10月21日 プレゼンテーション資料(説明要旨付)(5134KB) PDF

先の第6期定期株主総会での承認や当局認可を経て、10月1日より、第一生
命グループは持株会社体制に移行しました。
新しい社名は「第一生命ホールディングス」です。ご覧いただいているのは新し
い会社のロゴです。
第一生命保険株式会社の株主の皆さまは、10月1日より「第一生命ホールディ
ングス」の株主になりました。
組織や名称など変わる部分がありますが、第一生命グループが手掛ける事業
は変わりませんし、株主の皆さまの権利は、変わりません。
持株会社体制への移行で何が変わるのかを説明します。
これまでは第一生命が生命保険事業を手掛ける一方で、国内販売チャネルの
複線化や海外展開、アセットマネジメント事業など地域分散・事業分散を進めて
きました。
このように様々な事業を、空港の管制塔のように、一段高い位置から監視し、
高い成長が見込まれる事業には資本を投下して成長を支え、成熟事業からは
配当で投下資本を回収、場合によっては資本を引き上げる判断を下すのが第
一生命ホールディングスの役割です。株主の皆さまから預かった資本をより効
率的にまわすことが可能になると考えています。
第一生命では取締役会とは独立して、「監査役」を置いていましたが、第一生命
ホールディングスでは、株主から任命された取締役で、社外取締役を過半数と
して構成される「監査等委員会」を設置しました。取締役にも社外取締役を迎
え、取締役の三分の一が社外取締役となるなど、ガバナンスの強化を進めてい
ます。
加えて、第一生命ホールディングスにおける取締役会の任意の諮問機関とし
て、委員の過半数を社外取締役とする指名諮問委員会・報酬諮問委員会を定
款で規定の上、設置しました。こうした措置により、経営の透明性・客観性が確
保されると考えています。
更に、取締役会の重要な業務執行の決定について、一部を取締役に委任する
ことで、スピーディな意思決定を実現します。
ここで改めて、当社グループの概要についてご説明します。
「第一生命」という社名は、日本で最初の相互会社であることと、経営理念の
「お客さま第一主義」の2つの「第一」から由来しています。
最初の相互会社として1902年に設立された第一生命ですが、海外への事業展
開等の重要性が増していく中、相互会社が保険会社の最適な会社形態とは言
えなくなってきたため、2010年に株式会社への転換を決断し、東証第一部への
上場を果たしました。
スライド下段には、現在の第一生命グループの会社構成を記載しています。ご
覧の通り、国内生命保険事業のみならず、海外生命保険事業や内外でアセット
マネジメント事業も手がけています。第一生命というと、営業職員をはじめとす
る伝統的な生命保険会社と思われるでしょうが、現在の第一生命は国際的に
展開する保険グループとして、成長と還元で株主の期待に応える会社になって
おり、他の保険会社とは異なる特徴です。
日本には41社の生命保険会社があります。
各社の事業規模を保有契約年換算保険料でとり、円の面積が事業比を示すよ
うに表示しています。当社を含め、上位5グループで全体の55%を占めていま
す。
保険市場は早くから対外開放が行われ、外資系企業が41社中15社と高い存在
感を見せているのも日本の保険市場の特徴のひとつです。TPP交渉の中で日
本の保険業界に対する影響が指摘されることがありますが、市場開放はすでに
進んでいるので、むしろ議論の中心は公平な競争環境の維持ということが中心
になります。
一方、上場企業が少ないことも日本の保険市場の特徴です。
上場生命保険会社の5社を比較しています。
当社は、事業会社の売上高に相当する経常収益こそ、2番手となりますが、時
価総額や純利益では圧倒的に最大手となっています。
日本の生命保険市場について説明します。
左の図は日本における人口動態の変化を表しています。少子高齢化を示す図
です。
新聞・雑誌などで「日本では少子高齢化が進み、生命保険に対する需要が減
少している」と、見聞きすることがありますが、それは事実とは異なります。
国内の生命保険市場は、これまで中心となってきた家族のための保障に加え、
自分の病気や老後に備えたいというニーズの変化を反映して、成長を続けてい
ます。
具体的には医療保険や介護保険などの第三分野、老後資金や相続対策など
を目的とした貯蓄性商品へのニーズが拡大しています。
右の図の通り、生命保険会社の「売上」を示す「保有契約年換算保険料」は、第
三分野や貯蓄性商品が牽引役となり成長を続けています。
