西之島 2014年噴火の マグマ成因を 初めて解明 Progressive enrichment of arc magmas caused by the subduction of seamounts under Nishinoshima volcano, Izu–Bonin Arc, Japan Nishinoshima 火口から噴き上がるマグマ(撮影:白尾元理) 国立科学博物館 地学研究部の鉱物科学研究グループは、 西之島火山の火山灰について分析を行い、 マグマ発生・噴火条件を決定しました。 西之島全景(2016年5月 撮影:海上保安庁) その論文発表に伴い、関連資料等の展示発表を行います。 毎週月曜日休園 2016年 12月20日 (火) (日)*ただし、 ∼2017年 2月5日 2016年12月28日∼2017年1月4日は休園 国立科学博物館 筑波実験植物園 教育棟 〒305-0005 茨城県つくば市天久保 4-1-1 開館時間:午前9時∼午後 4 時30分 *入園は午後 4 時まで 一般・大学生 310円(団体 210円)/ 高校生以下および65歳以上無料 *団体は20名以上 お問い合わせ 029-851-5159 http://www.tbg.kahaku.go.jp/ *1月9日(月・祝)は開園、10日(火)は休園 2013年の11月に最初の噴火活動が確認された西之島火山は、 活発にマグマを噴出し、2年間で島の面積が13倍にも成長しました。 この島は絶海の孤島であり、アクセスが限られているため、火山 N 2013–2014年 噴出溶岩 (2014年12月末時点) 旧島 溶岩 1973–1974年 噴出溶岩 日本 清川昌一が海上保安庁へ届けた上で、2014年6月3日に西之島へ近 づき、火山灰の採取を行いました。 40°N A 140° 52 20 E 27° 14 40 N 伊豆大島 2013–2014年 スコリア丘 溝 三宅島 笠原弧 伊豆−小 西之島 頂上火口 30°N 250 μm 太平洋 -1200 -2300 C 25°N 小笠原海台 D aug 20°N マリアナ弧 m 35°N 500 m 北硫黄島 硫黄島 B 1000 μm 西之島 笠原海 八丈島 明神礁 伊 豆 −小 富士 噴出物の採取は困難でした。しかし共著者である白尾元理および pl gl 15°N -3400 20 μm 20 μm -4500 1000 km -5600 135°E ▲ 2014年6月3日に採取された火山灰。2種類の火山灰が確認できる。 10°N A. 黄褐色スコリア* B. 黒色スコリア C. 黄褐色スコリアの電子顕微鏡写真 140°E 145°E 150°E 155°E D. 黒色スコリアの電子顕微鏡写真 (*スコリア:黒い軽石) 160°E ▲ 西之島の位置。右上は2014年末時点での西之島の地図。西之島 は 主 に 旧 島 溶 岩(17 0 2 年 以 前 に 噴 火 )、19 7 3 ー19 74 溶 岩、 2013ー2014溶岩、の3種類によりつくられている。 採取された火山灰を、最新の分析技術を駆使し全元素を分析、 38種類を検出し、精密な含有量測定に成功しました。 さらに火山灰に含まれる鉱物(斜長石、単斜輝 伊 豆 伊豆 −小 笠 石、斜方輝石、磁鉄鉱)の化学分析も行いました。 原 海溝 み 込 み 沈 マ溜まりが存在することが分かりました。 今回採取された火山灰に加えて、国立科学博物 フィリピン海プレート 含水柱 マグマ 海山 成分 生を知る上で重要な事実が明らかになりました。 堆 層 水 し り出 含 絞 の 西之島東方の太平洋プレート上には、小笠原海 み 込 み 沈 体 流 海山 殻 地 洋 海 質 /変 物 積 前に噴火) も化学分析して比較したところ、マグマ発 台を初めとする多数の海山が分布しています。本 笠原 西之島 山の地下3∼ 6kmには温 度が 9 70 ∼9 9 0℃のマグ 館地学 研究部に管 理・保 管されていた西之島の 1973 ‒1974年の火山噴出物、旧島溶岩 (1702年以 小笠原海台 −小 弧 分析結果を用いて考察を行ったところ、西之島火 ト レー プ 平洋 太 沈み込んだ海山 ▲ 西之島火山下の推定図。伊豆−小笠 原海 溝から沈み込む太平洋プレート上には複数の海山 研究の結果は、太平洋プレートと一緒に沈み込ん があり、海山の一部は太平洋プレートと一緒に地下深 だ海山が、西之島の地下深部でマグマの発生に関 部へ沈み込んでいる。西之島の下には沈み込んだ海山があ 与していることを初めて解明しました。 り、これの一部が西之島マグマに取り込まれている。 この成果は国際雑誌である Journal of Volcanology and Geothermal Research(火山・地熱研究誌〔エルゼビア・オランダ〕)に掲載されました。 http://www.sciencedirect.com/science/article /pii/S0377027316300178 著者:佐野貴司 国立科学博物館 /白尾元理 写真家 /谷健一郎 /堤 之恭 物館 / 清川昌一 九州大学 / 藤井敏嗣 国立科学博物館 合政策研究機構 国立科学博 環境防災総
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