チラシ (PDF形式, 3.67MB)

伊勢湾水理環境実験センター
干潟をつくる「海の流れ」を知ろう
伊 勢 湾と三 河 湾を2 0 0 0 分の1の大きさにした巨 大
ラムサール条約登録湿地であり、渡り鳥の
水槽で、潮の満ち引きを再現し実験を行っています。
飛来地としても有名な藤前干潟。
たくさんの生きものが生息する、都会のオア
シスでもあります 。けれど、意 外と知られて
いないのが、干潟をつくっているとも言える、
「海の流れ」のこと。太平洋から流れ込む海水
は、伊勢湾をどんな風に通って藤前干潟まで
サイエンスカフェ
藤前干潟とつながる海
∼伊勢湾の流れ∼
やってくるのでしょうか。そんな生きものたちを
支える、目には見えない海の世界をのぞいてみ
ませんか?
渡り鳥調査隊 イベントのお知らせ
講
野鳥観察会
平成29年1月28日
(土)
13時30分∼15時
師
稲永ビジターセンター
(名古屋市港区野跡4-11-2)
国土交通省 名古屋港湾空港技術調査事務所・伊勢湾水理環境実験センター 所長
小椋 進氏
伊藤 健吾氏
岐阜大学応用生物科学部准教授
行
き
方
あおなみ線「野跡」駅 または
市バス「野跡駅」バス停 下車 徒歩10分
定
員
20名
申
込
み
事前申込み 締切1月23日(月)必着
※定員に満たない場合は継続募集
オナガガモ
電話、FAX、はがき、メールにて受付
住所 名古屋市港区野跡4-11-2 稲永ビジターセンター内 名古屋自然保護官事務所
TEL 052-389-2877 FAX 052-389-2878 Eメール [email protected]
これから開催する1∼3月の渡り鳥調査隊では、
以下の野鳥を観察できるカモ。
Profile
カモの仲間
マガモ、コガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、スズガモ、
キンクロハジロ など
ハマシギ
カモメの仲間
ユリカモメ、ズグロカモメ など
国土交通省 中部地方整備局
名古屋港湾空港技術調査事務所長
小椋 進さん
海がない長野県出身ながら、昭和53年に運輸省(現 国土交通省)採用後は、
主に港湾整備に従事し、港湾における物流機能の向上を担ってきた。現在は、
中部地域における港湾施設の設計や新技術の開発を担当する名古屋港湾
空港技術調査事務所長として環境に配慮した港湾施設の設計や発生が危惧
される南海トラフ巨大地震に対応した新技術の開発等を行っている。
シギ・チドリの仲間
シロチドリ、ダイゼン、
ハマシギ、ダイシャクシギ など
タカ・ハヤブサの仲間
ミサゴ、チュウヒ、ハヤブサ など
の様
渡り鳥調査隊
ズグロカモメ
オナガガモ ピンとのびた尾がかっこいいです。
水深の浅い場所で逆立ちして餌を食べている姿などが見られます。
ズグロカモメ 2月半ば頃までは白色の頭ですが、
2月末頃にはその名のとおり
頭の色が黒くなります。干潟でカニを捕る姿が頻繁に見られます。
※名古屋市のレッドデータブック
(2015年)で絶滅危惧Ⅱ類。
ハマシギ
場所
ファシリテーター
年間を通して100種類以上の野鳥を観察できる藤前干潟。
おすすめの鳥
無料
藤前干潟にすむたくさんの生きものたちを支える環境をつくっている海の流れ。
藤前干潟とつながる海−伊勢湾−や藤前干潟のまわりにはどんな流れがあるのかを学ぼう!
