
直近値は2016年11月
2016
0
(年)
出所)バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、CEIC、Bloomberg
【図12】 外貨準備は短期対外債務の1.2倍に留まるなど低水準(右)
(億米ドル)
300
(億米ドル)
国際収支 (四半期)
2,500
250
200
2,250
総合収支
誤差脱漏
その他
投資
直接投資
経常収支
150
100
50
0
証券投資
-50
-100
今年1月20日には、米国でトランプ新大統領が就任。新政権の政策が徐々に明らかに
-150
なるとともに、米長期金利と米ドルの変動が増すと予想されます。外国人による多額
-200
の国債保有額、流動性の低い為替市場、低水準の外貨準備などを背景に、米金利とド
-250
ルが上昇する局面では、リンギが他のアジア通貨を上回る下落を見せる可能性が高い
-300
でしょう。リンギ相場は今後もやや軟調に推移すると予想されます。(入村)
80
国債(MGS)
5
NDFの価格提示を行う銀行の数が急減するなど流動性が低下し、海外投資家が従来ど
ながら、売却代金をドルに交換して回収できていない海外投資家の存在も疑われます。
120
(線:左軸)
100
-50
-100
場からの資本流出額の51.5億ドルを大きく下回ります。保有する債券や株式を売却し
140
10
を国内に移すことを目指したものとみられます。シンガポール等海外市場ではリンギ
がかかります。11月の外貨準備は前月より14.0億ドル減少(図10左)。国債市場と株式市
160
海外為替先物
金利: NDF-1m
15
一連の措置は、国内のドル流動性を増強し、従来海外で行われていた先物為替取引
おり為替ヘッジを行うことが難しくなりました。一方、国内為替市場の発展には時間
(億米ドル)
注) 直近値は
2016年12月29日
合計
輸出代金の75%をリンギに交換する義務(従来は6ヵ月以内の国内持込のみ義務付け、
置とみられます。また、国内取引の決済をリンギで行うことも義務付けられました。
((
為替取引高と先物金利
(日次)
(%)
外国人の国債投資額増減 (月次)
(億リンギ)
150
2,000
1,750
対外債務と対外資産
注) 広義外貨準備は
銀行の対外資産を含む
直近値は
債務:2016年9月
広義外貨準備:同年10月
外貨準備:同年11月
長期
債務
(棒)
広義
外貨
準備
1,500
1,250
(線)
1,000
外貨
準備
750
(線)
500
注) 直近値は
2016年7-9月期
2006 2008 2010 2012 2014 2016
短期
債務
250
(年)
0
1995
(棒)
2000
2005
2010
2015
(年)
出所)マレーシア統計局、バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、CEIC
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
6
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ①新興国の債券・株・金利スプレッド
新興国債券と米国高利回り社債の信用スプレッド
MSCIエマージング株価指数
500
2,500
(2005年初=100)
(ベーシスポイント:bps)
2008年9月 リーマン・ブラザーズ破綻
2008年9月
リーマン・ブラザーズ
破綻
2,000
400
2007年7月~ 米国サブプライム問題深刻化
1,500
300
アジア
中南米
新興国全体
100
中近東・アフリカ
中東欧
500
新興国債券
注)直近値: 2016年12月29日
注)直近値: 2016年12月29日
0
1998
0
2008
2011
2014
2017
(年)
出所)Thomson Reuters Datastream
280
新興国 ドル建て債券指数
(2005年初=100)
2008年9月
リーマン・ブラザーズ破綻
240
220
2007年7月~
米国サブプライム問題深刻化
200
180
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2016
(年)
出所)Thomson Reuters Datastream、The BofA Merrill Lynch
(2005年初=100)
新興国 自国通貨建て債券指数
340
中南米
2008年9月
リーマン・ブラザーズ破綻
290
中東・
アフリカ
中・東欧
新興国
全体
アジア
2007年7月~
米国サブプライム問題深刻化
240
160
190
140
2014
注1:The BofA Merrill Lynch US High Yield Index、 J.P. Morgan EMBI Global Diversifiedより、同社の許諾を得て作成。
注2:信用スプレッドは米国債との利回り格差。高利回り社債はBB格以下の投機的等級の社債。
390
中東
アジア
中南米
新興国
中・東欧
アフリカ
260
2007年7月~
サブプライム問題
深刻化
1,000
200
2005
米国高利回り社債
120
140
100
注)直近値: 2016年12月29日
80
2005
2007
2009
2011
注:ドル建て債券指数には、J.P. Morgan EMBI Global Diversifiedを使用
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2013
2015
2017
(年)
出所) Thomson Reuters Datastream
注)直近値: 2016年12月29日
90
2005
2007
2009
2011
2013
注: 自国通貨建て債券指数には、 J.P. Morgan GBI-EM Broadを使用。
2015
2017
