2016/ マーケット・フォーカス 12/19 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 商品:原油 疑問視されるOPEC減産実行の本気度 OPEC原油生産高は11月も過去最高を更新 WTI原油先物の反発を受け、米国内の石油掘削装置(リグ)稼働数が急増 米追加利上げ実施でドル高が進行。原油相場の割高感が意識されやすい状況 OPECの11月の原油生 11/30 の石油輸出国機構(OPEC)総会以降、原油相場が堅調に推移している。 産量は過去最高。1月 12/10 にロシア等の非加盟国と 15 年ぶりに協調減産で合意したことも押し上げ要因と なっているようだ。国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油 からの減産に疑問視 先物相場は先週 12 日に 1 バレル=54.51 ドルと年初来高値を記録した。 ただし、OPEC の原油生産は依然として高水準のままだ。先週発表された OPEC 月報によると、11 月の原油生産量は加盟国全体で日量 3,387 万バレルと過去最高 を更新する結果となった。2017 年 1 月からは生産上限を日量 3,250 万バレルとする ことで合意されているが、実際にこれが順守されるかどうかは疑問視されている。 また、11/30 の減産合意では特例としてナイジェリア、リビアが除外されたほか、イラン が増産を認められている。各国が生産枠を守っても、減産を免れた国が増産すれば、 全体としての目標達成は不可能となる。違反した場合のペナルティも具体的に定めら れているわけではない。国際エネルギー機関(IEA)は、OPEC の加盟国と非加盟国が 減産合意を順守した場合、2017 年前半に原油は供給不足になると指摘しているが、 淡い期待に終わってしまう可能性もゼロではない。 原油先物価格動向 W T I原油先物価格とドルインデックス 2016/12/5 期間 WTI 北海 ブレント (1バレル=ドル) ~ ~ 2016/12/12 (週次:2014/7/4~2016/12/16) 110 前週比 78 100 WTI原油先物(左目盛) 80 ドルインデックス(右逆目盛) 82 2016/12/16 2016/12/9 始値 52.58 51.46 1.12 90 高値 54.51 52.42 2.09 80 安値 49.95 49.61 0.34 70 90 終値 51.90 51.50 0.40 60 92 始値 55.88 54.40 1.48 高値 57.89 55.33 2.56 安値 53.15 52.81 0.34 終値 55.21 54.33 0.88 84 86 88 94 50 96 98 40 100 30 102 20 14/7 (注)価格は 1 バレル=ドル 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 15/1 15/7 16/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 16/7 104 (年/月) 2016/12/19 マーケット・フォーカス 一方、米国内でシェールオイルの生産が増加する可能性があることも懸念材料だ。 米追加利上げによるド ル高が下押し圧力とな る可能性 米国内には DUCs(drilled but uncompleted wells)と呼ばれる未完成の油井が 5,200 基程度あるとされているが、実はこの油井の増減は WTI 原油先物価格とほぼ逆相関 の関係にあり、今後の相場次第では、稼働が活発化することが考えられる。実際、 11/30 の OPEC 総会以降、米国内の石油掘削装置(リグ)の稼働数が急増している。 結果的に世界需給の改善を遅らせてしまうことも考えられるだろう。 さらに、先週行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが行われ、ド ル高が進行していることにも注意が必要だ。2017 年の利上げ予測が 3 回とペースの加 速が示唆され、一旦落ち着いていたドル高が再燃している。WTI 原油相場はドルイン デックスと逆相関の動きをする傾向があることから、ドル高進行は下押し圧力として意 識される可能性がある。 今後、産油国で突発的な事象が発生しない限り、次回の OPEC 総会までの WTI 原 油先物の値動きは 1 バレル=45~55 ドルの範囲になるのではないかとみている。 OPEC 目標生産量と実際の生産量 リ ビア 原油生産量 (月次:2012/1~2017/6) (千バレル/日) (月次:2012/1~2016/11) (千バレル/日) 35,000 1,600 目標生産量 34,000 1,400 実際の生産量 1,200 2012年 33,000 2013年 1,000 2014年 32,000 800 31,000 600 30,000 400 2015年 2016年 200 29,000 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 (年/月) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (月) (注)実際の生産は 2016 年 11 月まで 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格 米DUC s油井数とWTI原油先物 (月次:2014/1~2016/11) (基) 6,000 (1バレル=ドル) 20 (週次:2015/1/6~2016/12/16) (万枚) 45 65 買残-売残(左目盛) 30 5,500 40 40 60 WTI原油先物(右目盛) 55 50 5,000 (1バレル=ドル) 35 50 60 45 30 70 4,500 40 80 DUCs油井数(左目盛) 4,000 25 35 30 90 20 WTI原油先物(右逆目盛) 25 100 3,500 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 15 110 (年/月) 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 16/7 20 16/10 (年/月) (注)CFTC 非商業部門建玉は 12/13 現在 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:米エネルギー情報局、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/12/19 マーケット・フォーカス ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 23 日 12 月 23 日 12 月 23 日 中国 中国 中国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント ディーゼル輸出量(トン) 天然ガス輸入量(トン) LNG 輸入量(トン) 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 11 月 11 月 11 月 12 月 16 日 12 月 16 日 12 月 16 日 12 月 16 日 12 月 16 日 12 月 16 日 12 月 16 日 12 月 16 日 12 月 23 日 12 月 23 日 12 月 23 日 前回 1,360,000 1,980,000 1,840,000 ▲ 2,563,000 1,223,000 497,000 ▲ 762,000 0.10% 16,522 10,004.6 5,350.9 637 126 510 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 12 月 19 日 12 月 19 日 12 月 19 日 12 月 20 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 21 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 22 日 12 月 23 日 12 月 23 日 12 月 23 日 欧州 米国 米国 欧州 米国 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 建設業生産高(前月比) マークイット米国サービス業 PMI マークイット米国コンポジット PMI 経常収支(季調前) MBA 住宅ローン申請指数 消費者信頼感 中古住宅販売件数 中古住宅販売件数(前月比) シカゴ連銀全米活動指数 実質個人支出 GDP(年率/前期比) 耐久財受注(前月比) 個人消費 耐久財受注(除輸送用機器) 製造業受注-資本財(非国防/除航空機) コア PCE(前期比) 製造業出荷-資本財(非国防/除航空機) 新規失業保険申請件数 失業保険継続受給者数 FHFA 住宅価格指数(前月比) 個人所得 個人支出 先行指数 個消物価デフレータ(前月比) PCE コア(前月比) カンザスシティ連銀製造業活動 新築住宅販売件数 新築住宅販売件数(前月比) ミシガン大学消費者マインド 期間 10 月 12 月 速報 12 月 速報 10 月 12 月 16 日 12 月 1 次速報 11 月 11 月 11 月 11 月 7-9 月期 3 次 11 月 速報 7-9 月期 3 次 11 月 速報 11 月 速報 7-9 月期 3 次 11 月 速報 12 月 17 日 12 月 10 日 10 月 11 月 11 月 11 月 11 月 11 月 12 月 11 月 11 月 12 月 確報 前回 ▲0.9% 54.6 54.9 29,800,000,000 ▲4.0% ▲6.1 5,600,000 2.0% ▲0.08 0.1% 3.2% 4.6% 2.8% 0.8% 0.2% 1.7% ▲0.1% 254,000 2,018,000 0.6% 0.6% 0.3% 0.1% 0.2% 0.1% 1 563,000 ▲1.9% 98 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/12/19 金融商品取引法に係る重要事項 マーケット・フォーカス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161219-16 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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