Trend Report 株式会社フィスコ 2016/12/19 【日本銀行の金融政策と円相場の見通し 長期金利目標は据え置きへ】 <日本銀行の金融政策は現状維持の公算> 《今回の予想》(12月20日 金融政策決定会合の終了予定時刻は未定) ・長期金利目標:0%程度(現状維持の予想) ・日銀当座預金の政策金利残高への適用金利:-0.10%(現状維持の予想) ・長期国債などの資産買い入れ方針:各資産の買い入れ額は現状維持の予想 《前回のレビュー》 (11月1日結果発表) ・長期金利目標:0%程度(現状維持) ・日銀当座預金の政策金利残高への適用金利:-0.10%(現状維持) ・長期国債以外の資産買い入れ方針:年間でETFは約6兆円、J-REITは約900億円に相当するペースでの保有残 高の増加、CP等は約2.2兆円、社債等は約3.2兆円の残高維持(現状維持) 10月31日-11月1日に開かれた日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持が賛成多数で決定されました。 日銀が11月10日に公表した「金融政策決定会合における主な意見」では、経済・金融などの現状について以下 のポイントが指摘されました。 ■主な意見 ・国内経済:緩やかな回復基調を維持、個人情勢の実勢は悪くない ・海外経済:下振れリスク残るも2017 年度以降、次第に成長率を高めていく ・物価:2%達成時期は後ずれして2018 年度頃になる可能性が高い ・為替相場:FRBが12 月に利上げに踏み切れば、円安トレンドに移行へ 「金融政策決定会合における主な意見」には、現在のペースで買い入れを継続すると長期金利の低下が予想 されることから、金利水準を維持するために買い入れ額を段階的に減らしていくとの意見もありました。 ■日銀の金融政策は今回も現状維持と予想する主な理由 ・円安進行も2%の物価目標を大幅に下回る状態が当面続く見込み ・国内景気は緩やかな回復基調を維持 <日銀の金融政策見通し:円安警戒も長期金利目標0%程度を維持へ> 今回は、当座預金の政策金利残高への適用金利-0.1%、長期金利の目標水準0%程度などが決定される見込 みです。ただし、長期金利を0%程度で安定させるために「長期国債の保有残高の増加額は年間約80 兆円をめ どにする」との文言を変更し、長期国債の保有残高の増加ペースに幅を持たせる(例:約80兆円から90兆円程度 にする)旨の文言となる可能性は残されています。(量的緩和策の拡大) ・当面の長期金利目標水準:0%程度 ・政策金利残高への適用金利は-0.10%に据え置き ・長期国債買い入れ額は増額の可能性 <円相場見通し:日米金利差のさらなる拡大を織り込む展開に> 今回の金融政策決定会合で長期金利の目標水準が上方修正される可能性は低いとみられています。金融政 策の現状維持が決まった場合、日米の長期金利差の拡大を想定して円売り・ドル買いが強まる可能性がありま す。日銀が長期金利の上昇を抑制する方針を明確に示した場合、ドル・円は年初来高値(121円69銭)を試す展 開となりそうです。 ・当面のドル・円想定レンジ:116.00円-122.00円 ※2017年の日銀金融政策決定会合の開催スケジュール 1月30日-31日、3月15日-16日、4月26日-27日、6月15日-16日、7月19日-20日、9月20日-21日、10月30日-31日、 12月20日-21日(全8回の予定) 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【N 株式会社フィスコ 2016/12/19 為替相場 先週のドル・円相場 取引レンジ 今週の見通し 114.74 円 - 118.66 円 想定レンジ 12月19日 - 12月23日 117.00 円 - 120.50 円 上昇。一時118円66銭まで買われる場面があった。注 目されていた米連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦 準備制度理事会(FRB)は、1年ぶりとなる政策金利 の引き上げを全員一致で決定した。同時に、向こう1 年に従来予想以上の速さで利上げを実施するとの見 通しを示すと、リスク選好的なドル買いが急速に広 がった。 底堅い動きか。19、20日に日本銀行の金融政策決定 2週間の推移 1年の推移 120.00 (円) 会合が開かれるが、現行の金融政策の維持を決める 見通し。しばらくは長期金利上昇を抑制することで金 融緩和効果を強めることを優先するとみられており、 日米金利差を背景としたドル高・円安がさらに進む可 能性がある。1ドル120円を窺う展開が意識されよう。 