(年)
出所) Thomson Reuters Datastream
7
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ②主要新興国通貨の対ドル相場:過去3年間
(自国通貨/1米ドル)
6.0
6.1
6.2
6.3
6.4
6.5
6.6
6.7
6.8
6.9
7.0
2014
インド・ルピー
中国・人民元
60
10,000
1,050
自国通貨高
米ドル安
1,100
1,150
13,000
1,200
14,000
2015
2016
(年)
3.0
3.5
4.0
2015
2016
70
2014
(年)
ロシア・ルーブル
2015
2016
(年)
2015
2016
自国通貨安
米ドル高
2015
2016
(年)
南アフリカ・ランド
アルゼンチン・ペソ
8
6
自国通貨高
米ドル安
10
8
10
12
12
14
14
16
16
18
2014
2015
2016
(年)
ポーランド・ズロチ
3.2
自国通貨安
米ドル高
18
2014
2015
2016
(年)
ハンガリー・フォリント
200
30
50
2014
1,250
(年)
2014
4
2.8
40
15,000
メキシコ・ペソ
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
2.5
20
1,000
11,000
65
2.0
4.5
2014
韓国・ウォン
9,000
12,000
ブラジル・レアル
1.5
インドネシア・ルピア
55
2014
1.6
220
2.0
240
2.4
260
2.8
280
3.2
2015
2016
(年)
トルコ・リラ
自国通貨高
米ドル安
3.6
60
70
4.0
80
90
2014
2015
2016
注) 直近値は2016年12月29日
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
(年)
4.4
2014
2015
2016
(年)
300
2014
2015
2016
(年)
3.6
2014
自国通貨安
米ドル高
2015
2016
(年)
出所) Bloomberg
8
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ③主要新興国通貨の対ドル相場:過去6ヵ月間
(自国通貨/1米ドル)
中国・人民元
6.60
インド・ルピー
6.65
インドネシア・ルピア
12,750
66
67
13,000
67
6.80
68
6.85
1,120
1,140
13,250
1,160
68
1,180
13,500
6.90
69
6.95
2016/7
2016/10
13,750
(年/月) 2016/7
ブラジル・レアル
3.0
自国通貨安
米ドル高
1,200
69
7.00
自国通貨高
米ドル安
1,100
6.70
6.75
韓国・ウォン
1,080
17
2016/10
2016/7
(年/月)
メキシコ・ペソ
14.5
1,220
2016/10
アルゼンチン・ペソ
(年/月)
2016/7
2016/10
(年/月)
南アフリカ・ランド
13.0
18
15.0
13.5
19
15.5
14.0
20
16.0
14.5
自国通貨高
米ドル安
3.2
3.4
3.6
16.5
21
2016/7
60.0
2016/10
ロシア・ルーブル
(年/月)
2016/7
3.7
2016/10
(年/月)
ポーランド・ズロチ
270
4.1
注) 直近値は2016年12月29日
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
(年/月)
2016/7
2016/10
(年/月)
トルコ・リラ
自国通貨高
米ドル安
2.95
3.15
295
3.35
自国通貨安
米ドル高
300
4.3
2016/10
2016/7
2.75
290
4.2
2016/7
ハンガリー・フォリント
285
4.0
67.5
(年/月)
280
3.9
65.0
15.0
2016/10
275
3.8
62.5
2016/7
自国通貨安
米ドル高
305
2016/10
(年/月)
2016/7
3.55
2016/10
(年/月)
2016/7
2016/10
(年/月)
出所) Bloomberg
9
M
エマージング・マーケット・マンスリー 2017年1月号
留意事項
◎投資信託に係るリスクについて
◎為替変動リスク
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としているため、当該資産の市場に
おける取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動します。したがって、投資者のみなさまの投資元本
が保証されているものではなく、基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。運用
により信託財産に生じた損益はすべて投資者のみなさまに帰属します。
投資信託は預貯金と異なります。また、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取
引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資にあたっては投資信託
説明書(交付目論見書)、目論見書補完書面等をよくご覧ください。
海外の株式や公社債、REIT、オルタナティブ資産は外貨建資産ですので、為替変動の影響を受けます。そ
のため、為替相場が円高方向に進んだ場合には、投資元本を割り込むことがあります。
新興国への投資は上記リスクに加えて以下のカントリーリスクを伴います。
◎投資信託に係る費用について
ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。