医療保険に対するニーズの高まりには、2つの要素が背景として考えられま
す。
日本人の平均寿命が年々伸びていることは皆さんご存知の通りですが、恒常
的な医療のサポートなしに生活できる期間である健康寿命はこれに追い付いて
いません。
また、日本はすべての国民が公的医療保険でカバーされていますが、自己負
担分は徐々に拡大しています。日本の財政状態が健全な状態にはないことも
皆さんご存知ですので、今後も自己負担は拡大する可能性が懸念されます。
こうした状況で、将来の医療費負担や自己負担分を保障するため、幅広い世代
で医療保険の必要性が認識されています。
世界に目を転じますと、日本の保険市場は米国に次ぎ、世界で2番目の規模を
誇ります。
アジアの成長は著しく、各国の市場を積み上げると世界最大になりますが、人
口が10億を超える中国やインドも、日本市場に比べるとまだ小さいのが現状で
す。
日本の規模はお分かりになったと思いますが、やはり今後の人口減少や、それ
に伴う経済規模の縮小は避けられないと予想されています。
先ほどもご説明したように、お客さまに高品質の商品・サービスを提供するため
には持続的な利益成長が必要です。そのためには、米国を含め人口の増加が
経済成長を支えている市場を捉えていかなければなりません。
このような環境認識のもと、第一生命グループが展開している経営戦略を、事
業規模、市場シェア、成長見通しとあわせて図解しています。
創業来の中核事業である個人向け保障の提供を基盤に、医療・介護や貯蓄、
海外へと成長性の高い分野に事業展開している様子を示しています。
成長のためには組織的成長のみならず、M&Aなど外部成長も含めたさまざま
な可能性を模索しています。
ここからは昨年度から始まり、今年度・来年度の3年間をカバーする中期経営
計画「D-Ambitious」についてご説明します。
基本戦略である「4つの柱」、4つの「D」を掲げています。
これは、成長の加速を目指す成長戦略が中心になりますが、過大なリスクを犯
してまで成長を追うものではないので、しっかりとリスクを管理して健全性を確
保した上での利益成長をしようというリスクマネジメントや、ガバナンスの高度化
に支えられるものと考えています。さらに、こうした成長を支えるための人財育
成を4つ目の柱に挙げています。
成長戦略である「Dynamism」の取組みについて、ご説明します。
成長戦略はさらに、3つの成長エンジンによって支えられています。3つの成長
エンジンとは「国内生命保険事業」、「海外生命保険事業」、「資産運用・アセット
マネジメント事業」の3つです。このあと説明しますが、国内では3つの生命保険
会社がお客さまのニーズに沿った商品を開発し、最適な販売チャネルを使って
お客さまに提供することで、市場シェアを拡大しながら市場を上回る成長を目指
しています。
海外ではアジアの成長をとりこむ一方、先進国の収益性の高い企業に投資して
きました。日本が一桁台前半の成長にとどまる中、海外生命保険事業は二桁
の成長を続けると見込まれており、まさに成長の柱として期待しています。
資産運用・アセットマネジメント事業も、老後の生活資金の確保のための貯蓄
ニーズは国内にとどまらず、米国など海外でも強まっており、成長が見込まれる
分野です。
グループ各社がそれぞれの強みを活かした取組みを進めるのはもちろんのこ
と、成長戦略にさらなる磨きをかけるために、InsTechを通じたイノベーションの
創造に本格着手するほか、かんぽ生命との新たな提携を通じた成長戦略の検
討など、外部との提携を戦略に組み込んでいきます。
国内生命保険事業では、「一生涯のパートナー With Youプロジェクト」を展開し
ています。お客さまのニーズに沿った商品を短期間で開発し、お客さまにとって
最適なチャネルを通じて提供します。
第一生命では、4万人の生涯設計デザイナーが家庭や職場で、特に複雑にな
る保障内容について、丁寧に説明しています。ここ数年はお客さまの健康支援
に向けたサービスやシニア層のお客さまへのサービスを強化しています。
第一フロンティア生命は銀行や証券会社などの店頭で販売される年金や終身
保険など、貯蓄性の高い保険商品の開発を行っています。貯蓄商品もお客さま
のニーズは幅広く、さらに金融環境の変化によってもニーズが変化します。
刻々と変わる金融環境に応じて商品も変えながら、幅広い商品をそろえている
ことと、お客さまに丁寧な説明をしていただくため、窓口の担当者の方への研修
を丁寧に行っていることで、金融機関さんに選ばれる存在として、窓販最大手
