生活環境中における有害性化合物の規制に向けた研究 生活環境研究部 戸次加奈江 たばこ及び室内空気汚染対策において,化学的な専門技術を生かし,公衆衛生の幅広い観点から安全 な生活環境を維持していけるよう,調査研究に取り組んでいます 室内空気汚染対策 たばこ対策 喫煙は,本人だけでなく周囲への健康をも侵しかねない,誰もが曝 露されうる有害因子です。現在,国連が定める持続可能な開発目 標達成に向けて,たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約 (FCTC)の実施の強化が求められています。本たばこ対策では,第 9,10,11条について調査研究に取り組んでいます。 第9,10条「有害化学物質の 規制や情報開示」 独自の分析手法から科学的 根拠となるデータを提示する と共に,国際標準化を目指し, 世界各国の公衆衛生機関と の共同研究を実施しています。 第11条「たばこ製品の包装及 びラベル」 喫煙率抑制手段と 70% して,国際水準達 30% 成に向けた健康 75 % 警告表示の改正 25 % を推進しています。健康警告表示の比較 日本 ■ ブランド名 ■ 健康警告表示 日常生活を送る上でも特に長時間過ごす室内には,喫煙を 始め,建物の建材や施工剤,家具,家電などから放散する 様々な化合物が存在します。シックハウス問題は,この様 な不特定化合物も含む環境中の多種類の有害性化合物が 引き起こす,長年解決策の見えない課題として着目されて います。室内空気汚染対策では,特に空気中に浮遊するガ ス状/粒子状化合物に着目し,シックハウス問題に対して, 化学的な観点から問題解決へ向けた研究に取り組んでい ます。 【1】新規評価法の開発 ・網羅的な捕集法の確立 ・高感度分析方の確立 カナダ 【2】挙動の解明 ・二次生成物質の生成 機構の解析 喫煙率の抑制をはじめ,新規たばこ製品の安全性について追 究することで,2020年東京オリンピック・パラリンピックへ向けた 安全な環境整備を目指します。 【3】室内環境実態調査 ・一般住宅の空気捕集 ・空気中汚染化合物の分析 ・アンケート調査 健康影響の要因となる,室内の汚染化合物について,国 内の規制に向けたデータの提示を目指します。 養成訓練・施策への貢献 厚労省検討会への情報提供をはじめ,国立保健医療科学院「たばこ対策の施策推進における企画・調整のための研修」を中心に,自 教育訓練 厚労省 治体と情報の共有化を図ることで,国内での施策の普及・啓発のための取組みを強力に進めていきたいと考えます。 厚生労働省循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(H26〜H28) 厚生労働省健康安全・危機管理対策総合研究事業(H28~H29)
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