125 (円) 120 118.00 115 116.00 110 114.00 105 112.00 100 110.00 2016/12/2 2016/12/9 2016/12/16 95 2015/12/16 2016/6/16 2016/12/16 債券相場動向(米国10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは上昇。13-14日に開かれた米連邦公開 市場委員会(FOMC)の会合で0.25ポイントの利上げ が決定された。FOMCの金利見通しでは、2017年に3 回の利上げを予想していたことから、長期債の利回り は堅調に推移した。インフレ進行の思惑が後退して いないことも利回り上昇の一因となった。 債券利回りは上げ渋りか。中国海軍が米海軍調査船 の潜水無人機を違法に接収した一件を巡って、米中 間の対立が深まる可能性があり、地政学的リスクの 増大を警戒して債券利回りは上げ渋る可能性があ る。ただし、この問題がすみやかに解決された場合、 株高持続への期待で債券利回りは下げ渋る可能性 が高い。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・原油価格の安定 ・トランプ政権下でインフレ加速、金利上昇との見方 ・2017年以降の米金利見通し引き上げ 1 ・米財政赤字増大への懸念 ・米次期政権は過度のドル高・円安を認めない可能性 ・米中関係悪化、地政学的リスク増大の懸念 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 % 日本10年国債利回 本日の債券市場見通 2010.3.25.Thu. AM 8:20 円 株式会社フィスコ 2016/12/19 【N 為替相場 先週のユーロ相場 取引レンジ ユーロ/円 ユーロ/米ドル 今週の見通し 121.41 円 1.0367 ドル - 想定レンジ ユーロ/円 124.10 円 1.0670 ドル ユーロ/米ドル 12月19日 - 122.00 円 1.0300 ドル - 12月23日 125.00 円 1.0550 ドル 強含み。米ドル高・円安の進行によってユーロは一時 124円台前半まで買われた。米金利見通し引き上げを 受けてユーロ売り・米ドル買いの取引は増えたもの の、日米の株高を意識したリスク選好的な円売り・米 ドル買いは一段と強まり、この影響でユーロは対円で 強い動きとなった。 こう着か。欧州中央銀行(ECB)による金融緩和政 2週間の推移 1年の推移 126.00 (円) 策の継続を意識して、対米ドルではユーロ売りが続 くとみられる。ただ、足元では米ドル・円の値動きに 影響を受けやすく、米ドル高・円安が続いた場合、 ユーロは対円で下げ渋る展開が予想される。 140.00 (円) 130.00 124.00 120.00 122.00 110.00 120.00 2016/12/2 2016/12/9 2016/12/16 100.00 2015/12/16 2016/6/16 2016/12/16 債券相場動向(ドイツ10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは低下。米金利見通しの引き上げを受け 債券利回りはもみあう展開が予想される。欧米株 式が大きく下げた場合、安全逃避的な買いが再び 増える可能性はあるが、ユーロ圏のインフレ鈍化の 思惑は後退していることやユーロ安・米ドル高は続 く可能性があることから、ドイツ国債利回りは0.3% 近辺で下げ渋る可能性は残されている。 て長期債などの利回り水準は強い動きを見せる局面 があったが、16日の取引ではポルトガル、イタリア国 債からドイツ国債への資金シフトが観測されており、 債券利回りは週末前に反落した。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・来年4月からECB資産買入額は200億ユーロ減額へ ・欧州中銀は量的緩和策を来年12月まで9カ月延長 ・ユーロ圏失業率の低下傾向 ・ユーロ圏における金融不安再発の可能性 ・米ドル高・円安進行の可能性 ・米国とユーロ圏の金利差拡大観測 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 株式会社フィスコ 2016/12/19 【N 為替相場 先週のトルコリラ相場 取引レンジ 32.60 円 今週の見通し - 33.95 円 想定レンジ 12月19日 33.50 円 - 12月23日 35.10 円 上昇。10日にイスタンブールで相次いでテロが発生 したことから週初はさえない展開となったが、ドル買 い円売りの流れが下支えとなり堅調な推移に。