の一角を担います。
ネオファースト生命は昨年8月に営業を開始した新しい会社です。「保険の窓
口」さんのように、様々な保険会社の商品を取り扱う保険ショップや金融機関で
分かり易い医療保険を販売しています。第一生命グループの資源を最大限に
利用して、非喫煙者割引など特色のある商品の開発で急速に売り上げを伸ば
しています。
そのような取組みの成果として、こちらの図をご覧下さい。
背景に日本の人口ピラミッドを示しながら、当社グループの新契約件数を商品
別・年齢別に積み上げたものです。どのような年齢層にどのような保険を販売し
ているかが分かるようになっています。
保障中核と呼ばれる子育て層には主力のパッケージ商品を販売しながら、シニ
ア層には医療保険や貯蓄性保険を販売するなど、人口ピラミッドをしっかりとカ
バーしています。ネオファースト生命はまだスタートしたばかりの会社ですが、
幅広い年齢層にアピールできていることが分かります。
ここからは、海外生命保険事業について説明します。
ご覧のとおり、第一生命グループは、現在6カ国で生命保険事業を展開してい
ます。
今般、新たに米国のプロテクティブをグループに加えましたが、それ以前は、
オーストラリア、ベトナム、インドネシア、インド、タイ、とアジア太平洋地域を中
心に事業を手掛けてきました。そこでは、各国市場の特性に応じた多様な販売
チャネルと商品ラインアップを構築し、海外事業のマネジメントについて、様々な
経験を積んで来ました。これは他社にはない、第一生命グループの強みだと認
識しています。
ご覧のように、当社が100%出資する海外生保子会社3社の合計は、9月末の
円高水準を反映しても、純利益で約3割、保有契約ベースやEVで約2割など存
在感を高めており、今後も連結業績への貢献が期待されます。
今後も安定市場と成長市場のバランスをとりながら、中長期的に高い利益成長
の実現を目指していきます。
グラフでも明らかな通り、2016年3月期の海外生保事業の業績は、各社の堅調
な業績に加え、プロテクティブの利益を取り込んだことで、大幅に増加しました。
今後も、プロテクティブはM&Aにも継続して取り組んでいきます。TALではダイ
レクトからグループ保険までバランスの取れた事業構成を強みとして、環境変
化に柔軟に対応していきます。また、第一生命ベトナムでは、かんぽ生命との
提携関係を活用した現地郵便局での販売等、新たな取組みを進めていきます。
ここからは、中期経営計画の期間を超えて中長期的に収益に貢献する新しい
取組みについて3点、説明します。
まずは「アセットマネジメントOneの設立」についてです。
2016年10月より、当社グループ会社のDIAMが、みずほ信託銀行・みずほ投信
投資顧問・新光投信のみずほフィナンシャルグループ3社と資産運用機能を統
合し、「アセットマネジメントOne」へと生まれ変わりました。
アセットマネジメント事業は資本効率の高い事業であり、規模のメリットが効果
を発揮する事業です。
当社のDIAMとみずほフィナンシャルグループの資産運用機能を統合すること
で、まさに規模のメリットを発揮し収益性を高めると共に、日本のみならず海外
でも高まる貯蓄ニーズを捉えて成長を加速させることが期待されています。
次にかんぽ生命との業務提携について説明します。
当社は民間生命保険の代表、かんぽ生命は最近までは全額政府持分の保険
会社であり、競合しているように思われるかもしれません。
しかし、100年を超える長い歴史や、株式会社化・上場して新たな成長機会を模
索するといった、共通の部分も数多くあります。
そのかんぽ生命と今年3月、幅広い分野で業務提携を発表しました。
国内生命保険事業では新商品の開発等を、海外生命保険事業ではベトナム等
における協力関係の構築を進めます。
資産運用事業では資産運用会社の共同利用等を行います。
このように両社の強みを相互に補完し、融合させることで持続的な企業価値の
向上を図ってまいります。
最後に、「インステックの推進」について説明します。
保険ビジネスを指すInsuranceとテクノロジーの両面から、生命保険事業独自の
イノベーションを創出する取組みを“InsTech”と名付け、社内横断的なチームを
組成し、主にヘルスケア、アンダーライティング、マーケティング分野で取組みを
開始しています。
まず、ヘルスケア分野では、健康寿命の延伸に資する商品・サービスの提供を
検討しています。
2点目のアンダーライティング(保険引受)分野においては、ビッグデータ解析に
