M&Aの成否を左右する 特集 デューデリジェンス 交渉を行うことが通常である。 準に、 M&A取引の対価に関する協議・ して見 積った対 象 会 社 等の価 値 を 基 ナジーを定量化することは困難であ 取引の実行を前提とした施策等のシ 社等の価値評価に際しては、M&A M&A取引は、対象会社等に係る株 とも多い。そのような意味において、 代表者を含む役員の変更等を伴うこ が必要となることもある。 を余儀なくされるなど、一定の対応 の契約関係の終了や契約内容の変更 等に伴って、事実上、契約相手方と こ の よ う に、 法 律 上 か 契 約 上 か、 主、役職員、取引先等の多くの関係 者に重大な影響を及ぼしやすい取引 ることが想定されている取引類型で なり、M&A取引は頻繁に実施され 日々行われる事業上の取引とは異 ど、一定の対応が必要となることが 手方による承諾を要したりするな 等の一定の手続を要したり、契約相 ば、所轄官庁や契約相手方への届出 M&A取引の実行に際して、たとえ いては、法律上または契約上、当該 そのため、M&A取引の実行につ となる事項になり得る。 )条 項 が 規 定 さ れ て い る of Control 場合には、M&A取引の実行の障害 可能性の低い契約にCOC( Change と い え る。 な お、 た と え ば、 代 替 は、DDの重要な役割の1つである 事項の有無について調査すること A取引の実行に際して対応が必要な また、事実上か否かを問わず、M& はなく、また、経営体制や資本構成 多い。また、資本構成の重大な変更 類型といえる。 の重大な変更、商号・本店所在地・ M&A取引の実行 に際して対応が必 要な事項 ることが多い。 そのため、当事者において、対象 会社等の適切な価値評価を行い、合 理的な対価について合意形成するた めにも、たとえば、対象会社等に係 る簿外債務の有無等、対象会社等の 価値に影響を与え得る事項の有無に ついて調査することは、DDの重要 な役割の1つであるといえる。 M&A取引の実行 後の事業遂行に影 響を与え得る事項 影響の性質・程度等をどう考慮するか 検出事項への対応方法と 基本的な考え方 うに考えるべきであろうか。 うなものが考えられ、また、どのよ 出事項への対応方法として、どのよ とおりであるが、実際に、DDの検 DDの目的および役割は、前章の と と し た い ⑸。 ま た、 想 定 す る M & 当事者(買主)の立場から説明するこ 施されることが多いことから、買収 おいては買収当事者によるDDが実 買収を想定し、一般的に企業買収に 渡対価」 ということとする。 ング」、M&A取引に係る対価を「譲 主」、M&A取引の実行を「クロージ 社」、株式譲渡の相手方当事者を「売 M&A取引の典型的なスキームの1 式」、譲渡株式の発行会社を「対象会 式 譲 渡 の 対 象 と な る 株 式 を「 譲 渡 株 A取引(株式譲渡)を「株式譲渡」、株 つである株式譲渡の方法による企業 な お、 以 下 に お い て は、 便 宜 上、 ⑸ M&A取引のスキームに応じて、M&A取 引の目的、必要な手続・スケジュール、最終契 約の内容も異なることから、 検出事項に対する 対応方法も当然異なる可能性があることには 留意されたい (後記 「M&A取引のスキームに 応じた取扱いの違い」 参照) 。 第2章 M&A取引を実行しようとする場 合には、通常、シナジーを実現する べく、M&A取引の実行後に企図し ている一定の計画や想定が存在する ところである。 そのため、たとえば、M&A取引 の対象会社が一定の事業について競 業 禁 止 義 務 を 負 っ て い な い か な ど、 M&A取引の実行後の事業遂行に影 響を与え得る事項の有無について調 査することは、DDの重要な役割の 1つであるといえる。 なお、当該事項は、広い意味では、 対象会社等の価値に影響を与え得る 事項に該当するといえるが、対象会 経理情報●2017.1.1(No.1467) 13 DDの検出事項にはこう対応する
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