週 末は一段高となり、終値ベースで100日移動平均線 を上回る格好となった。 上昇か。エルドアン政権に対する警戒感は引き続 き高いが、上値抵抗ラインである100日移動平均線 を終値ベースで上抜いたことが材料視されよう。10 月もみ合っていた34ドル台手前を上回ると短期的 な反発基調が強まると想定。 2週間の推移 1年の推移 34 (円) (円) 45 33 40 32 35 31 30 2016/12/2 2016/12/9 2016/12/16 2015/12/16 2016/6/16 2016/12/16 債券市場動向(トルコリラ5年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは強含み。12日に発表された7-9月期 国内総生産は前年比-1.8%と市場予想を大きく下 回った。金利先高観はやや後退したが、米金利見 通しの引き上げを受けてリラ安・米ドル高の相場展 開となり、この影響で債券利回りは全般的に強含 みとなった。 債券利回りはもみあいか。トルコ中央銀行は20日 に政策金利を発表する。主要政策金利のレポレー トは8.00%で据え置きとなる見込み。ただし、翌日 物貸出金利は通貨安を警戒して8.50%から8.75% に引き上げられる可能性が高いとみられている。米 金利見通しの引き上げを意識した相場展開となり そうだ。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・トルコ中央銀行は貸出金利をさらに引き上げる可能性 ・治安情勢悪化の懸念 ・ユーロ圏経済の改善期待 ・経常収支の大幅な改善は当面期待薄 ・国内政局の安定化 ・米金利上昇で資本流出懸念 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 株式会社フィスコ 【11月米雇用統計 予想通りならば、12月利上げを最終確認へ】 【N ディスクレーマー(免責条項) 本レポートは、本取引所が㈱フィスコから提供を受けて、公表しているものであり、本レポートの 33.50 35.10 内容に関する一切の権利は、㈱フィスコに帰属いたします。本取引所は、本レポートの正確性、 完全性、適時性等を保証するものではありません。また、本取引所は、本レポートを用いて行う 一切の行為及び本レポートに基づいて被った損害について、何ら責任を負うものではありませ ん。 株式会社東京金融取引所 株式会社フィスコ(以下[フィスコ]という)は株価情報および指数情報の利用について東京証券取引所・大阪取引 所・日本経済新聞社の承諾のもと提供しています。“JASDAQ INDEX” の指数値及び商標は、株式会社東京証券取引所 の知的財産であり一切の権利は同社に帰属します。 掲載される情報はフィスコが信頼できると判断した情報源をもとにフィスコが作成・表示したものですが、その内容 及び情報の正確性、完全性、適時性について、フィスコは保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでは ありません。 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はフィスコに帰属し、事前にフィスコへの書面による承諾を得ること なく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送 信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。 フィスコが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものでは ありません。 本資料に掲載される株式、投資信託、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢な どの影響により、その価値を増大または減少する事もあり、価値を失う場合があります。 本資料は、本資料により投資された資金がその価値を維持または増大する事を保証するものではなく、本資料に基づ いて投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、フィスコは、理由のいかんを問わず、責任を負 いません。 フィスコおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場 合があります。 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いい たします。 以上の点をご了承の上、ご利用ください。 株式会社フィスコ
© Copyright 2025 ExpyDoc