農林水産総合技術センター 水産研究所 担当:海洋資源課 News Release 北川 電話:076-475-0036 平成28年12月26日 平成29年 冬季(1~2月)スルメイカ漁況予報 平成29年1~2月の富山県沿岸での定置網によるスルメイカの漁獲量は,平年(過 去10年平均:652トン)を下回ると予測される。 <スルメイカの分布と回遊について> 富山湾では,例年,1~2 月に外套長 25cm 前後のスルメイカが漁獲される。これは冬季に東シナ 海で生まれたイカ(冬季発生系群)と考えられている。冬季発生系群は 1~3 月に生れ,成長しなが ら太平洋および日本海を北上し,夏季には北海道周辺へ移動すると考えられている。その後,秋~ 冬季になると産卵のため主に日本海を南下すると推測されており,富山県で 1~2 月に漁獲される スルメイカもこの南下途中のものと考えられている。 <根拠となった情報> ・12 月の 50m 深平均水温について,富山湾以北~佐渡北方海域(以下、A 海域)及び秋田県北部~青森 県沖合海域(以下、B 海域)が低く,新潟県北部~秋田県南部の沿岸海域(以下、C 海域)が高い場合、 富山県での翌年 1~2 月の漁獲量が多くなる傾向がみられる。拡張版日本海海況予測システム (JADE2)によると、2016 年 12 月の平均水温は、A 海域及び B 海域が平年並みで、C 海域がやや低い 値となっている。 ・東日本日本海側(福井県~新潟県)の冬季平均気温が低いと、その年の富山県での 1~2 月のスルメ イカの漁獲量が多くなる傾向がみられる。気象庁の発表によると、平成 28 年 12 月~平成 29 年 2 月の東日本日本海側の平均気温は、 「ほぼ平年並み」と予測されている。 ・北海道・東北沖の太平洋で 8~9 月に実施される第 2 次スルメイカ漁場一斉調査における全調査海 域の平均 CPUE(いか釣り機 1 台 1 時間あたりの漁獲尾数)が高いと、富山県での翌年 1~2 月の漁獲 量が多くなる傾向がみられる。2016 年に実施された調査の平均 CPUE は 1.5 尾で、前年(2.4 尾)及 び過去 10 年平均(4.8 尾)を下回った(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 平成 28 年度第 2 回太平洋スルメイカ長期漁況予報)。 ・上記の関係から導き出された計算式から,平成 29 年 1~2 月の定置網によるスルメイカの漁獲量は 468~596 トンと計算された。 図 1~2 月の富山県沿岸での定置網によるスルメイカの漁獲量と計算値
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