日時
日 時 平成29年1月28日(土)11時∼13時
サイエンスカフェ
2月25日(土) 9時∼11時 と同日開催
3月11日(土)10時∼12時
場 所 名古屋市野鳥観察館(稲永ビジターセンターの隣)
参加
小型のシギの仲間です。
1,000羽を超えるハマシギの群れが飛ぶ姿には圧倒されます。
岐阜大学 応用生物科学部
生産環境科学課程 環境生態科学コース・
水利環境学研究室/准教授
伊藤 健吾 さん
岐阜大学では水田生態系保全を研究して
いる田んぼの専門家。
実は藤前干潟のガタレンジャーでもあり、
時折、藤前干潟にも出没する。
子
渡り鳥調査隊とは・
・
・
名古屋市野鳥観察館で毎月1回行っている「渡り鳥調査
隊」は藤前干潟に飛来する野鳥を観察しながら、
種類と数を
調べるイベントです。
飛来する野鳥の種類と数を知ることは、
干潟環境の状況
を知ることにつながります。将来に渡って藤前干潟が保全
されていくために、
特に子どもたちに鳥類調査の体験を
通して野鳥や干潟に親しんでもらいたいと考えています。
調査というと難しく聞こえますが、
野鳥観察の初心者も
大歓迎です。望遠鏡やカウンターの使い方も学べます。
鳥類調査にチャレンジしてみましょう!
問合せ先:名古屋市野鳥観察館(指定管理者:東海稲永ネットワーク) TEL 052-381-0160
主 催:藤前干潟ふれあい事業実行委員会
協 賛:イオンスタイル名古屋茶屋店
事業全般についての問合せ:藤前干潟ふれあい事業実行委員会事務局(名古屋市環境局環境活動推進課)
TEL:052-972-2662 Eメール:[email protected] 検 索
※詳細はホームページをご覧ください 藤前干潟ふれあい事業
このチラシは古紙パルプを含む再生紙を使用しています。
ふれあいトーク
第3 回
講演レポート
オーストラリア
る
な展示をしてい
々
様
る
す
関
に
渡り鳥や干潟
開催しました!
で
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タ
ン
セ
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ビジタ
稲永
∼ 鳥 の 進 化 の 中 心 地?∼
伊勢湾の最奥にある
「藤前干潟」は、渡り鳥の大切な中継地で
講 師
あり、カニや魚などたくさんの生き物が生存しています。
「藤前干潟
公益財団法人
日本野鳥の会 愛知支部
ふれあい事業」では、そんなかけがえのない生態系を育む「藤前
干潟」
の保全・活用の取り組みとして、名古屋市や環境省、愛知県、
NPO法人などが協働し、通年で
「藤前干潟」
とふれあえる様々な
プログラムを企画しています。その一環として実施された2016年
第3回
「ふれあいトーク」
の様子をお届けします。
渡り鳥のフライウェイにあわせて
かな ざわ さとし
金澤 智 さん
シロチドリの模型を
じっくり観察。
「かわいい!」
プロフィール
出身地:神奈川県
名古屋市立大学大学院医学研究科で分子医学等医学関連を
研究するかたわら、環太平洋各地の生物の観察にもまい進。
「日経サイエンス誌」
へのコラム掲載や、NHK
「知るを楽しむ」
では
江戸時代や尾張の生物相を紹介。また、朝日新聞等で多様な
生き物の写真も発表。
のに対し、2010年代は約900羽程度に。
「40年間で約
1割減少してしまっているのは問題。鳥たちが立ち寄り
オーストラリアは“鳥”の進化の中心地
そして参加者らは、スプーンビル、アオアズマヤドリ、
ブルーマウンテン、ヒメクイナなど元気な声でさえずる
稲永ビジターセンターで8月7日、日本野鳥の会・
やすくなるよう、干潟を守ることが大切」
と金澤さん。
その後は、オーストラリアにいる鳥の話へ。セキセイ
鳥をおさめたムービーを鑑賞。すると、コトドリのカメラ
愛知支部の金澤智さんを講師に迎え、