■購入時(ファンドによっては換金時)に直接ご負担いただく費用
・購入時(換金時)手数料 … 上限 3.24%(税込)
※一部のファンドについては、購入時(換金時)手数料額(上限 37,800円(税込))を定めているものがあ
ります。
■購入時・換金時に直接ご負担いただく費用
・信託財産留保額 … ファンドにより変動するものがあるため、事前に金額もしくはその上限額またはこれらの
計算方法を表示することができません。
■投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用
・運用管理費用(信託報酬) … 上限 年3.348%(税込)
※一部のファンドについては、運用実績に応じて成功報酬をご負担いただく場合があります。
■その他の費用・手数料
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書
補完書面等でご確認ください。
※その他の費用・手数料については、運用状況等により変動するものであり、事前に金額もしくはその上限
額またはこれらの計算方法を表示することができません。
お客さまにご負担いただく費用の合計額もしくはその上限額またはこれらの計算方法は、購入金額や保有期間
等に応じて異なりますので、表示することができません。
《ご注意》
上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につ
きましては、三菱UFJ国際投信が運用するすべての公募投資信託のうち、ご負担いただくそれぞれの費用にお
ける最高の料率を記載しております。投資信託に係るリスクや費用は、それぞれの投資信託により異なりますの
で、ご投資をされる際には、事前によく投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書補完書面等をご覧ください。
各資産のリスク
◎株式の投資に係る価格変動リスク
株式への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の
状況等を反映して変動するため、株式の価格の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
◎公社債の投資に係る価格変動リスク
公社債への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、公社債の価格は市場金利の変動等を受けて変動する
ため、公社債の価格の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
◎信用リスク
信用リスクとは、有価証券等の発行者や取引先等の経営・財務状況が悪化した場合またはそれが予想された場
合もしくはこれらに関する外部評価の悪化があった場合等に、当該有価証券等の価格が下落することやその価値
がなくなること、または利払いや償還金の支払いが滞る等の債務が不履行となること等をいいます。この場合、
有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
◎カントリーリスク
新興国への投資は、先進国への投資を行う場合に比べ、投資対象国におけるクーデターや重大な政治体制の変
更、資産凍結を含む重大な規制の導入、政府のデフォルト等の発生による影響を受けることにより、市場・信
用・流動性の各リスクが大きくなる可能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、
投資元本を割り込む可能性が高まることがあります。
本資料に関してご留意頂きたい事項
■本資料は、投資環境等に関する情報提供のために三菱UFJ国際投信が作成した資料であり、金融商品取引法に
基づく開示資料ではありません。本資料は投資勧誘を目的とするものではありません。
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■投資信託は、販売会社がお申込みの取扱いを行い委託会社が運用を行います。
■本資料の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
(作成基準日:2016年12月30日)
■本資料は信頼できると判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性等を保証するもので
はありません。
■各ページのグラフ・データ等は、過去の実績・状況であり、また、見通しないし分析は作成時点での見解を示
したものです。したがって、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。
また税金・手数料等は考慮しておりません。
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また、三菱UFJ国際投信が設定・運用する各ファンドにおける投資判断がこれらの見解に基づくものとは限りま
せん。
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て一切の責任を負いません。
◎流動性リスク
有価証券等を売却あるいは取得しようとする際に、市場に十分な需要や供給がない場合や取引規制等により十
分な流動性の下での取引を行えない場合または取引が不可能となる場合、市場実勢から期待される価格より不利
な価格での取引となる可能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元本を割
り込むことがあります。
国内株式・国内債券への投資は上記のリスクを伴います。海外株式・海外債券への投資は上記リスクに加えて以
下の為替変動リスクを伴います。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
10