よる新契約時のご契約引受基準の見直しを実施する予定です。
3点目のマーケティング(提案)分野ですが、ビッグデータを活用し、お客さまへ
のご提案機会の創出に向けて取組んでいます。
ここからは、保険会社の収益構造について説明します。
保険会社は契約時に、お客さまの健康状態や足元の経済環境から保険料を設
定します。保険契約者が支払った保険料を運用し、将来の保険金支払いに備
えて責任準備金として蓄えるのが保険会社の業務です。
保険金の支払いをお客さまに約束しているので、契約内容に見合った保守的な
運用を行っています。有価証券を売買するのではなく、長期保有による運用が
中心になります。どれくらい長期かというと、保険契約は契約開始から満了まで
に数十年かかることがあります。契約に応じた運用をするということは、数十年
にわたって保有するということになります。保険金支払い前の運用資産の含み
益は資本の中でカウントしています。
左側は第一生命単体の運用資産約35兆円がどのような資産に投資されている
かを示すグラフです。将来の保険金の支払いに備えるものであるため、安全
性・換金性を考慮して確定利付資産を中心に運用しています。一部は株や不動
産などのリスク資産にも振り分けられています。
確定利付資産で運用しているため、金利が上昇すれば契約に係る将来利益が
上昇します。株価の変動は含み益の増減につながります。このため、当社株価
の動きとTOPIX、長期金利の動きを比べると、一定の連動性が認められます。
日銀のマイナス金利の導入によって、日本の金融機関が大きく影響を受けてお
り、保険会社も例外ではないと考えられているようですが、実際には保険会社
にとってマイナス金利の影響は短期的には限定的であるということを説明しま
す。
左のグラフの赤い線は保険料の前提となっている利率で、黒い線は実際の運
用利回りです。2016年3月期までの3年間の推移を示していますが、この間、一
貫して日本の金利は低下していました。それにも関わらず、運用利回りが改善
しているのは、保険会社は長期にわたる保険契約の支払請求に応えるため、
超長期の債券を保有しているためです。また、保有する債券は国債のみならず、
外貨建債券への投資を拡大しているためです。こうすることによって、市中金利
低下の影響を最小限に抑えています。
金利低下は日本だけで進行しているのではなく、世界的なトレンドです。
こうした中で、運用利回りを改善するための努力もしています。左のグラフでも
確認できるように、米ドル・ユーロといった主要通貨以外への投資により、通貨
の分散も進めています。
また、右のグラフの通り、社債やモーゲージ等への投資も行うことで、安定的な
収益を確保できる外貨建債券の構成としています。
このように内外で成長戦略を推し進めてきたことの成果が、業績の成長を支え
ています。
昨年度は国内金利の低下など、金融環境が悪化しましたが、連結当期純利益
は5期連続で過去最高値を更新することができました。
この要因として、海外事業の利益貢献が倍増していることが挙げられます。 プ
ロテクティブの業績を取り込んだことで、グループ内の事業分散・地域分散を大
幅に進めることができました。
続いて第一生命グループの2017年3月期連結業績予想について、説明します。
冒頭でお示しした通り、当第2四半期累計期間の業績は、通期業績予想に対し
て概ね計画に沿った進捗となりました。 しかし、個別に見れば、第一フロンティ
ア生命において販売が減速したほか、第一生命においては、足元までの円高
により外国証券からの利息配当金が円ベースで減少しました。こうしたことを踏
まえ、経常収益と基礎利益の予想を引き下げました。
経常利益、純利益の予想は据え置きとしました。内外の金融・経済環境の変化
がグループ損益に与える影響を慎重に見極める必要があると考えているため
です。
株主還元については、業績動向や市場環境、規制動向などを考慮した上で、総
還元性向を連結修正純利益の40%程度を目処とし、中長期的に安定的な株主
配当を目指しています。
会計利益の積み上がりを背景として、株主還元方針に則って、還元を充実させ
ています。
株主配当は、2016年3月期も増配しました。加えて、160億円を上限とする自己
株式取得を実施しており、株主還元の総額も着実に増加を遂げています。
2017年3月期の配当も、一株当たり40円への増配を予想しています。このよう
に、揺るぎない利益基盤が安定増配を可能としている、ということを今一度ご確
認いただきたいと思います。