「オーストラリア
さらに、日本全体でみてもシギ・チドリの渡来がここ
インコやロビン、ムナグロオーストラリアムシクイなど
のシャッターの音マネのリアルさに、場内からは驚きの
∼鳥の進化の中心地?∼」
をテーマに、第3回ふれあい
25年間で大幅に減少していることに触れ、
「たくさんの
カラフルな鳥たちを写真と共に紹介。そして、
「オースト
声が湧き上がりました。
トークが開かれました。
「 医学研究でサンフランシスコ
渡り鳥の中継地となるよう、この藤前干潟を守っていき
ラリアにいる鳥は、進化上かなり面白い」
と金澤さん。
講演の最後には、質問タイムを実施。
「花の蜜だけで
に渡ったときに、ボランティアで海の生き物の観察をし
たい」
と干潟保全の大切さが語られました。
いよいよ、今回の本題へ入っていくこととなりました。
カロリーが摂れるか」
という質問に対し、
「 医学の話に
たことが渡り鳥へ興味を抱いたきっかけ」
と金澤さん。
また、干潟に海水が入ってくると通常、鳥は逃げて
9,500万年前の地球は、南極とオーストラリア、イン
なってしまうが、がん細胞が増えるのは体の中の糖分
毎年、決まった季節に北半球と南半球を移動する
「渡り
しまうことをあげて、
「干潟のすぐ近くに、海水が入って
ド、南アフリカと連結した大陸となっていました。その
をがん細胞が食べてしまうから。つまり生きるエネル
鳥」
のフライウェイに合わせ、オーストラリアにいる渡り
きたら避難する場所があると良い。それが
“後背湿地”
頃、既にカワウのような鳥や、羽毛の生えた鳥も存在。
ギーは糖分にあります。ハチドリなどは1秒間にかなり
鳥を中心に、それを語るうえで避けて通れない中継地
といわれる場所です」
と、台湾にある干潟・後背湿地の
6,500万年前になると、大きな環境の変化から恐竜は
羽ばたき飛び回るが、花の蜜だけで十分補っている」
の日本や台湾、中国の渡り鳥と、その湿地について
例を紹介。さらに、日本でも後背湿地に近い状態を作ろ
絶滅の一途をたどりましたが、実は地球の南側の土地
と、専門である医学の観点からの説明もあり、参加者
講演していただきました。
うと『 夏水田んぼ 』という新たな手法について触れ、
への影響は少なく、南極にいる鳥たちは生き延びるこ
は興味深く耳を傾けていました。
「こういった取り組みをみんなで挑戦していけたら」
と
「生き残った鳥は、南極が寒冷化したことでインドや
今後の目標が述べられました。
鳥が立ち寄りやすい干潟の在り方とは?
講演の冒頭では、数ある渡り鳥の中でも、春と秋の
年2回、日本に渡来するシギ・チドリをクローズアップ。
「チュウシャクシギ」
と
「シロチドリ」
の模型を観察し、それ
ぞれの特徴を確認しました。参加者からは
「かわいい!」
とができた、
とのこと。
オーストラリアに分散していきましたが、そこには共通
シ ギ・チドリ の 違 い を
模 型 で 観 察 し た よ!
くちばしが長い
チュウシャクシギ
くちばしが短い
シロチドリ
ムナ
グ
アムシクイ
トラリ
ス
ー
ロオ
のエサがない。オーストラリアには、たくさん花があった。
鳥はその花の蜜をエサとし、新しく進化をした」
と金澤
シ ロ チド
リ
さんはいう。
オーストラリアには
“ソングバード”
と呼ばれる、元気
な鳴き声を上げる鳥がたくさん生息していることに
との声があがり、興味深げに模型を眺めていました。
着目。花の大国であるオーストラリアは鳥たちにとって
また、過去と現在において、日本に渡来するシギ・チドリ
エサが豊富、
しかも花の蜜は高エネルギーであるため、
類の数にも注目。東京湾沿岸地域で観察されたシギ・
オウムのような元気に鳴き声を上げる鳥がたくさん存
チドリの個体数が、1970年代は約1,100羽観察された
在するようになったと、進化の過程を説明しました。
セ イキ
コ
イン